(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第3レンズ群は、物体側から像側に順に、正レンズ、負レンズ、正レンズの3枚のレンズからなることを特徴とする請求項1乃至請求項9の何れか1項に記載のズームレンズ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、特許文献1〜3に開示されたズームレンズは、変倍比が15倍以下と小さい。
【0013】
また、特許文献4に開示されたズームレンズは、望遠端での望遠比が大きく、変倍時、開口絞りが移動している。
【0014】
また、特許文献5に開示されたズームレンズも、望遠端での望遠比が大きい。
【0015】
本願発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、広角端画角、変倍比の確保と小型化の両立に有利なズームレンズを提供することを目的とするものである。さらには、そのようなズームレンズを備えた撮像装置の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題を解決するために、本発明に係るズームレンズは、以下のものである。
【0017】
本発明に係るズームレンズは、物体側から像側に順に、正の屈折力を有する第1レンズ群、負の屈折力を有する第2レンズ群、正の屈折力を有する第3レンズ群、負の屈折力を有する第4レンズ群、正の屈折力を有する第5レンズ群、を有し、前記第1レンズ群は少なくとも1枚の負レンズと少なくとも1枚の正レンズを有し、広角端から望遠端への変倍に際して、前記第1レンズ群と第2レンズ群の間隔、前記第3レンズ群と前記第4レンズ群の間隔、及び前記第4レンズ群と前記第5レンズ群の間隔は、それぞれ広角端よりも望遠端にて広がり、前記第2レンズ群と前記第3レンズ群の間隔は、広角端よりも望遠端にて狭まり、以下の条件式(1C)、(2C)、(3C)を満足することを特徴とする。
Vd1n<40 (1C)
80<Vd1p (2C)
θgF1n+0.00162Vd1n−0.6415<0 (3C)
ただし、
Vd1nは、前記第1レンズ群中の前記少なくとも1枚の負レンズのd線のアッベ数、
Vd1pは、前記第1レンズ群中の前記少なくとも1枚の正レンズのd線のアッベ数、
θgF1nは、g線とF線の部分分散比であり,
θgF1n=(ng1n−nF1n)/(nF1n−nC1n)
ここで、ng1n、nF1n、nC1nは、それぞれ前記第1レンズ群中の前記少なくとも1枚の負レンズのg線、F線、C線の屈折率
である。
【0018】
以下に、本発明のズームレンズにおいて、上記構成をとる理由と作用を説明する。
【0019】
正屈折力のレンズ群を最も物体側に配置した正先行タイプのズームレンズを採用することで、変倍比の確保に有利となり、広画角、高変倍比のズームレンズとしての好ましいレンズ群配置となる。主な変倍は第1レンズ群と第2レンズ群の間隔の変化と第2レンズ群と第3レンズ群の間隔の変化と第3レンズ群と第4レンズ群間の間隔の変化にて行うことができる。加えて、正屈折力の第5レンズ群を配置することにより、射出瞳の位置を適切に設定し、負屈折力の第4レンズ群の発散作用とも共同して第1レンズ群から第4レンズ群のサイズを小さくできる。そのため、小型なズームレンズを構成することに有利となる。
【0020】
また、広角端から望遠端への変倍に際しては、第1レンズ群と第2レンズ群の間隔を広角端よりも望遠端にて増大させることにより変倍を行っているが、第2レンズ群と第3レンズ群の間隔を広角端よりも望遠端にて減少させるように移動させることで、望遠端における入射瞳が深くなりすぎないように構成でき、ズームレンズの径の小型化に有利となる。
加えて、第2レンズ群と第3レンズ群間の変化により第3レンズ群での変倍機能を確保できる。
【0021】
さらに、広角端から望遠端への変倍時に、第3レンズ群と第4レンズ群の間隔、第4レンズ群と第5レンズ群の間隔のそれぞれを増加させることで、第3レンズ群よりも像側のレンズ系においても変倍機能を持たせることが出来るため、高変倍比化にいっそう有利となっている。
【0022】
また、第1レンズ群中の少なくとも1枚の負レンズ及び少なくとも1枚の正レンズが、条件式(1C)、条件式(2C)、及び条件式(3C)を満足することを特徴としている。この構成により、高倍率化、小型化した場合の色収差補正に有利となる。
【0023】
高変倍比化、すなわち、望遠端での長焦点距離化に伴い、第1レンズ群で発生する1次の色収差(軸上色収差、倍率色収差)、更に2次の色スペクトル(残存収差)の発生が大きくなりやすい。1次の色収差の補正のためには、第1レンズ群中の少なくとも1枚の負レンズに条件式(1C)で規定する高分散の材料を用いることが好ましい。そして、第1レンズ群中の少なくとも1枚の正レンズに条件式(2C)で規定する低分散の材料を用いることが好ましい。このとき、条件式(2C)を満足する材料は異常分散性が大きい材料となる。
【0024】
一方、小型化のため第1レンズ群の屈折力を高くする場合、各レンズの屈折力が高くなってくるため、2次の色スペクトルの発生が大きくなってくる。そこで、第1レンズ群中の負レンズが条件式(3C)を満足する部分分散比の材料とすることで2次の色スペクトルの補正に有利となる。
【0025】
条件式(1C)の上限値を上回らないようにすることで、第1レンズ群中の負レンズの分散を確保し、第1レンズ群の正レンズで発生する1次の色収差をキャンセルさせることに効果的となる。
【0026】
条件式(2C)の下限値を下回らないようにすることで、第1レンズ群中の正レンズの分散を小さくし、第1レンズ群の正レンズにおける1次の色収差の発生を小さくすることに効果的となる。
【0027】
条件式(3C)の上限を上回らないようにすることで、2次スペクトルの補正に有利となり、高倍率ズームの望遠端の高性能化に有利となる。
【0028】
条件式(3C)を満足することは材料が、株式会社OHARAのNSL7(νd=60.49、θgF=0.5436)、PBM2(νd=36.26、θgF=0.5828)のνd(d線のアッベ数)、θgF(g線、F線部分分散比)で定義される基準線に対して、部分分散比が小さいことを意味する。負レンズが条件式(1C)を満足するアッベ数の範囲内にて条件式(3C)を満足する小さい部分分散比の材料を用いることで色収差の補正効果を高めることができ好ましい。
【0029】
上述の発明にて、更に以下の構成のいずれか1つもしくは複数を同時に満足することがより好ましい。
【0030】
前記第1レンズ群中の前記少なくとも1枚の負レンズが、以下の条件式(4C)を満足することが好ましい。
1.80<Nd1n (4C)
ただし、
Nd1nは、前記第1レンズ群中の前記少なくとも1枚の負レンズのd線の屈折率
である。
【0031】
条件式(4C)は、第1レンズ群内における負レンズの材料の屈折率を特定する式である。条件式(4C)の下限を下回らないように屈折率を高くすることで、負レンズの曲率を小さくでき、特に望遠端における像面湾曲の収差低減に有利となる。
【0032】
また、前記第5レンズ群は、遠距離から近距離へのフォーカシング時に可動であり、且つ、以下の条件式(5C)を満足する少なくとも1枚の正レンズを有することが好ましい。
70<Vd5p (5C)
ただし、
Vd5pは、前記第5レンズ群中の前記少なくとも1枚の正レンズのd線のアッベ数
である。
【0033】
第5レンズ群を光軸方向に移動させてフォーカシングを行うことにより、フォーカシングに伴う諸収差の変動を比較的少なくすることができる。
【0034】
条件式(5C)はフォーカシング時の色収差の変動を抑えるための第5レンズ群の正レンズの好ましいアッベ数を特定するものである。第5レンズ群に関しては射出瞳を像面から離してバックフォーカスを確保するために、横倍率が小さくなりやすい。そのため、フォーカシングによる光軸上でのレンズ移動量が大きくなりやすく、特に望遠端におけるフォーカシングによる色収差の変動が生じやすい。したがって、第5レンズ群の正レンズに低分散の材料を用いることで、第5レンズ群単独での色収差を小さくし、フォーカシングによる色収差変動を小さくできる。
【0035】
条件式(5C)の下限を下回らないようにすることで、望遠端でのフォーカシングにおける色収差変動を小さくでき、高変倍比化と性能確保の両立に有利となる。
【0036】
また、以下の条件式(1A)を満足することが好ましい。
0.05<f1/ft<0.54 (1A)
ただし、
f1は、前記第1レンズ群の焦点距離、
ftは、前記ズームレンズの望遠端での焦点距離、
である。
【0037】
条件式(1A)の下限を下回らないように第1レンズ群の屈折力を抑えることで、望遠端での球面収差の補正に有利となる。
【0038】
