特許第5695596号(P5695596)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社アイアンドディの特許一覧

<>
  • 特許5695596-カード類及びシート類の処理装置 図000002
  • 特許5695596-カード類及びシート類の処理装置 図000003
  • 特許5695596-カード類及びシート類の処理装置 図000004
  • 特許5695596-カード類及びシート類の処理装置 図000005
  • 特許5695596-カード類及びシート類の処理装置 図000006
  • 特許5695596-カード類及びシート類の処理装置 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5695596
(24)【登録日】2015年2月13日
(45)【発行日】2015年4月8日
(54)【発明の名称】カード類及びシート類の処理装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 31/24 20060101AFI20150319BHJP
   B65H 29/48 20060101ALI20150319BHJP
   B65H 43/06 20060101ALI20150319BHJP
   G07D 9/00 20060101ALN20150319BHJP
【FI】
   B65H31/24
   B65H29/48
   B65H43/06
   !G07D9/00 481Z
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-72981(P2012-72981)
(22)【出願日】2012年3月28日
(65)【公開番号】特開2013-203511(P2013-203511A)
(43)【公開日】2013年10月7日
【審査請求日】2013年5月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】503221724
【氏名又は名称】株式会社アイアンドディ
(74)【代理人】
【識別番号】100100413
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 温
(74)【代理人】
【識別番号】100123696
【弁理士】
【氏名又は名称】稲田 弘明
(72)【発明者】
【氏名】井原 敦実
【審査官】 渋谷 善弘
(56)【参考文献】
【文献】 特開平01−271364(JP,A)
【文献】 特開平02−147560(JP,A)
【文献】 特開平09−091496(JP,A)
【文献】 特開平08−133526(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 31/00−31/40
B65H 29/48,43/06
G07D 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カード類及びシート類(以下、カード類等ともいう)を処理する装置であって、
処理済みのカード類等が排出されて積み重ねられるスタッカーとして、
カード類等の排出方向の上流側に設けられた所定枚数のカード類等を収容可能な本体スタッカーと、
該本体スタッカーの下流側に設けられた増設スタッカーと、を備え、
前記本体スタッカーから前記増設スタッカーへ、カード類等の排出を切り替える切替機構として、
前記本体スタッカーをオーバーフローするカード類等を検出する検出部と、
該検出部で検出したカード類等の次から排出されるカード類等を前記増設スタッカーへと滑り落とさせる切替スロープと、を有し、
前記切替機構として、
前記本体スタッカーからオーバーフローするカード類等の先端が当たって係止されるとともに、前記カード類等の当接によって少量変位する検出部としてのストッパーと、
該ストッパーの変位に連動して、本体スタッカー排出姿勢から増設スタッカー排出姿勢に切り替えられる切替スロープと、
を有することをカード類及びシート類の処理装置。
【請求項2】
カード類及びシート類(以下、カード類等ともいう)を処理する装置であって、
処理済みのカード類等が排出されて積み重ねられるスタッカーとして、
カード類等の排出方向の上流側に設けられた所定枚数のカード類等を収容可能な本体スタッカーと、
該本体スタッカーの下流側に設けられた増設スタッカーと、を備え、
前記本体スタッカーから前記増設スタッカーへ、カード類等の排出を切り替える切替機構として、
前記本体スタッカーをオーバーフローするカード類等を検出する検出部と、
該検出部で検出したカード類等の次から排出されるカード類等を前記増設スタッカーへと滑り落とさせる切替スロープと、を有し、
