特許第5695881号(P5695881)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5695881
(24)【登録日】2015年2月13日
(45)【発行日】2015年4月8日
(54)【発明の名称】電子部品の接続方法及び接続構造体
(51)【国際特許分類】
   H01R 11/01 20060101AFI20150319BHJP
   H01B 5/14 20060101ALI20150319BHJP
   H01B 13/00 20060101ALI20150319BHJP
   H01B 5/16 20060101ALI20150319BHJP
   H05K 1/14 20060101ALI20150319BHJP
【FI】
   H01R11/01 501C
   H01B5/14 Z
   H01B13/00 503Z
   H01B5/16
   H05K1/14 J
   H05K1/14 C
【請求項の数】4
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2010-241865(P2010-241865)
(22)【出願日】2010年10月28日
(65)【公開番号】特開2011-49175(P2011-49175A)
(43)【公開日】2011年3月10日
【審査請求日】2013年9月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000108410
【氏名又は名称】デクセリアルズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100067736
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 晃
(74)【代理人】
【識別番号】100096677
【弁理士】
【氏名又は名称】伊賀 誠司
(74)【代理人】
【識別番号】100106781
【弁理士】
【氏名又は名称】藤井 稔也
(74)【代理人】
【識別番号】100113424
【弁理士】
【氏名又は名称】野口 信博
(74)【代理人】
【識別番号】100150898
【弁理士】
【氏名又は名称】祐成 篤哉
(72)【発明者】
【氏名】塚尾 怜司
(72)【発明者】
【氏名】石松 朋之
(72)【発明者】
【氏名】大関 裕樹
【審査官】 片岡 弘之
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−259945(JP,A)
【文献】 特開昭63−310581(JP,A)
【文献】 特開平08−279371(JP,A)
【文献】 特開2007−182062(JP,A)
【文献】 国際公開第2006/093315(WO,A1)
【文献】 国際公開第2008/029580(WO,A1)
【文献】 国際公開第2009/078409(WO,A1)
【文献】 特開2009−135388(JP,A)
【文献】 特開2007−041389(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 11/01
H01B 5/14
H01B 5/16
H01B 13/00
H05K 1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
接続端子が形成された第1の電子部品上に、絶縁性樹脂に導電性粒子が含まれない絶縁性樹脂層からなる単層領域と、前記絶縁性樹脂層と絶縁性樹脂に導電性粒子が分散された導電性粒子含有層とからなる2層域とを有する異方性導電フィルムを仮設置し、該異方性導電フィルム上に、接続端子が形成された端子領域と接続端子の回路パターンを保護する回路保護材が形成された回路保護領域とを有する第2の電子部品を仮設置する仮設置工程と、
前記第1の電子部品と前記第2の電子部品とを熱圧着し、前記第1の電子部品の接続端子と、前記第2の電子部品の接続端子とを接続させる接続工程とを有し、
前記仮設置工程では、前記異方性導電フィルムの単層領域上に前記第2の電子部品の回路保護領域と端子領域との境界が位置し、前記異方性導電フィルムの2層領域上に前記第2の電子部品の端子領域が位置するように前記異方性導電フィルムを仮設置する電子部品の接続方法。
