【実施例】
【0071】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。ただし、本発明は、これら実施例に限定されるものではない。
【0072】
各組成物の上昇融点は上述した方法により算出した。
【0073】
(実施例1)大腸菌の培養
種々の炭素源を用いて、E.coli HB101株(タカラバイオ社製)を培養した。前培地としてはLB培地(10g/L Bacto−tryptone、5g/L Bacto−yeast extract、5g/L NaCl)を用いた。生育試験にはM9培地(6g/L Na
2HPO
4、3g/L KH
2PO
4、0.5g/L NaCl、1g/L NH
4Cl、1mM MgSO
4、0.001w/v% Thiamine、0.1mM CaCl
2)を用いた。
【0074】
E.coliのグリセロールストックを前培地に接種して37℃にて12時間培養し、前培養を行なった。その後、前培養液を、50mlのM9培地を入れた500ml用の坂口フラスコに2v/v%で接種した。次に、炭素源として、表1に示した各種脂肪酸組成物を0.25w/v%の濃度にて坂口フラスコに入れ、37℃で96時間振とう培養した。炭素源は坂口フラスコ内に一括添加した。培養終了後、遠心分離によって菌体を回収し、メタノールで洗浄した後、凍結乾燥し、乾燥菌体重量を測定した。結果を表1に示した。
【0075】
【表1】
【0076】
(比較例1)
各種脂肪酸組成物の代わりに、炭素源として、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、又は、オレイン酸を用いた以外は実施例1と同じ条件にて、大腸菌を培養し、乾燥菌体重量を測定した。結果を表1に示した。
【0077】
(実施例2)C.necator PHB−4株の培養
種々の炭素源を用いて、Cupriavidus necator PHB−4株(DSM541、DSMZより入手)を培養した。この株はPHAを合成しない株である。
【0078】
前培地の組成は、1w/v% Meat−extract、1w/v% Bacto−tryptone、0.2w/v% Yeast−extract、0.9w/v% Na
2HPO
4・12H
2O、0.15w/v% KH
2PO
4とし、pHは6.8とした。
【0079】
生育試験培地の組成は、1.1w/v% Na
2HPO
4・12H
2O、0.19w/v% KH
2PO
4、1.29w/v% (NH
4)
2SO
4、0.1w/v% MgSO
4・7H
2O、0.5v/v%微量金属塩溶液(0.1N塩酸に1.6w/v% FeCl
3・6H
2O、1w/v% CaCl
2・2H
2O、0.02w/v% CoCl
2・6H
2O、0.016w/v% CuSO
4・5H
2O、0.012w/v% NiCl
2・6H
2Oを溶かしたもの)とした。
【0080】
Cupriavidus necator PHB−4株のグリセロールストックを前培地に接種して30℃にて12時間培養し、前培養を行なった。その後、前培養液を、50mlの生育試験培地を入れた500ml用の坂口フラスコに2v/v%で接種した。次に、炭素源として、表2に示した各種脂肪酸組成物を1.0w/v%の濃度にて坂口フラスコに入れ、30℃で24時間振とう培養した。炭素源は坂口フラスコ内に一括添加した。培養終了後、遠心分離によって菌体を回収し、メタノールで洗浄した後、凍結乾燥し、乾燥菌体重量を測定した。結果を表2に示した。
【0081】
【表2】
【0082】
(比較例2)
各種脂肪酸組成物の代わりに、炭素源として、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、又は、オレイン酸を用いた以外は実施例2と同じ条件にて、C.necator PHB−4株を培養し、乾燥菌体重量を測定した。結果を表2に示した。
【0083】
(実施例3)Pseudomonas resinovoransの培養によるPHA生産
種々の炭素源を用いて微生物を培養することで、PHAの生産を行なった。
【0084】