該切替スロープが、本体スタッカー排出姿勢から増設スタッカー排出姿勢に切り替えられるものであって、前記増設スタッカー排出姿勢において前記本体スタッカーの上面開口を覆いカード類等を前記増設スタッカーへ導く覆い部を有することを特徴とするカード類及びシート類の処理装置。
【請求項3】
前記検出部及び前記切替スロープが前記増設スタッカーに付設されていることを特徴とする請求項1又は2記載のカード類及びシート類の処理装置。
【請求項4】
カード類等を処理する装置における処理済みのカード類等が排出されて積み重ねられる本体スタッカーのカード類等の排出方向の下流側に置かれる増設スタッカーであって、
前記本体スタッカーから前記増設スタッカーへ、カード類等の排出を切り替える切替機構として、
前記本体スタッカーからオーバーフローするカード類等の先端が当たって係止されるとともに、前記カード類等の当接によって少量変位する検出部としてのストッパーと、
該ストッパーの変位に連動して、本体スタッカー排出姿勢から増設スタッカー排出姿勢に切り替えられる切替スロープと、
を有することを特徴とする増設カード類及びシート類スタッカー。
【請求項5】
前記ストッパーが、
前記本体スタッカーの上面より上方に突き出た当接部と、
前記切替スロープとの係合部と、を有し、
前記増設スタッカーにカード類等の排出方向における前方に回動可能に支持されており、
前記切替スロープが、
前記ストッパーの係合部と係合して、該切替スロープを前記本体スタッカー排出姿勢に維持する係合部と、
前記増設スタッカー排出姿勢において前記本体スタッカーの上面開口を覆い、カード類等を前記増設スタッカーへ導く覆い部と、を有し、
前記増設スタッカーにカード類等の排出方向における前方及び後方に回動可能に支持されているとともに、前記増設スタッカー排出姿勢へ回動するよう付勢されていることを特徴とする請求項1若しくは3に記載のカード類及びシート類の処理装置、又は、請求項4記載の増設カード類及びシート類スタッカー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、処理済みのカード類やシート類を受け入れて収容するスタッカーを備えたカード類及びシート類の処理装置に関する。特には、増設可能なスタッカーを備えたカード類及びシート類の処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
紙やプラスチック製のカード類は、会員証や、学生証、社員証等の身分証明書や、チケット、名刺、タグ等として使用されている。これらのカード類は、プリンターや磁気式等のカードリーダーライター等によって様々な情報の印刷や書き込み(処理)が行われる。
【0003】
処理済みのカード類は、通常、アウトプットスタッカーに排出(放出)され、積み重ねられる(収容される)。スタッカーは、一般に上面の開いた箱状のもので、収容されるカードの枚数は、スタッカーの高さ(深さ)によって決まる。作業効率を考慮すると、収容枚数を多くすることが望まれるが、その場合スタッカーの高さを高くする必要があり、それに伴い処理装置のカード排出位置も高くしなければならなくなる。その結果、装置の高さが高くなり、装置のコンパクト化の要請に反することとなる。
【0004】
デスク置き型の小型プリンターの場合、例えば、JIS規格の厚さ0.76mmのプラスチック製のカードの場合、収容枚数は30枚〜75枚である。なお、プリンターへカードを送り込むインプットスタッカーは、通常、アウトプットスタッカーよりも収容枚数が多い(例えば200枚)。これは、インプットスタッカーは、上方向(空間)に高くしやすいが、アウトプットスタッカーは、カードが自重で落ち込むため、装置のカード排出口よりも高くできないためである。なお、近年は、プリンターの小型化の傾向が進んでおり、カード排出口の高さはより低くなる状況である。
もし、排出されたカードがスタッカーの容量を超えると、排出されたカードがぶつかって排出できなくなって、機器の故障の原因となったりカードが破損したりするおそれがある。また、容量を超えたカードがスタッカーの回りに散らばってしまい、散らばったカードを手で集めて重ねる必要がある。ここで、カードの順番が決められている場合、集める際に順番が乱れてしまうことがある。このため、スタッカーに満杯近くにカードが溜まるタイミングで人が監視しておく必要がある。
【0005】
