特許第5695969号(P5695969)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5695969
(24)【登録日】2015年2月13日
(45)【発行日】2015年4月8日
(54)【発明の名称】自動車用ランプ
(51)【国際特許分類】
   F21S 8/12 20060101AFI20150319BHJP
   F21S 8/10 20060101ALI20150319BHJP
   F21Y 101/00 20060101ALN20150319BHJP
   F21W 101/10 20060101ALN20150319BHJP
【FI】
   F21S8/12 153
   F21S8/10 151
   F21Y101:00 300
   F21W101:10
【請求項の数】8
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2011-109763(P2011-109763)
(22)【出願日】2011年5月16日
(65)【公開番号】特開2012-243418(P2012-243418A)
(43)【公開日】2012年12月10日
【審査請求日】2014年3月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】391021226
【氏名又は名称】株式会社カーメイト
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 淳智
【審査官】 太田 良隆
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−138815(JP,A)
【文献】 米国特許第6283624(US,B1)
【文献】 米国特許第5402325(US,A)
【文献】 実開平01−103107(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S8/10〜8/12
F21W101/10
F21Y101/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光部を有するアウター管と、
このアウター管に固定した口金部と、
上記口金部に着脱自在である遮光部材とよりなり、
上記口金部が、遮光部材付きアウター管を備えたランプ用の灯具と遮光部材無しアウター管を備えたランプ用の灯具にそれぞれ係合可能な係合用切欠部を有するとともに、
前記口金部に対して遮光部材を装着するための複数個の装着用脚部のうちの少なくとも一個の先端部が、遮光部材無しアウター管を備えたランプ用の灯具に係合可能な係合用切欠部を塞ぐ塞ぎ手段を形成していることを特徴とする自動車用ランプ。
【請求項2】
前記口金部には、前記遮光部材の複数個の装着用脚部およびその先端部を所定の位置に案内装着するためのガイド部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の自動車用ランプ。
【請求項3】
前記口金部に形成した複数個の前記ガイド部のうちの少なくとも1個の末端に、遮光部無しアウター管を備えたランプ用の灯具に係合可能な係合用切欠部が形成されていることを特徴とする請求項2に記載の自動車用ランプ。
【請求項4】
前記遮光部材を装着するための複数個の装着用脚部は、遮光部材の周囲360度に対して不等角度間隔で形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載の自動車用ランプ。
【請求項5】
前記口金部の上面には前記遮光部材の装着用脚部の固定部が形成されており、また、前記口金部の上部周縁にはフランジ部が形成されており、当該フランジ部には遮光部材付きアウター管を備えたランプ用の灯具と遮光部材無しアウター管を備えたランプ用の灯具にそれぞれ係合可能な係合用切欠部が形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れかに記載の自動車用ランプ。
【請求項6】
前記ガイド部は前記遮光部材の装着用脚部の固定部から、前記フランジ部にかけて連続的に形成されていることを特徴とする請求項5に記載の自動車用ランプ。
【請求項7】
前記遮光部材付きアウター管を備えたランプはD2R型ランプ又はD4R型ランプであり、遮光部材無しアウター管を備えたランプはD2S型ランプ又はD4S型ランプであることを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れかに記載の自動車用ランプ。
