(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
基材が、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄、鉄合金、鋼、ステンレススチール、モリブデン、モリブデン合金、青銅、及び黄銅からなる群から選択される1以上を含む、請求項1に記載の被覆物品系。
堆積が、モリブデン/二硫化モリブデン複合金属粉末を塑性状態にある間に基材に結合させて表面被膜を形成するのに十分なエネルギーでモリブデン/二硫化モリブデン複合金属粉末を噴霧することを含む、請求項11に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0012】
主としてモリブデン及び二硫化モリブデン(Mo/MoS
2)を含む表面被膜10、及び表面被膜10を製造するための方法12を
図1に示す。表面被膜10は、モリブデン及び二硫化モリブデンを含む複合金属粉末16を基材又は物品14の上に堆積させて、複合金属粉末16を基材14と結合させることによって製造又は形成することができる。本明細書に記載する種々のタイプの噴霧堆積プロセス36を用いて、複合金属粉末16を基材14と結合させて表面被膜10を形成するのに十分なエネルギーを与えることによって、複合金属粉末16を基材14上に堆積させることができる。
【0013】
表面被膜10が与えられた基材又は物品14は、未被覆の物品14又はプレーンのモリブデンで被覆した物品14と比べて、種々のトライボロジーパラメーター(例えば摩擦係数、表面仕上げ、及び摩耗性)における大きな向上を示す被覆物品系を構成する。したがって、本発明のMo/MoS
2表面被膜10が与えられている基材又は物品14を含む被覆物品系を用いて、広範囲の用途において広範囲の目的のために大きな利益を与えることができる。
【0014】
被覆物品系のための表面被膜10を生成させるために用いる複合金属粉末16は、
図2に示すプロセス又は方法18によって製造することができる。簡単に説明すると、プロセス18には、モリブデン金属(Mo)粉末20の供給物、及び二硫化モリブデン(MoS
2)粉末22の供給物を与えることを含ませることができる。モリブデン金属粉末20及び二硫化モリブデン粉末22を、水のような液体24と混合してスラリー26を形成する。次に、モリブデン/二硫化モリブデン複合金属粉末16を製造するために、スラリー26を噴霧乾燥機28内で噴霧乾燥することができる。
【0015】
ここで
図3を参照すると、本明細書に記載する噴霧乾燥プロセスによって製造されるモリブデン/二硫化モリブデン複合金属粉末16は、概して、それ自体はより小さい粒子の凝集体である複数の球状の形状の粒子を含む。二硫化モリブデンはモリブデン内に高度に分散されており、即ち、モリブデン/二硫化モリブデン複合金属粉末16は二硫化モリブデン粉末及びモリブデン金属粉末の単なるブレンドではない。そうではなく、複合金属粉末16は、粒子毎のベースのモリブデン及び二硫化モリブデンの実質的に均質な分散物を含む。別の言い方をすると、個々の球状粉末粒子は一緒に融着しているモリブデン及び二硫化モリブデンの亜粒子を含んでいて、複合金属粉末16の個々の粒子はモリブデン及び二硫化モリブデンの両方を含んでおり、それぞれの粒子はほぼ同じ量の二硫化モリブデンを含んでいる。
【0016】
複合金属粉末16は高密度のものであり、好ましい流動特性を有しているので、本明細書に記載する種々の堆積プロセス36と共に用いるのに非常に適している。例えば、本明細書において更に詳細に議論するように、本明細書に与える教示にしたがって製造される代表的なモリブデン/二硫化モリブデン複合金属粉末16は、約2.3g/cc〜約2.6g/ccの範囲のスコット密度を有することができる。複合金属粉末16はまた完全に流動性であり、本明細書に示し且つ記載する種々の例の組成物に関しては20秒/50g程度の低いHall流動性を示す。しかしながら、他の態様では篩別又は分級するまでは流動性でなくてもよい。
【0017】
ここで
図1に戻って参照すると、モリブデン/二硫化モリブデン複合金属粉末16は、表面被膜10を生成させるための供給材料30として、その製造したまま又は「未処理」の形態で用いることができる。或いは、本明細書において更に詳細に記載するように、「未処理」の複合金属粉末16は、供給材料30として用いる前に、例えば篩別又は分級32、加熱34、又はこれらの組合せによって更に処理することができる。
【0018】
モリブデン/二硫化モリブデン複合金属粉末供給材料30(例えば「未処理」の形態又は処理形態のいずれか)は、表面被膜10を形成又は生成させるために工程36において物品14上に堆積させることができる。例として、一態様においては、被覆物品14(即ち、その上にMo/MoS
2表面被膜10が与えられている)は、内燃エンジンにおいて通常用いられるタイプのピストンリング38を構成することができる。或いは、勿論、表面被膜10は、任意の広範囲の物品に、任意の広範囲の用途において用いるために施すことができる。
【0019】
本明細書に更に詳細に記載するように、モリブデン/二硫化モリブデン複合金属粉末供給材料30は、任意の広範囲の堆積プロセス36によって堆積させて、本明細書に記載する表面被膜10を形成することができる。好適な堆積プロセス36としては、任意の広範囲の熱溶射、プラズマ溶射、及び高速酸素燃料溶射(HVOF)堆積プロセスが挙げられる。他の被覆プロセスが、複合金属粉末16を基材14に結合させて表面被膜10を形成するのに十分なエネルギーを供給材料30(即ち複合金属粉末16)に与えるならば、他の堆積プロセス36を用いることもできる。
【0020】
表面被膜10を与えた後、物品14(例えばピストンリング38)は、「そのまま」で、即ち堆積プロセス36から直接使用することができる。或いは、被覆物品14は、例えば機械加工/表面仕上げ40、焼結42、又はこれらの組合せによって更に処理することができ、この場合には被覆物品14は処理被覆物品を構成する。
【0021】
被膜10の幾つかの特性又は材料特性は、堆積プロセス36のための供給材料30として用いる複合金属粉末16中のモリブデン及び二硫化モリブデンの相対割合を変化させることによってある程度変化させることができる。被膜10の他の特性は、表面被膜10を施すのに用いる特定の堆積プロセス36によって変化させることができる。
【0022】
例えば、表面被膜10の強度及び/又は硬度は、複合金属粉末16中の二硫化モリブデンの濃度を減少させることによって増加させることができる。逆に、粉末16中の二硫化モリブデンの濃度を増加させることによって、表面被膜10の摩擦係数を減少(及び/又は潤滑性を増加)させることができる。かかる減少した摩擦係数及び/又は増加した潤滑性を有する被膜10は、多くの状況において且つ多くの用途のために有利である可能性がある。
【0023】
表面被膜10の幾つかの特性及び材料特性はまた、下記により詳細に説明するように、ニッケル及び/又はニッケル合金のような種々の追加金属粉末46を複合金属粉末16に加えることによって変化させることもできる。例えば、ニッケルを加えた供給材料30を用いて製造される被膜10は、「プレーン」のMo/MoS
2粉末供給材料(即ちニッケルを含まない)によって形成されるものと比べて低い摩擦係数を示す傾向がある。
【0024】
