(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【実施例】
【0029】
以下、本発明を実施例、式1で表される化合物のS光学異性体の実施例を挙げて更に詳細に説明するが、本発明はこれらに制限されるものではない。本発明におけるα−ブロモ−2−クロロフェニル酢酸メチル(CAS:85259−19−4)、5,6,7,7a−テトラヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−2(4H)−ケトン又はその塩酸塩及びアスピリンなどの試薬はいずれも商業的に入手するものである。
【0030】
(実施例1)
式1で表される化合物のS光学異性体の製造方法1
25mlの反応びんにS(+)−2−(2−クロロフェニル)−2−(4,5,6,7−テトラヒドロチエノ[3,2−C]ピリジン−2(4H)−ケトン−5−イル)酢酸メチル337mg及び水素化ナトリウム(52%、鉱油に分散されているもの)を加え、その後、無水DMF2mlを加え、30分間攪拌した後、サリチルクロリド300mgを加え、2時間続き攪拌し、酢酸エチルで処理して、含量約95%の粗品を得た。その後、キラルHPLCカラムを用いて分離して目的生成物103mgを得た。収率は20.6%であった。
【0031】
1H-NMR (400 MHz, CDCl
3): δ 8.09 (dd, 1H), 7.76-7.80(m,1H), 7.46-7.53(m, 2H), 7.32-7.53(m, 3H ), 7.31(d, 1H), 6.66(s, 1H), 5.47(s, 1H), 4.01-4.05(q, 2H), 3.72(s, 3H), 3.32-3.40 (broad, 2H), 2.96(broad, 2H), 2.27(s, 3H)。
ESI−MS:m/z500.2(MH
+)。
【0032】
(実施例2)
式1で表される化合物のS光学異性体の製造方法2
S(+)−2−(2−クロロフェニル)−2−(4,5,6,7−テトラヒドロチエノ[3,2−C]ピリジン−2(4H)−ケトン−5−イル)酢酸メチルの代わりに(RS)−2−(2−クロロフェニル)−2−(4,5,6,7−テトラヒドロチエノ[3,2−C]ピリジン−2(4H)−ケトン−5−イル)酢酸メチルを出発原料として使用すること以外、実施例1と同様にして製造した。収率は21.0%であった。
【0033】
(実施例3)
【0034】
【表1】
【0035】
上記表から、式1で表される化合物と塩を良好に形成し得る酸の種類は限られ、ハロゲン酸塩及びスルホン酸塩のみに限られる。
【0036】
(実施例4)
2.1 塩酸塩の製造
25mlの反応びんに式1で表される化合物500mgを加え、その後、無水エチルエーテル5mlを加え、5分間攪拌した後、攪拌しながら、予め調製したエチルエーテル塩化水素溶液を滴下し、滴下過程において白色沈殿が観察され、白色沈殿が生成しない状態になって滴下を停止し、この時、pHが約5であり、1時間引き続き攪拌し、反応を停止し、濾過し、乾燥して、白色固体460mgを得た。収率は85.8%であった。TLC:展開溶媒(石油エーテル:酢酸エチル=1:1、トリエチルアミン1滴)、Rf0.4。
【0037】
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 8.11 (d,1H), 7.32-7.8l(m,7H), 5.40(ブロードピーク,1H), 3.96(ブロードピーク, 2H), 3.71(s, 3H), 3.28 (ブロードピーク, 2H), 2.94(ブロードピーク, 2H),2.29(s,3H)。
ESI-MS: m/z 500.2 (MH
+)。
【0038】
2.2 臭化水素酸塩の製造