【請求項2】
前記仮設置工程では、前記異方性導電フィルムの単層領域の中心部に第2の電子部品の回路保護領域と端子領域との境界が位置するように前記異方性導電フィルムを仮設置する請求項1記載の電子部品の接続方法。
【請求項3】
前記第1の電子部品は、画像表示パネルのガラス基板であり、
前記第2の電子部品は、フレキシブル配線基板であり、
前記仮設置工程では、前記絶縁樹脂層が前記フレキシブル配線板側となるように前記異方性導電フィルムを仮設置する請求項1又は2記載の電子部品の接続方法。
【請求項4】
請求項1乃至3記載の接続方法により第1の電子部品と第2の電子部品とが電気的に接続された接続構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電性粒子が分散された異方性導電フィルムを介して電子部品を接続する接続方法及び接続構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、LCD(Liquid Crystal Display)パネル、PD(Plasma Display)パネル等の基板と、FPC(Flexible Printed Circuits)、COF(Chip On Film)、TCP(Tape Carrier Package)等の配線材とを、異方性導電フィルム(ACF:Anisotropic Conductive Film)を用いて接続している。配線材には、回路を保護する回路保護材(ソルダーレジスト)が形成されており、レジスト層が異方性導電フィルムと接触した状態で圧着されることにより、接続強度の向上、及び配線間への異物侵入防止が図られている(例えば、特許文献1、2参照。)。
【0003】
しかしながら、回路保護材が異方性導電フィルムと接触した状態で圧着される際、流動した導電性粒子が回路保護材端部に詰まり、隣接接続端子間でショートが発生することがある。また、回路保護材と基板との間に導電性粒子が詰まり、押し込みによる樹脂の排除が不十分となり、接続端子間の接続抵抗が上がってしまうことがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−135388号公報
【特許文献2】特開2007−41389号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、このような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、高い接続信頼性を得ることができる電子部品の接続方法及び接続構造体を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明に係る電子部品の接続方法は、接続端子が形成された第1の電子部品上に、絶縁性樹脂に導電性粒子が含まれない絶縁性樹脂層からなる単層領域と、前記絶縁性樹脂層と絶縁性樹脂に導電性粒子が分散された導電性粒子含有層とからなる2層域とを有する異方性導電フィルムを仮設置し、該異方性導電フィルム上に、接続端子が形成された端子領域と接続端子の回路パターンを保護する回路保護材が形成された回路保護領域とを有する第2の電子部品を仮設置する仮設置工程と、前記第1の電子部品と前記第2の電子部品とを熱圧着し、前記第1の電子部品の接続端子と、前記第2の電子部品の接続端子とを接続させる接続工程とを有し、前記仮設置工程では、前記異方性導電フィルムの単層領域上に前記第2の電子部品の回路保護領域と端子領域との境界が位置し、前記異方性導電フィルムの2層領域上に前記第2の電子部品の端子領域が位置するように前記異方性導電フィルムを仮設置することを特徴としている。
【0007】
また、本発明に係る接続構造体は、上述した接続方法により第1の電子部品と第2の電子部品とが電気的に接続されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、熱圧着の際、導電性粒子が回路保護材まで到達するのを防ぐとこができるため、導電性粒子が回路保護材端部に詰まるのを防止し、隣接接続端子間でショートが発生するのを防ぐことができる。また、回路保護材と基板との間に導電性粒子が詰まるのを防止し、押し込みによる樹脂の排除が十分に行われ、接続端子間の接続抵抗が上がるのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施の形態に係る電子部品の実装方法を説明するための図である。
