(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記複数の電流検出器の各々によって検出された前記電流と、前記複数の電圧検出器によって検出された前記対応する負荷の前記電圧とを用いて地絡位置を特定するように構成された地絡監視部をさらに備える、請求項2に記載の地絡検出回路。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下において、本発明の実施の形態について図面を参照して詳しく説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0011】
図1は、本発明の実施の形態に係る地絡検出回路が適用される電源装置の一例を概略的に示した図である。
図1を参照して、電源装置100は、変圧器1と、整流器2とを備える。整流器2は、サイリスタ整流回路TB1〜TB4を備える。負荷11〜14は整流器2に接続される。
【0012】
変圧器1は、系統から交流電力を受ける。整流器2は、変圧器1からの交流電力を直流電力に変換するとともに、その直流電力を負荷11〜14に供給する。
図1中の矢印は、電流の流れる方向を示す。
【0013】
たとえば負荷11〜14は負性抵抗を有する負荷である。一例として、負荷11〜14の各々は、多結晶シリコン負荷である。負荷11〜14は、整流器2から供給された直流電力により加熱される。なお負荷の種類は上記のように限定されるものではない。
【0014】
図2は、
図1に示した電源装置の詳細な構成を示した図である。
図2を参照して、整流器2は、サイリスタ整流回路TB1〜TB4と、サイリスタスイッチTS1〜TS9と、電流制限回路(
図2においてACLと示す)4,5と、可飽和リアクトルL1〜L9とを備える。
【0015】
変圧器1は三相4線式の変圧器である。サイリスタ整流回路TB1〜TB4は変圧器1の2次巻線に接続される。サイリスタ整流回路TB1〜TB4の各々は、6相サイリスタ整流回路である。
図2に示した構成では、サイリスタ整流回路TB1,TB2は変圧器1の2次巻線に直接的に接続される。一方、サイリスタ整流回路TB3,TB4は、電流制限回路4,5をそれぞれ介して変圧器1の2次巻線に接続される。
【0016】
負荷11〜14は、サイリスタ整流回路TB2,TB4,TB1,TB3にそれぞれ接続される。サイリスタスイッチTS1〜TS9は、サイリスタ整流回路TB1〜TB4と、負荷11〜14とを接続する回路(線路)に設けられる。可飽和リアクトルL1〜L9は、サイリスタスイッチTS1〜TS9にそれぞれ対応して設けられる。可飽和リアクトルL1〜L9の各々は、対応するサイリスタスイッチと直列に接続される。
【0017】
次に、
図2に示された電源装置100の動作について説明する。電源装置100は、3つのモード(モードA、モードBおよびモードC)を有する。負荷の大きさに応じて、3つのモードのうちの1つが選択される。サイリスタスイッチTS1〜TS9は、少なくとも1つのサイリスタ整流回路に対する複数の負荷の接続のモードを、モードA、モードB、モードCの間で切換える。
【0018】
(モードA)
図3は、モードAにおける電源装置の動作を示した図である。
図4は、モードAにおいて負荷に印加される電圧を説明するための図である。
図3および
図4を参照して、モードAでは、サイリスタ整流回路TB1〜TB4のすべて、およびサイリスタスイッチTS2,TS3,TS5がオン状態となる。このモードでは、負荷11,12,13,14がサイリスタ整流回路TB2,TB4,TB1,TB3にそれぞれ接続される。したがって負荷11〜14に流れる電流は
図3中の矢印によって示される。
図4に示されるように、負荷11〜14に電圧V
1,V
2,V
3,V
4がそれぞれ印加される。
図4中の符号LT1〜LT5は、負荷11〜14に接続される配線を示す。
【0019】
(モードB)
図5は、モードBにおける電源装置の動作を示した図である。
図6は、モードBにおいて負荷に印加される電圧を説明するための図である。
図5および
図6を参照して、モードBでは、サイリスタ整流回路TB1,TB2、およびサイリスタスイッチTS1,TS3,TS4がオン状態となる。このモードでは、サイリスタ整流回路TB2に負荷11,12が直列接続されるとともに、サイリスタ整流回路TB1に負荷13,14が直列接続される。したがって、負荷11〜14は少なくとも1つのサイリスタ整流回路に直並列接続される。