表面被膜10の幾つかの特性はまた、被膜10を堆積させるのに用いる特定の堆積プロセス36によって変動又は変化させることもできる。相対的に言えば、本明細書に更に詳細に記載するように、プラズマ溶射堆積プロセス36は中程度の表面粗さを有する比較的厚い被膜10を与える傾向がある。しかしながら、プラズマ溶射堆積プロセス36によって製造される被膜10はまた、最も低い量の残留二硫化モリブデンを与える傾向も有する。また、熱溶射堆積プロセスを用いて、比較的厚い表面被膜10を製造することもできるが、これは遙かに高い表面粗さを有する。熱溶射堆積プロセスによって製造される被膜10中の残留二硫化モリブデンの量は、プラズマ溶射堆積プロセスによって製造される被膜と比べて高い傾向がある。HVOF溶射堆積プロセスは、本明細書に記載する他の噴霧堆積プロセス36と比べて高いレベルの残留二硫化モリブデン及び優れた堆積したままの状態での表面仕上げ(即ち低い粗さ)を有する表面被膜10を与える傾向がある。しかしながら、HVOF溶射堆積プロセスは、厚い表面被膜10を製造するその能力が限られる可能性がある。
【0025】
本発明の教示にしたがって製造される表面被膜10の大きな有利性は、それらが、未被覆の部品又はプレーンのモリブデンを被覆した部品と比べて低い摩耗速度及び低い摩擦係数を示すことである。本発明の表面被膜10はまた、鋳鉄、鋼、ステンレススチール、及び工具鋼のような通常用いられている金属及び合金と有益なトライボロジーカップルを形成する。有益なトライボロジーカップルはまた、チタン合金、並びにHAYNES及びHASTELLOYの商標で販売されている種々の高温合金のような種々のタイプの高温金属合金と形成することができる。したがって、本発明の表面被膜10を有する物品14は、広範囲の材料と共に広範囲の用途において用いるのに非常に適する。
【0026】
更に、本発明の表面被膜10は、上記のように硬度、強度、及び潤滑性のような変化する材料特性及び特徴を有して製造することができるので、本明細書に与える教示にしたがって製造される表面被膜10は、任意の広範囲の具体的な要求及び用途に対して調整又は適応させることができる。例えば、増加した硬度及び/又は強度を有する表面被膜10は、より低い量の二硫化モリブデンを有するモリブデン/二硫化モリブデン複合金属粉末16(即ち供給材料30)から製造することができる。かかる増加した硬度及び強度を有する表面被膜10は、増加したレベルの二硫化モリブデンを有する被覆10に関連する好ましいトライボロジーカップル特性をなお維持しながら幾つかの用途において有利である可能性がある。モリブデン/二硫化モリブデン複合金属粉末16をニッケル及び種々のニッケル合金のような追加金属粉末46と混合することによって、更なる硬度及び強度を表面被膜10に与えることができる。
【0027】
減少した摩擦係数及び増加した潤滑性を有する表面被膜10は、二硫化モリブデンのより高い濃度を有する複合金属粉末16(即ち供給材料30)から形成することができる。かかる特性を有する表面被膜10は、被膜10によってトランスファー潤滑を与えるが、表面被膜10の高い構造強度及び/又は硬度はあまり重要ではない用途において用いるために有利である可能性がある。
【0028】
表面被膜10の種々の特性はまた、被膜を形成するのに用いる特定の堆積プロセス36によって変化又は変動させることもできる。例えば、比較的厚い被膜10はプラズマ又は熱溶射堆積プロセスを用いることによって容易に形成することができ、一方、より平滑な堆積したままの状態での表面仕上げを有するより薄い被膜10はHVOF溶射堆積プロセスによって製造することができる。
【0029】
更に他の有利性は、表面被膜10のための供給材料30として用いる複合粉末生成物16に関連する。本明細書に開示するモリブデン/二硫化モリブデン複合粉末生成物16は、そうでなければ従来の方法によっては達成するのが困難であるか又は不可能であるモリブデン及び二硫化モリブデンの実質的に均質な配合物、即ち均一な分散物を与える。
【0030】
更に、モリブデン/二硫化モリブデン複合金属粉末16は粉末状材料を含んでいるが、これはモリブデン及び二硫化モリブデン粒子の単なる混合物ではない。そうではなく、実際にはモリブデン及び二硫化モリブデンの亜粒子が一緒に融着しているので、粉末金属生成物16の個々の粒子はモリブデン及び二硫化モリブデンの両方を含んでいる。したがって、本発明によるモリブデン/二硫化モリブデン複合粉末16を含む粉末状供給材料30は、(例えば比重の差によって)モリブデン粒子及び二硫化モリブデン粒子に分離しない。
【0031】
二硫化モリブデンがモリブデン全体にわたって高度且つ均一に分散している(即ち均質な)複合金属粉末を与える能力に関連する有利性に加えて、本明細書に開示する「製造したままの状態」の複合金属粉末16は、高い密度及び流動性を有し、それによって複合金属粉末16を用いて表面被膜10を形成する広範囲の粉末堆積プロセスにおいて利益を与えることができることも特徴とする。
【0032】
本発明の種々の態様及び形態、並びにその幾つかの特徴及び有利性を簡単に記載したが、ここで、表面被膜10の種々の態様、それらを製造する方法12、並びに表面被膜10を形成するのに用いることができる複合金属粉末16を、種々の実施例を参照して詳細に記載する。
【0033】
ここで
図1に戻って参照すると、本発明によるモリブデン/二硫化モリブデン表面被膜10は、モリブデン/二硫化モリブデン複合金属粉末16を含む供給材料30を、物品又は基材14の上に堆積36させることによって形成又は製造することができる。被覆する物品又は基材14には、モリブデン/二硫化モリブデン表面被膜10を被覆することが所望の広範囲の材料(例えば金属及び金属合金)を含ませることができる。物品又は基材14のための代表的な材料としては、数例を挙げると、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄、鉄合金(例えば鋼及びステンレススチール合金)、モリブデン、モリブデン合金、青銅、及び黄銅が挙げられる。或いは、本明細書に与える教示に熟知するようになった後は当業者に明らかになるように、当該技術において現在公知であるか又は将来開発される可能性がある他の材料を含む基材又は物品14を用いることもできる。したがって、本発明はいかなる特定の材料を含む物品又は基材に施される表面被膜10にも限定されるとみなすべきではない。
【0034】
一般的に言えば、本発明において(例えば供給材料30として)用いるのに好適な複合金属粉末16には、粒径が複合金属粉末16を(例えば本明細書に記載する種々のプロセス36によって)堆積させて所望の材料特性(例えば、強度、密度、摩擦係数、及び/又は潤滑性)を有する被膜10を形成することができるものである限りにおいて、任意の広範囲の粒径のもの及び複数の粒径の混合物を含ませることができる。複合金属粉末16が下記の範囲の粒径分布を有する場合に、許容できる結果を得ることができる。
【0036】
上述したように、堆積プロセス36のための供給材料30として用いる前に、未処理の複合粉末16を分級することが望ましいか又は有利である可能性がある。考慮すべきファクターとしては、被覆する物品14のタイプ、表面被膜10の所望又は必要な材料特性(例えば、密度、硬度、強度等)、並びに用いる特定の堆積プロセス36及び/又は堆積装置が挙げられるが、これらに限定されない。
【0037】
未処理の複合粉末16を最初に分級する望ましさ及び/又は必要性はまた、
図2のプロセス18によって製造される未処理又は「製造したままの状態の」複合粉末16の特定の粒径にも依存する。即ち、未処理の複合粉末16を製造するのに用いる特定のプロセスパラメーター(その代表的な態様を本明細書に記載する)に応じて、複合粉末16をその未処理又は製造したままの状態の形態で用いることが可能であるか又は更には有利である可能性がある。或いは、勿論、他の考慮事項によって未処理の複合粉末16を最初に分級する望ましさが示される可能性がある。
