(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0027】
図3は本発明の光源装置の構成例を示す図である。なお、
図3において
図2と同様の箇所には同じ符号を付している。
図3を参照すると、本発明の光源装置は、
図2に示した先願の光源装置と同様に、紫外光から可視光までの波長領域のうちの所定の波長の光を発光する固体光源5と、該固体光源5からの励起光により励起され該固体光源5の発光波長よりも長波長の蛍光を発光する少なくとも1種類の蛍光体を含む蛍光体層12とを備え、固体光源5と蛍光体層12とを空間的に離して配置し、蛍光体層12の面のうち励起光が入射する側の面から反射方式で蛍光を取り出すようになっている。なお、
図3において、符号6は放熱基板であり、符号7は蛍光体層12と放熱基板6とを接合する接合部7である。
【0028】
このように、本発明の光源装置も、固体光源5と蛍光体層12とを空間的に離して配置し、蛍光体層12の面のうち励起光が入射する側の面から反射方式で蛍光を取り出すようになっていることで、従来に比べて十分な高輝度化を図ることができる。
【0029】
ところで、本発明の光源装置では、蛍光体層12は、少なくとも一部に細孔を有したものとなっている。
【0030】
ここで、蛍光体層12に形成される細孔は、蛍光体層12に光散乱性を付与するためのものであって、蛍光体層12の表面に形成される細孔を開気孔と呼び、蛍光体層12の内部に形成される細孔を閉気孔と呼ぶ。
【0031】
光散乱性を付与するために開気孔を形成する場合、該開気孔の径は、10nm〜20μmの範囲のものが好ましい。特に500nm〜10μmの範囲の径の場合、前方散乱が多く生じるため好ましい。これは励起光や蛍光が可視光である場合、開気孔の径が500nm以上であればMie散乱のうちの前方散乱の成分が多くなり、10μmより大きくなると開気孔による光の反射や屈折により相対的に前方散乱の成分が小さくなる性質があるためである。
【0032】
また、閉気孔を形成することによっても蛍光体層12に光拡散性(光散乱性)を付与することができる。このとき、該閉気孔の径は、10nm〜20μmの範囲のものが好ましい。特に500nm〜10μmの範囲の径の場合、前方散乱が多く生じるため好ましい。これは励起光や蛍光が可視光である場合、該閉気孔の径が500nm以上であればMie散乱のうちの前方散乱の成分が多くなり、10μmより大きくなると閉気孔による光の反射や屈折により相対的に前方散乱の成分が小さくなる性質があるためである。
【0033】
蛍光体層12に光散乱性を付与するために、蛍光体層12に上記開気孔と閉気孔の両方を形成しても良い。
【0034】
細孔を形成する方法として、原料や焼成条件を調整することにより蛍光体層12の焼成時に同時に細孔を形成する手法や、樹脂ビーズのような造孔剤を原料中に添加して焼成し、造孔剤を酸化除去する手法、スプレードライ法により細孔を形成するもの、フェムト秒レーザーやUVレーザーの照射により形成する手法などが知られており、いかなる手法を用いて細孔を形成しても構わない。ただし、以下に示す理由から、蛍光体層12に細孔を形成する手法としては、フェムト秒レーザーのような超短パルスレーザーを用いる手法が最も好ましい。
【0035】
すなわち、該レーザーを用いた細孔形成の場合、焦点位置を制御することにより、蛍光体層12の任意の場所に細孔を形成することが可能である。これにより、マスキング等の工程を必要とせず、容易に光散乱性の異なる領域を形成することができる。このとき、後述の
図14に示すように、細孔濃度を連続的に変化させることも可能である。
【0036】
また、レーザー照射部以外の部分にほとんど熱的、化学的損傷を与えないため、精密に細孔の寸法を揃えることが可能であり、細孔形状のバラツキによる散乱特性のバラツキを抑制することができる。このとき、細孔の寸法に任意の分布を与えることにより、光散乱性の制御を行うことも可能である。
【0037】
このように、フェムト秒レーザーのような超短パルスレーザーを用いた細孔形成の場合、任意に細孔形状を制御することが可能であり、かつ、レーザー照射部以外の部分にほとんど熱的、化学的損傷を与えないため、精密に細孔の寸法を揃えることが可能であり、細孔形状のバラツキによる光散乱特性のバラツキを抑制することができる。また、レーザー照射領域を制御することにより、容易に光散乱性を付与する領域、および細孔の密度や径を変えることができるため、任意の位置に光散乱性の異なる複数の領域を形成することができる。
【0038】
このように、本発明の光源装置では、蛍光体層12が少なくとも一部に細孔を有していることで、蛍光体層12の細孔を有している部分には光散乱性が付与され、これにより、本発明の光源装置は、前述のように従来に比べて十分な高輝度化を図ることができるとともに、以下に示すように、反射光の利用効率の向上と照明光の色バラツキの抑制を図ることができる。
【0039】
図4(a),(b)は、本発明の第1の実施形態の光源装置の構成例を示す図である。なお、
図4(a)は全体の正面図、
図4(b)は蛍光体層12が設けられている部分の平面図であり、
図4(a),(b)において
図3と同様の箇所には同じ符号を付している。
【0040】
図4(a),(b)を参照すると、この光源装置10では、蛍光体層12は、少なくとも励起光の照射範囲に細孔を有している。すなわち、