もし、カードがスタッカーからオーバーフローしてしまうと、散乱したカードを集めて重ねても、カードの順番がくるってしまう。そして、正しい順番に並べ替える、あるいは、順番を確認するには、カード作製データと現物のカードを照合する必要があり、手間がかかるとともに、エラーが生じやすい作業となる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前記の課題に鑑みてなされたものであって、本体スタッカーが満杯になった後、同スタッカーをオーバーフローしたカード類及びシート類を自動的に増設スタッカーへ導くことのできるスタッカーを備えたカード類及びシート類の処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のベースとなるカード類及びシート類(以下、カード類等ともいう)の処理装置は、 カード類等を処理する装置であって、 処理済みのカード類等が排出されて積み重ねられるスタッカーとして、 カード類等の排出方向の上流側に設けられた所定枚数のカード類等を収容可能な本体スタッカーと、 該本体スタッカーの下流側に設けられた増設スタッカーと、を備え、 前記本体スタッカーから前記増設スタッカーへ、カード類等の排出を切り替える切替機構として、 前記本体スタッカーをオーバーフローするカード類等を検出する検出部と、 該検出部で検出したカード類等の次から排出されるカード類等を前記増設スタッカーへと滑り落とさせる切替スロープと、を有する。
【0008】
本発明によれば、本体スタッカーのカード類等の排出方向の下流側に隣接させて増設スタッカーを配置しておく。本体スタッカーからオーバーフローするカード類等が検出部で検出されると、切替スロープが増設スタッカーへ排出されるカード類等を案内する位置(姿勢)に自動的に切り替わる。そして、オーバーフローした次のカード類等から、増設スタッカーに順番に排出され、積み重ねられる。したがって、収容枚数を増やすことができるとともに、カード類等を順番に収容できる。これにより、人が監視するタイミングの間隔が長くなる。さらに、カード類等の順番確認の手間や、順番エラーを防ぐことができる。なお、オーバーフローした一枚目のカードは本体スタッカーに留めておく。
【0009】
検出されるカード類等はオーバーフローする「一枚目」とし、増設スタッカーへ案内するのはオーバーフローする「二枚目」とするのが一般的と考えられる。ただし、検出するカード、増設スタッカーへ案内されるカード類等は、二枚目や三枚目、四枚目などであってもよい。なお、オーバーフローするカード類等は検出部(ストッパー)で本体スタッカー上から落ちないように保持される。
【0010】
ここで、カード類とは、紙製やプラスチック製のICカード又は磁気カードを使用する会員証、学生証、社員証、チケット、タグ、名刺等を含む。また、処理装置とは、プリンターや、ICチップ・磁気テープのリーダー・ライター、ラミネーター等を含む。また、シート類とは、紙、フィルム等も含む。シート類処理装置としては、プリンター、ラミネーター等を含む。
【0011】
本発明においては、 前記検出部及び前記切替スロープが前記増設スタッカーに付設されていることが好ましい。
【0012】
本発明によれば、さまざまな装置の本体スタッカーの下流側に隣接させて配置するだけでアウトプットスタッカーの容量を増加できる。
【0013】
本発明においては、 前記切替機構が、 前記本体スタッカーからオーバーフローするカード類等の先端が当たって係止されるとともに、前記カード類等の当接によって少量変位する検出部としてのストッパーと、 該ストッパーの変位に連動して、本体スタッカー排出姿勢から増設スタッカー排出姿勢に切り替えられる切替スロープと、を有することとできる。なお、電気センサによる制御、駆動式紙・カード送りも可能である。
【0014】
本発明によれば、機械的は構成のみで増設スタッカーへの切替ができる。電気的な検知部等を使用していないので、配線などが不要となり、構造が簡単で安価に製造可能である。
【0015】
本発明の増設スタッカーは、 カード類等を処理する装置における処理済みのカード類等が排出されて積み重ねられる本体スタッカーのカード類等の排出方向の下流側に置かれる増設スタッカーであって、 前記本体スタッカーから前記増設スタッカーへ、カード類等の排出を切り替える切替機構として、 前記本体スタッカーからオーバーフローするカード類等の先端が当たって係止されるとともに、前記カード類等の当接によって少量変位する検出部としてのストッパーと、 該ストッパーの変位に連動して、本体スタッカー排出姿勢から増設スタッカー排出姿勢に切り替えられる切替スロープと、を有することを特徴とする。
【0016】
これらの発明においては、 前記ストッパーが、 前記本体スタッカーの上面より上方に突き出た当接部と、 前記切替スロープとの係合部と、を有し、 前記増設スタッカーにカード類等の排出方向における前方に回動可能に支持されており、 前記切替スロープが、 前記ストッパーの係合部と係合して、該切替スロープを前記本体スタッカー排出姿勢に維持する係合部と、 前記増設スタッカー排出姿勢において前記本体スタッカーの上面開口を覆い、カード類等を前記増設スタッカーへ導く覆い部と、を有し、 前記増設スタッカーにカード類等の排出方向における前方及び後方に回動可能に支持されているとともに、前記増設スタッカー排出姿勢へ回動するよう付勢されていることとできる。
【発明の効果】
