特許第5695854号(P5695854)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5695854
(24)【登録日】2015年2月13日
(45)【発行日】2015年4月8日
(54)【発明の名称】水電池及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 6/32 20060101AFI20150319BHJP
   H01M 2/18 20060101ALI20150319BHJP
【FI】
   H01M6/32 A
   H01M2/18 Z
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2010-160142(P2010-160142)
(22)【出願日】2010年7月14日
(65)【公開番号】特開2012-22899(P2012-22899A)
(43)【公開日】2012年2月2日
【審査請求日】2013年7月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】508346505
【氏名又は名称】日本協能電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100066267
【弁理士】
【氏名又は名称】白浜 吉治
(74)【代理人】
【識別番号】100134072
【弁理士】
【氏名又は名称】白浜 秀二
(72)【発明者】
【氏名】石川 忠
(72)【発明者】
【氏名】長谷部 良明
【審査官】 冨士 美香
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−222236(JP,A)
【文献】 特開2009−224296(JP,A)
【文献】 特開2008−270001(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 6/32
H01M 2/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦方向及び横方向と、正極端子を有する正極電極板と、負極端子を有する負極電極板と、前記正極電極板と前記負極電極板との間に位置する正極活物質とを含む水電池において、
電気絶縁性及び透水性の外包シートをさらに含み、
前記外包シートが袋状の第1保持部を有し、前記正極電極板が前記第1保持部に挿入、保持されており、
前記負極電極板と前記正極電極板との間には、前記第1保持部の内面に固定された前記正極活物質が介在されていることを特徴とする前記水電池。
【請求項2】
前記外包シートが袋状の第2保持部を有し、前記負極電極板が前記第2保持部に挿入、保持されている請求項1記載の水電池。
【請求項3】
前記外包シートが第1面及びそれに対向する第2面を有し、前記正極電極板、前記負極電極板及び前記正極活物質がそれぞれ前記横方向に所与寸法離間して前記外包シートの前記第1面に配置されており、前記外包シートにおける前記縦方向へ延びる複数の折曲線に沿って前記外包シートを折り曲げることによって、前記正極電極板と前記正極活物質とが互いに当接して重なり合い、かつ、前記正極活物質と前記負極電極板とが、前記第1及び第2保持部のうちの少なくとも前記第1保持部を形成する外包シートの一部を介して重なり合っており、前記正極電極板と、前記正極活物質および前記負極電極板とが積層された状態で前記外包シートに被包されている請求項記載の水電池。
【請求項4】
前記外包シートが前記第1保持部と連続する基部を有し、前記第1保持部の前記縦方向の長さ寸法が前記基部の前記縦方向の長さ寸法よりも小さく、前記基部の側縁と前記第1保持部の開口端縁との間に段部が形成されており、前記段部の前記縦方向の長さ寸法が前記第2保持部の前記縦方向の長さ寸法とほぼ同じである請求項2又は3記載の水電池。
【請求項5】
前記折曲線が接着剤が塗布された部位又はヒートシール加工による接合部によって形成されている請求項記載の水電池。
【請求項6】
