特許第5695749号(P5695749)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5695749ベンゾイミダゾール誘導体の新規な製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5695749
(24)【登録日】2015年2月13日
(45)【発行日】2015年4月8日
(54)【発明の名称】ベンゾイミダゾール誘導体の新規な製造方法
(51)【国際特許分類】
   C07D 235/18 20060101AFI20150319BHJP
   C07D 401/10 20060101ALI20150319BHJP
   C07D 471/04 20060101ALI20150319BHJP
   C07D 401/14 20060101ALI20150319BHJP
   C07D 213/61 20060101ALI20150319BHJP
   C07C 311/08 20060101ALI20150319BHJP
   C07D 213/48 20060101ALI20150319BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20150319BHJP
【FI】
   C07D235/18
   C07D401/10
   C07D471/04 107K
   C07D401/14
   C07D213/61CSP
   C07C311/08
   C07D213/48
   !C07B61/00 300
【請求項の数】24
【全頁数】32
(21)【出願番号】特願2013-531482(P2013-531482)
(86)(22)【出願日】2011年9月27日
(65)【公表番号】特表2013-540121(P2013-540121A)
(43)【公表日】2013年10月31日
(86)【国際出願番号】KR2011007109
(87)【国際公開番号】WO2012044043
(87)【国際公開日】20120405
【審査請求日】2013年5月27日
(31)【優先権主張番号】10-2010-0093818
(32)【優先日】2010年9月28日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】513074792
【氏名又は名称】デーウン ファーマシューティカル カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100126354
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】キム,イン ウー
(72)【発明者】
【氏名】キム,ジ ダック
(72)【発明者】
【氏名】ヨーン,ホン チュル
(72)【発明者】
【氏名】ヨーン,ヒー クヨーン
(72)【発明者】
【氏名】リー,ビョン グー
(72)【発明者】
【氏名】リー,ヨン ファン
(72)【発明者】
【氏名】リム,ヤング モーク
(72)【発明者】
【氏名】チョウイ,スー チン
【審査官】 早川 裕之
(56)【参考文献】
【文献】 特表2008−528578(JP,A)
【文献】 特表2009−542802(JP,A)
【文献】 特表2005−506349(JP,A)
【文献】 特表2006−503010(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/129625(WO,A1)
【文献】 Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters,2005年,15,631-634
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 235/18
C07C 311/08
C07D 213/48〜61
C07D 401/10〜14
C07D 471/04
C07B 61/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1)下記一般式2で表される化合物と下記一般式3で表される化合物をパラジウム触媒の存在下で反応させて、下記一般式4で表される化合物を製造する工程、
2)下記一般式4で表される化合物と酸化剤を反応させて、下記一般式5で表される化合物を製造する工程、および
3)下記一般式5で表される化合物と下記一般式6で表される化合物を反応させて、下記一般式1で表される化合物を製造する工程を含む、下記一般式1で表される化合物の製造方法であって、
[化1]



(1)

[化2]


(2)

[化3]
R1-Hal (3)
[化4]



(4)
[化5]



(5)
[化6]


(6)

上記式中、
Mは、B(OH)2、B(i-Pr)2、Sn(CH3)3、またはSnBu3であり、
Xは、CHまたはNであり、
Yは、CR5またはNであり、
R1は、

または

であり、

R2とR3は、それぞれ水素であるか、またはR2とR3が共にベンゼン環を形成し、
R4は、ハロゲン、非置換またはハロゲンで置換されたC1-5アルキル、もしくはモルフォリノであり、
R5は、水素、ハロゲン、もしくは、非置換またはハロゲンで置換されたC1-3アルキルであり、
R6は、水素、ハロゲン、もしくは、非置換またはハロゲンで置換されたC1-3アルキルである、製造方法。
【請求項2】
1)下記一般式7で表される化合物と下記一般式3で表される化合物をパラジウム触媒の存在下で反応させて、下記一般式5で表される化合物を製造する工程、
2)下記一般式5で表される化合物と下記一般式6で表される化合物を反応させて、下記一般式1で表される化合物を製造する工程を含む、下記一般式1で表される化合物の製造方法であって、
[化1]



(1)

[化3]
R1-Hal (3)
[化5]



(5)
[化6]


(6)

[化7]


(7)
上記式中、
MはB(OH)2、B(i-Pr)2、Sn(CH3)3、またはSnBu3であり、
Xは、CHまたはNであり、
Yは、CR5またはNであり、
R1は、