図2】従来の電子部品の実装方法を説明するための図である。
図3】本発明の一実施の形態に係る異方性導電フィルムを示す断面図である。
図4】異方性導電フィルムの製造方法の一例を示す図である。
図5】実施例1〜3における電子部品の実装方法を説明するための図である。
図6】比較例1〜3における電子部品の実装方法を説明するための図である。
図7】比較例4〜6における電子部品の実装方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら下記順序にて詳細に説明する。
1.電子部品の接続方法
2.異方性導電フィルム
3.実施例
【0013】
<1.電子部品の接続方法>
図1は、本実施の形態における電子部品の接続方法を説明するための図である。具体例として示す電子部品の接続方法は、第1の電子部品11の端子と第2の電子部品12の端子との間に、導電性粒子含有層21と絶縁性樹脂層22とを有する異方性導電フィルム20を介在させ、これらを加熱押圧することにより、第1の電子部品11の端子と第2の電子部品12の端子とを接続させるものである。
【0014】
第1の電子部品11は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)パネル、PD(Plasma Display)パネルなどのガラス基板であり、第2の電子部品12と接続するための端子が形成されている。
【0015】
第2の電子部品12は、例えば、FPC(Flexible Printed Circuits)、COF(Chip On Film)、TCP(Tape Carrier Package)などの配線材であり、第1の電子部品11と接続するための端子が形成されている。また、第2の電子部品12には、端子回路を保護する回路保護材(ソルダーレジスト)13が形成され、回路保護材13が形成された回路保護領域14と端子が露出した端子領域15とが形成されている。
【0016】
異方性導電フィルム20は、後述のように、絶縁性樹脂に導電性粒子が分散された導電性粒子含有層21と、絶縁性樹脂に導電性粒子が含まれない絶縁性樹脂層22とから構成されている。また、異方性導電フィルム20は、絶縁性樹脂層22の1層構造からなる単層領域23と、導電性粒子含有層21と絶縁性樹脂層22との2層構造からなる2層領域24とを有する。
【0017】
本実施の形態における電子部品の接続方法は、第1の電子部品11上に異方性導電フィルム20を仮設置し、異方性導電フィルム20上に第2の電子部品12を仮設置する仮設置工程と、第1の電子部品11と第2の電子部品12とを熱圧着し、第1の電子部品11の接続端子と、第2の電子部品12の接続端子とを接続させる接続工程とを有する。
【0018】
仮設置工程では、図1(A)に示すように、異方性導電フィルム20の単層領域23上に第2の電子部品12の回路保護領域14と端子領域15との境界16が位置し、異方性導電フィルム20の2層領域24上に第2の電子部品12の端子領域15が位置するように異方性導電フィルム20を仮設置する。より好ましくは、異方性導電フィルム20の単層領域24の中心部に第2の電子部品12の回路保護領域14と端子領域15との境界16が位置するように異方性導電フィルム20を仮設置する。これにより、高い接続信頼性を得ることができる。また、特に、第1の電子部品11が画像表示パネルのガラス基板であり、第2の電子部品12がフレキシブル配線基板である場合、絶縁性樹脂層22がフレキシブル基板側となるように異方性導電フィルムを仮配置することで、粒子捕捉性を向上させることができる。
【0019】
次の接続工程では、図1(B)に示すように、回路保護領域14と端子領域15との境界16の部分aにおいて、導電性粒子が回路保護材13まで到達しない状態で接続端子間が接続される。これにより、導電性粒子が回路保護材13端部に詰まるのを防ぐことができ、隣接接続端子間でショートが発生するのを防ぐことができる。また、回路保護材13と基板11との間に導電性粒子が詰まるのを防ぐことができるため、押し込みによる樹脂の排除が十分に行われ、接続端子間の接続抵抗が上がるのを防止することができる。
