特許第5695796号(P5695796)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5695796プロセス装置のための耐食性アイソレータアセンブリ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5695796
(24)【登録日】2015年2月13日
(45)【発行日】2015年4月8日
(54)【発明の名称】プロセス装置のための耐食性アイソレータアセンブリ
(51)【国際特許分類】
   G01L 19/06 20060101AFI20150319BHJP
【FI】
   G01L19/06 A
【請求項の数】15
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-503990(P2014-503990)
(86)(22)【出願日】2012年4月5日
(65)【公表番号】特表2014-510293(P2014-510293A)
(43)【公表日】2014年4月24日
(86)【国際出願番号】US2012032350
(87)【国際公開番号】WO2012141973
(87)【国際公開日】20121018
【審査請求日】2013年12月3日
(31)【優先権主張番号】61/473,333
(32)【優先日】2011年4月8日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】597115727
【氏名又は名称】ローズマウント インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】特許業務法人 津国
(74)【代理人】
【識別番号】100078662
【弁理士】
【氏名又は名称】津国 肇
(74)【代理人】
【識別番号】100131808
【弁理士】
【氏名又は名称】柳橋 泰雄
(74)【代理人】
【識別番号】100119079
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 佐保子
(74)【代理人】
【識別番号】100135873
【弁理士】
【氏名又は名称】小澤 圭子
(74)【代理人】
【識別番号】100116528
【弁理士】
【氏名又は名称】三宅 俊男
(74)【代理人】
【識別番号】100122736
【弁理士】
【氏名又は名称】小國 泰弘
(74)【代理人】
【識別番号】100122747
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 洋子
(74)【代理人】
【識別番号】100132540
【弁理士】
【氏名又は名称】生川 芳徳
(74)【代理人】
【識別番号】100146031
【弁理士】
【氏名又は名称】柴田 明夫
(72)【発明者】
【氏名】ロモ,マーク・ジー
(72)【発明者】
【氏名】リンゼ,ヴォン・ディー
(72)【発明者】
【氏名】クロシンスキ,アンドリュー・ジェイ
【審査官】 公文代 康祐
(56)【参考文献】
【文献】 特表2002−513148(JP,A)
【文献】 特開昭54−109888(JP,A)
【文献】 実開昭55−154453(JP,U)
【文献】 国際公開第96/005493(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0307254(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L 19/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
工業用プロセスに結合するためのプロセスシールを有するプロセス装置であって、
分離キャビティと、分離キャビティから圧力センサに延びる分離通路とを有するプロセス装置本体であって、分離キャビティ及び分離通路が分離流体で充填されるプロセス装置本体と、
プロセス流体から分離キャビティを分離するために位置付けられ、プロセス流体側と分離流体側とを有する分離ダイヤフラムと、
分離ダイヤフラムのプロセス流体側の周辺を取り囲んで位置付けられ、分離ダイヤフラムと適合する第1の材料と、プロセス装置本体と適合する第2の材料とで形成される溶接リングと、
溶接リングをプロセス装置本体に固着するための溶接と、を含