【0038】
要するに、未処理又は製造したままの状態の複合粉末16を分級する望ましさ及び/又は必要性は広範囲のファクター及び考慮事項(その幾つかは本明細書に記載し、他のものは本明細書に与える教示を熟知するようになった後は当業者に明らかになるであろう)によって定まるので、本発明は、分級工程32を必要なものとしてみなすべきではなく、又は任意の特定の粒径分布を有する未処理の複合金属粉末16に限定されるものではない。
【0039】
複合金属粉末16はまた、必要な場合又は所望の場合には、供給材料30として用いる前に例えば工程34において加熱することもできる。複合金属粉末16のかかる加熱を用いて、噴霧乾燥後に未処理の複合金属粉末16中に残留する可能性がある残留湿分及び/又は揮発性物質を除去することができる。幾つかの場合においては、複合金属粉末16の加熱34はまた、複合金属粉末16の流動性を増加させる有益な効果を有する可能性もある。
【0040】
ここで主として
図2を参照すると、モリブデン/二硫化モリブデン複合金属粉末16は、方法18にしたがって製造することができる。方法18には、モリブデン金属粉末20の供給物、及び二硫化モリブデン粉末22の供給物を与えることを含ませることができる。モリブデン金属粉末20には約0.5μm〜約25μmの範囲の粒径を有するモリブデン金属粉末を含ませることができるが、他の寸法を有するモリブデン金属粉末20を用いることもできる。本発明において用いるのに好適なモリブデン金属粉末は、Climax Molybdenum, a Freeport-McMoRan Companyから、及びClimax Molybdenum Company, a Freeport-McMoRan Company, Ft. Madison Operations, Ft. Madison, Iowa (米国)から商業的に入手することができる。例として、一態様においては、モリブデン金属粉末20は、Climax Molybdenum Companyから「FM1」の商標で販売されているモリブデン金属粉末を含む。或いは、他の供給源からのモリブデン金属粉末を同様に用いることができる。
【0041】
二硫化モリブデン粉末22には、約1μm〜約30μmの範囲の粒径を有する二硫化モリブデン金属粉末を含ませることができる。或いは、他の寸法を有する二硫化モリブデン粉末22を用いることもできる。本発明において用いるのに好適な二硫化モリブデン粉末22は、Climax Molybdenum, a Freeport-McMoRan Companyから、及びClimax Molybdenum Company, a Freeport-McMoRan Company, Ft. Madison Operations, Ft. Madison, Iowa (米国)から商業的に入手することができる。Climax Molybdenum Companyから入手できる二硫化モリブデンの好適なグレードとしては、「工業用」、「工業用微細」、及び「Superfine Molysulfide」グレードが挙げられる。例として、一態様においては、二硫化モリブデン粉末22は、Climax Molybdenum Companyからの「Superfine Molysulfide」二硫化モリブデン粉末を含む。或いは、他のグレード及び他の供給源からの二硫化モリブデン粉末を同様に用いることができる。
【0042】
モリブデン金属粉末20及び二硫化モリブデン粉末22を液体24と混合して、スラリー26を形成することができる。一態様においては、粉末20及び22は、それらを液体24と混合してスラリー26を形成する前に、まず一緒に混合することができる。或いは、場合によっては、モリブデン金属粉末20又は二硫化モリブデン粉末22のいずれかを、他の粉末(例えば20又は22)を加える前にまず液体24と混合することができる。
【0043】
液体24には脱イオン水を含ませることができるが、本明細書に与える教示を熟知するようになった後は当業者に明らかになるように、アルコール、揮発性液体、有機液体、及びこれらの種々の混合物のような他の液体を用いることもできる。したがって、本発明は、本明細書に記載する特定の液体24に限定されるとみなすべきではない。しかしながら、例として、一態様においては、液体24は脱イオン水を含む。
【0044】
液体24に加えてバインダー44を同様に用いることができるが、バインダー44の存在は必須ではない。バインダー44にはポリビニルアルコール(PVA)を含ませることができるが、他のバインダーを同様に用いることができる。バインダー44は、モリブデン金属粉末20及び二硫化モリブデン粉末22を加える前に液体24と混合することができる。或いは、バインダー44は、スラリー26に、即ちモリブデン金属20及び二硫化モリブデン粉末22を液体24と(即ち、別々か又は予め混合して)混合した後に加えることができる。
【0045】
スラリー26には、約15重量%〜約50重量%の全液体(通常は約21重量%の全液体)(例えば、液体24単独か、或いはバインダー44と組み合わせた液体24のいずれか)を含ませることができ、残りは、下記に記載する割合のモリブデン金属粉末20及び二硫化モリブデン粉末22を含む。
【0046】
既に記載したように、表面被膜10の幾つかの特性又は材料特性は、複合金属粉末16中のモリブデン及び二硫化モリブデンの相対割合を変化させることによって変動又は調節することができる。一般的に言えば、複合金属粉末16中の二硫化モリブデンの濃度を減少させることによって、表面被膜10の構造強度及び/又は硬度を増加させることができる。逆に、複合金属粉末16中の二硫化モリブデンの濃度を増加させることによって、表面被膜10の潤滑性を増加(及び摩擦係数を減少)させることができる。スラリー26中に与える二硫化モリブデン粉末22の量に影響を与える可能性がある他のファクターとしては、その上に表面被膜10が与えられる物品14の製造において用いることができる特定の「下流の」プロセスが挙げられるが、これに限定されない。
【0047】
例えば、加熱及び焼結プロセス34及び42(
図1)のような幾つかの下流のプロセスによって、最終表面被膜10中の二硫化モリブデンの若干の損失が起こる可能性がある。かかる二硫化モリブデンの損失は、更なる量の二硫化モリブデンをスラリー26中に与えることによって補償することができる。同様に、表面被膜10を形成するのに用いる特定の堆積プロセス36によって、残留二硫化モリブデンの若干の減少が起こる可能性もあり、この減少も、更なる量の二硫化モリブデンをスラリー26中に与えることによって補償することができる。
【0048】
したがって、スラリー26を形成するのに用いることができる二硫化モリブデン粉末22の量は、所望量の残留二硫化モリブデンを有する複合金属粉末16及び/又は最終表面被膜10を与えるために(即ち、所望の強度、摩擦係数、及び/又は潤滑性を有する被膜10を与えるために)変化又は調節する必要がある可能性がある。更に、残留二硫化モリブデンの量は、広範囲のファクター(その多くは本明細書に記載し、他のものは本明細書に与える教示に熟知するようになった後は当業者に明らかになるであろう)によって変化する可能性があるので、本発明はいかなる特定の量の二硫化モリブデン粉末22を与えることにも限定するとみなすべきではない。
【0049】