【0020】
一方、図2は、従来の電子部品の実装方法を説明するための図である。従来の電子部品の実装方法では、図2(A)に示すように、導電性粒子含有層31と絶縁性樹脂層32の2層構造からなる異方性導電フィルムを用い、第2の電子部品12の回路保護領域14と端子領域15との境界16上に導電性粒子含有層31が存在している。したがって、図2(B)に示すように、熱圧着時の導電性粒子の流動により、導電性粒子が回路保護材13端部に詰まり、隣接接続端子間でショートが発生してしまう。また。回路保護材13と基板11との間に導電性粒子が詰まってしまい、押し込みによる樹脂の排除が十分に行われず、接続端子間の接続抵抗が上がってしまう。
【0021】
<2.異方性導電フィルム>
次に、本実施の形態における異方性導電フィルムについて説明する。図3は、本発明の一実施の形態に係る異方性導電フィルムを示す断面図である。この異方性導電フィルム20は、絶縁性樹脂に導電性粒子が分散された導電性粒子含有層21と、絶縁性樹脂に導電性粒子が含まれない絶縁性樹脂層22とから構成されている。
【0022】
また、異方性導電フィルム20は、絶縁性樹脂層22の1層構造からなる単層領域23と、導電性粒子含有層21と絶縁性樹脂層22との2層構造からなる2層領域24とを有する。導電性粒子含有層21の幅は、絶縁性樹脂層22の幅よりも小さく形成されており、導電性粒子含有層21の幅方向の一方の端部は、絶縁性樹脂層22の端部と同じ位置に貼り付けられている。すなわち、単層領域23の幅方向の長さは、導電性粒子含有層21と絶縁性樹脂層22の幅方向の差となる。具体的には、絶縁性樹脂層22の幅方向の長さが1000〜2000μmの場合、導電性粒子含有層21と絶縁性樹脂層22の幅方向の差は100〜500μmであることが好ましく、100〜300μmであることがさらに好ましい。導電性粒子含有層21と絶縁性樹脂層22の幅方向の差が、100〜500μmであることにより、熱圧着時の導電性粒子含有層21の流動により回路保護材13端部で発生する導電性粒子の詰まりを防止することができる。
【0023】
異方性導電フィルム20の導電性粒子含有層21は、膜形成樹脂と、熱硬化性樹脂と、硬化剤と、導電性粒子とを少なくとも含有する。
【0024】
膜形成樹脂は、平均分子量が10000以上の高分子量樹脂に相当し、フィルム形成性の観点から、10000〜80000程度の平均分子量であることが好ましい。膜形成樹脂としては、フェノキシ樹脂、ポリエステルウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、ブチラール樹脂などの種々の樹脂が挙げられ、これらは単独で用いても良いし、2種類以上を組み合わせて用いても良い。これらの中でも膜形成状態、接続信頼性などの観点からフェノキシ樹脂が好適に用いられる。
【0025】
熱硬化性樹脂は、エポキシ樹脂、常温で流動性を有する液状エポキシ樹脂などを単独で用いても2種以上を混合して用いてもよい。エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂や、ゴム、ウレタン等の各種変成エポキシ樹脂等が例示され、これらは単独でも、2種以上を混合して用いてもよい。また、液状エポキシ樹脂としては、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂などを用いることができ、これらは単独でも、2種以上を混合して用いてもよい。
【0026】
硬化剤は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、加熱により活性化する潜在性硬化剤、加熱により遊離ラジカルを発生させる潜在性硬化剤などを用いることができる。加熱により活性化する潜在性硬化剤としては、例えば、ポリアミン、イミダゾール等のアニオン系硬化剤やスルホニウム塩などのカチオン系硬化剤などが挙げられる。
【0027】
導電性粒子は、電気的に良好な導体であるものであれば使用でき、例えば、銅、銀、ニッケル等の金属粉末や樹脂よりなる粒子を上記金属により被覆したものが挙げられる。また、導電性粒子の全表面を絶縁性の皮膜で被覆したものを用いてもよい。
【0028】