微生物としては、Pseudomonas resinovorans ATCC14235株(ATCCより入手)を用いた。
【0085】
種母培地の組成は、1w/v% Meat−extract、1w/v% Bacto−tryptone、0.2w/v% Yeast−extract、0.9w/v% Na
2HPO
4・12H
2O、0.15w/v% KH
2PO
4とし、pHは6.8とした。
【0086】
前培養培地の組成は、1.1w/v% Na
2HPO
4・12H
2O、0.19w/v% KH
2PO
4、1.29 w/v%(NH
4)
2SO
4、0.1w/v% MgSO
4・7H
2O、2.5w/v% パームオレインオイル、0.5v/v%微量金属塩溶液(0.1N塩酸に1.6w/v% FeCl
3・6H
2O、1w/v% CaCl
2・2H
2O、0.02w/v% CoCl
2・6H
2O、0.016w/v% CuSO
4・5H
2O、0.012w/v% NiCl
2・6H
2Oを溶かしたもの)とした。前培養培地での炭素源であるパームオレインオイルは10g/Lの濃度で一括添加した。
【0087】
PHA生産培地の組成は、0.385w/v% Na
2HPO
4・12H
2O、0.067w/v% KH
2PO
4、0.291w/v%(NH
4)
2SO
4、0.1w/v% MgSO
4・7H
2O、0.5v/v%微量金属塩溶液(0.1N塩酸に1.6w/v% FeCl
3・6H
2O、1w/v% CaCl
2・2H
2O、0.02w/v% CoCl
2・6H
2O、0.016w/v% CuSO
4・5H
2O、0.012w/v% NiCl
2・6H
2Oを溶かしたもの)、0.05w/v% BIOSPUREX200K(消泡剤:コグニスジャパン社製)とした。
【0088】
まず、Pseudomonas resinovorans ATCC14235株のグリセロールストック(50μl)を種母培地(10ml)に接種して24時間培養し、種母培養を行なった。その後、種母培養液を、1.8Lの前培養培地を入れた3Lジャーファーメンター(丸菱バイオエンジ製MDL−300型)に1.0v/v%接種した。運転条件は、培養温度30℃、攪拌速度500rpm、通気量1.8L/min.とし、pHを6.7〜6.8の間でコントロールしながら24時間培養し、前培養を行なった。pHコントロールには7%水酸化アンモニウム水溶液を使用した。
【0089】
次に、前培養液を、6Lの生産培地を入れた10Lジャーファーメンター(丸菱バイオエンジ製MDL−1000型)に5.0v/v%接種した。運転条件は、培養温度30℃、攪拌速度650rpm、通気量8.1L/min.とし、pHを6.7から6.8の間でコントロールした。pHコントロールには14%水酸化アンモニウム水溶液を使用した。炭素源は断続的に添加した。使用した炭素源を表3に示した。油脂としてはパームオレインオイルを使用した。培養は48時間行い、培養終了後、遠心分離によって菌体を回収し、メタノールで洗浄した後、凍結乾燥し、乾燥菌体重量を測定した。
【0090】
得られた乾燥菌体約1gに100mlの酢酸エチルを加え、室温で一昼夜攪拌して、菌体内のPHAを抽出した。菌体残渣をろ別後、エバポレーターで総容量が約30mlになるまで濃縮した後、約100mlのメタノールを徐々に加え、ゆっくり攪拌しながら、1時間放置してPHAを析出させた。析出したPHAをメタノール及び酢酸エチルから分離し、50℃で3時間真空乾燥した。乾燥PHAの重量を測定し、菌体内のPHA含量を算出した。乾燥菌体重量、PHA含量、及びPHA生産量を表3に示した。
【0091】
【表3】
【0092】
