【実施例】
【0039】
以下、本発明の実施例について比較例と併せて説明するが、本発明は下記の実施例に限定して解釈されるものではない。なお、以下の記載において、「部」は「重量部」を示す。
【0040】
<ポリエステル樹脂溶液a−1の作製方法>
撹拌器、温度計、流出用冷却機を装備した反応缶内に、ダイマージオール(クローダジャパン社製、プリポール2033、重量平均分子量:534)35部、セバシン酸(豊国製油社製)100部、1,4−ブタンジオール(和光純薬工業社製)40部、及びチタンテトライソプロポキシド(和光純薬工業社製)0.5部を仕込み、0.8kPaに減圧し、200℃で6時間重合を行った後、固形分濃度が50重量%になるようにトルエンで希釈して、ポリエステル樹脂溶液a−1を得た。
【0041】
<ポリエステル樹脂溶液a−2の作製方法>
ダイマージオールの配合量を17部、1,4−ブタンジオールの配合量を42部としたこと以外は、ポリエステル樹脂溶液a−1と同様にして、ポリエステル樹脂溶液a−2を得た。
【0042】
<ポリエステル樹脂溶液a−3の作製方法>
ダイマージオールの配合量を52部、1,4−ブタンジオールの配合量を38部としたこと以外は、ポリエステル樹脂溶液a−1と同様にして、ポリエステル樹脂溶液a−3を得た。
【0043】
<ポリエステル樹脂溶液a−4の作製方法>
ダイマージオールの配合量を8部、1,4−ブタンジオールの配合量を45部としたこと以外は、ポリエステル樹脂溶液a−1と同様にして、ポリエステル樹脂溶液a−4を得た。
【0044】
<ポリエステル樹脂溶液bの作製方法>
撹拌器、温度計、流出用冷却機を装備した反応缶内に、ダイマージオール(クローダジャパン社製、プリポール2033、重量平均分子量:534)100部、ダイマー酸(クローダジャパン社製、プリポール1009、重量平均分子量:566)99部、及びチタンテトライソプロポキシド(和光純薬工業社製)0.5部を仕込み、0.8kPaに減圧し、200℃で6時間重合を行った後、固形分濃度が50重量%になるようにトルエンで希釈して、ポリエステル樹脂溶液bを得た。
【0045】
<実施例1>
ポリエステル樹脂溶液a−1(固形分重量で100部)と、ポリイソシアネート系架橋剤であるデュラネートTPA−100(旭化成ケミカルズ社製)15部と、チタン系触媒であるTC750(マツモトファインケミカル社製)0.1部とを配合し、粘着剤溶液を得た。この粘着剤溶液を乾燥後の厚さが100μmになるように、剥離処理したポリエチレンテレフタレートフィルムの剥離処理面に塗布し、100℃で3分間乾燥することによって架橋させ、シートA−1を得た。別途、ポリエステル樹脂溶液b(固形分重量で100部)と、ポリイソシアネート系架橋剤であるデュラネートTPA−100(旭化成ケミカルズ社製)1.5部と、チタン系触媒であるTC750(マツモトファインケミカル社製)0.1部とを配合し、粘着剤溶液を得た。この粘着剤溶液を乾燥後の厚さが10μmになるように、剥離処理したポリエチレンテレフタレートフィルムの剥離処理面に塗布し、100℃で3分間乾燥することによって架橋させ、シートB−1を得た。次いで、シートA−1(中心層)の両面にシートB−1(外側層)をハンドローラーで貼り合せて積層し、更に50℃の雰囲気で3日間熟成させ、実施例1の粘着シートを得た。
【0046】
<実施例2>
