特許第5695812号(P5695812)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5695812
(24)【登録日】2015年2月13日
(45)【発行日】2015年4月8日
(54)【発明の名称】筋肉強化装着具
(51)【国際特許分類】
   A63B 23/035 20060101AFI20150319BHJP
   A63B 23/04 20060101ALI20150319BHJP
   A63B 23/12 20060101ALI20150319BHJP
   A63B 21/02 20060101ALI20150319BHJP
【FI】
   A63B23/035 Z
   A63B23/04 Z
   A63B23/12
   A63B21/02
【請求項の数】4
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2014-117268(P2014-117268)
(22)【出願日】2014年6月6日
【審査請求日】2014年6月6日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】714005579
【氏名又は名称】水谷 諒子
(74)【代理人】
【識別番号】100126310
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 慎太郎
(72)【発明者】
【氏名】水谷 諒子
【審査官】 大澤 元成
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−037672(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/090195(WO,A1)
【文献】 特開2003−126295(JP,A)
【文献】 米国特許第5573487(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0027419(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 21/00−23/00
A41D 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
膝関節又は肘関節を屈曲させるための弾力性のある伸展制御材と、
前記伸展制御材の一端がそれぞれ接続され、前記伸展制御材が膝関節又は肘関節の内側に位置されるように膝関節又は肘関節を挟んで脚又は腕に装着される一対の筒状の取り付け材と、を具備してなり、
前記取り付け材は、
クロロプレンゴムスポンジの両面がナイロン又はポリエステルの生地にてラミネート加工されたスポンジ硬度の異なる素材より一体形成され、
前記伸展制御材が接続される膝又は肘の内側がスポンジ硬度の高い素材より形成される、
ことを特徴とする筋肉強化装着具。
【請求項2】
前記一対の取り付け材の外周面に巻設され、前記一対の取り付け材を大腿部及び下腿部又は上腕部及び前腕部に固定する固定ベルトを具備してなる請求項1に記載の筋肉強化装着具。
【請求項3】
前記一対の取り付け材のうち大腿部に装着される取り付け材に設けられ、腰周りに装着されるバックルと結合される一対の強度調整部を具備してなる請求項1又は請求項2に記載の筋肉強化装着具。
【請求項4】
前記伸展制御材は、クロロプレンゴムスポンジの両面がナイロン又はポリエステルの生地にてラミネート加工され、周縁がパイピングされた素材より形成される請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の筋肉強化装着具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は筋肉及び筋力の低下を防ぎ更に筋肉及び筋力を強化させる筋肉強化装着具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のサポーターを含む装着具は保護、保温、発汗性のものが主である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
脚の筋肉、筋力の低下は高齢化が進む現代において深刻な問題である。日常生活でも、現代社会はデイスクワーク、車の使用など脚を動かす機会が極めて低く脚の筋肉、筋力の低下は必然的に起こる現象である。また女性の場合、上腕三頭筋の筋肉の低下による腕の弛みを気にしている人が多い。
筋肉、筋力を維持、強化するには主にウエイトトレーニングであるが続ける時間がないことや運動方法や強度等をまちがえるとかえって筋肉や関節を痛めることになる。
【0004】
