(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第2電極層は前記四角形の4隅に配置された三角形の形状を備え、前記第1電極層は前記四角形の4隅に配置された三角形の形状を除く8角形の形状を備えることを特徴とする請求項1に記載の有機EL装置。
前記第1導電層は、前記四角形の4辺において、第1半田層を介して前記第1電極層に接続され、前記第2導電層は、前記四角形の4隅において、第2半田層を介して前記第2電極層に接続されることを特徴とする請求項1に記載の有機EL装置。
前記絶縁層は、前記基板の中央部に配置され、前記第1導電層と前記第2導電層は、前記絶縁層を介して前記基板の中央部においてのみ積層されることを特徴とする請求項1に記載の有機EL装置。
前記基板は、透明基板で形成され、前記第3電極層は、金属層で形成され、ボトムエミッション構成を備えたことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の有機EL装置。
前記基板は、透明基板で形成され、前記第1電極層および前記第3電極層は、透明電極で形成され、トップエミッションおよびボトムエミッション構成を備えたことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の有機EL装置。
前記基板は、不透明基板で形成され、前記第1電極層は金属層で形成され、前記第3電極層は透明電極で形成され、トップエミッション構成を備えたことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の有機EL装置。
前記有機EL装置を複数備え、隣接する有機EL装置同士の第1電極層と第2電極層を互いに直列接続し、複数の前記有機EL装置を同一電流で駆動することを特徴とする請求項11〜17のいずれか1項に記載の有機EL装置。
【背景技術】
【0002】
近年、有機発光素子として有機EL(EL:Electroluminescence)素子を用いた表示装置や照明装置が実用化に向けて開発が進められている。従来、有機EL素子は、水分により劣化が著しいので防湿する必要があり、そのため基板上に搭載された有機EL素子を封止板等で封止している。
【0003】
従来、有機EL素子を封止する方法として、例えば、有機EL素子が搭載された基板面にシール材を介して封止缶で密封し、封止された内部空間に不活性ガス等の気体を充填する中空封止技術が知られている(例えば、特許文献1参照。)。或いは有機EL素子が搭載された基板面にシール材を介して封止缶で密封し、封止された内部空間にシリコーンオイル等の液体からなる充填材を充填する液体封止技術が知られている(例えば、特許文献2参照。)また、樹脂などの流動性のある封止剤を基板面に適用し、ガラス板等を重ねてUV光照射や加熱などの方法により封止剤を硬化させて封止する固体封止技術が知られている。(例えば、特許文献3および特許文献4参照。)。
【0004】
また、フレキシブルプリンテッドコネクタ(FPC:Flexible Printed Connector)を適用した表示装置の例も既に開示されている(例えば、特許文献5参照。)。
【0005】
従来、線材をリード線として用い、有機EL素子に電源を接続した有機EL照明パネルが知られている。
【0006】
従来の有機EL装置をパネル裏面(非発光面)側から見た構成は、
図34〜
図36に示すように、8端子型・8角素子の有機EL照明パネル構成において、ITO基板100の4角形の4隅に配置された三角形状のカソードITO層120Kと、4角形から4隅を除いた8角形状のアノードITO層120Aと、これら三角形状のカソードITO層120Kと8角形状のアノードITO層120A上に配置された封止板180とを備える。また、ITO基板100と、ITO基板100上に配置されたアノードITO層120AおよびカソードITO層120Kと、アノードITO層120A上に配置された有機EL層140と、有機EL層140上に配置され、かつ4隅においてカソードITO層120Kと接続されたカソード電極層160Kと、カソード電極層160K上に配置された封止板18とを備える。また、ITO基板100の4角形の外周部においてアノードITO層120A上に配置されたアノード配線46Aおよびカソード配線44Kを備え、アノード配線46Aは、アノードITO層120Aとアノード半田層50Aにより接続され、カソード配線44Kは、カソード配線被覆層54によって被覆され、かつアノード配線46Aおよびカソード配線44Kは、オーバーコート52によって被覆されている。
【0007】
従来の有機EL装置は、
図34〜