ポリエステル樹脂溶液a−1(固形分重量で100部)と、ポリイソシアネート系架橋剤であるデュラネートTPA−100(旭化成ケミカルズ社製) 15部と、チタン系触媒であるTC750(マツモトファインケミカル社製)0.1部とを配合し、粘着剤溶液を得た。この粘着剤溶液を乾燥後の厚さが30μmになるように、剥離処理したポリエチレンテレフタレートフィルムの剥離処理面に塗布し、100℃で3分間乾燥することによって架橋させ、シートA−2を得た。別途、ポリエステル樹脂溶液b(固形分重量で100部)と、ポリイソシアネート系架橋剤であるデュラネートTPA−100(旭化成ケミカルズ社製)1.5部と、チタン系触媒であるTC750(マツモトファインケミカル社製)0.1部とを配合し、粘着剤溶液を得た。この粘着剤溶液を乾燥後の厚さが5μmになるように、剥離処理したポリエチレンテレフタレートフィルムの剥離処理面に塗布し、100℃で3分間乾燥することによって架橋させ、シートB−2を得た。次いで、シートA−2の両面にシートB−2をハンドローラーで貼り合せて積層し、更に50℃の雰囲気で3日間熟成させ、実施例2の粘着シートを得た。
【0047】
<実施例3>
ポリエステル樹脂溶液a−1(固形分重量で100部)と、ポリイソシアネート系架橋剤であるデュラネートTPA−100(旭化成ケミカルズ社製)15部と、チタン系触媒であるTC750(マツモトファインケミカル社製)0.1部とを配合し、粘着剤溶液を得た。この粘着剤溶液を乾燥後の厚さが200μmになるように、剥離処理したポリエチレンテレフタレートフィルムの剥離処理面に塗布し、100℃で3分間乾燥することによって架橋させ、シートA−3を得た。別途、ポリエステル樹脂溶液b(固形分重量で100部)と、ポリイソシアネート系架橋剤であるデュラネートTPA−100(旭化成ケミカルズ社製)1.5部と、チタン系触媒であるTC750(マツモトファインケミカル社製)0.1部とを配合し、粘着剤溶液を得た。この粘着剤溶液を乾燥後の厚さが30μmになるように、剥離処理したポリエチレンテレフタレートフィルムの剥離処理面に塗布し、100℃で3分間乾燥することによって架橋させ、シートB−3を得た。次いで、シートA−3の両面にシートB−3をハンドローラーで貼り合せて積層し、更に50℃の雰囲気で3日間熟成させ、実施例3の粘着シートを得た。
【0048】
<実施例4>
ポリエステル樹脂溶液a−2(固形分重量で100部)と、ポリイソシアネート系架橋剤であるデュラネートTPA−100(旭化成ケミカルズ社製)20部と、チタン系触媒であるTC750(マツモトファインケミカル社製)0.1部とを配合し、粘着剤溶液を得た。この粘着剤溶液を乾燥後の厚さが200μmになるように、剥離処理したポリエチレンテレフタレートフィルムの剥離処理面に塗布し、100℃で3分間乾燥することによって架橋させ、シートA−4を得た。別途、ポリエステル樹脂溶液b(固形分重量で100部)と、ポリイソシアネート系架橋剤であるデュラネートTPA−100(旭化成ケミカルズ社製)1.2部と、チタン系触媒であるTC750(マツモトファインケミカル社製)0.1部とを配合し、粘着剤溶液を得た。この粘着剤溶液を乾燥後の厚さが5μmになるように、剥離処理したポリエチレンテレフタレートフィルムの剥離処理面に塗布し、100℃で3分間乾燥することによって架橋させ、シートB−4を得た。次いで、シートA−4の両面にシートB−4をハンドローラーで貼り合せて積層し、更に50℃の雰囲気で3日間熟成させ、実施例4の粘着シートを得た。
【0049】
<実施例5>