生産されたPHAのモノマー組成は以下のようにガスクロマトグラフィーによって分析した。乾燥PHAの約20mgに2mlの硫酸−メタノール混液(15:85)と2mlのクロロホルムを添加して密栓し、100℃で140分間加熱することでPHA分解物のメチルエステルを得た。冷却後、これに1.5gの炭酸水素ナトリウムを少しずつ加えて中和し、炭酸ガスの発生がとまるまで放置した。4mlのジイソプロピルエーテルを添加してよく混合した後、遠心して、上清中のPHA分解物のモノマー組成をキャピラリーガスクロマトグラフィーにより分析した。ガスクロマトグラフは島津製作所GC−17Aを用い、キャピラリーカラムはGLサイエンス社製NEUTRA BOND−1(カラム長25m、カラム内径0.25mm、液膜厚0.4μm)を用いた。キャリアガスとしてHeを用い、カラム入口圧100kPaとし、サンプルは1μlを注入した。温度条件は、初発温度を100℃とし、100℃から200℃までは8℃/分の速度で昇温し、さらに200℃から290℃までは30℃/分の速度で昇温した。上記条件にて分析した結果、実施例3で生産されたPHAが、炭素数4〜14の3−ヒドロキシアルカン酸モノマーから構成されるPHAであることを確認した。
【0093】
(比較例3)
各種脂肪酸組成物又は混合組成物の代わりに、炭素源として、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、オレイン酸、又は、パームオレインオイルを単独で用いた以外は実施例3と同じ条件にて、Pseudomonas resinovorans ATCC14235株を培養し、乾燥菌体重量、PHA含量、及びPHA生産量を測定した。結果を表3に示した。
【0094】
(実施例4)C.maltosaの培養によるPHA生産
種々の炭素源を用いて微生物を培養することで、PHAの生産を行なった。
【0095】
微生物として、C.maltosa AHU−71 pARR−149/171NSx2−phbB株(国際公開第2005/085415号公報を参照)を用いた。
【0096】
前培地にはYNB培地(0.67w/v% Yeast Nitrogen base without amino acid、2w/v% Glucose)を用いた。PHA生産培地には、M2培地(12.75g/L (NH
4)
2SO
4、1.56g/L KH
2PO
4、0.33g/L K
2HPO
4・3H
2O、0.08g/L KCl、0.5g/L NaCl、0.41g/L MgSO
4・7H
2O、0.4g/L Ca(NO
3)
2・4H
2O、0.01g/L FeCl
3・4H
2O)に、0.45ml/Lの微量金属塩溶液(0.1N塩酸に1g/mL FeSO
4・7H
2O、8g/mL ZnSO
4・7H
2O、6.4g/mL MnSO
4・4H
2O、0.8g/mL CuSO
4・5H
2Oを溶かしたもの)を添加した培地を用いた。
【0097】
C.maltosa AHU−71 pARR−149/171NSx2−phbB株のグリセロールストックを、50mlの前培地を入れた500ml用の坂口フラスコに500μl接種した。これを培養温度30℃で20時間培養した。得られた培養液を、300mlのPHA生産培地を入れた2L用の坂口フラスコに10v/v%で接種した。さらに、炭素源として、表4に示した各種脂肪酸組成物又は混合組成物を2w/v%の濃度にて坂口フラスコに入れ、30℃で48時間振とう培養した。炭素源は坂口フラスコ内に一括添加した。培養終了後、遠心分離によって菌体を回収し、メタノールで洗浄した後、凍結乾燥し、乾燥菌体重量を測定した。
【0098】
得られた乾燥菌体約1gに100mlのクロロホルムを加え、室温で一昼夜攪拌して、菌体内のPHAを抽出した。菌体残渣をろ別後、エバポレーターで総容量が約30mlになるまで濃縮し、その後、約90mlのヘキサンを徐々に加え、ゆっくり攪拌しながら、1時間放置してPHAを析出させた。析出したPHAをろ別後、50℃で3時間真空乾燥した。乾燥PHAの重量を測定し、菌体内のPHA含量を算出した。乾燥菌体重量、PHA含量、及びPHA生産量を表4に示した。
【0099】
【表4】
【0100】
生産されたPHAのモノマー組成を実施例3と同様の方法にて分析した。その結果、実施例4で生産されたPHAが、炭素数4の3−ヒドロキシ酪酸と炭素数6の3−ヒドロキシヘキサン酸の共重合体(PHBH)であることを確認した。
【0101】
(比較例4)
各種脂肪酸組成物又は混合組成物の代わりに、炭素源として、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、オレイン酸、又は、パームオレインオイルを用いた以外は実施例4と同じ条件にて、C.maltosa AHU−71 pARR−149/171NSx2−phbB株を培養し、乾燥菌体重量、PHA含量、及びPHA生産量を測定した。結果を表4に示した。