条件式(1A)の上限を上回らないように第1レンズ群の屈折力を確保することで、望遠端における全系の全長を短くでき、小型化に有利となる。
【0039】
また、以下の条件式(2A)を満足することが好ましい。
−0.12<f2/ft<−0.01 (2A)
ただし、
f2は、前記第2レンズ群の焦点距離、
ftは、前記ズームレンズの望遠端での焦点距離、
である。
【0040】
また、条件式(2A)の下限を下回らないように第2レンズ群の屈折力を確保することで、ズーミング時の第2レンズ群の移動量を抑えられ、ズームレンズの全長の短縮化、小径化に有利となる。
【0041】
条件式(2A)の上限を上回らないように、第2レンズ群の屈折力を抑えることで、第2レンズ群で発生する像面湾曲と非点収差を低減できる。そのため、その収差を良好に補正するためのレンズ枚数や非球面数を節約でき、第2レンズ群の製造誤差による性能低下感度を小さくしやすくなる。
【0042】
以下の条件式(3A)を満足することが好ましい。
−0.30<f4/ft<−0.10 (3A)
ただし、
f4は、前記第4レンズ群の焦点距離、
である。
【0043】
高い変倍比を実現するために、広角端から望遠端への変倍時に、第3レンズ群と第4レンズ群の間隔及び第4レンズ群と第5レンズ群の間隔を増加させるように、少なくとも第4レンズ群、もしくは第4レンズ群及び第5レンズ群の両方のレンズ群を移動させている。
【0044】
小型化と光学性能の確保をいっそう確実にするためには上述の条件式(3A)を満足させるように第4レンズ群の屈折力を適切に設定することが好ましい。
【0045】
条件式(3A)の下限を下回らないようにすることで、広角側における像面湾曲を小さくしやすくなり、高い光学性能を維持することに有利となる。加えて、ズーミング時の第4レンズ群の移動量を小さくできるので小型化にいっそう有利となる。
【0046】
条件式(3A)の上限を上回らないようにすることで、望遠側における像面湾曲を小さくしやすくなり、ズーム全域での性能を確保することができる。
【0047】
また、前記第4レンズ群は、1枚の負レンズからなることが好ましい。
【0048】
第4レンズ群に関しては、ズーミング時の変倍作用の分担、ズーム全域での像面湾曲の補正を主に担わせることができる。色収差に関しては、負屈折力の第4レンズ群と正屈折力の第5レンズ群との組み合わせによりキャンセルすることが可能である。そのため、第4レンズ群は負レンズ1枚で構成しても、ズーム全域での収差補正が可能である。このように第4レンズ群を負レンズ1枚で構成することでズームレンズの沈胴収納時の小型化につながる。
【0049】
また、以下の条件式(4A)を満足することが好ましい。
0.5<Dt/ft<0.95 (4A)
ただし、
Dtは、望遠端における最も物体側のレンズ面の面頂から結像面までの距離、
である。
【0050】
条件式(4A)の下限を下回らないようにすることで、望遠端における各レンズ群の屈折力の過剰を抑えやすくなり、各レンズ群での収差補正に有利となる。そのため、レンズ枚数の低減や非球面数の低減に有利となり、コストの低減に有利となる。また、各レンズ群での偏心収差の効きも小さくなり好ましい。
【0051】
また、条件式(4A)の上限を上回らないようにすることで、広角端から望遠端の変倍時における各レンズ群の移動量が小さくなり、小型化に有利となる。
【0052】
さらに、前記第3レンズ群と前記第4レンズ群が、広角端よりも望遠端にて物体側に位置し、前記第5レンズ群は、広角端よりも望遠端にて像側に位置することが好ましい。
【0053】
高い変倍比を実現するために、広角端から望遠端への変倍時に、第3レンズ群と第4レンズ群の間隔及び第4レンズ群と第5レンズ群間隔を増加させるように、少なくとも第4レンズ群、もしくは第4レンズ群及び第5レンズ群の両方のレンズ群を移動させて、第4レンズ群と第5レンズ群の間隔を増加させることが好ましい。その場合、第5レンズ群を広角端よりも望遠端にて、像側へ移動するようにした方が、第4レンズ群の移動量が小さくなるので、小型化のために有利となる。
【0054】
また、前記第5レンズ群は、少なくとも1面の非球面を有することが好ましい。
【0055】
第5レンズ群は、広角端では射出瞳を適切に設定しながらバックフォーカスを確保するために、第4レンズ群に近い位置に配置させること、望遠端では変倍のため像側へ移動させることが良い。そのため、軸外光束は、広角端ではレンズの中心付近、望遠端ではレンズの周辺付近を通るように変化する。そこで、広角端から望遠端への収差変動を小さくするためには、第5レンズ群の少なくとも1面に非球面を用いることが好ましく、特に像面湾曲の変動を小さくするために望ましい。
【0056】
また、前記第3レンズ群は、物体から像側に順に、正レンズ、負レンズ、正レンズの3枚のレンズからなることが好ましい。
【0057】
第3レンズ群は、物体より順に正レンズ、負レンズ、正レンズから構成することが望ましく、第3レンズ群内での屈折力符号を対称的に配置することで収差補正上有利となる。加えて、正屈折力の第3レンズ群の主点と負屈折力の第4レンズ群との主点間隔を短くすることが出来るため、小型化にも有利となる。
【0058】
また、以下の条件式(1B)を満足することが好ましい。
10<ft/fw (1B)
ただし、
fwは、ズームレンズの広角端での焦点距離、
である。
【0059】
条件式(1B)の下限を下回らないように変倍比を確保することで、さまざまな撮影シーンに対応でき好ましい。
【0060】
また、前記第3レンズ群及び前記第4レンズ群は、広角端よりも望遠端にて物体側に位置するように移動し、前記第5レンズ群は、広角端よりも望遠端にて像側に位置するように移動し、以下の条件式(2B)及び条件式(3B)を満足することが好ましい。
0.1<Δ4Gd/Δ3Gd<0.72 (2B)
−3.0<Δ5Gd/fw<−0.16 (3B)
ただし、
Δ3Gd、Δ4Gd、Δ5Gdはそれぞれ第3レンズ群、第4レンズ群、第5レンズ群の広角端での位置に対する望遠端での位置の変位量であり、物体側方向への移動を正符号とし、
fwは、ズームレンズの広角端での焦点距離、
である。
【0061】
本発明では広角端から望遠端へのズーミング時に、第3レンズ群と第4レンズ群の間隔及び第4レンズ群と第5レンズ群の間隔を増加させている。このとき、第3レンズ群及び第4レンズ群を物体側に移動させ、第5レンズ群を像側に移動させることで、変倍比の確保に一層有利となる。
【0062】
このとき、上述の条件式(2B)と(3B)を満足することが好ましい。
【0063】
条件式(2B)を満足させて、第3レンズ群と第4レンズ群の広角端から望遠端へのズーミング時の移動量を適切にすることにより、高倍率比化と小型化の両立にいっそう有利となる。
【0064】
条件式(2B)の下限を下回らないように、広角端から望遠端における第3レンズ群の変位量に対する第4レンズ群の変位量を適度に確保することで、第4レンズ群の発散作用を確保しやすくなり、望遠端におけるバックフォーカスの確保や変倍比の確保に有利となる。
【0065】
また、条件式(2B)の上限を上回らないようにして、広角端から望遠端における第3レンズ群の変位量に対する第4レンズ群の変位量を適度に抑えるようにすることで、第4レンズ群の発散作用を抑えやすくなり、望遠端におけるバックフォーカスの過剰を抑えられ、小型化に有利となる。
【0066】
また、条件式(3B)を満足することにより、高倍率比化と小型化の両立にいっそう有利となる。
【0067】
条件式(3B)の下限を下回らないようにすることで、広角端側における像面湾曲を抑えやすくなり光学性能の維持につながる。
【0068】
また、条件式(3B)の上限を上回らないようにすることで、望遠端側における像面湾曲を抑えやすくなり、全変倍域での光学性能の確保につながる。加えて、ズーミング時の第5レンズ群の像側への移動量を確保することで、変倍時の第4レンズ群の移動量も小さくでき、小型化につながる。
【0069】
また、以下の条件式(4B)を満足することが好ましい。
1.5<Δβ3G<4.0 (4B)
ただし、
Δβ3G=β3t/β3wであり、
β3tは、前記第3レンズ群の広角端での横倍率、
β3wは、前記第3レンズ群の望遠端での横倍率、
である。
【0070】
条件式(4B)を満足することで、高変倍比化と小型化の両立にいっそう有利となる。
【0071】
条件式(4B)は広角端から望遠端までの変倍における第3レンズ群の変倍分担を適切に規定するものである。
【0072】
条件式(4B)の下限を下回らないようにして、第3レンズ群の変倍分担を確保することで、第2レンズ群の変倍負担を抑えられ、第2レンズ群の移動量の過剰を抑えられ、全長の短縮化及び第1レンズ群のレンズ径の縮小化に有利となる。
【0073】
