(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5695920
(24)【登録日】2015年2月13日
(45)【発行日】2015年4月8日
(54)【発明の名称】情報通信体の開封手段
(51)【国際特許分類】
B42D 15/02 20060101AFI20150319BHJP
【FI】
B42D15/02 501B
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2011-14557(P2011-14557)
(22)【出願日】2011年1月7日
(65)【公開番号】特開2012-144030(P2012-144030A)
(43)【公開日】2012年8月2日
【審査請求日】2013年12月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000105280
【氏名又は名称】ケイディケイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080126
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 惇逸
(72)【発明者】
【氏名】木村 義和
(72)【発明者】
【氏名】土屋 雅人
【審査官】
荒井 隆一
(56)【参考文献】
【文献】
特開2002−264569(JP,A)
【文献】
実開昭64−032573(JP,U)
【文献】
特開2004−314462(JP,A)
【文献】
特開2008−155609(JP,A)
【文献】
特開2008−155610(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B42D 15/02−15/08
G09F 3/00− 3/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の葉片を折り畳み或いは切り重ねて、任意の対向する葉片同士を、前記葉片の対向面に全面的に被覆された、基材の一方の面に疑似接着層を形成した疑似接着フィルムシートを介し、前記疑似接着層同士を対向させると共に加圧或いは加熱・加圧処理を施して剥離可能に一体化してなる情報通信体の開封手段であり、重なり合う上側葉片と下側葉片の開封側のコーナー部分において、前記各葉片同士が重なり合うことなく突出し且つ前記突出した各葉片が前記疑似接着フィルムシートで被覆された二箇所の摘み部を形成すると共に、剥離、開封に際して前記二箇所の摘み部を両手の指で各々摘んで引き剥がすようにしたことを特徴とした情報通信体の開封手段。
【請求項2】
前記疑似接着フィルムシートが、基材の一方の面に疑似接着層を形成したドライラミネート方式に対応した疑似接着フィルムシートである請求項1に記載の情報通信体の開封手段。
【請求項3】
前記疑似接着フィルムシートが、基材の一方の面に疑似接着層を形成し、残るもう一方の面に感熱接着剤層を形成したサーマルラミネート方式に対応した疑似接着フィルムシートである請求項1に記載の情報通信体の開封手段。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は複数の葉片が剥離可能に折り畳まれ或いは切り重ねられた情報通信体に関する。
詳しくは
本発明は、最近盛んに使用されている、見掛けは通常の葉書であるにも関わらず、複数の葉片が剥離可能に積層されているため、多くの情報を隠蔽状態で伝達することができる葉書に代表される情報通信体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、前記複数の葉片が剥離可能に積層された葉書として、例えば特開2004−98644号公報に記載の葉書がある。前記特許文献では