溶接リングの第1及び第2の材料が、爆発溶接されたインターフェイスによって接合され、インターフェイスが、傾斜したインターフェイスである、プロセス装置。
【請求項2】
第1の材料がタンタルである、請求項1記載のプロセス装置。
【請求項3】
第2の材料がステンレス鋼である、請求項記載のプロセス装置。
【請求項4】
第2の材料がステンレス鋼である、請求項1記載のプロセス装置。
【請求項5】
第1の材料で形成された溶接リングの一部が、一対の実質的に平行な傾斜した側壁を含み、一対の傾斜した側壁の第1の傾斜した側壁が、ガスケットグランドの一部を形成するように構成される、請求項記載のプロセス装置。
【請求項6】
第2の材料で形成された溶接リングの一部が、プロセス装置本体によって受けられるように構成された第1の横側壁と、第1の横側壁に実質的に平行であり、ガスケットグランドの一部をさらに形成する第2の横側壁とを含む、請求項記載のプロセス装置。
【請求項7】
溶接リングをプロセス装置本体に固着させる溶接が、実質的に第1の横側壁と位置合わせされる、請求項記載のプロセス装置。
【請求項8】
溶接リングをプロセス装置本体に固着させる溶接が、実質的に第1の傾斜した側壁に位置合わせされる、請求項記載のプロセス装置。
【請求項9】
第1の材料で形成され、第1の材料で形成される溶接リングの一部に取り付けられる内径と、外径とを有するホイルワッシャをさらに含む、請求項記載のプロセス装置。
【請求項10】
ホイルワッシャが、ガスケットグランドの少なくとも一部を覆うように変形される、請求項記載のプロセス装置。
【請求項11】
ホイルワッシャが、爆発溶接されたインターフェイスを覆う、請求項10記載のプロセス装置。
【請求項12】
外径が、ホイルワッシャがガスケットグランドに変形している間、ホイルワッシャが実質的にガスケットグランド全体を覆うようなサイズにされる、請求項10記載のプロセス装置。
【請求項13】
ホイルワッシャが第2の材料で形成される溶接リングの一部に取り付けられる、請求項12記載のプロセス装置。
【請求項14】
プロセス装置が、プロセス流体圧力トランスミッタである、請求項1記載のプロセス装置。
【請求項15】
プロセス流体圧力装置とともに用いるための複合溶接リングを形成する方法であって、
第1の材料で形成されるシートストックを得ることと、
第2の材料で形成されるシートストックを得ることと、
2つのシートを1つに爆発溶接することと、
爆発溶接されたシートから、平らなリングブランクを取り除くことと、
平らなリングブランクを、円錐台セクションに形成することと、
爆発溶接された円錐台セクションを、最終的な溶接リングに機械加工することと、
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロセス流体圧力測定装置に関する。特に、本発明は、プロセス流体圧力測定システム用のプロセスシールに関する。
【背景技術】
【0002】
プロセス装置、たとえばプロセス流体圧力トランスミッタは、一般的には、少なくとも1つの分離ダイヤフラムに結合された圧力センサを用いて圧力を検知する。分離ダイヤフラムは、検知されているプロセス流体から圧力センサを分離する。プロセス流体は、高腐食性である可能性があり、そのため、圧力センサからの分離を維持して、圧力センサに対する腐食又は破損を回避する。圧力は、分離ダイヤフラムから圧力センサに伝達され、検知ダイヤフラムは、加えられた圧力に応じて撓む。圧力は、分離ダイヤフラムを検知ダイヤフラムと流体結合させる、通路内の実質的に非圧縮性の分離流体を用いて、分離ダイヤフラムから検知ダイヤフラムに伝達される。米国出願番号第4,833,922号、発明の名称「MODULAR PRESSURE TRANSMITTER」、及び米国出願番号第5,094,109号、発明の名称「PRESSURE TRANSMITTER WITH STRESS ISOLATION DEPRESSION」は、このタイプの圧力トランスミッタを示す。
【0003】
さまざまな耐食性の高コストな金属が、分離ダイヤフラム用に用いられることがある。たとえば、タンタルは、非常に腐食に耐性のある材料であるが、分離ダイヤフラム用に従来用いられている他の材料、たとえば316Lステンレス鋼、ハステロイC及びモネルよりも相当に高い融点を有する。分離ダイヤフラムを取り付けるアイソレータハウジングは、一般的にはタンタル等の材料よりもかなり低い融点を有するステンレス鋼合金から構成される。