その他の添加組成物として、シランカップリング剤を添加することが好ましい。シランカップリング剤としては、エポキシ系、アミノ系、メルカプト・スルフィド系、ウレイド系などを用いることができる。これらの中でも、本実施の形態では、エポキシ系シランカップリング剤が好ましく用いられる。これにより、有機材料と無機材料の界面における接着性を向上させることができる。また、無機フィラーを添加させてもよい。無機フィラーとしては、シリカ、タルク、酸化チタン、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム等を用いることができ、無機フィラーの種類は特に限定されるものではない。無機フィラーの含有量により、流動性を制御し、粒子捕捉率を向上させることができる。また、ゴム成分なども接合体の応力を緩和させる目的で、適宜使用することができる。
【0029】
また、異方性導電フィルム20の絶縁性樹脂層22は、膜形成樹脂と、熱硬化性樹脂と、硬化剤とを含有する。膜形成樹脂、熱硬化性樹脂、及び硬化剤は、導電性粒子含有層21と同様なものを用いることができる。また、導電性粒子含有層21と同様に、シランカップリング剤、無機フィラー、ゴム成分などの添加組成物を添加することが好ましい。
【0030】
上述した異方性導電フィルム20は、導電性粒子含有層21と絶縁性樹脂層22とを積層させて製造される。具体的には、剥離基材上に導電性粒子含有層21の樹脂組成物を塗布し、乾燥させ導電性粒子含有層21を形成し、同様にして絶縁性樹脂層22を形成する形成工程と、導電性粒子含有層21と絶縁性樹脂層22とを貼り合わせる貼り合わせ工程とを有する。
【0031】
形成工程では、導電性粒子含有層21、又は絶縁性樹脂層22の樹脂組成物をバーコーター、塗布装置などを用いて剥離基材上に塗布し、剥離基材上の樹脂組成物を熱オーブン、加熱乾燥装置などを用いて乾燥させ、所定の厚さの層を形成する。
【0032】
貼り合わせ工程では、形成工程にて形成された所定の厚さの導電性粒子含有層21、及び絶縁性樹脂層22を貼り合わせ、積層させる。例えば、図4に示すように、導電性粒子含有層21をリールに巻き取って作製した導電性粒子含有樹脂テープ41と、導電性粒子含有層21よりも所定幅大きい絶縁性樹脂層22をリールに巻き取って作製した絶縁性樹脂テープ42とを貼り合わせ装置43に通して貼り合わせ、巻き取り、幅方向の一方に所定幅の絶縁性樹脂層22からなる単層領域23を有する異方性導電フィルムテープ44を作製する。
【0033】
なお、上述のような製造方法に限られず、剥離基材上に絶縁性樹脂層22の樹脂組成物を塗布、乾燥させて絶縁性樹脂層22を形成し、その上に同様にして、導電性粒子含有層21を形成してもよい。また、任意の幅にカットした矩形の導電性粒子含有層21のフィルムと絶縁性樹脂層22のフィルムとを貼り合わせて異方性導電フィルムを作製してもよい。
【実施例】
【0034】
<3.実施例>
以下、本発明の実施例について説明する。ここでは、導電性粒子含有層、及び絶縁性樹脂層を作製し、これらを貼り合わせて2層構造の異方性導電フィルムを作製した。そして、異方性導電フィルムを介して半導体素子と基板とを熱圧着させて実装体を作製し、実装体における粒子捕捉数及び接続抵抗値を評価した。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0035】
[導電性粒子含有層の作製]
フェノキシ樹脂(品名:PKHC、巴工業社製)を45質量部、ラジカル重合性樹脂(品名:EB−600、ダイセル・サイテック社製)を50質量部、疎水性シリカ(品名:AEROSIL972、EVONIK社製)を3質量部、シランカップリング剤(品名:KBM−503、信越化学工業社製)を2質量部、及び反応開始剤(品名:パーヘキサC,日本油脂社製)を3質量部配合した樹脂組成物に、導電性粒子(品名:AUL704、積水化学工業社製)を粒子密度6000個/mmとなるように分散させたものをバーコーターにより剥離基材上に塗布し、剥離基材上の樹脂組成物を熱オーブンにより乾燥させ、厚み8μmの導電性粒子含有層を得た。
【0036】
[絶縁性樹脂層の作製]
フェノキシ樹脂(品名:PKHC、巴工業社製)を55質量部、ラジカル重合性樹脂(品名:EB−600、ダイセル・サイテック社製)を45質量部、及び反応開始剤(品名:パーヘキサC,日本油脂社製)を3質量部配合した樹脂組成物をバーコーターにより剥離基材上に塗布し、剥離基材上の樹脂組成物を熱オーブンにより乾燥させ、厚み8μmの絶縁性樹脂層を得た。