図4(a),(b)の例では、蛍光体層12は、細孔を有している部分12aと、細孔を有していない部分12bとにより構成されており、蛍光体層12の細孔を有している部分12aに固体光源5からの励起光が入射するようになっている。なお、
図4(b)において、符号SPは、励起光の蛍光体層12上の照射範囲(照射スポット)である。また、以下において、蛍光体層12の細孔を有している部分(細孔形成を行っている部分)12aを光散乱性蛍光体層と呼び、蛍光体層12の細孔を有していない部分(細孔形成を行っていない部分)12bを未処理の蛍光体層と呼ぶ。
【0041】
前述した先願の光源装置では、
図2に示したように、固体光源5からの励起光は、蛍光体層2を励起する際に蛍光体層2において、正反射成分と拡散反射成分とに分かれ、このうち照明光として用いられるものは拡散反射成分のみであり、正反射成分は照明光として用いられておらず、蛍光体層2からの反射光の利用効率を高めるようにはなっていなかったが、
図4(a),(b)の光源装置10では、蛍光体層12の細孔を有している部分(すなわち、光散乱性蛍光体層)12aに固体光源5からの励起光が入射するようになっているので、
図2に示した先願の光源装置に比べて、励起光の拡散反射成分を増加させ、蛍光体層12からの反射光の利用効率を向上させることができる。
【0042】
具体的には、
図4(a),(b)の光源装置10では、蛍光体層12の励起光が照射される部分の表面および/または内部に細孔を形成し、光散乱特性を持たせることで(すなわち、蛍光体層12の励起光が照射される部分を光散乱性蛍光体層12aにすることで)、強い角度依存性を持つ正反射成分を、角度依存性を持たない拡散反射光とすることができ、光散乱性蛍光体層12aの蛍光成分と光散乱性蛍光体層12aで生じた励起光の拡散反射成分とをあわせて照明光として利用することができて、蛍光体層12からの反射光の利用効率を向上させることができる。このとき、光散乱性蛍光体層12aに形成した細孔の密度を調整することにより、光散乱性蛍光体層12aの光散乱特性を調整することができる(励起光の拡散反射成分量を調整することができる)。また、光散乱性蛍光体層12aに形成した細孔の径を変えることによっても、光散乱性蛍光体層12aの光散乱特性を調整することができる(励起光の拡散反射成分量を調整することができる)。
【0043】
なお、
図4(a),(b)の例では、蛍光体層12は、細孔を有している部分12aと、細孔を有していない部分12bとにより構成されているとしたが、蛍光体層12の全てが、細孔を有している部分12aにより構成されていてもよい。
【0044】
図5(a),(b)は、本発明の第2の実施形態の光源装置の構成例を示す図である。なお、
図5(a)は全体の正面図、
図5(b)は蛍光体層12が設けられている部分の平面図であり、
図5(a),(b)において
図4(a),(b)と同様の箇所には同じ符号を付している。
【0045】
図5(a),(b)を参照すると、この光源装置20では、蛍光体層12は、細孔の光散乱性を異にしている部分として、例えば細孔の濃度分布を異にしている部分(
図5(a),(b)の例では、細孔を有している部分(光散乱性蛍光体層)12aと細孔を有していない部分(未処理の蛍光体層)12bとの2つの部分)を有しており、蛍光体層12から離れた位置に励起光の正反射成分を蛍光体層12の方向へ反射するための反射手段21が設けられ、該反射手段21は、励起光の正反射成分を反射し、該反射した励起光の正反射成分のスポットSP1が蛍光体層12の細孔の光散乱性を異にしている部分(すなわち、細孔濃度分布を異にしている部分(12a,12b))のうちの所望の部分を照射可能なように、該反射手段21の角度が調整可能となっている。
【0046】
すなわち、
図5(a),(b)の例では、反射手段21により反射した励起光の正反射成分のスポットSP1が蛍光体層12の細孔の光散乱性を異にしている部分(すなわち、細孔濃度分布を異にしている部分(12a,12b))のうちの所望の部分を照射可能なように、反射手段21の角度を調整するための角度調整手段22が設けられている。ここで、角度調整手段22は、手動によって反射手段21の角度を調整するものであってもよいし、あるいは、ボタンが押され続けている間、反射手段21の角度を徐々に変化させるものなどであってもよく、任意の構成のものにすることができる。また、反射手段21は、ミラーなどの反射部材により構成することができる。
【0047】
なお、
図5(a),(b)の例では、反射手段21の角度は、反射手段21により反射した励起光の正反射成分のスポットSP1が蛍光体層12の細孔を有している部分(光散乱性蛍光体層)12aを照射するように、反射手段21の角度が調整されている場合が示されている。
図5(a),(b)の状態から、角度調整手段22によって反射手段21の角度を調整することで、
図6(a),(b)の状態(反射手段21により反射した励起光の正反射成分のスポットSP1が蛍光体層12の細孔を有している部分(光散乱性蛍光体層)12aと細孔を有していない部分(未処理の蛍光体層)12bとを照射する状態)、
図7(a),(b)の状態(反射手段21により反射した励起光の正反射成分のスポットSP1が蛍光体層12の細孔を有していない部分(未処理の蛍光体層)12bを照射する状態)にすることができる。
【0048】
ここで、