しかしながら、殆どの態様においては、モリブデン金属粉末20及び二硫化モリブデン粉末22の混合物には、約1重量%〜約50重量%の二硫化モリブデン粉末22を含ませることができ、約15重量%の量の二硫化モリブデンが通常的である。幾つかの態様においては、二硫化モリブデン粉末22は、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく50重量%を超える量で加えることができる。これらの重量%は、スラリー26を形成するためにその後に加える1種類又は複数の液体成分を除くことに留意すべきである。即ち、これらの重量%は粉末成分20及び22の相対量のみに関する。
【0050】
それから全体としては、スラリー26には、約15重量%〜約50重量%(約18重量%が通常的である)の液体24(これには、約0重量%(即ちバインダーなし)〜約10重量%(約3重量%が通常的である)のバインダー44を含ませることができる)を含ませることができる。スラリー26の残りには、本明細書に規定する割合の金属粉末(例えば、モリブデン金属粉末20、二硫化モリブデン粉末22、及び場合によっては追加金属粉末46)を含ませることができる。
【0051】
被覆物品14に関する特定の用途に応じて、スラリー26に追加金属粉末46を加えることが望ましい可能性がある。一般的に言えば、追加金属粉末46の添加は、得られる表面被膜10の強度及び/又は硬度を増加させる(これは、特定の用途のために所望か又は必要である可能性がある)ために用いることができる。また、表面被膜10の摩擦係数を減少させるために、追加金属粉末46の使用を用いることもできる。代表的な追加金属粉末46としては、ニッケル金属粉末、ニッケル合金粉末、及びこれらの混合物が挙げられる。或いは、他の金属粉末及び金属合金粉末を用いることもできる。追加金属粉末46は約1μm〜約100μmの範囲の粒径を有していてよいが、他の寸法を有する追加金属粉末46を用いることもできる。
【0052】
例として、一態様においては、追加金属粉末46に、Stellite Coatings of Goshen Indiana(米国)から商業的に入手できる「Deloro 60」ニッケル合金粉末を含ませることができる。「Deloro 60」は、次の量(重量%):Ni(残余量)、Fe(4重量%)、B(3.1〜3.5重量%)、C(0.7重量%)、Cr(14〜15重量%)、Si(2〜4.5重量%);の種々の元素を含むニッケル合金粉末に関する登録商標である。或いは、他の組成を有し、他の供給源から入手できるニッケル合金粉末を同様に用いることができる。
【0053】
用いる場合には、追加金属粉末46は、スラリー26を噴霧乾燥機28に供給する前にスラリー26に加えることができる。或いは、他の態様においては、追加金属粉末46は、液体24と混合してスラリー26を形成する前にモリブデン金属粉末20及び/又は二硫化モリブデン粉末22(即ち、一緒に混合しているか又は個別)に加えることができる。更に他の態様においては、追加金属粉末46は複合金属粉末生成物16(即ち噴霧乾燥の後)に加えて、得られる供給材料30が複合金属粉末16及び追加金属粉末46の粉末ブレンドを含むようにすることができる。しかしながら、追加金属粉末46はスラリー26(即ち噴霧乾燥の前)に加えることが一般に好ましい。これは、得られる複合金属粉末16が、一緒に融着して複合金属粉末16の個々の粒子を形成するモリブデン、二硫化モリブデン、及び追加金属粉末の亜粒子の実質的に均質な分散物を含むからである。
【0054】
追加金属粉末46は、モリブデン粉末20及び二硫化モリブデン粉末22の混合物に、約50重量%以下の量で加えることができる。追加金属粉末46がニッケル又はニッケル合金金属粉末(例えばDeloro 60)を含む一態様においては、追加ニッケル合金金属粉末は約25重量%(液体成分を除く)を構成することができる。一般的に言えば、最終表面被膜10中のニッケルのより高い濃度は、一般に増加した硬度を与える。幾つかの場合においては、ニッケル合金粉末を加えると、表面被膜10の摩擦係数の減少を引き起こすこともできる。
【0055】
製造した後、スラリー26は、(例えば噴霧乾燥機28内で)噴霧乾燥して複合金属粉末生成物16を製造することができる。例として、一態様においては、スラリー26は、「金属粉末及びその製造方法」と題されたLarink, Jr.の米国特許7,470,307(開示されている事項全てに関して参照として明確に本明細書中に包含する)に示され且つ記載されているタイプのパルス燃焼噴霧乾燥機28内で噴霧乾燥することができる。
【0056】
簡単に説明すると、噴霧乾燥プロセスは、スラリー26をパルス燃焼噴霧乾燥機28中に供給することを含む。噴霧乾燥機28内において、スラリー26は、音速又はその付近でパルス化されている高温ガス(又は複数のガス)48の流れに衝突する。高温ガス48の音速パルスがスラリー26に接触し、液体成分(例えば水及び/又はバインダー44)の実質的に全部を除去して、複合金属粉末生成物16が形成される。高温ガス48のパルス流の温度は、約300℃〜約800℃、例えば約465℃〜約537℃の範囲、より好ましくは約565℃であってよい。
【0057】
より具体的には、ここで主として
図4を参照すると、燃焼空気50を、低圧で噴霧乾燥機28の入口52を通して外側シェル54中に供給(例えばポンプ送入)することができ、これによって一方向空気バルブ56を通して流れる。燃焼空気50は次に同調燃焼室58に導入され、ここで燃料バルブ又はポート60を介して燃料を加える。次に、燃料−空気混合物をパイロット62によって点火して高温燃焼ガス64のパルス流を生成させる。高温の燃焼ガス64は、例えば燃焼ファン圧よりも約0.003MPa(約0.5psi)〜約0.2MPa(約3psi)高い範囲の種々の圧力に加圧することができる。高温燃焼ガス64のパルス流は、排気管66を噴霧器68に向かって下方に高速で流れる。噴霧器68の直上において、入口72を通して急冷空気70を供給することができ、所望の温度を有する高温ガス48のパルス流を得るために、これを高温燃焼ガス64とブレンドすることができる。噴霧器68を介してスラリー26を高温ガス48のパルス流中に導入する。次に、霧化したスラリーを円錐形の出口74内に分散させて、その後に通常の大型の乾燥室(図示せず)に導入することができる。更に下流において、サイクロン及び/又はバグハウス(これも図示しない)のような標準的な粉末回収装置を用いて複合金属粉末生成物16を回収することができる。
【0058】
パルス運転において、空気バルブ56をサイクルで開放及び閉止して、交互に、空気をその燃焼のために燃焼室58中に導入する。かかるサイクル運転においては、空気バルブ56は、前段の燃焼を行った直後に次のパルスのために再開放することができる。次に、再開放によってその後の空気充填物(例えば燃焼空気50)を導入することができる。次に、燃料バルブ60によって燃料を再導入し、上記に記載のように燃焼室58内で混合物を自動点火する。空気バルブ56の開放及び閉止、並びにパルス形態の室58内での燃料の発火(即ち燃焼)のこのサイクルは、種々の周波数、例えば約80Hz〜約110Hzで制御することができるが、他の周波数を用いることもできる。
【0059】
本明細書に記載するパルス燃焼噴霧乾燥機28によって製造される「未処理」又は製造したままの状態のモリブデン/二硫化モリブデン複合金属粉末生成物16を
図3に示すが、これは、それ自体はより小さい粒子の凝集体である概して球状の形状の複数の粒子を含む。既に記載したように、二硫化モリブデンはモリブデン内に高度に分散されていて、複合粉末16は一緒に融着している二硫化モリブデン及びモリブデンの亜粒子の実質的に均質な分散物又は複合混合物を含む。