または

であり、

R2とR3は、それぞれ水素であるか、またはR2とR3が共にベンゼン環を形成し、
R4は、ハロゲン、非置換またはハロゲンで置換されたC1-5アルキル、もしくはモルフォリノであり、
R5は、水素、ハロゲン、もしくは、非置換またはハロゲンで置換されたC1-3アルキルであり、
R6は、水素、ハロゲン、または、非置換またはハロゲンで置換されたC1-3アルキルである、製造方法。
【請求項3】
前記パラジウム触媒が、Pd(PPh3)4、Pd2(dba)3、PdCl2(PPh3)2とPd(PtBu3)2からなる群から選択されるいずれか一つであることを特徴とする、請求項1または2に記載の製造方法。
【請求項4】
請求項1の工程1または請求項2の工程1が、さらに塩基の存在下で反応させることを特徴とする、請求項1または2に記載の製造方法。
【請求項5】
前記塩基が、無機塩基または有機塩基であることを特徴とする、請求項4に記載の製造方法。
【請求項6】
前記無機塩基が、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸セシウム、tert‐ブトキシカリウム(t-BuOK)および水酸化リチウムからなる群から選択されるいずれか一つであることを特徴とする、請求項5に記載の製造方法。
【請求項7】
前記有機塩基が、トリエチルアミン、tert‐ブチルアミンおよびジイソプロピルエチルアミンから構成される群から選択されるいずれか一つであることを特徴とする、請求項5に記載の製造方法。
【請求項8】
請求項1の工程1または請求項2の工程1が、エタノール、トルエン、1,2‐ジメトキシエタン、水−エタノール混合溶媒、水−トルエン混合溶媒、および水−1,2−ジメトキシエタン混合溶媒からなる群から選択されるいずれか一つの溶媒を用いて遂行されることを特徴とする、請求項1または2に記載の製造方法。
【請求項9】
前記水−エタノール混合溶媒、水−トルエン混合溶媒、および水−1,2‐ジメトキシエタン混合溶媒において、水−エタノール、水−トルエン、および水−1,2‐ジメトキシエタンの比率が100:1〜1:100であることを特徴とする、請求項8に記載の製造方法。
【請求項10】
請求項1の工程1または請求項2の工程1が、60℃〜150℃で遂行されることを特徴とする、請求項1または2に記載の製造方法。
【請求項11】
前記酸化剤が、二酸化セレンまたは硝酸セリウムアンモニウムであることを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
【請求項12】
前記工程2が、1,4‐ジオキサン、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、メタノールおよびアセトニトリルからなる群から選択されるいずれか一つの溶媒を用いて遂行されることを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
【請求項13】
前記工程2が、さらに酸の存在下で遂行することを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項14】
前記酸が、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、酢酸、p-トルエンスルホン酸(p-toluene sulfonic acid、p-TSA)、およびカンファースルホン酸(camphorsulfonic acid、CSA)で構成される群から選択されるいずれか一つであることを特徴とする、請求項13に記載の製造方法。
【請求項15】
前記酸が、0.01〜1.0当量の量で添加することを特徴とする、請求項13に記載の製造方法。
【請求項16】
前記工程2が、60℃〜150℃で遂行することを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
【請求項17】
請求項1の工程3または請求項2の工程2が、キシレン、トルエン、ニトロベンゼンおよびベンゼンで構成される群から選択されるいずれか一つの溶媒を用いて遂行することを特徴とする、請求項1または2に記載の製造方法。
【請求項18】
前記反応が、150℃〜250℃で遂行することを特徴とする、請求項17に記載の製造方法。
【請求項19】
請求項1の工程3または請求項2の工程2が、ベンゾキノンを添加剤として使用して遂行することを特徴とする、請求項1または2に記載の製造方法。
【請求項20】
前記反応が、ベンゾキノンと共に1,4‐ジオキサン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフランおよびジメチルアセトアミドからなる群から選択されるいずれか一つの溶媒を用いて遂行することを特徴とする、請求項19に記載の製造方法。
【請求項21】
前記反応が、60℃〜150℃で遂行することを特徴とする請求項19に記載の製造方法。
【請求項22】
前記一般式1で表される化合物が、
1) 6‐tert‐ブチル‐2‐(4‐(3‐クロロピリジン‐2‐イル)フェニル)‐1H‐ベンゾ[d]イミダゾール、
2) 6‐tert‐ブチル‐2‐(4‐(3‐クロロピリジン‐2‐イル)ナフタレン‐1‐イル)‐1H‐ベンゾ[d]イミダゾール、
3) N‐(4'‐(4,6‐ビス(トリフルオロメチル)‐1H‐ベンゾ[d]イミダゾール‐2‐イル)‐3‐フルオロビフェニル‐4‐イル)メタンスルホンアミド、
4) 4‐ブロモ‐6‐(トリフルオロメチル)‐2‐(4‐(3‐(トリフルオロメチル)ピリジン‐2‐イル)フェニル)‐1H‐ベンゾ[d]イミダゾール、
5) 6‐ブロモ‐2‐(4‐(3‐(トリフルオロメチル)ピリジン‐2‐イル)フェニル)‐1H‐イミダゾ[4,5‐b]ピリジン、
6)6‐(トリフルオロメチル)‐2‐(3‐(トリフルオロメチル)‐2,3'ビピリジン‐6'‐イル)‐1H‐ベンゾ[d]イミダゾール、
7)6‐ブロモ‐2‐(3‐(トリフルオロメチル‐2,3'‐ビピリジン‐6'‐イル)-1H‐ベンゾ[d]イミダゾール、
8) 6‐ブルモ‐2‐(3‐(トリフルオロメチル)‐2,3'‐ビピリジン‐6'‐イル)‐ 1H‐イミダゾ[4,5‐b]ピリジン
9) 4‐(2‐(3‐(トリフルオロメチル)‐2,3'‐ビピリジン‐6'‐イル)‐3H‐ベンゾ[d]イミダゾール‐5‐イル)モルホリン、
10) 4‐クロロ‐2‐(3‐クロロ‐2,3'ビピリジン‐6'‐イル)‐6‐(トリフルオロメチル)‐ 1H‐ベンゾ[d]イミダゾール、および
11) 2‐(3‐クロロ-2,3'ビピリジン‐6'‐イル)‐4,6‐ビス(トリフルオロメチル)‐1H‐ベンゾ[d]イミダゾール
で構成される群から選択されるいずれか一つであることを特徴とする、請求項1または2に記載の製造方法。
【請求項23】
前記一般式5で表される化合物が、
1)4‐(3‐クロロピリジン‐2‐イル)ベンズアルデヒド、
2)4‐(3‐クロロピリジン‐2‐イル)‐1‐ナフトアルデヒド、
3)N‐(3‐フルオロ‐4'‐ホルミルビフェニル‐4‐イル)メタンスルホンアミド、
4)4‐(3‐(トリフルオロメチル)ピリジン‐2‐イル)ベンズアルデヒド、
5)3‐(トリフルオロメチル)‐2,3'- ビピリジン‐6'‐カルバルデヒド、および
6)3‐クロロ‐2,3'‐ビピリジン‐6'‐カルバルデヒド
で構成される群から選択されるいずれか一つであることを特徴とする、請求項1または2に記載の製造方法。
【請求項24】
下記化合物の群から選択されるいずれか一つの化合物
1)4‐(3‐クロロピリジン‐2‐イル)‐1‐ナフトアルデヒド、
2)N‐(3‐フルオロ‐4'‐ホルミルビフェニル‐4‐イル)メタンスルホンアミド
3)3‐(トリフルオロメチル)‐2,3'‐ビピリジン‐6'‐カルバルデヒド、および
4)3‐クロロ‐2,3'‐ビピリジン‐6'‐カルバルデヒド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バニロイド受容体(カプサイシン受容体; Transient Receptor Potential Channel、Vanilloid subfamily member 1、TRPV-1; Vanilloid receptor-1、VR-1)の拮抗薬としての効能を示すベンゾイミダゾール誘導体の新規な製造方法およびそれらの中間体と、上記中間体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明のベンゾイミダゾール誘導体であるバニロイド受容体は、唐辛子の活性成分であるカプサイシン(トランス‐8‐メチル‐N‐バニリル‐6‐ノネンアミド)の受容体として常に考えられてきた。1997年カテリーナ等(Caterina et al.)は、前記受容体をクローニングし、これをバニロイド受容体サブタイプ1(以下、「VR-1」と称する)と命名した(Caterina et al.、Nature、1997、389、 816)。 VR-1は、人体において細い無髄神経(C-繊維)と薄い有髄神経(A-繊維)に分布しながら、外部または内部の刺激によって活性化し、カルシウムやナトリウム等の陽イオンを神経繊維の末端に強力に流入させることにより疼痛刺激を感作する役割を果たすイオンチャネルとして知られている。 VR-1を活性化させる外部刺激としては、バニロイド系化合物だけでなく、熱刺激、酸による有害性刺激が含まれていることが報告されており(Tominaga et al.、Neuron、1998年、21、531)、内部刺激としていは、12‐ヒドロペルオキエイコサテトラエン酸(12-HPETE)等のロイコトリエン類の代謝体(Hwang at al.、PNAS、2000、97、3655)とアナンダマイド等のアラキドン酸誘導体(Premkumar et al. 、Nature、2000、408、985)が知られている。
【0003】
このような生理的作用に基づいて、VR-1は生体内で多様な外部の有害刺激を神経細胞内に伝達するのに重要な機能を担う統合的調節役として注目されてきた。最近VR-1遺伝子が除去されたノックアウトマウスが製造されたが(Caterina et al.、Science、2000、288、306)、一般刺激に対しては、正常のマウスとは大きな違いがなく、熱刺激、熱性痛覚過敏等については、疼痛反応が著しく減弱した結果を示すことによって有害な刺激に対するVR-1の重要性が確認された。
【0004】
生体内でのVR-1は、1次感覚神経細胞に多く発現され(Caterina et al.、Nature、1997、389、816)、この感覚神経は、皮膚、骨組織、膀胱、消化管、肺等のような人体の内部器官の機能調節に重要な役割を果たしている。この他にもVR-1はまた、中枢神経系、腎臓、胃、またはT−細胞(Nozawa et al.、Neuroscience Letter、2001、309、33、Yiangouet al.、Lancet(North America Edition)、2001、357、1338; Birder et al.、PNAS、2001、98、13396)を含む他の神経細胞または全身に分布し、細胞分裂や細胞シグナルの調節に重要な役割を果たしていると推定されている。
【0005】
これに関連して、VR-1の活性調節を基本とする適応症としては、疼痛、急性疼痛、慢性疼痛、神経病的疼痛、術後痛、片頭痛、関節痛、神経障害、神経損傷、糖尿病性ニューロパチー、神経障害性疾患、神経性皮膚疾患、脳卒中、膀胱過敏症、過敏性腸症候群、喘息および慢性閉塞性肺疾患などの呼吸器異常、皮膚、眼、粘膜の刺激、掻痒症、発熱、上 - 十二指腸潰瘍、炎症性腸疾患、またはこれらの炎症性疾患および急迫性尿失禁疾患(大韓民国特許公開10-2004-0034804)、抗肥満効果(Pharmacol. Rev.、1986、38、179)などが記述されている。
【0006】
薬理機序上のVR-1アンタゴニストと拮抗薬はいずれも、上記に記述した疾患に対する治療薬として使用できる。 VR-1アンタゴニストによる鎮痛効果はカプサイシン‐感受性感覚神経の脱感作に基づく薬理機序を持つ。つまり、感覚神経に痛みや刺激を誘発して神経細胞を脱感作させることで他の有害な刺激による痛みを遮断する方法では、初期に痛を誘発するという欠点があるため、現在は局所用治療薬に限定されて開発されているのが実情である。一方、VR-1アンタゴニストは、感覚神経の痛みの信号の認識を遮断する機序を持つため、初期の痛みおよび刺激誘発の問題がなく、全身性疾患の治療を目的とする治療薬として、主に研究されている。
【0007】
一方、ベンゾイミダゾール誘導体の公知の製造方法として、大韓民国特許公開第10-2007-0113207号は、VR-1受容体拮抗薬として、様々なベンゾイミダゾールおよびその製造方法を記載しており、具体的には安息香酸誘導体を合成してジアミン誘導体とアミド化反応させて、ベンゾイミダゾールに環化反応させて製造する方法を記載している。しかし、上記の方法は、製造過程で2段階の環化反応により、不純物の増加と純度の低下、高コストおよび生産への適用が難しいという問題がある。
【0008】
そこで、本発明者は、従来知られているベンゾイミダゾール誘導体の製造方法を改善するための研究をする中で、従来中間体として使用する安息香酸誘導体ではなく、ベンズアルデヒドを中間体として使用する場合、反応が単純になり高価な試薬を必要とせず、収率が改善されること、および不純物が減少することを確認し、本発明を完成するに至った。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする問題】
【0009】
従って、本発明は反応が単純で、高価な試薬を必要とせず、収率が高く、不純物が減少するベンゾイミダゾール誘導体の新しい製造方法と新規な中間体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、本発明は、以下を提供する。
[1]1)下記一般式2で表される化合物と下記一般式3で表される化合物をパラジウム触媒の存在下で反応させて、下記一般式4で表される化合物を製造する工程、
2)下記一般式4で表される化合物と酸化剤を反応させて、下記一般式5で表される化合物を製造する工程、および
3)下記一般式5で表される化合物と下記一般式6で表される化合物を反応させて、下記一般式1で表される化合物を製造する工程を含む、下記一般式1で表される化合物の製造方法であって、
[化1]




