特許第5695557号(P5695557)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5695557塗料組成物、その製造方法、利用、及びそれを塗布した基板
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5695557
(24)【登録日】2015年2月13日
(45)【発行日】2015年4月8日
(54)【発明の名称】塗料組成物、その製造方法、利用、及びそれを塗布した基板
(51)【国際特許分類】
   C09D 175/04 20060101AFI20150319BHJP
   C09D 201/06 20060101ALI20150319BHJP
   C09D 7/12 20060101ALI20150319BHJP
   C09D 5/00 20060101ALI20150319BHJP
【FI】
   C09D175/04
   C09D201/06
   C09D7/12
   C09D5/00 D
【請求項の数】21
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2011-500107(P2011-500107)
(86)(22)【出願日】2009年3月17日
(65)【公表番号】特表2011-514426(P2011-514426A)
(43)【公表日】2011年5月6日
(86)【国際出願番号】EP2009001956
(87)【国際公開番号】WO2009115294
(87)【国際公開日】20090924
【審査請求日】2012年3月8日
(31)【優先権主張番号】102008015104.1
(32)【優先日】2008年3月19日
(33)【優先権主張国】DE
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】390008981
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ コーティングス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】BASF Coatings GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【弁理士】
【氏名又は名称】江藤 聡明
(72)【発明者】
【氏名】シュテントルプ,マヌエラ
(72)【発明者】
【氏名】リヒター,ベルント
(72)【発明者】
【氏名】リンク,ハインツ−ペーター
【審査官】 増永 淳司
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2007/014683(WO,A1)
【文献】 特開平05−271617(JP,A)
【文献】 国際公開第2006/038651(WO,A1)
【文献】 特表平11−505278(JP,A)
【文献】 特表2000−501980(JP,A)
【文献】 特表2005−514502(JP,A)
【文献】 特開平08−060089(JP,A)
【文献】 接着・粘着の事典,株式会社朝倉書店,1997年 9月10日,第5刷,P71-74
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D 175/04
C09D 5/00
C09D 7/12
C09D 201/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
塗料組成物の総重量に対して、
10〜20重量%の少なくとも一種のイソシアネート化合物と、
5〜20重量%の少なくとも一種のヒドロキシル含有化合物と、
5〜25重量%の少なくとも一種のアルジミン及び/又はケチミンと、
2.5〜60重量%の一種以上の充填剤、色顔料及び耐食性顔料(充填剤としてリン酸水素カルシウムが、塗料組成物の総重量に対して1.0〜20重量%の質量分率で含まれる)と、
少なくとも一種の溶媒とからなる塗料組成物であって、
一般式(I)の少なくとも一種のシラン化合物、
【化1】
式中、
が、H;または無置換の又は、F、Cl、Br、およびメチルからなる群から相互に独立して選ばれる1、2、3、4または5置換基で置換されたフェニル基であり、
が、−(CH−であり;
が、−O−Rであり;
が、−O−Rであり;
が、−O−R10であり;
また
、R、およびR10が、それぞれ相互に独立して、メチルまたはエチル基である、
が、塗料組成物の総重量に対して0.1〜3.0重量%の質量分率で含まれ、上記組成の質量分率の溶媒の総計が100重量%となる塗料組成物。
【請求項2】
12〜20重量%の少なくとも一種のイソシアネート化合物を含む請求項1に記載の塗料組成物。
【請求項3】
8〜18重量%の少なくとも一種のヒドロキシル含有化合物を含む請求項1または2に記載の塗料組成物。
【請求項4】
8〜25重量%の少なくとも一種のアルジミン及び/又はケチミンを含む請求項1〜3のいずれか一項に記載の塗料組成物。
【請求項5】
30〜60重量%の一種以上の充填剤、色顔料及び耐食性顔料を含む請求項1〜4のいずれか一項に記載の塗料組成物。
【請求項6】
40〜60重量%の一種以上の充填剤、色顔料及び耐食性顔料を含む請求項1〜5のいずれか一項に記載の塗料組成物。
【請求項7】
リン酸水素カルシウムを1〜10重量%の質量分率で含む請求項1〜6のいずれか一項に記載の塗料組成物。
【請求項8】
前記リン酸水素カルシウムの平均粒度が、1.0〜10.0μmである請求項1〜7のいずれか一項に記載の塗料組成物。
【請求項9】
前記組成物が少なくとも一種のケチミンを含む請求項1〜8のいずれか一項に記載の塗料組成物。
【請求項10】
前記イソシアネート化合物が、ポリイソシアネート、ポリイソシアネートのオリゴマー化、三量体化、二量体化、ウレタン成形、ビウレット成形、ウレトジオン成形またはアロファネート成形によるポリイソシアネート由来のポリイソシアネート、またはこれらの混合物である請求項1〜9のいずれか一項に記載の塗料組成物。
【請求項11】
前記ポリイソシアネートが、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、およびメチレンジシクロヘキシル4,4’−ジイソシアネートからなる群から選ばれる母体構造に基づいている請求項10に記載の塗料組成物。
【請求項12】
前記ヒドロキシル含有化合物が、低分子量ポリオール、オリゴマー状ポリオール、重合性のポリオールまたはこれらポリオールの混合物である請求項1〜11のいずれか一項に記載の塗料組成物。
【請求項13】
前記ヒドロキシル含有化合物が、エステル基及び/又はエーテル基を有するポリオールである請求項1〜12のいずれか一項に記載の塗料組成物。
【請求項14】
540g/lの揮発性有機化合物を含む請求項1〜13のいずれか一項に記載の塗料組成物。
【請求項15】
少なくとも一種のヒドロキシル含有化合物を含む組成物を少なくとも一種のイソシアネート化合物を含む組成物と混合することを特徴とする請求項1〜14のいずれか一項に記載の塗料組成物の製造方法。
【請求項16】
前記混合とともに、上記の少なくとも一種のアルジミン及び/又はケチミンを含む他の組成物が混合される請求項15に記載の塗料組成物の製造方法。
【請求項17】
前記混合の際に、一般式(I)の少なくとも一種のシラン化合物が混合される請求項15または16に記載の塗料組成物の製造方法。
【請求項18】
前記の少なくとも一種のヒドロキシル含有化合物を含む組成物が、一種以上の充填剤、色顔料、および耐食性顔料を含む請求項15〜17のいずれか一項に記載の塗料組成物の製造方法。
【請求項19】
請求項1〜14のいずれか一項に記載の塗料組成物の、自動車の再塗装、車両、ユーティリティー車または農業機械分野での塗装材料としての利用。