25mlの反応びんに式1で表される化合物500mgを加え、その後、無水エチルエーテル5mlを加え、5分間攪拌した後、攪拌しながら、予め調製したエチルエーテル臭化水素溶液(適量のエチルエーテルと臭化水素酸溶液とを共に振動させて得られたもの)を滴下し、滴下過程において白色沈殿が観察され、白色沈殿が生成しない状態になって滴下を停止し、この時、pHが約4であり、1時間引き続き攪拌し、反応を停止し、濾過し、乾燥して、淡い黄色の固体470mgを得た。収率は81.0%であった。TLC:展開溶媒(石油エーテル:酢酸エチル=1:1、トリエチルアミン1滴)、Rf0.4。
【0039】
2.3 L−カンファースルホン酸塩の製造
25mlの反応びんに式1で表される化合物800mgを加え、その後、トルエン5mlを加え、5分間攪拌した後、攪拌しながら、予め調製したL−カンファースルホン酸のイソプロパノール溶液(イソプロパノール0.3mlにL−カンファースルホン酸370mgを溶解させたもの)を滴下し、滴下終了後、0.5時間引き続き攪拌し、反応を停止し、4℃の冷蔵庫にて一夜間放置し、白色固体が析出し、濾過し、乾燥して、淡い黄色の固体970mgを得た。収率は82.9%であった。TLC:展開溶媒(石油エーテル:酢酸エチル=1:1、トリエチルアミン1滴)、Rf0.4。
【0040】
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): S8.12 (m,1H), 7.67 (m,2H), 7.51-7.54(m,3H), 7.36 (d,1H), 6.71 (s,1H), 5.49(ブロードピーク,1H), 4.06(ブロードピーク,2H), 3.75(s,3H),3.33 (ブロードピーク,2H), 2.98 (ブロードピーク,2H), 2.89 (d,1H), 2.52 (m,1H), 2.39(s,1H), 2.31 (s,3H), 2.25 (m,1H), 1.78-1.94(m,3H), 1.27-1.29(m,2H), 1.03(m,3H), 0.74(m,3H)。
ESI-MS: m/z 500.2 (MH
+)。
【0041】
2.4 メタンスルホン酸塩の製造
25mlの反応びんに式1で表される化合物800mgを加え、その後、トルエン5mlを加え、5分間攪拌した後、攪拌しながら、予め調製したメタンスルホン酸のトルエン溶液(トルエン0.3mlにメタンスルホン酸160mgを溶解させたもの)を滴下し、滴下終了後、0.5時間引き続き攪拌し、反応を停止し、4℃の冷蔵庫にて一夜間放置し、白色固体が析出し、濾過し、乾燥して、淡い黄色の固体750mgを得た。収率は78.1%であった。TLC:展開溶媒(石油エーテル:酢酸エチル=1:1、トリエチルアミン1滴)。
【0042】
2.5 ベンゼンスルホン酸塩の製造
25mlの反応びんに式1で表される化合物800mgを加え、その後、トルエン5mlを加え、5分間攪拌した後、攪拌しながら、予め調製したベンゼンスルホン酸のイソプロパノール溶液(イソプロパノール0.3mlにベンゼンスルホン酸260mgを溶解させたもの)を滴下し、滴下終了後、0.5時間引き続き攪拌し、反応を停止し、4℃の冷蔵庫にて一夜間放置し、白色固体が析出し、濾過し、乾燥して、淡い黄色の固体890mgを得た。収率は84.0%であった。TLC:展開溶媒(石油エーテル:酢酸エチル=1:1、トリエチルアミン1滴)、Rf0.4。
【0043】
2.6 P−トルエンスルホン酸塩の製造
25mlの反応びんに式1で表される化合物800mgを加え、その後、トルエン5mlを加え、5分間攪拌した後、攪拌しながら、予め調製したP−トルエンスルホン酸のイソプロパノール溶液(イソプロパノール0.3mlにベンゼンスルホン酸280mgを溶解させたもの)を滴下し、滴下終了後、0.5時間引き続き攪拌し、反応を停止し、4℃の冷蔵庫にて一夜間放置し、白色固体が析出し、濾過し、乾燥して、淡い黄色の固体990mgを得た。収率は91.7%であった。TLC:展開溶媒(石油エーテル:酢酸エチル=1:1、トリエチルアミン1滴)、Rf0.4。