図36に示すように、ITO基板100の4角形の外周に設けられたカソードITO層120KおよびアノードITO層120A各々の複数の端子を、各々連結するために、配線材などでカソード配線44Kとアノード配線46Aの2つのループを形成し、カソードITO層120KおよびアノードITO層120Aの抵抗による電圧ばらつきの防止のため、
図34に示すように複数のポイント(●印)で半田付け若しくは異方性導電性フィルム(ACF:Anisotropic Conductive Film)による接続を行っている。
【0008】
すなわち、従来の有機EL装置は、
図34〜
図36に示すように、ITO基板100の4角形の外周に各々複数存在するカソードITO層120KおよびアノードITO層120Aそれぞれを接続する方法としては、線材などを用いて、外周の端子を引き出す方法を用いて行っていた。このため、配線材の寸法は、端子のスペース(幅と厚み)に制限され、電流値に対して十分な太さの線材または被覆厚みを確保することができなかった。また、線材の引き回しは、手作業にしか対応せず、量産効率に乏しい方法であった。
【0009】
別の従来の有機EL装置をパネル裏面(非発光面)側から見た構成は、
図37〜
図39に示すように、8端子型・8角素子の有機EL照明パネル構成において、ITO基板100の4角形の4隅に配置された三角形状のカソードITO層120Kと、4角形から4隅を除いた8角形状のアノードITO層120Aと、これら三角形状のカソードITO層120Kと8角形状のアノードITO層120A上に配置された封止板180とを備える。LAは有機EL装置のパネル表面(発光面)の発光エリアをパネル裏面(非発光面)側から透視した様子を模式的に示したものである。また、ITO基板100と、ITO基板100上に配置されたアノードITO層120AおよびカソードITO層120Kと、アノードITO層120A上に配置された有機EL層140と、有機EL層140上に配置され、かつコンタクト部160CにおいてカソードITO層120Kと接続されたカソード電極層160Kと、カソード電極層160K上に接着層180aを介して配置された封止板180とを備える。また、ITO基板100の4角形の周辺部においてカソードITO層120K上に配置されたカソード半田層360Kと、アノードITO層120A上に配置されたアノード半田層360Aとを備える。
【0010】
従来の有機EL装置は、
図37〜
図39に示すように、パネル外周に設けられたカソードITO層120KおよびアノードITO層120Aを各々連結するために、カソード半田層360Kおよびアノード半田層360Aを用いていた。
【0011】
すなわち、別の従来の有機EL装置は、
図37〜
図39に示すように、少なくともカソードITO層120Kと接続されたカソード半田層360KとアノードITO層120Aと接続されたアノード半田層360Aが対向した辺に一対ずつ存在し、ITO基板100の4角形の周囲において、各々の電極を配線などを用いて手作業で接続しており、量産性に乏しかった。また、輝度分布改善の目的で、電極数を増加したパネルでは、更に配線が複雑となり、パネル組み立て工程の自動化の妨げとなっていた。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、図面を参照して、本発明の第1の実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な厚みや寸法は以下の説明を参酌して判断すべきものである。又、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることはもちろんである。
【0019】
又、以下に示す第1〜第6の実施の形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、この発明の実施の形態は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。この発明の実施の形態は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
【0020】
[第1の実施の形態]
(有機EL装置)
本発明の第1の実施の形態に係る有機EL装置の模式的平面パターン構成は、
図1に示すように表され、
図1のV−V線に沿う模式的断面構造(封止板の例)は、
図2に示すように表され、
図1のV−V線に沿う模式的断面構造(封止膜の例)は、
図3に示すように表され、
図1のVI−VI線に沿う模式的断面構造は、
図4に示すように表され、
図1のVII−VII線に沿う模式的断面構造は、
図5に示すように表される。
