(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
複数のレイヤで構成された通信プロトコルに従って、試験対象の移動体通信端末(2)と送受信するメッセージに対して前記複数のレイヤ毎の処理を行うレイヤ処理部(12)と、前記レイヤ処理部からレイヤ毎の通信データを取得し、当該通信データ、当該通信データの送信元レイヤ及び宛先レイヤを識別するためのレイヤ識別情報、当該通信データの通信が行われた時刻を示す時刻情報のそれぞれを含むログ情報を生成するログ処理部(15)と、前記ログ情報を外部に転送する転送部(17)とを備えた試験装置(10)と、
表示部(36)と、前記試験装置の前記転送部から受けた前記ログ情報に基づいて、前記表示部に前記複数のレイヤの通信のログを表示する表示制御部(35)とを備えた表示装置(30)と、
を有する試験システムにおいて、
前記ログ処理部は、ID生成部(154)とログヘッダ生成部(151)とログデータ生成部(152)とを有し、
前記ID生成部は、前記ログ情報のそれぞれを識別するための識別子を生成して、前記ログヘッダ生成部及び前記ログデータ生成部に同一の前記識別子を出力し、
前記ログヘッダ生成部は、前記レイヤ識別情報、前記時刻情報及び前記識別子を含むログヘッダを生成し、
前記ログデータ生成部は、前記通信データ及び前記識別子を含むログデータを生成し、
前記ログ処理部は、前記ログヘッダ及び前記ログデータを前記ログ情報として生成するようになっており、
前記試験装置は、前記転送部が前記ログヘッダを前記ログデータよりも優先して転送するように制御する優先制御部(19)をさらに備え、
前記表示制御部は、前記識別子が同一の前記ログヘッダと前記ログデータとを対応付けるとともに前記ログヘッダに対応する前記ログデータの有無を識別可能にして前記ログの表示を行うログ対応処理部(351)を備えることを特徴とする試験システム(1)。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施の形態を図面を参照しながら具体的に説明する。
図1は、試験システム1のブロック図である。試験システム1は、所定の通信規格(例えば、LTE、WiMAXなど)に対応して無線通信を行う携帯電話やデータ通信端末等の移動体通信端末2を試験対象として試験を行う。試験システム1は、移動体通信端末2と通信を行って、その通信のログ情報を生成して転送する試験装置10、試験装置10から転送されたログ情報により、通信のログを表示する表示装置30を有している。試験装置10と表示装置30とは、例えばGbE(ギガビット・イーサネット(登録商標))で接続されている。
【0023】
試験装置10は、試験を行うための通信シーケンス及び試験装置各部の動作シーケンスが記載された試験シナリオに従って、疑似基地局として動作する。試験装置10は、送受信部11、レイヤ処理部12、メッセージ処理部13、シナリオ処理部14、ログ処理部15、ログデータバッファ16、試験装置側転送部17、優先制御部19を備えている。
【0024】
送受信部11は、レイヤ処理部12からの通信データを符号化、変調、周波数変換してRF信号を生成し、移動体通信端末2に送信する。また、移動体通信端末2からのRF信号を受信し、周波数変換、復調、復号して、レイヤ処理部12に送る。
【0025】
レイヤ処理部12は、所定の通信規格に対応して各レイヤの通信プロトコル処理を行うように構成され、送受信部11からの通信データを処理してメッセージ処理部13に送るとともに、メッセージ処理部13からのメッセージを処理して送受信部11に送る。この際、各レイヤで処理を行う毎に、レイヤ間の通信の内容である通信データを出力する。レイヤ処理部12は、各レイヤ処理に対応して、PHY処理部12a、MAC処理部12b、RLC処理部12c、PDCP処理部12d、RRC処理部12eを備えている。
【0026】
メッセージ処理部13は、シナリオ処理部14からの制御により、移動体通信端末2に送信すべきメッセージを生成してレイヤ処理部12に送るとともに、移動体通信端末2からレイヤ処理部12を介して受けたメッセージを処理する。
【0027】
なお、図示していないが、試験装置10は、送受信部11、レイヤ処理部12、メッセージ処理部13を複数組、備える構成であっても良い。一組の送受信部11、レイヤ処理部12、メッセージ処理部13は、1台の基地局の動作を模擬する。このため、試験装置10がこの組合せを複数備えることにより、例えば、移動体通信端末が通信先の基地局を切り替えるハンドオーバ動作の試験を、1台の試験装置10で行うことができる。
【0028】
