(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5695725
(24)【登録日】2015年2月13日
(45)【発行日】2015年4月8日
(54)【発明の名称】自動車の機械エネルギーを吸収する装置
(51)【国際特許分類】
B62D 21/15 20060101AFI20150319BHJP
F16F 7/12 20060101ALI20150319BHJP
【FI】
B62D21/15 B
F16F7/12
【請求項の数】6
【外国語出願】
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2013-258899(P2013-258899)
(22)【出願日】2013年12月16日
(65)【公開番号】特開2014-122020(P2014-122020A)
(43)【公開日】2014年7月3日
【審査請求日】2013年12月16日
(31)【優先権主張番号】10 2012 112 419.1
(32)【優先日】2012年12月17日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】510238096
【氏名又は名称】ドクター エンジニール ハー ツェー エフ ポルシェ アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Dr. Ing. h.c. F. Porsche Aktiengesellschaft
(74)【代理人】
【識別番号】100094525
【弁理士】
【氏名又は名称】土井 健二
(74)【代理人】
【識別番号】100094514
【弁理士】
【氏名又は名称】林 恒徳
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ ヴェツェル
【審査官】
畔津 圭介
(56)【参考文献】
【文献】
特開2009−083756(JP,A)
【文献】
特開2007−223532(JP,A)
【文献】
特開2003−327152(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 21/15
F16F 7/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車の機械エネルギーを吸収する装置(1)であって、前記装置(1)がハニカム状空洞構造(2)を有し、かつ第1車体部分(3)と第2車体部分(4)との間に配置される装置(1)において、前記装置(1)が、機械エネルギーを吸収する間に変形可能であり、前記変形によって前記2つの車体部分(3、4)間に圧力嵌め接続が形成され、
前記装置(1)に断面がハニカム状空洞を有する出張り(5)が形成され、前記出張り(5)は、前記装置(1)が変形する間、前記第1車体部分(3)の突起(6)が前記変形した出張り(5)によって少なくとも部分的に囲まれるように前記突起(6)と相互作用し、
前記装置(1)は、前記第2車体部分(4)が中に入り込むポケット(11)を有し、前記ポケット(11)が互いに実質的に平行な2つの壁(14、15)を有し、
前記ポケット(11)の一方の壁(15)が、前記装置(1)が変形の間その周りで回転して変形することができる回転中心(12)を有し、及び前記ポケット(11)の他方の壁(14)は、圧力嵌め接続を前記2つの車体部分(3、4)間に形成できるように、前記第2車体部分(4)に当接した状態に置くことができることを特徴とする装置(1)。
【請求項2】
前記装置(1)の変形後、前記第1車体部分(3)と前記第2車体部分(4)との間に力の流れ経路が確立されることを特徴とする、請求項1に記載の装置(1)。
【請求項3】
前記回転中心(12)を有する前記ポケット(11)の壁(15)が、前記ハニカム状空洞構造(2)の他の部分よりも大きい材料厚さを少なくとも部分的に有することを特徴とする、請求項1または2に記載の装置(1)。
【請求項4】
前記装置(1)がアルミニウムまたはアルミニウム合金から製造されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項5】
前記第1車体部分(3)が前記自動車の荷物室領域であること、及び前記第2車体部分(4)が前記自動車の乗員室領域に接続されることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項6】
前記第2車体部分(4)に対するねじ接続用の中央受け部(8)が設けられることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の装置(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の機械エネルギーを吸収する装置に関し、この装置はハニカム状空洞構造を有し、かつ第1車体部分と第2車体部分との間に配置される。
【背景技術】
【0002】