【0102】
(実施例5)KNK−005株の培養によるPHA生産
微生物として、KNK−005株(米国特許第7384766号明細書を参照)を用いた。
【0103】
種母培地の組成は、1w/v% Meat−extract、1w/v% Bacto−tryptone、0.2w/v% Yeast−extract、0.9w/v% Na
2HPO
4・12H
2O、0.15w/v% KH
2PO
4とし、pHは6.8とした。
【0104】
前培養培地の組成は、1.1w/v% Na
2HPO
4・12H
2O、0.19w/v% KH
2PO
4、1.29w/v%(NH
4)
2SO
4、0.1w/v% MgSO
4・7H
2O、2.5w/v%パームオレインオイル、0.5v/v%微量金属塩溶液(0.1N塩酸に1.6w/v% FeCl
3・6H
2O、1w/v% CaCl
2・2H
2O、0.02w/v% CoCl
2・6H
2O、0.016w/v% CuSO
4・5H
2O、0.012w/v% NiCl
2・6H
2Oを溶かしたもの)とした。前培養培地での炭素源であるパームオレインオイルは10g/Lの濃度で一括添加した。
【0105】
PHA生産培地の組成は、0.385w/v% Na
2HPO
4・12H
2O、0.067w/v% KH
2PO
4、0.291w/v% (NH
4)
2SO
4、0.1w/v% MgSO
4・7H
2O、0.5v/v%微量金属塩溶液(0.1N塩酸に1.6w/v% FeCl
3・6H
2O、1w/v% CaCl
2・2H
2O、0.02w/v% CoCl
2・6H
2O、0.016w/v% CuSO
4・5H
2O、0.012w/v% NiCl
2・6H
2Oを溶かしたもの)、0.05w/v%BIOSPUREX200K(消泡剤:コグニスジャパン社製)とした。
【0106】
まず、KNK−005株のグリセロールストック(50μl)を種母培地(10ml)に接種して24時間培養し種母培養を行なった。次に種母培養液を、1.8Lの前培養培地を入れた3Lジャーファーメンター(丸菱バイオエンジ製MDL−300型)に1.0v/v%接種した。運転条件は、培養温度33℃、攪拌速度500rpm、通気量1.8L/min.とし、pHを6.7〜6.8の間でコントロールしながら28時間培養し、前培養を行なった。pHコントロールには14%水酸化アンモニウム水溶液を使用した。
【0107】
次に、前培養液を、2.5Lの生産培地を入れた5Lジャーファーメンター(丸菱バイオエンジ製MDS−U50型)に5.0v/v%接種した。運転条件は、培養温度33℃、攪拌速度420rpm、通気量2.1L/min.とし、pHを6.7から6.8の間でコントロールした。pHコントロールには14%水酸化アンモニウム水溶液を使用した。炭素源は断続的に添加した。使用した炭素源を表5に示した。油脂としてはパームオレインオイルを使用した。培養は64時間行い、培養終了後、遠心分離によって菌体を回収し、メタノールで洗浄した後、凍結乾燥し、乾燥菌体重量を測定した。
【0108】
得られた乾燥菌体1gに100mlのクロロホルムを加え、室温で一昼夜攪拌して、菌体内のPHAを抽出した。菌体残渣をろ別後、エバポレーターで総容量が30mlになるまで濃縮した後、90mlのヘキサンを徐々に加え、ゆっくり攪拌しながら、1時間放置してPHAを析出させた。析出したPHAをろ別後、50℃で3時間真空乾燥した。乾燥PHAの重量を測定し、菌体内のPHA含量を算出した。乾燥菌体重量、PHA含量、及びPHA生産量を表5に示した。
【0109】
生産されたPHAのモノマー組成を実施例3と同様の方法にて分析した。その結果、実施例5で生産されたPHAが、炭素数4の3−ヒドロキシ酪酸と炭素数6の3−ヒドロキシヘキサン酸の共重合体(PHBH)であることを確認した。
【0110】
【表5】
【0111】
(比較例5)