【請求項20】
請求項1〜14のいずれか一項に記載の塗料組成物の、アルミニウム基板、スチール基板、プラスチック基板または多材料基板上のプライマーとしての利用。
【請求項21】
基板に請求項1〜14のいずれか一項に記載の塗料組成物で塗布し、その塗料を硬化させて得られる塗膜基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも一種のイソシアネート化合物と、少なくとも一種のヒドロキシル含有化合物と、少なくとも一種のアルジミン及び/又はケチミンと、一種以上の充填剤と、一種以上の顔料と、少なくとも一種の溶媒、および必要に応じて一種以上の添加物とからなる塗料組成物に関する。本発明はまた、これらの塗料組成物の製造方法、自動車塗換分野での、車両やユーティリティー車両(廃棄物容器、シャーシなど)中での、農業機械やレール分野、さらには機械中での、これらの塗装材料としての利用に関する。リン酸鉄またはリン酸亜鉛化などでの化学的前処理の有無に関わらず、サンドブラストや研磨などの機械的な前処理なしに、本発明の塗料組成物がプライマーとして利用することが好ましい。
【背景技術】
【0002】
塗料組成物、特にイソシアネート樹脂をポリオール樹脂と反応させて製造されるポリウレタン塗料は、よく知られている。このような塗料が高耐久性や化学安定性などのいろいろな優れた性質を有していることはよく知られている。これらの優れた性質のため、これら塗料は、自動車の再塗装、ユーティリティー車や自動車の補修用途、また工業用途に極めて好適である。水性組成物と比較して、これらは乾燥時間が大きく短縮されること、また腐食に対する保護が優れていることに特徴がある。しかしながら、これらの塗料では、ポリオールが、水素結合の形成のため、またメインポリマー鎖の分子量のため、塗料の全体としての粘度に大きく寄与して、製剤段階での他物質の添加に制限を加え、塗布固体含量に関する規格を満たすのに制限を加える。ポリオールの分子量を低下させると、かなりの量のエネルギーを加えない限り架橋形成が遅くなることとなる。
【0003】
より多くの溶媒を用いて塗料全体として粘度を低下することができ、また架橋形成を加速することができるが、多量の溶媒の利用は環境的な問題がある。特に、揮発性有機化合物(VOC)を、特に溶媒を多く含む塗料組成物は、最大VOC含量を低く抑えようとする各種の政令の規定に合致しない。将来は、280g/l以下という非常に低い溶媒含量またはVOC含量を達成する必要がでてくると考えられる。
【0004】
反応性希釈剤を使用して、高固体ポリオール含有ポリウレタン塗料の性質を改善することもできる。この技術の応用の一例が、US−PS5,214,086に示されている。これは、オリゴアルジミンや、オリゴケチミン、ヒンダードオリゴアミンを用いてポリオール組成を変更することを述べたもので、この変更により、全体として混合物の粘度とその管理を低下させ、多くの場合、架橋形成や物理特性の改善につながる。しかしながら、基板が露出状態であっても非露出状態であっても、これらの塗料組成物のアルミニウム上へのまた多材料基板上への接着は不満足なものである。
【0005】
アルミニウムへの接着は、通常、他の方法によりクロム酸塩含有充填剤を利用して行われる (Luckert, Pigment + Fullstofftabellen, Luckert Verlag, ISBN 3−927342−03−3; Glasurithandbuch 1984, Vincentz Verlag, ISBN 3−87870−192−6; Peter Volk in “Metalloberflache”, special issue 5/2006)。しかしながら、環境上の負荷のため、クロム酸塩を使用せずに所望の性能が得られることが望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明の目的は、クロム酸塩非含有充填剤と顔料とからなり、露出状態または非露出状態のいずれにおいても、アルミニウム、スチール及び/又は多材料基板への接着に優れる高固体塗料組成物を提供することである。これらの塗料組成物は、耐候性においても優れた性能を示す必要がある。さらに、これらは、十分な耐腐食性や満足できる乾燥時間などの性質を示す必要がある。使用分野によっては、これらの塗料は、乾燥後に研磨可能であることが、またはウェットオンウェット用途では、既存の水性塗装材料上に容易に重ね塗り可能であることが必要である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本目的は、塗料組成物の総重量に対して、10〜20重量%の少なくとも一種のイソシアネート化合物と、5〜20重量%の少なくとも一種のヒドロキシル含有化合物と、5〜25重量%の少なくとも一種のアルジミン及び/又はケチミンと、2.5%〜60重量%の一種以上の充填剤、色顔料および耐食性の顔料(1.0%〜20重量%の充填剤としてのリン酸水素カルシウムを含む)と、さらには少なくとも一種の溶媒とからなる塗料組成物により達成される。
【0008】
なお、その際、一般式(I)の少なくとも一種のシラン化合物、
【0009】
【化1】
【0010】
式中、
は、H;無置換または少なくともモノ置換のアルキル;無置換または少なくともモノ置換のヘテロアルキル;無置換または少なくともモノ置換のシクロアルキルまたはシクロアルケニル;無置換または少なくともモノ置換のヘテロシクロアルキルまたはヘテロシクロアルケニル;無置換または少なくともモノ置換のアリール;または無置換または少なくともモノ置換の−(アルキレン)−アリールまたは−(アルケニレン)−アリールであり;
は、無置換または少なくともモノ置換の−(アルキレン)−;無置換または少なくともモノ置換の−(ヘテロアルキレン)−;無置換または少なくともモノ置換の−(アリーレン)−;無置換または少なくともモノ置換の−(アルキレン)−(アリーレン)−;または無置換または少なくともモノ置換の−(ヘテロアルキレン)−(アリーレン)−であり;
は、−O−R;−C(=O)−R;H;無置換又は置換のアルキル;無置換又は置換のヘテロアルキル;無置換または少なくともモノ置換のアリール;または無置換または少なくともモノ置換の−(アルキレン)−アリールまたは−(アルケニレン)−アリールであり;
は、−O−R;−C(=O)−R;H;無置換又は置換のアルキル;無置換又は置換のヘテロアルキル;無置換または少なくともモノ置換のアリール;または無置換または少なくともモノ置換の−(アルキレン)−アリールまたは−(アルケニレン)−アリールであり;
は、−O−R10;−C(=O)−R11;H;無置換又は置換のアルキル;無置換又は置換のヘテロアルキル;無置換または少なくともモノ置換のアリール;または無置換または少なくともモノ置換の−(アルキレン)−アリールまたは−(アルケニレン)−アリールであり;
また、
と、R、R、R、R10、R11は、それぞれ相互に独立して、H;無置換又は置換のアルキル;または無置換又は置換のヘテロアルキルである;
が、塗料組成物の総重量に対して、質量分率として0.1〜5.0重量%で含まれている(上記成分の質量分率と溶媒の総和が100重量%となる)。
【0011】
本発明の塗料組成物は、通常溶媒を含んでいる。本発明の塗料組成物は、溶媒に代えて、同様に粘度を低下させる反応性希釈剤を含んでいてもよい。
【0012】
これらの塗料組成物は、アルミニウム、スチール及び/又は多材料基板に非常によく粘着し、好ましい耐候性を示し、良好ないし非常に良好な耐腐食性を示し、速やかに乾燥し、効果的な磨耗性を示す。
【0013】
