(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5695732
(24)【登録日】2015年2月13日
(45)【発行日】2015年4月8日
(54)【発明の名称】非ソースシンクロナスインターフェイスのための入出力の強化
(51)【国際特許分類】
G06F 13/16 20060101AFI20150319BHJP
G11C 11/409 20060101ALI20150319BHJP
G11C 11/4076 20060101ALI20150319BHJP
【FI】
G06F13/16 510E
G11C11/34 354A
G11C11/34 354C
【請求項の数】10
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-501356(P2013-501356)
(86)(22)【出願日】2011年3月21日
(65)【公表番号】特表2013-524318(P2013-524318A)
(43)【公表日】2013年6月17日
(86)【国際出願番号】US2011029228
(87)【国際公開番号】WO2011119497
(87)【国際公開日】20110929
【審査請求日】2014年2月28日
(31)【優先権主張番号】12/731,504
(32)【優先日】2010年3月25日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】511226960
【氏名又は名称】サンディスク テクノロジィース インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100075144
【弁理士】
【氏名又は名称】井ノ口 壽
(72)【発明者】
【氏名】デビッドソン,マシュー
(72)【発明者】
【氏名】ヘロン,ラルフ
(72)【発明者】
【氏名】アイゲルマメネ,ラフダル
(72)【発明者】
【氏名】タル,ロニー
(72)【発明者】
【氏名】ドラック,アシェル
【審査官】
松永 稔
(56)【参考文献】
【文献】
特開2001−110185(JP,A)
【文献】
特開2002−175692(JP,A)
【文献】
米国特許第07132854(US,B1)
【文献】
特開2004−111041(JP,A)
【文献】
特開2007−207229(JP,A)
【文献】
特開2000−200482(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2008/0049540(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 13/16
G06F 12/00 − G06F 12/06
G11C 11/401 − G11C 11/4099
G11C 11/41 − G11C 11/419
G11C 16/02 − G11C 17/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のデバイスが第2のデバイスと電気的に接続するインターフェイス回路であって、
前記第1および第2のデバイスの間で転送される電気信号は第1の電圧レンジのものであり、前記第1のデバイスのコア動作電圧は第1の電圧レンジとは異なる第2の電圧レンジのものであり、
前記第1および第2のデバイスの間の信号の転送用のパッドを各々有し、かつ第1および第2の電圧レンジの間で信号を変換する1つ以上のレベルシフト回路を各々有する複数の入出力セルを備え、
前記複数の入出力セルは、
第1の入出力セルであって、それにより前記第1のデバイスは、前記第2のデバイスへのデータ転送のためにその第2のデバイスに動作可能に接続されると、それぞれのパッドを介して前記第2のデバイスから第1の電圧レンジのクロック信号を受信し、クロック信号を第2の電圧レンジにレベルシフトし、レベルシフトされたクロック信号を前記第1のデバイスのコア処理回路網に供給するものである第1の入出力セルと、
前記第1のデバイスのコア処理回路網から第2の電圧レンジの対応する第1および第2のデータ信号対を受信し、そのデータ信号対を第1の電圧レンジにレベルシフトし、前記第2のデバイスに動作可能に接続されると、レベルシフトされたデータ信号をその第2のデバイスに供給するために各々接続された1つ以上の第2の入出力セルと、を含み、
各第2の入出力セルは、対応するレベルシフトされたデータ信号対を受信するように接続され、かつ前記第1の入出力セルからレベルシフトされていないクロック信号を受信するように前記第1の入出力セルに接続される多重化回路であって、前記クロック信号を選択信号として用いて、結合された対応するレベルシフトされたデータ信号対から形成されるダブルデータレート信号を生成し、またダブルデータレート信号を前記第2の入出力セルの出力パッドに供給するようにさらに接続される多重化回路を含むように構成され、
