(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上記強度弱部は、上記第1のノックオフボルト及び上記第2のノックオフボルトの軸部に、該軸部よりも断面積を減少させて設けられていることを特徴とする請求項1に記載のダンパ取付装置。
上記第1のブラケットは、上記第1の橋梁構造物が上記第2の橋梁構造物から落下することを防止する落橋防止装置を更に上記第1の橋梁構造物に取り付けることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のダンパ取付装置。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を適用したダンパ取付装置について図面を参照して説明する。なお、以下、ダンパ取付装置について、以下の順に沿って説明する。
【0015】
1.ダンパ取付装置の使用状態の説明
2.ダンパ取付装置の構成の説明
3.ダンパ取付装置の動作の説明
4.ダンパ取付装置の効果の説明
5.ダンパ取付装置の変形例の説明
5−1.第1の変形例
5−2.第2の変形例
5−3.全体の変形例
【0016】
[1.ダンパ取付装置の使用状態の説明]
図1に示すように、本発明を適用したダンパ取付装置10は、橋桁1が支承装置(不図示)を介して橋脚2に設置された状態において、橋桁1及び橋脚2に設置され、ダンパ装置20を橋桁1と橋脚2との間に設けている。このダンパ取付装置10は、橋梁に例えば地震動レベル1,2等の想定内の地震動が作用した場合には、ダンパ装置20によって、振動エネルギを吸収して振動を減衰させ、橋桁1の変位量を制限する。また、ダンパ取付装置10は、橋梁に例えば地震動レベル2を超えた地震動が作用した場合には、ダンパ装置20によって橋梁に損傷を与えることなく、速やかにダンパ装置20を機能喪失させる。なお、ダンパ取付装置10は、例えば、橋桁1が支承装置を介して橋台に設置された状態において、橋桁1及び橋台に設置され、ダンパ装置20を橋桁1と橋台との間に設けるようにしても良い。以下、ダンパ取付装置10について、橋桁1及び橋脚2に設けた場合を例に説明する。
【0017】
[2.ダンパ取付装置の構成の説明]
図1に示すように、ダンパ取付装置10は、橋桁1に設置され、ダンパ装置20の一端を橋桁1に取り付ける第1のブラケット30と、橋脚2に設置され、ダンパ装置20の他端を橋脚2に取り付ける第2のブラケット40とを備えている。
【0018】
ダンパ装置20は、
図1に示すように、一端が第1のブラケット30を介して橋桁1に取り付けられ、他端が第2のブラケット40を介して橋脚2に取り付けられることで、橋桁1と橋脚2との間に設けられている。更に、ダンパ装置20は、例えば、シリンダ、ピストン、ロッド、充填材等で構成され、両端にダンパ装置20を第1のブラケット30及び第2のブラケット40に締結するための締結部材21が設けられた従来公知の粘性ダンパである。ダンパ装置20は、地震によって急激な振動が発生した場合等に、振動を有効に減衰させる。なお、ダンパ装置20については、従来公知の粘性ダンパであるので、ここでは詳細な説明は省略する。
【0019】
第1のブラケット30は、例えば金属材料で形成されており、
図1に示すように、橋桁1に取り付けられる取付面となる取付部31と、取付部31に設けられ、ダンパ装置20の一端が取り付けられるダンパ取付部32とを有している。
【0020】
取付部31は、例えば板状に設けられており、通常のボルト及びナット又は溶接によって橋桁1に固定される。なお、取付部31は、従来公知の他の固定手段によって橋桁1に固定されるようにしても良い。
【0021】