請求項2〜5のいずれかに記載の水電池において、前記外包シートの基材となる繊維不織布シートを搬送手段を介して機械方向に搬送し、前記機械方向と直交する方向において対向する一対の前記外包シートにおいて、共通する切断ラインによって前記第1及び第2保持部の外形が形成される前記外包シートの切断工程を含む前記水電池の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水を注入して発電する水電池、特に、比較的に薄型の水電池及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、水を注入することによって発電する水電池は公知である。例えば、特許文献1には、水電池の外形を形成する、金属製の負極外筒体と、活性炭からなる正極活物質と、正極活物質に差し込まれたロッド状の正極集電体と、水を正極活物質に供給するための吸水部材とを含む水電池が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3112869号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された水電池では、円筒状の負極外筒体の底面に形成された注水口から負極外筒体の内部に注入された水が吸収部材を介して正極活物質に浸透し、両電極間に起電力を生じさせることによって、一定時間所要の電流を発電することができる。
【0005】
本発明の課題は、従来の技術における水電池の改良であって、微量の水分の供給によって所定の起電力を発生させることのできる比較的に薄型の水電池及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明が対象とするのは、縦方向及び横方向と、正極端子を有する正極電極板と、負極端子を有する負極電極板と、前記正極電極板と前記負極電極板との間に位置する正極活物質とを含む水電池である。また、本発明は、外包シートの基材となる繊維不織布シートを搬送手段を介して機械方向に搬送し、前記機械方向と直交する方向において対向する一対の前記外包シートにおいて、共通する切断ラインによって前記第1及び第2保持部の外形が形成される前記外包シートの切断工程を含む前記水電池の製造方法を対象とする。
【0007】
本発明が特徴とするところは、電気絶縁性及び透水性の外包シートをさらに含み、前記外包シートが袋状の第1保持部を有し、前記正極電極板が前記第1保持部に挿入、保持されており、前記負極電極板と前記正極電極板との間には、前記第1保持部の内面に固定された前記正極活物質が介在されていることにある。
【0008】
本発明における他の実施態様の一つは、前記外包シートが袋状の第2保持部を有し、前記負極電極板が前記第2保持部に挿入、保持されている。
【0009】
本発明における他の実施態様の一つは、前記外包シートが第1面及びそれに対向する第2面を有し、前記正極電極板、前記負極電極板及び前記正極活物質がそれぞれ前記横方向に所与寸法離間して前記外包シートの前記第1面に配置されており、前記外包シートにおける前記縦方向へ延びる複数の折曲線に沿って前記外包シートを折り曲げることによって、前記正極電極板と前記正極活物質とが互いに当接して重なり合い、かつ、前記正極活物質と前記負極電極板とが、前記第1及び第2保持部のうちの少なくとも前記第1保持部を形成する外包シートの一部を介して重なり合っており、前記正極電極板と、前記正極活物質および前記負極電極板とが積層された状態で前記外包シートに被包されている。
【0010】
本発明における他の実施態様の一つは、前記外包シートが前記第1保持部と連続する基部を有し、前記第1保持部の前記縦方向の長さ寸法が前記基部の前記縦方向の長さ寸法よりも小さく、前記基部の側縁と前記第1保持部の開口端縁との間に段部が形成されており、前記段部の前記縦方向の長さ寸法が前記第2保持部の前記縦方向の長さ寸法とほぼ同じである。
【0011】
本発明における他の実施態様の一つは、前記折曲線が接着剤が塗布された部位又はヒートシール加工による接合部によって形成されている。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る水電池によれば、外包シートによって正極電極板などの各構成材料が積層された状態で被包されているので、従来の筒状の水電池に比べて薄く、かつ、軽量である。また、第1保持部に正極電極板が挿入、保持されているので、組立時の操作が容易であり、使用中に外包シート内において正極電極板が大きく位置ずれするおそれもない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の水電池の斜視図。
図2】水電池を展開した状態における平面図。
図3図1のIII−III線断面図。
図4】(a),(b),(c)外包シートの組立工程を示す図。