前記第1のデバイスから受信された通りのデータ信号対のうちの1つの第1および第2のデータ信号は、半サイクルだけずれた同じデータ内容を有し、それにより結合されたデータ信号はシングルデータレート信号の同等物を形成し、
前記インターフェイス回路は、前記第1のデバイスからクロックイネーブル信号を受信するように接続され、
前記クロックイネーブル信号がアサートされると、前記多重化回路は、ダブルデータレート信号を生成するインターフェイス回路。
【請求項2】
第1のデバイスが第2のデバイスと電気的に接続するインターフェイス回路であって、
前記第1および第2のデバイスの間で転送される電気信号は第1の電圧レンジのものであり、前記第1のデバイスのコア動作電圧は第1の電圧レンジとは異なる第2の電圧レンジのものであり、
前記第1および第2のデバイスの間の信号の転送用のパッドを各々有し、かつ第1および第2の電圧レンジの間で信号を変換する1つ以上のレベルシフト回路を各々有する複数の入出力セルを備え、
前記複数の入出力セルは、
第1の入出力セルであって、それにより前記第1のデバイスは、前記第2のデバイスへのデータ転送のためにその第2のデバイスに動作可能に接続されると、それぞれのパッドを介して前記第2のデバイスから第1の電圧レンジのクロック信号を受信し、クロック信号を第2の電圧レンジにレベルシフトし、レベルシフトされたクロック信号を前記第1のデバイスのコア処理回路網に供給するものである第1の入出力セルと、
前記第1のデバイスのコア処理回路網から第2の電圧レンジの対応する第1および第2のデータ信号対を受信し、そのデータ信号対を第1の電圧レンジにレベルシフトし、前記第2のデバイスに動作可能に接続されると、レベルシフトされたデータ信号をその第2のデバイスに供給するために各々接続された1つ以上の第2の入出力セルと、を含み、
各第2の入出力セルは、対応するレベルシフトされたデータ信号対を受信するように接続され、かつ前記第1の入出力セルからレベルシフトされていないクロック信号を受信するように前記第1の入出力セルに接続される多重化回路であって、前記クロック信号を選択信号として用いて、結合された対応するレベルシフトされたデータ信号対から形成されるダブルデータレート信号を生成し、またダブルデータレート信号を前記第2の入出力セルの出力パッドに供給するようにさらに接続される多重化回路を含むように構成され、
前記第1のデバイスから受信された通りのデータ信号対のうちの1つの第1および第2のデータ信号は、半サイクルだけずれた同じデータ内容を有し、それにより結合されたデータ信号はシングルデータレート信号の同等物を形成し、
前記インターフェイス回路は、前記第1のデバイスからクロックイネーブル信号を受信するように接続され、
前記クロックイネーブル信号がアサートされると、前記多重化回路は、前記クロックイネーブル信号を第1の電圧レンジに変換したものと第2のデバイスからの第1の電圧レンジのクロック信号との論理積をとり、ダブルデータレート信号を生成するインターフェイス回路。
【請求項3】
請求項1または2記載のインターフェイス回路において、
前記インターフェイス回路は、複数の第2の入出力セルを有するインターフェイス回路。
【請求項4】
請求項1または2記載のインターフェイス回路において、
前記第2の入出力セルの各々はドライバをさらに含み、それにより前記多重化回路は、ダブルデータレート信号を前記第2の入出力セルの出力パッドに供給するように接続されるインターフェイス回路。
【請求項5】
請求項1または2記載のインターフェイス回路において、
前記第1のデバイスはその上に前記インターフェイス回路が形成されるメモリコントローラ回路であり、前記第2のデバイスはホストであるインターフェイス回路。
【請求項6】
請求項5記載のインターフェイス回路において、
前記メモリコントローラ回路は、複数の外部電気接点を有するハウジング内に封入されたメモリデバイスのためのコントローラであり、前記パッドは、前記ホストとの電気通信のために前記ホストに取り外し可能に接続されると、複数の外部電気接点に接続されるインターフェイス回路。
【請求項7】
第1のデバイスが電気的に接続される第2のデバイスに前記第1のデバイスからデータを転送する方法であって、前記第1および第2のデバイスの間で転送される電気信号は第1の電圧レンジのものであり、前記第1のデバイス上のコア動作電圧は第1の電圧レンジとは異なる第2の電圧レンジのものである方法において、
前記第1のデバイスのためのインターフェイス回路の第1の入出力パッドにおいて前記第2のデバイスから第1の電圧レンジのクロック信号を受信するステップと、
第1の電圧レンジのクロック信号を前記インターフェイス回路上の入出力セルに設けられた多重化回路に提供するステップと、
第1の電圧レンジのクロック信号を前記インターフェイス回路上で第2の電圧レンジに変換するステップと、
第2の電圧レンジに変換されたクロック信号を前記第1のデバイスの論理回路網に提供するステップと、