ダンパ取付部32は、例えば板状に設けられており、主面に、ダンパ装置20の一端側の締結部材21を締結する第1のノックオフボルト50が挿通される挿通孔32aが形成されている。そして、ダンパ取付部32には、他端側の主面に、ダンパ装置20の一端側の締結部材21の締結部21aが第1のノックオフボルト50及びナット51によって締結されることで、ダンパ装置20の一端側の締結部材21が取り付けられる。なお、挿通孔32aをネジ孔で形成し、このネジ孔から成る挿通孔32aに第1のノックオフボルト50を螺合することで、ダンパ取付部32にダンパ装置20の一端側の締結部材21の締結部21aを取り付けるようにしても良い。
【0022】
第2のブラケット40は、例えば金属材料で形成されており、
図1に示すように、略L字状の一対の係合部材41,41が所定の間隔をあけて対向配置された構成を有し、それぞれ他端片が橋脚2に通常のボルト及びナット又は溶接によって固定されている。なお、第2のブラケット40は、従来公知の他の固定手段によって橋脚2に固定されるようにしても良い。
【0023】
また、第2のブラケット40の係合部材41の一端片41aには、ダンパ装置20の他端側の締結部材21の締結部21aを締結する第2のノックオフボルト60が挿通される挿通孔42が形成されている。そして、第2のブラケット40には、一端片41a,41a間からダンパ装置20の他端側の締結部材21の一部を外部に露出させた状態で、一端片41aの内部側の主面に、この他端側の締結部材21の締結部21aが第2のノックオフボルト60及びナット61によって締結されることで、ダンパ装置20の他端側の締結部材21が取り付けられる。
【0024】
次に、第1のノックオフボルト50及び第2のノックオフボルト60について説明する。なお、第1のノックオフボルト50及び第2のノックオフボルト60は、同様の構成を有するので、ここでは第1のノックオフボルト50についてのみ説明し、第2のノックオフボルト60については説明を省略する。
【0025】
第1のノックオフボルト50は、
図2に示すように、軸部52と、軸部52と一体の頭部53と、軸部52に形成された強度弱部54とを有している。強度弱部54は、軸部52の他の領域よりも断面積が小さくなるように設けられている。ここでは、強度弱部54は、例えば、軸部52の円周上に全周に亘って断面略V字状の凹溝55が形成されることで、軸部52の他の領域よりも縮径して設けられている。これにより、第1のノックオフボルト50は、軸方向に想定を超えた引張荷重が作用した場合には強度弱部54が破断するように設けられている。より具体的には、強度弱部54は、橋梁に例えば地震動レベル1,2等のダンパ装置20の想定内の地震動が作用した場合にダンパ取付装置10に付加される想定内の外力(引張荷重)では破断せず、橋梁に地震動レベル2を超えたダンパ装置20の想定を超えた地震動が作用した場合にダンパ取付装置10に付加される想定を超えた外力(引張荷重)、例えば、ダンパ装置20の降伏力をある程度超過する外力が作用する場合では破断するように設けられている。
【0026】
更に、強度弱部54は、ダンパ取付装置10の他の構成部材よりも構造的強度が低く設けられている。具体的には、強度弱部54は、ダンパ装置20、第1のブラケット30、第2のブラケット40、第1のブラケット30と橋桁1とを締結する通常のボルト及びナット(溶接の場合には第1のブラケット30と橋桁1との溶接強度)、第2のブラケット40と橋脚2とを締結する通常のボルト及びナット(溶接の場合には第2のブラケット40と橋脚2との溶接強度)よりも構造的強度が低く設けられている。換言すると、ダンパ取付装置10の他の構成部材は、強度弱部54よりも、構造的強度が高くなるように設けられている。
【0027】
なお、強度弱部54は、他の構成部材よりも構造的強度を低く設けることができれば、略V字状の凹溝55の他に、U字状や矩形状等、如何なる形状の凹溝55によって形成するようにしても良い。また、強度弱部54は、縮径して設けることに限定されるものではなく、穴、切欠き、キー溝等の凹部を1又は複数個形成して、断面積を小さくして、他の構成部材よりも構造的強度を低く設けて形成するようにしても良い。更に、強度弱部54は、軸部52の他の領域よりも断面積が小さくなるように設けることに限定されるものではなく、軸部52に焼きを入れる等して、構造的強度を低く設けるようにしても良い。
