【文献】
山田 恭平,大平 孝,負荷変動に対して定変圧比となるトランスレス変圧器の提案,2013年電子情報通信学会ソサイエティ大会講演論文集 通信(2) B-9-3,日本,一般社団法人電子情報通信学会,2013年 9月 3日,P.202
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
[実施形態の要旨]
本発明の実施形態の要旨としては、少なくとも以下のものが含まれる。
【0011】
(1)これは、電源と抵抗値Rの負荷との間に設けられる変圧装置であって、4以上の自然数をnとして、n個のリアクタンス素子を相互に接続して構成された二端子対回路を備え、前記負荷の任意の抵抗値Rに対して、前記二端子対回路の入力インピーダンスZ
inは、その実数成分が、kを定数として、k・Rで表され、かつ、虚数成分が0である、変圧装置である。
上記のような変圧装置では、負荷の抵抗値Rに関わらず、入力電圧に比例した出力電圧が得られる。すなわち、一定の変圧比(1/k)
1/2で入力電圧を出力電圧に変換する変圧装置が得られる。このような変圧装置を変圧器として用いることにより、従来の商用周波トランスや、高周波トランスは不要となる。従って、変圧器の飛躍的な小型軽量化及び、それに伴う低コスト化を実現することができる。さらに、高周波トランスで課題となる寄生容量、漏れ磁界発生の問題も解消され、低損失な変圧器を実現できる。
【0012】
(2)また、(1)の変圧装置において、4個のリアクタンス素子のリアクタンスをそれぞれX
1,X
2,X
3,X
4とすると、入力側から見て順に、前記二端子対回路の1線上にあるX
1,2線間にあるX
2,前記1線上にあるX
3、2線間にあるX
4によって前記二端子対回路が構成され、以下の条件が満たされることが好ましい。
(1/X
1)+(1/X
2)+(1/X
3)=0 ∧ X
2+X
3+X
4=0
この場合、入力インピーダンスZ
inは、Z
in=(X
22/X
42)・Rとなり、負荷の抵抗値Rに比例し、入力電圧に比例した出力電圧が得られる。
【0013】
(3)また、(1)の変圧装置において、4個のリアクタンス素子のリアクタンスをそれぞれX
1,X
2,X
3,X
4とすると、入力側から見て順に、前記二端子対回路の2線間にあるX
1,1線上にあるX
2,2線間にあるX
3、前記1線上にあるX
4によって前記二端子対回路が構成され、以下の条件が満たされることが好ましい。
X
1+X
2+X
3=0 ∧ (1/X
2)+(1/X
3)+(1/X
4)=0
この場合、入力インピーダンスZ
inは、Z
in=(X
12/X
32)・Rとなり、負荷の抵抗値Rに比例し、入力電圧に比例した出力電圧が得られる。
【0014】
(4)また、(1)の変圧装置において、4個のリアクタンス素子のリアクタンスをそれぞれX
1,X
2,X
3,X
4とすると、入力側から見て順に、前記二端子対回路の1線上にあるX
1,2線間にあるX
2,前記1線上にあるX
3、によって構成されるT型回路と、X
1及びX
3の直列体に対して並列にあるX
4とによって前記二端子対回路が構成され、以下の条件が満たされることが好ましい。
X
1+X
3+X
4=0 ∧ (1/X
1)+(1/X
2)+(1/X
3)=0
この場合、入力インピーダンスZ
inは、Z
in=(X
12/X
32)・Rとなり、負荷の抵抗値Rに比例し、入力電圧に比例した出力電圧が得られる。
【0015】
(5)また、(1)の変圧装置において、4個のリアクタンス素子のリアクタンスをそれぞれX
1,X
2,X
3,X
4とすると、入力側から見て順に、前記二端子対回路の2線間にあるX
1,X
2の第1直列体、及び、2線間にあるX
3,X
4の第2直列体を含み、前記第1直列体の相互接続点及び前記第2直列体の相互接続点が出力端子となる前記二端子対回路が構成され、以下の条件が満たされることが好ましい。
X
1+X
2+X