【0021】
図1は、第1の実施の形態に係る有機EL装置1をパネル裏面(非発光面)側から見た模式図である。
【0022】
第1の実施の形態に係る有機EL装置1は、
図1〜
図5に示すように、基板10と、基板10上に配置された第1電極層12Aおよび第2電極層12Kと、第1電極層12A上に配置された有機EL層14と、有機EL層14上に配置され、第2電極層12Kと接続される第3電極層16Kと、第3電極層16K上に接着層18aを介して配置された封止層18と、封止層18上に粘着剤20を介して配置された第1導電層22Aと、第1導電層22A上に配置された絶縁層24と、絶縁層24上に配置された第2導電層26Kとを備える。
【0023】
また、
図1に示すように、基板10は四角形の形状を備える。第2電極層12Kは基板10の4角形の4隅に配置された三角形の形状を備える。第1電極層12Aは基板10の4角形の4隅に配置された三角形の形状を除く8角形の形状を備える。第3電極層16Kは、基板10の4角形の4隅に配置された第2電極層12K上に延在し、コンタクト部16Cにおいて第2電極層12Kと接続されている。
【0024】
また、
図5に示すように、第1導電層22Aは、基板10の4角形の4辺において、第2導電層26Kよりも基板10の外周側に延在し、かつ第1電極層12Aに接続されている。また、
図4に示すように、第2導電層26Kは、基板10の4角形の4隅において、第1導電層22Aよりも基板10の外周側に延在し、かつ第2電極層12Kに接続されている。
【0025】
また、
図5に示すように、第1導電層22Aは、基板10の4角形の4辺において、第1半田層36Aを介して第1電極層12Aに接続されている。また、
図4に示すように、第2導電層26Kは、基板10の4角形の4隅において、第2半田層36Kを介して第2電極層12Kに接続されている。
【0026】
さらに、第2導電層26K上には、絶縁層28を備え、第1半田層36Aおよび第2半田層36K上には、被覆層30を備える。第1導電層22Aおよび/または第2導電層26Kが相対的に薄く形成される場合には、絶縁層28上には、後述する
図19〜
図20と同様の均熱板32を配置しても良い。
【0027】
また、第1導電層22Aおよび第2導電層26Kは、同一の金属材料からなる金属シートで形成され、絶縁層24は、絶縁シートで形成されていても良い。
【0028】
また、基板10の4辺に配置された第1電極層12Aの内、1箇所、2箇所または3箇所において接続された第1電源コード42と、基板10の4隅に配置された第2電極層12Kの内、1箇所、2箇所または3箇所において接続された第2電源コード40とを備えていても良い。すなわち、第2電源コード40の取り出し方は、基板10の4隅の第2電極層12Kの4箇所の内、1箇所、2箇所、若しくは3箇所から取り出しても良い。同様に、第1電源コード42の取り出し方は、基板10の4辺の第1電極層12Aの4箇所の内、1箇所、2箇所、若しくは3箇所から取り出しても良い。このように構成することによって、電源ケーブルの本数を低減し、有機EL装置1の実装面で、構造を簡略化することができる。
【0029】
また、封止層18は、
図2、および
図4〜
図5に示すように、封止板18で形成されていても良い。
【0030】
また、封止層18は、
図3に示すように、封止膜19で形成されていても良い。
【0031】
また、封止層18は、接着層18aから伝わる熱を外部に放熱する機能を担っているので、熱伝導率の高いものが望ましい。
【0032】
基板10は、光を透過する透明基板として、例えば、ガラス基板を適用することができる。厚さは、例えば、約0.1〜1.1mm程度である。基板10にポリカーボネートやポリエチレンテレフタレート等の透明な樹脂を用いてフレキシブル性を持たせることも可能である。
【0033】
第1電極層12Aおよび第2電極層12Kは、厚さが、例えば、約150〜160nm程度のITO(インジウム−スズ酸化物)の透明電極で形成することができる。
【0034】
有機EL層14は、基板10側から、例えば、正孔輸送層、発光層および電子輸送層が順次積層されている。
【0035】
正孔輸送層は、第1電極層12Aから注入された正孔を円滑に発光層に輸送するための層であり、例えば、厚さが約60nm程度のNPB(N,N−ジ(ナフタリル)−N,N−ジフェニル−ベンジデン)で形成することができる。
【0036】
電子輸送層は、第3電極層16Kから注入された電子を円滑に発光層に輸送するための層であり、例えば、厚さが約35nm程度のAlq
3(アルミニウムキノリノール錯体)で形成することができる。
【0037】