本発明の目的において「アルキル」とは、非環式の飽和炭化水素基であって、分岐状でも直鎖状でもよく、無置換または少なくともモノ置換のものであり、例えば、1〜12(即ち、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12)個のC原子を有するC1−12アルキル、あるいは1〜6(即ち、1、2、3、4、5または6)個のC原子を有するC1−6−アルキルなどである。1個以上の置換基がアルキル基であるか、モノ置換またはポリ置換のアルキル基を含む場合は、この基は、F、Cl、Br、I、−NO、−CN、−OH、−SH、−NH、−N(C1−5−アルキル)、−C(=O)−C1−5−アルキル、−C(=O)−フェニル、−C(=O)−OH、−C(=O)−O−C1−5−アルキル、−C(=O)−NH、−C(=O)−NH−C1−5−アルキル、および−C(=O)−N(C1−5−アルキル)からなる群から相互に独立して選ばれる適当なら、1、2、3、4または5個の、より好ましくは1、2または3個の置換基で置換されていることが好ましい。なお、上記のC1−5−アルキル基はそれぞれ、直鎖又は分岐鎖であってよく、上述のフェニル基は、F、Cl、Br、I、−CN、−CF、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、2−ブチル、イソブチル、およびtert−ブチルからなる群から相互に独立して選ばれる好ましくは1、2、3、4または5個の置換基で置換されていてもよい。特に好ましい置換基は、F、Cl、Br、I、−NO、および−CNからなる群から相互に独立して選ばれる。
【0014】
好適なC1−12−アルキル基で、無置換であってモノ置換またはポリ置換であってもよいものの例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、2−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、2−ペンチル、3−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、n−ヘキシル、2−ヘキシル、3−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、−C(H)(C、−C(H)(n−C、および−CH−CH−C(H)(CH)−(CH−CHがあげられる。
【0015】
好適なC1−6アルキル基の例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、2−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、2−ペンチル、3−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、n−ヘキシル、2−ヘキシル、および3−ヘキシルがあげられる。
【0016】
ポリ置換アルキル基とは、異なるC原子上または同じC原子上で二回以上置換された、好ましくは2または3回、例えば、−CFの場合は三回同一C原上でまたは(CHCI)−(CHF)の場合異なる位置で置換されたアルキル基を意味する。このポリ置換は、同一置換基であっても異なる置換基であってもよい。好適な置換アルキル基の例としては、−CFや、−CFH、−CFH、−(CH)−CN、−(CH)−(CF)、−(CH)−(CHF)、−(CH)−(CHF)、−(CH)−(CH)−CN、−(CF)−(CF)、−(CH)−(CH)−(CF)があげられる。
【0017】
本発明の目的において「アルケニル」とは、非環式の不飽和炭化水素基で、分岐状でも直鎖状でもよく、また無置換でも少なくともモノ置換で、少なくとも一個の二重結合、好ましくは1、2または3個の二重結合を持つもので、C2−12−アルケニルの場合は、2〜12(即ち、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12)個のC原子を持ち、C2−6−アルケニルの場合は、2〜6(即ち、2、3、4、5または6)個のC原子を持つものを含む。一個以上の置換基がアルケニル基であるか、モノ置換またはポリ置換のアルケニル基を含む場合には、この基は、好ましくは、適当なら、1、2、3、4または5個の、より好ましくは1、2または3個の、F、Cl、Br、I、−NO、−CN、−OH、−SH、−NH、−N(C1−5−アルキル)、C(=O)−C1−5−アルキル、−C(=O)−フェニル、−C(=O)−OH、−C(=O)−O−C1−5−アルキル、−C(=O)−NH、−C(=O)−NH−C1−5−アルキル、および−C(=O)−N(C1−5−アルキル)からなる群から相互に独立して選ばれる置換基で置換されていてもよい。なお、上記のC1−5−アルキル基の各々は直鎖であっても分岐鎖であってよく、また上記のフェニル基は、好ましくは1、2、3、4または5個の、F、Cl、Br、I、−CN、−CF、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、2−ブチル、イソブチル、およびtert−ブチルからなる群から相互に独立して選ばれる置換基で置換されていてもよい。特に好ましい置換基は、F、Cl、Br、I、−NO、および−CNからなる群から相互に独立して選ぶことができる。
【0018】
好適なC2−12−アルケニル基の例としては、エテニル、1−プロペニル、2−プロペニル、1−ブテニル、2−ブテニル、3−ブテニル、1−ペンテニル、2−ペンテニル、3−ペンテニル、4−ペンテニル、ヘキセニル、−CH=CH−CH=CH−CH、および−CH−CH−CH=CHがあげられる。
【0019】
ポリ置換アルケニル基とは、2回以上置換されたアルケニル基、好ましくは2回、異なるC原子上または同じC原子上で置換されたアルケニル基、例えば、−CH=CClの場合は2回同一のC原子上で、あるいは−CCI=CH−(CH)−Clの場合は異なる位置で置換されたアルケニル基を意味する。複数置換は、同一の置換基によるものでも、異なる置換基によるものであってもよい。好適なアルケニル基の例としては、−CH=CH−(CH)−F、−CH=CH−(CH)−Cl、および−CH=CH−CNがあげられる。
【0020】
「ヘテロアルキル」とは、上記アルキル基で、一個以上のC原子が酸素、硫黄、および窒素(NH)からなる群から相互に独立して選ばれるヘテロ原子で置換されたものである。ヘテロアルキル基は、好ましくは1、2または3個の酸素、硫黄、および窒素(NH)からなる群から相互に独立して選ばれるヘテロ原子を、鎖のメンバーとして有していてもよい。特に好ましいヘテロ原子は酸素原子または硫黄原子である。極めて好ましいヘテロ原子は酸素原子である。ヘテロアルキル基は、好ましくは鎖長が2〜12であり、より好ましくは2〜6である。
【0021】
好適なヘテロアルキル基(無置換であっても、モノ置換またはポリ置換であってもよい)の例としては、−CH−O−CH、−CH−O−C、−CH−O−CH(CH、−CH−O−C(CH、−CH−CH−O−CH、−CH−CH−O−C、−CH−CH−O−CH(CH、−CH−CH−O−C(CH、−CH−S−CH−O−CH、−CH−O−CH−O−C、−CH−O−CH−O−CH(CH、−CH−S−CH−O−C(CH、−CH−O−CH−S−CH、−CH−O−CH−S−C、および−CH−O−CH−S−CH(CHがあげられる。
【0022】
好適な置換ヘテロアルキル基としては、−(CH)−O−(CF)、−(CH)−O−(CHF)、−(CH)−O−(CHF)、−(CF)−O−(CF)、および−(CH)−(CH)−(CH)−O−(CF)があげられる。
【0023】
本発明の目的の「シクロアルキル」は、環状の飽和炭化水素基で、好ましくは、3、4、5、6、7、8または9個のC原子を、より好ましくは3、4、5、6または7個のC原子を、非常に好ましくは5または6個のC原子を有するものをさす。この基は、無置換であっても、モノ置換であっても、または同一または異なる置換基でポリ置換であってよい。
【0024】