3+X
4=0 ∧ (1/X
1)+(1/X
2)+(1/X
3)+(1/X
4)=0
この場合、入力インピーダンスZ
inは、Z
in={(X
1+X
2)
2/(X
1−X
2)
2}・Rとなり、負荷の抵抗値Rに比例し、入力電圧に比例した出力電圧が得られる。
【0016】
(6)また、(1)の変圧装置において、5個のリアクタンス素子のリアクタンスをそれぞれX
A,X
B,X
C,X
D,X
Eとすると、入力側から見て順に、前記二端子対回路の1線上にあるX
A,2線間にあるX
B,前記1線上にあるX
C、2線間にあるX
D、前記1線上にあるX
E、によって前記二端子対回路が構成され、
X
A=−X
B ∧ X
E=−X
D ∧ X
C=X
A+X
E
の関係にあることが好ましい。
この場合、入力インピーダンスZ
inは、Z
in=(X
A2/X
E2)・Rとなり、負荷の抵抗値Rに比例し、入力電圧に比例した出力電圧が得られる。
【0017】
(7)また、(1)の変圧装置において、5個のリアクタンス素子のリアクタンスをそれぞれX
A,X
B,X
C,X
D,X
Eとすると、入力側から見て順に、前記二端子対回路の2線間にあるX
A,1線上にあるX
B,2線間にあるX
C、前記1線上にあるX
D、2線間にあるX
E、によって前記二端子対回路が構成され、
X
A=−X
B ∧ X
E=−X
D ∧ X
C=X
A・X
E/(X
A+X
E)
の関係にあることが好ましい。
この場合、入力インピーダンスZ
inは、Z
in=(X
A2/X
E2)・Rとなり、負荷の抵抗値Rに比例し、入力電圧に比例した出力電圧が得られる。
【0018】
(8)また、(1)の変圧装置において、6個のリアクタンス素子のリアクタンスをそれぞれX
A,X
B,X
C,X
D,X
E,X
Fとすると、入力側から見て順に、前記二端子対回路の1線上にあるX
A,2線間にあるX
B,前記1線上にあるX
C、2線間にあるX
D、前記1線上にあるX
E、2線間にあるX
F、によって前記二端子対回路が構成され、
X
A=X
C=−X
B ∧ X
D=X
F=−X
E
の関係にあることが好ましい。
この場合、入力インピーダンスZ
inは、Z
in=(X
A2/X
F2)・Rとなり、負負荷の抵抗値Rに比例し、入力電圧に比例した出力電圧が得られる。
【0019】
(9)また、(1)の変圧装置において、6個のリアクタンス素子のリアクタンスをそれぞれX
A,X
B,X
C,X
D,X
E,X
Fとすると、入力側から見て順に、前記二端子対回路の2線間にあるX
A,1線上にあるX
B,2線間にあるX
C、前記1線上にあるX
D、2線間にあるX
E、前記1線上にあるX
F、によって前記二端子対回路が構成され、
X
A=X
C=−X
B ∧ X
D=X
F=−X
E
の関係にあることが好ましい。
この場合、入力インピーダンスZ
inは、Z
in=(X
A2/X
F2)・Rとなり、負荷の抵抗値Rに比例し、入力電圧に比例した出力電圧が得られる。
【0020】
(10)また、変圧装置は、スイッチングを行う回路と、当該回路内に介挿された(1)〜(9)のいずれかの変圧装置とを含むものであってもよい。
この場合、スイッチングを行っている環境を利用して集中定数回路の変圧装置を活用することができる。
【0021】
(11)また、(1)〜(9)のいずれかの変圧装置において、前記リアクタンス素子として、ケーブルのキャパシタンス及びケーブルのインダクタンスを利用することも可能である。
この場合、ケーブルは耐圧性能を容易に確保することができ、また、低コストである。
【0022】
(12)また、(10)の変圧装置において、前記スイッチングの周波数は少なくとも1MHzであることが好ましい。
この場合、高周波でスイッチングを行っている環境を利用して集中定数回路の変圧装置を活用することができる。
【0023】
[実施形態の詳細]
<集中定数回路による変圧装置>