シナリオ処理部14は、不図示の記憶部に予め記憶した試験シナリオに従って、メッセージ処理部13を含む試験装置10の各部を制御する。
【0029】
ログ処理部15は、レイヤ処理部12より出力された通信データからログヘッダを生成するログヘッダ生成部151、レイヤ処理部12より出力された通信データからログデータを生成するログデータ生成部152、実際の時刻又は試験開始からの経過時刻である時刻情報を生成してログヘッダ生成部151に出力する時刻生成部153、それぞれのログを識別する識別子(ID)として試験開始からの追番を生成してログヘッダ生成部151及びログデータ生成部152に出力するID生成部154を備えている。
【0030】
図2に、ログヘッダ生成部151で生成されるログヘッダのフォーマットと、ログデータ生成部152で生成されるログデータのフォーマットとを示す。
【0031】
ログヘッダに含まれる情報は、ID生成部154で生成されるID、このデータがログヘッダであることを示すログ種別、時刻生成部153で生成される時刻情報、通信データの送信元及び宛先を示す送信元レイヤ及び宛先レイヤ、通信データのチャネルの種別を示すチャネル情報、試験装置10が複数の基地局を模擬するため複数のレイヤ処理部12を備えていた場合にそれらを識別するBTS番号、通信データの設定命令であるプリミティブを示すプリミティブ名である。ここで、時刻情報、送信元レイヤ、宛先レイヤ、チャネル情報、BTS番号、プリミティブ名をまとめてログヘッダ情報と呼称する。
【0032】
このうち、ログ種別は、ログヘッダ生成部151が予め固定値として有している情報である。また、送信元レイヤ、宛先レイヤ、チャネル情報、BTS番号、プリミティブ名は、ログ処理部15が通信データの送出元を識別する、又はログ処理部15が受けた通信データを解析する、あるいはレイヤ処理部12から通信データとともにこれらの情報を送出してもらう、のいずれかの方式により、ログヘッダ生成部151がこれらの情報を取得する。
【0033】
ログデータに含まれる情報は、ID生成部154で生成されるID、このデータがログデータであることを示すログ種別、ログデータのデータ長を示すログデータ長、レイヤ処理部12より出力されたレイヤ間の通信データである。このうち、ログ種別は、ログデータ生成部が予め固定値として有している情報であり、ログヘッダ生成部と異なる値となっている。また、ログデータ長は、通信データのデータ長が可変長であるためにログデータ長が可変長となるので、後の処理のために、ログデータ生成部152がログデータを生成する際に決定して挿入する。
【0034】
これらのログヘッダとログデータとの組合せにより、ログ情報が構成される。なお、どのログヘッダとログデータとが対応するかを後の処理で識別できるようにするため、一つの通信データから生成されるログヘッダとログデータとには、同一のIDが付与されるようになっている。ここで、一般的に、通信データのデータ量に対して、ログヘッダのデータ量は非常に小さい。
【0035】
ログデータバッファ16は、ログデータ生成部152で生成されたログデータを一時記憶し、先に記憶したログデータから順に、優先制御部19に出力する。優先制御部19に出力されたログデータは、ログデータバッファ16から消去される。なお、ログデータバッファ16に空き容量が無くなるバッファフルの状態となった場合は、先に記憶したログデータから順に消去してするか、空き容量ができるまでログデータの記憶を停止するかのいずれかの動作を行う。すなわち、先に記憶したログデータから順に消去する場合は、ログデータバッファ16の出力でログデータが破棄されることになる。また、空き容量ができるまでログデータの記憶を停止する場合は、ログデータ生成部152の出力でログデータが破棄されることになる。
【0036】
試験装置側転送部17は、転送バッファ171を備えており、ログヘッダ生成部151で生成されたログヘッダ及びログデータバッファ16に記憶されたログデータを、優先制御部19を介して受けて、表示装置30に転送する。前述のように、試験装置側転送部17の表示装置30側のインタフェースは、例えばGbEが用いられている。なお、ここでは、転送が所定時間間隔毎(例えば1ms毎)に行われるものとして説明するが、不定期に転送を行うようになっていてもよい。
【0037】
転送バッファ171は、1回の転送で転送可能なデータ量に相当する記憶容量を有しており、転送対象のデータを一時記憶する。転送後、転送バッファ171に記憶されたデータは、転送済として消去される。
【0038】