発光層は、注入された正孔および電子が再結合して発光するための層であり、例えば、発光種であるクマリン化合物(C545T)が約1%程度ドーピングされ、厚さが約30nm程度のAlq
3で形成することができる。
【0038】
なお、有機EL層14は、上記、正孔輸送層、電子輸送層以外の層、例えば、正孔注入層、電子注入層等を用いて構成しても良い。
【0039】
第3電極層16Kは、例えば、厚さが約150nm程度で、材質が、例えば、アルミニウム(Al)の蒸着膜で形成することができる。
【0040】
封止板18と第3電極層16K、有機EL層14、第1電極層12Aおよび第2電極層12Kを接着するための接着層18aは、有機EL層14を封止すると共に、有機EL層14で発生したジュール熱を封止板18側に伝え、放熱させるための層である。接着層18aは、厚さが、例えば、約3〜500μm程度である。
【0041】
同様に、封止板18と第1導電層22Aおよび第2導電層26Kを粘着するための粘着剤20は、封止板18の熱を第1導電層22Aおよび第2導電層26K側に伝え、放熱させるためのものである。粘着剤20は、厚さが、例えば、約3〜500μm程度である。
【0042】
接着層18aおよび粘着剤20の材質としては、上述の機能を有するのものであれば、特に限定はされないが、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、或いはUV硬化樹脂等が挙げられる。好ましくは、熱可塑性樹脂を用いるのがよい。熱可塑性樹脂としては、例えば、塩化ビニル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、アクリル、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリカーボネートなどの樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂は、好ましくは、加熱により軟化させた状態において、有機EL層14よりも流動性を有するのがよい。熱可塑性樹脂の粘度は、例えば、加熱により軟化させた状態において、約1×10
4Pa・s(パスカル・セカンド)未満であるのがよい。好ましくは、約1×10〜1×10
4Pa・s程度の範囲であるのがよい。熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂、メラミン樹脂等が挙げられる。また、UV硬化樹脂としては、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエステル系樹脂等が挙げられる。
【0043】
第1導電層22Aおよび第2導電層26Kを金属シートで構成する場合、金属シートの材質は、その抵抗値や熱伝導性およびコスト面から、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、ステンレスなどを用いることができる。なお、第1導電層22Aおよび第2導電層26Kは、同一金属材料を用いることによって、有機EL層14との間の接触電位を同等にすることができる。
【0044】
金属シートの厚さ、すなわち、金属部の正味の厚さは、約1μm〜1mmである。例えば、厚さ100μm以上の厚い金属シートを適用する場合には、有機EL層パネルから発生するジュール熱を拡散(均熱化)し、有機ELパネル内の温度分布を良好にする均熱板の効果も兼ねることができ、均熱板を省略することができる。
【0045】
なお、第1導電層22Aおよび第2導電層26Kは、金属シートに限定されるものではなく、スパッタ膜などで形成された導電層で形成されていても良い。
【0046】
絶縁層24および絶縁層28を絶縁シートで形成する場合、熱伝導性の良好な材料を選択すると良い。例えば、λゲルシートを適用することができる。λゲルシートの特性は、例えば、以下の通りである。形態は、シート状熱伝導性ゲルシート形状を有する。厚さは、例えば、0.5mm、1.0mm、2.0mm、3.0mm程度である。熱伝導率は、6.5W/m・Kであり、かつ、熱伝導は等方性である。体積抵抗率は、5.7×10
12Ω・cm、絶縁破壊強度は、7.2KV/mmである。
【0047】
なお、絶縁層24および絶縁層28は、シート材に限定されるものではなく、プラズマ化学的気相堆積法(CVD:Chemical Vapor Deposition)やスパッタリング法で形成された酸化膜、窒化膜であっても良い。
【0048】
また、第1の実施の形態に係る有機EL装置1においては、接着層18aにシート状の熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂等を用いることもでき、この場合、室温において接着層18aの形状を保持することができる。これにより有機EL装置1の大型化にも有利となる。