第2の電圧レンジに変換されたクロック信号によってクロック制御される論理回路網から送信される、第2の電圧レンジの第1および第2のデータ信号を前記インターフェイス回路上の入出力セルにおいて受信するステップと、
第1および第2のデータ信号を前記インターフェイス回路上で第1の電圧レンジに変換するステップと、
第1の電圧レンジに変換された第1および第2のデータ信号を、第1の電圧レンジにおけるクロック信号を選択信号として用いる前記多重化回路によってダブルデータレート信号に結合するステップと、
前記第2のデバイスに前記インターフェイス回路上の入出力セルの第2の入出力パッドからダブルデータレート信号を提供するステップと、
前記第1のデバイスからクロックイネーブル信号を受信するステップと、を含み、
受信された通りの第1および第2のデータ信号は、半サイクルだけずれた同じデータ内容を有し、それにより結合されたデータ信号はシングルデータレート信号の同等物を形成し、
前記多重化回路は、前記クロックイネーブル信号がアサートされるのに応答してダブルデータレート信号を生成する方法。
【請求項8】
第1のデバイスが電気的に接続される第2のデバイスに前記第1のデバイスからデータを転送する方法であって、前記第1および第2のデバイスの間で転送される電気信号は第1の電圧レンジのものであり、前記第1のデバイス上のコア動作電圧は第1の電圧レンジとは異なる第2の電圧レンジのものである方法において、
前記第1のデバイスのためのインターフェイス回路の第1の入出力パッドにおいて前記第2のデバイスから第1の電圧レンジのクロック信号を受信するステップと、
第1の電圧レンジのクロック信号を前記インターフェイス回路上の入出力セルに設けられた多重化回路に提供するステップと、
第1の電圧レンジのクロック信号を前記インターフェイス回路上で第2の電圧レンジに変換するステップと、
第2の電圧レンジに変換されたクロック信号を前記第1のデバイスの論理回路網に提供するステップと、
第2の電圧レンジに変換されたクロック信号によってクロック制御される論理回路網から送信される、第2の電圧レンジの第1および第2のデータ信号を前記インターフェイス回路上の入出力セルにおいて受信するステップと、
第1および第2のデータ信号を前記インターフェイス回路上で第1の電圧レンジに変換するステップと、
第1の電圧レンジに変換された第1および第2のデータ信号を、第1の電圧レンジにおけるクロック信号を選択信号として用いる前記多重化回路によってダブルデータレート信号に結合するステップと、
前記第2のデバイスに前記インターフェイス回路上の入出力セルの第2の入出力パッドからダブルデータレート信号を提供するステップと、
前記第1のデバイスからクロックイネーブル信号を受信するステップと、を含み、
受信された通りの第1および第2のデータ信号は、半サイクルだけずれた同じデータ内容を有し、それにより結合されたデータ信号はシングルデータレート信号の同等物を形成し、
前記多重化回路は、前記クロックイネーブル信号を第1の電圧レンジに変換したものと第2のデバイスからの第1の電圧レンジのクロック信号との論理積をとり、前記クロックイネーブル信号がアサートされるのに応答してダブルデータレート信号を生成する方法。
【請求項9】
請求項7または8記載の方法において、
前記第1のデバイスはその上に前記インターフェイス回路が形成されるメモリコントローラ回路であり、前記第2のデバイスはホストである方法。
【請求項10】
請求項9記載の方法において、
前記メモリコントローラ回路は、複数の外部電気接点を有するハウジング内に封入されたメモリデバイスのためのコントローラであり、前記パッドは、前記ホストとの電気通信のために前記ホストに取り外し可能に接続されると、複数の外部電気接点に接続される方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して電気的インターフェイスの分野に関し、より具体的には、非ソースシンクロナスインターフェイスのためのデータの出力に関する。
【背景技術】
【0002】
集積回路デバイス間のデータ転送のための単純なインターフェイスは、多くの場合、ホストデバイスによって提供される、ホストにデータを出力するべくスレーブデバイスによって用いられるクロック信号を含むことになる。具体例は、ホストによるメモリカードまたは他のメモリデバイスの読み出しサイクルである。このとき、スレーブからのデータ出力のタイミングはクロック信号の到着に依存する。このようなデバイスの性能を向上させる過程が進行している。より高い転送速度が所望される場合、1つのアプローチは、インターフェイスプロトコルを、DRAMデバイス内で用いられるDDR(ダブルデータレート)構成におけるもの等のクロック信号およびデータ信号がどちらも同じデバイスから提供されるソースシンクロナス方式に移行させることである。しかし、このアプローチは多くのデバイスにおいて用いるのに現実的でない場合がある。というのも、インターフェイスに対する大幅な改変(例えば、信号ピンの追加)を要する場合があるからである。それ故、このようなインターフェイスには改善の余地がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第5,070,032号