ポリエステル樹脂溶液a−3(固形分重量で100部)と、ポリイソシアネート系架橋剤であるデュラネートTPA−100(旭化成ケミカルズ社製)13部と、チタン系触媒であるTC750(マツモトファインケミカル社製)0.1部とを配合し、粘着剤溶液を得た。この粘着剤溶液を乾燥後の厚さが100μmになるように、剥離処理したポリエチレンテレフタレートフィルムの剥離処理面に塗布し、100℃で3分間乾燥することによって架橋させ、シートA−5を得た。別途、ポリエステル樹脂溶液b(固形分重量で100部)と、ポリイソシアネート系架橋剤であるデュラネートTPA−100(旭化成ケミカルズ社製)2.5部と、チタン系触媒であるTC750(マツモトファインケミカル社製)0.1部とを配合し、粘着剤溶液を得た。この粘着剤溶液を乾燥後の厚さが10μmになるように、剥離処理したポリエチレンテレフタレートフィルムの剥離処理面に塗布し、100℃で3分間乾燥することによって架橋させ、シートB−5を得た。次いで、シートA−5の両面にシートB−5をハンドローラーで貼り合せて積層し、更に50℃の雰囲気で3日間熟成させ、実施例5の粘着シートを得た。
【0050】
<比較例1>
ポリエステル樹脂溶液b(固形分重量で100部)と、ポリイソシアネート系架橋剤であるデュラネートTPA−100(旭化成ケミカルズ社製)2.5部と、チタン系触媒であるTC750(マツモトファインケミカル社製)0.1部とを配合し、粘着剤溶液を得た。この粘着剤溶液を乾燥後の厚さが100μmになるように、剥離処理したポリエチレンテレフタレートフィルムの剥離処理面に塗布し、100℃で3分間乾燥することによって架橋させ、シートB−6を得た。次いで、得られたシートB−6を中心層とし、この両面に、実施例1で得られたシートB−1をハンドローラーで貼り合せて積層し、更に50℃の雰囲気で3日間熟成させ、比較例1の粘着シートを得た。
【0051】
<比較例2>
ポリエステル樹脂溶液b(固形分重量で100部)と、ポリイソシアネート系架橋剤であるデュラネートTPA−100(旭化成ケミカルズ社製)1.0部と、チタン系触媒であるTC750(マツモトファインケミカル社製)0.1部とを配合し、粘着剤溶液を得た。この粘着剤溶液を乾燥後の厚さが10μmになるように、剥離処理したポリエチレンテレフタレートフィルムの剥離処理面に塗布し、100℃で3分間乾燥することによって架橋させ、シートB−7を得た。次いで、実施例1で得られたシートA−1の両面に、シートB−7をハンドローラーで貼り合せて積層し、更に50℃の雰囲気で3日間熟成させ、比較例2の粘着シートを得た。
【0052】
<比較例3>
ポリエステル樹脂溶液a−3(固形分重量で100部)と、ポリイソシアネート系架橋剤であるデュラネートTPA−100(旭化成ケミカルズ社製)13部と、チタン系触媒であるTC750(マツモトファインケミカル社製)0.1部とを配合し、粘着剤溶液を得た。この粘着剤溶液を乾燥後の厚さが10μmになるように、剥離処理したポリエチレンテレフタレートフィルムの剥離処理面に塗布し、100℃で3分間乾燥することによって架橋させ、シートA−6を得た。次いで、実施例1で得られたシートA−1の両面にシートA−6をハンドローラーで貼り合せて積層し、更に50℃の雰囲気で3日間熟成させ、比較例3の粘着シートを得た。
【0053】
<比較例4>
実施例1で得られたシートB−1を、単層シートのまま50℃の雰囲気で3日間熟成させ、比較例4の粘着シートを得た。
【0054】
<比較例5>
実施例1で得られたシートA−1を、単層シートのまま50℃の雰囲気で3日間熟成させ、比較例5の粘着シートを得た。
【0055】
<比較例6>
ポリエステル樹脂溶液a−4(固形分重量で100部)と、ポリイソシアネート系架橋剤であるデュラネートTPA−100(旭化成ケミカルズ社製)15部と、チタン系触媒であるTC750(マツモトファインケミカル社製)0.1部とを配合し、粘着剤溶液を得た。この粘着剤溶液を乾燥後の厚さが100μmになるように、剥離処理したポリエチレンテレフタレートフィルムの剥離処理面に塗布し、100℃で3分間乾燥することによって架橋させ、シートA−7を得た。次いで、シートA−7の両面に実施例1で得られたシートB−1をハンドローラーで貼り合せて積層し、更に50℃の雰囲気で3日間熟成させ、比較例6の粘着シートを得た。