【0004】
タンタル等の材料の、きわめて高い耐腐食性を必要とする用途への利用は、そのような製品の製造に関して問題を生み出す。具体的には、タンタルが、プロセス装置に用いられるその他の金属よりも実質的に高い融点を有するため、従来の製造方法、たとえば溶接は、タンタルに、かなり低い融点の金属、たとえばステンレス鋼を接合するためには実用的ではないことがある。さらに、混合金属の溶接は、本用途についてのNACE(National Association of Corrosion Engineers)のいくつかの要求を満たすことができない。このように、耐食材料と、プロセス装置用に用いられる他の金属との間には、冶金的な不適合がある。本明細書で用いられる場合、冶金的に不適合とは、2つの材料が事実上1つに溶接されることができないか、又は許容できない混合金属の溶接を創出することを意味する。さらに、タンタル又は他の好適な高耐食金属のコストは、一般的には、できるだけ少ない材料を利用する設計基準を推進させる。さらにまた、タンタルの分離ダイヤフラムをプロセス装置に組み込むことで直面する製造上の問題は、一般的には、生産コスト全体がさらに高く、生産リードタイムがより長くなるという形で現れる。
【発明の概要】
【0005】
プロセス装置は、工業用プロセスに結合するためのプロセスシールを有する。プロセス装置は、分離キャビティと、分離キャビティから圧力センサに延びる分離通路とを有するプロセス装置本体を含む。分離キャビティ及び分離通路は、分離流体で充填される。分離ダイヤフラムは、分離キャビティをプロセス流体から分離するように位置付けられる。分離ダイヤフラムは、プロセス流体側と分離流体側とを有する。溶接リングは、分離ダイヤフラムのプロセス流体側の周辺を取り囲んで位置付けられる。溶接リングは、分離ダイヤフラムと適合する第1の材料と、プロセス装置本体と適合する第2の材料とで形成される。溶接は、溶接リングをプロセス装置本体に固着させる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本発明の実施形態が特に有用である、プロセス流体圧力トランスミッタの概略図である。
図2】周知の分離アセンブリの一部の断面図である。
図3】本発明の実施形態の複合溶接リングの断面図である。
図4】本発明の実施形態の複合溶接リングの一部の断面図である。
図5】本発明の実施形態の複合溶接リングを製造する方法のフロー図である。
図6】本発明の実施形態の複合溶接リングを機械加工する方法のフロー図である。
図7】本発明の実施形態のアイソレータアセンブリの一部の概略的な断面図である。
図8】本発明の実施形態のアイソレータアセンブリの一部の概略的な断面図である。
図9】本発明の実施形態の、ガスケットグランドに折りたたまれたホイルワッシャを有する、図8に示されたアイソレータアセンブリの一部の概略的な断面図である。
図10】本発明の実施形態のアイソレータアセンブリの一部の概略的な断面図である。
図11】本発明の別の実施形態のアイソレータアセンブリの一部の概略的な断面図である。
図12】ガスケットグランド内に配設されたガスケット材料を有する、図11に示されたアイソレータアセンブリの概略的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
図1は、本発明の実施形態が特に有用な、代表的なプロセス流体圧力トランスミッタ10を示す。トランスミッタ10は、トランスミッタ本体12、継手フランジ又はマニホールド13及びセンサ本体14を含む。本発明の実施形態は、コプラナフランジに関して記載されているが、本発明の実施形態は、あらゆる種類のフランジ、マニホールド、又はプロセス流体を受ける他の継手アダプタで実施されてもよい。
【0008】
センサ本体14は圧力センサ16を含み、トランスミッタ本体12はトランスミッタ回路20を含む。センサ回路18は、通信バス22を通してトランスミッタ回路20に結合される。トランスミッタ回路20は、通信リンクたとえば2線式プロセス制御ループ(又は回路)を経由して、プロセス流体の圧力に関する情報を送信する。トランスミッタ10は、制御ループを経由して全体的に電力供給されてもよい。
【0009】