【特許文献2】米国特許第5,095,344号
【特許文献3】米国特許第5,315,541号
【特許文献4】米国特許第5,343,063号
【特許文献5】米国特許第5,661,053号
【特許文献6】米国特許第5,313,421号
【特許文献7】米国特許第5,570,315号
【特許文献8】米国特許第5,903,495号
【特許文献9】米国特許第6,046,935号
【特許文献10】米国特許第6,222,762号
【特許文献11】米国特許出願第12/642,649号
【特許文献12】米国特許第5,887,145号
【特許文献13】米国特許第6,820,148号
【特許文献14】米国特許第7,305,535号
【特許文献15】米国特許第7,360,003号
【特許文献16】米国特許第7,364,090号
【特許文献17】米国特許出願第12/676,339号
【発明の概要】
【0004】
第1の態様群によれば、インターフェイス回路が提示される。インターフェイス回路は、第1のデバイスが第2のデバイスと電気的に接続するためのものであり、第1および第2のデバイスの間で転送される電気信号は第1の電圧レンジのものであり、第1のデバイスのコア動作電圧は異なる第2のレンジのものである。インターフェイス回路は複数の入出力セルを含み、複数の入出力セルの各々は第1および第2のデバイスの間の信号の転送用のパッドを有し、かつ第1および第2の電圧レンジの間で信号を変換する1つ以上のレベルシフト回路を有する。入出力セルは、第1の入出力セルであって、それにより第1のデバイスは、第2のデバイスへのデータ転送のためにその第2のデバイスに動作可能に接続されると、それぞれのパッドを介して第2のデバイスから第1の電圧レンジのクロック信号を受信し、クロック信号を第2の電圧レンジにレベルシフトし、レベルシフトされたクロック信号を第1のデバイスのコア処理回路網に供給するものである第1の入出力セルを含む。入出力セルは、第1のデバイスのコア処理回路網から第2の電圧レンジの対応する第1および第2のデータ信号対を受信するために各々接続され、データ信号対を第1の電圧レンジにレベルシフトし、ホストに動作可能に接続されると、レベルシフトされたデータ信号を第2のデバイスに供給する1つ以上の第2の入出力セルも含む。各第2の入出力セルは、対応するレベルシフトされたデータ信号対を受信するように接続され、かつ第1の入出力セルからレベルシフトされていないクロック信号を第1の入出力セルに受信するように接続される多重化回路を含む。多重化回路は、クロック信号を選択信号として用いて、結合された対応するレベルシフトされたデータ信号対から形成されるダブルデータレート信号を生成し、またダブルデータレート信号を第2の入出力セルの出力パッドに供給するようにさらに接続される。
【0005】
他の態様によれば、第1のデバイスが電気的に接続される第2のデバイスに第1のデバイスからデータを転送する方法であって、第1および第2のデバイスの間で転送される電気信号は第1の電圧レンジのものであり、第1のデバイス上のコア動作電圧は異なる第2の電圧レンジのものである方法が提示される。この方法は、第1のデバイスのためのインターフェイス回路の第1の入出力パッドにおいて第2のデバイスから第1の電圧レンジのクロック信号を受信することを含む。クロック信号はインターフェイス回路上の多重化回路に提供される。この方法は、クロック信号をインターフェイス回路上で第2の電圧レンジに変換し、変換されたクロック信号を第1のデバイスの論理回路網に提供することと、変換されたクロック信号によってクロック制御される論理回路網から送信される、第2の電圧レンジの第1および第2のデータ信号をインターフェイス回路において受信することと、第1および第2のデータ信号をインターフェイス回路上で第1の電圧レンジに変換することと、変換された第1および第2のデータを、第1の電圧レンジにおけるクロック信号を選択信号として用いる多重化回路によってダブルデータレートデータ信号に結合することと、をさらに含む。次に、ダブルデータレートデータ信号はインターフェイス回路上の第2の入出力パッドから第2のデバイスに提供される。
【0006】
本発明の種々の態様、利点、特徴および実施形態がその例示的な例の以下の説明に含まれている。その説明は添付の図面と併せて解釈されなければならない。本願明細書において参照されている特許、特許出願、記事、その他の刊行物、文書および事物は全て、本願明細書においてその全体が本願明細書において参照により援用されている。援用されている刊行物、文書または事物と本願との間に用語の定義または用法における矛盾または不一致がある場合は、本願のものを優先させるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】SD規格によるカード、その接点、ホストスロット、および接点の割り当てを示す図である。
【