図5(a),(b)の状態では、反射手段21により反射した励起光の正反射成分のスポットSP1が蛍光体層12の細孔を有している部分(光散乱性蛍光体層)12aを照射するように設定されているので、蛍光体層12からの反射光の利用効率を向上させることができるとともに、励起光の拡散反射成分が増加することにより、蛍光体層12から発光する蛍光成分の強度に対して、固体光源5からの励起光成分の強度を高めることができる。例えば、固体光源5が青色光を出射するものであるとし、蛍光体層12が黄色蛍光体のものである場合、黄色蛍光体からの黄色の蛍光成分の強度に対して、青色の励起光成分の強度を高めることができ、結果として、照明光を青味が多い白色光のものにすることができる。
【0049】
一方、
図7(a),(b)の状態では、反射手段21により反射した励起光の正反射成分のスポットSP1が蛍光体層12の細孔を有していない部分(未処理の蛍光体層)12bを照射するように設定されているので、蛍光体層12からの反射光の利用効率を向上させることができるとともに、励起光の拡散反射成分が増加するのを抑え、蛍光体層12から発光する蛍光成分の強度に対して、固体光源5からの励起光成分の強度を弱めることができる。例えば、固体光源5が青色光を出射するものであるとし、蛍光体層12が黄色蛍光体のものである場合、黄色蛍光体からの黄色の蛍光成分の強度に対して、青色の励起光成分の強度を弱めることができ、結果として、照明光を黄味が多い白色光のものにすることができる。
【0050】
また、
図6(a),(b)の状態では、反射手段21により反射した励起光の正反射成分のスポットSP1が蛍光体層12の細孔を有している部分(光散乱性蛍光体層)12aと細孔を有していない部分(未処理の蛍光体層)12bとを照射するように設定されているので、蛍光体層12からの反射光の利用効率を向上させることができるとともに、
図7(a),(b)の状態に比べて、励起光の拡散反射成分をいくらか増加させ、蛍光体層12から発光する蛍光成分の強度に対して、固体光源5からの励起光成分の強度をいくらか高めることができる。例えば、固体光源5が青色光を出射するものであるとし、蛍光体層12が黄色蛍光体のものである場合、黄色蛍光体からの黄色の蛍光成分の強度に対して、青色の励起光成分の強度をいくらか高めることができる。
【0051】
このように、第2の実施形態の光源装置20では、蛍光体層12は、細孔の光散乱性を異にしている部分として、例えば細孔の濃度分布を異にしている部分(上記の例では、細孔を有している部分(光散乱性蛍光体層)12aと細孔を有していない部分(未処理の蛍光体層)12bとの2つの部分)を有しており、蛍光体層12から離れた位置に励起光の正反射成分を蛍光体層12の方向へ反射するための反射手段21が設けられ、該反射手段21は、励起光の正反射成分を反射し、該反射した励起光の正反射成分のスポットSP1が蛍光体層12の細孔の光散乱性を異にしている部分(すなわち、細孔濃度分布を異にしている部分(12a,12b))のうちの所望の部分を照射可能なように、該反射手段21の角度が調整可能となっており、反射手段21の角度を調整することで、照明光の色調整が可能となり、蛍光体層12からの反射光の利用効率の向上と照明光の色バラツキの抑制を図ることができる。
【0052】
ここで、色バラツキとは、照明光に含まれる励起光成分と蛍光成分の強度比が理想値からずれることで発生するものである。特に励起光成分が不足する場合には、励起光成分を補ってやればよく、その補充する励起光成分として、本発明の第2の実施形態では、これまで利用されていなかった励起光の正反射成分を利用するようにしている。
【0053】
具体的には、上述したように、励起光の正反射成分を反射する反射手段21を設け、蛍光体層12に、細孔の光散乱性を異にしている部分として、例えば細孔の濃度分布を異にしている部分(上記の例では、細孔を有している部分(光散乱性蛍光体層)12aと細孔を有していない部分(未処理の蛍光体層)12bとの2つの部分)をもたせ、
図5(a),(b)の状態のように反射手段21による反射光(すなわち、反射した励起光の正反射成分のスポットSP1)を光散乱性蛍光体層12aへ照射することで、強い角度依存性を持つ正反射成分を角度依存性を持たない拡散反射光とすることができ、蛍光体層12の蛍光成分と蛍光体層12で生じた励起光の拡散反射成分とをあわせて照明光として利用することできて、照明光の色バラツキを抑制することが可能となる。
【0054】
また、
図6(a),(b)、
図7(a),(b)の状態のように反射手段21によって反射された正反射成分を未処理の蛍光体層12bにも照射しても良い。特に、反射手段21の角度を変えることで、
図6(a),(b)のように未処理の蛍光体層12bと光散乱性蛍光体層12aへの反射手段21による反射光(すなわち、反射した励起光の正反射成分のスポットSP1)の照射面積比を変えることが出来るので、例えば照明光内の励起光量を増やしたい場合には光散乱性蛍光体層12aへの照射面積を増加させる、というように連続的に照明光に含まれる励起光成分と蛍光成分を調整することができ、駆動時の色バラツキも抑制することが可能である。
【0055】
図8(a),(b)は、本発明の第3の実施形態の光源装置の構成例を示す図である。なお、
図8(a)は全体の正面図、
図8(b)は蛍光体層12が設けられている部分の平面図であり、
図8(a),(b)において
図4(a),(b)、
図5(a),(b)等と同様の箇所には同じ符号を付している。
【0056】
図8(a),(b)を参照すると、この光源装置30では、蛍光体層12は、細孔の光散乱性を異にしている部分として、例えば細孔の濃度分布を異にしている部分(