【0037】
[導電性フィルムの作製]
導電性粒子含有層を1.2mm幅にスリットし、リールに巻き取って導電性粒子含有層テープを作製した。また、絶縁性樹脂層を1.5mm幅にスリットし、リールに巻き取って絶縁性樹脂層テープを作製した。導電性粒子含有層テープと絶縁性樹脂層テープとを貼り合わせ装置に通して貼り合わせ、巻き取り、幅方向の一方に0.3mm幅の絶縁樹脂層からなる単層領域と1.2mm幅の2層領域を有する異方性導電フィルムを作製した。
【0038】
[実装体の作製]
第1の電子部品としてガラス基板であるITOコーティングガラス(全面ITOコート、ガラス厚0.7mm、面取り0.3mm)、及び第2の電子部品としてフレキシブル配線基板であるソルダーレジストが形成されたCOF(50μmP、Cu8μmt−Snめっき、S/R PI系,PI38μmt−SperFlex基材)を用い、ITOコーティングガラスとCOFとの接合を行った。ITOコーティングガラス上の所定位置に異方性フィルムを仮貼りし、その上にCOFを仮固定した後、緩衝材として150μmtのテフロンが被覆された1.5mm幅のヒートツールを用いて、190℃‐4MPa−10secの接合条件で接合を行い、実装体を完成させた。
【0039】
[導通抵抗試験]
実装体について、デジタルマルチメータ(品番:デジタルマルチメータ7555、横河電機社製)を用いて4端子法にて電流1mAを流したときの導通抵抗値(初期)の測定を行った。また、温度85℃、湿度85%RH、500時間のTHテスト(Thermal Humidity Test)後の導通抵抗を測定した。
【0040】
[ショート試験]
実装体に15Vの電圧を印加し、100chの絶縁抵抗測定を行い、ショート数をカウントした。
【0041】
[接着強度試験]
実装体を引張強度50cm/minで90°方向に剥離したときの剥離強度(N/cm)を、剥離強度試験機(テンシロン、オリエンテック社製)を用いて測定した。
【0042】
[実施例1]
図5(A)は、実施例1における電子部品の実装方法を説明するための断面図である。ここでは、1.2mm幅の導電性粒子含有層61と1.5mm幅の絶縁性樹脂層62とを貼り合わせ装置に通して貼り合わせ、0.3mm幅の絶縁性樹脂層62からなる単層領域63と、1.2mm幅の2層構造の2層領域64とを有する段差異方性導電フィルムを用いた。
【0043】
図5(A)に示すように、回路保護領域54と端子領域55との境界56が、異方性導電フィルムの単層領域63と2層領域64との境界と一致するように異方性導電フィルムを仮貼りした。すなわち、段差異方性導電フィルムとソルダーレジスト53とが、0.3mm重なるように異方性導電フィルムを仮貼りした。そして、上述した接合条件にて接合を行い、ソルダーレジスト53の端部が段差異方性導電フィルムに接着された状態の実装体を得た。
【0044】
実装体の初期の導通抵抗は1.24Ω、THテスト後の導通抵抗は1.47Ωであった。また、ショート数は0であり、接着強度は6.6N/cmであった。表1にこれらの結果を示す。
【0045】
[実施例2]
図5(B)は、実施例2における電子部品の実装方法を説明するための断面図である。実施例1と同様に、1.2mm幅の導電性粒子含有層61と1.5mm幅の絶縁性樹脂層62とを貼り合わせ装置に通して貼り合わせ、0.3mm幅の絶縁性樹脂層62からなる単層領域63と、1.2mm幅の2層構造の2層領域64とを有する段差異方性導電フィルムを用いた。
【0046】
図5(B)に示すように、回路保護領域54と端子領域55との境界56が、異方性導電フィルムの単層領域63の中心部となるように段差異方性導電フィルムを仮貼りした。すなわち、段差異方性導電フィルムとソルダーレジスト53とが、0.15mm重なるように異方性導電フィルムを仮貼りした。そして、上述した接合条件にて接合を行い、ソルダーレジスト53の端部が段差異方性導電フィルムに接着された状態の実装体を得た。
【0047】
実装体の初期の導通抵抗は1.11Ω、THテスト後の導通抵抗は1.32Ωであった。また、ショート数は0であり、接着強度は6.5N/cmであった。表1にこれらの結果を示す。
【0048】
[実施例3]