、各葉片を剥離可能に接着(以下疑似接着という)する手段として、予め剥離可能に積層した疑似接着フィルムを使用するもの、印刷を施した後に疑似接着性の皮膜を形成するもの及び印刷を施す前に疑似接着性の樹脂を塗布しておくもの等の各手段を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−98644号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記各種疑似接着媒体を使用した情報通信体は、剥離可能に接着する疑似接着媒体同士の間から剥離するきっかけが得られれば、容易に開封して平面に展開することができる。然るに、例えば個人の郵便受けの中で雨水等により濡れてしまい、各葉片の紙繊維が容易に解れて破断してしまうような状態の場合、指先でしごいて疑似接着媒体同士の間から剥離しようとすると疑似接着している葉片の用紙が解れたり或いは分断したりして
、前記疑似接着媒体同士の間から剥離するきっかけを得ることができない。
また、前記情報通信体では、疑似接着媒体の接着性が良好すぎる場合も、前記水濡れの場合と同様に剥離に際して葉片の用紙が解れたり或いは分断したりして剥離が困難になる。
【0005】
本発明は、
葉片の用紙が仮に水を吸って濡れた状態や疑似接着が良好で強過ぎる場合でも、疑似接着媒体同士の間から容易にしかも確実に剥離を開始することが可能で、受取人が必ず内部に記載されている内容を確認することができる情報通信体を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の情報通信体の開封手段は、複数の葉片を折り畳み或いは切り重ねて、任意の対向する葉片同士を、前記葉片の対向面
に全面的に被覆
された、基材の一方の面に疑似接着層を形成した疑似接着フィルムシートを介し
、前記疑似接着層同士を対向させると共に加圧或いは加熱・加圧処理を施して剥離可能に一体化し
てなる情報通信体の開封手段であり、重なり合う上側
葉片と下側
葉片の開封側のコーナー部分において、前記各
葉片同士が重なり合うこと
なく突出
し且つ前記突出した各葉片が前記疑似接着フィルムシートで被覆された二箇所の摘み部を形成
すると共に、剥離、開封に際して前記二箇所の摘み部を両手の指で各々摘んで引き剥がすようにしたことを特徴としている。
【0007】
上記重なり合う上側
葉片と下側
葉片は、疑似接着フィルムシートを介して剥離可能に一体化されている。なお前記疑似接着フィルムシートの構成は、例えば基材の片面に疑似接着層を形成した疑似接着フィルムシートが好適に使用される。
【0008】
前記疑似接着フィルムシートは、例えば、ポリエチレンテレフタレート、二軸延伸ポリプロピレン、ポリエチレン、アセテート、ポリカーボネート等の比較的腰の強い基材の一方の面に疑似接着層を形成したドライラミネート方式に対応したプリントラミネート用の疑似接着フィルムシートや、前記基材の残るもう一方の面に公知の感熱接着剤層を形成した、サーマルラミネート方式に対応したプリントラミネート用の疑似接着フィルムシートを好適に使用することができる。前記疑似接着フィルムシートとしては、例えばケイディケイ株式会社製の「ハガキフィルムドライ」や「ハガキフィルムサーマル」が販売されている。
【0009】
前記疑似接着フィルムシートは、例えば印刷物の疑似接着予定面に被覆ラミネートして、その後前記疑似接着予定面同士を折り合わせ疑似接着層同士を対向させて加圧或いは加熱・加圧処理を施す
ことにより剥離可能に接着するものである。そして疑似接着後に前記対向面同士を引き剥がすと、疑似接着層同士の界面から剥離するか、或いは基材と何れかの疑似接着層との間から剥離するか、さらに前記両者の剥離が複合的に起こり、対向面同士を容易に剥離することができるのである。
【0010】
本発明の情報通信体を形成する葉片に使用される用紙は、上質紙、マットコート紙、グロスコート紙、合成紙その他の公知の用紙等を好適に使用することができる。好ましくはマ
ットコート紙やグロスコート紙のように表面処理が施されている塗工紙系(特にマットコート紙)が、用紙表面に塗工される成分が紙繊維同士のバインダー役を果たすため、水濡れに対しても解れたり或いは分断したりし難くなり、そのため本発明の作用をより効果的に発揮することができる。
【0011】
本発明の情報通信体は、枚葉シートを使用したオフセット印刷により製造しても、或いは長尺状シートを使用したビジネスフォーム印刷や輪転印刷で製造しても構わない。オフセット印刷の場合、例えば印刷された用紙の疑似接着予定面へ疑似接着フィルムシートを被覆する等により疑似接着媒体を形成して、その後断裁、折り及び一体化工程等をオフラインで行えばよい。またビジネスフォーム印刷の場合、例えば印刷後の長尺状シートを情報通信体の製造機に掛ければ前記工程が一貫して行われるため至便である。