【0020】
負荷11〜14に流れる電流は
図5中の矢印によって示される。
図6に示されるように、負荷11,12には電圧V
12が印加され、負荷13,14には電圧V
34が印加される。
【0021】
(モードC)
図7は、モードCにおける電源装置の動作を示した図である。
図8は、モードCにおいて負荷に印加される電圧を説明するための図である。
図7および
図8を参照して、モードCでは、サイリスタ整流回路TB1,TB2、およびサイリスタスイッチTS1,TS6,TS7,TS8,TS9がオン状態となる。このモードでは、負荷11,12,13,14がサイリスタ整流回路TB1またはTB2に直列接続される。したがって負荷11〜14に流れる電流は
図7中の矢印によって示される。
図8に示されるように、負荷11,12,13,14に電圧V
14が印加される。
【0022】
負荷11〜14は負性抵抗を有する。このため通電初期には高電圧および小電流が必要となる。一方、最終時には低電圧および大電流が必要となる。通電初期においては、負荷11〜14が並列に接続される一方、最終時には負荷11〜14が直列接続される。これにより変圧器1に対する負荷の大きさをほぼ一定にすることができる。このような理由によって通電初期にはモードAが選択される。多結晶シリコンの成長によって負荷の抵抗値が低下する。これにより電源装置100のモードがモードAからモードB,さらにモードCへと順次切り替わる。モードBにおいては、2つのサイリスタ整流回路の各々に、2つの負荷が直列接続される。これにより、サイリスタ整流回路TB1,TB2の直流出力電圧がモードAでの直流出力電圧の2倍となるので力率が改善される。
【0023】
モードBにおいて負荷11〜14の抵抗値がさらに低下した場合には直流電圧が低下する。これにより力率が悪化する。力率が所定値に達した場合に、電源装置100のモードがモードBからモードCへと切り替わる。モードCでは負荷11〜14が直列接続されるためサイリスタ整流回路TB1,TB2の出力直流電圧は、モードBでの直流出力電圧の2倍となる。これにより力率が改善される。さらに、サイリスタ整流回路TB1,TB2が並列運転されるため、モードBにおける電流の2倍の電流を負荷11〜14に流すことができる。
【0024】
[地絡検出回路]
図9は、本発明の実施の形態に係る地絡検出回路の基本的構成を示した図である。
図9を参照して、地絡検出回路10は、負荷11〜14のいずれかが地絡したことを検出する。地絡検出回路10は、交流電圧Vを発生させる交流電源20と、共振回路21,22とを備える。
【0025】
共振回路21,22の各々は、負荷11〜14によって形成された電流経路と、交流電源20との間に設けられる。具体的には、共振回路21は交流電源20と負荷配線LT2との間に直列接続されたインダクタL
E1とキャパシタC
E1とを備える。共振回路22は交流電源20と負荷配線LT4との間に直列接続されたインダクタL
E2とキャパシタC
E2とを備える。
【0026】
次に、共振回路21を代表的に示すことにより、地絡検出回路10の基本的な動作を説明する。
図10は、複数の負荷配線のいずれも地絡していない状態における共振回路を等価的に示した回路図である。
図11は、負荷配線LT5が地絡した状態における共振回路を等価的に示す回路図である。
図10および
図11を参照して、交流電圧Vの周波数は60Hzである。負荷12〜14の各々の抵抗値を55Ω、キャパシタC
E1の容量値を10μF、インダクタL
E1のインダクタンス値を3H、接地に対する絶縁抵抗の値を33kΩ、負荷配線と接地との間に存在する浮遊キャパシタC
Lの容量値を0.047μF、負荷配線が地絡したときの負荷配線と接地との間の絶縁抵抗R
Eの抵抗値を100Ωとする。これらの数値は一例であり、本発明はこれらの数値によって限定されない。この場合、共振回路21の共振周波数は30Hzと求められる。すなわち共振回路21の共振周波数が交流電圧Vの周波数と異なっている。
【0027】
各素子に対応して記載された抵抗値は周波数が30Hzの場合におけるインピーダンスを表わしている。インダクタL
E1、キャパシタC
E1および浮遊キャパシタC
Lの抵抗値は、複素インピーダンスの虚軸成分を表わし、負荷12〜14の抵抗値は、複素インピーダンスの実軸成分を表わす。