【0049】
また、第1の実施の形態に係る有機EL装置1によれば、接着層18aとしてシート状の熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂等を用いるので、製造プロセスにおいて、ロール式の供給形態をとることができる。これにより、製造工程の効率化を図ることも可能となる。
【0050】
第1の実施の形態に係る有機EL装置1の動作は以下の通りである。
【0051】
まず、有機EL装置1の第1電極層12Aおよび第3電極層16Kの間に一定の電圧が印加される。これにより、第1電極層12Aから正孔輸送層を介して発光部に正孔が注入されるとともに、第3電極層16Kから電子輸送層を介して発光部に電子が注入される。発光部に注入された正孔と電子とが再結合することによって、光を発光する。発光された光は、基板10を介して外部に出射される。
【0052】
第1の実施の形態に係る有機EL装置1においては、基板10として、ガラス基板またはプラスチック基板のどちらか若しくは各々を貼り合せた複板型有機EL照明パネル、または一方を封止膜19で封止した単板型有機EL照明パネルの構成において、パネル外周に取り出された複数のプラス側端子(陽極端子)および複数のマイナス側端子(陰極端子)各々を接続し、電源ケーブルを一箇所または各々の端子数よりも少なく取り纏めるために、導電層若しくは金属シートによるパネル裏面側(非発光面側)での立体配線構造を適用している。
【0053】
第1の実施の形態に係る有機EL装置においては、例えば、銅シートやアルミニウムシートなどを用い、複数の陰極端子と陽極端子各々をパネル裏面において2次元的に接続し、陰極側金属シートと陽極側金属シートの間に、絶縁シートを挟持して、立体的に交差させる構造を適用している。金属シートの厚さや絶縁シートの厚さを自由に選択可能であるため、使用電流値や使用電圧に制限を受けることなく、安全な構造を省スペースにて提供することができる。
【0054】
また、第1の実施の形態に係る有機EL装置においては、金属シートを予め所定の形状に加工しておくことによって、後の製造工程において、外周端子部に半田付けやACF接続等の自動化可能な方法を適用することができる。
【0055】
第1の実施の形態に係る有機EL装置によれば、金属シートの厚さや絶縁シートの厚さを自由に選択可能であるため、使用電流値や使用電圧に制限を受けることなく、有機ELパネルの大型化、低コスト化および電気的安全性の要求の確保をすることができる。
【0056】
(基板構成例)
第1の実施の形態に係る有機EL装置1は、
図6に示すように、基板10が透明基板で形成され、封止層18が封止板で形成された複板型構造を備えていても良い。ここで、基板10は、例えば、ガラス基板、プラスチック基板で形成され、封止層18は、例えば、ガラス基板、プラスチック基板などで形成される。なお、
図6においては、電極層などの他の構成は図示を省略している。
【0057】
第1の実施の形態に係る有機EL装置1は、
図7に示すように、基板10が透明基板で形成され、封止層18が封止膜19で形成された単板型構造を備えていても良い。ここで、基板10は、例えば、ガラス基板、プラスチック基板で形成され、封止層18は、例えば、CVD酸化膜、CVD窒化膜などで形成される。なお、
図7においては、電極層などの他の構成は図示を省略している。
【0058】
複板型構造において基板構成をフレキシブル化するためには、基板10および封止板18に、ともにプラスチック基板などを適用すると良い。
【0059】
単板型構造において基板構成をフレキシブル化するためには、基板10に、プラスチック基板などを適用すると良い。
【0060】
(エミッション構成)
第1の実施の形態に係る有機EL装置1は、
図8に示すように、基板10が透明基板で形成され、第3電極層16Kが金属層で形成されたボトムエミッション構成を備えていても良い。ここで、基板10は、例えば、ガラス基板、プラスチック基板で形成され、第3電極層16Kは、例えば、アルミニウム蒸着膜で形成され、封止層18は、例えば、ガラス基板、プラスチック基板などで形成される。
【0061】
第1の実施の形態に係る有機EL装置1は、
図9に示すように、基板10が透明基板で形成され、第1電極層12Aおよび第3電極層16Kが透明電極で形成されたトップエミッションおよびボトムエミッション構成を備えていても良い。ここで、基板10は、例えば、ガラス基板、プラスチック基板で形成され、第1電極層12Aおよび第3電極層16Kは、例えば、ITOで形成され、封止層18は、例えば、ガラス基板、プラスチック基板などで形成される。なお、