【0056】
上記シートA−1〜A−7及びシートB−1〜B−7、並びに実施例及び比較例の粘着シートについて、下記評価を行った。結果を表1に示す。
【0057】
<貯蔵弾性率G’>
乾燥後(架橋後)で積層前のシートA−1〜A−7及びシートB−1〜B−7について、それぞれ直径8mmφの円形状に切り抜いた後、ポリエチレンテレフタレートフィルムから剥がし、更に厚さが3mmになるように複数枚貼り合せて、測定サンプルを作製した。この測定サンプルを、パラレルプレート(せん断試験用)を用いて、Rheometric Scientific社製「Advanced Rheometric Expansion System(ARES)」により、周波数1Hz、測定範囲−70〜200℃、昇温速度5℃/分の条件で測定し、温度200℃における測定値を貯蔵弾性率G’とした。
【0058】
<ゲル分率>
乾燥後(架橋後)で積層前のシートA−1〜A−7及びシートB−1〜B−7について、それぞれ5cm×5cmのサイズで切り出した後、ポリエチレンテレフタレートフィルムから剥がし、更に0.2μm径の孔を有するポリテトラフルオロエチレンシート(日東電工社製、商品名「NTF1122」)に包んだ後、該ポリテトラフルオロエチレンシートの縁部を凧糸で縛り、その際の重量を測定し、該重量を浸漬前重量とした。つまり、該浸漬前重量は、粘着剤組成物層と、ポリテトラフルオロエチレンシートと、凧糸との総重量である。また、ポリテトラフルオロエチレンシートと凧糸との総重量も測定しておき、該重量を包袋重量とした。次に、上記ポリテトラフルオロエチレンシートで包んだ状態のサンプルを、トルエン(50mL)中に浸漬し、23℃にて7日間静置した。その後、上記サンプルを取り出して、アルミニウム製カップに移し、130℃で2時間乾燥してトルエンを除去した後、サンプルの重量を測定し、該重量を浸漬後重量とした。そして、下記の式からゲル分率を算出した。
ゲル分率(重量%)=(浸漬後重量−包袋重量)/(浸漬前重量−包袋重量)×100
【0059】
<粘着力>
各実施例及び比較例で得られた粘着シートの一方の面に、コロナ処理を施した厚さ25μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを貼り付けて、長さ110mm×幅20mmに切り出して、これを測定片とした。この測定片をステンレス鋼板に貼付し、測定片上で2kgのローラーを一往復させて圧着した後、JIS C 2107(180度引き剥がし法)に基づいて粘着力の測定を行なった。ただし、引張り速度は300mm/分とした。
【0060】
<耐熱保持性>
各実施例及び比較例で得られた粘着シートの一方の面に、厚さ90μmのアルミテープを貼付し、10mm×100mmに切り出して、これを測定片とした。この測定片の一方の先端から20mmをベークライト板(125mm×25mm、厚み2mm)に貼付し、貼付箇所上で5kgのローラーを一往復させて圧着し、80℃の雰囲気下で圧着直後から30分放置した後に、他方の先端に0.5kgの分銅をかけ、最低測定温度を60℃とし、昇温速度1℃/分の条件で昇温していき、貼付状態の保持が可能な最高温度(耐熱保持温度)を調べた。耐熱保持温度が高いほど耐熱保持性が良好であることを示す。なお、比較例2,3,5は、測定温度が60℃の段階で貼付状態の保持ができなかった。
【0061】
【表1】
【0062】
表1に示すように、本発明の実施例は、粘着力及び耐熱保持性のいずれもが良好な値を示した。一方、比較例は、粘着力及び耐熱保持性の少なくとも一方について、実施例に比べ顕著に劣る結果が得られた。