(1)

[化2]




(2)

[化3]
R1-Hal (3)
[化4]




(4)
[化5]




(5)
[化6]




(6)

上記式中、
Mは、B(OH)2、B(i-Pr)2、Sn(CH3)3、またはSnBu3であり、
Xは、CHまたはNであり、
Yは、CR5またはNであり、
R1は、



または



であり、

R2とR3は、それぞれ水素であるか、またはR2とR3が共にベンゼン環を形成し、
R4は、ハロゲン、非置換またはハロゲンで置換されたC1-5アルキル、もしくはモルフォリノであり、
R5は、水素、ハロゲン、もしくは、非置換またはハロゲンで置換されたC1-3アルキルであり、
R6は、水素、ハロゲン、もしくは、非置換またはハロゲンで置換されたC1-3アルキルである、製造方法。
[2]1)下記一般式7で表される化合物と下記一般式3で表される化合物をパラジウム触媒の存在下で反応させて、下記一般式5で表される化合物を製造する工程、
2)下記一般式5で表される化合物と下記一般式6で表される化合物を反応させて、下記一般式1で表される化合物を製造する工程を含む、下記一般式1で表される化合物の製造方法であって、
[化1]




(1)

[化3]
R1-Hal (3)
[化5]




(5)
[化6]




(6)

[化7]




(7)
上記式中、
MはB(OH)2、B(i-Pr)2、Sn(CH3)3、またはSnBu3であり、
Xは、CHまたはNであり、
Yは、CR5またはNであり、
R1は、



または



であり、

R2とR3は、それぞれ水素であるか、またはR2とR3が共にベンゼン環を形成し、
R4は、ハロゲン、非置換またはハロゲンで置換されたC1-5アルキル、もしくはモルフォリノであり、
R5は、水素、ハロゲン、もしくは、非置換またはハロゲンで置換されたC1-3アルキルであり、
R6は、水素、ハロゲン、または、非置換またはハロゲンで置換されたC1-3アルキルである、製造方法。
[3]前記パラジウム触媒が、Pd(PPh3)4、Pd2(dba)3、PdCl2(PPh3)2とPd(PtBu3)2からなる群から選択されるいずれか一つであることを特徴とする、上記[1]または[2]に記載の製造方法。
[4]上記[1]の工程1または上記[2]の工程1が、さらに塩基の存在下で反応させることを特徴とする、上記[1]または[2]に記載の製造方法。
[5]前記塩基が、無機塩基または有機塩基であることを特徴とする、上記[4]に記載の製造方法。
[6]前記無機塩基が、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸セシウム、tert‐ブトキシカリウム(t-BuOK)および水酸化リチウムからなる群から選択されるいずれか一つであることを特徴とする、上記[5]に記載の製造方法。
[7]前記有機塩基が、トリエチルアミン、tert‐ブチルアミンおよびジイソプロピルエチルアミンから構成される群から選択されるいずれか一つであることを特徴とする、上記[5]に記載の製造方法。
[8]上記[1]の工程1または上記[2]の工程1が、エタノール、トルエン、1,2‐ジメトキシエタン、水−エタノール混合溶媒、水−トルエン混合溶媒、および水−1,2−ジメトキシエタン混合溶媒からなる群から選択されるいずれか一つの溶媒を用いて遂行されることを特徴とする、上記[1]または[2]に記載の製造方法。
[9]前記水−エタノール混合溶媒、水−トルエン混合溶媒、および水−1,2‐ジメトキシエタン混合溶媒において、水−エタノール、水−トルエン、および水−1,2‐ジメトキシエタンの比率が100:1〜1:100であることを特徴とする、上記[8]に記載の製造方法。
[10]上記[1]の工程1または上記[2]の工程1が、60℃〜150℃で遂行されることを特徴とする、上記[1]または[2]に記載の製造方法。
[11]前記酸化剤が、二酸化セレンまたは硝酸セリウムアンモニウムであることを特徴とする、上記[1]に記載の製造方法。
[12]前記工程2が、1,4‐ジオキサン、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、メタノールおよびアセトニトリルからなる群から選択されるいずれか一つの溶媒を用いて遂行されることを特徴とする、上記[1]に記載の製造方法。
[13]前記工程2が、さらに酸の存在下で遂行することを特徴とする上記[1]に記載の製造方法。
[14]前記酸が、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、酢酸、p-トルエンスルホン酸(p-toluene sulfonic acid、p-TSA)、およびカンファースルホン酸(camphorsulfonic acid、CSA)で構成される群から選択されるいずれか一つであることを特徴とする、上記[13]に記載の製造方法。
[15]前記酸が、0.01〜1.0当量の量で添加することを特徴とする、上記[13]に記載の製造方法。
[16]前記工程2が、60℃〜150℃で遂行することを特徴とする、上記[1]に記載の製造方法。
[17]上記[1]の工程3または上記[2]の工程2が、キシレン、トルエン、ニトロベンゼンおよびベンゼンで構成される群から選択されるいずれか一つの溶媒を用いて遂行することを特徴とする、上記[1]または[2]に記載の製造方法。
[18]前記反応が、150℃〜250℃で遂行することを特徴とする、上記[17]に記載の製造方法。
[19]上記[1]の工程3または上記[2]の工程2が、ベンゾキノンを添加剤として使用して遂行することを特徴とする、上記[1]または[2]に記載の製造方法。
[20]前記反応が、ベンゾキノンと共に1,4‐ジオキサン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフランおよびジメチルアセトアミドからなる群から選択されるいずれか一つの溶媒を用いて遂行することを特徴とする、上記[19]に記載の製造方法。
[21]前記反応が、60℃〜150℃で遂行することを特徴とする上記[19]に記載の製造方法。
[22]前記一般式1で表される化合物が、
1) 6‐tert‐ブチル‐2‐(4‐(3‐クロロピリジン‐2‐イル)フェニル)‐1H‐ベンゾ[d]イミダゾール、
2) 6‐tert‐ブチル‐2‐(4‐(3‐クロロピリジン‐2‐イル)ナフタレン‐1‐イル)‐1H‐ベンゾ[d]イミダゾール、
3) N‐(4'‐(4,6‐ビス(トリフルオロメチル)‐1H‐ベンゾ[d]イミダゾール‐2‐イル)‐3‐フルオロビフェニル‐4‐イル)メタンスルホンアミド、
4) 4‐ブロモ‐6‐(トリフルオロメチル)‐2‐(4‐(3‐(トリフルオロメチル)ピリジン‐2‐イル)フェニル)‐1H‐ベンゾ[d]イミダゾール、
5) 6‐ブロモ‐2‐(4‐(3‐(トリフルオロメチル)ピリジン‐2‐イル)フェニル)‐1H‐イミダゾ[4,5‐b]ピリジン、
6)6‐(トリフルオロメチル)‐2‐(3‐(トリフルオロメチル)‐2,3'ビピリジン‐6'‐イル)‐1H‐ベンゾ[d]イミダゾール、
7)6‐ブロモ‐2‐(3‐(トリフルオロメチル‐2,3'‐ビピリジン‐6'‐イル)-1H‐ベンゾ[d]イミダゾール、
8) 6‐ブルモ‐2‐(3‐(トリフルオロメチル)‐2,3'‐ビピリジン‐6'‐イル)‐ 1H‐イミダゾ[4,5‐b]ピリジン
9) 4‐(2‐(3‐(トリフルオロメチル)‐2,3'‐ビピリジン‐6'‐イル)‐3H‐ベンゾ[d]イミダゾール‐5‐イル)モルホリン、
10) 4‐クロロ‐2‐(3‐クロロ‐2,3'ビピリジン‐6'‐イル)‐6‐(トリフルオロメチル)‐ 1H‐ベンゾ[d]イミダゾール、および
11) 2‐(3‐クロロ-2,3'ビピリジン‐6'‐イル)‐4,6‐ビス(トリフルオロメチル)‐1H‐ベンゾ[d]イミダゾール
で構成される群から選択されるいずれか一つであることを特徴とする、上記[1]または[2]に記載の製造方法。
[23]前記一般式5で表される化合物が、
1)4‐(3‐クロロピリジン‐2‐イル)ベンズアルデヒド、
2)4‐(3‐クロロピリジン‐2‐イル)‐1‐ナフトアルデヒド、
3)N‐(3‐フルオロ‐4'‐ホルミルビフェニル‐4‐イル)メタンスルホンアミド、
4)4‐(3‐(トリフルオロメチル)ピリジン‐2‐イル)ベンズアルデヒド、
5)3‐(トリフルオロメチル)‐2,3'- ビピリジン‐6'‐カルバルデヒド、および
6)3‐クロロ‐2,3'‐ビピリジン‐6'‐カルバルデヒド
で構成される群から選択されるいずれか一つであることを特徴とする、上記[1]または[2]に記載の製造方法。
[24]下記化合物の群から選択されるいずれか一つの化合物。
1)4‐(3‐クロロピリジン‐2‐イル)ベンズアルデヒド、
2)4‐(3‐クロロピリジン‐2‐イル)‐1‐ナフトアルデヒド、
3)N‐(3‐フルオロ‐4'‐ホルミルビフェニル‐4‐イル)メタンスルホンアミド、
4)4‐(3‐(トリフルオロメチル)ピリジン‐2‐イル)ベンズアルデヒド、
5)3‐(トリフルオロメチル)‐2,3'‐ビピリジン‐6'‐カルバルデヒド、および
6)3‐クロロ‐2,3'‐ビピリジン‐6'‐カルバルデヒド。
下記反応式1で示されるように、本発明は一般式1で表される化合物の製造方法を提供する。
【0011】
[反応式1]
【0012】
上記式中、
MはB(OH)2、B(i-Pr)2、Sn(CH3)3、またはSnBu3であり、
Xは、CHまたはNであり、
YはCR5またはNであり、
R1は、