条件式(4B)の上限を上回らないようにして、第3レンズ群の変倍負担を適度に抑えることで、第3レンズ群の移動量を抑えやすくなり、ズームレンズの沈胴時の薄型化につながる。加えて、望遠端での明るさの確保や変倍時における射出瞳位置の変動も抑えやすくなる。もしくは、第3レンズ群の屈折力を抑えやすくなり、第3レンズ群で発生する収差を小さくし易くなり結像性能の確保に有利となる。
【0074】
また、以下の条件式(5B)を満足することが好ましい。
−1.5<f4/fs<−0.2 (5B)
ただし、
f4は第4レンズ群の焦点距離、
fs=√(fw×ft)であり、
fwは、ズームレンズの広角端での焦点距離、
である。
【0075】
条件式(5B)を満足することで、高倍率化と小型化の達成にいっそう有利となる。
【0076】
条件式(5B)の下限を下回らないようにすることで、広角側における像面湾曲を小さくやすくなり、高い光学性能を維持することに有利となる。加えて、ズーミング時の第4レンズ群の移動量を小さくできるので小型化にいっそう有利となる。
【0077】
条件式(5B)の上限を上回らないようにすることで、望遠側における像面湾曲を小さくしやすくなり、ズーム全域での性能を確保することが困難となる。
【0078】
また、遠距離の物体から近距離の物体にフォーカシングする際に、前記第4レンズ群又は前記第5レンズ群の何れかが光軸方向に移動することが好ましい。
【0079】
このように構成することで、高倍率化と小型化を達成させる上で好ましい。フォーカシングのためのレンズ群を軽量にできると共に、フォーカシングに伴う諸収差の変動を比較的少なくすることができる。
【0080】
また、前記第3レンズ群の全部または一部が光軸に対して偏心移動することが好ましい。
【0081】
防振のためには、第3レンズ群の全部または一部を光軸に垂直な成分を持つように移動させて、結像位置を変化させるのが良く、偏心収差の変動を少なくできる。
【0082】
また、前記第3レンズ群の物体側直前に配置され、且つ前記第3レンズ群と一体で移動する明るさ絞りを有することが好ましい。
【0083】
ズームレンズの径サイズの小型化、射出瞳位置の最適化、光学性能の確保、駆動機構の簡略化のそれぞれのバランスを良好にできる。
【0084】
また、前記第1レンズ群、前記第3レンズ群、及び前記第4レンズ群は、広角端よりも望遠端にて物体側に位置し、前記第5レンズ群は、広角端よりも望遠端にて像側に位置することが好ましい。
【0085】
このように構成することで、全長の短縮化と変倍比の確保の両立に有利となる。
【0086】
また、前記第1レンズ群は、複数の正レンズと少なくとも1つの負レンズを含み多くとも3つのレンズ成分からなり、前記第2レンズ群は、複数の負レンズと少なくとも1つの正レンズを含み多くとも3つのレンズ成分からなり、前記第3レンズ群は、複数の正レンズと少なくとも1つの負レンズを含み多くとも3つのレンズ成分からなり、前記第4レンズ群は1つのレンズ成分からなり、前記第5レンズ群は1つのレンズ成分からなることが好ましい。
ただし、レンズ成分は、有効面のうち入射側面と射出側面の2面のみが空気と接触するレンズ体を意味する。
【0087】
このように構成することで、ズームレンズの沈胴時の小型化と各レンズ群に適した屈折力を確保した上での光学性能の確保に有利となる。
【0088】
さらに、上述のズームレンズは、光学像を電気信号に変換する撮像面を持つ撮像素子を備える撮像装置に適用することが好ましい。
【0089】
なお、ズームレンズがフォーカシング機能を備える場合は、特に断りが無い限り、最も遠距離の物体に合焦した状態での構成とする。
【0090】
また、上述の各構成は、複数を同時に満足することでその機能をより確実にでき好ましい。
【0091】
また、上述の条件式について、以下のように下限値又は上限値を設定することでその機能をより確実にでき好ましい。
【0092】
条件式(1A)について
下限値を0.1、さらには0.3とすることがより好ましい。
上限値を0.5、さらには0.45とすることがより好ましい。
【0093】
条件式(2A)について
下限値を−0.10、さらには−0.08とすることがより好ましい。
上限値を−0.03、さらには−0.04とすることがより好ましい。
【0094】
条件式(3A)について
下限値を−0.25、さらには−0.2とすることがより好ましい。
【0095】
条件式(4A)について
下限値を0.6、さらには0.7とすることがより好ましい。
上限値を0.90、さらには0.80とすることがより好ましい。
【0096】
条件式(1B)について
下限値を15、さらには20とすることがより好ましい。
上限値40を設け、これを上回らないようにして、望遠端での明るさ確保を行うことが好ましい。さらには上限値を30、さらには25とすることがより好ましい。
【0097】
条件式(2B)について
下限値を0.15、さらには0.18とすることがより好ましい。
上限値を0.7、さらには0.68とすることがより好ましい。
【0098】
条件式(3B)について
下限値を−2.0、さらには−1.0とすることがより好ましい。
上限値を−0.3、さらには−0.35とすることがより好ましい。
【0099】
条件式(4B)について
下限値を1.8、さらには2.2とすることがより好ましい。
上限値を3.5、さらには3.2とすることがより好ましい。
【0100】
条件式(5B)について
下限値を−1.2、さらには−0.9とすることがより好ましい。
上限値を−0.35、さらには−0.5とすることがより好ましい。
【0101】
条件式(1C)について
材料のコストを考慮し、下限値20を設け、これを上回らないようにすることが好ましい。
上限値を39、さらには38とすることがより好ましい。
【0102】
条件式(2C)について
下限値を81、さらには81.5とすることがより好ましい。
材料のコストを考慮し、上限値100を設け、これを上回らないようにすることが好ましい。
【0103】
条件式(3C)について
材料のコストを考慮し、下限値−0.007を設け、これを上回らないようにすることが好ましい。
上限値を−0.001、さらには−0.002とすることがより好ましい。
【0104】
条件式(4C)について
下限値を1.83、さらには1.9とすることがより好ましい。
材料のコストを考慮し、上限値2.5を設け、これを上回らないようにすることが好ましい。
【0105】
条件式(5C)について
下限値を75、さらには80とすることがより好ましい。
材料のコストを考慮し、上限値100を設け、これを上回らないようにすることが好ましい。
【発明の効果】
【0106】
本発明によれば、広角端画角、変倍比の確保と小型化の両立に有利なズームレンズおよびそれを備えた撮像装置を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0108】
以下に示す各実施例は、像面35mm判フィルムサイズで換算した焦点距離で広角端が24〜28mm程度、変倍比が22倍以上の広角・高変倍なズームレンズとなっている。
【0109】
また、フォーカシングは、第4レンズ群もしくは第5レンズ群のいずれかを光軸方向に移動させて行うことでオートフォーカス時の電力消費の低減や高速化を図っている。
【0110】
さらに、第3レンズ群を明るさ絞りと共に全体で偏心移動させて手振れによる画像ぶれを低減させるようにしてもよい。
【0111】
本発明の実施例1〜実施例3のズームレンズについて図を用いて説明する。
図1〜
図3は、本発明の実施例1〜実施例3のズームレンズを展開して光軸に沿ってとった断面図である。各図において(a)は広角端(WE)、(b)は中間状態(ST)、(c)は望遠端(TE)を示している。
【0112】
撮像面直前の2つの平板は、IRカットコートを施したローパスフィルターFと、撮像素子のカバーガラスCである。
【0113】
図1は、実施例1のズームレンズの断面図である。
【0114】
実施例1のズームレンズは、
図1に示すように物体側から像側に順に、正屈折力の第1レンズ群G1、負屈折力の第2レンズ群G2、正屈折力の第3レンズ群G3、負屈折力の第4レンズ群G4、正屈折力の第5レンズ群G5にて構成されている。図中、Sは明るさ絞り、Fはローパスフィルター、Cはカバーガラス、Iは像面を示している。
【0115】
第1レンズ群G1は、物体側から像側に順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL11と、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL12と、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL13と、からなる。
【0116】