【0012】
本発明において、情報通信体の剥離の端緒となる
二箇所の摘み部の形状に格別な制限はない。
例えば上下各葉片から積極的に突出した摘み部を
二箇所に設けても構わず、逆に上下各葉片の一部を切り欠くことにより結果として突出して摘みやすくなる摘み部が
二箇所に形成される構成でも構わない。何れにしても前記
二箇所の摘み部は、お互いが一致して重ならず、且つお互いに交錯する状態に配置され、前記
二箇所の摘み部を
両手の指で
各々摘んで引き剥がせば確実に疑似接着媒体同士の間から剥離が開始される。そして一旦剥離が開始されると、水濡れや良好な疑似接着により葉片の紙繊維が解れたり或いは分断したりしやすい状態であっても連続的に剥離して展開することが可能になるのである。
【発明の効果】
【0013】
本発明の情報通信体の開封手段によれば、通常では簡単に破断して開封不能になる水濡れや疑似接着が良好すぎて強い剥離力を必要とする状態でも、容易に剥離を開始することができ、しかも途中で葉片が破断することなく確実に開封することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】(A)、(B)
及び(C)は
、各々疑似接着予定面に疑似接着フィルムシートGを被覆した状態の二つ折り葉書用紙S1の表面図、裏面図
及び図(B)におけるX−X線断面図である。
【
図2】(A)及び(B)は、
各々図1の二つ折り葉書用紙S1により製造される二つ折り葉書J1の表面図及び裏面図である。
【
図3】(A)及び(B)は
、各々図2(A)におけるY−Y線断面図及びZ−Z線断面図である。
【
図4】疑似接着フィルムシートGの部分拡大断面図である。
【
図5】(A)及び(B)は
、各々本発明に係る異なる態様の二つ折り葉書用紙S2の表面図及び裏面図である。
【
図6】(A)及び(B)は
、各々図5の二つ折り葉書用紙S2により製造される二つ折り葉書J2の表面図及び裏面図である。
【
図7】開封手段の変形例を示す二つ折り葉書の平面図である。
【
図8】開封手段の変形例を示す二つ折り葉書の平面図である。
【
図9】開封手段の変形例を示す二つ折り葉書の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて具体的に説明する。
【実施例1】
【0016】
本実施例で使用される二つ折り葉書用紙S1は、
図1(A)に示すように、左下部分にコーナーカット部Kを設けた第一葉片1と、第一葉片1よりも若干幅が狭い第二葉片2が、折り線3を介して連接されている。そして第一葉片1表面には、例えば郵便切手欄4、郵便番号欄5の他に受取人の住所氏名6等が記載されており、第二葉片2表面には例えば宣伝広告等の一般情報7が記載されている。なお前記宣伝広告等の一般情報を記載する代わりに、二つ折り葉書が完成した後に内部の情報が外部から透けて見えにくいように、地紋や連続パターン或いはベタ印刷等を施しても構わない。
【0017】
また
図1(B)及び同
図X−X線断面図である図(C)に示すように、二つ折り葉書用紙S1の裏面は、第一葉片1及び第二葉片2共に例えば受取人のプライバシーに関わる個人情報8が記載されると共に疑似接着フィルムシートGがその上から全面的に被覆されている。なお、前記情報は必ずしもプライバシーに関わるものである必要はなく、一般情報が混在していても構わず、さらに一般情報のみでも構わない。
【0018】
前記疑似接着フィルムシートGは、
図4に示すように二軸延伸ポリプロピレンからなる基材11の上面に疑似接着層12が形成されており、残る下面には公知の感熱接着剤層13が形成されている。そして
図1(B)
及び(C)に示すように、前記感熱接着剤層13を介して二つ折り葉書用紙S1裏面側とサーマルラミネート方式により全面的に接着し被覆している。なお図面中に記載される疑似接着フィルムシートGは複雑化を避けるため一層で表現している。
【0019】
また前記疑似接着フィルムシートGに形成されている感熱接着剤層13を予め基材11に形成せずに、二つ折り葉書用紙との貼り合わせの際に接着剤を塗布しながら被覆しても構わない。このような被覆ラミネート方式はドライラミネート方式として公知である。