または

であり、
R2とR3は、それぞれ水素であるか、またはR2およびR3が共にベンゼン環を形成し、
R4は、ハロゲン、非置換またはハロゲンで置換されたC1-5アルキル、もしくはモル
ホリノであり、より好ましくはBr、C(CH3)3、CF3またはモルホリノであり、
R5は、水素、ハロゲン、または非置換またはハロゲンで置換されたC1-3アルキルであり、より好ましくは水素、Br、ClまたはCF3であり、
R6は、水素、ハロゲンまたは非置換、もしくはハロゲンで置換されたC1-3アルキルであり、より好ましくはClまたはCF3である。
【0013】
前記一般式1でR4は、下記のようにベンゾイミダゾール構造の5番、6番または7番の位置に置換されることを意味する。
【0014】


【0015】
また、ベンゾイミダゾールは、1番と3番の位置に水素の置換位置によって互変異性体(tautomer)として存在し得るので、前記の一般式1は下記に示されるように互変異性体として存在することができる。



【0016】
また、前記一般式1で表される化合物は、
1) 6‐tert‐ブチル‐2‐(4‐(3‐クロロピリジン‐2‐イル)フェニル)‐1H‐ベンゾ[d]イミダゾール、
2) 6‐tert‐ブチル‐2‐(4‐(3‐クロロピリジン‐2‐イル)ナフタレン‐1‐イル)‐1H‐ベンゾ[d]イミダゾール、
3) N‐(4'‐(4,6‐ビス(トリフルオロメチル)‐1H‐ベンゾ[d]イミダゾール‐2‐イル)‐3‐フルオロビフェニル‐4‐イル)メタンスルホンアミド、
4) 4‐ブロモ‐6‐(トリフルオロメチル)‐2‐(4‐(3‐(トリフルオロメチル)ピリジン‐2‐イル)フェニル)‐1H‐ベンゾ[d]イミダゾール、
5) 6‐ブロモ‐2‐(4‐(3‐(トリフルオロメチル)ピリジン‐2‐イル)フェニル)‐1H‐イミダゾ[4,5‐b]ピリジン、
6)6‐(トリフルオロメチル)‐2‐(3‐(トリフルオロメチル)‐2,3'ビピリジン‐6'‐イル)‐1H‐ベンゾ[d]イミダゾール、
7)6‐ブロモ‐2‐(3‐(トリフルオロメチル‐2,3'‐ビピリジン‐6'‐イル)-1H‐ベンゾ[d]イミダゾール、
8) 6‐ブルモ‐2‐(3‐(トリフルオロメチル)‐2,3'‐ビピリジン‐6'‐イル)‐ 1H‐イミダゾ[4,5‐b]ピリジン
9) 4‐(2‐(3‐(トリフルオロメチル)‐2,3'‐ビピリジン‐6'‐イル)‐3H‐ベンゾ[d]イミダゾール‐5‐イル)モルホリン、
10) 4‐クロロ‐2‐(3‐クロロ‐2,3'ビピリジン‐6'‐イル)‐6‐(トリフルオロメチル)‐ 1H‐ベンゾ[d]イミダゾール、および
11) 2‐(3‐クロロ-2,3'ビピリジン‐6'‐イル)‐4,6‐ビス(トリフルオロメチル)‐1H‐ベンゾ[d]イミダゾール
から構成される群から選択されるいずれか一つの化合物である。
【0017】
また、前記一般式5で表される化合物は、
1 4‐(3‐クロロピリジン‐2‐イル)ベンズアルデヒド、
2)4‐(3‐クロロピリジン‐2‐イル)‐1‐ナフトアルデヒド、
3)N‐(3‐フルオロ‐4'‐ホルミルビフェニル‐4‐イル)メタンスルホンアミド、
4)4‐(3‐(トリフルオロメチル)ピリジン‐2‐イル)ベンズアルデヒド、
5)3‐(トリフルオロメチル)‐2,3'‐(ビピリジン-6'‐(カルバルデヒド、および
6)3‐(クロロ-2,3'‐ビピリジン‐6'-カルバルデヒド
で構成される群から選択されるいずれか一つの化合物である。
【0018】
具体的には、本発明は、前記反応式1における工程1-1(1)、工程1-1(2)および工程2を含む一般式1で表される化合物の製造方法を提供する。
工程1-1(1):前記一般式2で表される化合物と前記一般式3で表される化合物をパラジウム触媒の存在下で反応させて、前記一般式4で表される化合物を製造する工程;
工程1-1(2):前記一般式4で表される化合物と酸化剤を反応させて、前記一般式5で表される化合物を製造する工程:および
工程2:前記化学式5で表される化合物と前記一般式6で表される化合物を反応させて前記一般式1で表される化合物を製造する工程。
【0019】
また、本発明は、
前記反応式における工程1−2および工程2を含む一般式1で表される化合物の製造方法を提供する。
工程1−2:前記一般式7で表される化合物と前記一般式3で表される化合物をパラジウム触媒下で反応させて前記一般式5で表される化合物を製造する工程、および
工程2:前記一般式5で表される化合物と前記一般式6で表される化合物を反応させて前記一般式1で表される化合物を製造する工程。
【0020】
前記反応式1で、工程1−1(1)は、パラジウム触媒存在下にMをR1に置換させる反応である。前記パラジウム触媒は、Pd(PPh3)4、Pd2(dba)3、PdCl2(PPh3)2およびPd(PtBu3)2からなる群から選択されるいずれか一つを使用することができる。
【0021】
また、上記の反応はさらに塩基の存在下で遂行することができる。上記塩基は、無機塩基または有機塩基を使用することができ、無機塩基の例としては、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸セシウム、tert‐ブトキシカリウム(t-BuOK)およびtert‐水酸化リチウムを使用することができ、有機塩基の例としては、トリエチルアミン、tert‐ブチルアミンおよびジイソプロピルエチルアミンを使用することができる。反応の収率を考慮し、パラジウム触媒としてはPd(PPh3)4がより好ましく、塩基としては、炭酸ナトリウムがより好ましい。
【0022】
また、上記反応は、エタノール、トルエン、1,2‐ジメトキシエタン、水‐エタノール混合溶媒、水‐トルエン混合溶媒、または水‐1,2‐ジメトキシエタン混合溶媒を用いて遂行することが好ましい。水‐エタノール混合溶媒、水‐トルエン混合溶媒、または水‐1,2 - ジメトキシエタン混合溶媒は、水‐エタノール、水‐トルエン、および水と1,2 - ジメトキシエタンの割合が100:1〜1:100であることが好ましい。
また、上記反応は、60℃〜150℃で遂行することが好ましく、80℃〜100℃で遂行することがより好ましい。
【0023】
前記反応式1で、工程1-1(2)は、酸化剤を用いてベンズアルデヒドに酸化させる酸化反応である。上記酸化剤は、 二酸化セレンまたは 硝酸セリウムアンモニウムを使用することができる。上記反応は、1,4‐ジオキサン、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、メタノールおよびアセトニトリルからなる群から選択されるいずれか一つの溶媒を用いて遂行することが好ましい。
【0024】
上記反応で酸化剤の活性化のために、さらに酸の存在下で遂行することができる。上記酸の例として、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、酢酸、p-トルエンスルホン酸(p-TSA)、またはカンファースルホン酸(camphorsulfonic acid、CSA)を使用することが好ましい。酸は0.01〜1.0当量の量で添加することができる。
また、上記反応は、60℃〜150℃、特に80℃〜100℃で遂行してもよい 。
【0025】
前記反応式1で、工程1−2は、パラジウム触媒存在下にMをR1に置換させる反応である。上記パラジウム触媒は、Pd(PPh3)4、Pd2(dba)3、PdCl2(PPh3)2とPd(PtBu3)2からなる群から選択されるいずれか一つを使用することができる。
【0026】
また、上記反応はさらに塩基の存在下で遂行することができる。上記塩基は、無機塩基または有機塩基を使用することができ、無機塩基の例としては、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸セシウム、tert‐ブトキシカリウム(t-BuOK)および水酸化リチウムを使用することができ、有機塩基の例としては、トリエチルアミン、tert‐ブチルアミン、ジイソプロピルエチルアミンを使用することができる。反応の収率を考慮し、パラジウム触媒としてはPd(PPh3)4がより好ましく、塩基としては炭酸ナトリウムがより好ましい。
【0027】
また、上記反応は、エタノール、トルエン、1,2 - ジメトキシエタン、水−エタノール混合溶媒、水‐トルエン混合溶媒、または水‐1,2 - ジメトキシエタン混合溶媒を用いて遂行することが好ましい。水−エタノール混合溶媒、水−トルエン混合溶媒、または水−1,2 - ジメトキシエタン混合溶媒は、水−エタノール、水−トルエン、および水−1,2 - ジメトキシエタンの割合が100:1〜1:100であることが好ましい。
また、上記反応は、60℃〜150℃で遂行することが好ましく、80℃〜100℃で遂行することがより好ましい。
【0028】
前記の工程1−1(1)および1−1(2)、または工程1−2により、本発明の製造方法の中間体であるベンズアルデヒドを製造することができる。以下で説明するように、ベンズアルデヒドを用いて、本発明の一般式1で表される化合物を製造する場合には、既知の方法とは異なり、高価なO‐(7‐アザベンゾトリアゾール‐1‐イル)‐N 、N、N'、N'‐テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファートを使用せず、また、高温の蒸留過程を経ることなく単純化させて行うことができるので、不純物がより少なく、純度および収率増加の効果を奏することができるという特徴がある。
【0029】
前記反応式1で、工程2は、中間体であるベンズアルデヒドを用いて、本発明の目的化合物である一般式1で表される化合物を製造する工程である。
【0030】
前記反応では、ベンゾキノンを添加剤として使用して環化反応を進行させることができる。ベンゾキノンを添加剤として使用する場合、1,4‐ジオキサン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフランおよびジメチルアセトアミドからなる群から選択されるいずれかの溶媒下で反応させることが好ましい。この場合、反応は60℃〜150℃で遂行することが好ましく、80℃〜100℃が最も好ましい。
【0031】
また、ベンゾキノンを添加剤として使用せずに環化反応を進行させることができ、この場合には、キシレン、トルエン、ニトロベンゼンおよびベンゼンからなる群から選択されるいずれか一つの溶媒下で反応させることが好ましい。また、反応は、150℃〜250℃で遂行することが好ましい。
【0032】
前記反応式1の工程2のように、本発明は、ベンズアルデヒドを中間体として利用することで、高価な試薬を使用しないと同時に、高い収率と純度を得ることができるという特徴がある。本発明の一実施例により、本発明の製造方法と、従来の製造方法の収率を比較したところ、本発明の場合、収率が非常に改善されることが確認できた。したがって、本発明は、従来の製造方法と比較し、効率の面で非常に優れた製造方法であることが確認された。
【発明の効果】
【0033】
本発明は、ベンゾイミダゾール誘導体を製造する工程で、ベンズアルデヒド誘導体を最適の溶媒および加温により不純物の生成を最小限に減少させると同時に、反応性を最大化し、応答時間を短縮し、高純度、高収率で合成することができる新しい製造方法を提供する。このような過程により、従来の縮合反応と環化反応のように、様々な工程で行っていた反応を、一回の反応でベンゾイミダゾールに合成することがが可能であり、不純物もまた最小限に抑え、シンプルで反応条件が厳しくなく、再現性の高い方法で短時間内に高収率および高純度のベンゾイミダゾール誘導体を製造することができるという特徴を有する。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明をより理解し易くするために、好ましい実施例を提示する。しかし、下記の実施例は、単に本発明をより理解し易くするために提供されるものであり、実施例により本発明の内容が限定されるものではない。
【0035】
製造例:トリメチル(p-トリル)チンの製造
アルゴン雰囲気下で1‐ブロモ‐4‐メチルベンゼン100g(0.585mol)を無水エーテル500mLに溶かした後、-78℃で冷却した。 N‐ブチルリチウム溶液252mL(ヘキサンから2.5 M、0.615 mol)を徐々に滴下した。混合物を15分間攪拌した。トリメチルスズクロライド122.6g(0.615mol)をエーテル500mLに溶かした溶液を加えた。温度を 徐々に常温に上昇させ、混合物を2時間撹拌した後、蒸留水700mLを加えて攪拌した。有機層を分離し、硫酸マグネシウムで処理して濾過し、減圧濃縮して下記の化合物トリメチル(p-トリル)ティーンを77%の収率で収得した。