好適なC3−9−シクロアルキル基(無置換でも、モノ置換またはポリ置換でもよい)の例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、およびシクロノニルがあげられる。好適なC3−7−シクロアルキル基としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、およびシクロヘプチルがあげられる。
【0025】
本発明の目的の「ヘテロシクロアルキル」は、環状の飽和炭化水素基で、好ましくは3、4、5、6、7、8、または9個のC原子を、より好ましくは3、4、5、6または7個のC原子、非常に好ましくは5または6個のC原子を有するもので、一個以上のC原子がいずれの場合も酸素、硫黄、および窒素(NH)からなる群から相互に独立して選ばれるヘテロ原子で置き換えられたものをさす。ヘテロシクロアルキル基は、好ましくは1、2または3個の酸素、硫黄、および窒素(NH)からなる群から相互に独立して選ばれるヘテロ原子を環のメンバーとして有していてよい。特に好ましいヘテロ原子は、酸素原子または硫黄原子である。極めて好ましいヘテロ原子は酸素原子である。ヘテロシクロアルキル基は、無置換であっても、モノ置換でも、または同一または異なる置換基でポリ置換であってもよい。ヘテロシクロアルキル基の鎖長は、好ましくは3〜9であり、より好ましくは3〜7、非常に好ましくは5〜7である。
【0026】
好適な3〜9員のヘテロシクロアルキル基(無置換でもポリ置換でもよい)の例としては、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフェニル、テトラヒドロピラニル、オキセタニル、1,3−ジオキソラン−2−イル、イソオキサゾリジニル、オキサゾリジニル、および1,2,4−オキサジアゾリジニルがあげられる。好適な5〜7員のヘテロシクロアルキル基の例としては、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフェニル、テトラヒドロピラニル、オキセタニル、および1,3−ジオキソラン−2−イルがあげられる。
【0027】
本発明の目的の「ヘテロシクロアルケニル」は、環状の不飽和炭化水素基で、好ましくは4、5、6、7、8または9個のC原子を、より好ましくは4、5、6または7個のC原子、非常に好ましくは5または6個のC原子をもち、少なくとも一個の二重結合を、好ましくは一個の二重結合をもち、一個以上の原子が、いずれの場合も酸素、硫黄、および窒素(NH)からなる群から相互に独立して選ばれるヘテロ原子で置き換えられているものをさす。ヘテロシクロアルケニル基は、好ましくは1、2または3個の、酸素、硫黄、および窒素(NH)からなる群から相互に独立して選ばれるヘテロ原子を環のメンバーとして有している。特に好ましいヘテロ原子は、酸素原子または硫黄原子である。極めて好ましいヘテロ原子は酸素原子である。ヘテロシクロアルケニル基は、無置換であっても、モノ置換でも、同一または異なる置換基によりポリ置換でもよい。ヘテロシクロアルケニル基は、4〜9員であり、より好ましくは4〜7員、非常に好ましくは5〜7員である。
【0028】
好適なヘテロシクロアルケニル基または好適な5〜7員環のヘテロシクロアルケニル基(無置換でもモノ置換またはポリ置換でもよい)の例としては、2,3−ジヒドロフラニル、2,5−ジヒドロフラニル、2,3−ジヒドロチエニル、2,5−ジヒドロチエニル、2,3−ジヒドロオキサゾリル、4,5−ジヒドロオキサゾリル、2,5−ジヒドロオキサゾリル、およびジヒドロピラニルがあげられる。
【0029】
一個以上の置換基がシクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、シクロアルケニル基またはヘテロシクロアルケニル基であるか、モノ置換またはポリ置換の基を有している場合は、その基は、好ましくは、適当なら、1、2、3、4または5個の、より好ましくは、適当なら、1、2または3個の、F、Cl、Br、I、−CN、−CF、−OH、−NH、−O−CF、−SH、−O−C1−5−アルキル、−O−フェニル、−O−CH−フェニル、−(CH)−O−C1−5アルキル、−C1−5−アルキル、−C2−5−アルケニル、−C2−5−アルキニル、−C(=O)−O−C1−5−アルキル、−C(=O)−CF、オキソ(=O)、チオオキソ(=S)、−N(C1−5−アルキル)、−NO、S−CFおよびフェニルからなる群から相互に独立して選ばれる置換基で置換されていてもよい。上記のC1−5−アルキル基はいずれの場合も,直鎖であっても分岐鎖であってもよく、フェニル基は、いずれの場合も、無置換であっても、F、Cl、Br、I、−CN、−CF、−OH、−NH、−O−CF、−SH、−O−C1−5−アルキル、および−C1−5−アルキル.からなる群から相互に独立して選ばれる1、2、3、4または5個の、好ましくは1、2、3または4個の置換基で置換されていてもよい。
【0030】
本発明の目的において「アリール」は、単環式または多環式の、好ましくは単環式または二環式の芳香族炭化水素基で、好ましくは6,10または14個のC原子を有するものを意味する。アリール基は、無置換であっても、モノ置換でも、同一あるいは異なる置換基でポリ置換されていてもよい。好適なアリール基の例としては、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、およびアントラセニルがあげられる。特に好ましいアリール基はフェニル基である。
【0031】
本発明の目的において「アリーレン」は、単環式または二環式の、2価の芳香族炭化水素基で、好ましくは6または10個のC原子を持つものをいい、この基は、一般式Iの母体構造中に2価、すなわち二個の結合場所を有している。アリール基は、無置換であっても、モノ置換でも、同一あるいは異なる置換基でポリ置換されていてもよい。アリーレン基は、無置換であっても、モノ置換でも、同一あるいは異なる置換基でポリ置換されていてもよい。好ましいアリーレン基はフェニレンである。
【0032】
本発明の目的の「−(アルキレン)−(アリーレン)−」および「−(ヘテロアルキレン)−(アリーレン)−」は、2価の炭化水素基であって、一つの開放価がアルキルまたはヘテロアルキル基にあり、他方の開放価がアリール基にあるものである。−(アルキレン)−(アリーレン)−または−(ヘテロアルキレン)−(アリーレン)−は、無置換であっても、モノ置換でも、同一あるいは異なる置換基でポリ置換されていてもよい。
【0033】
好適な−(アルキレン)−(アリーレン)−基無置換でもモノ置換またはポリ置換でもよい)の例としては、−(CH)−フェニレンと−(CH)−(CH)−フェニレンがあげられる。
【0034】
一個以上の置換基が、アリール、アリーレン、−(アルキレン)−(アリーレン)−または−(ヘテロアルキレン)−(アリーレン)−であるか、モノ置換またはポリ置換のアリール、アリーレン、−(アルキレン)−(アリーレン)−または−(ヘテロアルキレン)−(アリーレン)−を有する場合は、その置換基は、好ましくは、適当なら、1、2、3、4または5個の、より好ましくは、適当なら、1、2または3個の、F、Cl、Br、I、−CN、−NO、−OH、−SH、−NH、−C(=O)−OH、−C1−5−アルキル、−(CH)−O−C1−5−アルキル、−C2−5−アルケニル、−O−C1−5−アルキル、−O−フェニル、−O−CH−フェニル、−CF、−CHF、−CHF、−O−CF、−O−CHF、−O−CHF、および−C(=O)−C1−5−アルキルからなる群から相互に独立して選ばれる置換基で置換されていてもよい。上記のC1−5−アルキル基は、いずれの場合も直鎖又は分岐鎖のであってよく、上記の環状置換基またはこれらの置換基の環状の基は、適当なら、1、2、3、4または5個の、好ましくは、適当なら、1、2、3または4個の、F、Cl、Br、I、−CN、−NO、−OH、−SH、−NH、−C1−5−アルキル、−O−C1−5−S−アルキル、−CF、−CHF、−CHF、−O−CF、−O−CHF−、および−O0−CHFからなる群から相互に独立して選ばれる置換基で置換されていてもよい。