【0028】
[3.ダンパ取付装置の動作の説明]
次に、以上のような構成を有するダンパ取付装置10に大規模地震時の振動等によって想定を超えた地震動が作用して、ダンパ装置20に想定を超えた外力が付加された場合のダンパ取付装置10の動作について説明する。
【0029】
先ず、
図1に示すように、橋梁に想定を超えた地震動が作用して、ダンパ装置20が収縮する方向に想定を超えた外力が付加された場合について説明する。
【0030】
この場合、第1のブラケット30には、
図1中の矢印A1に示すように、ダンパ装置20の一端側の締結部材21をダンパ装置20の他端側の締結部材21側に押圧する方向に外力が付加される。しかしながら、第1のブラケット30のダンパ取付部32とダンパ装置20の一端側の締結部材21の締結部21aとが主面同士を突き合わせて設けられているので、ダンパ装置20の一端側の締結部材21の締結部21aが第1のブラケット30から面圧を受けるだけで、ダンパ装置20の一端側の締結部材21と第1のブラケット30とを締結する第1のノックオフボルト50には、想定を超えた外力が付加されない。
【0031】
その一方で、第2のブラケット40には、
図1中の矢印A2に示すように、ダンパ装置20の他端側の締結部材21から離間する方向に外力が付加される。したがって、ダンパ装置20の他端側の締結部材21と第2のブラケット40とを締結する第2のノックオフボルト60には、引張荷重が付加される。すると、第2のノックオフボルト60には、想定を超えた引張荷重が付加されて、強度弱部64で破断する。これにより、ダンパ取付装置10は、ダンパ装置20の他端側の締結部材21と第2のブラケット40との締結状態が外れ、ダンパ装置20によって、第1のブラケット30、第2のブラケット40、橋桁1及び橋脚2に損傷を与えることなく、速やかにダンパ装置20を機能喪失させる。
【0032】
次に、
図3に示すように、橋梁に想定を超えた地震動が作用して、ダンパ装置20が伸張する方向に想定を超えた外力が付加された場合について説明する。
【0033】
この場合、第2のブラケット40には、
図3中の矢印A3に示すように、ダンパ装置20の他端側の締結部材21を他端側に押圧する方向に外力が付加される。しかしながら、第2のブラケット40の係合部材41の一端片41aとダンパ装置20の他端側の締結部材21の締結部21aとが、主面同士を突き合わせて設けられているので、ダンパ装置20の他端側の締結部材21の締結部21aが第2のブラケット40から面圧を受けるだけで、ダンパ装置20の他端側の締結部材21と第2のブラケット40とを締結する第2のノックオフボルト60には、想定を超えた外力が付加されない。
【0034】
その一方で、第1のブラケット30には、
図3中の矢印A4に示すように、ダンパ装置20の一端側の締結部材21から離間する方向に外力が付加される。したがって、ダンパ装置20の一端側の締結部材21と第1のブラケット30とを締結する第1のノックオフボルト50には、引張荷重が付加される。すると、第1のノックオフボルト50には、想定を超えた引張荷重が付加されるので、強度弱部54で破断する。これにより、ダンパ取付装置10は、ダンパ装置20の一端側の締結部材21と第1のブラケット30との締結状態が外れ、ダンパ装置20によって、第1のブラケット30、第2のブラケット40、橋桁1及び橋脚2に損傷を与えることなく、速やかにダンパ装置20を機能喪失させる。
【0035】
[4.ダンパ取付装置の効果の説明]