【0036】
実施例1: 6‐tert ‐ブチル‐2‐(4‐(3‐クロロピリジン‐2‐イル)フェニル)‐1H‐ベンゾ[d]イミダゾールの製造
1)実施例1-1
【0037】
工程1−1(1):3‐クロロ‐2‐パラ‐トリルピリジンの製造
2,3‐ジクロロピリジン66.7g(0.451mol)、トリメチル(p-トリル)スズ115g(0.451 mol)にトルエン1Lを加えて溶解させた後、Pd(PPh3)452.1g(0.045 mol)を投入し、 6〜7時間加熱還流した。反応が完結した後、反応液を減圧濃縮し、残渣に蒸留水700mLを加えて攪拌した後、有機層を分離し、硫酸マグネシウムで処理して濾過し、減圧濃縮して下記の化合物3‐クロロ‐2‐パラ‐トリルピリジンを82%の収率で収得した。


【0038】
工程1-1(2):4‐(3‐クロロピリジン‐2‐イル)ベンズアルデヒドの製造
下記に示すように、異なる溶媒と異なる酸化剤を用いて、2種類の方法によりそれぞれ製造した。
・ 3‐クロロ‐2‐パラ‐トリルピリジン100 g(0.49 mol)を反応器に投入して1,4
‐ジオキサン1Lを加えて溶解させた。 二酸化セレン163.4g(1.47mol)を投入し、4〜6時間還流させた。反応液を25℃まで冷却し、浮遊物をセライト濾過した。 10%重炭酸ナトリウム溶液を加え、混合物を酢酸エチルで抽出した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧濃縮して下記の化合物4‐(3‐クロロピリジン‐2‐イル)ベンズアルデヒドを85%の収率で得た。
・ 3‐クロロ‐2‐パラ‐トリルピリジン100 g(0.49 mol)を反応器に投入し、メ
タノール0.5Lを加えて溶解させた。硝酸セリウムアンモニウム537g(0.98 mol)をメタノール1 Lに溶解した後滴下し、4〜6時間還流させた。反応液を25℃まで冷却し、減圧濃縮した。10%重炭酸ナトリウム溶液を加えて酢酸エチルを投入して抽出した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧濃縮して下記の化合物4‐(3‐クロロピリジン‐2‐イル)ベンズアルデヒドを60%の収率で収得した。

【0039】
1H NMR(CDCl3)δ:10.10(s、1H)、8.63(dd、1H)、8.00(d、2H)、7.91(d、2H)、7.85(dd、1H)、7.30(dd、1H)
【0040】
工程2:6‐tert‐ブチル‐2‐(4‐(3‐クロロピリジン‐2‐イル)フェニル)‐1H‐ベンゾ[d]イミダゾールの製造
標題化合物は下記のようにベンゾキノンの有無および溶媒を変えて、3種類の方法でそれぞれ製造した。
・ 4‐(3‐クロロピリジン‐2‐イル)ベンズアルデヒド84.4g(0.39mol)を反応器
に投入してニトロベンゼン840mLを投入した。 4‐tert‐ブチルベンゼン‐1,2‐ジアミン63.7g(0.39mol)を投入した。 混合物を2時間加熱還流した後、室温で冷却し、減圧濃縮した。残渣にアセトニトリル340mLを加え、混合物を加熱還流して完全に溶解させ、0〜5℃に徐々に冷却した。同温度で2時間撹拌した後濾過し、50℃で真空乾燥させて下記の化合物を88.7%の収率で収得した。
・ 4‐(3‐クロロピリジン‐2‐イル)ベンズアルデヒド84.4g(0.39mol)を反応器
に投入し、アセトニトリル840mLを投入した。 4‐tert‐ブチルベンゼン‐1,2‐ジアミン63.7g(0.39 mol)、1,4‐ベンゾキノン42.1g(0.39mol)を投入した。 混合物を2時間加熱還流した後、室温で冷却して減圧濃縮した。残渣にアセトニトリル340mLを加え、混合物を加熱還流して完全に溶解させ、0〜5℃で徐々に冷却した。同温度で2時間撹拌した後濾過し、50℃で真空乾燥させて下記の化合物を91%の収率で得た。
・ 上記の方法〈2〉で、溶媒としてアセトニトリルの代わりに1,4‐ジオキサンを使
用して下記の化合物を90%の収率で収得した。