【0060】
一般的に言えば、本明細書に与える教示にしたがって製造される複合金属粉末生成物16は広範囲の寸法を含み、本明細書に与える教示にしたがうことによって、例えば約1μm〜約100μmの範囲の寸法のような約1μm〜約500μmの範囲の寸法を有する粒子を容易に製造することができる。複合金属粉末生成物16は、所望の場合には例えば工程32(
図1)において分級して、より狭い寸法範囲を有する生成物16を与えることができる。種々の「製造したままの状態」、即ち未処理の複合金属粉末生成物16の篩別分析を表Vに与える。
【0061】
モリブデン/二硫化モリブデン複合金属粉末16はまた、高密度のものであり、一般に完全に流動性である。代表的な複合金属粉末生成物16は、約2.3g/cc〜約2.6g/ccの範囲のスコット密度(即ち見かけ密度)を有する。幾つかの態様においては、Hall流動性は20秒/50gの程度の低さ(即ちより大きな流動性)であってよい。しかしながら、他の態様においては、複合金属粉末16は、篩別又は分級するまで流動性でなくてもよい。
【0062】
上述したように、パルス燃焼噴霧乾燥機28によって高温ガス48のパルス流が与えられ、この中にスラリー26が供給される。接触区域及び接触時間は非常に短く、接触時間はしばしばマイクロ秒以下のオーダーである。而して、高温ガス48、音波、及びスラリー26の物理的相互作用によって複合金属粉末生成物16が生成する。より具体的には、高温ガス48の音速(又は音速付近)のパルス波によって、スラリー26の液体成分が実質的に除去又は掃去される。また、短い接触時間によって、スラリー成分が、例えば接触時間の終了時において液体成分24を蒸発させるのに十分な温度である約115℃のオーダーのレベルに最小限に加熱されることも確保される。
【0063】
しかしながら、幾つかの場合においては、残留量の液体(例えば、液体24及び/又は用いる場合にはバインダー44)が得られる未処理の複合金属粉末生成物16中に残留する可能性がある。残留している液体24は、その後の加熱プロセス又は工程34によって(例えば部分的又は完全に)除去することができる。
図1を参照。一般的に言えば、加熱プロセス34は、液体成分を除去するが相当量の二硫化モリブデンは除去しないように、適度の温度において行わなければならない。若干の二硫化モリブデンが加熱34中に失われる可能性があり、これによって加熱した供給材料生成物30中の残留二硫化モリブデンの量が減少する。その結果、増加した量の二硫化モリブデン粉末22を与えて、上記に記載の予測される損失を補償する必要がある可能性がある。加熱34は、約90℃〜約120℃の範囲内の温度(約110℃が好ましい)で行うことができる。或いは、300℃程度の高い温度を短時間用いることができる。しかしながら、かかるより高い温度は、最終表面被膜10中の残留二硫化モリブデンの量を減少させる可能性がある。多くの場合において、複合金属粉末16の酸化を最小にするために、加熱34を水素雰囲気中で行うことが好ましい可能性がある。
【0064】
また、金属粉末生成物16の凝集体は、好ましくは加熱工程34の後においてもそれらの形状(多くの場合においては実質的に球状)を維持することも注目することができる。実際、幾つかの態様においては、加熱34によって複合金属粉末16の流動性の向上をもたらすことができる。
【0065】
幾つかの場合においては、噴霧乾燥プロセス中に、複合金属粉末16を含む種々の寸法の凝集粒子が製造される可能性がある。製造されたままの状態の複合金属粉末生成物16を更に分離又は分級して、所望の生成物寸法範囲内の寸法範囲を有する金属粉末生成物を得ることが望ましい可能性がある。例えば、製造される複合金属粉末16の殆どは広範囲(例えば約1μm〜約500μm)の粒径を含み、相当量(例えば40〜50重量%の範囲)の生成物は約45μmより小さい(即ち−325USメッシュ)。相当量の複合金属粉末16(例えば30〜40重量%の範囲)は、約45μm〜75μmの範囲(即ち−200+325USメッシュ)であってよい。
【0066】
本明細書に記載するプロセス18によって、相当割合のこの寸法範囲内の複合金属粉末生成物16を得ることができる。しかしながら、所望の生成物寸法範囲の外側の残りの生成物、特により小さい生成物が存在する可能性があり、これらはシステムを通して再循環することができるが、液体(例えば水)を再び加えて適当なスラリー組成を生成させる。かかる再循環は随意的な代わり(又は更なる)工程又は複数の工程である。
【0067】
いずれにしても、モリブデン/二硫化モリブデン複合粉末16が製造(即ちプロセス18にしたがって)されたら、これは
図1に示すプロセス12において供給材料30として用いて、物品14上に表面被膜10を生成させることができる。より具体的には、複合金属粉末16は、その製造されたままの状態又は「未処理」の形態で、種々の堆積プロセス36(その幾つかは本明細書に示し且つ記載する)のための供給材料30として用いることができる。或いは、「未処理」の複合金属粉末生成物16は、選択される堆積プロセス36のための供給材料30として用いる前に、上記に記載のようにして、例えば分級32、加熱34、及び/又はこれらの組合せなどによって更に処理することができる。
【0068】
供給材料30(即ち、未処理の複合粉末生成物16、又は加熱/分級した粉末生成物のいずれかを含む)は、次に工程36において堆積させて、物品14上に所望の表面被膜10を生成させることができる。堆積プロセス36は、それを基材又は物品14と結合させて付着した表面被膜10を形成するのに十分なエネルギーを複合金属粉末16に与えなければならない。通常は、複合金属粉末16の個々の粒子は、堆積プロセス中に、溶融状態又は部分的に溶融状態(即ち液相温度又はそれ以上)でないにしても少なくとも塑性状態になる。別の言い方をすると、用いる特定の堆積プロセス36は、複合金属粉末16の個々の粒子を基材14と結合させて表面被膜10を形成するのに十分なエネルギーを与えなければならない。本発明と共に用いることができる堆積プロセス36としては、熱溶射堆積、プラズマ溶射堆積、及び高速酸素燃料溶射(HVOF)堆積プロセスが挙げられるが、これらに限定されない。
【0069】
本明細書において用いる「熱溶射性」又は「熱溶射」プロセスという用語は、加熱した被覆材料を表面上に噴霧して被膜を形成する噴霧被覆プロセスを指す。被覆材料(例えば粉末供給材料30)は、電気アーク放電又は好適な燃料の燃焼によって、供給材料の液相温度又はそれ以上である温度に加熱することができる。このように供給材料を加熱することによって、それが被覆する物品14に衝突する際に少なくとも塑性状態になる。熱溶射堆積プロセスにおける粒子速度は比較的低く、一般に約150m/秒より低い(即ち、約490ft/秒未満)。
【0070】
本明細書において用いる「プラズマ溶射性」及び「プラズマ溶射」堆積という用語は、電気アーク放電によって生成した高温プラズマジェットによって供給材料30を加速及び加熱するためのエネルギーを供給する噴霧被覆プロセスを指す。プラズマ溶射プロセスは、プラズマジェットの温度が熱溶射プロセスに関する温度よりも相当に高い点で熱溶射プロセスと区別される。殆どの場合において、プラズマジェットの温度は10,000℃(約18,000°F)を超える。而して、本明細書において用いるプラズマ堆積又はプラズマ溶射プロセスとは、加熱ジェットの温度が約10,000℃を超えるプロセスを指す。