以上のような構成を有するダンパ取付装置10は、ダンパ装置20の一端側の締結部材21が、第1のブラケット30のダンパ取付部32の他端側の主面に突き合わせて、第1のノックオフボルト50及びナット51によって締結され、ダンパ装置20の他端側の締結部材21が、第2のブラケット40の係合部材41の一端片41aの他端側の主面に突き合わせて、第2のノックオフボルト60及びナット61によって締結されているとともに、第1のノックオフボルト50に、ダンパ取付装置10の他の構成部材よりも構造的強度が低い強度弱部54が設けられ、第2のノックオフボルト60に、ダンパ取付装置10の他の構成部材よりも構造的強度が低い強度弱部64が設けられている。
【0036】
したがって、ダンパ取付装置10は、橋梁に想定を超えた地震動が作用して、ダンパ装置20にダンパ装置20が収縮する方向に想定を超えた外力が付加された場合、第2のノックオフボルト60の強度弱部64が破断し、ダンパ装置20の他端側の締結部材21と第2のブラケット40との締結状態が外れる。したがって、ダンパ取付装置10は、ダンパ装置20によって、第1のブラケット30、第2のブラケット40、橋桁1及び橋脚2に損傷を与えることなく、速やかにダンパ装置20を機能喪失させることができ、想定を超えた地震時の橋梁全体の耐久性を維持することができる。
【0037】
更に、ダンパ取付装置10は、橋梁に想定を超えた地震動が作用して、ダンパ装置20にダンパ装置20が伸張する方向に想定を超えた外力が付加された場合、第1のノックオフボルト50の強度弱部54が破断し、ダンパ装置20の一端側の締結部材21と第1のブラケット30との締結状態が外れる。したがって、ダンパ取付装置10は、ダンパ装置20によって、第1のブラケット30、第2のブラケット40、橋桁1及び橋脚2に損傷を与えることなく、速やかにダンパ装置20を機能喪失させることができ、想定を超えた地震時の橋梁全体の耐久性を維持することができる。
【0038】
なお、橋桁1と橋脚2との間には、橋梁に想定を超えた地震動が作用した場合に備えて、橋桁1が橋脚2から落下することを防止する落橋防止装置を取り付けるようにしても良い。この場合、落橋防止装置は、ダンパ取付装置10に近接するように取り付けても良く、離間するように取り付けても良い。
【0039】
[5.ダンパ取付装置の変形例の説明]
<5−1.第1の変形例>
次に、ダンパ取付装置10の変形例であるダンパ取付装置70について説明する。なお、ダンパ取付装置10と同様の構成については、同じ符号を付して説明を省略し、異なる構成のみを説明する。ダンパ取付装置70は、ダンパ取付装置10では第1及び第2のノックオフボルト50,60に想定を超えた引張荷重が付加されると強度弱部54,64が破断したが、想定を超えたせん断荷重が付加されると、強度弱部54,64が破断する。
【0040】
具体的に、
図1及び
図3に示すように、ダンパ取付装置10では、ダンパ装置20の一端側の締結部材21の締結部21aを板状に設け、第1のブラケット30のダンパ取付部32とダンパ装置20の一端側の締結部材21の締結部21aとを主面同士を当接させて、第1のブラケット30のダンパ取付部32にダンパ装置20の一端側の締結部材21の締結部21aを、第1のノックオフボルト50及びナット51によって締結することで、第1のブラケット30にダンパ装置20の一端が取り付けられている。更に、ダンパ取付装置10では、ダンパ装置20の他端側の締結部材21の締結部21aを板状に設け、第2のブラケット40の一端片41a,41a間からダンパ装置20の他端側の締結部材21の一部を外部に露出させた状態で、係合部材41の一端片41aの内面側の主面に、この他端側の締結部材21の締結部21aを、第2のノックオフボルト60及びナット61によって締結することで、第2のブラケット40にダンパ装置20の他端が取り付けられている。
【0041】
これに対して、ダンパ取付装置70では、
図4及び