【0028】
負荷配線LT5が地絡していない場合には、負荷配線LT5と接地との間にある絶縁抵抗R
Eの抵抗値が極めて高い。このため地絡検出回路10に電流はほとんど流れない。一方、負荷配線LT5が地絡したときには、絶縁抵抗R
Eの抵抗値が低くなる。このため、地絡検出回路10に流れる電流が増加する。地絡検出回路10に流れる電流の増加によって地絡が検出される。
【0029】
図12は、負荷配線LT5が地絡した状態における地絡検出回路10を等価的に示した図である。
図13は、
図12に示された構成のうちの破線で囲まれた部分のインピーダンスを説明する図である。
図12および
図13を参照して、共振回路21,22は互いに同一の構成を有する。上記の例によれば、キャパシタC
E1およびC
E2の容量値がともに10μFであり、インダクタL
E1およびL
E2のインダクタンス値がともに3Hである。したがって、共振回路21,22の各々の共振周波数は約30Hzである。
【0030】
図13に示した「地絡検出回路1」および「地絡検出回路2」は、それぞれ共振回路21,22に対応する。
図13に示されるように、共振回路の共振周波数が交流電源の周波数と異なる場合には、虚軸(Im)成分のインピーダンスが実軸(Re)成分のインピーダンス、すなわち負荷のインピーダンスに比べてはるかに高い値となる。
【0031】
すなわち
図13は、地絡が発生した場合であっても、共振回路21,22の各々の電流値に大きな変化が生じないことを示している。このため電流に基づいて地絡位置を検出することは難しいと考えられる。
【0032】
以上説明したように、
図9に示された構成によれば、地絡の有無を検出できる可能性はあるものの、地絡の位置を特定することができない。したがって、
図9に示された構成に基づいて地絡の位置を特定するためには、電源装置100を一旦停止した上で、すべての負荷を調べることが必要とされる。しかしながら電源装置100を再起動させる必要もまた生じる。電源装置100の再起動には、ある程度の時間が必要とされる。このことが課題となる。
【0033】
これに対して本発明の実施の形態によれば、地絡の有無を検出することができるだけでなく、地絡の位置を特定することもできる。さらに、地絡の位置を特定するために電源装置100を停止させる必要がない。さらに、地絡の検出のために用いられる交流電源の数は1つであるので、地絡検出回路の構成が複雑化することを回避できる。
【0034】
本発明の実施の形態に係る地絡検出回路について、以下に詳細に説明する。
図14は、本発明の実施の形態に係る地絡検出回路の構成図である。
図14を参照して、地絡検出回路30は、交流電圧Vを発生させる交流電源20と、共振回路21〜23と、インダクタL
VEとを備える。
【0035】
共振回路21〜23の各々は、負荷11〜14によって形成される電流経路に接続される。さらに、共振回路21〜23は、インダクタL
VEを介して交流電源20に並列に接続される。
【0036】
共振回路21はインダクタL
VEと負荷配線LT2との間に直列接続されたインダクタL
E1とキャパシタC
E1とを備える。共振回路22はインダクタL
VEと負荷配線LT3との間に直列接続されたインダクタL
E2とキャパシタC
E2とを備える。共振回路23はインダクタL
VEと負荷配線LT4との間に直列接続されたインダクタL
E3とキャパシタC
E3とを備える。インダクタL
VEは減流のためのインダクタである。インダクタL
E1,L
E2,L
E3は地絡検出のためのインダクタである。キャパシタC
E1,C
E2,C
E3は地絡検出のためのキャパシタである。
【0037】
基本的な動作原理および地絡の検出の方法の点において、地絡検出回路30は、
図9に示された地絡検出回路10と同様である。すなわち、地絡検出回路30に流れる電流に基づいて地絡の有無を検出することができる。
【0038】
図15は、負荷配線LT5が地絡した状態における地絡検出回路30を等価的に示す回路図である。
図16は、
図15に示された構成のうちの破線で囲まれた部分のインピーダンスを説明する図である。
図15および
図16を参照して、共振回路21,22,23は互いに同一の構成を有する。たとえばキャパシタC
E1,C
E2,C
E3の容量値が2.35μFであり、インダクタL
E1,L
E2,L
E3のインダクタンス値が3Hであり、インダクタL