各種脂肪酸組成物又は混合組成物の代わりに、炭素源として、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、オレイン酸、及びパームオレインオイルを用いた以外は実施例5と同じ条件にて、KNK−005株を培養し、乾燥菌体重量、PHA含量、及びPHA生産量を測定した。結果を表5に示した。
【0112】
(実施例6)実施例5における炭素源19、23、24及び25を用いたスケールアップの検証
実施例5にて、長鎖飽和脂肪酸単独の使用と比較して微生物の生育量及びPHAの生産量が向上した、複数の長鎖脂肪酸と油脂とを含有する炭素源(炭素源19、23、24及び25)を用い、スケールアップの検証を行なった。
【0113】
微生物としては、実施例5と同様、KNK−005株を用いた。
【0114】
種母培地(第1世代、第2世代)の組成は、1w/v% Meat−extract、1w/v% Bacto−tryptone、0.2w/v% Yeast−extract、0.9w/v% Na
2HPO
4・12H
2O、0.15w/v% KH
2PO
4とし、pHは6.8とした。
【0115】
前培養培地の組成は、1.1w/v% Na
2HPO
4・12H
2O、0.19w/v% KH
2PO
4、1.29w/v%(NH
4)
2SO
4、0.1w/v% MgSO
4・7H
2O、2.5w/v%パームオレインオイル、0.5v/v%微量金属塩溶液(0.1N塩酸に1.6w/v% FeCl
3・6H
2O、1w/v% CaCl
2・2H
2O、0.02w/v% CoCl
2・6H
2O、0.016w/v% CuSO
4・5H
2O、0.012w/v% NiCl
2・6H
2Oを溶かしたもの)とした。前培養培地での炭素源であるパームオレインオイルは10g/Lの濃度で一括添加した。
【0116】
PHA生産培地の組成は、0.385w/v% Na
2HPO
4・12H
2O、0.067w/v% KH
2PO
4、0.291w/v% (NH
4)
2SO
4、0.1w/v% MgSO
4・7H
2O、0.5v/v% 微量金属塩溶液(0.1N塩酸に1.6w/v% FeCl
3・6H
2O、1w/v% CaCl
2・2H
2O、0.02w/v% CoCl
2・6H
2O、0.016w/v% CuSO
4・5H
2O、0.012w/v% NiCl
2・6H
2Oを溶かしたもの)、0.05w/v%BIOSPUREX200K(消泡剤:コグニスジャパン社製)とした。
【0117】
第1世代培養として、まず、KNK−005株のグリセロールストックを、50mlの種母培地を入れた500ml用の坂口フラスコに500μl接種した。これを培養温度30℃で20時間培養した。次に第2世代培養として、第1世代培養液を、500mlの種母培地を入れた2L用の坂口フラスコに10v/v%で接種し、培養温度30℃で24時間培養した。次に種母培養として、第2世代培養液を、400Lの前培養培地を入れた容量1000Lの培養槽に1.0v/v%接種した。運転条件は、培養温度33℃、攪拌速度270rpm、通気量200L/min.とし、pHを6.7〜6.8の間でコントロールしながら24時間培養し、前培養を行なった。pHコントロールには14%水酸化アンモニウム水溶液を使用した。
【0118】
次に、本培養として、前培養液を、16000LのPHA生産培地を入れた容量400000Lの培養槽に2.5v/v%接種した。運転条件は、培養温度33℃、攪拌速度86rpm、通気量5000L/min.とし、pHを6.7から6.8の間でコントロールした。pHコントロールには14%水酸化アンモニウム水溶液を使用した。炭素源は断続的に添加した。培養は65時間行い、培養終了後、遠心分離によって菌体を回収し、メタノールで洗浄した後、凍結乾燥し、乾燥菌体重量を測定した。
【0119】
得られた乾燥菌体1gに100mlのクロロホルムを加え、室温で一昼夜攪拌して、菌体内のPHAを抽出した。菌体残渣をろ別後、エバポレーターで総容量が30mlになるまで濃縮した後、90mlのヘキサンを徐々に加え、ゆっくり攪拌しながら、1時間放置してPHAを析出させた。析出したPHAをろ別後、50℃で3時間真空乾燥した。乾燥PHAの重量を測定し、菌体内のPHA含量を算出した。乾燥菌体重量、PHA含量、及びPHA生産量を表6に示した。
【0120】
【表6】