図5に示すように、ダンパ装置20の一端側の締結部材21の締結部21aを柱状に設け、第1のブラケット30のダンパ取付部32上に一対のガイド部材71,71を所定の間隔をあけて設置して、柱状の締結部21aの端部がダンパ取付部32と当接した状態で、柱状の締結部21aをガイド部材71,71間に収納して、ガイド部材71の側面にダンパ装置20の一端側の締結部材21の締結部21aの側面を、第1のノックオフボルト50によって締結することで、第1のブラケット30にダンパ装置20の一端が取り付けられている。更に、ダンパ取付装置70では、ダンパ装置20の他端側の締結部材21の締結部21aを柱状に設け、第2のブラケット40の係合部材41の一端片41a,41a間からダンパ装置20の他端側の締結部材21の一部を外部に露出させた状態で、第2のブラケット40の側面にダンパ装置20の他端側の締結部材21の締結部21aの側面を、第2のノックオフボルト60によって締結することで、第2のブラケット40にダンパ装置20の他端が取り付けられている。
【0042】
このような構成を有するダンパ取付装置70では、橋梁に想定を超えた地震動が作用して、ダンパ装置20に
図4に示すようにダンパ装置20が収縮する方向に想定を超えた外力が付加された場合、第1のブラケット30には、
図4中の矢印B1に示すように、ダンパ装置20の一端側の締結部材21をダンパ装置20の他端側の締結部材21側に押圧する方向に外力が付加される。しかしながら、ダンパ取付装置10と同様に、第1のブラケット30のダンパ取付部32とダンパ装置20の一端側の締結部材21の締結部21aとが主面同士を突き合わせて設けられているので、ダンパ装置20の一端側の締結部材21の締結部21aが第1のブラケット30から面圧を受けるだけで、ダンパ装置20の一端側の締結部材21とガイド部材71とを締結する第1のノックオフボルト50には、想定を超えた外力が付加されない。
【0043】
その一方で、第2のブラケット40には
図4中の矢印B2に示すようにダンパ装置20の他端側の締結部材21から離間する方向に外力が付加されるので、ダンパ装置20の他端側の締結部材21と第2のブラケット40とを締結する第2のノックオフボルト60には、せん断荷重が付加される。したがって、第2のノックオフボルト60には、想定を超えたせん断荷重が付加されることで、第2のノックオフボルト60の強度弱部64が破断する。これにより、ダンパ取付装置70は、ダンパ取付装置10と同様に、ダンパ装置20の他端側の締結部材21と第2のブラケット40との締結状態が外れ、ダンパ装置20によって、第1のブラケット30、第2のブラケット40、橋桁1及び橋脚2に損傷を与えることなく、速やかにダンパ装置20を機能喪失させることができ、想定を超えた地震時の橋梁全体の耐久性を維持することができる。
【0044】
更に、ダンパ取付装置70では、橋梁に想定を超えた地震動が作用して、ダンパ装置20に
図5に示すようにダンパ装置20が伸張する方向に想定を超えた外力が付加された場合、第2のブラケット40には、
図5中の矢印B3に示すように、ダンパ装置20の他端側の締結部材21を他端側に押圧する方向に外力が付加される。しかしながら、ダンパ取付装置10と同様に、第2のブラケット40の係合部材41の一端片41aとダンパ装置20の他端側の締結部材21の締結部21aとが、主面同士を突き合わせて設けられているので、ダンパ装置20の他端側の締結部材21の締結部21aが第2のブラケット40から面圧を受けるだけで、ダンパ装置20の他端側の締結部材21と第2のブラケット40とを締結する第2のノックオフボルト60には、想定を超えた外力が付加されない。
【0045】
その一方で、第1のブラケット30には
図5中の矢印B4に示すようにダンパ装置20の一端側の締結部材21から離間する方向に外力が付加されるので、ダンパ装置20の一端側の締結部材21とガイド部材71とを締結する第1のノックオフボルト50には、せん断荷重が付加される。したがって、第1のノックオフボルト50には、想定を超えたせん断荷重が付加されるので、強度弱部54で破断する。これにより、ダンパ取付装置70は、ダンパ取付装置10と同様に、ダンパ装置20の一端側の締結部材21とガイド部材71(第1のブラケット30)との締結状態が外れ、ダンパ装置20によって、第1のブラケット30、第2のブラケット40、橋桁1及び橋脚2に損傷を与えることなく、ダンパ装置20を速やかに機能喪失させることができ、想定を超えた地震時の橋梁全体の耐久性を維持することができる。