図3】シングルデータレートインターフェイスを示す図である。
【
図4】データ信号が入出力電圧領域にレベルシフトされる前にダブルデータレート信号が形成されるダブルデータレートインターフェイスを示す図である。
【
図5】例示的な実施形態によるダブルデータレートインターフェイスを示す図である。
【
図6】例示的な実施形態がどのようにシングルデータレート動作のために用いられることができるのかを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下は、デバイスであって、そのコア回路網は1つの電圧領域内で動作するが、異なる電圧領域に従う別のデバイス(または「ホスト」)と信号を交換するデバイスの使用のためのインターフェイス、および対応する技法、ならびにダブルデータレート(DDR)転送を用いてデータを供給するためのこうしたインターフェイスの利用法を提示する。この状況の具体例はメモリカードである。メモリカードでは、内部回路網はそのコア動作電圧のために1つの電圧レンジを用いるが、異なる入出力電圧レンジを用いるホストと信号を交換する。以下に提示される一般的な態様群によれば、インターフェイスはデバイスからデバイスのコア動作電圧領域においてデータ信号を受信し、これらを入出力電圧領域に個々にレベルシフトし、次いで、それらをホストデバイスへの転送のためのDDR信号に結合する。ここで、ホストデバイスからの(レベルシフトされていない)クロック信号は、DDRデータ信号を形成するための選択信号として用いられる。
【0009】
背景技術の欄で説明したように、より高い転送速度を得る1つの方法は、インターフェイスプロトコルを、DRAMデバイス内に見られるDDR構成等のクロック信号およびデータ信号がどちらも同じデバイスから提供されるソースシンクロナス方式に移行させることである。これは、SDまたはMMCカード等の既存の着脱型または組み込み型のフォームファクタのデバイスに対して、信号ピンの追加等のインターフェイスに対する大幅な改変を要し得る。インターフェイスデータ転送速度を以前のバージョンのプロトコルから高めるためには他の技法が用いられなければならなくなってきた。以下はデバイス側ASICの設計についてこれらの課題に対処する。
【0010】
以下の説明は主として、カードのコントローラ上にインターフェイス回路が形成される不揮発性メモリカード型の適用物の文脈に関して与えられているが、提示されている技法および回路網はこれらの実施形態だけに限定されるものではない。より一般的には、取り外し可能なメモリカードに加えて、ここで提示されているインターフェイスは、組み込み型メモリデバイスまたはSSD等の他のメモリデバイス上で用いられることもできるし、あるいはデータ転送用のインターフェイスを必要とするさらにより一般的な状況で用いられることもできる。一般的な状況とは、第1の電圧領域内で動作するが、第2の電圧領域の信号を用いる第2のデバイスと信号を交換する第1のデバイスについてのものである。(第2のデバイスは「ホスト」と呼ばれることになる。というのも、それが例示的な実施形態において対応することになるものであるからである。)インターフェイスは信号のレベルを2つの領域の間でシフトさせ、特に、ホストからのクロック信号を、ホストにデータを転送する際の第1のデバイスによる利用のために受信する。さらに、インターフェイスは通例、第1のデバイスの一部(例えば、メモリコントローラの一部等)として形成されることになるが、インターフェイス(またはIOセル)のみを独立部分として作ることが可能である。
【0011】
前述したように、説明をより具体的にするために、ここでの説明はSDメモリカードの文脈に関して示すことができる。
図1は、外部接点11〜19を有するSDカード20を示す。次に、このカードはホスト(またはアダプタ)に、対応する接点群1〜9を有するスロット10内で結合する。接点群1〜9はさらにピン21〜29によってホストの内部構造上に接続されている。SD規格による接点の割り当ても示されている。これらは接点25におけるホストクロック信号ならびにデータ入出力接点1および7〜9を含む。同様な構成が、ピン構造および割り当ての適当な変更により、MMC、microSD、コンパクトフラッシュ(登録商標)、USBフラッシュドライブ、メモリスティック等の他の規格にも当てはまる。ホスト10とカード20との間で交換される信号は、IO電圧領域と呼ばれることになる電圧レンジを用いる。カード20の内部回路網は通例、ここではコア電圧領域と呼ばれる別の電圧レンジ内で動作することになり、カードのホストインターフェイス回路網がこれらの電圧領域の間を変換することになる。
【0012】
図2は、SDカードまたは他のフラッシュメモリデバイス内に通例見られる内部要素の一部のブロック図である。1つ以上のフラッシュメモリデバイス39は、バス構造44に沿ってメモリインターフェイス51を通じてコントローラ回路37に接続されている。コントローラはプロセッサ49、データバッファ55、RAM57およびROM59も含む。これらの要素はコア電圧領域内で動作する。ホストインターフェイスは47で示され、