【0035】
特に好ましくは、これらの置換基が、いずれの場合も相互に独立して、F、Cl、Br、I、−CN、−NO、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、2−ブチル、tert−ブチル、−O−CH、−O−C、−O−C、−O−C(CH、−CF、−CHF、および−CHFからなる群から選ばれてもよい。
【0036】
本発明の目的の「アルキレン」は、炭化水素基を一般式Iの化合物へ、あるいは他の置換基へ結合させる2価の非環式の飽和炭化水素鎖をいう。アルキレン鎖は、分岐状でも直鎖でもよく、無置換でも少なくともモノ置換でも、C1−12−アルキレンの場合は、1〜12(即ち、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12)個のC原子で、C1−6−アルキレンの場合は、1〜6(即ち、1、2、3、4、5、または6)個のC原子で、あるいはC1−3−アルキレンの場合は、1〜3(即ち、1、2または3)個のC原子で置換されていてもよい。例としては、−(CH)−、−(CH−、−C(H)(CH)−、−(CH−、−(CH−、−(CH−、−C(CH−、−C(H)(CH)−、−C(H)(C(H)(CH)−、およびC(C)(H)−などのC1−5−アルキレン基があげられる。
【0037】
本発明の目的で「アルケニレン」とは、炭化水素基を一般式Iの化合物または他の置換基に結合させる非環式の不飽和炭化水素鎖をさす。
【0038】
アルケニレン鎖は、少なくとも一個の二重結合、好ましくは1、2または3個の二重結合を持ち、分岐状であっても直鎖であっても、また無置換でも少なくともモノ置換であってもよく、C2−12−アルケニレンの場合は、2〜12(即ち、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12)個のC原子を持ち、C2−6−アルケニレンの場合は、2〜6(即ち、2、3、4、5または6)個のC原子を持ち、またC2−3−アルケニレンの場合は2〜3(即ち、2または3)個のC原子を有する。例としては、−CH=CH−や−CH−CH=CH−などのC2−3−アルケニレン基があげられる。
【0039】
「ヘテロアルキレン」は、上述のようなアルキレン鎖で、その内の一個以上のC原子が、いずれの場合も酸素、硫黄、および窒素(NH)からなる群から相互に独立して選ばれるヘテロ原子で置き換えられたものをいう。ヘテロアルキレン基は、好ましくは1、2または3個の酸素、硫黄、および窒素(NH)からなる群から選ばれるヘテロ原子を、より好ましくは一個のヘテロ原子を鎖のメンバーとして有してもよい。特に好ましいヘテロ原子は、酸素原子または硫黄原子である。極めて好ましくヘテロ原子は酸素原子である。ヘテロアルキレン基は、鎖長が好ましくは2〜12であり、より好ましくは2〜6であり、非常に好ましくは2または3である。
【0040】
一個以上の置換基がアルキレン、アルケニレンまたはヘテロアルキレン基であるか、モノ置換またはポリ置換のこのような基を有している場合は、その基は、好ましくは、適当なら1、2、3、4または5個の、より好ましくは、適当なら1、2または3個の、F、Cl、Br、I、−NO−、および−CNからなる群から相互に独立して選ばれる置換基で置換されていてもよい。
【0041】
塗料組成物中には、好ましくは12〜20重量%のポリイソシアネートと8〜18重量%のポリオールと8〜25%のケチミンまたはアルジミンまたはこれらの混合物が存在する。
【0042】
好ましくは本発明の塗料組成物は、30〜60重量%の、好ましくは40〜60重量%の一種以上の充填剤、色顔料、及び耐食性顔料を含んでいる。
【0043】
この充填剤または耐食性の顔料がクロム酸塩を含まないことが好ましい。
【0044】
好ましくは本発明の塗料組成物は、リン酸水素カルシウムを1〜10重量%のり比率で、より好ましくは1%〜5重量%の比率で含んでいる。
【0045】
好ましくは、本発明の塗料組成物は、0.1%〜3重量%の少なくとも一種の一般式(I)シラン化合物を含んでいる。
【0046】
一般式(I)のシラン化合物が好ましい。
【0047】
式中、
は、H;メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、2−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、およびn−ヘキシルからなる群から選ばれるアルキル基(無置換であっても、置換されていてもよく、適当なら、1、2、3、4または5個のF、Cl、Br、I、−NO、および−CNからなる群から相互に独立して選ばれる置換基で置換されていてもよい);またはフェニルまたはベンジルラジカル(無置換であっても1、2、3、4または5個のF、Cl、Br、I、−CN、−NO、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、2−ブチル、tert−ブチル、−O−CH、−O−C、−O−C、−O−C(CH、−CF、−CHF、および−CHFからなる群から相互に独立して選ばれる置換基で置換されていてもよい)であり、
は、C1−5−アルケニレン基(無置換であっても、適当なら、1、2または3個の、F、Cl、Br、I、−NO、および−CNからなる群から相互に独立して選ばれる置換基で置換されていてもよい)であり、
は、−O−R;−C(=O)−R;H;または、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、2−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、およびn−ヘキシルからなる群から選ばれるアルキル基(無置換であっても、適当なら、1、2、3、4または5個のF、Cl、Br、I、−NO、および−CNからなる群から相互に独立して選ばれる置換基で置換されていてもよい)であり、
は、−O−R;−C(=O)−R;H;または、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、2−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、およびn−ヘキシルからなる群から選ばれるアルキル基(無置換であっても、適当なら、1、2、3、4または5個のF、Cl、Br、I、−NO、および−CNからなる群から相互に独立して選ばれる置換基で置換されていてもよい)であり、
は、−O−R10;−C(=O)−R11;H;または、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、2−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、およびn−ヘキシルからなる群から選ばれるアルキル基(無置換であっても、適当なら、1、2、3、4または5個のF、Cl、Br、I、−NO、および−CNからなる群から相互に独立して選ばれる置換基で置換されていてもよい)であり、
また、
、R、R、R、R10、およびR11は、相互に独立して、いずれの場合も、Hまたはメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、2−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチルおよびn−ヘキシルからなる群から選ばれるアルキル基(無置換でも、適当なら、1、2、3、4または5個の、F、Cl、Br、I、−NO、および−CNからなる群から相互に独立して選ばれる置換基で置換されていてもよい)である。