次に、本発明の実施形態に係る、集中定数回路を用いた変圧装置の詳細について説明する。
【0024】
《概論》
図1は、二端子対回路(四端子回路)による変圧装置200の概念を示す図である。変圧装置として機能するには、入力インピーダンスZ
inと負荷R(抵抗値R)との間に、
Z
in=k・R (kは定数)
の関係が成り立つ必要がある。これにより、負荷変動に対して入力インピーダンスZ
inが線形に変化し、変圧比は一定である。また、入力インピーダンスZ
inは、リアクタンス成分を持たない。すなわち、入力インピーダンスZ
inは、実数成分がk・Rであり、虚数成分が0であることが必要である。このような入力インピーダンスZ
inとなる変圧装置200を、LILT(Load-Invariant Linear Transformer)と称する。
【0025】
上記のような変圧装置200では、負荷の抵抗値Rに関わらず、入力電圧に比例した出力電圧が得られる。すなわち、一定の変圧比(1/k)
1/2で入力電圧を出力電圧に変換する変圧装置200が得られる。このような変圧装置200を変圧器として用いることにより、従来の商用周波トランスや、高周波トランスは不要となる。従って、変圧器の飛躍的な小型軽量化及び、それに伴う低コスト化を実現することができる。さらに、高周波トランスで課題となる寄生容量、漏れ磁界発生の問題も解消され、低損失な変圧器を実現できる。
【0026】
LILTとなる回路構成は無数に考えられるが、リアクタンス素子の要素数nは少ない方が良い。本発明者らは、nの値を1から順に、1,2,3,4,・・・と全探索を行った結果、最小の要素数nは4であるという知見を得た。
【0027】
図2は、回路を構成する要素数nの考え方の一例を示す図である。図において、左の図には見かけ上、3つの要素X
1,X
2,X
3が存在する。しかし、トポロジー的に等価なX
1,X
2は1つとカウントし、電気回路として意味を成さないX
3はカウントしない。従って、左の回路構成は、右の回路構成と同じであり、要素数nは1である。
【0028】
図3は、最小の要素数4で構成できる回路構成のうちの4パターンを示す図であり、(a)、(b)、(c)、(d)の順にそれぞれ、「4A型」、「4B型」、「4C型」、「4D型」と呼ぶものとする。
【0029】
《第1実施形態:4A型》
図4は、4A型の回路構成を示す図である。文言上で表現すると、例えば、4個のリアクタンス素子のリアクタンスをそれぞれX
1,X
2,X
3,X
4とすると、入力側から見て順に、二端子対回路の1線上にあるX
1,2線間にあるX
2,前記1線上にあるX
3、2線間にあるX
4によって二端子対回路が構成されている。この場合の入力インピーダンスZ
inは、以下の式の上段部で表される。また、並列共振及び直列共振により虚数成分を0にする条件を設定すると、入力インピーダンスZ
inは、下段部で表される。
なお、以下の各式中の「j」は虚数(−1)
1/2を表す。
【0031】
すなわち、パラメータ条件が、
(1/X
1)+(1/X
2)+(1/X
3)=0 ∧ X
2+X
3+X
4=0
であるとき、言い換えれば、(1/X
1)+(1/X
2)+(1/X
3)=0であり、かつ、X
2+X
3+X
4=0であるとき、Z
in=(X
22/X
42)・Rとなり、入力電圧に比例した出力電圧が得られる。なお、この機能発揮のためには、入力電圧は交流であることが必要である。
図5は、4A型の回路構成の実例6パターンを示す図である。
【0032】
《第2実施形態:4B型》
図6は、4B型の回路構成を示す図である。文言上で表現すると、例えば、4個のリアクタンス素子のリアクタンスをそれぞれX
1,X
2,X
3,X
4とすると、入力側から見て順に、二端子対回路の2線間にあるX
1,1線上にあるX
2,2線間にあるX
3、前記1線上にあるX
4によって二端子対回路が構成されている。この場合の入力インピーダンスZ