優先制御部19は、ログヘッダ生成部151で生成されたログヘッダを転送バッファ171に逐次記憶していき、転送の直前に、ログデータバッファ16に記憶されたログデータを、転送バッファ171の空き領域に記憶する。そして、優先制御部19は、試験装置側転送部17から転送完了の通知、すなわち転送バッファ171に記憶されたデータが消去されたことの通知を受けると、再び、ログヘッダを転送バッファ171に逐次記憶していく。優先制御部19は、この一連の制御を繰り返し行う。
【0039】
図3に、転送バッファ171のデータ量と、ログデータバッファ16のデータ量との、時間推移の例を示す。試験装置10と移動体通信端末2との通信が開始される(時刻a)。これにより、ログヘッダが生成されて転送バッファ171に逐次記憶されていくとともに、ログデータが生成されてログデータバッファ16に記憶されていく。転送の直前になると、ログデータバッファ16に記憶されたログデータが、転送バッファ171の空き容量に記憶される(時刻b)。この場合は、ログデータバッファ16に記憶されていたログデータのデータ量が、転送バッファ171の空き容量よりも小さいので、全てのログデータが転送バッファ171に記憶され、ログデータバッファ16のデータ量はゼロになる。そして、転送バッファ171に記憶されたログヘッダ及びログデータは転送されて、転送バッファ171のデータ量はゼロになる(時刻c)。なお、転送バッファ171へのログデータの記憶から転送バッファ171のデータ量がゼロになるまでの間(例えば、時刻bから時刻cまでの間)に、ログヘッダが破棄されないように構成されている。
【0040】
試験装置10と移動体通信端末2との通信が継続されているので、ログヘッダとログデータの記憶も継続されるが、通信量及び通信内容の変化により、ログヘッダとログデータのデータ量も変化する。次の転送の直前になると、ログデータバッファ16に記憶されたログデータが、転送バッファ171の空き容量に記憶されるが、この場合は、ログデータバッファ16に記憶されていたログデータのデータ量が、転送バッファ171の空き容量よりも大きいので、一部のログデータが転送バッファ171に記憶され、ログデータバッファ16のデータ量はゼロにならない(時刻d)。そして、転送が行われて、転送バッファ171のデータ量はゼロになる(時刻e)。
【0041】
ログヘッダとログデータの記憶は継続されるが、次の転送よりも前に、ログデータバッファ16のバッファフルが発生する(時刻f)。この場合、次の転送の直前に、ログデータが転送バッファ171の空き容量に記憶される(時刻g)までは、バッファフルの状態が継続し、ログデータが試験装置10の内部で破棄される。このようにして、ログヘッダがログデータよりも優先して転送される。
【0042】
図1に戻って説明を続ける。表示装置30は、例えばパーソナルコンピュータ(PC)によって構成される。表示装置30は、表示装置側転送部31、ログ種別選別部32、ログヘッダ記憶部33、ログデータ記憶部34、表示制御部35、表示部36、操作部37を備えている。
【0043】
表示装置側転送部31は、試験装置側転送部17から転送されたログヘッダ及びログデータを、ログ種別選別部32に送出する。前述のように、表示装置側転送部31の試験装置10側のインタフェースは、例えばGbEが用いられている。
【0044】
ログ種別選別部32は、ログヘッダ及びログデータについて、それぞれのログ種別の値を確認して選別し、ログヘッダはログヘッダ記憶部33に送出し、ログデータはログデータ記憶部34に送出する。
【0045】
ログヘッダ記憶部33及びログデータ記憶部34は、HDD(ハードディスクドライブ)やフラッシュメモリ等の大容量記憶媒体で構成され、ログヘッダ記憶部33はログデータを記憶し、ログデータ記憶部34はログデータを記憶する。
【0046】
表示制御部35は、ログ対応処理部351を備えており、ログヘッダ記憶部33及びログデータ記憶部34からログヘッダ及びログデータを読み出し、ログを表示するための表示画面50を生成し、表示部36に表示する。ログ対応処理部351は、ログヘッダ記憶部33に記憶されているログヘッダに対応するログデータが、ログデータ記憶部34に存在するか否かを、IDを照合することによって確認する。
【0047】
図4に、表示画面50の表示例を示す。表示画面50は、ログヘッダに含まれるログヘッダ情報を時系列に並べて表示するログヘッダ情報表示エリア60と、ログデータに含まれる通信データの情報を表示する通信データ情報表示エリア70と、ログデータに含まれる通信データのメッセージ名を表示するメッセージ名表示部80と、表示されているログに対応する通信データの有無(すなわちログデータの有無)を識別して表示する通信データ識別情報表示部90とを有している。
【0048】