図7と同様に、封止膜19を用いても良い。
【0062】
第1の実施の形態に係る有機EL装置1は、
図10に示すように、基板10が不透明基板で形成され、第1電極層12Aが金属層で形成され、第3電極層16Kは透明電極で形成されたトップエミッション構成を備えていても良い。ここで、基板10は、例えば、シリコン基板で形成され、第1電極層12Aは、例えば、アルミニウム蒸着膜で形成され、第3電極層16Kは、例えば、ITOで形成され、封止層18は、例えば、ガラス基板、プラスチック基板などで形成される。なお、
図7と同様に、封止膜19を用いても良い。
【0063】
(直列接続構成例)
第1の実施の形態に係る有機EL装置の直列接続構成例は、
図11に示すように表され、
図11に対応する等価回路構成は、
図12に示すように表される。
【0064】
第1の実施の形態に係る有機EL装置の直列接続構成は、
図11〜
図12に示すように、有機EL装置を複数備え、隣接する有機EL装置同士の第1電極層12Aと第2電極層12Kを互いに直列接続した構成を備える。有機EL装置をダイオードD1〜D4で表記すると、
図11に対応する等価回路構成は、
図12に示すようにダイオードD1〜D4が直列に接続された構成となる。複数の有機EL装置の個数をNとすれば、1個の有機EL装置の駆動電流Iおよび駆動電圧Vに比較して、N個の有機EL装置は、同一の駆動電流Iで駆動することができ、駆動電圧VはN倍となる。輝度は、同一の駆動電流IでN倍とすることができる。
【0065】
このような有機EL装置の直列接続構成例は、電車の車輌内の天井に配置される照明設備、ビル内の天井に配置される照明設備などに適用することができる。
【0066】
(変形例)
第1の実施の形態の変形例に係る有機EL装置の模式的平面パターン構成は、
図13に示すように表され、
図13のIX−IX線に沿う模式的断面構造は、
図14に示すように表され、
図13のX−X線に沿う模式的断面構造は、
図15に示すように表される。
【0067】
図13は、第1の実施の形態の変形例に係る有機EL装置1をパネル裏面(非発光面)側から見た図である。
【0068】
第1の実施の形態の変形例に係る有機EL装置1においては、
図13〜
図15に示すように、絶縁層24は、基板10の中央部に配置され、第1導電層22Aと第2導電層26Kは、絶縁層24を介して基板10の中央部においてのみ積層される。その他の構成は、第1の実施の形態と同様であるため、重複説明は省略する。
【0069】
絶縁層24をλゲルシートで形成する場合、λゲルシートは高価のため、適用面積を低減化することが望ましい。このため、
図13には絶縁層24の面積を相対的に低減化する平面パターン構成が示されている。
【0070】
さらに、第1導電層22Aと第2導電層26Kの占有面積も第1の実施の形態に比べ、省スペース化されている。このため、絶縁層24のみならず、第1導電層22Aおよび第2導電層26Kも省材料化されており、有機EL装置1の低コスト化を図ることができる。
【0071】
また、第1導電層22Aと第2導電層26Kの積層化面積が低減されることによって、絶縁層24の面積が相対的に低減化されるため、熱容量が低減され、熱放散が容易となり、有機EL装置1の熱伝導性も良好に保つことができる。
【0072】
[第2の実施の形態]
(有機EL装置)
本発明の第2の実施の形態に係る有機EL装置の模式的平面パターン構成は、
図16に示すように表され、
図16のXI−XI線に沿う模式的断面構造図(封止板の例)は、
図17に示すように表され、
図16のXI−XI線に沿う模式的断面構造図(封止膜の例)は、
図18に示すように表され、
図16のXII−XII線に沿う模式的断面構造は、
図19に示すように表され、
図16のXIII−XIII線に沿う模式的断面構造は、
図20に示すように表される。
【0073】
図16は、第2の実施の形態に係る有機EL装置1をパネル裏面(非発光面)側から見た模式図である。
【0074】
第2の実施の形態に係る有機EL装置1は、
図16〜
図20に示すように、基板10と、基板10上に配置された第1電極層12Aおよび第2電極層12Kと、第1電極層12A上に配置された有機EL層14と、有機EL層14上に配置され、第2電極層12Kと接続される第3電極層16Kと、第3電極層16K上に接着層18aを介して配置された封止層18と、封止層18上に粘着剤20を介して配置された第2導電層26Kと、第2導電層26K上に配置された絶縁層24と、基板10の最外周に配置されたループ状電極層とを備える。さらに、第1電極層12A若しくは第2電極層12Kの少なくともいずれか一方の電極同士をループ状電極層により接続している。LAは有機EL装置1のパネル表面(発光面)の発光エリアをパネル裏面(非発光面)側から透視した様子を模式的に示したものである。