inは、以下の式の上段部で表される。また、並列共振及び直列共振により虚数成分を0にする条件を設定すると、入力インピーダンスZ
inは、下段部で表される。
【0034】
すなわち、パラメータ条件が、
X
1+X
2+X
3=0 ∧ (1/X
2)+(1/X
3)+(1/X
4)=0
であるとき、Z
in=(X
12/X
32)・Rとなり、入力電圧に比例した出力電圧が得られる。なお、この機能発揮のためには、入力電圧は交流であることが必要である。
図7は、4B型の回路構成の実例6パターンを示す図である。
【0035】
《第3実施形態:4C型》
図8は、4C型の回路構成を示す図である。文言上で表現すると、例えば、4個のリアクタンス素子のリアクタンスをそれぞれX
1,X
2,X
3,X
4とすると、入力側から見て順に、二端子対回路の1線上にあるX
1,2線間にあるX
2,前記1線上にあるX
3、によって構成されるT型回路と、X
1及びX
3の直列体に対して並列にあるX
4とによって二端子対回路が構成されている。この場合の入力インピーダンスZ
inは、以下の式の上段部で表される。また、並列共振及び直列共振により虚数成分を0にする条件を設定すると、入力インピーダンスZ
inは、下段部で表される。
【0037】
すなわち、パラメータ条件が、
X
1+X
3+X
4=0 ∧ (1/X
1)+(1/X
2)+(1/X
3)=0
であるとき、Z
in=(X
12/X
32)・Rとなり、入力電圧に比例した出力電圧が得られる。なお、この機能発揮のためには、入力電圧は交流であることが必要である。
図9は、4C型の回路構成の実例6パターンを示す図である。
【0038】
《第4実施形態:4D型》
図10は、4D型の回路構成を示す図である。文言上で表現すると、例えば、4個のリアクタンス素子のリアクタンスをそれぞれX
1,X
2,X
3,X
4とすると、入力側から見て順に、二端子対回路の2線間にあるX
1,X
2の第1直列体、及び、2線間にあるX
3,X
4の第2直列体を含み、第1直列体の相互接続点及び第2直列体の相互接続点が出力端子となる二端子対回路が構成されている。この場合の入力インピーダンスZ
inは、以下の式の上段部で表される。また、並列共振及び直列共振により虚数成分を0にする条件を設定すると、入力インピーダンスZ
inは、下段部で表される。
【0040】
すなわち、パラメータ条件が、
X
1+X
2+X
3+X
4=0 ∧ (1/X
1)+(1/X
2)+(1/X
3)+(1/X
4)=0
であるとき、Z
in={(X
1+X
2)
2/(X
1−X
2)
2}・Rとなり、入力電圧に比例した出力電圧が得られる。なお、この機能発揮のためには、入力電圧は交流であることが必要である。
図11は、4D型の回路構成の実例2パターンを示す図である。
【0041】
《第5実施形態:n=5(T型の応用)》
次に、要素数n=5の回路構成について考える。n=4よりも要素数は1つ増えるが、実用性はある。
図12の(a)は、n=5の第1例の回路構成を示す図である。文言上で表現すると、5個のリアクタンス素子のリアクタンスをそれぞれX
A,X
B,X
C,X
D,X
Eとすると、入力側から見て順に、二端子対回路の1線上にあるX
A,2線間にあるX
B,前記1線上にあるX
C、2線間にあるX
D、前記1線上にあるX
E、によって二端子対回路が構成されている。
【0042】
一方、
図12の(b)は、T型回路を示す。このT型回路において入力インピーダンスZ
inは、以下の式の上段部で表され、虚数成分を0とするには下段部のパラメータ条件が必要である。
【0044】
T型回路ではRが分母に来るため、LILTにはならない。しかし、T型回路を2段に構成すれば、Z
in=k・Rとなり、入力電圧に比例した出力電圧が得られる。そこで、
図12の(a)の回路における5個のリアクタンス素子のリアクタンスをそれぞれX
A,X
B,X
C,X
D,X
Eとすると、入力側から見て順に、二端子対回路の1線上にあるX