VEのインダクタンス値が3Hである。また、絶縁抵抗R
Eの地絡時の抵抗値を100Ωとし、負荷12,13,14の抵抗値を55Ωとする。この場合の共振回路21〜23の共振周波数は60Hzとなる。交流電圧Vの周波数も60Hzである。すなわち本発明の実施の形態では、共振回路21〜23の共振周波数が交流電源の周波数に等しい。
【0039】
各素子の上部に記載された抵抗値は、周波数が60Hzの場合におけるインピーダンスを示す。インダクタL
VE,L
E1,L
E2,L
E3の上部に記載された抵抗値は複素インピーダンスの虚軸成分を表わし、負荷12〜14の上部に記載された抵抗値は複素インピーダンスの実軸成分を表わす。
【0040】
共振回路21は、負荷12,13,14および絶縁抵抗R
Eに接続される。共振回路22は、負荷13,14および絶縁抵抗R
Eに接続される。共振回路23は、負荷14および絶縁抵抗R
Eに接続される。したがって共振回路21〜23の間では負荷抵抗のインピーダンスの大きさが異なる。さらに、共振回路21〜23の各々の共振周波数が交流電源20の周波数に等しいため、共振回路21〜23の各々の複素インピーダンスの虚軸成分が小さくなる。したがって
図16に示されるように、負荷抵抗のインピーダンスに応じて複素インピーダンスが変化する。
図16に示した「地絡検出回路1」、「地絡検出回路2」および「地絡検出回路3」は、それぞれ共振回路21,22,23に対応する。
【0041】
本発明の実施の形態によれば、負荷抵抗のインピーダンスに応じて複素インピーダンスが変化する。このため、共振回路に流れる電流が負荷抵抗のインピーダンスに依存する。
図15に示されるように、負荷配線LT5が地絡した場合には、地絡位置に最も近い共振回路に流れる電流が最も大きく、その地絡位置から最も遠い検出回路ほど共振回路に流れる電流が最も小さい。すなわち電流値は、共振回路21、共振回路22および共振回路23の順に大きくなる。上記の理由により、共振回路23、共振回路22および共振回路21の各々の電流値から地絡を検出できる。
【0042】
ただし、負荷配線LT1,LT2のいずれが地絡した場合にも、電流値の大きい順は、共振回路21、共振回路22および共振回路23となる。同じく、負荷配線LT4,LT5のいずれが地絡した場合にも、電流値の大きい順は、共振回路23、共振回路22および共振回路21となる。したがって、電流値のみによって地絡位置を特定することは困難である。したがって本発明の実施の形態では、共振回路21〜23の各々に流れる電流と、負荷配線LT1〜LT5の各々と接地との間の電圧(言い換えると負荷11〜14の各々の電圧)とに基づいて、地絡位置が特定される。
【0043】
以下、モードごとに、地絡位置の特定の方法を説明する。
(モードA)
図17は、モードAにおける負荷配線LT1〜LT5のそれぞれの電圧V
LT1〜V
LT5を説明するための図である。
図18は、負荷配線LT1〜LT5のいずれかが地絡したときにおける電圧V
LT1〜V
LT5を説明するための図である。
図17および
図18を参照して、電圧V
LT1〜V
LT5は、接地に対する負荷配線LT1〜LT5の電圧として規定される。
図18の(a)〜(e)は、それぞれ負荷配線LT1〜LT5が地絡したときの電圧V
LT1〜V
LT5を示す。たとえば負荷配線LT1が地絡した状態とは、負荷配線LT1と接地との間に存在する絶縁抵抗R
Eの抵抗値が低下した状態に対応する。
【0044】
負荷配線LT1が地絡した場合、電圧V
LT1,V
LT3,V
LT5は0であり、電圧V
LT2,V
LT4は−V
1である(
図18(a))。このときの電流値の大きい順は、共振回路21,22,23となる。
【0045】
負荷配線LT2が地絡した場合、電圧V
LT1,V
LT3,V
LT5はV
1であり、電圧V
LT2,V
LT4は0である(
図18(b))。このときの電流値の大きい順は、共振回路21,22,23となる。
【0046】
負荷配線LT3が地絡した場合、電圧V
LT1,V
LT3,V
LT5は0であり、電圧V
LT2,V
LT4は−V
1である(
図18(c))。このとき共振回路22の電流値は、共振回路21,23のいずれの電流値よりも大きい。なお、共振回路21の電流値と共振回路23の電流値とは等しいと考えられる。
【0047】
負荷配線LT4が地絡した場合、電圧V
LT1,V