1つの実施形態では、圧力センサ16は、フランジ13の通路24内の圧力P1と通路26内の圧力P2との間の差圧を測定する。圧力P1は、通路32を通してセンサ16に結合される。圧力P2は、通路34を通してセンサ16に結合される。通路32は、継手36及び管40を通して延びる。通路34は、継手38及び管42を通して延びる。通路32及び34は、比較的非圧縮性である流体、たとえば油で充填される。継手36及び38は、センサ本体14に螺入され、センサ回路18を運ぶセンサ本体の内部と、通路24及び26に包含されたプロセス流体との間に、長い消炎性の経路を提供する。
【0010】
通路24は、センサ本体14内の開口28の近傍に位置付けられる。通路26は、センサ本体14内の開口30の近傍に位置付けられる。ダイヤフラム46は、開口28内に位置付けられ、通路24に隣接したセンサ本体14に結合される。通路32は、継手36及びセンサ本体14を通して、ダイヤフラム46に延びる。ダイヤフラム50は、通路26に隣接したセンサ本体14に結合される。通路34は、継手38及びセンサ本体14を通して、ダイヤフラム50に延びる。
【0011】
動作時、トランスミッタ10がフランジ13にボルト留めされた場合、フランジ13はシール48及び52に押し付けられる。シール48は、開口24及びダイヤフラム46に隣接したセンサ本体14に設置され、通路24及び開口28からの、フランジ13を通過して外部環境に向かうプロセス流体の漏れを防止する。同様に、シール52は、開口26及びダイヤフラム50に隣接したセンサ本体14に結合され、通路26及び開口30からの、フランジ13を通過して外部環境に向かうプロセス流体の漏れを防止する。シール48及び52は、本発明の実施形態に従って構成される。
【0012】
図2は、従来技術による、高耐腐食性用に構成されたプロセス流体圧力トランスミッタ用アイソレータアセンブリの概略的な断面図である。典型的には、ステンレス鋼センサ本体100は、個体タンタルリング104を受容する溝102を有するように機械加工される。そして、リング104は、周知の技術に従って、溝102内部にろう付けされる。タンタル分離ダイヤフラム106は、個体タンタル溶接リング108とタンタルリング104との間に配設される。そして、非常に高温の溶接、たとえば電子ビーム溶接を用いて、タンタル溶接リング108と、タンタルホイル106と、ろう付けされたタンタルリング104とを一つに溶融させる。溶接は単一のタイプの材料(たとえばタンタル)を通すため、適正な温度設定を用いて、非常に高性能の溶接を実現することができる。最終的なアセンブリは、ろう付けされたリング104を除いて、ダイヤフラム106及び溶接リング108がタンタルで構成されることにおいて、標準的なアイソレータアセンブリと似ている。しかし、シールされた分離チャンバ110が、圧力センサに流体結合される通路112とともに依然として創出される。
【0013】
きわめて高い耐腐食性を有するプロセス流体の分離システムを組み立てる従来の手法の不利点の1つは、かなりの量のタンタル材料が必要であり、そのような材料は、一般的にはとても高価である。このように、タンタルベースの分離システムのための設計の現状は、高い生産コスト、長いリードタイム、及び数多くのメーカーの介在を含む。タンタルベースのモジュールのコストは、標準的なモジュールのそれを一桁以上上回ると思われる。さらに、タンタルベースのプロセス流体圧力トランスミッタのためのリードタイムは、標準的な設計のそれのおよそ3倍である。
【0014】
タンタルを用いて分離アセンブリを提供することの1つの試みは、米国出願番号第4,136,603号に述べられている。この参考文献は、ステンレス鋼の外側領域と、タンタルの内側部分とが、それらの接点に沿って堅固な、気密分子結合によって接合されて形成される環状遷移部材を報告している。遷移部材は、異なる金属を接合するための爆着技術を用いて作られるとして教示されている。そして、遷移部材のステンレス部は、ステンレス鋼取り付け体に溶着され、タンタル部は、タンタルダイヤフラムに溶着される。しかし、603特許の遷移部材は、その欠点がないわけではなく、現行の製造技術及び規模の経済により良い影響を与える可能性のある、高腐食性環境で用いるためのプロセスシールを提供するためには、さらなる進展が有用であろう。
【0015】