図5(C)は、実施例3における電子部品の実装方法を説明するための断面図である。実施例1と同様に、1.2mm幅の導電性粒子含有層61と1.5mm幅の絶縁性樹脂層62とを貼り合わせ装置に通して貼り合わせ、0.3mm幅の絶縁性樹脂層62からなる単層領域63と、1.2mm幅の2層構造の2層領域64とを有する段差異方性導電フィルムを用いた。
【0049】
図5(C)に示すように、回路保護領域54と端子領域55との境界56が、異方性導電フィルムの端部、すなわち絶縁性樹脂層62の端部となるように段差異方性導電フィルムを仮貼りした。そして、上述した接合条件にて接合を行い、ソルダーレジスト53の端部が異方性導電フィルムに接着された状態の実装体を得た。
【0050】
実装体の初期の導通抵抗は1.12Ω、THテスト後の導通抵抗は1.34Ωであった。また、ショート数は0であり、接着強度は5.8N/cmであった。表1にこれらの結果を示す。
【0051】
[比較例1]
図6(A)は、比較例1における電子部品の実装方法を説明するための断面図である。ここでは、1.5mm幅の導電性粒子含有層71と1.5mm幅の絶縁性樹脂層72とを貼り合わせ装置に通して貼り合わせ、1.5mm幅の2層構造を有する異方性導電フィルムを用いた。
【0052】
図6(A)に示すように、回路保護領域54と端子領域55との境界56上に異方性導電フィルムを仮貼りした。具体的には、異方性導電フィルムとソルダーレジスト53とが0.3mm重なるように異方性導電フィルムを仮貼りした。そして、上述した接合条件にて接合を行い、ソルダーレジスト53の端部が異方性導電フィルムに接着された状態の実装体を得た。
【0053】
実装体の初期の導通抵抗は1.37Ω、THテスト後の導通抵抗は1.82Ωであった。また、ショート数は4であり、接着強度は6.4N/cmであった。表1にこれらの結果を示す。
【0054】
[比較例2]
図6(B)は、比較例2における電子部品の実装方法を説明するための断面図である。比較例1と同様に、1.5mm幅の導電性粒子含有層71と1.5mm幅の絶縁性樹脂層72とを貼り合わせ装置に通して貼り合わせ、1.5mm幅の2層構造を有する異方性導電フィルムを用いた。
【0055】
図6(B)に示すように、回路保護領域54と端子領域55との境界56上に異方性導電フィルムを仮貼りした。具体的には、異方性導電フィルムとソルダーレジスト53とが0.15mm重なるように異方性導電フィルムを仮貼りした。そして、上述した接合条件にて接合を行い、ソルダーレジスト53の端部が異方性導電フィルムに接着された状態の実装体を得た。
【0056】
実装体の初期の導通抵抗は1.34Ω、THテスト後の導通抵抗は1.79Ωであった。また、ショート数は3であり、接着強度は6.5N/cmであった。表1にこれらの結果を示す。
【0057】
[比較例3]
図6(C)は、比較例3における電子部品の実装方法を説明するための断面図である。比較例1と同様に、1.5mm幅の導電性粒子含有層71と1.5mm幅の絶縁性樹脂層72とを貼り合わせ装置に通して貼り合わせ、1.5mm幅の2層構造を有する異方性導電フィルムを用いた。
【0058】
図6(C)に示すように、回路保護領域54と端子領域55との境界56上に異方性導電フィルムを仮貼りした。具体的には、回路保護領域54と端子領域55との境界56が、異方性導電フィルムの端部となるように異方性導電フィルムを仮貼りした。そして、上述した接合条件にて接合を行い、ソルダーレジスト53の端部が異方性導電フィルムに接着された状態の実装体を得た。
【0059】
実装体の初期の導通抵抗は1.22Ω、THテスト後の導通抵抗は1.45Ωであった。また、ショート数は2であり、接着強度は5.9N/cmであった。表1にこれらの結果を示す。
【0060】
[比較例4]
図7(A)は、比較例4における電子部品の実装方法を説明するための断面図である。ここでは、1.5mm幅の導電性粒子含有層81と1.3mm幅の絶縁性樹脂層82とを貼り合わせ装置に通して貼り合わせ、0.2mm幅の導電性粒子含有層81からなる単層領域83と、1.3mm幅の2層構造の2層領域84とを有する異方性導電フィルムを用いた。
【0061】