図8(a),(b)の例では、細孔を有している部分(光散乱性蛍光体層)12aと細孔を有していない部分(未処理の蛍光体層)12bとの2つの部分)を有しており、固体光源5に対する蛍光体層12の位置関係を調整可能な位置調整手段31が設けられ、該位置調整手段31は、固体光源5からの励起光のスポットSPが蛍光体層12の細孔の光散乱性を異にしている部分(すなわち、細孔濃度分布を異にしている部分(12a,12b))のうちの所望の部分を照射可能なように、固体光源5に対する蛍光体層12の位置関係を調整可能となっている。
【0057】
ここで、位置調整手段31は、例えばラックアンドピニオン機構などによって構成され、手動によって固体光源5に対する蛍光体層12の位置関係を調整するものであってもよいし(手動によって蛍光体層12を矢印Zの方向に移動させるものでもよいし)、あるいは、ボタンが押され続けている間、蛍光体層12を矢印Zの方向に移動させるものなどであってもよく、任意の構成のものにすることができる。
【0058】
なお、
図8(a),(b)の例では、固体光源5からの励起光のスポットSPが蛍光体層12の細孔を有している部分(光散乱性蛍光体層)12aを照射するように、蛍光体層12の矢印Zの方向の位置が調整されている場合が示されている。
図8(a),(b)の状態から、位置調整手段31によって固体光源5に対する蛍光体層12の位置関係を調整することで(蛍光体層12を矢印Zの方向に移動させることで)、
図9(a),(b)の状態(固体光源5からの励起光のスポットSPが蛍光体層12の細孔を有している部分(光散乱性蛍光体層)12aと細孔を有していない部分(未処理の蛍光体層)12bとを照射する状態)、
図10(a),(b)の状態(固体光源5からの励起光のスポットSPが蛍光体層12の細孔を有していない部分(未処理の蛍光体層)12bを照射する状態)にすることができる。
【0059】
ここで、
図8(a),(b)の状態では、固体光源5からの励起光のスポットSPが蛍光体層12の細孔を有している部分(光散乱性蛍光体層)12aを照射するように設定されているので、励起光の拡散反射成分が増加することにより、蛍光体層12から発光する蛍光成分の強度に対して、固体光源5からの励起光成分の強度を高めることができる。例えば、固体光源5が青色光を出射するものであるとし、蛍光体層12が黄色蛍光体のものである場合、黄色蛍光体からの黄色の蛍光成分の強度に対して、青色の励起光成分の強度を高めることができ、結果として、照明光を青味が多い白色光のものにすることができる。
【0060】
一方、
図10(a),(b)の状態では、固体光源5からの励起光のスポットSPが蛍光体層12の細孔を有していない部分(未処理の蛍光体層)12bを照射するように設定されているので、励起光の拡散反射成分が増加するのを抑え、蛍光体層12から発光する蛍光成分の強度に対して、固体光源5からの励起光成分の強度を弱めることができる。例えば、固体光源5が青色光を出射するものであるとし、蛍光体層12が黄色蛍光体のものである場合、黄色蛍光体からの黄色の蛍光成分の強度に対して、青色の励起光成分の強度を弱めることができ、結果として、照明光を黄味が多い白色光のものにすることができる。
【0061】
また、
図9(a),(b)の状態では、固体光源5からの励起光のスポットSPが蛍光体層12の細孔を有している部分(光散乱性蛍光体層)12aと細孔を有していない部分(未処理の蛍光体層)12bとを照射するように設定されているので、
図10(a),(b)の状態に比べて、励起光の拡散反射成分をいくらか増加させ、蛍光体層12から発光する蛍光成分の強度に対して、固体光源5からの励起光成分の強度をいくらか高めることができる。例えば、固体光源5が青色光を出射するものであるとし、蛍光体層12が黄色蛍光体のものである場合、黄色蛍光体からの黄色の蛍光成分の強度に対して、青色の励起光成分の強度をいくらか高めることができる。
【0062】
このように、第3の実施形態の光源装置30では、蛍光体層12は、細孔の光散乱性を異にしている部分として、例えば細孔の濃度分布を異にしている部分(上記の例では、細孔を有している部分(光散乱性蛍光体層)12aと細孔を有していない部分(未処理の蛍光体層)12bとの2つの部分)を有しており、固体光源5に対する蛍光体層12の位置関係を調整可能な位置調整手段31が設けられ、該位置調整手段31は、固体光源5からの励起光のスポットSPが蛍光体層12の細孔の光散乱性を異にしている部分(すなわち、細孔濃度分布を異にしている部分(12a,12b))のうちの所望の部分を照射可能なように、固体光源5に対する蛍光体層12の位置関係を調整可能となっているので、照明光の色調整が可能となり、蛍光体層12からの反射光の利用効率の向上と照明光の色バラツキの抑制を図ることができる。
【0063】
ここで、色バラツキとは、前述したように、照明光に含まれる励起光成分と蛍光成分の強度比が理想値からずれることで発生するものである。特に励起光成分が不足する場合には、励起光成分を補ってやればよく、その補充する励起光成分として、本発明の第3の実施形態では、励起光の拡散反射成分を利用するようにしている。
【0064】
具体的には、上述したように、蛍光体層12に、細孔の光散乱性を異にしている部分として、例えば細孔の濃度分布を異にしている部分(上記の例では、細孔を有している部分(光散乱性蛍光体層)12aと細孔を有していない部分(未処理の蛍光体層)12bとの2つの部分)をもたせ、