第2レンズ群G2は、物体側から像側に順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL21と、像側に凸面を向けた負メニスカスレンズL22と、両凸正レンズL23と、からなる。
【0117】
第3レンズ群G3は、物体側から像側に順に、両凸正レンズL31と、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL32と両凸正レンズL33の接合レンズSU31と、からなる。また、第3レンズ群G3の物体側には、明るさ絞りSが配置される。
【0118】
第4レンズ群G4は、1枚の両凹負レンズL41からなる。
【0119】
第5レンズ群G5は、1枚の両凸正レンズL51からなる。
【0120】
この実施例1のズームレンズの動作について説明する。ズーム動作において、第1レンズ群G1、第2レンズ群G2、第3レンズ群G3、第4レンズ群G4、及び第5レンズ群G5は、それぞれ独立して移動する。
【0121】
次に、広角端から望遠端へと変倍する際の各レンズ群それぞれの動きについて説明する。
【0122】
第1レンズ群G1は、広角端から望遠端まで、第2レンズ群G2との間隔を広げ、物体側にのみ移動する。
【0123】
第2レンズ群G2は、広角端から広角側変化点まで、第1レンズ群G1との間隔を広げ、第3レンズ群G3との間隔を狭めながら像側へ移動し、広角側変化点から望遠側変化点まで、第1レンズ群G1との間隔を広げ、第3レンズ群G3との間隔を狭めながら物体側へ移動し、望遠側変化点から望遠端まで、第1レンズ群G1との間隔を広げ、第3レンズ群G3との間隔を狭めながら像側へ移動する。望遠端では広角端よりも像側に位置する。
【0124】
第3レンズ群G3は、明るさ絞りSと共に、広角端から望遠側変化点まで、第2レンズ群G2との間隔を狭め、第4レンズ群G4との間隔を広げながら物体側へ移動し、望遠側変化点から望遠端まで、第2レンズ群G2との間隔を狭め、第4レンズ群G4との間隔を狭めながら物体側へ移動する。
【0125】
第4レンズ群G4は、広角端から望遠側変化点まで、第3レンズ群G3との間隔を広げ、第5レンズ群G5との間隔を広げながら物体側へ移動し、望遠側変化点から望遠端まで、第3レンズ群G3との間隔を狭め、第5レンズ群G5との間隔を広げながら物体側へ移動する。
【0126】
第5レンズ群G5は、広角端から望遠側変化点まで、第4レンズ群G4との間隔を広げ、像面との間隔を狭めながら像側へ移動し、望遠側変化点から望遠端まで、第4レンズ群G4との間隔を広げ、像面との間隔を広げながら物体側へ移動する。望遠端では広角端よりも像側に位置する。
【0127】
非球面は、第2レンズ群G2の像側に凸面を向けた負メニスカスレンズL22の両面r9,r10、第3レンズ群G3の両凸正レンズL31の両面r14,r15、第4レンズ群G4の両凹負レンズL41の物体側の両面r19,r20、及び第5レンズ群G5の両凸正レンズL51の両面r21,r22の7面である。
【0128】
図2は、実施例2のズームレンズの断面図である。
【0129】
実施例2のズームレンズは、
図2に示すように物体側から像側に順に、正屈折力の第1レンズ群G1、負屈折力の第2レンズ群G2、正屈折力の第3レンズ群G3、負屈折力の第4レンズ群G4、正屈折力の第5レンズ群G5にて構成されている。図中、Cは明るさ絞り、Fはローパスフィルター、Cはカバーガラス、Iは像面を示している。
【0130】
第1レンズ群G1は、物体側から像側に順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL11と、両凸正レンズL12と、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL13と、からなる。
【0131】
第2レンズ群G2は、物体側から像側に順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL21と、両凹負レンズL22と、両凸正レンズL23と、からなる。
【0132】
第3レンズ群G3は、物体側から像側に順に、両凸正レンズL31と、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL32と両凸正レンズL33の接合レンズSU31と、からなる。また、第3レンズ群G3の物体側には、明るさ絞りSが配置される。
【0133】
第4レンズ群G4は、1枚の両凹負レンズL41からなる。
【0134】
第5レンズ群G5は、1枚の両凸正レンズL51からなる。
【0135】
この実施例2のズームレンズの動作について説明する。ズーム動作において、第1レンズ群G1、第2レンズ群G2、第3レンズ群G3、第4レンズ群G4、及び第5レンズ群G5は、それぞれ独立して移動する。
【0136】
次に、広角端から望遠端へと変倍する際の各レンズ群それぞれの動きについて説明する。
【0137】
第1レンズ群G1は、広角端から望遠端まで、第2レンズ群G2との間隔を広げ、物体側にのみ移動する。
【0138】
第2レンズ群G2は、広角端から中間状態まで、第1レンズ群G1との間隔を広げ、第3レンズ群G3との間隔を狭めながら像側へ移動し、中間状態から望遠端まで、第1レンズ群G1との間隔を広げ、第3レンズ群G3との間隔を狭めながら物体側へ移動する。望遠端では広角端よりも像側に位置する。
【0139】
第3レンズ群G3は、明るさ絞りSと共に、広角端から望遠側変化点まで、第2レンズ群G2との間隔を狭め、第4レンズ群G4との間隔を広げながら物体側へ移動し、望遠側変化点から望遠端まで、第2レンズ群G2との間隔を狭め、第4レンズ群G4との間隔を狭めながら物体側へ移動する。
【0140】
第4レンズ群G4は、広角端から望遠側変化点まで、第3レンズ群G3との間隔を広げ、第5レンズ群G5との間隔を広げながら物体側へ移動し、望遠側変化点から望遠端まで、第3レンズ群G3との間隔を狭め、第5レンズ群G5との間隔を広げながら物体側へ移動する。
【0141】
第5レンズ群G5は、広角端から望遠側変化点まで、第4レンズ群G4との間隔を広げ、像面との間隔を狭めながら像側へ移動し、望遠側変化点から望遠端まで、第4レンズ群G4との間隔を広げ、像面との間隔を広げながら物体側へ移動する。望遠端では広角端よりも像側に位置する。
【0142】
非球面は、第2レンズ群G2の両凹負レンズL22の両面r9,r10、第3レンズ群G3の両凸正レンズL31の両面r14,r15、及び第5レンズ群G5の両凸正レンズL51の両面r21,r22の6面である。
【0143】
図3は、実施例3のズームレンズの断面図である。
【0144】
実施例3のズームレンズは、
図3に示すように物体側から像側に順に、正屈折力の第1レンズ群G1、負屈折力の第2レンズ群G2、正屈折力の第3レンズ群G3、負屈折力の第4レンズ群G4、正屈折力の第5レンズ群G5にて構成されている。図中、Cは明るさ絞り、Fはローパスフィルター、Cはカバーガラス、Iは像面を示している。
【0145】
第1レンズ群G1は、物体側から像側に順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL11と、両凸正レンズL12と、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL13と、からなる。
【0146】
第2レンズ群G2は、物体側から像側に順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL21と、両凹負レンズL22と、物体側に凸面を向けた平凸正レンズL23と、からなる。
【0147】
第3レンズ群G3は、物体側から像側に順に、両凸正レンズL31と、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL32と両凸正レンズL33の接合レンズSU31と、からなる。また、第3レンズ群G3の物体側には、明るさ絞りSが配置される。
【0148】
第4レンズ群G4は、1枚の両凹負レンズL41からなる。
【0149】
第5レンズ群G5は、1枚の両凸正レンズL51からなる。
【0150】
この実施例3のズームレンズの動作について説明する。ズーム動作において、第1レンズ群G1、第2レンズ群G2、第3レンズ群G3、第4レンズ群G4、及び第5レンズ群G5は、それぞれ独立して移動する。
【0151】
次に、広角端から望遠端へと変倍する際の各レンズ群それぞれの動きについて説明する。
【0152】
第1レンズ群G1は、広角端から望遠端まで、第2レンズ群G2との間隔を広げ、物体側にのみ移動する。
【0153】