図5】外包シートの製造工程の一部を示す概略図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1及び2に示すとおり、水電池10は、縦方向Y及び横方向Xと、外包シート11と、外包シート11に被包された電荷を集めるための正極電極板12と、負極電極板13と、外包シート11内において正極電極板12と負極電極板13との間に位置する正極活物質14とを含む。図3に示すとおり、正極電極板12と、負極電極板13および正極活物質14は、外包シート11に積層された状態で被包されている。
【0015】
また、水電池10は、縦方向Yへ互いに並行に延びる第1及び第2側縁部16,17と、縦方向Yにおいて離間対向して位置する第1及び第2開口端部18,19とによって画成された略矩形であって、第1開口端部18から正極電極板12の正極端子12aと負極電極板13の負極端子13aとが縦方向Y外方向へ突出している。正極端子12aと負極端子13aとの間には、それらの導通を防止するための絶縁シール20が配置されており、正極端子12aおよび/または負極端子13aに貼り付けられている。また、正極端子12a及び負極端子13aは、ワックスなどを塗布してなる防水処理が施されており、外包シート11から発電に要する所定の水分が吸収される限りにおいて、第1及び第2開口端部18,19は、接着剤またはヒートシール加工によって封止されていてもよい。なお、本実施形態では、水電池10全体の縦方向Yにおける長さ寸法を小さくするために、正極端子12aと負極端子13aとがともに第1開口端部18から縦方向Yの外方へ延びているが、正極端子12aと負極端子13aとが互いに異なる開口端部18,19から縦方向Yの外方へ延びていてもよい。また、本実施形態では、正極端子12aと負極端子13aとは、縦方向Yの外方へ凸となる形状を有しているが、全体が外包シート11内に位置する形状であってもよいし、外包シート11内に位置する正極電極板12の本体と負極電極板13の本体とがそれぞれ正負極端子12a,13aの役割を有していてもよい。
【0016】
外包シート11は、電気絶縁性及び透液性のシート材料から作られており、たとえば、透水性の繊維不織布、多孔質のプラスチックフィルムなどから形成されている。
【0017】
また、外包シート11は、図2に示すとおり、その展開状態において、第1面21A及び第2面21Bと、縦方向Yにおいて互いに離間対向して横方向Xへ延びる第1及び第2側縁22,23と、横方向Xにおいて互いに離間対向して縦方向Yへ延びる第1及び第2端縁24,25とによって画成された扁平状であって、基部27と、基部27と連なる袋状の第1保持部28とを有する。第1保持部28には、正極電極板12が挿入、保持されている。
【0018】
基部27は、外包シート11の一部を折曲して形成された袋状の第2保持部29と、第2保持部29の第1端縁24側の側縁31に沿って縦方向Yに延びる第1折曲線30とを有する。第2保持部29には、負極電極板13が挿入、保持されている。
【0019】
第1保持部28は、基部27よりも縦方向Yの長さ寸法が小さく、ヒートシール加工又は接着剤を塗布することによって形成された縦方向Yに延びる第1及び第2接合部32,33によって袋状に画成されている。基部27と第1保持部28との間には、第2接合部33と基部27を形成する外包シート11との剛性差によって生じた第2折曲線34が形成されている。また、第1側縁22の一部を構成する基部27の側縁27aと、同様に第1側縁22の一部を構成する第1保持部28の開口端縁28aとの段部35の縦方向Yの長さ寸法lと第2保持部29の縦方向Yの長さ寸法lは、ほぼ同じである。具体的には、負極電極板13を第2保持部29に確実に保持するために、第2保持部29の縦方向Yの長さ寸法lは、0.5〜1.0mmであることが好ましい。
【0020】
外包シート11の基部27は、第1端縁24と第1及び第2折曲線30,34とによってその横方向Xにおける幅寸法が2つにほぼ均等に区分されている。具体的には、第1端縁24と第1折曲線30との間に画成された第1区域36と、第1折曲線30と第2折曲線34との間に画成された第2区域37とに区分されている。なお、外包シート11の第1区域36の第1端縁24側には、縦方向Yに延びる接着域39が形成されている。接着域39には、外包シート11の第2面21Bから水分を吸収して、その水分を内部に配置された正極活物質14の酸化反応触媒として作用させるべく、接着剤を間欠的に塗布することが好ましい。なお、水電池10内部に水分が浸透するのを阻害しない限りにおいて、接着域39は、接着剤ではなく、ヒートシール加工によって接合されていてもよい。
【0021】
正極電極板12は、外包シート11の第1保持部28に挿入、保持された凸状の薄板であって、比較的に導電性が強くイオン化傾向の小さい、電気化学的に比較的安定な、例えば、ニッケル、銅、銀等の金属またはこれらの金属を主体とする合金から作られている。