本発明は装着して脚、腕を伸ばす事により筋骨格の障害予防に適したアイソメトリック運動を主としたトレーニングで筋肉、筋力を強化することができる装着具である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、
1 膝関節又は肘関節を屈曲させるための弾力性のある伸展制御材と、前記伸展制御材の一端がそれぞれ接続され、前記伸展制御材が膝関節又は肘関節の内側に位置されるように膝関節又は肘関節を挟んで脚又は腕に装着される一対の筒状の取り付け材と、を具備してなり、前記取り付け材は、クロロプレンゴムスポンジの両面がナイロン又はポリエステルの生地にてラミネート加工されたスポンジ硬度の異なる素材より一体形成され、前記伸展制御材が接続される膝又は肘の内側がスポンジ硬度の高い素材より形成されるものである
前記一対の取り付け材の外周面に巻設され、前記一対の取り付け材を大腿部及び下腿部又は上腕部及び前腕部に固定する固定ベルトを具備してなるものである
前記一対の取り付け材のうち大腿部に装着される取り付け材に設けられ、腰周りに装着されるバックルと結合される一対の強度調整部を具備してなるものである
前記伸展制御材は、クロロプレンゴムスポンジの両面がナイロン又はポリエステルの生地にてラミネート加工され、周縁がパイピングされた素材より形成されるものである
【発明の効果】
【0006】
脚、上腕に装着すると自然に膝、肘を曲げた状態になり、脚、上腕を伸ばした状態を維持する事により筋骨格の障害予防に適したアイソメトリック運動で脚、上腕三頭筋の筋肉に負荷がかかり筋肉が強化される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の筋肉強化装着具を背面から見た図である。
図2】本発明の脚用を固定するためのバックル(メス部分)をベルトに装着した図である。
図3】本発明の筋肉強化装着具(脚用)を装着した図である。
図4】本発明の筋肉強化装着具(腕用)を装着した図である。
図5】本発明の変形例の図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を実施するための形態について説明する。
脚、腕を曲げた状態にするため、取り付け材(3)、取り付け材(5)に伸縮自在であり、背面視で長方形の平板状の伸展制御材(1)の上部と下部を縫製により膝関節又は肘関節の内側に取り付ける。取り付け材(3)は大腿または上腕にはめる円筒状のサポーター、取り付け材(5)は下腿または前腕にはめる円筒状のサポーターである。強度調整部(7)は大腿部取り付け材(3)の位置を調整して膝の角度(脚の負荷の強度)を調整するための一対のベルトであり、一対のベルトは大腿部取り付け材(3)の上部の前後に一本ずつ縫製して取り付けてあり、先端にバックルのオス部分がついていてバックルの根元で長さが調整できる。
【0009】
大腿部及び上腕部固定ベルト(4)、下腿部及び前腕部固定ベルト(6)は大腿部及び上腕部取り付け材(3)、下腿部及び前腕部取り付け材(5)を脚及び腕に固定するためのベルトで、中央部分で長さの調節ができる。バックル(8)は強度調整部(7)を腰ベルトに脚の前後で結合させるバックルのメス部分である。市販のベルトに通せるようにリング状に縫製している。
取り付け材(3)(5)及び伸展制御材(1)の素材はクロロプレンゴムスポンジの両面をナイロン又はポリエステルの生地をラミネート加工したものである。この素材はウエットスーツに使われていて縫製しても耐久性があり自己消化性、対候性、耐紫外線性、耐防湿性に優れており屋外で使用した場合でも劣化しにくい。
大腿部及び上腕部取り付け材(3)、下腿部及び前腕部取り付け材(5)はスポンジ硬度の違う素材を円筒状に縫製している。膝、肘側をスポンジ硬度の低い素材を使用して伸びやすく装着しやすくしてある。膝、肘内側は脚、腕を伸ばした時に伸展制御材による取り付け材の変形を少なくするためスポンジ硬度の高い素材を使用して伸びにくくしてある。
【0010】
伸展制御材(1)はスポンジ硬度の高いクロロプレンゴムスポンジの両面をナイロン又はポリエステルの生地をラミネート加工したものを使用し弾力性及び耐久性を増すため周囲をスパンデックスでパイピング(2)してある。
なお、強度調整部(7)、バックル(8)は本発明の筋肉強化装着具を脚に取り付けた場合のみ使用するもので図4に示すように筋肉強化装着具を腕に取り付ける場合は使用しなくてよい。
伸展制御材(1)はゴム類でも作用するがゴム類は糸よりも柔らかいため縫製部分の穴が大きくなって耐久性に欠ける。又、ゴム類は少しの傷が原因で横方向に裂ける危険性がある。
装着具を一体のサポーター状にすると装着するためにわざわざ衣服を脱がなくてはいけない事や、人の脚、腕は膝、肘周りの形状は様々である事が原因で膝、肘を曲げ伸ばしした時に膝、肘周りに出来る生地の弛みが伸展制御材の作用を妨げる事になる。
【0011】