ログヘッダ情報表示エリア60は、ログの追番としてIDを表示するログ番号表示部61、どのレイヤのログか、あるいはUplink/Downlinkのいずれかのログかを矢印表示で識別するためのレイヤ表示部62、各レイヤの設定命令を表示するプリミティブ表示部63、レイヤ処理部12が複数ある場合にそれらを識別するためのBTS番号を表示するBTS表示部64、チャネル情報を表示するチャネル表示部65、時刻情報を表示するための時刻表示部66を有している。
【0049】
通信データ情報表示エリア70は、通信内容をテキストに変換して表示するテキスト表示部71、通信内容をバイナリのままHex値で表示するバイナリ表示部72を有している。ここで、テキスト表示部71、バイナリ表示部72は、ログヘッダ情報表示エリア60(またはメッセージ名表示部80)に時系列に並べて表示された複数のログのうち、試験者が操作部37を介して指定したログについて、対応するログデータがログデータ記憶部34に存在する場合、その通信内容を表示するようになっている。
図4では、No.001のログが指定された状態を示しており、No.001の行に色が付されて識別表示され、テキスト表示部71、バイナリ表示部72に通信データの内容が表示されている。
【0050】
また、指定したログについて、対応するログデータがログデータ記憶部34に存在しない場合、通信データ情報表示エリア70に、空欄のままか、又は、ログデータが存在しないことを示す情報が表示される。
図5では、No.008のログが指定された状態を示しており、No.008の行に色が付されて識別表示されている。このNo.008のログには対応するログデータが存在しないので、テキスト表示部71には、ログデータが存在しないために通信データの内容が表示できないことを示す「No Data」が表示され、バイナリ表示部72は空欄となっている。
【0051】
メッセージ名表示部80は、表示制御部35が、対応するログデータに含まれる通信データを解析して、この通信データのメッセージ名を取得して表示する。
図4、
図5では、最上位レイヤであるRRCレイヤに関連するNo.001のログのみメッセージ名を表示しているが、特定のレイヤ以外でも、対応するログデータが存在する各ログ(No.002−No.006のログ)について、メッセージ名を表示するようにしてもよい。なお、対応するログデータがログデータ記憶部34に存在しない場合(No.007−No.008のログ)、メッセージ名の欄は空欄になる。
【0052】
通信データ識別情報表示部90について説明する。表示されているログに対応するログデータがログデータ記憶部34に存在する場合、そのログは、通信データ識別情報表示部90に”○”と表示される。表示されているログに対応するログデータがログデータ記憶部34に存在しない場合、そのログは、通信データ識別情報表示部90に”×”と表示される。これにより、試験者は、どのログについてログデータが存在するか(すなわち、通信データが存在するか)を確認することができる。
【0053】
以下、試験システム1の動作について、図面を参照して説明する。
図6は、試験装置10の動作を示したフローチャートであり、
図7は、表示装置30の動作を示したフローチャートである。
【0054】
試験の開始が指示されると、シナリオ処理部14は、試験シナリオに従って、メッセージ処理部13を制御し、レイヤ処理部12及び送受信部11を介して、移動体通信端末2との通信を行う(S1)。そして、ログ処理部15は、この通信における各レイヤでの通信データを、レイヤ処理部12から取得する(S2)。この通信データを取得する度に、ID生成部154はIDを生成し、ログヘッダ生成部151及びログデータ生成部152に出力する(S3)。
【0055】
ログヘッダ生成部151は、ID、ログ種別、前述のログヘッダ情報により、ログヘッダを生成する(S4)。生成されたログヘッダは、優先制御部19によって、転送バッファ171に逐次記憶される(S5)。これと並行して、ログデータ生成部152は、ID、ログ種別、ログデータ長、通信データにより、ログデータを生成する(S6)。生成されたログデータは、ログデータバッファ16に記憶される(S7)。
【0056】
試験装置側転送部17は、転送バッファ171に記憶されたデータを、表示装置30に転送する。この転送が行われる直前に、優先制御部19により、転送バッファ171の空き領域に、ログデータバッファ16に記憶されていたログデータが記憶される(S8)。この転送は、例えば1msの周期で、繰り返し行われる(S9)。
【0057】