【0041】
1H NMR(CDCl3)δ:8.57(d、1H)、8.03(d、2H)、7.77(d、1H)、7.62(d、2H)、
7.51(s、1H)、7.46(d、1H)、7.25 −7.21(m、2H)、1.27(s、9H)
【0042】
2)実施例1−2
工程1-1(1):3‐クロロ‐2‐パラ‐トリルピリジンの製造
標題化合物は下記のように溶媒を変えて、2種類の方法でそれぞれ製造した。
〈1〉2,3‐ジクロロピリジン100g(0.676mol)、p‐トリルボロン酸91.87g(0.676mo
l)、炭酸ナトリウム86g(0.811 mol)を1,2‐ジメトキシエタン500mLと蒸留水500mLに溶かした後、Pd(PPh3)478g(0.0676mol)を加える。混合物を18時間加熱還流して反応させる。反応終了後、反応液を減圧濃縮して1,2‐ジメトキシエタンを除去した後、酢酸エチルで抽出する。抽出液は、硫酸マグネシウムで処理し、濾過し、減圧濃縮して下記の化合物3‐クロロ‐2‐パラ‐トリルピリジンを84%の収率で収得した。
〈2〉2,3‐ジクロロピリジン100g(0.676 mol)をエタノール500mLに溶解させた後、p-トリルボロン酸91.87g(0.676mol)を投入し、Pd(PPh3)478g(0.0676mol)を加える。炭酸ナトリウム86g(0.811mol)を蒸留水500mLに溶かした後、反応器に投入し、混合物を4〜6時間加熱還流して反応させる。反応終了後、反応液を減圧濃縮してエタノールを除去した後、酢酸エチルで抽出する。抽出液は、硫酸マグネシウムで処理し、濾過した後、減圧濃縮して下記の化合物3‐クロロ‐2‐パラ‐トリルピリジンを87%の収率収得した。

【0043】
工程1−1(2):4‐(3‐クロロピリジン‐2‐イル)ベンズアルデヒドの製造
下記のように溶媒と酸化剤を変えて、2種類の方法でそれぞれ製造した。
〈1〉3‐クロロ‐2‐パラ‐トリルピリジン100g(0.49mol)を反応器に投入し、1,4‐
ジオキサン1Lを加えて溶解させた。二酸化セレン163.4g(1.47mol)を投入し、4〜6時間還流させた。反応液を25℃まで冷却し、浮遊物をセライト濾過した。 10%重炭酸ナトリウム溶液を加えて酢酸エチルを投入して抽出した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧濃縮して下記の化合物4‐(3‐クロロピリジン‐2‐イル)ベンズアルデヒドを85%の収率で収得した。


【0044】
工程2:6‐tert‐ブチル‐2‐(4‐(3−クロロピリジン‐2‐イル)フェニル)‐1H‐ベンゾ[d]イミダゾールの製造
前記実施例1−1の工程2と同様の方法を行って、下記の6‐tert ‐2‐(4‐(3‐クロロピリジン‐2‐イル)フェニル)‐1H‐ベンゾ[d]イミダゾールを88 〜91%の収率で収得した。
【0045】
3)実施例1-3
工程1−2:4‐(3‐クロロピリジン‐2‐イル)ベンズアルデヒドの製造
下記のように溶媒を変えて、2種類の方法でそれぞれ製造した。
〈1〉2,3‐ジクロロピリジン100g(0.676mol)、(4‐ホルミルフェニル)ボロン酸10
1.4g(0.676mol)、炭酸ナトリウム86g(0.811mol)を1,2‐ジメトキシエタン500mLと蒸留水500mLに溶かした後、Pd(PPh3)4 78g(0.0676mol)を加えた。混合物は18時間加熱還流して反応させる。反応終了後、反応液を減圧濃縮して1,2‐ジメトキシエタンを除去した後、酢酸エチルで抽出する。抽出液は、硫酸マグネシウムで処理して濾過し、反応液を減圧濃縮して下記の化合物4‐(3‐クロロピリジン‐2‐イル)ベンズアルデヒドを81%の収率で収得した。
〈2〉 2,3‐ジクロロピリジン100g(0.676mol)をエタノール500mLに溶解させた後、(4 ‐ホルミルフェニル)ボロン酸101.4g(0.676mol)を投入し、Pd(PPh3)4 78g(0.0676mol)を加える。炭酸ナトリウム86g(0.811mol)を蒸留水500mLに溶かした後、反応器に投入し、4〜6時間加熱還流して反応させる。反応終了後、反応液を減圧濃縮してエタノールを除去した後、酢酸エチルで抽出する。抽出液は、硫酸マグネシウムで処理して濾過し、反応液を減圧濃縮して下記の化合物4‐(3‐クロロピリジン‐2‐イル)ベンズアルデヒドを83%の収率で収得した。


【0046】
工程2:6‐tert‐ブチル‐2‐(4‐(3‐クロロピリジン‐2‐イル)フェニル)‐1H‐ベンゾ[d]イミダゾールの製造
上記実施例1−1の工程2と同様方法で、下記の6‐tert‐ブチル‐2‐(4‐ (3‐クロロピリジン‐2‐イル)フェニル)‐1H‐ベンゾ[d]イミダゾールを88〜91%の収率で収得した。

【0047】
実施例2:6‐tert‐ブチル‐2‐(4‐(3‐クロロピリジン‐2‐イル)ナフタレン‐1‐イル)‐1H‐ベンゾ[d]イミダゾールの製造
【0048】
工程1:4‐(3‐クロロピリジン‐2‐イル)‐1‐ナフトアルデヒドの製造
標題化合物は、下記の2種類の方法でそれぞれ製造した。

〈1〉前記実施例1−2の工程1−1(1)と工程1−1(2)と同様の方法ではあるが、p‐ト
リルボロン酸の代わりに4‐メチルナフタレン‐1‐イルボロン酸を使用して、下記に示した4‐(3‐クロロピリジン‐2‐イル)‐1‐ナフトアルデヒドを81%の収率で収得した。
〈2〉前記の実施例1−3の工程1−2と同様の方法ではあるが、(4‐ホルミルフェニ
ル)ボロン酸の代わりに4 - ホルミルナフタレン‐1‐イルボロン酸を用いて、下記に示した4‐(3‐クロロピリジン‐2‐イル)‐1‐ナフトアルデヒドを80%の収率で収得した。


【0049】
1H NMR(CDCl3)δ:10.11(s、1H)、8.72(d、1H)、8.62(d、1H)、8.10(d、1H)、7.98(d、1H)、7.80−7.74(m、5H)
工程2:6‐tert - ブチル‐2‐(4‐(3‐クロロピリジン‐2‐イル)ナフタレン‐1‐イル)‐1H‐ベンゾ[d]イミダゾールの製造
【0050】
前記実施例1-1の工程2と同様の方法で、下記に示した6‐tert - ブチル‐2‐ (4‐(3‐クロロピリジン‐2‐イル)ナフタレン‐1‐イル)‐1H‐ベンゾ[d]イミダゾールを97%の収率収得した。

【0051】
1H NMR(CD3OD)δ:8.66(d、1H)、8.65(d、1H)、8.13(d、1H)、7.98(d、1H)、7.71(s、1H)、7.64−7.58(m、5H) 、7.47−7.44(m、2H)、1.44(s、9H)
【0052】
実施例3:N‐(4'‐(4,6‐ビス (トリフルオロメチル)‐1H‐ベンゾ[d]イミダゾール‐2‐イル)‐3‐フルオロビフェニル‐4‐イル)メタンスルホンアミドの製造
【0053】
工程1:N-(3‐フルオロ-4'‐ホルミルビフェニル‐4‐イル)メタンスルホンアミドの製造
標題化合物は、下記の2種類の方法でそれぞれ製造した。
〈1〉前記実施例1〜2の工程1−1(1)および工程1−1(2)と同様の方法ではあるが、2,3‐ジクロロピリジンの代わりにN‐(4‐クロロ‐2‐フルオロフェニル)メタンスルホンアミドを使用して、下記に示したN‐(3‐フルオロ-4'‐ホルミルビフェニル‐4‐イル)メタンスルホンアミドを80%の収率で収得した。
〈2〉前記実施例1〜3の工程1−2と同様の方法ではあるが、2,3‐ジクロロピリジ
ンの代わりにN‐(4‐クロロ‐2‐フルオロフェニル)メタンスルホンアミドを使用して、下記に示したN‐(3‐フルオロ‐4'‐ホルミルビフェニル‐4‐イル)メタンスルホンアミドを79%の収率で収得した。