A,2線間にあるX
B,前記1線上にあるX
C、2線間にあるX
D、前記1線上にあるX
E、によって前記二端子対回路が構成されているとして、
X
A=−X
B ∧ X
E=−X
D ∧ X
C=X
A+X
E
の関係とする。この場合、入力インピーダンスZ
inは、Z
in=(X
A2/X
E2)・Rとなり、負荷の抵抗値Rに比例し、入力電圧に比例した出力電圧が得られる。なお、この機能発揮のためには、入力電圧は交流であることが必要である。
【0045】
《第6実施形態:n=5(π型の応用)》
図13の(a)は、n=5の第2例の回路構成を示す図である。文言上で表現すると、5個のリアクタンス素子のリアクタンスをそれぞれX
A,X
B,X
C,X
D,X
Eとすると、入力側から見て順に、二端子対回路の2線間にあるX
A,1線上にあるX
B,2線間にあるX
C、前記1線上にあるX
D、2線間にあるX
E、によって二端子対回路が構成されている。
【0046】
一方、
図13の(b)は、π型回路を示す。このπ型回路において入力インピーダンスZ
inは、以下の式の上段部で表され、虚数成分を0とするには下段部のパラメータ条件が必要である。
【0048】
π型回路ではRが分母に来るため、LILTにはならない。しかし、π型回路を2段に構成すれば、Z
in=k・Rとなり、入力電圧に比例した出力電圧が得られる。そこで、
図13の(a)の回路における5個のリアクタンス素子のリアクタンスをそれぞれX
A,X
B,X
C,X
D,X
Eとすると、入力側から見て順に、二端子対回路の2線間にあるX
A,1線上にあるX
B,2線間にあるX
C、前記1線上にあるX
D、2線間にあるX
E、によって前記二端子対回路が構成されているとして、
X
A=−X
B ∧ X
E=−X
D ∧ X
C=X
A・X
E/(X
A+X
E)
の関係とする。
この場合、入力インピーダンスZ
inは、Z
in=(X
A2/X
E2)・Rとなり、負荷の抵抗値Rに比例し、入力電圧に比例した出力電圧が得られる。なお、この機能発揮のためには、入力電圧は交流であることが必要である。
【0049】
《第7実施形態:n=6(前T・後π)》
次に、要素数n=6の回路構成について考える。n=4よりも要素数は2つ増えるが、実用性はある。
図14の(a)は、n=6の第1例の回路構成を示す図である。文言上で表現すると、6個のリアクタンス素子のリアクタンスをそれぞれX
A,X
B,X
C,X
D,X
E,X
Fとすると、入力側から見て順に、二端子対回路の1線上にあるX
A,2線間にあるX
B,前記1線上にあるX
C、2線間にあるX
D、前記1線上にあるX
E、2線間にあるX
F、によって二端子対回路が構成されている。
【0050】
前述のように、T型回路及びπ型回路では共にRが分母に来るため、LILTにはならない。しかし、T型回路+π型回路で回路を構成すれば、Z
in=k・Rとなり、入力電圧に比例した出力電圧が得られる。そこで、
図14の(a)の回路における6個のリアクタンス素子のリアクタンスをそれぞれX
A,X
B,X
C,X
D,X
E,X
Fとすると、入力側から見て順に、二端子対回路の1線上にあるX
A,2線間にあるX
B,前記1線上にあるX
C、2線間にあるX
D、前記1線上にあるX
E、2線間にあるX
F、によって前記二端子対回路が構成されているとして、
X
A=X
C=−X
B ∧ X
D=X
F=−X
E
の関係とする。
この場合、入力インピーダンスZ
inは、Z
in=(X
A2/X
F2)・Rとなり、負負荷の抵抗値Rに比例し、入力電圧に比例した出力電圧が得られる。なお、この機能発揮のためには、入力電圧は交流であることが必要である。
【0051】
《第8実施形態:n=6(前π・後T)》
図14の(b)は、n=6の第2例の回路構成を示す図である。文言上で表現すると、6個のリアクタンス素子のリアクタンスをそれぞれX
A,X
B,X