図3は、本発明の実施形態の、高腐食性のプロセス流体環境で用いるための溶接リングの概略図である。溶接リング200は、標準的な溶接リングと同一か、さもなければ寸法的に類似した全体形状を有する。しかし、溶接リング200は、別個かつ冶金的に不適合な2種類の材料で形成される。第1の部分202は、その高耐腐食性特性のために選択される。第2の部分204は、プロセス流体圧力トランスミッタのセンサ本体と適合する材料で形成される。材料202の一例はタンタルであり、一方材料204の一例は316Lステンレス鋼である。しかし、当業者においては、本発明の実施形態が、他の材料の組み合わせを用いて実施されることができることが認識されよう。タンタル及びステンレス鋼の場合、タンタルは、ステンレス鋼よりもかなり高い融点を有する。したがって、この2つの材料では、好ましくは爆発溶接が用られるが、これは一般的な溶接技術を用いて、これらを1つに溶接することが実際的ではないためである。
【0016】
爆発溶接は、必ずしも周知の方法によって溶接されることができない2種類の金属間の接着を創出することができるプロセスである。一方又は両方の材料を実際に溶解させることに代えて、爆発溶接は、両方の材料の面を可塑化する。そして、材料は、爆発の超高圧を介して密着し、溶接が創出される。爆発溶接は、冶金的に不適合な材料を1つに接着させる能力のために有益であるが、プロセスの性質が多少限定され、一般的には、精緻及び/又は複雑な部品を爆発溶接することには適していない。爆発溶接された部品は、一般的には平板又は管の形状である。しかし、溶接リングの複雑性及びプロセス流体分離ダイヤフラムに要求される寸法精度は、溶接リングのために爆発溶接を用いる可能性を制限し、及び/又はかなりのスクラップを生じさせると考えらえる。
【0017】
図4は、図3に示された領域210の拡大部分である。より詳細には、図4は、本発明の好ましい実施形態を図示し、ここで第1の部分202は、傾斜した爆発溶接後のインターフェイス206で第2の部分204に面している。部分204は、好ましくは316Lステンレス鋼で形成され、プロセス流体圧力トランスミッタのステンレス鋼センサ本体によって受けられるようなサイズにされた第1の横側壁220を含む。側壁220は、好ましくは丸みを帯びた直角でベース部222に面する。内部側壁224は、好ましくは側壁220に実質的に平行であり、シール、たとえばOリング又はポリテトラフルオロエチレン(PTFE)ガスケットを取り込むかそうでなければ包含することを助ける。内部側壁224は、内角228で溝ベース226と面する。好ましくは、部分202及び204は、インターフェイス206で面し、インターフェイス206が面222に対して鋭角230を含むようにされる。鋭角230を利用することで、インターフェイス206が、溝ベース226と面222との間の距離よりも事実上長いサイズにされることが可能になる。加えて、図4に示されるように、好ましくは高耐腐食性部202は、好ましくは互いに実質的に平行である一対の側壁232、234を含む。
【0018】
複合溶接リング200の創出が有利であるのは、実質的に標準的な製造プロセス、たとえばタンタル等の高耐腐食性を伴うような非標準的な用途で使用されることが可能になるためである。上述したように、爆発溶接は、冶金的に不適合な金属を一つに接着するために有用であるが、このプロセスは、一般的には非常に簡易な形状寸法に制限される。注目すべきなのは、複合溶接リング200はそのような簡易な形状寸法ではないことである。したがって、本発明の1つの実施形態は、複合溶接リングを製造する方法を含む。
【0019】
図5は、本発明の実施形態の、爆発溶接を用いてタンタル被覆された溶接リングを形成する方法のフロー図である。方法300は、ステップ302で始まり、ここで2つの部分のシートストックが取得される。図5に示された例では、タンタルシートとステンレス鋼のシートとが得られる。次に、ステップ304において、2つの部分のシートストックが互いに爆発接着される。このステップでは、形状寸法は、きわめて簡易であることに留意されたい。次に、ステップ306において、リングブランクが切り取られるか、あるいは爆発被覆シート複合物から形成される。ステップ308において、平らなリングブランクは、円錐台セクションに形成される。次に、ステップ310において、円錐台セクションが、最終的な複合溶接リング構成に機械加工される。