【0054】
1H NMR(CDCl3)δ:10.07(s、1H)、7.97(d、2H)、7.71(d、3H)、7.67-7.42(m、2H)、6.59(br、1H)、3.09(s、3H)
【0055】
工程2: N‐(4'‐(4,6‐ビス(トリフルオロメチル)‐1H‐ベンゾ[d]イミダゾール‐2‐イル)‐3‐フルオロビフェニル‐4‐イル)メタンスルホンアミドの製造
前記実施例1−1の工程2と同様の方法ではあるが、4‐tert - ブチルベンゼン‐1,2‐ジアミンの代わりに3,5‐ビス9トリフルオロメチル)ベンゼン‐1,2‐ジアミンルル使用して、下記に示したN‐(4'‐(4,6‐ビス(トリフルオロメチル)‐1H‐ベンゾ[d]イミダゾール‐2‐イル)‐3‐フルオロビフェニル‐4‐イル)メタンスルホンアミドを76%の収率で得た。


【0056】
1H NMR(CD3OD)δ:8.13(d、2H)、7.83(d、2H)、7.72(s、1H)、7.68−7.62(m、2H)、7.59-7.55(m、2H)、3.07(s、 3H)
【0057】
実施例4:4‐ブロモ‐6‐(トリフルオロメチル)‐2‐(4‐(3‐(トリフルオロメチル)ピリジン‐2‐イル)フェニル)-1H‐ベンゾ[d]イミダゾールの製造
【0058】
工程1:4‐(3‐(トリフルオロメチル)ピリジン‐2‐イル)ベンズアルデヒドの製造
標題の化合物は、下記の2種類の方法でそれぞれ製造した。
〈1〉上記実施例1〜2の工程1−1(1)と工程1−1(2)と同様の方法ではあるが、2,3‐ジクロピリジンの代わりに2‐クロロ‐3‐(トリフルオロメチル)ピリジンを使用して、下記に示した4‐(3‐(トリフルオロメチル)ピリジン‐2‐イル)ベンズアルデヒドを85%の収率で収得した。
〈2〉前記実施例1〜3の工程1−2と同様の方法ではあるが、2,3‐ジクロピリジンの代わりに2‐クロロ-3‐(トリフルオロメチル)ピリジンを使用して、下記に示した4‐(3‐(トリフルオロメチル)ピリジン‐2‐イル)ベンズアルデヒドを82%の収率で収得した。


【0059】
1H NMR(CDCl3)δ:10.09(s、1H)、8.87(d、1H)、8.11(d、1H)、7.97(d、2H)、7.67(d、2H)、7.49(dd、1H)
【0060】
工程2:4‐ブロモ‐6‐(トリフルオロメチル)‐2‐(4‐(3‐(トリフルオロメチル)ピリジン‐2‐イル)フェニル)‐1H‐ベンゾ[d]イミダゾールの製造
前記実施例1−1の工程2と同様の方法ではあるが、4‐tert - ブチルベンゼン‐1,2‐ジアミンの代わりに3‐ブロモ‐5‐(トリフルオロメチル)ベンゼン‐1,2‐ジアミンを使用して、下記に示した4‐ブロモ‐6‐(トリフルオロメチル)‐2‐(4‐(3‐(トリフルオロメチル)ピリジン‐2‐イル)フェニル)‐1H‐ベンゾ[d]イミダゾールを84%の収率で収得した。


【0061】
1H NMR(CDCl3)δ:8.95(d、1H)、8.19-8.12(m、3H)、7.96(s、1H)、7.73(s、1H)、7.65(d、2H)、7.57-7.53(m、1H)
【0062】
実施例5:6‐ブロモ‐2‐(4‐(3‐トリフルオロメチル)ピリジン‐2‐イル)フェニル)‐1H イミダゾ[4,5-b]ピリジンの製造
【0063】
工程1:4‐(3‐(トリフルオロメチル)ピリジン-2 - イル)ベンズアルデヒドの製造
上記実施例4の工程1と同様の方法で4‐(3‐トリフルオロメチル)ピリジン-2‐イル)ベンズアルデヒドを85%の収率で得た。
【0064】
工程2:6‐ブロモ‐2‐(4‐(3‐トリフルオロメチル)ピリジン‐2‐イル)フェニル)‐1H‐イミダゾ[4,5‐b]ピリジンの製造
前記実施例1−1の工程2と同様の方法ではあるが、4‐tert - ブチルベンゼン-1,2 - ジアミンの代わりに5 - ブロモピリジン-2,3 - ジアミンを使用して、下記に示した化合物6‐ブロモ‐2‐(4‐(3‐(トリフルオロメチル)ピリジン‐2‐イル)フェニル‐1H‐イミダゾ[4,5-b]ピリジンを75%の収率で得た。


【0065】
1H NMR(CDCl3)δ:8.93(d、1H)、8.45(s、1H)、8.29(d、2H)、8.26(s、1H)、8.15(dd、1H)、7.72(d、2H)、7.52 (dd、1H)
【0066】
実施例6:6‐(トリフルオロメチル)‐2‐(3‐(トリフルオロメチル)‐(2,3'-ビピリジン-6'-イル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾールの製造
【0067】
工程1:3‐(トリフルオロメチル)‐2,3'- ビピリジン‐6'-カルバルデヒドの製造
標題化合物は、下記の3種類の方法でそれぞれ製造した。
〈1〉前記実施例1−1工程の1−1(1)、および工程1−1(2)と同様の方法ではあるが、トリメチル(p-トリル)スズおよび2,3‐ジクロロピリジンの代わりに、2‐メチル‐5‐(トリメチルスタンニル)ピリジンおよび2‐クロロ-3‐(トリフルオロメチル)ピリジンを使用して、下記化合物の3‐(トリフルオロメチル)‐2,3 ' - ビピリジン-6'-カルバルデヒドを83%の収率で収得した。
〈2〉前記実施例1−2の工程1−1(1)および工程1−1(2)と同様の方法ではあるが、2,3‐ジクロロピリジンおよび p-トリルボロン酸の代わりに、2‐クロロ‐3‐(トリフルオロメチル)ピリジンおよび6‐メチルピリジン‐3‐イルボロン酸を使用して、下記の化合物3‐(トリフルオロメチル)‐2,3'‐ビピリジン‐6'‐カルバルデヒドを84%の収率で収得した。
〈3〉記実施例1−3の工程1−2と同様の方法ではあるが、2,3‐ジクロロピリジンおよび(4‐ホルミルフェニル)ボロン酸の代わりに、2‐クロロ‐3‐(トリフルオロメチル)ピリジンおよび6‐ホルミルピリジン‐3 - イルボロン酸を使用して、0.2当量の硝酸(60〜62%)を添加して反応させ、下記の化合物3‐(トリフルオロメチル)‐2,3' ‐ビピリジン‐6'‐カルバルデヒドを81%の収率で収得した。


【0068】
1H NMR(CDCl3)δ:10.16(s、1H)、8.92(d、2H )、8.16(d、1H)、8.09−8.04(m、2H)、7.57−7.53(m、2H)
【0069】
工程2:6-(トリフルオロメチル)‐2‐(3‐(トリフルオロメチル)‐2,3'‐ビピリジン‐6'‐イル)‐1H-ベンゾ[d]イミダゾールの製造
前記実施例1−1の工程2と同様の方法ではあるが、4‐tert‐ブチルベンゼン‐1,2‐ジアミンの代わりに4‐(トリフルオロメチル)ベンゼン‐1,2‐ジアミンを使用して、下記に示した6‐トリフルオロメチル)‐2‐3‐(トリフルオロメチル)‐2,3'‐ビピリジン‐6'‐イル)‐1H-ベンゾ[d]イミダゾール95%の収率で得た。