【0017】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、本体スタッカーと、本体スタッカーのカード類等の排出方向の下流側に隣接して配置される増設スタッカーとを備える。本体スタッカーからオーバーフローするカード類等が検出部で検出されると、切替スロープが増設スタッカーへ排出されるカード類等を案内する位置(姿勢)に自動的に切り替わる。そして、オーバーフローした次のカード類等から、増設スタッカーに順番に排出され、積み重ねられる。このように人が監視を要するタイミングの間隔が長くなるので、人手がかからなくて済む。
【0018】
また、収容枚数を増やすことができるとともに、カード類を順番に収容できる。したがって、散乱したカードを並べ直す手間や順番を確認する手間がかからない。さらに、排出されるカード類やシート類がぶつかることがないので、機器の紙詰まり等による故障や、カードの破損を防止できる。さらには、人為的なミスが生じる可能性をなくすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施の形態に係るスタッカーの斜視図である。
図2図1のスタッカーの側断面図である。
図3】増設スタッカーの斜視図である。
図4】切替スロープの切替を説明する図であり、図4(A)は切替スロープが本体スタッカー排出姿勢の状態、図4(B)は切替スロープが増設スタッカー排出姿勢に切り替えられた状態を示す。
図5】切替スロープが増設スタッカー排出姿勢に切り替えられた後でカードが排出される状態を示す図である。
図6】切替スロープとストッパーを係合させる過程を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1図2を参照して、本発明の実施の形態に係るカード類処理装置に備えられるスタッカーを説明する。図1は、本体スタッカーと増設スタッカーとを連結した状態を示す斜視図である。図2は、本体スタッカーと増設スタッカーとを連結した状態を示す側断面図である。なお、以下では、カード類(単にカードともいう)の処理を例にとって説明するが、紙やフィルム等のシート類の処理にも使用できる。また、切替機構としては、純機械式のもの以外に電気センサを用いてもよい。また、スロープのカード類搬送は駆動式でもよい。
スタッカー1は、処理装置の排出口の、カード排出方向の上流側に配置された、所定枚数のカード類を収容可能な本体スタッカー10と、本体スタッカー10の下流側に連結される増設スタッカー20と、を備える。増設スタッカー20には、本体スタッカー10から増設スタッカー20、カード類の排出を切り替える切替機構(ストッパー30、切替スロープ40など)が備えられている。この切替機構は、本体スタッカー10をオーバーフローした一枚目のカードを検出して、検出されたカードの次に排出されるカードを増設スタッカー20へ案内する。
各図において、カード排出方向を前方、その反対方向を後方とし、カード排出方向に直交する方向を左右方向とする。
【0021】
本体スタッカー10は、上面が開口した箱状のものであり、前板10a、後板10b、両側板10c、及び、底板10dを有する。図2に示すように、底板10dは、カードの寸法とほぼ同じ寸法の長方形であり、カード排出方向の下流に向かって(前方に向かって)下方に傾斜している。また、同スタッカー10の上面10eも、底板10dとほぼ平行に、前方に向かって下方に傾斜している。前板10aは、底板10dと直交するように、やや前方に傾斜している。後板10bは水平面に対してほぼ直角となっている。これにより、本体スタッカー10の中空部はやや上方に向かって広くなっている。
【0022】
前板10aの上縁の左右方向中央から、底板10dの前半部に渡って、所定の幅のスリット11が形成されている。このスリット11は、収容されたカードの取り出し用のものである。
また、両側板10cの前端寄りの部分には、増設スタッカー連結用の突起13が形成されている。
【0023】
図3も参照して増設スタッカーを説明する。図3は、増設スタッカーの斜視図である。
増設スタッカー20も、上面が開口した箱状のものであり、前板20a、後板20b、両側板20c、及び、底板20dを有する。底板20dは、カードの寸法とほぼ同じ寸法の長方形であり、前方に向かって、本体スタッカー10の底板10dの傾斜角度とほぼ同じ角度で下方に傾斜している。同スタッカー20の上面20eは、本体スタッカー10の上面10eの前端よりもやや低い高さから、底板20dの傾斜角度とほぼ同じ角度で、前方に向かって下方に傾斜している。前板20aは、底板20dと直交するように、やや前方に傾斜している。両側板20cは、後板20bよりも後方に延びている。両側板20cの後端は、前板20aとほぼ平行に、やや前方に傾斜している。
【0024】