【0075】
図16〜
図20に示される例では、基板10の最外周に配置されたループ状電極層は、第1電極層12A上に配置された第1半田層36Aによって形成されている。
【0076】
第1電極層12Aと第2電極層12Kの関係を逆にして、基板10の最外周に配置されたループ状電極層を、第2電極層12K上に配置された第2半田層36Kによって形成しても良い。さらに、第1半田層36Aおよび第2半田層36K上には、
図19〜
図20に示すように、被覆層30を備える。
【0077】
また、
図16に示すように、基板10は四角形の形状を備える。第2電極層12Kは基板10の4角形の4隅に配置された三角形の形状を備える。第1電極層12Aは基板1の4角形の4隅に配置された三角形の形状を除く形状を備える。第3電極層16Kは、基板10の4角形の4隅に配置された第2電極層12K上に延在し、コンタクト部16Cにおいて第2電極層12Kと接続されている。
【0078】
また、
図19に示すように、第2導電層26Kは、基板10の4角形の4隅において、第3電極層16Kよりも基板10の外周側に延在し、かつ第2電極層12Kに接続されている。
【0079】
また、
図19に示すように、第2導電層26Kは、基板10の4角形の4隅において、第2半田層36Kを介して第2電極層12Kに接続されている。
【0080】
また、ループ状電極層は、
図16、
図19〜
図20に示すように、基板10の最外周に配置された第1電極層12A上に配置され、かつ基板10の4角形の4辺において第1電極層12A上に配置された第1半田層36Aにより形成されている。
【0081】
また、封止層18は、
図17、および
図19〜
図20に示すように、封止板18で形成されていても良い。
【0082】
また、封止層18は、
図18に示すように、封止膜19で形成されていても良い。
【0083】
また、封止層18は、接着層18aから伝わる熱を外部に放熱する機能を担っているので、熱伝導率の高いものが望ましい。
【0084】
また、第2の実施の形態に係る有機EL装置1においても、第1の実施の形態と同様に、基板10は透明基板で形成され、第3電極層16Kは金属層で形成されたボトムエミッション構成を備えていても良い。
【0085】
また、基板10は透明基板で形成され、第1電極層12Aおよび第3電極層16Kは透明電極で形成されたトップエミッションおよびボトムエミッション構成を備えていても良い。
【0086】
また、基板10は不透明基板で形成され、第1電極層12Aは金属層で形成され、第3電極層16Kは透明電極で形成されたトップエミッション構成を備えていても良い。
【0087】
また、第2導電層26Kは金属シートで形成され、絶縁層24は絶縁シートで形成されていても良い。
【0088】
また、
図19〜
図20に示すように、絶縁層24上に配置された均熱板32を備えていても良い。ここで、均熱板32は、例えば、アルミニウム(Al)で形成される。なお、均熱板32の代わりに、グラファイトシートを用いることもできる。
【0089】
なお、第2導電層26Kが、金属シートで形成され、かつ、金属シートの厚さが均熱効果が得られる程度まで厚く形成される場合には、均熱板32を省略することもできる。
【0090】
また、第2の実施の形態においても有機EL装置を複数備え、隣接する有機EL装置同士の第1電極層12Aと第2電極層12Kを互いに直列接続し、複数の有機EL装置を同一電流で駆動することもできる。
【0091】
第2の実施の形態においても各部の構成で第1の実施の形態の構成と重複する部分は、同様であるため、重複説明は省略する。
【0092】
(有機EL装置の製造方法)
第2の実施の形態に係る有機EL装置の製造方法は、
図21〜
図33に示すように表される。なお、
図21に示す第1電極層12Aおよび第2電極層12Kの平面パターン構成例は、製造方法の説明のため、簡単化されているが、
図16に示した第1電極層12Aおよび第2電極層12Kの平面パターン構成例と実質的に同様である。
【0093】
第1の実施の形態に係る有機EL装置の製造方法は、
図21〜
図33に示すように、基板10上に第1電極層12Aおよび第2電極層12Kを形成する工程と、第1電極層12A上に有機EL層14を形成する工程と、有機EL層14上に、第2電極層12Kと接続される第3電極層16Kを形成する工程と、第3電極層16K上に接着層18aを介して封止層18を形成する工程と、第1電極層12A上に第1半田層36A、第2電極層12K上に第2半田層36Kを形成する工程と、封止層18上に第2導電層26Kを形成する工程と、第2導電層26K上に絶縁層24を形成する工程とを有する。