【0070】
1H NMR(CDCl3)δ:8.94(d、1H)、8.84(s、1H)、8.61(d、1H)、8.19(d、1H)、8.11(d、1H)、8.10(s、1H)、8.08(d、1H)、7.61−7.54(m、2H)
【0071】
実施例7:6‐ブロモ‐2‐(3‐(トリフルオロメチル)‐2,3'‐ビピリジン‐6'‐イル)‐1H‐ベンゾ[d]イミダゾールの製造
【0072】
工程1:3‐(トリフルオロメチル)‐2,3'‐ビピリジン‐6'‐カルバルデヒドの製造
標題化合物は、前記実施例6の工程1と同様の方法で、下記に示した3‐(トリフルオロメチル)‐2,3'‐ビピリジン‐6'‐カルバルデヒドを84%の収率で収得した。
【0073】
工程2:6‐ブロモ‐2‐(3‐(トリフルオロメチル)‐2,3'‐ビピリジン‐6'‐イル)‐1H‐ベンゾ[d]イミダゾールの製造
前記実施例1−1の工程2と同様の方法ではあるが、4‐tert‐ブチルベンゼン‐1,2‐ジアミンの代わりに4‐ブロモベンゼン‐1,2 - ジアミンを使用して、下記に示した6‐ブロモ‐2‐(3‐(トリフルオロメチル)‐2,3'‐ ビピリジン‐6'‐イル)‐1H‐ベンゾ[d]イミダゾールを87%の収率で収得した。



【0074】
1H NMR(CD3OD)δ:8.90(dd、1H)、8.81(d、1H)、8.35(dd、1H)、8.29(dd、1H)、8.07(dd、1H)、7.80-7.70(br、1H)、7.67(dd、1H)、7.65−7.55(br、1H)、7.41(dd、1H)
【0075】
実施例8:6‐ブロモ‐2‐(3‐(トリフルオロメチル)‐2,3'‐ビピリジン‐6'‐イル)‐1H‐イミダゾ[4,5-b]ピリジンの製造
【0076】
工程1:3‐(トリフルオロメチル)‐2,3'‐ビピリジン‐6'‐カルバルデヒドの製造
前記実施例6の工程1と同様の方法で、下記に示した3‐(トリフルオロメチル)‐2,3'‐ ビピリジン‐6'‐カルバルデヒドを84%の収率で収得した。
【0077】
工程2:6‐ブロモ‐2‐(3‐(トリフルオロメチル)‐ 2,3'‐ビピリジン‐6'‐イル) 1H‐イミダゾ[4,5‐b]ビピリジンの製造
前記実施例1−1の工程2と同様の方法を行ったが、4‐tert‐ブチルベンゼン‐1,2‐ジアミンの代わりに5‐ブロモピリジン‐2,3‐ジアミンを使用して、下記に示した6‐ブロモ‐2‐(3‐(トリフルオロメチル)‐2,3'‐ビピリジン‐6'‐イル)‐イミダゾ[4,5‐b]ビピリジンを70%の収率で収得した。


【0078】
1H NMR(CDCl3)δ:9.79(s、1H)、8.91(dd、1H)、8.74(d、1H)、8.35(dd、1H)、8.15(dd、1H)、8.10(dd、1H)、8.03(d、1H)、7.54(dd、1H)
【0079】
実施例9:4‐(2‐(3‐(トリフルオロメチル)‐2,3'‐ビピリジン‐6'‐イル)‐3H‐ベンゾ[d]イミダゾール‐5‐イル)モルホリンの製造
【0080】
工程1:3‐(トリフルオロメチル)-2,3'‐ビピリジン‐6'‐カルバルデヒドの製造
前記実施例6の工程1と同様の方法で、3‐(トリフルオロメチル)‐2,3'‐ビピリジン‐6'‐カルバルデヒドを84%の収率で収得した。
【0081】
工程2:4‐(2‐(3‐(トリフルオロメチル)‐ 2,3'‐ビピリジン‐6'‐イル)‐1H‐ベンゾ[d]イミダゾール‐6‐イル)モルホリンの製造
前記実施例1−1の工程2と同様の方法ではあるが、4‐tert‐ブチルベンゼン‐1,2‐ジアミンの代わりに4‐モルホリベンゼン-1,2 - ジアミンを使用して、下記に示した4‐(2‐(3‐(トリフルオロメチル)‐2,3'‐ビピリジン‐6'‐イル)‐1H‐ベンゾ[d]イミダゾール‐6‐イル)モルホリンを79%の収率で収得した。


【0082】
1H NMR(CD3OD)δ:8.90(d、1H)、8.80(s、1H)、8.33(dd、1H)、8.27(dd、1H)、8.07(dd、1H)、7.75-7.81(br、1H)、7.66(dd、1H)、7.65-7.55(br、1H)、7.41(dd、1H)、3.88−3.92(m、4H)、3.32−3.29(m、4H)
【0083】
実施例10: 4‐クロロ‐2‐(3‐クロロ‐2,3'‐ビピリジン‐6'‐イル)‐6‐(トリフルオロメチル)‐1H‐ベンゾ[d]イミダゾールの製造
【0084】
工程1:3‐クロロ‐2,3'‐ビピリジン‐6'‐カルバルデヒドの製造
標題化合物は下記の2種類の方法でそれぞれ製造した。
〈1〉前記の実施例1−2の工程1-1(1)および1-1(2)と同様の方法ではあるが、p-トリルボロン酸の代わりに6‐メチルピリジン‐3‐イルボロン酸を使用して、下記に示した3‐クロロ‐2,3'‐ビピリジン‐6'‐カルバルデヒドを82%の収率で収得した。
〈2〉前記の実施例1〜3の工程1−2と同様の方法ではあるが、(4‐ホルミルフェニル)ボロン酸の代わりに6‐ホルミルピリジン‐3‐イルボロン酸を使用して、下記に示した3‐クロロ‐2,3'‐ビピリジン‐6'‐カルバルデヒドを81%の収率で収得した。


【0085】
1H NMR(CDCl3)δ:10.16(s、1H)、9.18(d、1H)、8.67(dd、1H)、8.28(dd、1H)、8.07(d、1H)、7.87(dd、1H)、7.37−7.32(m、1H)
【0086】
工程2:4‐クロロ‐2‐(3‐クロロ‐2,3'‐ビピリジン‐6'‐イル)‐6‐(トリフルオロメチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾールの製造
前記実施例1−1の工程2と同じ方法ではあるが、4‐tert - ブチルベンゼン‐1,2 ‐ジアミンの代わりに3‐クロロ‐5‐(トリフルオロメチル)ベンゼン‐1,2‐ジアミンを使用して、下記に示した4‐クロロ‐2‐(3‐クロロ‐2,3'‐ビピリジン‐6'‐イル)‐6‐(トリフルオロメチル)‐1H‐ベンゾ[d]イミダゾールを83%の収率で収得した。


【0087】
1H NMR(CDCl3)δ:9.10(d、1H)、8.68(d、1H)、8.52(d、1H)、8.38−8.31(m、1H)、8.05(s、1H)、7.88(d、1H)、7.59(s、1H)、7.36−7.29(m、1H)
【0088】
実施例11: 2‐(3‐クロロ‐2,3'‐ビピリジン‐6'‐イル)‐4,6‐ビス(トリフルオロメチル)‐1H‐ベンゾ[d]イミダゾールの製造
【0089】
工程1:3‐クロロ-2,3'‐ビピリジン‐6'‐カルバルデヒドの製造
前記の実施例10の工程1と同様の方法で、3‐クロロ‐2,3'‐ビピリジン‐6'‐カルバルデヒドを82%の収率で得た。
【0090】
工程2:2‐(3‐クロロ‐2,3'‐ビピリジン‐6'‐イル)‐4,6‐ビス(トリフルオロメチル)‐1H‐ベンゾ[d]イミダゾールの製造
前記実施例1−1の工程2と同様の方法を行ったが、4‐tert‐ブチルベンゼン‐1,2 ‐ジアミンの代わりに3,5‐ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン‐1,2‐ジアミンを使用して、下記に示した2‐(3‐クロロ‐2,3'‐ビピリジン‐6'‐イル)‐4,6‐ビス(トリフルオロメチル)‐1H‐ベンゾ[d]イミダゾールを80%の収率で収得した。


【0091】
1H NMR(CDCl3)δ:9.08(s、1H)、8.65(d、1H)、8.51(d、1H)、8.33-8.28(m、2H)、7.85(d、1H)、7.80(s、1H)、7.34−7.31(m、1H)
【0092】
前記実施例の収率は下記表1に示し、従来のベンゾイミダゾール誘導体の製造方法が記載された大韓民国特許公開第10-2007-0113207号と比較した。
【0093】
【表1】
【0094】
上記[表1]に示されるように、本発明のよる方法は、従来のベンゾイミダゾール誘導体の製造方法より収率が改善されるだけでなく、高価な試薬を使用することなく、かつ簡単な方法でベンゾイミダゾール誘導体の製造が可能である。
本発明の好ましい実施形態は例示的に記述したが、当業者らは添付された特許請求範囲に記述されたような本発明の範囲および精神を離脱することなく、多様な変形、追加および置換が可能であることを認識するであろう。