【請求項8】
前記遮光部材の少なくとも2個の装着用脚部及びそれらの先端部は、遮光部材無しアウター管を備えたD2S型ランプ又はD4S型ランプの係合用切欠部を塞ぐ塞ぎ手段に共用できる角度間隔で形成されていることを特徴とする請求項7に記載の自動車用ランプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ランプのアウター管の周囲に配光制御用の遮光部材を着脱自在に装着した自動車用ランプに関し、特に前記遮光部材の着脱を容易に行えるとともに、ランプを装着する灯具への誤装着を簡単な構成で確実に防止することができるように改良された自動車用ランプに関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車用ランプにおいて、ランプ自体に配光制御用の遮光部材を取り付けることは良く知られている。例えば、米国特許第1,446,925号明細書には、ランプ上半部を覆うシェルとランプ前面を覆うディスクとからなる配光制御用の遮光部材をコイルスプリングで白熱電球の管球に直接に取り付ける構造が開示されている。白熱電球は点灯時における管球温度が比較的低いので、このように遮光部材を直接に管球に取り付けることが可能である。
【0003】
しかし、自動車用ランプが放電ランプ、特にメタルハライドランプのような高圧放電ランプである場合は、ランプ点灯時に発光部を含むアウター管の温度が極めて高くなるため、遮光部材を直接にアウター管に取り付けると遮光部材が早期に熱劣化してしまうのみならず、アウター管の温度分布が不均一になりランプ特性も低下してしまうという問題が生じる。
【0004】
このため、特開2005−138815号公報では、図1図2に示すように、アウター管11の周囲にほぼ筒状の遮光部材12を、空隙13を介して着脱自在に装着する構造が提案された。図1又は図2において、14はアウター管に固定された口金部、15は口金部14の上部周縁に形成されたフランジ部である。このような構造においてはアウター管11と遮光部材12との間に空隙13が存在するので、遮光部材12の熱劣化やランプ特性への悪影響を防止することができる。また同一ランプにおいて配光特性を変更したい場合は遮光部材12を交換したり、取り外したりすることもできる。図3及び図4は前記遮光部材12の平面図であり、遮光部材12の下端周囲には、遮光部材12を前記口金部14の上面にネジ止めするための装着用脚部16、17、18が設けてある。
【0005】
また、前記特開2005−138815号公報には、図2及び図5に示すように、口金部14、殊にその上部周縁に形成したフランジ部15に、遮光部材付きアウター管を備えたランプ用の灯具に係合可能な係合用切欠部19と、遮光部材無しアウター管を備えたランプ用の灯具に係合可能な係合用切欠部20とが形成してある。これらの係合用切欠部19、20は、図6に示すようにフランジ部15の一部に形成した薄手部分21を必要に応じて取り除いて形成してもよく、また、図7に示すようにフランジ部15に予め2個の係合用切欠部19、20を形成しておき、それらのうちの一方を必要に応じて充填剤22で塞ぐようにしてもよい。何れにしても、後述するように、遮光部材付きアウター管を備えたランプが遮光部材無しアウター管を備えたランプ用の灯具に誤装着されるのを防ぐ手段を用いなければならない。
【0006】
図8は、口金部14の上面に遮光部材12を装着する場合において、口金部14の上部周縁に形成したフランジ部15の係合用切欠部19、20のうち、遮光部材無しアウター管を備えたランプ用の灯具に係合可能な係合用切欠部20を充填剤22で塞いだ状態を示している。
【0007】
図9は、口金部14の上面に遮光部材12を装着する場合において、口金部14の上部周縁に形成したフランジ部15の係合用切欠部19、20のうち、遮光部材無しアウター管を備えたランプ用の灯具に係合可能な係合用切欠部20を、遮光部材12の下端部に取り付けた耳部23で塞いだ状態を示している。
【0008】
しかし、図8に示す構造では、口金部14の上面に遮光部材12を装着する場合に複数個の装着用脚部16,17,18のネジ穴またはネジ溝を口金部14の上面に設けたネジ穴に合わせて、すなわちネジ穴合わせ作業をしてからネジ止めする必要があるので組み立てに手間がかかるだけでなく、フランジ部15の係合用切欠部20を充填剤22で塞ぐため、充填剤22の注入・固化に時間を要するという欠点がある。
【0009】