第2レンズ群G2は、広角端から中間状態まで、第1レンズ群G1との間隔を広げ、第3レンズ群G3との間隔を狭めながら像側へ移動し、中間状態から望遠側変化点まで、第1レンズ群G1との間隔を広げ、第3レンズ群G3との間隔を狭めながら物体側へ移動し、望遠側変化点から望遠端まで、第1レンズ群G1との間隔を広げ、第3レンズ群G3との間隔を狭めながら像側へ移動する。望遠端では広角端よりも像側に位置する。
【0154】
第3レンズ群G3は、明るさ絞りSと共に、広角端から望遠側変化点まで、第2レンズ群G2との間隔を狭め、第4レンズ群G4との間隔を広げながら物体側へ移動し、望遠側変化点から望遠端まで、第2レンズ群G2との間隔を狭め、第4レンズ群G4との間隔を狭めながら物体側へ移動する。
【0155】
第4レンズ群G4は、広角端から望遠側変化点まで、第3レンズ群G3との間隔を広げ、第5レンズ群G5との間隔を広げながら物体側へ移動し、望遠側変化点から望遠端まで、第3レンズ群G3との間隔を狭め、第5レンズ群G5との間隔を広げながら物体側へ移動する。
【0156】
第5レンズ群G5は、広角端から望遠側変化点まで、第4レンズ群G4との間隔を広げ、像面との間隔を狭めながら像側へ移動し、望遠側変化点から望遠端まで、第4レンズ群G4との間隔を広げ、像面との間隔を広げながら物体側へ移動する。望遠端では広角端よりも像側に位置する。
【0157】
非球面は、第2レンズ群G2の両凹負レンズL22の両面r9,r10、第3レンズ群G3の両凸正レンズL31の両面r14,r15、及び第5レンズ群G5の両凸正レンズL51の両面r21,r22の6面である。
【0158】
以下に上記実施例1〜実施例3の各種数値データ(面データ、非球面データ、可変間隔データ、各種データ1、各種データ2)を示す。
【0159】
面データには、面番号毎に各レンズ面(光学面)の曲率半径r、面間隔d、各レンズ(光学媒質)のd線(587.6nm)に対する屈折率nd、各レンズ(光学媒質)のd線のアッベ数νdが示されている。曲率半径r、面間隔dの単位はいずれもミリメートル(mm)である。面データ中、曲率半径に記載する“∞”は、無限大(平面)であることを示している。
【0160】
非球面データには、面データ中、非球面形状としたレンズ面に関するデータが示されている。非球面形状は、xを光の進行方向を正とした光軸とし、yを光軸と直交する方向にとると下記の式にて表される。
x=(y
2/r)/[1+{1−(1+K)・(y/r)
2}
1/2]
+A4y
4+A6y
6+A8y
8+A10y
10…
【0161】
ただし、rは近軸曲率半径、Kは円錐係数、A4、A6、A8、A10はそれぞれ4次、6次、8次、10次の非球面係数である。なお、記号“E”は、それに続く数値が10を底にもつ、べき指数であることを示している。例えば「1.0E−5」は「1.0×10
-5」であることを意味している。
【0162】
各種データ1には、広角端(WE)、広角側変化点(CW)、中間(ST)、望遠側変化点(CT)、望遠端(TE)における各種ズームデータが示されている。ズームデータとしては、焦点距離、Fナンバー(Fno)、画角(2ω)、像高、バックフォーカス(BF)、可変する面間隔dが示されている。各種データ2には、第1〜第5レンズ群における焦点距離f1〜f5が示されている。
【0163】
数値実施例1
面番号 r d nd νd
1 33.931 0.9 1.834 37.16
2 20.223 0.1
3 20.002 3.65 1.497 81.54
4 332.406 0.1
5 24.19 2.41 1.497 81.54
6 180.53 D6(可変)
7 142.18 0.45 1.883 40.76
8 5.638 3.27
9(非球面) -10.443 0.4 1.77377 47.17
10(非球面) -1896.873 0.17
11 40.83 1.47 1.94595 17.98
12 -26.621 D12(可変)
13(絞り) ∞ 0
14(非球面) 6.051 2.36 1.58313 59.38
15(非球面) -260.21 1.09
16 15.169 0.53 1.91082 35.25
17 3.916 2.41 1.58313 59.38
18 -57.176 D18(可変)
19(非球面) -32.754 0.4 1.5311 55.91
20(非球面) 10.593 D20(可変)
21(非球面) 16.011 2.37 1.497 81.54
22(非球面) -14.463 D22(可変)
23 ∞ 0.3 1.51633 64.14
24 ∞ 0.5
25 ∞ 0.5 1.51633 64.14
26 ∞ 0.37
像面 ∞
非球面係数
第9面
K=0.000,A4=1.34E-04,A6=-2.22E-06,A8=-8.39E-07,A10=-9.98E-09,A12=8.07E-10
第10面
K=0.000,A4=-7.32E-05,A6=-8.60E-06,A8=-2.88E-07,A10=-8.78E-09,A12=5.81E-10
第14面
K=0.000,A4=-2.03E-04,A6=5.17E-06,A8=-1.61E-06,A10=1.70E-07,A12=-3.90E-09
第15面
K=0.000,A4=2.30E-04,A6=1.22E-05,A8=-2.57E-06,A10=3.54E-07,A12=-1.08E-08
第18面
K=0.000,A4=8.88E-05,A6=5.46E-06,A8=-7.67E-07,A10=-1.14E-07,A12=7.11E-09
第19面
K=0.000,A4=4.87E-05,A6=2.87E-05,A8=-5.35E-07,A10=-2.15E-07,A12=1.77E-08
第20面
K=0.000,A4=1.67E-04,A6=8.83E-06,A8=1.85E-06,A10=-1.45E-07,A12=-1.78E-09
第21面
K=0.000,A4=1.19E-04,A6=-1.42E-05,A8=1.50E-06,A10=-7.71E-08,A12=1.54E-09
第22面
K=0.000,A4=2.34E-04,A6=-2.00E-05,A8=1.71E-06,A10=-8.32E-08,A12=1.65E-09
各種データ1
ズームデータ
ズーム倍率 23.01
WE CW ST CT TE
焦点距離 4.55 9.56 21.3 49.9 104.69
FNO. 3.03 3.8 5.02 6.99 7.12
画角2ω(゜) 88.75 43.11 19.93 8.68 4.18
像高 3.86 3.86 3.86 3.86 3.86
D6 0.31 6.27 13.74 20 26.15
D12 21.21 12.12 7.48 4.5 1.35
D18 1.8 5.93 11.13 14.91 12.93
D20 1.9 2.49 4.87 9.75 12.61
D22 7.92 7.42 5.51 3.1 3.5
fb (in air)
全長 (in air)
各種データ2
各群焦点距離
f1 41.11
f2 -6.23
f3 11.13
f4 -15.02
f5 15.69
【0164】
数値実施例2
面番号 r d nd νd
1 45.622 1 1.91082 35.25
2 25.376 0.1
3 26.504 3.35 1.497 81.54
4 -202.144 0.15
5 20.762 2.72 1.497 81.54
6 103.805 D6(可変)
7 67.214 0.4 1.883 40.76
8 5.625 3.05
9(非球面) -9.891 0.45 1.7425 49.27
10(非球面) 31.018 0.36
11 20.003 1.45 1.94595 17.98
12 -48.069 D12(可変)
13(絞り) ∞ 0.3
14(非球面) 7.119 2.7 1.58313 59.46
15(非球面) -57.504 0.94
16 22.237 0.84 1.90366 31.32
17 5.353 2.4 1.51633 64.14
18 -10.877 D18(可変)
19 -31.402 0.4 1.51633 64.14
20 9.037 D20(可変)
21(非球面) 19.309 2.5 1.4971 81.56
22(非球面) -12.531 D22(可変)
23 ∞ 0.3 1.51633 64.14
24 ∞ 0.5
25 ∞ 0.5 1.51633 64.14
26 ∞ 0.53
像面 ∞
非球面係数
第9面
K=0.000,A4=1.29E-05,A6=1.45E-05,A8=-2.67E-06,A10=7.32E-08
第10面
K=0.000,A4=-7.60E-05,A6=1.28E-05,A8=-2.05E-06,A10=6.34E-08
第14面
K=0.000,A4=-2.65E-04,A6=1.33E-05,A8=-1.55E-06,A10=4.80E-08