図8(a),(b)の状態のように固体光源5からの励起光のスポットSPを光散乱性蛍光体層12aへ照射することで、角度依存性を持たない拡散反射成分を増加させることができ、蛍光体層12の蛍光成分と蛍光体層12で生じた励起光の拡散反射成分とをあわせて照明光として利用することでき、照明光の色バラツキを抑制することが可能となる。
【0065】
また、
図9(a),(b)、
図10(a),(b)の状態のように固体光源5からの励起光のスポットSPを未処理の蛍光体層12bにも照射しても良い。特に、位置調整手段31によって固体光源5に対する蛍光体層12の位置関係を調整することで(蛍光体層12を矢印Zの方向に移動させることで)、
図9(a),(b)のように未処理の蛍光体層12bと光散乱性蛍光体層12aへの照射面積比を変えることが出来るので、例えば照明光内の励起光量を増やしたい場合には光散乱性蛍光体層12aへの照射面積を増加させる、というように連続的に照明光に含まれる励起光成分と蛍光成分を調整することができ、駆動時の色バラツキも抑制することが可能である。
【0066】
以下に、本発明をより詳細に説明する。
【0067】
本発明において、蛍光体層12には、実質的に樹脂成分を含んでいないものが用いられるのが良い。蛍光体層12に実質的に樹脂成分を含んでいないものを用いることで、熱による変色がなく、光の吸収が少ないことから、より一層の高輝度化を図ることができる。
【0068】
ここで、樹脂成分を実質的に含まない蛍光体層12とは、蛍光体層の形成に通常使用される樹脂成分が蛍光体層の5wt%以下であるものを意味する。このような蛍光体層を実現するものとして蛍光体粉末をガラス中に分散させたもの、ガラス母体に発光中心イオンを添加したガラス蛍光体、蛍光体の単結晶や蛍光体の多結晶体(以下、蛍光体セラミックスと称す)などが挙げられる。蛍光体セラミックスは、蛍光体の製造過程において、焼成前に材料を任意の形状に成形し、焼成した蛍光体の塊である。蛍光体セラミックスは、その製造工程のうち、成形工程においてバインダーとして有機物を使用する場合があるが、成形後に脱脂工程を設けて有機成分を焼き飛ばすため、焼成後の蛍光体セラミックスには有機樹脂成分は5wt%以下しか残留しない。したがって、ここに挙げた蛍光体層は、実質的に樹脂成分を含まず、無機物質のみから構成されているため、熱による変色が発生することがない。また、無機物質のみからなるガラスやセラミックスは、一般に、樹脂よりも熱伝導率が高いため、蛍光体層12から基板6への熱放散においても有利である。特に蛍光体セラミックスは、一般的に、ガラスよりもさらに熱伝導率が高く、単結晶より製造コストが安いため、これを蛍光体層12に用いるのが好適である。
【0069】
また、蛍光体層12は、固体光源5からの励起光により励起され固体光源5の発光波長よりも長波長の蛍光を発光する少なくとも1種類の蛍光体を含んでいる。具体的には、固体光源5が紫外光を発光するものである場合、蛍光体層12は、例えば、青、緑、黄、赤色などの蛍光体のうち、少なくとも1種類の蛍光体を含んでいる。固体光源5が紫外光を発光するものである場合、蛍光体層12が、例えば、青、緑、赤色の蛍光体を含んでいるときには(青、緑、赤色の蛍光体のそれぞれが例えば均一に分散されて混合されたものとなっているときには)、固体光源5からの紫外光を蛍光体層12に照射するとき、反射光として白色の照明光を得ることができる。また、固体光源5が可視光として青色光を発光するものである場合、蛍光体層12は、例えば、緑、赤、黄色などの蛍光体のうち、少なくとも1種類の蛍光体を含んでいる。固体光源5が可視光として青色光を発光するものである場合、蛍光体層12が、例えば、緑、赤色の蛍光体を含んでいるときには(緑、赤色の蛍光体のそれぞれが例えば均一に分散されて混合されたものとなっているときには)、固体光源5からの青色光を蛍光体層12に照射するとき、反射光として白色などの照明光を得ることができる。また、固体光源5が可視光として青色光を発光するものである場合、蛍光体層12が、例えば、黄色の蛍光体だけを含んでいるときには、固体光源5からの青色光を蛍光体層12に照射するとき、反射光として白色などの照明光を得ることができる。
【0070】
また、放熱基板6は、光(固体光源5からの励起光によって励起された蛍光体層12からの発光(蛍光)と、蛍光体層12で吸収されなかった固体光源5からの光(励起光))に対する反射面の役割と、蛍光体層12から放散してきた熱を外部へ放散させる役割と、蛍光体層12の支持基板の役割も担うものである。このため、高い光反射特性、伝熱特性、加工性が求められる。この放熱基板6には、金属基板やアルミナなどの酸化物セラミックス、窒化アルミニウムなどの非酸化セラミックスなどが使用可能であるが、特に高い光反射特性、伝熱特性、加工性を併せ持つ金属基板が使用されるのが望ましい。
【0071】
また、蛍光体層12と放熱基板6との接合部7には、有機接着剤、無機接着剤、低融点ガラス、金属(金属のろう付け)などを用いることができる。接合部7も、光(固体光源5からの励起光によって励起された蛍光体層12からの発光(蛍光)と、蛍光体層12で吸収されなかった固体光源5からの光(励起光))に対する反射面の役割と、蛍光体層12から熱を放散させる役割とを担うものであるから、高い光反射特性と伝熱特性を併せ持つ金属(金属のろう付け)が用いられるのが望ましい。もしくは、金属成分を含有する導電性接着剤でも良い。