また、図9及び図10に示す構造では、図8の構造と同様に遮光部材12のネジ合わせ作業及びネジ止め作業に手間がかかるだけでなく、遮光部材12の下端部に耳部23を溶接などの手段で固定しておく必要があるため、材料費が嵩み組み立てに手間がかかるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第1,446,925号明細書
【特許文献2】特開2005−138815号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、アウター管の周囲に対する遮光部材の着脱を容易に行えるとともに、ランプを装着する灯具への誤装着を簡単な構成で確実に防止することができる自動車用ランプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
発光部を有するアウター管と、このアウター管に固定した口金部と、上記口金部に着脱自在である遮光部材とよりなり、上記口金部が、遮光部材付きアウター管を備えたランプ用の灯具と遮光部材無しアウター管を備えたランプ用の灯具にそれぞれ係合可能な係合用切欠部を有するとともに、前記口金部に対して遮光部材を装着するための複数個の装着用脚部のうちの少なくとも一個の先端部が、遮光部材無しアウター管を備えたランプ用の灯具に係合可能な係合用切欠部を塞ぐ塞ぎ手段を形成している構造とする。さらに、前記遮光部材を装着する複数個の装着用脚部相互間の間隔(遮光部材の円周方向の間隔)のうちの少なくとも一つを他の装着用脚部相互間の間隔と違えておくとともに、口金部の上面からフランジ部にかけて前記装着用脚部及びその先端部に対するガイド部、例えばガイド溝を形成し、当該ガイド溝の先端部に前記装着用脚部の先端部で塞ぐ係合用切欠部を形成しておく。
【発明の効果】
【0013】
前記構造によれば、遮光部材の装着用脚部の一つの先端部で、遮光部材無しアウター管を備えたランプ用の灯具に係合可能な係合用切欠部を塞ぐようにして各装着用脚部のネジ穴またはネジ溝を口金部の上面に設けたネジ穴に合わせることができるので、ネジ穴合わせ作業及びネジ止め作業が極めて簡単になる。さらに、前記遮光部材の装着用脚部及びその先端部は口金部の上面及びフランジ部に対して特定の位置においてのみ前記ガイド部に適合するから、ネジ穴合わせ作業及びネジ止め作業が更に簡単になる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】アウター管の周囲に遮光部材を装着した従来の自動車用ランプの側面図。
図2図1の自動車用ランプの要部平面図。
図3】複数個の装着用脚部を備えた従来の遮光部材の平面図。
図4】複数個の装着用脚部を備えた従来の別の遮光部材の平面図。
図5】フランジ部に灯具への係合用切欠部を形成した従来の自動車用ランプの平面図。
図6図5における係合用切欠部の拡大断面図。
図7図5における別の係合用切欠部の拡大断面図。
図8】従来の自動車用ランプにおける口金部と遮光部材の組立状態を示す斜視図。
図9】遮光部材に取り付けた耳部で係合用切欠部を塞いだ状態を示す従来の自動車用ランプの平面図。
図10図9の構造を示す斜視図。
図11】本発明に係る自動車用ランプにおいて、組立前の状態を示す口金部と遮光部材との斜視図。
図12】本発明に係る自動車用ランプにおいて、組立後の状態を示す口金部と遮光部材との斜視図。
図13】本発明に係る別タイプの自動車用ランプにおいて、組立前の状態を示す口金部と遮光部材との斜視図。
図14】本発明に係る別タイプの自動車用ランプにおいて、組立後の状態を示す口金部と遮光部材との斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
発光部を有するアウター管と、このアウター管に固定した口金部と、上記口金部に着脱自在である遮光部材とを有する自動車用ランプにおいて、前記口金部が、遮光部材付きアウター管を備えたランプ用の灯具と遮光部材無しアウター管を備えたランプ用の灯具にそれぞれ係合可能な係合用切欠部を有するとともに、前記口金部に対して遮光部材を装着するための複数個の装着用脚部のうちの少なくとも一個の先端部によって、遮光部材無しアウター管を備えたランプ用の灯具に係合可能な係合用切欠部を塞ぐように構成する。
【実施例1】
【0016】