(特許文献1)は前記タイプの装置を開示する。既に知られている機械エネルギーを吸収する装置では、自動車の車体の変形可能な前方部分が提供され、この変形可能な前方部分は自動車の予備タイヤ室に配置され、前方衝突時、水平位置にある予備タイヤが隔壁を介して乗員室へ、または燃料タンクへ押されることを防止する。衝突時の力の流れが予備タイヤによって分散されず、金属支持板及び金属補強板を介してバンパによって吸収されることがここで提供される。衝突時に予備タイヤが後方及び上方に案内されることも提供される。
【0003】
(特許文献2)は衝突時の保護及びエネルギー吸収作用を有する衝突支持材を開示する。このため、既に知られている衝突支持材は、前端部にフックイン接続を有し、かつ後方自由端部にビームに対する支持材を有する。
【0004】
既に知られている装置の場合、衝突時に構成要素の移動が生じ、及び衝突によって発生するエネルギーが自動車の車体に分散されないことが問題である可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】独国特許発明第20 46 251 C1号明細書
【特許文献2】独国特許発明第102 21 299 C1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ゆえに本発明の目的は、衝突または事故に由来するエネルギーが自動車の車体構造に分散されるように、導入部で言及した一般的な型の装置を改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的は、特許請求項1の特徴を有する装置を用いることによって達成される。有利な改良は従属項に明示される。装置は機械エネルギーを吸収する間に変形可能であり、その際、変形により2つの車体部分間に圧力嵌め接続が形成されることがここで提供される。前記対策によって、車体部分が互いの上に移動しないことが達成される。車体部分は、これが衝突からより少ないエネルギーを吸収し得るので、衝突時に互いの上に移動しないはずである。本発明により車体部分が互いの上に移動しないことが保証される。
【0008】
本発明の主題の1つの有利な改良では、断面がハニカム状空洞を有する出張りが形成される。ここで出張りは、装置が変形する間、変形した出張りによって第1車体部分の突起が少なくとも部分的に囲まれるように、第1車体部分の突起と相互作用する。この対策によって、第1車体部分と装置との間に圧力嵌め接続が形成される。
【0009】
装置は、第2車体部分が中に入り込むポケットを有し、ポケットは互いに実質的に平行な2つの壁を有する。ポケットの一方の壁が、装置が変形する間その周りで回転して変形可能な回転中心を有し、及びポケットの他方の壁は、圧力嵌め接続を2つの車体部分間に形成できるように、第2車体部分に当接した状態に置くことができることがここで提供される。この対策によって、圧力嵌め接続が装置と第2車体部分との間に形成され、それにより、2つの車体部分間の力の流れ経路が確立され、圧力嵌め接続が2つの車体部分間に形成される。
【0010】
本発明による装置は、装置の変形後、第1車体部分と第2車体部分との間の力の流れ経路が確立されることを特徴とする。
【0011】
本発明による装置の特に有利な改良では、回転中心を有するポケットの壁が、ハニカム状空洞構造の他の部分よりも大きい材料厚さを少なくとも部分的に有することが提供される。装置はアルミニウムまたはアルミニウム合金から製造されることがここで提供される。
【0012】
第1車体部分が自動車の荷物室領域であること、及び第2車体部分が自動車の乗員室領域に接続されることが好ましい。
【0013】
本発明による装置の別の有利な改良は、第2車体部分に対するねじ接続のために中央受け部が設けられることを提供する。この対策によって、本発明による装置を取り付けるために1本のねじだけが必要である。
【0014】
例示的実施形態に基づき、かつ添付図面と併せて、本発明をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】設置位置にある本発明による装置の概略断面図である。
【
図2】力の導入が部分的に発生している、本発明による装置の、
図1に対応する断面図である。
【
図3b】本発明による装置の作動モードを説明する概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、自動車の機械エネルギーを吸収する装置1を示す断面図である。ここで、装置1はハニカム状空洞構造2を有し、かつ第1車体部分3と第2車体部分4との間に配置される。この場合、第1車体部分3は、例えば自動車の荷物室領域であるが、第2車体部分4は自動車の乗員室領域に接続される。
図1中参照番号7で示される矢印は、衝突時に装置1にかかる力の作用を示す。装置1の概念は、機械エネルギーを吸収する間に変形すること、及びそうすることで2つの車体部分3、4の間に圧力嵌め接続を実現することである。このため、装置は、断面が同じくハニカム状空洞2を有する出張り5を有する。以下でより詳細に説明するように、出張り5は、装置1が変形する間、変形した出張り5によって第1車体部分3の突起6が少なくとも部分的に囲まれるように突起6と相互作用する。さらに、装置1は支持表面9を有し、支持表面9は第1車体部分3に形成された別の支持表面13と相互作用する。