【0020】
前記二つ折り葉書用紙S1は折り線3から両葉片を対向させて折り畳み、
図2の状態で加圧又は加熱・加圧処理を施すと剥離可能に一体化される。完成した二つ折り葉書J1は
図2(A)に示すように、コーナーカット部Kにおいて第一葉片1の下側から第二葉片2の一部が表出すると共に、同図(B)に示すように第二葉片2の開封側端に沿って第一葉片1の側端が表出する。〔
図3(A)及び(B)を参照されたし〕
【0021】
この二つ折り葉書J1の受取人は、例えば
図2(A)及び(B)に示すように、第一葉片1に形成されたコーナーカット部Kにより出現する二箇所の突出した摘み部V及びWを両手の指でそれぞれ摘んで剥離することができる。そして剥離後、疑似接着フィルムシートGを透して各葉片の内面に記載されている個人情報8を視認することができる。
【実施例2】
【0022】
本実施例で使用される二つ折り葉書用紙S2は、
図5(A)に示すように、右下部分にコーナーカット部Kを設けた第二葉片22と、第二葉片22よりも若干幅が狭い第一葉片21が、折り線23を介して連接されている。そして第一葉片21表面には、例えば郵便切手欄24、郵便番号欄25の他に受取人の住所氏名26等が記載されており、第二葉片22表面には例えば宣伝広告等の一般情報27が記載されている。
【0023】
また
図5(B)に示すように、二つ折り葉書用紙S2の裏面は、第一葉片21及び第二葉片22共に例えば受取人のプライバシーに関わる個人情報28が記載されているが、前記情報は必ずしもプライバシーに関わるものである必要はなく、一般情報が混在していても構わず、さらに一般情報のみでも構わない。そして両葉片の裏面は共に疑似接着フィルムシートGにより全面的に被覆されている。
【0024】
前記二つ折り葉書用紙S2は折り線23から両葉片を対向させて折り畳み、
図6の状態で加圧又は加熱・加圧処理を施すと剥離可能に一体化される。完成した二つ折り葉書J2は
図6(A)に示すように、第一葉片21の開封側端に沿って第二葉片22の側端が表出する。そして同図(B)に示すように、コーナーカット部Kにおいて第二葉片22の下側から第一葉片21の一部が表出する。
【0025】
この二つ折り葉書J2の受取人は、例えば
図6(A)及び(B)に示す第二葉片22に形成されたコーナーカット部Kにより出現する、二箇所の突出した摘み部V及びWを両手の指でそれぞれ摘んで剥離することができる。そして剥離後、疑似接着フィルムシートGを透して各葉片の内面に記載されている個人情報28を視認することができる。
【0026】
なお、本発明は、上記実施例に限られるものではない。
例えば、実施例1及び2において、
図2(A)及び
図6(A)で郵便切手欄、郵便番号欄及び受取人の住所氏名等が記載される面を上にした場合に、開封側が左で折り線が右側に来るように各二つ折り葉書用紙S1及びS2はレイアウトされているが、開封側と折り線が逆に配置されるようにレイアウトしても構わない。
【0027】
また、
図7に示すように、両葉片にコーナーカット部を形成しておいて、折り畳んだ際に両葉片の開封側が一致すると共に二箇所の摘み部V及びWが重なり合うことなく形成されるようにしても構わない。
【0028】
さらに
図8に示すように、両葉片を折り合わせた際に、お互いに重なることがない突出する摘み部V及びWを形成してもよく、さらに
図9に示すように一方の葉片を切り欠いて、それにより他方の葉片に摘み部を現出させると共に前記切り欠きを形成した葉片を他方の葉片から突出させてお互い重なることがない摘み部V及びWを形成しても構わない。
【0029】
さらにまた、前記実施例では、二つ折り葉書を例に記載されているが、三葉片以上を折り畳んだ場合の葉書、封書等の情報通信体にも適用できることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0030】
J1、J2 二つ折り葉書
S1、S2 二つ折り葉書用用紙
G 疑似接着フィルムシート
V、W 摘み部
K コーナーカット部
1、2、21、22 葉片
3、23 折り線
4、24 郵便切手欄
5、25 郵便番号欄
6、26 受取人の住所氏名
7、27 一般情報
8、28 個人情報
11 基材
12 疑似接着層
13 感熱接着剤層