【0072】
次に、本発明を具体的に説明する。
【0073】
本発明の光源装置において、固体光源5には、紫外光から可視光領域に発光波長をもつ発光ダイオードや半導体レーザーなどが使用可能である。
【0074】
より具体的に、固体光源5には、例えば、InGaN系の材料を用いた発光波長が約380nm乃至約400nmの近紫外光を発光する発光ダイオードや半導体レーザーなどを用いることができる。この場合、蛍光体層2の蛍光体としては、波長が約380nm乃至約400nmの紫外光により励起されるものとして、例えば、赤色蛍光体には、CaAlSiN
3:Eu
2+、(Ca,Sr)AlSiN
3:Eu
2+、Ca
2Si
5N
8:Eu
2+、(Ca,Sr)
2Si
5N
8:Eu
2+、KSiF
6:Mn
4+、KTiF
6:Mn
4+等が用いられ、黄色蛍光体には、(Sr,Ba)
2SiO
4:Eu
2+、Ca
x(Si,Al)
12(O,N)
16:Eu
2+等が用いられ、緑色蛍光体には、(Ba,Sr)
2SiO
4:Eu
2+、Ba
3Si
6O
12N
2:Eu
2+、(Si,Al)
6(O,N)
8:Eu
2+、BaMgAl
10O
17:Eu
2+,Mn
2+等が用いられ、青色蛍光体には、BaMgAl
10O
17:Eu
2+等を用いることができる。
【0075】
また、固体光源5には、例えば、GaN系の材料を用いた発光波長が約460nm程度の青色光を発光する発光ダイオードや半導体レーザーなどを用いることができる。この場合、蛍光体層2の蛍光体としては、波長が約440nm乃至約470nmの青色光により励起されるものとして、例えば、赤色蛍光体には、CaAlSiN
3:Eu
2+、(Ca,Sr)AlSiN
3:Eu
2+、Ca
2Si
5N
8:Eu
2+、(Ca,Sr)
2Si
5N
8:Eu
2+、KSiF
6:Mn
4+、KTiF
6:Mn
4+等が用いられ、黄色蛍光体には、Y
3Al
5O
12:Ce
3+、(Sr,Ba)
2SiO
4:Eu
2+、Ca
x(Si,Al)
12(O,N)
16:Eu
2+等が用いられ、緑色蛍光体には、Lu
3Al
5O
12:Ce
3+、(Lu,Y)
3Al
5O
12:Ce
3+、Y
3(Ga,Al)
5O
12:Ce
3+、Ca
3Sc
2Si
3O
12:Ce
3+、CaSc
2O
4:Eu
2+、(Ba,Sr)
2SiO
4:Eu
2+、Ba
3Si
6O
12N
2:Eu
2+、(Si,Al)
6(O,N)
8:Eu
2+等を用いることができる。
【0076】
蛍光体層12としては、これらの蛍光体粉末をガラス中に分散させたものや、ガラス母体に発光中心イオンを添加したガラス蛍光体、樹脂などの結合部材を含まない蛍光体セラミックス等を用いることができる。蛍光体粉末をガラス中に分散させたものの具体例としては、上に列挙した組成の蛍光体粉末をP
2O
3、SiO
2、B
2O
3、Al
2O
3などの成分を含むガラス中に分散したものが挙げられる。ガラス母体に発光中心イオンを添加したガラス蛍光体としては、Ce
3+やEu
2+を付活剤として添加したCa−Si−Al−O−N系やY−Si−Al−O−N系などの酸窒化物系ガラス蛍光体が挙げられる。蛍光体セラミックスとしては、上に列挙した組成の蛍光体組成からなり、樹脂成分を実質的に含まない焼結体が挙げられる。これらの中でも透光性を有する蛍光体セラミックスを使用することが望ましい。これは、焼結体中に光の散乱の原因となるポアや粒界の不純物がほとんど存在しないために透光性を有するに至った蛍光体セラミックスである。ポアや不純物は熱拡散を妨げる原因にもなるため、透光性セラミックスは高い熱伝導率を示す。このため蛍光体層として利用した場合には励起光や蛍光を拡散により失うことなく蛍光体層から取り出して利用でき、さらに蛍光体層で発生した熱を効率良く放散することができる。透光性を示さない焼結体でも出来るだけポアや不純物の少ないものが望ましい。ポアの残存量を評価する指標としては蛍光体セラミックスの比重の値を用いることができ、その値が計算される理論値に対して95%以上のものが望ましい。
【0077】
ここで、青色励起の黄色発光蛍光体であるY
3Al
5O
12:Ce
3+蛍光体を例に、透光性を有する蛍光体セラミックスの製造方法を説明する。蛍光体セラミックスは出発原料の混合工程、成形工程、焼成工程、加工工程を経て製造される。出発原料には、酸化イットリウムや酸化セリウムやアルミナ等、Y
3Al
5O
12:Ce
3+蛍光体の構成元素の酸化物や、焼成後に酸化物となる炭酸塩、硝酸塩、硫酸塩等を用いる。出発原料の粒径はサブミクロンサイズのものが望ましい。これらの原料を化学量論比となるように秤量する。このとき焼成後のセラミックスの透過率向上を目的として、カルシウムやシリコンなどの化合物を添加することも可能である。秤量した原料は、水もしくは有機溶剤を用い、湿式ボールミルにより十分に分散、混合を行う。次に混合物を所定の形状に成形する。成形方法としては、一軸加圧法、冷間静水圧法、スリップキャスティング法や射出成形法等を用いることができる。得られた成形体を1600〜1800℃で焼成する。これにより、透光性のY
3Al
5O
12:Ce
3+蛍光体セラミックスを得ることができる。
【0078】