【0071】
高速酸素燃料(HVOF)溶射堆積プロセスは、高温で高速(例えば概して超音速)の噴霧ジェットを生成させることを含む。通常のHVOFシステムにおいては、気体又は液体の燃料及び酸素の混合物を燃焼室中に供給し、ここでそれらを継続的に燃焼させる。高温の燃焼ガスを、収束−分岐ノズルを通して送って、燃焼ガスを超音速に加速する。被覆材料又は粉末供給材料を、被覆する表面に向けられた超音速の気体流中に噴射する。
【0072】
本明細書に記載する熱、プラズマ、及びHVOF溶射堆積プロセスに加えて、冷間噴霧堆積プロセスを用いて表面被膜10を形成することもできる。その名称が暗示しているように、冷間噴霧堆積とは、熱ではなく運動エネルギーを用いて噴霧した粒子を基材に結合させる(即ち、塑性状態にある間に)ために必要なエネルギーを与えるプロセスを指す。冷間噴霧を用いる場合には、このプロセスは、粉末16を被覆する物品又は基材14に結合させるのに十分な運動エネルギーを複合金属粉末16に与えなければならない。複合金属粉末16を用いて冷間噴霧プロセスを試みたが、実施例において用いた特定の冷間噴霧プロセスは、それを基材又は物品14に結合させて付着している被膜10を形成するのに十分な運動エネルギーを粉末16に与えることはできなかった。しかしながら、冷間噴霧技術において更なる進歩及び/又は改良を加えることによって、付着している表面被膜10を生成させるのに十分な運動エネルギーを複合金属粉末16に与えることができる冷間噴霧プロセス/装置が与えられる可能性がある。したがって、本発明は、冷間噴霧堆積プロセスを将来うまく用いることができる可能性を排除するものとみなすべきではない。
【0073】
説明を進める前に、本明細書に記載する種々の噴霧堆積プロセス(例えば、熱、プラズマ、及びHVOF溶射堆積プロセス)を行うための装置は、当該技術において周知であり、容易に商業的に入手できることを留意すべきである。更に、かかる装置を用いて種々のタイプの噴霧堆積プロセスを行う技術及び方法も、当該技術において周知であり、本明細書に与える教示を熟知するようになった後は当業者によって容易に実施することができる。したがって、かかる熱、プラズマ、及びHVOF溶射堆積プロセスを行うために用いる特定の装置及び方法は、本明細書において更に詳細には記載しない。
【0074】
上記で記載したように、本明細書に記載する表面被膜10の幾つかの特徴及び特性は、被膜を形成するのに用いる特定の堆積プロセスによって変化又は修正することができる。例えば、プラズマ堆積プロセスを用いて、中程度の表面粗さを有する比較的厚い被膜10を生成させることができる。しかしながら、プラズマ堆積した被膜10は、通常は、主として用いるより高い温度のためにより低いレベルの残留二硫化モリブデンを含む。また、熱堆積プロセスを用いて、より高いレベルの残留二硫化モリブデンを有する比較的厚い被膜を堆積させることもできるが、通常は増加した表面粗さを有する。HVOF堆積プロセスは、通常は、高いレベルの残留二硫化モリブデン及び優れた表面仕上げ(即ち低い表面粗さ)を有する被膜を与える。しかしながら、HVOF堆積プロセスはまた、厚い被膜を生成させる能力が制限される可能性もある。
【0075】
堆積36の後、得られる被覆物品14(例えばピストンリング38)は、そのまま用いることができ、或いは必要又は所望の場合には更に処理することができる。例えば、被覆物品14は、必要又は所望の場合には、使用に供する前に1以上の表面仕上げ工程40にかけることができる。代表的な表面仕上げ工程としては、機械加工、ビードブラスト、及び研磨が挙げられるが、これらに限定されない。被覆物品14はまた、その上に与えられている表面被膜10の密度及び/又は強度を更に増加させるために、工程42において加熱又は焼結することもできる。かかる焼結プロセス42は、表面被膜10が酸化されるようになる可能性を最小にするために、水素雰囲気中で行うことが望ましい可能性がある。一般的に言えば、かかる加熱は、残留二硫化モリブデンの量が実質的に減少するのを避けるために十分に低い温度で行うことが好ましい。
【実施例】
【0076】
2種類の異なるスラリー混合物26を調製し、次にこれを噴霧乾燥して複合金属粉末16を製造した。より具体的には、2種類のスラリー混合物を、5つの別々の噴霧乾燥試験又は「実験」(ここでは実験1〜5と示す)において噴霧乾燥して、5種類の異なる粉末調製物を製造した。実験1〜3においては第1のスラリー混合物26を用い、一方、実験4及び5においては第2のスラリー混合物を用いた。
【0077】
次に種々の粉末調製物、即ち複合金属粉末16を分析し、その結果を表IV及びVに示す。次に、実験1のプロセスからの粉末調製物を本明細書に記載する種々の噴霧堆積プロセスによって堆積させて、種々の表面被膜10を形成した。次に、この種々の表面被膜10を分析した。種々の表面被膜10の分析の結果を表VI及びVIIに示す。表VIII及びIXにまとめたデータによって明らかなように、表面被膜10は、摩擦係数、表面粗さ、及び摩耗性の点で好ましいトライボロジー特性を示した。
【0078】
ここで特に表IIを参照すると、第1のスラリー組成物を第1の3つの噴霧乾燥実験(即ち実験1〜3)において用いて、3種類の異なる粉末調製物を製造した(ここでは実験1〜3の調製物として示す)。第2のスラリー組成物を、2つのその後の噴霧乾燥実験(即ち実験4及び5)において噴霧乾燥して、2つの更なる粉末調製物を製造した(ここでは実験4及び5の調製物として示す)。
【0079】
第1及び第2のスラリーの組成は基本的に同一であり、それぞれのスラリー組成物26は、約18重量%の液体24(例えば脱イオン水として)、約3重量%のバインダー44(例えばポリビニルアルコールとして)を含み、残りはモリブデン金属及び二硫化モリブデンの粉末20及び22を含んでいた。モリブデン粉末20は「FM1」モリブデン金属粉末を含んでおり、一方、二硫化モリブデン粉末22は「Superfine Molysulfide」を含んでいた(これらは両方とも本明細書に示すようにClimax Molybdenum Companyから入手した)。モリブデン金属粉末20と二硫化モリブデン粉末22との比は、いずれのスラリー組成物に関しても約14〜15重量%の二硫化モリブデン(液体成分を除く)で比較的一定に維持した。
【0080】
【表2】
【0081】
次に、スラリー26を本明細書に記載したようにしてパルス燃焼噴霧乾燥機28中に供給して、5種類の異なる複合金属粉末16のバッチ又は調製物を製造した(ここでは実験1〜5の調製物として示す)。高温ガス48のパルス流の温度は、約548℃〜約588℃の範囲内に制御した。パルス燃焼噴霧乾燥機28によって生成した高温ガス48のパルス流によって、水及びバインダーの実質的に全部をスラリー26から除去して、複合粉末生成物16を形成した。種々の実験(即ち実験1〜5)についてのパルス燃焼噴霧乾燥機28に関する種々の運転パラメーターを表IIIに示す。
【0082】
【表3-1】
【0083】
【表3-2】
【0084】
実験1〜5に関して得られた複合粉末調製物16は、より小さい粒子の凝集体を含んでおり、概して球状の形状を含んでいた。実験1の粉末調製物によって製造された「未処理」のモリブデン/二硫化モリブデン複合粉末16のSEM写真を
図3に示す。実施例1〜5の粉末調製物に関する粉末分析及び篩別分析を表IV及びVに示す。
【0085】
【表4】
【0086】
【表5】
【0087】