【0044】
(実施例5)
いくつかの種類の固体酸付加塩の溶解度の測定
一般的に、良好な溶解度を有することは、薬物が良好なバイオアベイラビリティを有することに必須である。通常、薬物のpH1〜7.5範囲での溶解度は少なくとも1mg/mlに達することが望まれる。
【0045】
【表2】
【0046】
上記表から、式1で表される化合物のスルホン酸塩がいずれも比較的に好ましい溶解度を有し、4種類のスルホン酸塩が全て塩形成に要する溶解度を有し、ハロゲン酸塩の溶解度がやや劣ることが分かる。
【0047】
(実施例6) 安定性試験
物質が固体状態で良好な安定性を有することは、固体製剤に必須である。形成された塩の化学的安定性をスクリーニングするために、上記適切なスルホン酸塩をそれぞれ粉末状の副材料と混合し、成分として微結晶性セルロースと無水リン酸二水素カルシウムとを1:1の割合で含む錠剤、又は成分としてマンニトールとトウモロコシ澱粉を4:1の割合で含むカプセルとした。その後、錠剤及びカプセルを、温度50℃±2℃(定温定湿培養箱)、相対湿度75%±5%(飽和塩化ナトリウム溶液)の条件下で加速試験し、3ヶ月目の月末にてサンプルを採取し、薬品を砕いた後、メタノール:クロロホルム(1:1)を用いて抽出し、TLCにより製品の安定性について調査し、新たな不純物が出ない塩は安定と認められる。
【0048】
【表3】
【0049】
上記表から、式1で表される化合物の4種類のスルホン酸塩はすべて比較的に安定であり、これらのうち、最も安定なものはカンファースルホン酸塩であることが分かる。
【0050】
(実施例7) 薬の効果の比較試験
上記のようにスクリーニングした適切な塩、溶解度が不適切な塩である塩酸塩及び式1で表される化合物の遊離アルカリ自体が薬理学的相違があるかについて、我々は以下のようにクロピドグレルを陽性対照薬とし、抗ラット動脈血栓試験により研究した。
【0051】
(一)血栓形成時間の考察試験
動物:体重220〜260gのオスwistarラット、1群ごとに6〜8匹の動物がある。
群分け:対照群、陽性薬(クロピドグレル、10mg/kg)群、式1の化合物の遊離体、式1の化合物の塩酸塩及び式1の化合物のL−カンファースルホン酸塩(それぞれ遊離体を基準にし3 mg/kgと9 mg/kgとの 2つの剤量群を設けた)。
方法:電流により頸動脈内膜を損傷して血栓を形成する方法と血小板凝集試験。
投与方法:強制経口投与。
観察事項:3日間連続的に投与し、最後の投与から2時間後に、電流により頸動脈内膜を損傷して血栓を形成し、血栓形成時間を観察し、大腿動脈血を採取し、多数の血小板を分離して用意し、ADPを誘導剤とし、各群において血小板凝集に及ぼす影響を観察し、それと同時に出血時間を測定した。
【0052】
(二)血栓重量の考察試験
動物:体重220〜260gのオスwistarラット、1群ごとに6〜8匹の動物がある。
群分け:上記と同じ。
方法:動静脈バイパスポリエチレン管内血栓形成法。
観察事項:3日間連続的に投与し、最後の投与から2時間後に、15分間動靜脈吻合した後、血栓の乾重量及び湿重量を調べた。
【0053】
【表4】
【0054】
上記結果から、式1で表される化合物が塩形成後に、抗凝固効果が遊離体より顕著に高くなり、これらのうち、理化性質が安定なスルホン酸塩は塩酸塩よりも活性が優れることが明らかである。その原因は、式1の化合物の極性が小さすぎるため、水溶性が劣り、経口吸収の利用率が低下し、塩を安定に形成し得る化合物のうち、スルホン酸塩が塩酸塩よりも優れる溶解度及び安定性を有するため、更に優れた薬用性を有するものと考えられる。