図3〜6に関して以下に説明されるIOセルを含むことになる。カード接点45は
図1の接点11〜19に対応し、インターフェイス47のIOセル上のパッドに接続される。メモリシステムに関するさらなる詳細が、例えば、米国特許第5,070,032号(特許文献1)、第5,095,344号(特許文献2)、第5,315,541号(特許文献3)、第5,343,063号(特許文献4)、および第5,661,053号(特許文献5)、第5,313,421号(特許文献6)、第5,570,315号(特許文献7)、第5,903,495号(特許文献8)、第6,046,935号(特許文献9)、および第6,222,762号(特許文献10)、ならびに2009年12月18日に出願された米国特許出願第12/642,649号(特許文献11)、その他にもこれらの特許文献でさらに援用されている種々の先行技術文献に記載されている。メモリカードに関するさらなる詳細が、例えば、米国特許第5,887,145号(特許文献12)、第6,820,148号(特許文献13)、第7,305,535号(特許文献14)、第7,360,003号(特許文献15)、および第7,364,090号(特許文献16)、ならびに米国特許出願第12/676,339号(特許文献17)に記載されている。
【0013】
ホストインターフェイス47内では、レベルシフタの使用が通例必要とされる。というのも、SD UHSにおけるように、同じインターフェイスプロトコルに対してIO電圧が変化する場合があるからである(例えば1.8Vおよび3.3V)。さらに、最新のプロセス(0.13μm以下)のコアロジックは、インターフェイスよりも低い電圧(例えば、1.2Vまたは1.0V)において動作することになる。1クロックサイクル当たりデータピン毎に1ビットのデータが通例転送される(例えば、SDカードについては4ビット、MMCについては8ビット等)SDR(シングルデータレート)インターフェイスでは、
図3のトポロジーが典型的である。インターフェイスは、デバイスの入出力ピンまたは接点に対応する多数の入出力セルであって、対応する接点に接続されることになるパッドを各々有する入出力セルを含むことになる。
図3は、これらのIOセルのうちの2つであって、データピンおよびホストのクロック信号用のピンのうちの一方にそれぞれ対応する101および121を示す。各IOセルは通常、それぞれのドライブ(105、107、125、127)によってパッドに接続された、それぞれの入出力機能のためのレベルシフト回路(109、111、129、131)を有することになる。説明を簡略化するために、他のIOセルは示されておらず、ドライバを除いて、セルの他の要素も示されていない。クロック信号を受信するIOセル121、およびデータIOセル101のうちの1つのみが明示されている。デバイス上のコア回路網もフリップフロップ145ならびにドライバ141および143の関連要素に単純化され、他の要素は雲147によって表されている。
【0014】
デバイスからホストへのSDRデータ転送において、クロック信号はホストからパッド123において受信され、ドライバ127を通じてレベルシフタ129に転送され、そこで、IO電圧レンジからコア電圧領域にシフトされる。次に、レベルシフトされたクロックはドライバ141および143によってフリップフロップ145に転送される。クリティカルパスは、ホストデバイスに出力されるべきデータを包含するフリップフロップ145を含み、このデータは他の回路要素(147によって表される)を越えた後、セル101に供給される。次に、データは、レベルシフタ111によってIO電圧領域にレベルシフトされ、ドライバ105によってパッド103に送られ、そこでホストにデータを出力することができる。
【0015】
図4に、DDRインターフェイスを実装するための典型的な回路が示されている。この図は、
図3に関して説明したのと同様に単純化されている。IOセル201および221は
図3における対応する要素とほとんど同じであり、それらの構成要素はそれに対応して符号が付けられている。コア回路網は、ダブルデータレート信号を形成し、その信号をIOセル201に供給するように改変されている。レベルシフトされたクロック信号はなおもドライバ241および243を通じてフリップフロップ245に供給されるが、フリップフロップ245は、今度はフリップフロップ261および263に信号を送る。ここでは、任意の介在回路網が257および255において概略的に表されている。フリップフロップ261および263は、(レベルシフトされた)クロック信号および反転されたクロック信号を(ドライバ251およびドライバ/インバータ253を通じて)それぞれ受信し、半サイクル位相がずれた(シングルデータレート)データストリームをマルチプレクサ265に提供する。次に、レベルシフトされたクロック信号は、任意の介在回路網を通じてデータ出力IOセル201に供給される結合ダブルデータレート信号を形成するために、マルチプレクサ265によって選択信号として用いられる。