第15面
K=0.000,A4=3.01E-04,A6=1.59E-05,A8=-2.08E-06,A10=7.30E-08
第21面
K=0.000,A4=3.59E-05,A6=-3.30E-05,A8=1.47E-06,A10=-2.92E-08
第22面
K=0.000,A4=2.99E-04,A6=-4.04E-05,A8=1.63E-06,A10=-2.87E-08
各種データ1
ズームデータ
ズーム倍率 23.00
WE CW ST CT TE
焦点距離 4.55 9.26 21.1 50.06 104.67
FNO. 3.05 3.99 5.12 6.36 7
画角2ω(゜) 89.03 44.73 20.05 8.62 4.15
像高 3.86 3.86 3.86 3.86 3.86
D6 0.31 5.05 13.23 21.73 26.7
D12 17.18 10.03 5.43 3.32 0.9
D18 3.54 6.34 10.48 11.61 9.68
D20 2.37 5.51 7.02 10.55 15.16
D22 5.25 4.36 3.06 0.74 1.04
fb (in air)
全長 (in air)
各種データ2
各群焦点距離
f1 40.75
f2 -5.66
f3 10.11
f4 -13.55
f5 15.7
【0165】
数値実施例3
面番号 r d nd νd
1 50.685 1 1.91082 35.25
2 27.784 0.1
3 28.551 3.25 1.497 81.61
4 -139.32 0.15
5 22.304 2.3 1.497 81.61
6 92.726 D6(可変)
7 39.991 0.4 1.883 40.76
8 6.211 2.95
9(非球面) -9.818 0.4 1.7432 49.34
10(非球面) 23.762 0.3
11 14.946 1.53 1.94595 17.98
12 ∞ D12(可変)
13(絞り) ∞ 0
14(非球面) 7.032 2.5 1.58913 61.25
15(非球面) -239.72 0.8
16 25.427 0.4 1.91082 35.25
17 5.2 2.8 1.58313 59.38
18 -11.329 D18(可変)
19 -48.598 0.6 1.6223 53.17
20 8.436 D20(可変)
21(非球面) 20.654 2.6 1.497 81.61
22(非球面) -11.917 D22(可変)
23 ∞ 0.3 1.51633 64.14
24 ∞ 0.5
25 ∞ 0.5 1.51633 64.14
26 ∞ 0.37
像面 ∞
非球面係数
第9面
K=0.000,A4=1.34E-08,A6=-1.20E-07,A8=5.83E-08
第10面
K=0.000,A4=5.17E-05,A6=6.68E-06,A8=-3.99E-08
第14面
K=0.000,A4=-2.29E-04,A6=3.34E-06,A8=-1.08E-07
第15面
K=0.000,A4=3.32E-04,A6=5.81E-07,A8=-6.10E-08
第21面
K=0.000,A4=3.17E-05,A6=2.81E-12
第22面
K=0.000,A4=2.47E-04,A6=3.25E-07,A8=-6.58E-08
各種データ1
ズームデータ
ズーム倍率 23.04
WE CW ST CT TE
焦点距離 4.59 9.55 19.73 45.12 105.77
FNO. 3.33 4.37 5.29 6.64 6.61
画角2ω(゜) 88.04 43.14 21.29 9.47 4.06
像高 3.86 3.86 3.86 3.86 3.86
D6 0.3 6.31 14.27 21.51 29
D12 19.68 12.43 7.8 4.24 1.2
D18 4.21 6.03 8.89 11.99 10.15
D20 2.27 6.36 7.64 9.8 11.84
D22 5.01 4.6 3.81 3 3.24
fb (in air)
全長 (in air)
各種データ2
各群焦点距離
f1 43.13
f2 -5.83
f3 10.04
f4 -11.5
f5 15.62
【0166】
図4〜
図6は、実施例1〜実施例3における(a)広角端(WE)、(b)中間(ST)、(c)望遠端(TE)での無限物点における諸収差図である。
【0167】
これら諸収差図において、SAは球面収差、ASは非点収差、DTは歪曲収差、CCは倍率色収差を示す。球面収差SAは、587.6nm(d線:実線)、435.8nm(g線:破線)、656.3nm(C線:点線)の各波長について示されている。また、倍率色収差CCは、d線を基準としたときの435.8nm(g線:破線)、656.3nm(C線:点線)の各波長について示されている。また、非点収差DTは、実線がサジタル像面、破線がメリジオナル像面のものを示している。なお、FNOはFナンバーを、FIYは最大像高を示す。
【0168】
上記実施例1〜3について、各条件式(1A)〜(4A)、(1B)〜(5B)、及び(1C)〜(5C)の値を以下に示しておく。
【0169】
実施例1 実施例2 実施例3
条件式(1A) 0.39 0.39 0.41
条件式(2A) -0.06 -0.05 -0.06
条件式(3A) -0.14 -0.13 -0.11
条件式(4A) 0.77 0.75 0.75
条件式(1B) 23.01 23.02 22.98
条件式(2B) 0.36 0.58 0.57
条件式(3B) -0.97 -0.93 -0.39
条件式(4B) 2.77 2.28 2.42
条件式(5B) -0.69 -0.62 -0.52
条件式(1C) 37.16 35.25 35.25
条件式(2C) 81.54 81.54 81.61
条件式(3C) -0.0037 -0.0023 -0.0023
該当ガラス名 OHARA S-LAH60 HOYA TAFD35 HOYA TAFD35
θgF1n(部分分散比) 0.5776 0.5821 0.5821
条件式(4C) 1.83400 1.91082 1.91082
条件式(5C) 81.54 81.56 81.61
【0170】
各実施例にて、以下の構成としてもよい。
【0171】
本実施例のズームレンズは矩形の光電変換面上に広角端では樽型の歪曲収差が発生する。一方、中間焦点距離状態付近や望遠端では歪曲収差の発生が抑えられる。歪曲収差を電気的に補正するために、有効撮像領域は、広角端では樽型形状とし、中間焦点距離状態や望遠端では矩形の形状となるようにすると良い。そして、あらかじめ設定した有効撮像領域を画像処理により画像変換し、歪みを低減させた矩形の画像情報に変換する。広角端での像高IHwは、中間焦点距離状態の像高IHsや望遠端での像高IHtよりも小さくなるようにしている。
【0172】
図7に示すように、光軸と撮像面との交点を中心として有効撮像面の長辺に内接する半径Rの円周上(像高)での倍率を固定し、この円周を補正の基準とする。そして、それ以外の任意の半径r(ω)の円周上(像高)の各点を略放射方向に移動させて、半径r'(ω)となるように同心円状に移動させることで補正する。
【0173】
例えば、
図7において、半径Rの円の内側に位置する任意の半径r
1(ω)の円周上の点P
1は、円の中心に向けて補正すべき半径r
1'(ω)円周上の点P
2に移動させる。また、半径Rの円の外側に位置する任意の半径r
2(ω)円周上の点Q
1は、円の中心から離れる方向に向けて補正すべき半径r
2'(ω)円周上の点Q
2に移動させる。ここで、r'(ω)は次のように表わすことができる。
r'(ω)=αftanω (0≦α≦1)
ただし、ωは被写体半画角、fは結像光学系(本発明では、ズームレンズ)の焦点距離である。
【0174】
ここで、前記半径rの円上(像高)に対応する理想像高をYとすると、
α=R/Y=R/ftanω
となる。
【0175】
光学系は、理想的には、光軸に対して回転対称であり、すなわち歪曲収差も光軸に対して回転対称に発生する。したがって、上述のように、光学的に発生した歪曲収差を電気的に補正する場合には、再現画像上で光軸と撮像面との交点を中心とした有効撮像面の長辺に内接する半径Rの円の円周上(像高)の倍率を固定して、それ以外の半径r(ω)の円周上(像高)の各点を略放射方向に移動させて、半径r'(ω)となるように同心円状に移動させることで補正することができれば、データ量や演算量の点で有利と考えられる。
【0176】
ところが、光学像は、電子撮像素子で撮像された時点で(サンプリングのため)連続量ではなくなる。したがって、厳密には光学像上に描かれる上記半径Rの円も、電子撮像素子上の画素が放射状に配列されていない限り正確な円ではなくなる。つまり、離散的座標点毎に表わされる画像データの形状補正においては、上記倍率を固定できる円は存在しない。そこで、各画素(X