表IVに示す粉末分析は、第2のスラリー(即ち実験4〜5の粉末)から製造された粉末が、第1のスラリー(即ち実験1〜3の粉末)から製造された粉末が含んでいたものよりも若干低いレベルの二硫化モリブデンを含んでいたことを示す。更に、表IVに示す粉末分析はまた、噴霧乾燥粉末が、重量基準で元の粉末混合物において存在していたものよりも高いレベルのMoS
2を含んでいたことも示す。これらの相違は、全体又は部分的に、初めのスラリー成分(例えば、モリブデン及び二硫化モリブデンの粉末20及び22)の秤量、並びに噴霧乾燥粉末16を分析するのに用いた装置に関連する測定の不確かさ及びエラーなどの幾つかのファクターによる可能性があった。これらの相違はまた、処理における材料の損失による可能性もあった。例えば、サイクロン分離器及びバグハウス内のフィルターには相当量の残留(即ち未回収の)複合金属粉末生成物材料16が含まれており、これらはイオウ及び二硫化モリブデン含量に関して分析されなかった。残留粉末材料は、幾つかの理由のために、回収された物質と比べてより低い量の二硫化モリブデンを含んでいた可能性がある。
【0088】
回収されたモリブデンベースの複合金属粉末16を、種々のタイプの噴霧堆積プロセス36によって堆積させて複数の表面被膜10又は「試験片」を形成した。より具体的には、2つの異なるタイプの粉末供給材料30を用いて、複数の表面被膜10:プレーンのMo/MoS
2複合金属粉末供給材料30(即ち未処理の複合金属粉末16を含む)、及びプレーンのMo/MoS
2複合金属粉末16及び追加金属粉末46(
図2)のブレンドを含むブレンド粉末供給材料30;を形成した。
【0089】
次に、2つのタイプのモリブデンベースの粉末供給材料30を、本明細書に記載するプラズマ、熱、及びHVOF溶射堆積プロセスによって基材又は物品14に施した。冷間噴霧プロセスを試みたが、用いた特定の冷間噴霧装置では、粉末供給材料30を基材14と結合させて付着している表面被膜10を形成するのに十分な運動エネルギーを達成できなかった。全体では、種々の粉末供給材料30及び堆積プロセスのタイプ36を用いて合計で70個の試料片を製造した。
【0090】
本明細書に記載する特定の例においては、標準又はプレーンの粉末供給材料30は、本明細書に記載する噴霧乾燥実験1によって製造したMo/MoS
2複合金属粉末16を含んでいた。ブレンド粉末供給材料30は、Mo/MoS
2複合金属粉末、並びに追加金属粉末46(これは、これらの実施例においては上記に記載の「Deloro 60」ニッケル合金粉末を含んでいた)のブレンドを含んでいた。追加金属粉末(例えばDeloro 60)は、約25重量%の量で噴霧乾燥Mo/MoS
2複合金属粉末16に加えた。次に、粉末16及び46を機械的にブレンドして、約75重量%のMo/MoS
2複合金属粉末16及び約25重量%の追加金属粉末46(例えばDeloro 60)を含む実質的に均質な「乾式ブレンド」粉末混合物供給材料30を形成した。次に、標準又はプレーンの粉末供給材料30に関する場合と同様に、乾式ブレンド粉末供給材料30を、本明細書に記載するプラズマ、熱、及びHVOF溶射堆積プロセスによって施した。
【0091】
プレーンの金属粉末供給材料30によって製造した表面被膜10に関するデータを表VIに示し、一方、ブレンド粉末供給材料30によって製造した表面被膜に関するデータを表VIIに示す。
【0092】
次に、2種類の異なる粉末供給材料30及び種々の噴霧被覆プロセス36によって製造した試料表面被膜10を分析した。種々の被膜試料の分析からの平均値を表VI及びVIIに与える。データは、同様の特性を有する試料タイプによってグループ分けされている。
【0093】
より具体的には、表VI〜IXにおいて、被膜試料10は以下の特性によってグループ分け及び特定されている。
(1)被膜10を堆積させるために用いたプロセス:「P」はプラズマ溶射堆積プロセスを示し;「T」は熱溶射堆積プロセスを示し;そして「H」はHVOF溶射堆積プロセスを示す。
【0094】
(2)被膜10を形成するのに用いた粉末供給材料のタイプ:「M」は「プレーン」のMo/MoS
2複合金属粉末供給材料を示し;そして「B」はMo/MoS
2−Niブレンドを含む粉末ブレンドを示す。
【0095】
(3)その上に被膜10を堆積させた基材のタイプ:「A」はアルミニウム基材、具体的にはタイプ6061アルミニウム合金を示し;そして「S」はステンレススチール基材、具体的にはタイプ306ステンレススチール合金を示す。
【0096】
更に、幾つかの試料被膜を堆積後にガラスビーズでブラストした。これは「試料」の欄において「G」の表示を含む。
表VI及びVIIはまた、被膜10中の「残留」イオウ及びMoS
2の量(重量%)などの被膜10に関する幾つかのデータも示す。また、「堆積したままの状態」での被膜厚さ及び平均表面粗さ:R
aも、SI及びUS単位の両方で与える。プラズマ溶射堆積プロセスによって、プレーンのMo/MoS
2複合金属粉末16(即ち「PMA」及び「PMS」)を用いて製造した被膜10は、表VIにおいてカッコ内の注記「層間剥離」によって示されるように、試験前に基材14から分離又は層間剥離したことを留意すべきである。
【0097】
【表6】
【0098】
【表7】
【0099】
比較して言えば、プラズマ堆積プロセスは、中程度の表面粗さを有する比較的厚い堆積したままの状態の被膜10を与えた。しかしながら、プラズマ堆積によって製造された被膜10は、最も低い量の残留二硫化モリブデンを与えた。熱堆積プロセスも比較的厚い被膜10を製造するのに成功したが、より高い表面粗さを有していた。被膜10中の残留二硫化モリブデンの量は、プラズマ堆積によって達成されたものよりも大きかった。HVOF堆積プロセスは、高いレベルの残留二硫化モリブデン、及び堆積したままの状態での優れた表面仕上げ(即ち低い表面粗さ)を有する被膜を与えた。しかしながら、HVOF堆積プロセスは、厚い被膜を製造するその能力が限られている。
【0100】
引き続くトライボロジー試験によって、Mo/MoS
2表面被膜10が約0.4乃至0.7付近までの範囲の摩擦係数を示したことが示された。全ての試験した材料に関する平均摩擦係数の概要を表VIIIに示す。表VIIIにおける試料の表示は、上記に記載の表VI及びVIIに関するものと同じである。
【0101】
【表8】
【0102】
表VIIIにおけるデータによって、ブレンド材料(即ちMo/MoS
2−Niブレンド、75%−25% w/w)を用いて製造し、アルミニウム基材上にHVOF溶射堆積プロセスによって施した被膜(即ち、試料の平均は表VIIIにおいて「HBA」と表示されている)は、0.404の最も低い平均摩擦係数を与えたことが確認される。熱溶射堆積プロセスによって施したブレンド供給材料30は、HVOF溶射堆積プロセスによって施した被膜と比べて、両方の基材のタイプ(即ち、アルミニウム及びステンレススチール)に関してより合致した摩擦係数を与える傾向を有しており、より容易により厚い層に堆積させることができる。更に、ブレンド材料によって製造した被膜は、プレーンのMo/MoS
2複合金属粉末16を含む供給材料30から製造した被膜と比べて僅かに低い摩擦係数を有していた。
【0103】
また、表面被膜10の代表的な試料を摩耗試験にかけた。摩耗試験プロセスは、炭化タングステンのボールを代表的な試料の上で約10mm(約0.4インチ)の距離にわたって往復運動させることを含んでいた。ボールの直径は10mm(約0.4インチ)であり、往復運動の周波数は約3Hzに選択した。約1N(約0.2ポンド)及び約5N(約1.1ポンド)の力を15及び30分間加えた。プレーンのMo/MoS