【0016】
図4の回路のクリティカルパスはクロック受信IOセル221を通る。次に、IO電圧からコア電圧にレベルシフトされる。クロック信号はマルチプレクサ265への選択入力として用いられ、その出力はデータ送信IOセル201に送られる。次に、データ出力はそこでレベルシフトされてIO電圧に戻され、ホストデバイスに送られる。その結果、
図4の構成および同様に
図3のものは、ASICデバイスの内部で著しい遅延を蒙る場合があり、それがシステムの全タイミングバジェットに影響を及ぼす。これに対処するために、出力IOセルのためのドライブ強度を高めることが可能である場合があるが、これは、ホストデバイスによって見られるオーバーシュートおよびアンダーシュートの量を増大させることになり、機能不全を生じさせる可能性がある。
【0017】
ここで提示される例示的な実施形態はマルチプレクサロジックをコアロジックから出してIOセル自身の中に入れる。
図4と比較して、この方式は、入力IO(クロック)および出力IO(データ)内の両レベルシフタに関連付けられる遅延を除去する。この論理パスは非常に高速にもなる。これは、IOセルは互いに極近接して配置されてよいので、信号ルーティングに関連する遅延をより容易に最小化することができるのと、信号が接合点によって接続可能となるためである。
【0018】
図5を参照すると、例示的な実施形態のブロック図を示している。前に説明したのと同様に、説明に特に関連する要素のみが示され、提示を簡略化するために、他のものは表示されていない。この新しい回路は、変更されたDATA IOセル301から成る。この場合も前と同様に、実際のデバイスはこのようなセルをいくつか含んでよいが、単一のセルのみが明示されている。このセルは2つのデータ入力、I0(CLOCKが論理0のときに出力されるべきデータを表す)およびI1(CLOCKが論理1のときに出力されるべきデータを表す)を包含する。これは、単一のデータ入力のみを含む、前の
図4の従来のセル201と対照的である。I0およびI1は、CLK_HV、IO電圧領域内のCLOCK信号により直接、DATAパッド303に接続されるCLOCKの変化より前にコアロジックによって提供される。従って、この回路のためのクリティカルパスはIO電圧領域内に完全に包含され、コアロジックまたはレベルシフタに関連付けられる遅延はいずれも除去される。この実施形態では、テストモードまたは他の非DDR IO機能を可能にするべくI0とI1との間の切り替えを無効にするために別の信号CLK_ENも提供される。
【0019】
図5についてより詳細に考えると、インターフェイスはIOセル321のパッド323においてホストからクロック信号を受信する。次に、クロック信号はドライバ325を通じてレベルシフタ331に送られ、さらにデバイスのコアロジックに送られる。IOセル321は、出力機能を可能にするためにレベルシフタ329およびドライバ327も含む。IOセル321は、IO電圧レンジ内の(レベルシフトされていない)クロック信号であって、それをコア電圧領域のレベルシフトされたクロックと区別するためにここではCLK_HVと標識されているクロック信号がセル301のようなデータIOセルに供給されるという点で、
図4の対応するセル221と異なる。この場合もまた、
図3および
図4におけるのと同様にコアロジックは概略的に表されている。レベルシフトされたクロック信号はドライバ341および343を通過してフリップフロップ345に至り、次いでそれは367および365の雲によって表される種々の要素であって、それらのそれぞれのデータストリームをフリップフロップ373および371に供給する要素をクロック制御する。フリップフロップ373および371はそれぞれ、ドライバ回路363と、反転された形で、ドライバ/インバータ361とから(レベルシフトされた)クロック信号を供給され、次いで、それらは任意の介在回路網(雲377、375によって表示)を通じてIOセル301にデータ信号I0およびI1を提供する。この場合も前と同様に、データストリームI0およびI1の対はなおもコア電圧領域内でセル301に達することを除いては、コアロジックの細部はここでは特に重要ではない。他のデータ出力セルがある場合には、それらを同様に構成することができる。
【0020】
IOセル301は、今度はI0およびI1の両方を受信し、レベルシフタ315および317内でそれらを個々にレベルシフトする。I0およびI1は、今度はIO電圧領域内で、今度はマルチプレクサ309に供給される。このとき、クロック信号CLK_HVはマルチプレクサ309によって、次いでドライバ307を通じてパッド303に供給されるDDRデータ信号を形成するための選択信号として用いられる。コアロジックはクロックイネーブル信号CLK_ENを供給することもできる。この信号を、レベルシフタ319内でレベルシフトした後、テストモードまたは他の非DDR IO機能を可能にするべくI0とI1との間の切り替えを無効にするために用いることができる。この実施形態では、これは、ゲート311内で、レベルシフトされたCLK_ENとCLK_HVとの論理積を、それをマルチプレクサ309に供給する前にとることによってなされる。この信号をCLOCK受信セル321に供給し、ANDゲート311または代替の要素をIOセル321に移動させること等、CLK_EN信号および関連するロジックのための他の構成を用いることもできる。(IOセル301はデータ入力用のドライバ305およびレベルシフタ313を有するようにも示されているが、他の図に示されていない回路要素とともに、ここでは説明しない。)