LT3,V
LT5はV
1であり、電圧V
LT2,V
LT4は0である(
図18(d))。このときの電流値の大きい順は、共振回路23,22,21となる。
【0048】
負荷配線LT5が地絡した場合、電圧V
LT1,V
LT3,V
LT5は0であり、電圧V
LT2,V
LT4は−V
1である(
図18(e))。このときの電流値の大きい順は、共振回路23,22,21となる。
【0049】
上記のように、負荷配線LT1の地絡時と負荷配線LT2の地絡時とでは、共振回路21〜23の間での電流値の大きさの順位は変わらない一方で、電圧V
LT1〜V
LT5の値が異なる。したがって、電流値および電圧値の組み合わせから、負荷配線LT1,LT2のいずれが地絡したかを検出することができる。負荷配線LT4,LT5についても同様である。さらに、負荷配線LT3の地絡時と負荷配線LT1またはLT5の地絡時とでは、電圧V
LT1〜V
LT5は同じである一方で、共振回路21〜23に流れる電流が異なる。したがって電流値および電圧値から、負荷配線LT3の地絡を検出できる。
【0050】
(モードB)
図19は、モードBにおける負荷配線LT1〜LT5のそれぞれの電圧V
LT1〜V
LT5を説明するための図である。
図20は、負荷配線LT1〜LT5のいずれかが地絡したときにおける電圧V
LT1〜V
LT5を説明するための図である。
図19および
図20を参照して、電圧V
LT1〜V
LT5は、
図17に示した電圧V
LT1〜V
LT5と同じである。
図20の(a)〜(e)は、それぞれ負荷配線LT1〜LT5が地絡したときの電圧V
LT1〜V
LT5を示す。
【0051】
負荷配線LT1が地絡した場合、電圧V
LT3はV
12であり、電圧V
LT2,V
LT4はV
12/2であり、電圧V
LT1,V
LT5は0である(
図20(a))。このときの電流値の大きい順は、共振回路21,22,23となる。
【0052】
負荷配線LT2が地絡した場合、電圧V
LT3はV
12/2であり、電圧V
LT2,V
LT4は0であり、電圧V
LT1,V
LT5は−V
12/2である(
図20(b))。このときの電流値の大きい順は、共振回路21,22,23となる。
【0053】
負荷配線LT3が地絡した場合、電圧V
LT3は0であり、電圧V
LT2,V
LT4は−V
12/2であり、電圧V
LT1,V
LT5は−V
12である(
図20(c))。このとき共振回路22の電流値は、共振回路21,23のいずれの電流値よりも大きい。なお、共振回路21の電流値と共振回路23の電流値とは等しいと考えられる。
【0054】
負荷配線LT4が地絡した場合、電圧V
LT3はV
12/2であり、電圧V
LT2,V
LT4は0であり、電圧V
LT1,V
LT5は−V
12/2である(
図20(d))。このときの電流値の大きい順は、共振回路23,22,21となる。
【0055】
負荷配線LT5が地絡した場合、電圧V
LT3はV
12であり、電圧V
LT2,V
LT4はV
12/2であり、電圧V
LT1,V
LT5は0である(
図20(e))。このときの電流値の大きい順は、共振回路23,22,21となる。
【0056】
モードAの場合と同じく、負荷配線LT1の地絡時と負荷配線LT2の地絡時とでは、共振回路21〜23の間での電流値の大きさの順位は変わらない一方で、電圧V
LT1〜V
LT5は異なる。したがって、負荷配線LT1,LT2のいずれが地絡したかを検出することができる。負荷配線LT4,LT5についても同様である。さらに、負荷配線LT3の地絡時における電圧V
LT1〜V
LT5は、負荷配線LT1,LT2,LT4,LT5の任意の1つが地絡した場合における電圧V
LT1〜V
LT5と異なる。したがって、負荷配線LT3の地絡を検出できる。このように、電圧V
LT1〜V
LT5および共振回路21〜23に流れる電流の値の組み合わせによって地絡位置を特定できる。
【0057】
(モードC)
図21は、モードCにおける負荷配線LT1〜LT5のそれぞれの電圧V
LT1〜V
LT5を説明するための図である。
図22は、負荷配線LT1〜LT5のいずれかが地絡したときにおける電圧V
LT1〜V
LT5を説明するための図である。
図21および
図22を参照して、電圧V
LT1〜V
LT5は、
図17に示した電圧V
LT1〜V
LT5と同じである。