【0046】
<5−2.第2の変形例>
次に、ダンパ取付装置10,70の変形例であるダンパ取付装置80について説明する。なお、ダンパ取付装置10,70と同様の構成については、同じ符号を付して説明を省略し、異なる構成のみを説明する。
【0047】
ダンパ取付装置10,70ではダンパ装置20だけを橋桁1及び橋脚2に取り付けるのに対して、ダンパ取付装置80では、
図6に示すように、ダンパ装置20に加え、支承装置やダンパ装置20が大規模地震時の振動等によって破損した場合に橋桁1が橋脚2から落下することを防止する落橋防止装置90を、橋桁1及び橋脚2に取り付ける。すなわち、ダンパ取付装置80は、ダンパ装置20の取付装置と落橋防止装置90の取付装置とを兼用する。
【0048】
落橋防止装置90は、ケーブルやチェーン等で構成された従来公知の落橋防止装置である。また、落橋防止装置90は、一端が第1のブラケット30を介して橋桁1に取り付けられ、他端が橋脚2に直接的に取り付けられることで、橋桁1と橋脚2との間に設けられている。例えば、落橋防止装置90の一端は、第1のブラケット30の取付部31に設けられた板状の落橋防止装置取付部33に、通常のボルト及びナットや溶接等の従来公知の固定方法によって取り付けられる。このような落橋防止装置90は、支承装置やダンパ装置20が大規模地震時の振動等によって破損した場合に、橋桁1が橋脚2から落下することを防止する。なお、落橋防止装置90は、一端をダンパ装置20とともにダンパ取付部32に取り付けるようにしても良い。また、落橋防止装置90は、他端を他のブラケットを介して橋脚2に取り付けるようにしても良い。
【0049】
以上のような構成を有するダンパ取付装置80は、橋梁に想定を超えた地震動が作用した場合、ダンパ取付装置10,70と同様に、第1のノックオフボルト50の強度弱部54又は第2のノックオフボルト60の強度弱部64が破断することで、ダンパ装置20によって、第1のブラケット30、第2のブラケット40、橋桁1及び橋脚2に損傷を与えることなく、ダンパ装置20を速やかに機能喪失させることができ、想定を超えた地震時の橋梁全体の耐久性を維持することができる。
【0050】
また、ダンパ取付装置80は、上述したように、橋梁に想定を超えた地震動が作用した際の破壊メカニズムを制御することができるので、ダンパ装置20の取付装置と落橋防止装置90の取付装置とを兼用することができる。したがって、ダンパ取付装置80は、ダンパ装置20の取付装置と落橋防止装置90の取付装置とを別途設置するよりも、コンパクト化することができ、部材節約することができ、経済的であり、更に、狭隘な箇所でも施工することができる。更に、ダンパ取付装置80は、上述したように、ダンパ装置20の取付装置と落橋防止装置90の取付装置とを兼用することができるので、落橋防止装置が落橋防止装置の取付装置によって設置されている既設橋梁において、限られた設置スペースしかなくとも、ダンパ装置20を後付けすることができる。
【0051】
更に、ダンパ取付装置80は、上述したように、橋梁に想定を超えた地震動が作用した場合、ダンパ装置20によって、第1のブラケット30、第2のブラケット40、橋桁1及び橋脚2に損傷を与えることなく、ダンパ装置20を速やかに機能喪失させることができるので、ダンパ装置20の取付装置と落橋防止装置90の取付装置とを兼用しても、落橋防止装置90の機能を十分発揮させることができる。
【0052】
<5−3.全体の変形例>
なお、ダンパ取付装置10,70,80は、橋桁1と橋脚2との間に設けられることに限定されるものではなく、隣接する一対の橋桁1,1間等、橋桁1と相対的に変位を生む関係にある構成部材に設けるようにしても良い。