図11は組立前の状態を示す口金部31と遮光部材33の斜視図、図12は組立後の状態を示す口金部31と遮光部材33の斜視図である。前記遮光部材33の下端周囲には当該遮光部材33を前記口金部31の上面に装着するための装着用脚部34、35、36が形成されており、これらには延長された先端部34E、35E、36Eと、ネジ穴34S、35S、36Sと、が形成されている。また、前記装着用脚部34、35、36の円周方向に対する相互の間隔のうちの少なくとも一つは他の装着用脚部相互間の間隔とは違えて形成してある。例えば、図11において各装着用脚部が延びている方向の仮想線をそれぞれ34X、35X、36Xとすると、仮想線34Xと仮想線35Xとの間の角度と、仮想線35Xと仮想線36Xとの間の角度は同じであっても、仮想線36Xと仮想線34Xとの間の角度は前記二つの角度とは違うように形成してある。
【0017】
また、前記口金部31の上面には、前記遮光部材33の装着用脚部のネジ穴34S、35S、36Sに対応して、ネジ穴34H、35H、36Hが設けてあり、さらに前記装着用脚部34、35、36のガイド部を形成するために立ち上がり部37が形成してある。そして、この立ち上がり部37には、前記装着用脚部34、35、36の位置に対応して当該装着用脚部34、35、36を嵌めこむことができる幅の切欠部34C、35C、36Cを設けるとともに、これらに連接してフランジ部32に前記装着用脚部34、35、36の先端部34E、35E、36Eを嵌めこむことができる溝34G、35G、36Gが設けてある。また、前記フランジ部32には、遮光部材無しアウター管を備えたランプ用の灯具に係合可能な係合用切欠部38と、遮光部材付きアウター管を備えたランプ用の灯具に係合可能な係合用切欠部39とが設けてある。
【0018】
前記のような構成の口金部31の上面に前記のような遮光部材33の下部を押し当てて遮光部材33を右回りまたは左回りに回転させると、しかるべき位置で遮光部材33の装着用脚部34、35、36及びそれらの先端部34E、35E、36Eは前記切欠部34C、35C、36C及び前記溝34G、35G、36Gに嵌合し、装着用脚部のネジ穴34S、35S、36Sと口金部31のネジ穴34H、35H、36Hが一致すると同時に、遮光部材無しアウター管を備えたランプ用の灯具に係合可能な係合用切欠部38が装着用脚部36の先端部36Eによって塞がれる。
【0019】
図12は上記のようにして口金部31の上面に遮光部材33を組み合わせた状態を示しており、装着用脚部34、35、36のネジ穴34S、35S、36Sにネジを螺入するだけで組立が終了する。40は発光部を有するアウター管を破線で示している。このように、口金部31のフランジ部32に、係合用切欠部38と39とを、口金部31の中心軸に対して90度以下の間隔で形成しておき、係合用切欠部38を用いて灯具に係合させる遮光部材無しアウター管を備えた自動車用ランプを規格上D2Sタイプと称し、係合用切欠部39を用いて灯具に係合させる遮光部材付きアウター管を備えた自動車用ランプをD2Rタイプと称する。
【実施例2】
【0020】
図13は組立前の状態を示す口金部31と遮光部材33の斜視図、図14は組立後の状態を示す口金部31と遮光部材33の斜視図である。これらの図において、図11及び図12と異なる点は、口金部31のフランジ部32に、遮光部材無しアウター管を備えたランプ用の灯具に係合可能な係合用切欠部38と、遮光部材無しアウター管を備えたランプ用の灯具に係合可能な係合用切欠部39とが、口金部31の中心軸に対して180度の間隔で形成してあり、前記係合用切欠部38が装着用脚部35の先端部35Eによって塞がれるように構成してある点である。このように、係合用切欠部38と39とを、口金部31の中心軸に対して180度の間隔で形成しておき、係合用切欠部38を用いて灯具に係合させる遮光部材無しアウター管を備えた自動車用ランプを規格上D4Sタイプと称し、係合用切欠部39を用いて灯具に係合させる遮光部材付きアウター管を備えた自動車用ランプをD4Rタイプと称する。なお、図11図12及び図13図14は、全く同じ構成の遮光部材33を、D2RタイプとD4Rタイプの自動車用ランプに共用できることを示している。
【産業上の利用可能性】
【0021】
口金部の上面に遮光部材を装着するタイプの自動車用ランプにおいて、遮光部材の装着用脚部の間隔や口金フランジ部の係合用切欠部の位置を変更することにより様々なタイプの自動車用ランプに適用できる。
【符号の説明】
【0022】
31:口金部
32:フランジ部
33:遮光部材
34、35、36:装着用脚部
34E、35E、36E:先端部
34S、35S、36S:ネジ穴
38、39:係合用切欠部
40:アウター管
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14