【0022】
負極電極板13は、外包シート11の第1区域37の第2保持部29に挿入、保持された正極電極板12とほぼ同形同大の薄板であって、イオン化および/または酸化傾向が比較的に大きな電極活物質、例えば、金属マグネシウム、アルミニウム、亜鉛などまたはそれらを少なくとも2種以上含む合金作られている。
【0023】
正極活物質14は、外包シート11の第1保持部28の内面にスプレー状に塗布された接着剤を介して固定された粉末状であって、比較的に酸化力が強い酸化物質、例えば、活性炭、二酸化マンガン、酸化鉄、結晶性の酸化銀などの混合物から作られており、混合物の種類や混合比率は、所要の酸化力に応じて自由に設定することができる。また、全体として比較的に薄型の水電池10を形成するために、少ない量で所要の起電力の発生を可能とすべく、活性炭に用いる材料の種類を複数使用したり、加工処理したものを用いることもできる。なお、本発明では、正極活物質14は、粉末状であるが、活性炭などの各種粉末をシート状に成形して、第1保持部28の内面に接着剤を介して固定してもよい。なお、正極活物質14を固定する接着剤は、水分を透過するために間欠的に塗布することが好ましい。
【0024】
水電池10を図2に示した展開状態から図1の組み立て状態とするためには、まず、第2折曲線34に沿って外包シート11の第1保持部28を内側に折り返して、第1保持部28と第2区域37とを互いに対向させ、第2区域37に位置する負極電極板13及び第2保持部29と、第1保持部28とを当接した状態で重ね合わせる。次に、第1折曲線30に沿って第1区域36を第2区域37に折り重ねられた第1保持部28の第2面21Bに向かって折り返し、それらを当接させて重ね合わせる。かかる状態において、第1区域36の第1面21Aに塗布された接着域39を介して第1区域36の第1面21Aを第1保持部28の第2面21Bに固定することによって、水電池10を組み立てることができる。
【0025】
図3に示すとおり、水電池10の内部において、正極電極板12と正極活物質14とは当接した状態であって、正極活物質14は、それが固定された第1保持部28を形成する外包シート11を介して負極電極板13と接している。かかる態様を有する水電池10において、外包シート11の第2面21B及び/または第1及び第2開口端部18,19からその内部に水分が浸透したときには、第1保持部28を形成する外形シート11の一部を介して正極活物質14に水分が拡散され、拡散された水分が酸化反応触媒として作用して両電極板12,13間にイオン化反応が生じることによって、起電力が発生する。
【0026】
本発明にかかる水電池10は、外包シート11によって各構成材料が積層された状態で被包されているので、従来の筒状の水電池に比べて薄く、かつ、軽量である。また、水電池に微量の水分のみが供給された場合であっても、各構成材料間に介在された外包シート11を通じて正極活物質に水分を供給して拡散させることができ、所要の起電力を速やかに生じさせることができる。
【0027】
また、正極電極板12と負極電極板13とがそれぞれ第1及び第2保持部28,29に挿入、保持されているので、それらが外包シート11内において大きく位置ずれを生じるおそれはない。さらに、水電池10を組立てるときに内側に折り返される第1保持部28において、正極電極板12は正極端子12aを含むその一部以外のみが第1保持部28から露出しており、そのほとんどの部位が第1保持部28に挿入、保持されているので、組立操作者は、第1保持部28を折曲するときに正極電極板12を指で押さえる必要はなく、第1保持部28を指で摘んで自由に操作することができ、組立作業が比較的に容易となる。
【0028】
なお、図示していないが、正極端子12aと負極端子13aとには、それぞれ、半田付け、スポット溶接などによってリード線を取り付けて使用してもよい。また、比較的に細いリード線を使用することによって、第1開口端部18及び/又は第2開口端部19をヒートシール加工によって封止するときに、外包シート11とともにリード線を固定することができる。また、外包シート11の各構成部材を積層した状態で挟み込む力では、各構成部材を十分に保持することができないときには、開孔性プラスチックフィルム、複数の開口を有する硬質プラスチック材料から作られた外装部材によって外包シート11を被包してもよい。
【0029】
図4(a)〜(c)は、外包シート11の組立工程を示す図、図5は、外包シート11の製造工程の一部を示す概略図である。図5において、機械方向はMD、機械方向MDと直交する方向はCDで示している。また、図5において、説明の便宜上、切断ライン52を2点鎖線で示している。