前板20aの上縁の左右方向中央から、底板20dの前半部に渡って、所定の幅のスリット21が形成されている。これは、収容されたカード類の取り出し用のものである。
後板20bには、上端の左右方向中央から下端寄りまで延びる、所定の幅のスリット23が形成されている。このスリット23には、後述するように切替40スロープが入り込む。
また、両側板20cの後端寄りの部分には、増設スタッカー連結用の突起13に係合するホック部25が形成されている。
【0025】
切替機構は、本体スタッカー10からオーバーフローするカードの先端が当たるストッパー30と、排出されるカードを本体スタッカー排出姿勢から増設スタッカー排出姿勢に切り替える切替スロープ40と、から構成される。
【0026】
ストッパー30は、図2図3に示すように、両側板20cの後端間の、増設スタッカー20の後板20dより後方に配置され、カードの先端が当たる当接部31と、後述する切替スロープ40と係合する係合部32と、を有する。当接部31は、増設スタッカー20の後板20dに対向するように配置され、左右方向に長い基部31aと、基部31aの中央から上方へ延びる突部31とを有し、逆T字型の平面形状である。
係合部32は、当接部31の基部31aの下縁からほぼ直角に前方に延びている。係合部32の前端には、ほぼ直角に上方に折り返された係合片33が形成されている。この係合片33に、後述する切替スロープ40の下端が係合する。
【0027】
図2、3に示すように、ストッパー30の当接部31の基部31aの左右端は、増設スタッカー20の両側板20cの内側に、回転軸35によって回動可能に支持されている。これにより、ストッパー30は、回転軸35を中心として、通常姿勢から前方に回動可能である。通常姿勢とは、図2に示す姿勢であり、当接部31が、増設スタッカー20の両側板20cの後端とほぼ平行な姿勢(やや前方に傾斜した姿勢)である。ストッパー30は、増設スタッカー20の両側板20cの後端に形成された係止部37によって、通常状態から図の反時計方向への回動を抑制されている。当接部31の縦方向の長さ(高さ)については後述する。
【0028】
切替スロープ40は、増設スタッカー20の両側板20cの後端間の、ストッパー30と後板20dとの間に配置され、前述のストッパー30の係合部32と係合する係合部41と、本体スタッカー10の開口に被さる覆い部42と、を有する。係合部41は、増設スタッカー20の後板20dに対向するように配置されており、高さは、ストッパー30の当接部31の高さよりもやや高い。覆い部42は、係合部41の上縁から、ストッパー30の上縁を越えてほぼ直角に後方に延びている。係合部41と覆い部42の幅は、増設スタッカー20の後板20bに形成されたスリット23の幅よりやや狭い。覆い部42の長さについては後述する。
【0029】
切替スロープ40の係合部41の下部は左右に延びており、左右端で、増設スタッカー20の両側板20cの内側に、回転軸45によって回動可能に支持されている。回転軸45は、ストッパー30の回転軸35及び係合片33よりも前方に位置している。これにより、切替スロープ40は、回転軸45を中心として、前方及び後方に回動可能である。
【0030】
切替スロープ40の係合部41の回動軸45より下方の部分と、増設スタッカー20の底板20dの下面のほぼ中央との間には、バネ47が配置されている。このバネ47は、切替スロープ40を回転軸45を中心として後方に回動するように付勢している。
【0031】
ストッパー30と切替スロープ40との係合について説明する。
ストッパー30は、係止部37により通常姿勢(当接部31が増設ストッカー20の両側板20cの後端とほぼ平行な姿勢)に維持されている。切替スロープ40は、係合部41の下端が、ストッパー30の係合部32の係合片33に係合している。係合片33は、切替スロープ40の回動軸45よりも後方に位置しているので、切替スロープ40の係合部41の回動軸45よりも下方の部分が後方に引っ張られ、これにより、切替スロープ40は最も前方に回動した状態に維持されている。つまり、切替スロープ40の係合部41は、やや前方に傾斜して増設スタッカー20の後板20bに形成されたスリット23内に入り込み、前面が同スリット23の底面に当接している。
【0032】
ストッパー30と切替スロープ40とが係合した状態の増設スタッカー20を本体スタッカー10に連結する際は、図1に分かりやすく示すように、増設スタッカー20のホック部25を本体スタッカー10の突部13に引っ掛ける。これにより、増設スタッカー20は本体スタッカー10の下流に隣接して配置され、増設スタッカー20のストッパー30の当接部31は、本体スタッカー10の前板10aとほぼ平行に対向する。ここで、当接部31の突部31bの上端は、本体スタッカー10の前板10aの上端よりも高い位置にある。本体スタッカー10の前板10aの上端と、ストッパー30の当接部31の突部31bの上端との間隔は、カードの一枚分の厚さより厚い。