【0021】
この構成の下では、この回路のためのクリティカルパスはパッド323からドライバ325およびゲート311を通じてMUX309に至り、次いで、ドライバ307を通じてパッド303に至る。その結果、クリティカルパスはIO電圧領域内に完全に包含される。
図4の構成の下でコアロジックまたはレベルシフタに関連付けられる遅延は除去される。同様に、論理パスは非常に高速になる傾向をもつことになる。これは、IOセルは通例、互いに極近接して配置され、信号ルーティングに関連する遅延を最小化するのと、(レベルシフトされていない)クロック信号が接合点によって接続されることを可能にするためである。
【0022】
図6は、2つのシングルデータレート信号の、単一のダブルデータレート信号への結合を示す。一番上には、クロック信号が示され、その下にデータ信号I0(データA
0、B
0、C
0...を有する)およびデータ信号I1(データA
1、B
1、C
1...を有する)が示されている。図に示されているように、これらの信号は半サイクル位相がずれている。CLOCKを選択として用いて、DDR信号DATA[n]は立ち上がりエッジのI1データおよび立ち下がりエッジ上のI0データで形成される。
図5において、これは、MUX309が入力CLOCKのレベルシフトされていないバージョンCLK_HVを用いることによって達成される。
【0023】
例示的な実施形態はDDRインターフェイスにおける使用のためのものであるが、この方式を、シングルデータレート(SDR)インターフェイスの速度を同様に上げるために用いることもできる。この「疑似DDR」方式では、回路図はDDRのためのものと同じである。ただし、制御ロジックは、出力データが半クロックサイクル早く用意され、全クロックサイクルの間、出力フリップフロップ(I0およびI1のIO入力にそれぞれ接続する373および371)の各々の中に保持されるように変更されている。こうすることによって、クリティカルパスは普通のDDR方式におけるのと同じ単一のゲートおよびマルチプレクサ(すべて同じ電圧領域内)に縮減され、それによりSDRプロトコルのタイミングを向上させる。ここで、マルチプレクサへのCLK_ENはこの疑似DDR動作のために論理1に設定される。それにもかかわらず、ホスト側からはSDRプロトコルとして見られる。CLK_EN信号の使用は非DDRホストとの完全な適合性を可能にすることもできることに留意するべきである。
【0024】
図6に戻ると、この図の波形を、
図5の回路を用いる「疑似DDR」モードの例を示すために用いることもできる。この場合には、データはI0およびI1の両方のIO入力上の全クロックサイクルに提供され、この入力は今度は同等のデータ内容を有するが、I1データは半サイクル進んでいるため、添え字は無視することができる(すなわち、A
0 =A
1 、B
0 =B
1 等)。IOはサイクルの途中でI0とI1との間で切り替わることになるが、同じデータが所与のクロックサイクルの高部および低部の両方の上で用いられるため、ホストデバイスには規格SDRの信号発信のように見える。
【0025】
その結果、内部クロックツリー(およびグルーロジック)レイテンシーがクリティカルタイミングパスから効果的に除去されるので、先に提示された回路網および対応する技法は非ソースシンクロナスインターフェイスプロトコルにおける読み出しサイクルのためのクリティカルタイミングパスを縮減することができる。非ソースシンクロナスホストモードでは、この追加的なタイミングバジェットをIO伝播遅延(送受信ソースインピーダンスの増大)に割り当てることができ、それがチャンネル信号品位の性能を向上させる働きをすることができる。
【0026】
本発明の前述した詳細な説明は例証および説明の目的のために提示されているが、それは、網羅的であるように意図されているのではないし、または本発明を開示されているものと寸分たがわない形態に限定するように意図されているのでもない。前述した教示を踏まえると、多くの変更および変形が可能である。前述した実施形態は、本発明の原理およびその実際的な適用を最もうまく説明し、それにより他の当業者が、本発明を種々の実施形態で、かつ計画している特定の使用に適した種々の変更を施して、最もうまく利用することを可能とするために選ばれている。本発明の範囲は、本願明細書に添付されている特許請求の範囲によって定義することが意図されている。