一体の取り付け材でなく、大腿部及び上腕部取り付け材(3)、下腿部及び前腕部取り付け材(5)のようにサポーターを分離することにより衣服の上や保護、保温などのために現在使用中のサポーター類の上からでも装着が可能になる。脚に装着する時は、強度調整部(7)の長さを短くすると大腿部取り付け材(3)が大腿部の上部へ移動することにより膝の内側の角度が小さくなっていき負荷の強度を増すことができる。又、腕に装着する時は上腕部取り付け材(3)の固定位置を上腕上部に移動することにより肘の内側の角度が小さくなり強度を増すことができる。
歩行や膝の関節を保護するための重要な筋肉は膝の上の筋肉である。脚の筋肉(大腿四頭筋)は羽状筋である。羽状筋は胸の筋肉に代表される平行筋のように筋肉の端から端まで筋繊維が通っていて力を発揮する時に全体が同じように収縮するタイプでなく運動の性質によって発達する部分が違ってくる。ラクビー選手のように深く沈み込む動作が多い場合は脚の根本の部分が発達する。サッカーやバレーボールの選手のように浅く沈み込む動作が多い場合は膝の上の部分の筋肉が発達する。本発明の装着具も膝の曲がる角度を100度〜180度とし歩行や膝関節を保護するために重要な膝の上の筋肉を中心に負荷を与え筋肉を維持、発達させる。100度より角度が深く(小さく)なると特に立位状態で使用した場合膝への負担が大きくなる。
【0012】
脚用を装着するときは、バックル(8)をベルトに通しベルトを腰回りに合うようにベルトの長さを調節する。筋肉強化装着具本体(10)を装着して強度調節部(7)のバックルのオス部分と(8)のバックルのメス部分を脚の前後で結合させる。大腿部取り付け材(3)の位置を強度調整部(7)で調節し、膝の角度(強度)を決め大腿部固定ベルト(4)、下腿部固定ベルト(6)で大腿部取り付け材(3)、下腿部取り付け材(5)を固定する。
寝た状態や座椅子に座った状態で膝を伸ばして維持する事で筋骨格の障害予防に適したアイソメトリック運動で脚の筋肉に負荷がかかる。病院等でベッドから出られない人、怪我、病気で自宅から出られない人、高齢者で散歩をしても脚の筋力がなく転倒の不安がある人等が室内やベッドの上でも脚の筋肉の維持、強化ができる。
椅子に座り膝を伸ばした状態を維持することで筋骨格の障害予防に適したアイソメトリック運動により脚に負荷がかかる。又、曲げ伸ばしの連続運動するとマシーントレーニングのレッグエクステンションと同等のトレーニングが膝に負担がかかる事がなく安全に行える。マシーントレーニングの場合は脚を伸ばした状態から元の位置に戻す時に重量や戻す速さが不適切な場合が多く膝に負担がかかりやく膝を痛める危険性がある。
【0013】
立位姿勢で使用する場合、膝を曲げた状態を自然に維持することができ筋骨格の障害予防に適したアイソメトリック運動で脚の筋肉に負荷がかかる。又、膝を伸ばした状態に戻す時も脚に負荷がかかる。室内での日常動作においても脚の筋肉に負荷がかかる。
腕用を装着するときは、上腕部取り付け材(3)で肘の角度(強度)を調節し上腕部固定ベルト(4)、前腕部固定ベルト(6)で上腕部取り付け材(3)、前腕部取り付け材(5)を固定する。肘を伸ばした状態を維持することで筋骨格の障害予防に適したアイソメトリック運動により上腕三頭筋に負荷がかかる。曲げ伸ばしの連続運動するとダンベルやマシーンのトライセップスエクステンションと同等のトレーニングが安全、正確に行える。ダンベルやマシーンの場合、重量の選択や上げ下げする軌道が不適切な場合が多く肘に負担がかかり、上腕三頭筋に正確な負荷がかかりにくく肘に負担がかかりやすく肘を痛める危険性がある。
【0014】
(変形例)取り付け材は伸展制御材を取り付けるものであればよく下腿、前腕の一部及び大腿、上腕の一部を覆う円筒状のサポーターのように分離されておらず図5のように一体であってもよい。
【符号の説明】
【0015】
1 伸展制御材
2 スパンデックスパイピング
3 取り付け材(大腿部、上腕部)
4 固定ベルト(大腿部、上腕部)
5 取り付け材(下腿部、前腕部)
6 固定ベルト(下腿部、前腕部)
7 強度調整部(脚用)
8 強度調整部固定用バックルメス部分(脚用)
9 変形例取り付け材
10 筋肉強化装着具本体
【要約】
【課題】装着するだけで筋骨格の障害予防に適したアイソメトリック運動を主としたトレーニングで筋肉、筋力を強化することができる装身具を提供する。
【解決手段】膝関節または肘関節を屈曲させるための弾力性のある伸展制御材と、この伸展制御材を膝関節また肘関節の内側に取り付けるための取り付け材を備え、また、前記取り付け材は、下腿の一部及び大腿部の一部を覆う円筒状のサポーター本体であり、前期取り付け材本体の前記関節の内側に取り付けられた筋肉強化装着具。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5