図7(A)に示すように、回路保護領域54と端子領域55との境界56上に異方性導電フィルムを仮貼りした。具体的には、異方性導電フィルムとソルダーレジスト53とが、0.3mm重なるように異方性導電フィルムを仮貼りした。そして、上述した接合条件にて接合を行い、ソルダーレジスト53の端部が異方性導電フィルムに接着された状態の実装体を得た。
【0062】
実装体の初期の導通抵抗は1.23Ω、THテスト後の導通抵抗は1.45Ωであった。また、ショート数は4であり、接着強度は6.4N/cmであった。表1にこれらの結果を示す。
【0063】
[比較例5]
図7(B)は、比較例5における電子部品の実装方法を説明するための断面図である。比較例4と同様に、1.5mm幅の導電性粒子含有層81と1.3mm幅の絶縁性樹脂層82とを貼り合わせ装置に通して貼り合わせ、0.2mm幅の導電性粒子含有層81からなる単層領域83と、1.3mm幅の2層構造の2層領域84とを有する異方性導電フィルムを用いた。
【0064】
図7(B)に示すように、回路保護領域54と端子領域55との境界56が、異方性導電フィルムの導電性粒子含有層81からなる単層領域83と2層領域84との境界と一致するように異方性導電フィルムを仮貼りした。すなわち、異方性導電フィルムとソルダーレジスト53とが、0.2mm重なるように異方性導電フィルムを仮貼りした。そして、上述した接合条件にて接合を行い、ソルダーレジスト53の端部が異方性導電フィルムに接着された状態の実装体を得た。
【0065】
実装体の初期の導通抵抗は1.10Ω、THテスト後の導通抵抗は1.31Ωであった。また、ショート数は4であり、接着強度は5.7N/cmであった。表1にこれらの結果を示す。
【0066】
[比較例6]
図7(C)は、比較例6における電子部品の実装方法を説明するための断面図である。比較例4と同様に、1.5mm幅の導電性粒子含有層81と1.3mm幅の絶縁性樹脂層82とを貼り合わせ装置に通して貼り合わせ、0.2mm幅の導電性粒子含有層81からなる単層領域83と、1.3mm幅の2層構造の2層領域84とを有する異方性導電フィルムを用いた。
【0067】
図5(C)に示すように、回路保護領域54と端子領域55との境界56が、異方性導電フィルムの端部、すなわち導電性粒子含有層81の端部となるように異方性導電フィルムを仮貼りした。そして、上述した接合条件にて接合を行い、ソルダーレジスト53の端部が異方性導電フィルムに接着された状態の実装体を得た。
【0068】
実装体の初期の導通抵抗は1.11Ω、THテスト後の導通抵抗は1.32Ωであった。また、ショート数は1であり、接着強度は4.8N/cmであった。表1にこれらの結果を示す。
【0069】
【表1】
【0070】
比較例1〜3の導電性粒子含有層71と絶縁性樹脂層72の幅に差が無い異方性導電フィルム、及び比較例4〜6の導電性粒子含有層81の幅が絶縁性樹脂層82の幅よりも大きい異方性導電フィルムでは、図6(A)〜(C)、及び図7(A)〜(C)示すように配置しても、ショートが発生した。
【0071】
一方、実施例1〜3の導電性粒子含有層61の幅が絶縁性樹脂層62の幅よりも小さい異方性導電フィルムでは、異方性導電フィルムの単層領域63上にCOF52の回路保護領域54と端子領域55との境界56を配置するとともに、異方性導電フィルムの2層領域64上にCOF52の端子領域55を配置することにより、導通抵抗を低下させ、ショートの発生を防止し、接着強度を向上させ、高い接続信頼性を得ることができた。
【符号の説明】
【0072】
11 第1の電子部品、12 第2の電子部品、13 回路保護材、14 回路保護領域、15 端子領域、16 境界、20 異方性導電フィルム、21 導電性粒子含有層、22 絶縁性樹脂層、23 単層領域、24 2層領域、31 導電性粒子含有層、32 絶縁性樹脂層、41 導電性粒子含有樹脂テープ、42 絶縁性樹脂テープ、43 貼り合わせ装置、44 異方性導電フィルムテープ、 51 ITOコーティングガラス、52 COF、53 ソルダーレジスト、54 回路保護領域、55 端子領域、56 境界、61 導電性粒子含有層、62 絶縁性樹脂層、63 単層領域、64 2層領域、71 導電性粒子含有層、72 絶縁性樹脂層、81 導電性粒子含有層、82 絶縁性樹脂層、83 単層領域、84 2層領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7