好ましくは、リングの機械加工は、図6について図示されたように行われる。機械加工は、好ましくはジャム・チャック構成を使用して、機械加工されたリングの溶接インターフェイスを正確に機械加工して位置付けるために、形成されたリングを保持して位置合わせする。まず、ブロック312で示されるように、形成されたリングの外側ステンレス鋼面が、選択された寸法に機械加工される。次に、ブロック314で示されるように、内角の解放端を有する端が面取りされて、清浄な面を設ける。そして、リングは、ジャム・チャックから取り除かれてコレットに配置され、ブロック316に示されるように、リングの反対端がさらに面取りされて、内角のより小さい端にタンタルの内部開口を設ける。最終的に、ブロック318に示されるように、リングはコレット内で反転されて、公称長さ0.152”に機械加工される。そして、ブロック320に示されるように、最終的な機械加工が行われて、溝を創出し、最終的な厚さを実現する。タンタルの内面は、好ましくは機械加工されずに、中心線角度に対して60°をもって、その形成され作られた状態のままにされる。ジャム・チャック機械加工の使用が実行できるだけでなく、そのような技術が、オートメーション化された製造のコンピュータ数値制御旋盤に移されることができることも示す。
【0020】
本発明の実施形態の複合溶接リングは、少なくとも爆発溶接インターフェイスが、遷移リングにおいて、円筒状の構成に代えて、角度をつけられた構成を有する点で、爆発溶接された遷移構造での以前の試みとは異なる。この手法の期待される利点は、よりさらに再生可能であり、正確に配置されて寸法制御された、最終的なリングの爆発溶接されたインターフェイスである。
【0021】
いったん爆発溶接された遷移リングが創出されて、最終的な寸法に機械加工されると、溶接リングは、高耐腐食性分離ダイヤフラムに結合されて、アイソレータサブアセンブリを形成する。アイソレータダイヤフラムは、プロセス流体に面する第1の側251(図7に示される)と、分離流体に面する第2の側253とを有する。
【0022】
図7は、本発明の実施形態の、タンタル分離ダイヤフラムに結合された複合溶接リングの一部の断面図である。典型的には、分離ダイヤフラムは、横側壁220まで完全に延びるサイズにされる一方、そのような構成では、ステンレス鋼センサ本体250へのステンレス鋼部204の溶接が、タンタルホイルを通すことを必要とすることに留意すべきである。タンタルホイルは、きわめて高い融点を有するため、ステンレス鋼本体への溶け込みが低減される。タンタルホイルは、タンタルの高い融点に到達するために必要とされるエネルギを消耗させるかあるいは吸収することによって、単に溶接を妨げるものとして機能すると思われる。このように、本発明の実施形態は、実質的に面220まで延ばす直径を有するタンタル分離ダイヤフラムで実施されることができるが、より望ましい実施形態は、部分202の縁252を超えて延びることがないようなより短い直径を有する分離ダイヤフラムを含む。シーム溶接256が施されて、分離ダイヤフラム254を部分202に結合させる。シーム溶接は、参照番号256で図示され、周知の抵抗シーム溶接技術、又はレーザシーム溶接技術、たとえば周知のファイバ又はYAG方式を用いて行われるように意図される。部分202に分離ダイヤフラムが溶接され、そしてアイソレータサブアセンブリ全体が、プロセス流体圧力トランスミッタのセンサ本体に溶接される。これは、レーザビーム溶接、又はステンレス鋼部204をセンサ本体のステンレス鋼部に結合させる他の好適な溶接を用いて行われる。1つの実施形態では、レーザビーム溶接258は、面220と実質的に平行である方向に延びる。しかし、別の実施形態もまた、インターフェイス206にほぼ平行になるようなわずかな角度をもってレーザビーム溶接を配置することによって実施されることができる。本実施形態は、インターフェイス206からの十分な距離を確保することを助け、混合金属溶接を防止することを助けることができる。
【0023】