図22の(a)〜(e)は、それぞれ負荷配線LT1〜LT5が地絡したときの電圧V
LT1〜V
LT5を示す。
【0058】
負荷配線LT1が地絡した場合、電圧V
LT1,V
LT2,V
LT3,V
LT4,V
LT5は、それぞれ、0,−V
14/4,−2V
14/4,−3V
14/4,−V
14である(
図22(a))。
【0059】
負荷配線LT2が地絡した場合、電圧V
LT1,V
LT2,V
LT3,V
LT4,V
LT5は、それぞれ、V
14/4,0,−V
14/4,−2V
14/4,−3V
14/4である(
図22(b))。
【0060】
負荷配線LT3が地絡した場合、電圧V
LT1,V
LT2,V
LT3,V
LT4,V
LT5は、それぞれ、2V
14/4,V
14/4,0,−V
14/4,−2V
14/4である(
図22(c))。
【0061】
負荷配線LT4が地絡した場合、電圧V
LT1,V
LT2,V
LT3,V
LT4,V
LT5は、それぞれ、3V
14/4,2V
14/4,V
14/4,0,−V
14/4である(
図22(d))。
【0062】
負荷配線LT5が地絡した場合、電圧V
LT1,V
LT2,V
LT3,V
LT4,V
LT5は、それぞれ、V
14,3V
14/4,2V
14/4,V
14/4,0である(
図22(e))。
【0063】
モードCの場合には、電圧V
LT1,V
LT2,V
LT3,V
LT4,V
LT5が地絡位置に応じて変化する。したがって電圧V
LT1,V
LT2,V
LT3,V
LT4,V
LT5から地絡位置を特定できる。
【0064】
図23は、本発明の実施の形態に従う地絡検出回路の他の構成例を示した図である。
図14および
図23を参照して、地絡検出回路31は、電圧検出器41〜45、電流検出器46〜48および地絡監視部50をさらに備える点において地絡検出回路30と異なる。電圧検出器41〜45は、負荷配線LT1〜LT5の電圧(電圧V
LT1〜V
LT5)をそれぞれ検出する。電流検出器46〜48は、共振回路21〜23に流れる電流をそれぞれ検出する。地絡監視部50は、電圧検出器41〜45の各々から電圧値を受けるとともに、電流検出器46〜48から電流値を受ける。地絡監視部50は、その電圧値および電流値に基づいて、地絡の有無を検出する。さらに地絡が生じた場合には、地絡監視部50は、地絡位置を特定する。地絡監視部50は、たとえばマイクロコンピュータによって実現可能である。なお、地絡監視部50は、電源装置100のモードを自動的に判別してもよく、電源装置100のモードに関する情報が地絡監視部50に入力されることによって電源装置100のモードを判別してもよい。
【0065】
地絡監視部50は、上述した、モードA〜Cの各々に対応する方法に従って地絡位置を特定する。すなわち、地絡監視部50は、電圧V
LT1〜V
LT5および共振回路21〜23に流れる電流の組み合わせに基づいて、地絡位置を特定する。なお、地絡監視部50が省略されていてもよい。
【0066】
以上のように本発明の実施の形態によれば、共振回路の共振周波数が交流電源の周波数と等しくされる。さらに、共振回路は、2つの負荷が接続される接続点に接続される。これにより、その接続点における電圧および共振回路に流れる電流に基づいて地絡位置を特定できる。
【0067】
さらに本発明の実施の形態によれば、複数の共振回路に対して共通に1つの交流電源が設けられる。本発明の実施の形態によれば、地絡位置を検出するための構成が複雑化することを回避できる。したがって簡素な構成によって地絡位置を検出できる。
【0068】
なお、負荷の数は複数であれば4に限定されるものではない。m個(mは2以上)の複負荷が直列に接続される場合、2つの負荷が接続される接続点の数は(m−1)個である。本発明では、地絡検出回路は(m−1)個の共振回路を備えればよい。(m−1)個の共振回路の各々の共振周波数は交流電源の共振周波数に等しくされる。負荷の数はしたがって、たとえば4より大きくてもよい。
【0069】
さらに、電源装置の構成および動作モードは上述した構成および動作モードに限定されるものではなく、種々の変形が可能である。
【0070】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものでないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。