C,X
D,X
E,X
Fとすると、入力側から見て順に、二端子対回路の2線間にあるX
A,1線上にあるX
B,2線間にあるX
C、前記1線上にあるX
D、2線間にあるX
E、前記1線上にあるX
F、によって二端子対回路が構成されている。
【0052】
前述のように、π型回路及びT型回路では共にRが分母に来るため、LILTにはならない。しかし、π型回路+T型回路で回路を構成すれば、Z
in=k・Rとなり、入力電圧に比例した出力電圧が得られる。そこで、
図14の(b)の回路における6個のリアクタンス素子のリアクタンスをそれぞれX
A,X
B,X
C,X
D,X
E,X
Fとすると、入力側から見て順に、二端子対回路の2線間にあるX
A,1線上にあるX
B,2線間にあるX
C、前記1線上にあるX
D、2線間にあるX
E、前記1線上にあるX
F、によって前記二端子対回路が構成されているとして、
X
A=X
C=−X
B ∧ X
D=X
F=−X
E
の関係とする。
この場合、入力インピーダンスZ
inは、Z
in=(X
A2/X
F2)・Rとなり、負荷の抵抗値Rに比例し、入力電圧に比例した出力電圧が得られる。なお、この機能発揮のためには、入力電圧は交流であることが必要である。
【0053】
上述の、集中定数回路による変圧装置200は、他の構成による変圧装置と組み合わせて使用することも可能である。例えば、他の構成による変圧装置としては、以下のものがある。
【0054】
<リアクタンス素子を用いたスイッチングによる変圧装置>
図15は、かかる変圧装置1の一例を示す回路図である。図において、変圧装置1は、交流電源2と、負荷Rとの間に設けられている。変圧装置1は、一対のキャパシタC1,C2と、一対のインダクタL1,L2と、4つのスイッチS
r1,S
r2,S
b1,S
b2と、これらのスイッチS
r1,S
r2,S
b1,S
b2のオン/オフを制御するスイッチング制御部3とを備えている。スイッチング制御部3のスイッチング周波数は、例えば1MHz程度である。なお、スイッチング周波数は1MHz以上が好ましいが、1MHz未満でも可能である。
【0055】
スイッチS
r1,S
r2,S
b1,S
b2及びスイッチング制御部3により、変圧装置1の回路接続の状態を切り替えるスイッチ装置4が構成されている。スイッチS
r1,S
r2は互いに同期して動作し、また、スイッチS
b1,S
b2は互いに同期して動作する。そして、スイッチS
r1,S
r2のペアと、スイッチS
b1,S
b2のペアとは、排他的に交互にオンとなるよう動作する。スイッチS
r1,S
r2,S
b1,S
b2は、例えば、SiC素子又はGaN素子からなる半導体スイッチング素子である。SiC素子又はGaN素子は、例えばSi素子に比べて、より高速なスイッチングが可能である。また、素子を多段に接続しなくても、充分な耐圧(例えば6kV/1個も可能)が得られる。
【0056】
図15において、一対のキャパシタC1,C2は、接続点P1において互いに直列に接続されている。そして、その直列体の両端に、交流電源2が接続されている。一対のキャパシタC1,C2の直列体には入力電圧V
inが印加され、入力電流I
inが流れる。
また、一対のインダクタL1,L2は、接続点P2において互いに直列に接続されている。そして、その直列体の両端に、キャパシタC1,C2を介した入力電圧V
mが印加され、入力電流I
mが流れる。負荷Rには、スイッチS
r2,S
b2のいずれかがオンのとき電流が流れる。ここで、負荷Rに印加される電圧をV
out、変圧装置1から負荷Rに流れる出力電流をI
outとする。
【0057】
図16の(a)は、
図15における4つのスイッチS
r1,S
r2,S
b1,S
b2のうち、上側にある2つのスイッチS
r1,S
r2がオンで、下側にある2つのスイッチS
b1,S
b2がオフであるときの、実体接続の状態を示す回路図である。なお、