図1に示される装置1の設置位置において、非変形状態では、間隙d1が出張り5と突起6との間に存在し、間隙d2が支持表面9と支持表面13との間に存在する。間隙寸法d1及びd2は、装置1の設置のために必要とされる。同じく
図1から分かるように、装置1は、中央受け部8を介したねじ接続によって、第2車体部分4にしっかり接続される。中央受け部8は、装置1の取付け及び設置に1本のねじだけが必要であるという効果を有する。このように装置1の設置は大幅に簡素化される。
【0017】
図2は、衝突に由来する力の一部が装置1の中に既に導入された図を示す。ここで
図1と比べると、構成要素3は既に右に移動し、間隙寸法d1は閉鎖されている。突起6は出張り5と係合した状態に置かれ、その結果、出張り5が変形している。出張り5の変形の間、出張り5は、ハニカム状空洞構造2のおかげで、突起6の周りに湾曲し、出張り5は少なくとも部分的に突起6を囲む。従って矢印7の方向の力は、車体部分3から装置1へ導かれる。出張り5の変形は参照符号10の矢印によって示される。
【0018】
図3a及び
図3bは装置1の作動原理を示す。
図3aでは、
図1及び
図2と比較すると、装置1は隣接する車体部分3、4がない状態で示されている。
図3a及び
図3bに示される状態は、
図2に示される状態に対応する。ここで装置1の出張り5は既に変形されている。支持表面9は装置1の前方領域に位置している。同じく
図3aから分かるように、装置1はポケット11を有し、ポケット11の中に第2車体部分4が設置位置において入り込む。ポケット11は、互いに実質的に平行な2つの壁14及び15を有する。ポケット11の壁15は回転中心12を含み、装置1は、衝突時に変形する間、回転中心12の周りで回転して変形することができる。変形によって生じた回転の後、ポケット11の他方の壁14が第2車体部分4に当接し、圧力嵌め接続が装置1と車体部分4との間にもたらされる。
【0019】
装置1の機能をより詳細に説明するため、
図3bは、衝突時の装置1の作動原理を説明する概略図を示す。既に述べたように、力の導入が車体部分3を介して部分的に生じたとき、突起6はまず出張り5と係合した状態に置かれる。結果として、出張り5は変形し、
図3bの力矢印10’で示されるように、車体部分3に向かう方向に部分的に回転移動する。車体部分3を介した別の力の導入の間、車体部分3の支持表面13は、参照番号16の矢印で示されるように、装置1の支持表面9に当接する。車体部分3がその支持表面13によって装置1と接触した後、装置1はその回転中心12の周りを移動矢印10で示されるように回転する。結果として、ポケット11の壁14は、第2車体部分4が2つの壁14、15の間でポケット11内に締め付けられるように、第2車体部分4に向かって移動矢印16の方向に移動する。従って、跳上げレバーの態様で回転中心12の周りで内在的な回転、すなわち構造に誘発される回転を実行すること、それによって車体部分3と4を圧力嵌めの態様で互いに接続することが装置1の概念である。
【0020】
従って、衝突時、出張り5は最初に車体部分の突起6によって変形され、ひいては装置1は車体部分3と動作接続した状態に置かれる。車体部分3の
図3bの右への別の移動により車体部分3の支持表面13が装置1の支持表面9と係合する。結果として、装置1の回転中心12周りでの内在的な回転が実行され、ポケット11の壁14が第2車体部分4に当接し、そして第2車体部分4をその中に締め付ける。結果として、車体部分4は壁14、15によってポケット11に対して締め付けられる。この締付け動作は、車体部分3を介した力の別の導入の間、車体部分3、4の互いに対する別の移動を不可能にする効果を有する。車体部分3への力の別の導入は、前記力が装置1を介して車体部分4へ分散されるという効果を有する。
【0021】
装置1が、その構造に起因して、車体部分3と装置1との間に圧力嵌めを、及び別の圧力嵌めを装置1と車体部分4との間に実現することで、衝突時、圧力嵌め接続が2つの車体部分3、4の間に形成され、2つの車体部分3、4のうちの1つの垂直の偏向移動が防止されるようにすることが本発明の主概念である。このため、装置1は、跳上げレバーの態様で回転中心の周りを回転移動するように、及びいずれの場合にも車体3、4に締め付けられるように構成される。装置1は、自動車の全重量のできるだけ少ない割合を構成するように、アルミニウムまたはアルミニウム合金から製造される。
図1、2及び3aから分かるように、ポケット11の、回転中心12を有する壁15には、装置1が回転の間、または変形の間破断しないように、比較的大きい材料厚さが少なくとも部分的に設けられる。
【符号の説明】
【0022】
1 機械エネルギーを吸収する装置
2 ハニカム状空洞構造
3 第1車体部分
4 第2車体部分