ここまでは、本発明の実施形態は、概ね高腐食性のプロセス流体環境で用いるための複合溶接リングに注目してきた。上述の溶接リングは、概ねタンタル分離ダイヤフラムと、ステンレス鋼部を有する複合溶接リングとに関して記載されている。溶接リングを用いて、タンタル分離ダイヤフラムを保持し、プロセス流体圧力トランスミッタ上に、シーリングガスケット用のグランドを設ける。シーリングガスケット用グランド面は、グランド面の第1の部分202用のタンタルであり、残りのグランド面はステンレス鋼204である。1つの設計上の検討又は問題は、高腐食性材料とともに用いる場合、いくつかの腐食性材料は、タンタル/ガスケット材料インターフェイスに沿って、ステンレス鋼に到達する点まで進行する可能性があるおそれがあることである。そして、ステンレス鋼は、腐食性材料によって消耗され、シールの劣化又は故障につながるおそれがある。さらに、タンタルであることが意図されたシーリングガスケットグランドの面が、機械加工された寸法が全てのステンレス鋼を取り除いていない場合には、実際にはいくらかの量のステンレス鋼を有するかもしれない可能性もある。この可能性によって、ステンレス鋼は、腐食性材料にさらに早く曝されることになり、より短い期間での故障につながる可能性がある。
【0024】
本発明の別の実施形態では、実質的に又は全体としてタンタル/ガスケット材料インターフェイスからなるトランスミッタシールに対するガスケットが使用されている一方で、溶接リングは、依然として複合的な構造として維持される。複合溶接リング構成によって、コストの低減(個体タンタル構成と比較して)が可能になり、ステンレス鋼センサ本体に複合溶接リングを溶接することをより容易にすることが可能になる。これは、アイソレータサブアセンブリにさらなるタンタルホイルワッシャを付加することによって達成される。
【0025】
図8は、面404に溶接された(402)、付加されたタンタルホイルワッシャ400を有する複合溶接リング200の断面図である。ホイルワッシャ400は、ガスケットグランドを越えて延びる。そして、グランドを越えて延びるホイル400の部分は、シーリングガスケット材料が接触する面になるグランドに形成されることができる。
【0026】
図9は、グランド内に折りたたまれるホイルワッシャ400(図8に示される)、及びタンタル部202が側壁232に沿って傾斜するステンレス部204に面するカバーリング領域406の概略図である。溶接402は、任意の好適な方法で達成されることができる。ホイルワッシャ400は、部分202と同じ材料か、又は少なくとも部分202と冶金的に適合する材料から構成されるため、溶接は比較的簡単であり、抵抗シーム溶接又はレーザシーム溶接、たとえばファイバ又はYAGを使用することができる。
【0027】
図10は、シーリンググランド面上に被せられたタンタルホイルワッシャ420を有する複合溶接リングの概略図である。図10に図示された実施形態は、ワッシャ420がより長い直径を有し、実質的に上部ステンレス鋼部422の高さまで延びる点で、図8及び9に関して図示された実施形態とはわずかに異なる。
【0028】
図11は、さらに別の実施形態を示し、ここでタンタルワッシャ430の直径は、溶接402から延びて面422の一部を覆うために十分に長く、第2のシーム又はスポット溶接424を使用して、タンタルホイルワッシャ430を適所に固定するかあるいは留め付けることができるようにされる。留意すべきは、溶接424は異種の金属の間にあるが、ワッシャを機械的に留め付けることのみを必要とし、広範囲なシールを創出する必要がないことである。
【0029】
図12は、グランドに配置されたガスケット材料432を有する、図11の実施形態を図示する。
【0030】
本発明の実施形態の利点の1つは、いったんアイソレータサブアセンブリがプロセス流体圧力トランスミッタセンサ本体に取り付けられると、続く製造ステップは、標準的なモジュールに関しては実質的に同じである。したがって、リードタイム及び製造コストが低減される。さらに、本構成は複合物であり、全体的にタンタル又は他のいくつかの好適な高耐腐食性金属で作られていないため、全設計の材料コストが低減される。
【0031】
好ましい実施形態を参照して本発明を説明してきたが、当業者においては、本発明の本質及び範囲から逸脱することなく、形式及び詳細に変更をなし得ることが認識されよう。たとえば、本発明の実施形態は、概ねタンタル/ステンレス鋼複合溶接リングに関して説明されてきたが、任意の2種類の冶金的に不適合な材料が使用されることができる。
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