図15におけるスイッチ装置4の図示は省略している。また、
図16の(b)は、(a)と同じ回路図を、階段状に書き換えた回路図である。
一方、
図17の(a)は、
図15における4つのスイッチS
r1,S
r2,S
b1,S
b2のうち、下側にある2つのスイッチS
b1,S
b2がオンで、上側にある2つのスイッチS
r1,S
r2がオフであるときの、実体接続の状態を示す回路図である。また、
図17の(b)は、(a)と同じ回路図を、階段状に書き換えた回路図である。
【0058】
図16,
図17の状態を交互に繰り返すことにより、キャパシタC1,C2の直列体の接続点P1を介して取り出される電圧は、さらに、インダクタL1,L2の直列体の接続点P2を介して取り出される電圧となる。すなわち、キャパシタ側を前段とし、インダクタ側を後段とする変圧が行われる。ここで、入力電圧は約1/4となって出力されるのではないかと推定される。そして、このことは、発明者らの実験によって確認されている。
【0059】
図18は、上が、変圧装置1に対する入力電圧、下が、入力電流をそれぞれ表す波形図である。
図19は、変圧の中間段階での電圧V
m、電流I
mをそれぞれ表す波形図である。これは実際には、スイッチングによるパルス列によって構成され、全体として図示のような波形となる。
また、
図20は、上が、変圧装置1からの出力電圧、下が、出力電流をそれぞれ表す波形図である。
図18,
図20の対比により明らかなように、電圧は1/4に変圧され、それに伴って、電流は4倍となる。
【0060】
<組み合わせの例示>
図21は、
図15に示した変圧装置1と、上記4A型の回路構成を有する変圧装置200とを、組み合わせた回路図である。図において、
図15に示した変圧装置1におけるキャパシタ段と、インダクタ段との間に、変圧装置200が介挿されている。このようにして、2種類の変圧装置1,200の変圧機能を組み合わせることにより、変圧比の広範囲な設計が可能となる。
また、この場合、例えば1MHzの高周波でスイッチングを行っている環境を利用して集中定数回路の変圧装置200を活用することができる。なお、交流電源2が仮に直流電源に置き換わったとしても、変圧装置200には、変圧装置1の前段のスイッチングによるスイッチング波形が入力されるので、使用可能である(以下同様)。
【0061】
図22は、
図1に示した変圧装置1と、上記4B型の回路構成を有する変圧装置200とを、組み合わせた回路図である。図において、
図15に示した変圧装置1におけるキャパシタ段と、インダクタ段との間に、変圧装置200が介挿されている。このようにして、2種類の変圧装置1,200の変圧機能を組み合わせることにより、変圧比の広範囲な設計が可能となる。
【0062】
図23は、
図1に示した変圧装置1と、上記4C型の回路構成を有する変圧装置200とを、組み合わせた回路図である。図において、
図15に示した変圧装置1におけるキャパシタ段と、インダクタ段との間に、変圧装置200が介挿されている。このようにして、2種類の変圧装置1,200の変圧機能を組み合わせることにより、変圧比の広範囲な設計が可能となる。
【0063】
図24は、
図1に示した変圧装置1と、上記4D型の回路構成を有する変圧装置200とを、組み合わせた回路図である。図において、
図15示した変圧装置1におけるキャパシタ段と、インダクタ段との間に、変圧装置200が介挿されている。このようにして、2種類の変圧装置1,200の変圧機能を組み合わせることにより、変圧比の広範囲な設計が可能となる。
【0064】
《その他》
なお、上述のリアクタンス素子として、ケーブルのキャパシタンス及びケーブルのインダクタンスを利用することも可能である。
この場合、ケーブルは耐圧性能を容易に確保することができ、また、低コストであるという利点がある。
【0065】
なお、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。