【0048】
特に好ましくは、一般式(I)のシラン化合物であって、式中、
がH;メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、2−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、およびn−ヘキシルからなる群から選ばれる無置換のアルキル基または無置換又は1、2、3、4または5個の、F、Cl、Br、およびメチルからなる群から相互に独立して選ばれる置換基で置換されたフェニル基であり、
は、−(CH)−、−(CH−、−(CH−、−(CH−または−(CH−であり、
は、−O−RまたはHであり、
は、−O−RまたはHであり、
は、−O−R10またはHであり、
さらに、
とRとR10は、相互に独立して、いずれの場合もHまたはメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、2−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、およびn−ヘキシルからなる群から選ばれる無置換のアルキル基である。
【0049】
極めて好ましいのは、一般式(I)のシラン化合物であって、式中
がH;または無置換又は1、2、3、4または5個の、F、Cl、Br、及びメチルからなる群から相互に独立して選ばれる置換基で置換されたフェニル基であり、
が−(CH−であり、
が−O−Rであり、
が−O−Rであり、
が−O−R10であり、
また、
とRとR10が、相互に独立して、いずれの場合もメチル基またはエチル基である。
【0050】
さらに好ましいのは、3−アミノプロピルトリメトキシシラン(例えば、ワッカー・ヘミー社のゲニオシルGF96として市販);4−アミノ−3,3−ジメチルブチルトリメトキシシラン(モメンチブ社のシルクエストA−1637として市販)、およびN−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン(例えばモメンチブ社よりY−15085(シルクエストγ−9669)として市販)からなる群から選ばれる一般式(I)のシラン化合物である。
【0051】
リン酸水素カルシウムの粒度は、好ましくは1.0〜10.0μmであり、より好ましくは2.5〜4.0μm(コールターマルチサイザーIIで測定)。この大きさの粒子を使用すると、特に平滑な面が得られる。
【0052】
この塗料組成物は、好ましくは、少なくとも一種のイソシアネート化合物と、少なくとも一種のヒドロキシル含有化合物と、少なくとも一種のケチミンと、一種以上の充填剤と、色顔料及び耐食性顔料(うち、充填剤の一つがリン酸水素カルシウム)と、少なくとも一種の溶媒と、上記一般式Iの少なくとも一種のシランの組合わせである。アルジミンに代えてケチミンを使用すると、かなり水噴霧の結果が向上し、これは、例えば、ケチミンを使用する場合の膨れの程度の値の改善として現われる。
【0053】
塗料組成物の総重量に対して、10〜20重量%の少なくとも一種のイソシアネート化合物と、5〜20重量%の少なくとも一種のヒドロキシル含有化合物と、5〜25重量%の少なくとも一種のケチミンと、30〜60重量%の一種以上の充填剤、色顔料及び耐食性顔料(リン酸水素カルシウムが、充填剤として、0.1〜20重量%の質量分率で含まれる)と、0.1〜5重量%の上記の式(I)の少なくとも一種の化合物とからなる塗料組成物が特に好ましい。
【0054】
塗料組成物の総重量に対して、12〜20重量%の少なくとも一種のイソシアネート化合物と、12〜20重量%の少なくとも一種のヒドロキシル含有化合物と、8〜18重量%の少なくとも一種のケチミンと、8〜25重量%の一種以上の充填剤、色顔料及び耐食性顔料(リン酸水素カルシウムが、充填剤として、0.1〜10重量%の質量分率で含まれる)と、少なくとも一種の溶媒と、0.1〜3重量%の上記の式(I)の少なくとも一種の化合物とからなる塗料組成物が極めて好ましい。
【0055】
本発明において好ましく用いられるイソシアネート化合物の母体構造となるポリイソシアネートは、好ましくは、従来の置換又は無置換の芳香族、脂肪族、環状脂肪族及び/又は複素環式ポリイソシアネートである。
【0056】
好ましくは、このポリイソシアネートまたはイソシアネート化合物の平均NCO官能数が2〜6である。
【0057】
好ましいポリイソシアネートの例としては次のものがあげられる。トリレン−2,4−ジイソシアネート、トルエン2,6−ジイソシアネート、ジフェニルメタン4,4’−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−2,4’−ジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、ビフェニルジイソシアネート、3,3’−ジメチルジフェニル4,4’−ジイソシアネート、テトラメチレン1,4−ジイソシアネート、ヘキサメチレン1,6−ジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサン1,6−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、エチレンジイソシアネート、1,12−ドデカンジイソシアネート、シクロブタン1,3−ジイソシアネート、シクロヘキサン1,3−ジイソシアネート、シクロヘキサン1,4−ジイソシアネート、メチルシクロヘキシルジイソシアネート、ヘキサヒドロトルエン2,4−ジイソシアネート、ヘキサヒドロトルエン2,6−ジイソシアネート、ヘキサヒドロフェニレン1,3−ジイソシアネート、ヘキサヒドロフェニレン1,4−ジイソシアネート、ペルヒドロジフェニルメタン2,4’−ジイソシアネート、メチレンジシクロヘキシル4,4’−ジイソシアネート(例えば、バイエル社のデスモジュール(R)W)、テトラメチルキシリルジイソシアネート(例えば、アメリカンシアナミド社のTMXDI(R))、および上記のポリイソシアネートの混合物。他の好ましいポリイソシアネートは、ポリイソシアネートをオリゴマー化、三量体化、二量体化、ウレタン成形、ビウレット成形またはアロファネート成形して得られるポリイソシアネート類、またはこれらのポリイソシアネートの混合物である。最後に述べたポリイソシアネート類は粘度が低い。
【0058】
特に好ましいポリイソシアネートは、ヘキサメチレン1,6−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、およびメチレンジシクロヘキシル4,4’−ジイソシアネート、これらのビウレット二量体及び/又はイソシアヌレート三量体及び/又はアロファネート及び/又はウレトジオン、及びこれらの親化合物の混合物である。
【0059】
極めて好ましいポリイソシアネートは、ヘキサメチレン1,6−ジイソシアネートの非対称三量体である。これらのポリイソシアネートは、特に粘性が低い。
【0060】
ヒドロキシル含有化合物として、低分子量ポリオール、ポリオールのオリゴマー、重合性のポリオール、またはこれらのポリオールの混合物を使用することが好ましい。
【0061】
これらのヒドロキシル含有化合物の、23℃でDIN−EN−ISO3219/A.3に準じて測定した粘度は、好ましくは<4500mPa・sであり、そのDSCで求めたガラス転移温度は<0℃であることが好ましい。
【0062】
これらのポリオール類のヒドロキシル価は、5〜350mgKOH/g物質であり、好ましくは8〜200mgKOH/g物質である。
【0063】