2複合金属供給材料30を用いて製造し、HVOF溶射プロセスによって堆積させた試料は、非常に薄く柔軟であったので試験できなかった。しかしながら、ブレンド供給材料30を用いて製造した試料は、HVOF堆積プロセスによって製造したものについても試験のために好適であった。更に、熱堆積プロセスによって製造し、ガラスビーズでブラストした試料を用いて、全ての試料の表面粗さが同等であったことを確保した。
【0104】
得られた摩耗痕の幅を、SI及びUS単位の両方で表IXに示す。また、表面粗さに関する表面形状測定データも2つの代表的な試料に関して得て、これらも表IXに示す。
【0105】
【表9-1】
【0106】
【表9-2】
【0107】
限定的ではあるが、データによって、熱溶射被膜が最も良好な摩耗特性を示すことが確認されるように思われる。更に、ブレンド供給材料30(即ちMo/MoS
2−Ni合金ブレンド)から製造した被膜10は、プレーンの供給材料30(即ちMo/MoS
2のみ)から製造した被膜10と比べて優れた摩耗特性を示す。しかしながら、摩耗痕の幅に基づく被膜の摩耗特性の正確な評価は、堆積したままの状態での被膜の比較的高い粗さのために困難であることに留意すべきである。
【0108】
本発明の好ましい態様をここに示したが、好適な修正をそれに対して行うことができ、これらはそれでもなお本発明の範囲内に留まると考えられる。したがって、本発明は特許請求の範囲によってのみ解釈される。
本発明は以下の態様を含む。
[1]
基材;並びに
基材上に複合金属粉末の個々の粒子を堆積させて複合金属粉末を基材と結合させることによって形成され、複合金属粉末が一緒に融着して複合金属粉末の個々の粒子を形成しているモリブデン及び二硫化モリブデンの亜粒子の実質的に均質な分散物を含む基材上の表面被膜;
を含む被覆物品系。
[2]
表面被膜が少なくとも約1重量%の二硫化モリブデンを含む、[1]に記載の被覆物品。
[3]
表面被膜が約3重量%〜約10重量%の二硫化モリブデンを含む、[2]に記載の被覆物品系。
[4]
表面被膜が少なくとも約1重量%のイオウを含む、[1]に記載の被覆物品系。
[5]
表面被膜が約1重量%〜約4重量%のイオウを含む、[4]に記載の被覆物品系。
[6]
表面被膜が約0.46〜約0.68の範囲の摩擦係数を有する、[1]に記載の被覆物品系。
[7]
表面被膜が約2.54μm(約100マイクロインチ)〜約22.9μm(約900マイクロインチ)の範囲の堆積したままの状態での平均表面粗さ(Ra)を有する、[1]に記載の被覆物品系。
[8]
複合金属粉末が追加金属を含み、表面被膜が追加金属を含む、[1]に記載の被覆物品系。
[9]
追加金属がニッケル及びニッケル合金から実質的になる群から選択される1以上を含む、[8]に記載の被覆物品系。
[10]
追加金属がニッケル合金を含む、[8]に記載の被覆物品系。
[11]
表面被膜が約0.4〜約0.44の範囲の摩擦係数を有する、[10]に記載の被覆物品系。
[12]
表面被膜が少なくとも約0.15mm(約0.006インチ)の厚さを有する、[1]に記載の被覆物品系。
[13]
表面被膜が約0.15mm(約0.006インチ)〜約2mm(約0.08インチ)の範囲の厚さを有する、[12]に記載の被覆物品系。
[14]
基材が金属を含む、[1]に記載の被覆物品系。
[15]
金属基材が、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄、鉄合金、鋼、ステンレススチール、モリブデン、モリブデン合金、青銅、及び黄銅からなる群から選択される1以上を含む、[14]に記載の被覆物品系。
[16]
基材;並びに
基材に結合して表面被膜を形成しているモリブデン及び二硫化モリブデンの粒子の実質的に均質な分散物を含む、基材上の表面被膜;
を含む被覆物品系。
[17]
複合金属粉末を基材と結合させて表面被膜を形成するのに十分なエネルギーで堆積されている複合金属粉末を含み、複合金属粉末が、一緒に融着して個々の粒子を形成しているモリブデン及び二硫化モリブデンの亜粒子の実質的に均質な分散物を含む表面被膜。
[18]
一緒に融着して複合金属粉末の個々の粒子を形成しているモリブデン及び二硫化モリブデンの亜粒子の実質的に均質な分散物を含む複合金属粉末を与え;そして
かかるモリブデン/二硫化モリブデン複合金属粉末を基材上に堆積させて表面被膜を形成する;
ことを含む表面被膜の製造方法。
[19]
堆積が、モリブデン/二硫化モリブデン複合金属粉末を塑性状態にある間に基材に結合させて表面被膜を形成するのに十分なエネルギーでモリブデン/二硫化モリブデン複合金属粉末を噴霧することを含む、[18]に記載の方法。
[20]
噴霧が熱溶射堆積を含む、[19]に記載の方法。
[21]
噴霧がプラズマ溶射堆積を含む、[19]に記載の方法。
[22]
噴霧がHVOF溶射堆積を含む、[19]に記載の方法。
[23]
表面被膜が少なくとも約0.15mm(約0.006インチ)の厚さを有する、[18]に記載の方法。
[24]
表面被膜を仕上げ平滑化して、表面被膜が均一な厚さを有するようにすることを更に含む、[18]に記載の方法。
[25]
表面被膜を焼結することを更に含む、[18]に記載の方法。
[26]
複合金属粉末の供給物を与えることが、
モリブデン金属粉末の供給物を与え;
二硫化モリブデン粉末の供給物を与え;
モリブデン金属粉末及び二硫化モリブデン粉末を液体と混合してスラリーを形成し;
スラリーを高温ガスの流れの中に送り込み;そして
複合金属粉末を回収する;
ことを含む、[18]に記載の方法。
[27]
ニッケル金属粉末の供給物を与え;そして
液体と混合してスラリーを形成する前に、ニッケル金属粉末をモリブデン金属粉末及び二硫化モリブデン粉末のいずれかと混合する;
ことを更に含む、[26]に記載の方法。
[28]
ニッケル金属粉末の供給物を与え;そして
スラリーを高温ガスの流れの中に送り込む前に、ニッケル金属粉末をスラリーと混合する;
ことを更に含む、[26]に記載の方法。
[29]
ニッケル金属粉末の供給物を与え;そして
ニッケル金属粉末を複合金属粉末と混合して粉末ブレンドを形成する;
ことを更に含む、[26]に記載の方法。
[30]
スラリーを高温ガスの流れの中に送り込むことが、スラリーを霧化して、霧化したスラリーを高温ガスの流れと接触させることを含む、[26]に記載の方法。
[31]
モリブデン金属粉末及び二硫化モリブデン粉末を液体と混合することが、モリブデン金属粉末及び二硫化モリブデン粉末を水と混合してスラリーを形成することを含む、[26]に記載の方法。
[32]
スラリーが約15重量%〜約50重量%の間の液体を含む、[26]に記載の方法。
[33]
バインダー材料の供給物を与え;そして
バインダー材料を、モリブデン金属粉末、二硫化モリブデン粉末、及び水と混合してスラリーを形成する;
ことを更に含む、[26]に記載の方法。
[34]
バインダーがポリビニルアルコールを含む、[33]に記載の方法。
[35]
モリブデン金属粉末の供給物及び二硫化モリブデンの供給物を液体と混合してスラリーを形成する前に、二硫化モリブデン粉末の供給物を、約1重量%〜約50重量%の範囲の量でモリブデン金属粉末の供給物に加える、[26]に記載の方法。
[36]
[18]に記載の方法によって製造される表面被膜を有する物品。
[37]
一緒に融着して複合金属粉末の個々の粒子を形成しているモリブデン及び二硫化モリブデンの亜粒子の実質的に均質な分散物を含み、複合金属粉末が、複合金属粉末の個々の粒子を塑性状態にある間に基材と結合させて表面被膜を形成するのに十分なエネルギーで堆積されている表面被膜。