【0030】
図4(a)に示すとおり、組立前の外包シート11は、段部40aを有する階段状の第1側縁22と、段部41a,41bを有する第2側縁41と、第1側縁22と第2側縁41とをつないで互いに並行に延びる第1及び第2端縁24,44とから画成された扁平形状を呈する。また、外包シート11は、第1端縁24と交差する第2側縁41の部位と連なって第2端縁44に向かって直状に延び、第2端縁44を2等分する折曲線45と、折曲線45によって区分された第1及び第2部位46,47とを有する。
【0031】
かかる態様を有する外包シート11において、図4(b)に示すように、折曲線45に沿って第2部位47を第1部位46に向かって折り曲げ、それらを互いに重ね合わせる。次に、図4(c)に示すとおり、第1部位46と第2部位47とを折り重ねた状態において、第2部位47の段部41a,41bとそれに対向する第1部位46、重ね合わされた第2端縁44どうしとをそれぞれ接着剤又はヒートシール加工からなる第1〜3接合部30,32,33において接合する。第1部位46と第2部位47とが第1〜3接合部30,32,33によって接合されることによって、第1及び第2保持部28,29が形成される。
【0032】
このように、外包シート11は、1枚のシートから形成さており、折曲線45を折り曲げることによって第1及び第2保持部28,29が形成されているので、第1及び第2保持部28,29の底部には折曲線45が位置し、底部から正極活物質14が脱落するおそれはない。また、第1〜第3接合部30,32,33は、同一の方向に延びているので、ヒートシール加工をするときには、それらを一度のプレス処理によって封止することができる。
【0033】
図5に示すとおり、外包シート11の製造工程において、外包シート11の基材となる繊維不織布シート49は、供給ロール50を介して搬送ベルト51上に供給されて機械方向MDに搬送され、切断ライン52に沿って切断手段53によって切断されて各外包シート11が形成されている。切断ライン52は、機械方向MD及び直交方向CDにおいて連続して外包シート11を形成できるような形状を有しており、具体的には、直交方向CDにおいて対向する一対の外包シート11の第2側縁41は、共通する切断部位52aに沿ってカットすることによって形成されている。
【0034】
繊維不織布シート49が、かかる形状を有する切断ラインによって切断されることによって、外包シート11が機械方向MDにのみ連なるような切断ラインによって繊維不織布シート49を切断する場合に比して、繊維不織布シート49から生じるトリム54,55を最小限に抑えることができ、基材の無駄をなくすことができる。
【0035】
本発明に係る水電池10は、その機能が発揮される限りにおいて様々な分野に用いることができるが、例えば、使い捨ておむつの内部にセンサ機能を有する超小型機器とともに水電池10を配置し、排出された尿が外包シート11に浸透することによって水電池10が発電してセンサ機能を作動させたり、湿度の変化する限られた空間に水電池10を配置し、該空間が所定以上の湿度に達したときに、発生した水分を吸収して水電池10が発電し、センサ機能を作動させたりすることなどに用いることができる。さらに、医療現場等において、点滴時の点滴液の漏れや採決時の導液管からの血液の漏出を早期に感知するために、水電池10を医療用の固定テープや絆創膏の内面又は外面に配置して、流出するそれらの液体を触媒として発電させて付随するセンサ機器によって信号を発信することによって、それらの医療事故を未然に防ぐためのツールとしても活用できる。
【0036】
なお、水電池10を構成する各部材としては、前記の材料以外に、この種の物品に用いられる材料を制限なく用いることができる。また、図示していないが、本発明に係る水電池10を複数個並列に積層させることによって、1つの水電池10による起電力よりも数倍〜数百倍の起電力を生じさせることもできる。
【符号の説明】
【0037】
10 水電池
11 外包シート
12 正極電極板
12a 正極端子
13 負極電極板
13a 負極端子
14 正極活物質
21A 外包シートの第1面
21B 外包シートの第2面
27 基部
28 第1保持部
29 第2保持部
30 第1折曲線
34 第2折曲線
35 段部
50 繊維不織布シート
52 切断ライン
53 切断手段
段部の縦方向の長さ寸法
第2保持部の縦方向の長さ寸法
X 横方向
Y 縦方向
図1
図2
図3
図4
図5