ヒドロキシル価(OH価)とは、1gの物質にアセチル化により結合した酢酸の量に相当する水酸化カリウムのmg数である。これを求めるには、試料を無水酢酸−ピリジンと共に沸騰させ、得られる酸を水酸化カリウム溶液で滴定する(DIN53240−2)。また、酸価は、それぞれ1gのヒドロキシル含有化合物を中和するのに消費される水酸化カリウムのmg数である(DIN−EN−ISO2114)。
【0064】
好ましくは、ポリオール類の、ポリスチレン標準試薬を用いるゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で求めた質量平均分子量Mwは、650〜20000ダルトンであり、特に好ましくは750〜10000ダルトンである。
【0065】
このヒドロキシル含有化合物は、好ましくはエーテル基及び/又はエステル基を有するポリオールである。このポリオールは、分岐状であることが好ましい。
【0066】
また、これらのポリエステルポリオールの製造に好適な原料は、(例えば、Ullmanns Enzyklopadie der technischen Chemie, 4th edition, Volume 19, pp. 62−65に記載のように)エチレングリコール、1,2−及び1,3−プロピレングリコール、1,3−、1,4−、2,3−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、triメチルヘキサンジオール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、水添ビスフェノール、トリメチルペンタンジオール、ジエチレンジグリコール、ジプロピレンジグリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどの二官能性アルコール類と、アジピン酸、フタル酸(無水物)、イソフタル酸、マレイン酸(無水物)、テレフタル酸、テトラヒドロフタル酸(無水物)、ヘキサヒドロフタル酸(無水物)、コハク酸(無水物)、フマル酸、アゼライン酸、二量体脂肪酸などの二官能性カルボン酸及び/又はこれらの無水物である。同様に少量で併用するのに好適なポリエステル原料としては、安息香酸、2−エチルヘキサン酸、オレイン酸、大豆油脂肪酸、ステアリン脂肪酸、落花生油脂肪酸、亜麻仁油脂肪酸、ノナン酸、シクロヘキサンモノカルボン酸、イソノナン酸、ソルビン酸、共役脂肪酸などのモノカルボン酸や、トリメリット酸(無水物)、ブタンテトラカルボン酸、三量体脂肪酸、トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリスリトール、ヒマシ油、ジペンタエリトリトールなどの多価のカルボン酸やアルコール類、および他のいろいろなポリエステル原料があげられる。
【0067】
ヒドロキシル含有化合物のヒドロキシル含量に対するヒドロキシル含有脂肪酸の重量比は、好ましくは60%を超え、より好ましくは80%を超え、特に好ましくは120%を超える。
【0068】
同様に、ラクトン系のポリエステルジオール(ラクトンのホモポリマーまたはコポリマー)、好ましくは、例えば二官能性開始剤分子と、ε−カプロラクトンまたはγ−ブチロラクトン等のラクトンとのヒドロキシル末端の付加物が好適である。好適な開始剤分子は、上述のジオールであってもよく、低分子量ポリエステルジオールまたはポリエーテルジオールであってもよい。ラクトンのポリマーに代えて、相当するヒドロキシカルボン酸を用いることもできる。
【0069】
同様に好適なポリオール成分は、ポリエーテルポリオールである。これらは、例えば、BFまたは塩基性の触媒の存在下でエチレンオキシド、プロピレンオキシド及び/又はテトラヒドロフランを重合させることで、あるいはこれらの化合物の付加反応、適当なら反応性水素原子を有する開始剤成分、例えばアルコール、アミン、アミノアルコールまたは水との混合物としての付加反応、またはこれらとの逐次での付加反応により得ることができる。
【0070】
本発明に用いることのできる相当するポリエーテルポリオールが、Fett Wissenschaft Technologie/Fat Science Technology、89、pages 147 − 151; J. Polym. Sci.,Part B: Polym. Phys.,2003、42、809−819、およびWO97/0069363に記載されている。
【0071】
市販のヒドロキシル含有化合物の好ましい例としては、デスモフェン1150や、ソベルモル818、ソベルモル805、ソベルモル750、キャスポール5009、キャスポール1938、キャスポール1842があげられる。
【0072】
用いるアルジミンまたはケチミンは、イソホロンジアミンと対応するアルデヒドまたはケトンとの反応の反応生成物であることが特に好ましい。これらの反応生成物の粘度は低いため、これらの本発明の塗料組成物中での使用が好適である。
【0073】
原理的には、March、Advanced Organic Chemistry、Reactions、Mechanisms and Structure、Third edition、page 797、John Wiley & Sonsに記載のようにして、アルジミンやケチミンを製造することができる。他の記載がEP0686654にある。
【0074】
本発明の塗料組成物は、好ましくは<540g/lの量の揮発性有機化合物(VOC)を含んでいる。これらの塗料組成物は<280g/lの量のVOCを含むことが好ましい。VOC含量が低いため、これらの環境に与える悪影響が小さい。
【0075】
本発明の塗装材料に好適な溶媒は、特に、塗装材料中でヒドロキシル含有化合物やイソシアナト含有化合物に対して化学的に不活性であるものか、塗装材料を硬化させる際にヒドロキシル含有化合物やイソシアナト含有化合物と反応しないものである。このような溶媒の例としては、トルエン、キシレン、ソルベントナフサ、ソルベッソ100またはハイドロゾル(R)(ARAL社)などの脂肪族及び/又は芳香族炭化水素、アセトン、メチルエチルケトンまたはメチルアミルケトンなどのケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、ペンチルアセテートまたはプロピオン酸エチルエトキシなどのエステル類、エーテル類または上記の溶媒の混合物があげられる。特に好ましい溶媒は酢酸ブチルである。これらの非プロトン性溶媒または溶媒混合物の含水率は、溶媒に対して、好ましくは1重量%以下、より好ましくは0.5重量%以下である。
【0076】
本発明の塗装材料は、さらに少なくとも一種の既知の典型的な塗料添加物を効果発現量で、即ち塗料組成物の総重量に対して、好ましくは最大30重量%の量で、より好ましくは最大25重量%、極めて好ましくは最大20重量%の量で含んでいてもよい。
【0077】
好適な塗料添加物の例としては、
−特に、UV吸収剤;
−特に、HALS化合物やベンゾトリアゾールまたはオキサルアニリドなどの光安定剤;
−フリーラジカル捕捉剤;
−スリップ添加物;
−重合防止剤;
−脱泡剤;
−当業界では公知で、好ましくは−Si(OR)基に対して不活性の反応性希釈剤;
−シロキサン類、フッ素化合物、カルボキシリックモノエステル類、燐酸エステル類、ポリアクリル酸およびこれらのコポリマー、ポリウレタンなどの界面活性剤;
−トリシクロデカンジメタノールなどの接着促進剤;
−流動制御剤;
−分散剤;
−沈殿防止剤;
−顔料安定剤;
−セルロース誘導体などのフィルム成形助剤;
−二酸化ケイ素、酸化アルミニウムまたは酸化ジルコニウム系のナノ粒子などの充填剤;詳細については、Rompp Lexikon “Lacke und Druckfarben”、Georg Thieme Verlag、Stuttgart、1998、頁s 250〜252を参照;
−充填剤、例えば、ヒュームドシリカや、沈降性シリカ、炭酸カルシウム等の強化充填剤;
−亜鉛ホスフェートなどの充填剤;