表示装置30において、表示装置側転送部31は、試験装置側転送部17からログヘッダ及びログデータを含む転送データを受けて、ログ種別選別部32に出力する(S21)。ログ種別選別部32は、ログヘッダ及びログデータのログ種別の値を確認することにより、ログヘッダとログデータとを選別する(S22)。これにより、ログヘッダはログヘッダ記憶部33に記憶され、ログデータはログデータ記憶部34に記憶される(S23)。
【0058】
表示制御部35は、ログヘッダ記憶部33からログヘッダを読み出す。ログ対応処理部351は、読み出した各ログヘッダについて、同一のIDを有するログデータがログデータ記憶部34に存在するか否かを確認する(S24)。
【0059】
表示制御部35は、読み出した各ログヘッダのログヘッダ情報に基づいて、表示部36の表示画面50にログを表示する(S25)。この表示の際、各ログヘッダ情報は、IDの順(又は時刻情報の順)に並べられる。また、表示制御部35は、ログ対応処理部351の確認結果に従って、通信データ識別情報表示部90に、表示されているログに対応する通信データの有無(すなわちログデータの有無)を識別して表示する(S26)。また、表示制御部35は、は、表示している各ログに対応するログデータがログデータ記憶部34に存在すれば、このログデータに含まれる通信データを解析して、この通信データのメッセージ名をメッセージ名表示部80に表示する(S27)。
【0060】
ここで、試験者が操作部37を介していずれかのログを指定すると(S28)、対応するログデータがログデータ記憶部34に存在する場合(S29−Yes)、表示制御部35は、対応するログデータをログデータ記憶部34から読出し、その通信データの内容を通信データ情報表示エリア70に表示する(S30)。また、表示制御部35は、対応するログデータがログデータ記憶部34に存在しない場合(S29−No)、通信データ情報表示エリア70のテキスト表示部71に「No Data」と表示する(S31)。
【0061】
(第2の実施形態)
続いて、本発明の第2の実施の形態を説明する。なお、第1の実施形態と同じ機能を有する機能ブロックや手順については、図面上に同一の符号を付して、適宜説明を省略する。
図8は、試験システム1’のブロック図であり、試験装置10’がログヘッダバッファ18を備える点で、
図1の試験システム1のブロック図と異なる。
【0062】
ログヘッダバッファ18は、ログヘッダ生成部151で生成されたログヘッダを一時記憶し、先に記憶したログヘッダから順に、優先制御部19に出力する。優先制御部19に出力されたログヘッダは、ログヘッダバッファ18から消去される。
【0063】
優先制御部19は、転送の度に、ログヘッダバッファ18に記憶されたログヘッダを全て転送バッファ171に記憶し、その後に、ログデータバッファ16に記憶されたログデータを、転送バッファ171の空き領域に記憶するように制御する。転送後、転送バッファ171に記憶されたデータは、転送済として消去される。
【0064】
図9に、転送バッファ171のデータ量の時間推移の例を示す。試験装置10’と移動体通信端末2との通信が開始される(時刻i)。これにより、ログヘッダが生成されてログヘッダバッファ18に記憶されていくとともに、ログデータが生成されてログデータバッファ16に記憶されていく。転送が行われる前に、先ず、ログヘッダバッファ18に記憶された全てのログヘッダが、転送バッファ171に記憶される(時刻j,m,p)。次に、ログデータバッファ16に記憶されたログデータが、転送バッファ171の空き容量に記憶される(時刻k,n,q)。そして、転送バッファ171に記憶されたログヘッダ及びログデータは転送されて、転送バッファ171のデータ量はゼロになる(時刻l,o,r)。これらの動作が、転送の度に繰り返され、ログヘッダがログデータよりも優先して転送される。
【0065】
図10は、試験装置10’の動作を示したフローチャートである。ここでは、
図6に示した、第1の実施形態の試験装置10の動作と相違する点について説明する。ログヘッダ生成部151により生成されたログヘッダは、ログヘッダバッファ18に記憶される(S51)。
【0066】
転送が行われる前に、先ず、優先制御部19により、ログヘッダバッファ18に記憶されたログヘッダが、転送バッファ171に記憶される(S52)。次に、優先制御部19により、ログデータバッファ16に記憶されていたログデータが、転送バッファ171の空き領域に記憶される(S8)。そして転送が行われる(S9)。
【0067】
このように、本発明の試験システム及び試験方法は、ログ情報をログヘッダとログデータとに分けて生成し、ログヘッダを優先して転送するようにしている。このため、転送できなかったログ情報が完全に欠落するのに比べて、少なくともログヘッダ情報によるログ表示ができるので、試験者が通信の概要を把握することができ、試験者の利便性を向上できる。