【0033】
また、切替スロープ40の覆い部42は本体スタッカー10の上面10eよりも上方に位置しており、覆い部42と本体スタッカー10の上面10eとの間にはある程度の空間が開いている(本体スタッカー排出姿勢)。
【0034】
図2に示すように、処理装置の排出ローラD(あるいは排出口)から排出されたカードC1は、自重により本体スタッカー10へ落下し、同スタッカー10内に積み重ねられる。この際、切替スロープ40の覆い部42は本体スタッカー10の上面10eから離れているので、覆い部42はカードC1の落下を妨げない。
【0035】
図4図5を参照して、本体スタッカーをオーバーフローしたカードが増設スタッカーへ切り替えられる様子について説明する。
図4(A)に示すように、本体スタッカー10が、n枚目のカードC0で満杯になったとする。本体スタッカー10の底板10dは前方に向かって下方に傾斜しているので、カードも前方に向かって下方に傾斜した姿勢で積み重ねられている。このため、n枚目のカードC0は、前端が本体スタッカー10の前板10aに当接している。次に、(n+1)枚目のカードC1が排出されると、このカードC1は、n枚目のカードC0の上面に落下し、同面に沿って自重により前方に滑って行く。
【0036】
このカードC1は、図4(B)に示すように、本体スタッカー10の前板10aを越えて、増設スタッカー20のストッパー30の当接部31に当接する。すると、ストッパー30の当接部31は(n+1)枚目のカードC1で押されて、回転軸35を中心として前方に回動する。すると、切替スロープ40の係合部41と係合していた、ストッパー30の係合部32は後方へ回動し、同係合が外れる。これにより、切替スロープ40はバネ47で付勢されて後方へ回動する。そして、切替スロープ40の覆い部42が、本体スタッカー10の上面開口を覆うように回動して、覆い部42の先端が(n+1)枚目のカードC1の上面に当接する。ここで、覆い部42はやや前方向かって下方に傾斜している(増設スタッカー排出姿勢)。また、切替スロープ40にはバネ47によって後方へ回動する力がかかっているので、覆い部42の先端はカードC1の上面に押圧されている。
なお、覆い部42の長さは、排出部Dから排出されるカードの前端が、覆い部42の上面に当接するだけの長さとなっている。つまり、排出されたカードの前端が、覆い部42に達しない事態を避ける必要がある。この長さは、排出部Dとスタッカー1との前後方向及び上下方向の位置関係で決められる。
【0037】
次に、(n+2)枚目のカードC2が排出されると、同カードC2の前端は切替スロープ40の覆い部42の上面に当たる。覆い部42は前方に向かって下方に傾斜しているので、そのまま覆い部42に沿って自重で落下し、図5に示すように、増設スタッカー20に案内される。このように、(n+2)枚目以降のカードは、切替スロープ40の覆い部42に沿って増設スタッカー20に案内され、積み重ねられる。
【0038】
次に、増設スタッカー20において、ストッパー30と切替スロープ40とを係合させる方法について、図6を参照して説明する。
図6に示すように、指F1でストッパー30の当接部31を前方に押して、当接部31を前方に、係合部32を後方(図の左方向)に回動させておく。そして、別の指F2で切替スロープ40の覆い部42を前方に引き上げ、前方に回動させる。これにより、切替スロープ40の係合部41の回動軸45の下方の部分は後方に回動する。この際、切替スロープ40の係合部41の下端は、ストッパー30の係合部32の係合片33の上縁を越えて後方に達する。そして、ストッパー30を通常姿勢に戻すと、ストッパー30の係合部32の係合片33が切替スロープ40の係合部41の下端に係合する。
【0039】
なお、切替スロープ40の本体スタッカー排出姿勢から増設スタッカー排出姿勢への切り替えを、センサで検知し、ランプの点灯やブザーをならすなどで知らせることが好ましい。
【0040】
ストッパー30と切替スロープ40、バネ47などからなる切替機構は、上述の例では(n+1)枚目のカードによって作動し、(n+2)枚目のカードからを増設スタッカー20に収容するものであったが、(n+2)枚目(あるいはそれ以上)のカードによって作動し、(n+3)枚目(あるいはそれ以上)のカードからを増設スタッカー20に収容するようにしてもよい。ストッパー30や切替スロープ40の厚さ・重さ、バネ47の強さ、回動支点の位置等は、カードの自重等に応じて選択できる。
【符号の説明】
【0041】
1 スタッカー
10 本体スタッカー 11 スリット
13 突起
20 増設スタッカー 21 スリット
23 スリット 25 ホック部
30 ストッパー 31 当接部
32 係合部 33 係合片
35 回転軸 37 係止部
40 切替スロープ 41 係合部
42 覆い部 45 回転軸
47 バネ
図1
図2
図3
図4
図5
図6