−特許WO94/22968、EP−A−0276501、EP−A−0249201またはWO97/12945で公知の添加物;
例えば、EP−A−0008127に開示されている種類の架橋重合性微粒子;モンモリロナイト型の珪酸アルミニウムマグネシウムや、ナトリウムマグネシウム層状ケイ酸塩、ナトリウムマグネシウムフッ素リチウム層状ケイ酸塩などの無機層状ケイ酸塩;アエロジルなどのシリカ類;ポリビニルアルコール、ポリ(メタ)アクリルアミド、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリビニルピロリドン、スチレン−無水マレイン酸コポリマーまたはエチレン−無水マレイン酸コポリマー、これらの誘導体などのイオン性基及び/又は会合性基を有する合成ポリマー;または疎水的に変性されたエトキシ化ウレタンまたはポリアクリレートなどのレオロジー制御添加物;
−及び/又は難燃剤。
【0078】
また、本発明の塗料組成物は、色顔料と耐食性顔料を含んでいてもよい。これらの目的で使用する顔料は、熟練者には公知である。色顔料の例としては、二酸化チタンや酸化亜鉛、硫化亜鉛、リトポン類、硫酸バリウムなどの白色顔料や、カーボンブラック、無機スピネル類、有機黒色顔料などの黒色顔料があげられる。色顔料の他の例としては、無機の有色顔料(酸化鉄や、モリブデン酸鉛、バナジン酸ビスマス、フェロシアナイド青色、群青)や、有機有色顔料(アゾ顔料や、金属コア顔料、トリフェニルメタン顔料、インジゴイド顔料、イソインドリン類、イソインドリノン類、アントラキノン類、キナクリドン類、ペリレン)などの有色顔料があげられる。
【0079】
本発明はまた、少なくとも一種のヒドロキシル含有化合物を含む組成物を少なくとも一種のイソシアナト含有化合物を含む組成物と混合することにより本発明の組成物を製造する方法を提供する。この混合操作の際に、少なくとも一種のアルジミン及び/又はケチミンを含む他の組成物を混合することがさらに好ましい。少なくとも一種のヒドロキシル含有化合物を含む組成物は、一種以上の上記添加物を含むことが好ましい。この混合運転中に、一般式(I)の少なくとも一種のシラン化合物を混合する。
【0080】
好ましくは、式(I)のシラン成分は、充填剤と顔料とを含有する成分、または反応性希釈剤を含む成分に添加される。これは、撹拌下であるいは多成分混合装置中で塗装材料を製造しながら行われる。
【0081】
混合は、好ましくは、温度が10〜30℃、より好ましくは温度が15〜25℃で行われる。
【0082】
本発明はさらに、本発明の塗料組成物の、自動車の再塗装分野での、車両やユーティリティー車(廃棄物容器、シャーシなど)内での、農業機械やレール分野での塗装材料としての利用を提供する。リン酸鉄化またはリン酸亜鉛化などの化学的な前処理の有無に関わらず、サンドブラストや研磨などの機械的な前処理なしに、本発明の塗料組成物をプライマーとして利用することが好ましい。これらの場合は、本発明の塗料組成物を、ベースコートと透明塗料フィルムの下の、あるいは単一層のトップコートの下のプライマーとして使用することができる。アルミニウム基板やスチール基板、プラスチック基板、多材料基板、例えば異なる材料からなる基板上のプライマーとして用いることが好ましい。多材料基板の例としては、特に自動車の再塗装分野での例としては、塗料が剥ぎ取られた領域を有する既存の塗膜である。このような領域では、不特定の金属性基板が、不特定の重合基板(例えば、電着塗膜や、プライマー、ベースコート、透明塗膜)からなる既存の塗膜)と接触している。アルミニウム基板または多材料基板上で使用することが特に好ましい。
【0083】
本発明はまた、本発明の組成物で基板を塗装し、この塗料を硬化させて製造可能な塗膜基板を提供する。この塗膜基板では、ベースコートフィルムと透明塗膜フィルムの下に、あるいは単一の塗膜トップコートの下に、この塗料組成物がプライマーとして塗布される。この基板は、好ましくはアルミニウム、スチールまたはプラスチックまたは多材料の基板である。この基板が、アルミニウム基板または多材料基板であることが特に好ましい。
【0084】
本発明を実施例を参照しながら述べる。
【0085】
実施例
以下の三組成物を調整した。数字は量を示す。
1. 237.3g エーテル基とエステル基とをもつ分岐状ポリアルコール(デスモ フェン1150)
46.0g リン酸水素カルシウム、粒度2.5〜4.0μm (ホイコフォ ス(R)CHP)
229.6g 亜鉛ホスフェート(ホイコフォス(R)ZPA)
205.3g 酢酸ブチル98−100%
15.3g ディスパービク111
6.1g ベントン38
6.1g アエロジルR972
4.6g ベイフェロックス3910
1.5 フラメンルス101ランプブラック
91.9g ルゼナック10MO
61.2g シリチンN85
206.7g ブランフィクセN
290.9g チタンルチルチオナ595 ルチルTiO
91.9g ジーオスフェアスG600

2. 1200g ケチミン(デスモフェン(R)2965)
291g 酢酸ブチル 98−100%
9.0g 安息香酸D

3. 1275g 非対称HMDI 三量体(デスモジュール(R)XP2410)
225g 酢酸ブチル 98−100%
【0086】
200gの成分1と、47.4gの成分3と、60.1gの成分2、と2.1gのシラン1〜5の一つを混合して、成分1と2と3とからなる塗装材料を調整した。このために、好ましくは製造に先立って、このシランを成分1に添加した。
【0087】
本発明の実施例1
シラン1
ゲニオシルGF96(R)
3−アミノプロピルトリメトキシシラン

本発明の例2
シラン2
シルクエストY−9669(R)
N−フェニル−γ−アミノプロピル−トリメトキシシラン

比較例3
シラン3
ゲニオシルGF80(R)
3−グリシジロキシプロピルトリメトキシシラン

比較例4
シラン4
A−リンク597(R)
(トリス(3−(トリメトキシシリル)プロピル)イソシアヌレート

比較例5
シラン5
ビニルトリメトキシシラン
【0088】
得られる塗料組成物を、スチール(マイヤー社のボデー用CRSパネル18)およびアルミニウム(ケメタール社のAlMgSi AA6016、脱脂品)上にプライマー表面材料として塗布し、塗布された塗料を、a)単純に乾燥、またはb)室温で30分間フラッシュオフさせる。その後、標準的なトップコート(例えば、BASFコーティングス社の、60℃で30分間かけて乾燥させるGM40シリーズの油性の二成分高固体塗装材料、または室温で30分間フラッシュオフし、次いで60℃で60分間乾燥させるGW32シリーズの水性二成分塗装材料)を重ね塗りする。
【0089】
試験:
横切断試験は、DIN−ISO2409に準じて実施する。
【0090】
塩水噴霧試験SS
規格: DIN 50021−SS
試験装置: DIN 50021の腐食試験装置:
リービッシュ社のSL2000およびSL2000
ヘレウス−ボッチ社のVSNK1500S
試験槽温度: 35±2℃、連続的
試験サイクル: NaCl水溶液の噴霧
試験パラメーター: 塗布液のNaCl濃度:50±5g/l
塗布液のpH:6.5〜7.2(23±2℃)
塗布量=1.5±0.5ml/h・80cm
試験所要時間: 24H/day
【0091】
塩水噴霧試験ESS
規格: DIN 50021 −ESS
試験装置: DIN50021による腐食試験装置:
リービッシュ社のSL2000及びSL2000
試験槽温度: 35±2℃、連続的
試験サイクル: NaCl水溶液の噴霧、酢酸で酸性化
試験パラメーター: 塗布液のNaCl濃度:50±5g/l
塗布液のpH=3.1〜3.3(23±2℃)
塗布量=1.5±0.5ml/h・80cm
試験所要時間: 24H/day
【0092】
引っかき試料:
相対基準1〜10、1:最低、10:最高

トップコートの寿命
相対基準1〜10、1:最低、10:最高
【0093】
【表1】