i,Y
j)毎に、移動先の座標(X'
i,Y'
j)を決める方法を用いるのがよい。なお、座標(X'
i,Y'
j)に(X
i,Y
j)の2点以上が移動してきた場合には、各画素が有する値の平均値をとる。また、移動してくる点がない場合には、周囲のいくつかの画素の座標(X'
i,Y'
j)の値を用いて補間すればよい。
【0177】
このような方法は、特にズームレンズが有する電子撮像装置において光学系や電子撮像素子の製造誤差等のために光軸に対して歪みが著しく、前記光学像上に描かれる上記半径Rの円が非対称になった場合の補正に有効である。また、撮像素子あるいは各種出力装置において信号を画像に再現する際に幾何学的歪み等が発生する場合等の補正に有効である。
【0178】
本発明の電子撮像装置では、補正量r'(ω)−r(ω)を計算するために、r(ω)すなわち半画角と像高との関係、あるいは、実像高rと理想像高r'/αとの関係が、電子撮像装置に内蔵された記録媒体に記録されている構成としてもよい。
【0179】
なお、歪曲補正後の画像が短辺方向の両端において光量が極端に不足することのないようにするには、前記半径Rが、次の条件式を満足するのがよい。
0≦R≦0.6L
s
ただし、L
sは有効撮像面の短辺の長さである。
【0180】
好ましくは、前記半径Rは、次の条件式を満足するのがよい。
0.3L
s≦R≦0.6L
s
さらには、前記半径Rは、略有効撮像面の短辺方向の内接円の半径に一致させるのが最も有利である。なお、半径R=0の近傍、すなわち、軸上近傍において倍率を固定した補正の場合は、実質画素数の面で若干の不利があるが、広角化しても小型化にするための効果は確保できる。
【0181】
なお、補正が必要な焦点距離区間については、いくつかの焦点ゾーンに分割する。そして、該分割された焦点ゾーン内の望遠端近傍で略
r'(ω)=αftanω
を満足する補正結果が得られる場合と同じ補正量で補正してもよい。ただし、その場合、分割された焦点ゾーン内の広角端において樽型歪曲量がある程度残存してしまう。また、分割ゾーン数を増加させてしまうと、補正のために必要な固有データを記録媒体に余計に保有する必要が生じあまり好ましくない。そこで、分割された焦点ゾーン内の各焦点距離に関連した1つ又は数個の係数を予め算出しておく。この係数は、シミュレーションや実機による測定に基づいて決定しておけばよい。そして、前記分割されたゾーン内の望遠鏡近傍で略
r'(ω)=αftanω
を満足する補正結果が得られる場合の補正量を算出し、この補正量に対して焦点距離毎に前記係数を一律に掛けて最終的な補正量にしてもよい。
【0182】
ところで、無限遠物体を結像させて得られた像に歪曲がない場合は、
f=y/tanω
が成立する。ただし、yは像点の光軸からの高さ(像高)、fは結像系(本発明ではズームレンズ)の焦点距離、ωは撮像面上の中心からyの位置に結ぶ像点に対応する物点方向の光軸に対する角度(被写体半画角)である。
【0183】
結像系に樽型の歪曲収差がある場合は、
f>y/tanω
となる。つまり、結像系の焦点距離fと、像高yとを一定とすると、ωの値は大きくなる。
【0184】
また、ズームレンズにより撮影された画像の電気信号を、画像処理により倍率色収差による色のずれを補正した画像信号に変換する画像変換部を有することが好ましい。ズームレンズの倍率色収差を電気的に補正することで、より良好な画像を得ることができるようになる。
【0185】
一般に、電子スチルカメラにおいては被写体の像を、第1原色、第2原色、第3原色の3原色の像に分解して、それぞれの出力信号を演算により重ね合わせることによりカラー画像を再現するようにしている。ズームレンズに倍率色収差がある場合、第1原色の光による像を基準にして考えると、第2原色と第3原色の光による像が結像される位置は第1原色の像が結像される位置からずれることになる。電子的に画像の倍率色収差を補正するためには、第1原色に対する第2原色、第3原色の光の結像位置のずれの量をズームレンズの収差情報に基づいて撮像素子の各画素について予め求めておく。そして、撮影画像の各画素ごとに、第1原色とのズレ量だけ補正するよう座標変換を行ってやればよい。
【0186】
例えば、赤(R)、緑(G)、青(B)の3原色の出力信号からなる画像について説明すれば、Gに対するRとBの結像位置ずれを各画素について求めておき、Gとのずれがなくなるように撮影画像の座標変換を行い、その後にRとBの信号を出力してやればよい。
【0187】
倍率色収差はズーム、フォーカス、絞り値によって変化するが、各レンズポジション(ズーム、フォーカス、絞り値)ごとに、この第1原色からの第2原色及び第3原色のずれ量を補正データとして記憶保持装置に記憶させておくとよい。ズームポジションに応じて、この補正データを参照することで、第1原色信号に対する第2及び第3原色のずれを補正した第2及び第3原色信号とを出力することができる。
【0188】
またゴースト、フレア等の不要光をカットするために、明るさ絞り以外にフレア絞りを配置してもかまわない。
【0189】
第1レンズ群の物体側、第1、2レンズ群間、第2、3レンズ群間、第3、4レンズ群間、第4、5レンズ群間、最も像面側の群から像面間のいずれの場所に配置しても良い。枠部材によりフレア光線をカットするように構成しても良いし、別の部材を構成しても良い。また光学系に直接印刷しても塗装してもシールなどを接着してもかまわない。またその形状は円形、楕円形、矩形、多角形、関数曲線で囲まれる範囲等、いかなる形状でもかまわない。また有害光束をカットするだけでなく画面周辺のコマフレア等の光束をカットしても良い。
【0190】
また、各レンズには反射防止コートを行い、ゴースト、フレアを軽減してもかまわない。マルチコートであれば効果的にゴースト、フレアを軽減できるので望ましい。また赤外カットコートをレンズ面、カバーガラス等に行ってもかまわない。
【0191】
また、画像周辺部の明るさのかげり(シェーディング)をCCDのマイクロレンズをシフトすることにより軽減しても良い。例えば、各像高における光線の入射角に合わせてCCDのマイクロレンズの設計を変えても良い。また、画像処理により画像周辺部の低下量を補正しても良い。
【0192】
ゴースト・フレアの発生を防止するためにレンズの空気接触面に反射防止コートを施すことは一般的に行われている。一方、接合レンズの接合面では接着材の屈折率が空気の屈折率よりも十分高い。そのためもともと単層コート並み、あるいはそれ以下の反射率となっていることが多く、あえてコートを施すことは少ない。しかしながら、接合面にも積極的に反射防止コートを施せばさらにゴースト・フレアを軽減でき、なお良好な画像を得ることができるようになる。
【0193】
特に、最近では高屈折率硝材が普及し収差補正効果が高いためカメラ光学系に多用されるようになってきているが、高屈折率硝材を接合レンズとして用いた場合、接合面での反射も無視できなくなってくる。そのような場合、接合面に反射防止コートを施しておくことは特に効果的である。
【0194】
接合面コートの効果的な使用法に関しては、特開平2-27301号、特開2001-324676号、特開2005-92115号、USP7116482等に開示されている。
【0195】
使用するコート材としては、基盤となるレンズの屈折率と接着材の屈折率に応じて、比較的高屈折率なTa
2O
5、TiO
2、Nb
2O
5、ZrO
2、HfO
2、CeO
2、SnO
2、In
2O
3、ZnO、Y
2O
3などのコート材、比較的低屈折率なMgF
2、SiO
2、Al
2O
3などのコート材、などを適宜選択し、位相条件を満たすような膜厚に設定すれば良い。
【0196】
当然のことながら、レンズの空気接触面へのコーティング同様、接合面コートをマルチコートとしても良い。2層あるいはそれ以上の膜数のコート材や膜厚を適宜組み合わせることで、更なる反射率の低減や、反射率の分光特性・角度特性等のコントロールなどを行うことが可能となる。また第1レンズ群以外のレンズ接合面についても、同様の思想に基づいて接合面コートを行うことが効果的なのは言うまでもない。
【0197】
図8〜
図10は、以上のようなズームレンズを撮影光学系41に組み込んだ本発明によるデジタルカメラの構成の概念図を示す。
図8はデジタルカメラ40の外観を示す前方斜視図、
図9は同後方正面図、
図10はデジタルカメラ40の構成を示す模式的な断面図である。ただし、
図8と
図10においては、撮影光学系41の非沈胴時を示している。
【0198】