以上のようにして作製した蛍光体セラミックスは、自動研磨装置などを用いて、厚さ数十〜数百μmの厚みに研磨し、さらに、ダイアモンドカッターやレーザーを用いたダイシングやスクライブにより、円形や四角形や扇形、リング形など任意の形状の板に切り出して使用する。
【0079】
ここで、蛍光体セラミックスは、空気に対して屈折率が高く、さらに、内部にポアなどの散乱の原因となるものが少なく、光がセラミックス内部を導波するため、板状に成形した場合には側面から出射される発光成分が増加し、正面方向へ出射される発光成分が減少してしまう。この問題を解決するために、レンズを実装したり、側面に反射層を設けることで、正面方向へ出射される発光成分を増加させることも可能であるが、本願の方法を用いてセラミックスの表面に細孔を形成し、凹凸の光取出し構造を設けることによってレンズや反射層などの異なる部材を設置することなく、上記問題の解決を図ることが出来る。
【0080】
蛍光体層12として蛍光体セラミックスを用いる場合、本発明では、この蛍光体セラミックスに対して、前述したようにして、その一部に細孔を形成し、光散乱性を付与する。
【0081】
また、放熱基板6には、金属基板や酸化物セラミックス、非酸化セラミックスなどを使用可能であるが、特に高い光反射特性、伝熱特性、加工性を併せ持つ金属基板を使用するのが望ましい。金属としては、Al、Cu、Ti、Si、Ag、Au、Ni、Mo、W、Fe、Pdなどの単体や、それらを含む合金が使用可能である。また、放熱基板6の表面に増反射や腐食防止を目的としたコーティングを施しても良い。また、放熱基板6には、放熱性を高めるために、フィンなどの構造を設けても良い。
【0082】
また、蛍光体層12と放熱基板6との接合部7には、有機接着剤、無機接着剤、低融点ガラス、金属ろう付けなどを用いることができる。これらの中でも、高い反射率と伝熱特性を両立可能な金属ろう付けを用いるのが望ましい。セラミックス(蛍光体層12)と金属基板(放熱基板6)との接合は、まず、セラミックス側に金属膜を形成し、その金属膜と金属基板を金属ろう付けすることで可能である。セラミックスへの金属膜の形成は、真空中での蒸着法やスパッタ法、もしくは高融点金属法などが使用可能である。なお、高融点金属法とは、セラミックスの表面に金属微粒子を含む有機バインダーを塗布し、水蒸気と水素を含む還元雰囲気下で1000〜1700℃に加熱する方法である。このとき形成される金属膜には、Si、Nb、Ti、Zr、Mo、Ni、Mn、W、Fe、Pt、Al、Au、Pd、Ta、Cuなどを含む単体や合金が用いられる。また、金属ろう材には、Ag、Cu、Zn、Ni、Sn、Ti、Mn、In、Biなどを含むろう材が使用可能である。必要であれば金属膜と金属の接合面の酸化被膜をフラックスで除去し、接合面に金属ろう材を配置し、200〜800℃に加熱し、冷却することで、接合することができる。また、接合後にセラミックスと金属の膨張係数の差による接合面の破壊を防ぐために、セラミックスと金属の中間の膨張係数を有する物質を介在させて接合を行っても良い。
【0083】
また、上述の各実施形態(第1、第2、第3の実施形態)において、蛍光体層12を、例えば、
図11(a),(b)あるいは
図12(a),(b)に示すように(
図11(a)、
図12(a)はそれぞれ平面図、
図11(b)、
図12(b)はそれぞれ
図11(a)、
図12(a)のA−A線における断面図である)、回転軸Xの周りに回転させる(モーター4等によって回転させる)反射型蛍光回転体1として構成することもできる。すなわち、反射型蛍光回転体1は、蛍光体層12と放熱基板6を接合部7により接合したものをモーター4等と連結することで実現できる。
【0084】
ここで、蛍光体層12には、細孔の光散乱性を異にしている部分として、例えば細孔の濃度分布を異にしている同心円状の部分(この例では、細孔を有している部分(光散乱性蛍光体層)12aと細孔を有していない部分(未処理の蛍光体層)12bとの2つの部分)をもたせている。この場合、蛍光体層12を回転軸Xの周りに回転させるとき、第1の実施形態は、蛍光体層12の細孔を有している部分12aに固体光源5からの励起光が入射させることによって実現され、また、第2の実施形態は、蛍光体層12から離れた位置に励起光の正反射成分を蛍光体層12の方向へ反射するための反射手段21を設け、励起光の正反射成分を反射し、該反射した励起光の正反射成分のスポットSP1が蛍光体層12の細孔の光散乱性を異にしている部分(すなわち、細孔濃度分布を異にしている部分(12a,12b))のうちの所望の部分を照射可能なように、該反射手段21の角度が調整可能となっていることによって実現され、また、第3の実施形態は、固体光源5に対する蛍光体層12の位置関係を調整可能な位置調整手段(例えばラックアンドピニオン機構)31を設け、該位置調整手段31が、固体光源5からの励起光のスポットSPが蛍光体層12の細孔の光散乱性を異にしている部分(すなわち、細孔濃度分布を異にしている部分(12a,12b))のうちの所望の部分を照射可能なように、固体光源5に対する蛍光体層12の位置関係を調整可能となっていることによって実現される。
【0085】
このように、蛍光体層12を、回転軸Xの周りに回転させる(モーター4等によって回転させる)反射型蛍光回転体1として構成する場合にも本発明を実現できる。
【0086】
なお、この反射型蛍光回転体1において、放熱基板6や接合部7が、励起光および蛍光の反射面として機能している。なお、放熱基板6の形状は、円盤状や四角形などが考えられる。また回転の安定性を確保するために、円盤の一部を切り欠いたり、逆におもりをつけた形状とすることも可能である。