【0094】
また、第2導電層26Kを形成する工程後、第2半田層36K上に第3半田層37Kを形成する工程を有する。さらに、第1半田層36Kおよび第2半田層36A上に被覆層30を形成する工程を有する。
【0095】
さらに、絶縁層24上に均熱板32を形成する工程を有していても良い。
【0096】
以下に、第1の実施の形態に係る有機EL装置の製造方法を詳述する。
【0097】
(a)まず、
図21〜
図22に示すように、基板10上に第1電極層12Aおよび第2電極層12Kをパターン形成する。
【0098】
(b)次に、
図23〜
図24に示すように、第1電極層12A上に有機EL層14をパターン形成する。
図23および
図24(a)に示すように、有機EL層14の端部は、第2電極層12K上にも延在するようにパターニングされている。
【0099】
(c)次に、
図25〜
図26に示すように、有機EL層14上に、第3電極層16Kをパターン形成する。第3電極層16Kは、基板10の4角形の4隅において、第2電極層12Kと接続するようにパターン形成されている。
【0100】
(d)次に、
図27〜
図28に示すように、第3電極層16K上に接着層18aを介して封止層18を形成する。封止層18は、封止膜19で形成されていても良い。
【0101】
(e)次に、
図29〜
図30に示すように、第1電極層12A上に第1半田層36A、第2電極層12K上に第2半田層36Kを形成する。ここで、第1半田層36Aおよび第2半田層36Kの形成工程は、自動化が容易である。
【0102】
(f)次に、
図31〜
図32に示すように、封止層18上に第2導電層26Kを形成する。
図32では図示を省略したが、封止層18上には、粘着剤20を介して第2導電層26Kを形成している。第2導電層26Kは、金属シートなどを適用する。その後、第2半田層36K上に第3半田層37Kを形成する。
【0103】
(g)次に、
図33に示すように、第2導電層26K上に絶縁層24を形成する。絶縁層24には、λゲルシートなどを適用する。
【0104】
(h)次に、
図19と同様に、第1半田層36Kおよび第2半田層36A上に被覆層30を形成後、絶縁層24上に均熱板32を形成する。
【0105】
第2の実施の形態に係る有機EL装置1においては、基板10として、例えば、ガラス基板またはプラスチック基板のどちらか若しくは各々を貼り合せた複板型有機EL照明パネル、または一方を封止膜19で封止した単板型有機EL照明パネルの構成において、パネル外周に各々複数設けられたプラス電極(陽極)とマイナス電極(陰極)の少なくともいずれか一方の電極同士を最外周に設けられたループ状電極にて基板10上で接続している。
【0106】
本発明の第2の実施の形態によれば、複数設けられた第2電極層12K、または第1電極層12Aの周囲電極の少なくともいずれか一方を、更にその外周部に設けたループ状電極にて、配線を用いることなく、接続することによって、少なくとも一方で配線の工程が省略され、作業と構造が簡単化され、量産工程での自動化が容易となる。
【0107】
本発明の第2の実施の形態によれば、均熱効果を保ちつつ、配線材料を不要にし、半田形成を自動化することができ、生産効率を高めることができる。
【0108】
(その他の実施の形態)
上記のように、本発明は第1の実施の形態およびその変形例、および第2の実施の形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述および図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例および運用技術が明らかとなろう。
【0109】
第1の実施の形態およびその変形例、および第2の実施の形態においては、四角形を基本パターンとする平面構造の有機ELパネルについて主として開示したが、これらに限定されるものではなく、有機ELパネル本体は、円筒構造、球体構造、フラーレン構造などであっても良い。また、有機ELパネルの基本パターンも四角形に限定されるものではなく、5角形、6角形、多角形、円形、楕円形、若しくはこれらの組み合わせパターンなどであっても良い。また、有機ELパネルは、ペンローズタイルのようなパターン構造として、配置されていても良い。
【0110】
このように、本発明はここでは記載していない様々な実施の形態等を含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。