デジタルカメラ40は、この例の場合、撮影用光路42上に位置する撮影光学系41、ファインダー用光路44上に位置するファインダー光学系43、シャッターボタン45、フラッシュ46、液晶表示モニタ47、焦点距離変更ボタン61、設定変更スイッチ62等を含み、撮影光学系41の沈胴時には、カバー60をスライドすることにより、撮影光学系41とファインダー光学系43とフラッシュ46はそのカバー60で覆われる。そして、カバー60を開いてカメラ40を撮影状態に設定すると、撮影光学系41は
図8の非沈胴状態になり、カメラ40の上部に配置されたシャッターボタン45を押圧すると、それに連動して撮影光学系41、例えば実施例1のズームレンズを通して撮影が行われ、撮影光学系41によって形成された物体像が、波長域制限コートを施したローパスフィルターFとカバーガラスCを介してCCD49の撮像面(光電変換面)上に形成される。
【0199】
このCCD49で受光された物体像は、処理手段51を介し、電子画像としてカメラ背面に設けられた液晶表示モニタ47に表示される。また、この処理手段51には記録手段52が接続され、撮影された電子画像を記録することもできる、なお、この記録手段52は処理手段51と別体に設けてもよいし、フレキシブルディスクやメモリーカード等により電子的に記録書込を行うように構成してもよい。また、CCD49に代わって銀塩フィルムを配置した銀塩カメラとして構成してもよい。
【0200】
さらに、ファインダー用光路44上にはファインダー用対物光学系53が配置してある。ファインダー用対物光学系53は、複数のレンズ群(図の場合は3群)と正立プリズム55a、55b、55cからなる正立プリズム系55とから構成され、撮影光学系41のズームレンズに連動して焦点距離が変化するズーム光学系からなり、このファインダー用対物光学系53によって形成された物体像は、像正立部材である正立プリズム系55の視野枠57上に形成される。この正立プリズム系55の後方には、正立正像にされた像を観察者眼球Eに導く接眼光学系59が配置されている。なお、接眼光学系59の射出側にカバー部材50が配置されている。
【0201】
図11は、本実施形態のズームレンズを用い、撮像素子として小型のCCD又はCMOSなどを用いた撮像装置としての一眼ミラーレスカメラの断面図である。
図11において、1は一眼ミラーレスカメラ、2は鏡筒内に配置された撮像レンズ系、3は撮像レンズ系2を一眼ミラーレスカメラ1に着脱可能とする鏡筒のマウント部であり、スクリュータイプやバヨネットタイプ等のマウントが用いられる。この例では、バヨネットタイプのマウントを使用している。また、4は撮像素子面、5はバックモニタである。
【0202】
このような構成の一眼ミラーレスカメラ1の撮像レンズ系2として、例えば上記実施例1〜7に示した本実施形態のズームレンズが用いられる。
【0203】
図12、
図13は、ズームレンズを撮影光学系41に組み込んだ、本実施形態の撮像装置の構成の概念図を示す。
図12は撮像装置としてのデジタルカメラ40の外観を示す前方斜視図、
図13は同背面斜視図である。
【0204】
この実施形態のデジタルカメラ40は、撮影用光路42上に位置する撮影光学系41、シャッターボタン45、液晶表示モニタ47等を含み、デジタルカメラ40の上部に配置されたシャッターボタン45を押圧すると、それに連動して撮影光学系41、例えば実施例1のズームレンズを通して撮影が行われる。撮影光学系41によって形成された物体像が結像面近傍に設けられた撮像素子(光電変換面)上に形成される。この撮像素子で受光された物体像は、処理手段によって電子画像としてカメラ背面に設けられた液晶表示モニタ47に表示される。また、撮影された電子画像は記録手段に記録することができる。
【0205】
図14〜
図16は、レンズを撮影光学系41に組み込んだ本発明に係る他の撮像装置の構成の概念図を示す。
図14はデジタルカメラ40の外観を示す前方斜視図、
図15は同背面図、
図16はデジタルカメラ40の構成を示す模式的な横断面図である。
【0206】
デジタルカメラ40は、この例の場合、撮影用光路42上に位置する撮影光学系41、ファインダー用光路44上に位置するファインダー光学系43、シャッターボタン45、ポップアップストロボ46、液晶表示モニタ47等を含み、カメラ40の上部に配置されたシャッターボタン45を押圧すると、それに連動して撮影光学系41、例えば実施例1のレンズを通して撮影が行われる。撮影光学系41によって形成された物体像が、結像面近傍に設けた撮像素子としてのCCD49の撮像面(光電変換面)上に形成される。このCCD49で受光された物体像は、処理手段51を介し、電子画像としてカメラ背面に設けられた液晶表示モニタ47や、ファインダー用画像表示素子54に表示される。また、この処理手段51には記録手段52が接続され、撮影された電子画像を記録することもできる。
【0207】
なお、この記録手段52は処理手段51と別体に設けてもよいし、フレキシブルディスクやメモリーカード等により電子的に記録書込を行うように構成してもよい。また、CCD49に代わって銀塩フィルムを配置した銀塩カメラとして構成してもよい。
【0208】
さらに、ファインダー用光路44上にはファインダー用接眼レンズ59が配置してある。ファインダー用画像表示素子54に表示された物体像が、このファインダー用接眼レンズ59によって拡大および観察者が見やすい視度に調整され、観察者眼球Eに導かれている。なお、ファインダー用接眼レンズ59の射出側にカバー部材50が配置されている。
【0209】
図17は、本実施形態のデジタルカメラ40の主要部の内部回路を示すブロック図である。なお、以下の説明では、前述した処理手段51は、例えば、CDS/ADC部24、一時記憶メモリ17、画像処理部18等で構成され、記憶手段52は、記憶媒体部等で構成される。
【0210】
図17に示されるように、デジタルカメラ40は、操作部12と、この操作部12に接続された制御部13と、この制御部13の制御信号出力ポートにバス14及び15を介して接続された撮像駆動回路16並びに一時記憶メモリ17、画像処理部18、記憶媒体部19、表示部20、及び設定情報記憶メモリ部21を備えている。
【0211】
上記の一時記憶メモリ17、画像処理部18、記憶媒体部19、表示部20、及び設定情報記憶メモリ部21は、バス22を介して相互にデータの入力、出力が可能とされている。また、撮像駆動回路16には、CCD49とCDS/ADC部24が接続されている。
【0212】
操作部12は、各種の入力ボタンやスイッチを備え、これらを介して外部(カメラ使用者)から入力されるイベント情報を制御部に通知する。制御部13は、例えばCPUなどからなる中央演算処理装置であって、不図示のプログラムメモリを内蔵し、プログラムメモリに格納されているプログラムに従って、デジタルカメラ40全体を制御する。
【0213】
CCD49は、撮像駆動回路16により駆動制御され、撮像光学系41を介して形成された物体像の画素ごとの光量を電気信号に変換し、CDS/ADC部24に出力する撮像素子である。
【0214】
CDS/ADC部24は、CCD49から入力される電気信号を増幅し、かつ、アナログ/デジタル変換を行って、この増幅とデジタル変換を行っただけの映像生データ(ベイヤーデータ、以下RAWデータという。)を一時メモリ17に出力する回路である。
【0215】
一時記憶メモリ17は、例えばSDRAM等からなるバッファであり、CDS/ADC部24から出力されるRAWデータを一時的に記憶するメモリ装置である。画像処理部18は、一時記憶メモリ17に記憶されたRAWデータ又は記憶媒体部19に記憶されているRAWデータを読み出して、制御部13にて指定された画質パラメータに基づいて歪曲収差補正を含む各種画像処理を電気的に行う回路である。
【0216】
記憶媒体部19は、例えばフラッシュメモリ等からなるカード型又はスティック型の記憶媒体を着脱自在に装着して、これらのフラッシュメモリに、一時記憶メモリ17から転送されるRAWデータや画像処理部18で画像処理された画像データを記録して保持する。
【0217】
表示部20は、液晶表示モニタ47などにて構成され、撮影したRAWデータ、画像データや操作メニューなどを表示する。設定情報記憶メモリ部21には、予め各種の画質パラメータが格納されているROM部と、操作部12の入力操作によってROM部から読み出された画質パラメータを記憶するRAM部が備えられている。
【0218】
このように構成されたデジタルカメラ40は、撮像光学系41として本発明のズームレンズを採用することで、小型で動画撮像に適した撮像装置とすることが可能となる。
【0219】
以上、本発明の種々の実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態のみに限られるものではなく、それぞれの実施形態の構成を適宜組み合わせて構成した実施形態も本発明の範疇となるものである。