【0087】
また、
図11(a),(b)あるいは
図12(a),(b)の例では、反射型蛍光回転体1の蛍光体層12としては、1種類の蛍光体層だけが用いられている。具体的に、
図11(a),(b)あるいは
図12(a),(b)の例では、反射型蛍光回転体1の蛍光体層12として、例えば黄色蛍光体からなる蛍光体層だけが用いられ、この場合、固体光源5として青色光を発光するものを用いれば、反射光として白色などの照明光を得ることができる。あるいは、
図11(a),(b)あるいは
図12(a),(b)の例では、反射型蛍光回転体1の蛍光体層12として、例えば青、緑、赤色の蛍光体のそれぞれが例えば均一に分散されて混合されたものとなっている蛍光体層だけが用いられ、この場合、固体光源5として紫外光を発光するものを用いれば、反射光として白色などの照明光を得ることができる。ただし、本発明は、これに限定されず、種々の変形が可能である。すなわち、反射型蛍光回転体1の蛍光体層12としては、青、緑、黄、赤色などの蛍光体層を少なくとも1つ配置した構成にすることができる。
図13(a),(b)の例は、反射型蛍光回転体1の蛍光体層12として、3種類の蛍光体層121,122,123(例えば赤色蛍光体からなる赤色の蛍光体層121と緑色蛍光体からなる緑色の蛍光体層122と青色蛍光体からなる青色の蛍光体層123)が3等分に分割された蛍光体領域として設けられており、この場合、各蛍光体層121、122、123に、それぞれ、細孔の光散乱性を異にしている部分として、例えば細孔の濃度分布を異にしている同心円状の部分(この例では、細孔を有している部分(光散乱性蛍光体層)121a、122a、123aと細孔を有していない部分(未処理の蛍光体層)121b、122b、123bとの2つの部分)をもたせることで、蛍光体層12を回転軸Xの周りに回転させるとき、
図11(a),(b)あるいは
図12(a),(b)の例の場合と同様に、第1、第2、第3の実施形態を実現できる。なお、
図13(a),(b)の例では、固体光源5として紫外光を発光するものを用いれば、反射型蛍光回転体1の回転時の反射光として白色などの照明光を得ることができる。この他にも、種々の変形が可能である。
【0088】
このように、蛍光体層12を回転軸Xの周りに回転させる(モーター4等によって回転させる)反射型蛍光回転体1として構成することにより、すなわち、固体光源5に対して蛍光体層12を回転させることにより、固体光源5からの励起光が当たる場所を分散させ、光照射部での発熱を抑えることができ(この蛍光回転体1を用いることで、そもそも蛍光体の発熱を抑えることができ)、これにより、より一層の高輝度化が可能となる。
【0089】
また、上述の各例(
図3〜
図13の各例)では、1つの蛍光体層12だけを用いるか、複数の蛍光体層であってもこれらを水平方向に並べて配置したが、本発明では、複数の蛍光体層を垂直方向に重ねて(積層して)配置し、垂直方向に重ねて(積層して)配置した複数の蛍光体層について、細孔を有している部分(光散乱性蛍光体層)と細孔を有していない部分(未処理の蛍光体層)との2つの部分をもたせるようにしても良い。この場合、例えば、固体光源5が可視光として青色光を発光するものであるとき、第1層目の蛍光体層には、緑色蛍光体からなるものを用い、第2層目の蛍光体層には、赤色蛍光体からなるものを用いれば、反射光として白色などの照明光を得ることができる。
【0090】
また、
図5(a),(b)、
図6(a),(b)、
図7(a),(b)、
図8(a),(b)、
図9(a),(b)、
図10(a),(b)、
図11(a),(b)、
図12(a),(b)、
図13(a),(b)に示した例では、蛍光体層12は、細孔の光散乱性を異にしている部分(細孔の濃度分布を異にしている部分)が、細孔を有している部分(光散乱性蛍光体層)12aと細孔を有していない部分(未処理の蛍光体層)12bとの2つの部分に分けられているとしたが、
図14に示すように細孔の連続的な濃度分布(密度分布)をつけることで、より連続的に色バラツキを制御することも出来る。また、
図5(a),(b)、
図6(a),(b)、
図7(a),(b)、
図8(a),(b)、
図9(a),(b)、
図10(a),(b)、
図11(a),(b)、
図12(a),(b)、
図13(a),(b)に示した例では、蛍光体層12は、細孔の光散乱性を異にしている部分が、細孔の濃度分布(密度分布)を異にしている部分であるとしたが、細孔の濃度分布(密度分布)を異にしている部分のかわりに、細孔の光散乱性を異にしている部分を、細孔の径の異なる領域(細孔の径分布を異にしている部分)とすることなどもでき、細孔の径の異なる領域(細孔の径分布を異にしている部分)とする場合にも、色バラツキを制御することが可能である。なお、細孔の径の異なる領域(細孔の径分布を異にしている部分)とする場合も、細孔の連続的な径分布をつけることで、より連続的に色バラツキを制御することが出来る。
【0091】
上述したように、本発明では、固体光源5と蛍光体層12を放熱基板6に対して同じ側に設置することで、反射型の光源装置となる。もちろん必要であれば、固体光源5と蛍光体層12との間にレンズなどの光学素子を入れることもできる。
【0092】
また、本発明の上述した種々の光源装置を所定のレンズ系などの光学部品と組み合わせることで、高輝度化が可能な照明装置を提供できる。