【文献】
Mol. Ther.,2007年,Vol. 15, No. 7,p. 1288-1296
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ヌクレオチド配列5’ucagcuucuguuagccacug3’(配列番号5)からなるアンチセンスオリゴヌクレオチドであって、各ヌクレオシド間結合が、ホスホロチオエート結合であり、かつ、各糖部分が、2’−O−メチル置換されている、上記アンチセンスオリゴヌクレオチド。
DMD又はBMD患者の細胞中でジストロフィンプレmRNAのエクソン44スキッピングを誘導するための、請求項1で規定されるオリゴヌクレオチド、又は請求項2で規定される医薬品組成物。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本出願の全体を通して、表現「スキッピングの誘導」は、「スプライシングの調節」と同義である。
【0009】
配列番号1:5’−GUGGCUAACAGAAGCU、配列番号2:5’−GGGAACAUGCUAAAUAC、配列番号3:5’−AGACACAAAUUCCUGAGA、又は配列番号4:5’−CUGUUGAGAAAを含むヌクレオチド配列に結合する分子により、この分子が提供された細胞中で高効率なエクソン44スキッピングが生じることがわかった。その上、スプライスジャンクション部位の保存部分に由来すると示された配列はない。したがって、前記分子は、DMDプレmRNA由来の他のエクソン、又は他の遺伝子由来のエクソンの特質的なスプライシングを媒介しないようである。さらに、他の(免疫)毒性は、好ましくは、本明細書で上記に規定したようなヌクレオチド配列に結合する分子中のCpG対を避けることにより回避する。
【0010】
エクソンスキッピングとは、細胞中に正常に存在する特定のエクソンを含有しない成熟mRNAの細胞中での誘導をいう。エクソンスキッピングは、例えば、スプライシングの酵素過程を可能にするのに必要なスプライスドナー配列又はスプライスアクセプター配列などの配列を干渉できる分子、又はエクソンがmRNAに含まれるようなヌクレオチドの伸長を認識するのに必要なエクソン包含シグナルを干渉できる分子を、前記mRNAのプレmRNAを発現する細胞に提供することにより達成される。用語プレmRNAとは、細胞核中で転写によってDNA鋳型から合成された、処理されていない又は部分的に処理された前駆体mRNAをいう。
【0011】
本発明のある種の方法により、これに限定されないが、エクソン03〜43、05〜43、06〜43、10〜43、13〜43、14〜43、17〜43、19〜43、28〜43、30〜43、31〜43、33〜43、34〜43、35〜43、36〜43、37〜43、38〜43、40〜43、41〜43、42〜43、43、45、45〜54及び45〜68を含む欠失を有する、又はエクソン44の重複を有する、DMD患者の筋原細胞又は筋細胞の1つ又は複数の特徴が軽減されよう。その上、例えばエクソン43又はエクソン45などの隣接エクソンの除去により、隣接エクソン中のナンセンス点変異のために、アウトオブフレームの転写が生じるであろう。追加のエクソン44スキッピングは、隣接エクソンのスキッピングとの組合せにより、DMD患者の筋原細胞又は筋細胞中のDMD遺伝子のリーディングフレームを回復させる。かかる変異の非限定的な例には、エクソン43+44スキッピング又はエクソン44+45スキッピングをそれぞれ必要とする、隣接エクソン43又は45中のナンセンス点変異がある。
【0012】
ある実施形態では、本発明の方法により、強いBMD患者の筋原細胞又は筋細胞の1つ又は複数の特徴を、軽度のBMD患者の特徴に軽減することもできる。DMD又はBMD患者の細胞の特徴には、筋細胞によるカルシウム取込みの増加、コラーゲン合成の増加、形態の変化、脂質生合成の変化、酸化ストレスの増加、及び/又は筋細胞膜の損傷が挙げられる。本発明の方法の好ましい実施形態は、本明細書で後に規定する。
【0013】
1つの実施形態では、本明細書で規定される分子は、特定された配列、又はRNA結合タンパク質、若しくはRNA分子上の指示されたヌクレオチド配列に結合できるように変更した非天然のジンクフィンガータンパク質などのタンパク質に結合し、且つ/又は相補的である化合物分子であってよい。特異的なヌクレオチド配列に結合する化合物分子を選別する方法は、例えば、PCT/NL01/00697及び米国特許第6,875,736号に開示され、これらは参照により本明細書に組み込まれる。特異的なヌクレオチド配列に結合するRNA結合ジンクフィンガータンパク質を設計する方法は、Friesen及びDarby、Nature Structural Biology 5:543−546(1998)により開示され、これは参照により本明細書に組み込まれる。特定された配列番号1、2、3又は4のうちの1つの配列への結合は、好ましくはDMDのエクソン44との関連で、当業者に既知の技法により評価することができる。好ましい技法は、EP1619249に記載のゲル移動度シフトアッセイである。好ましい実施形態では、分子と、標識された配列番号1、2、3又は4の配列との結合が、ゲル移動度シフトアッセイにおいて検出できるとすぐに、前記分子は特定の配列の1つに結合すると言われている。代替的に、又は先の実施形態と組み合わせて、分子は、配列番号1、2、3若しくは4、又は本明細書で後に規定されるその部分に相補的又は実質的に相補的であるオリゴヌクレオチドである。この場面で使用される用語「実質的に」相補的とは、機能性、すなわちエクソン44スキッピングの誘導がなおも許容される限り、1つ又は2つ以上のミスマッチは許可できることを示す。
【0014】
本発明は、分子、好ましくはDMD遺伝子のエクソン44スキッピングを誘導できるオリゴヌクレオチドを設計するための方法を提供する。まず、配列番号1、2、3若しくは4の1つ、又は本明細書で前に規定したようなその部分に結合する前記オリゴヌクレオチドを選択する。続いて、好ましい方法では、設計するために以下の態様の少なくとも1つを考慮に入れ、前記分子をいくらかさらに改良した:
分子がCpGを含まない、
分子がGカルテットモチーフを含まない、
分子が、許容されるRNA結合反応速度及び/又は熱力学的特性を有する。
【0015】
オリゴヌクレオチド中のCpGの存在は、通常、前記オリゴヌクレオチドの免疫原性の増加に関連する(Dorn及びKippenberger、Curr Opin Mol Ther 2008 10(1)10−20)。この免疫原性の増加は、筋線維の崩壊を誘導し得るため、望ましくない。免疫原性は、動物モデルの筋生検においてCD4
+及び/又はCD8
+及び/又は炎症性単核球浸潤の存在を評価することにより、前記動物において評価することができる。免疫原性は又、当業者に既知の標準の免疫測定法を用いて、中和抗体及び/又は前記オリゴヌクレオチドを認識する抗体の存在を検出することにより、本発明のオリゴヌクレオチドで処置している動物又は人間の血液において評価することもできる。免疫原性における増加は、標準の免疫測定法を用いて、中和抗体又は前記オリゴヌクレオチドを認識する抗体の存在又は増加量を検出することによって評価することができる。
【0016】
Gカルテットモチーフを含むオリゴヌクレオチドは、4つの1本鎖オリゴヌクレオチドのフーグスティーン塩基対によって形成された、四重鎖、多量体又は凝集体を形成する傾向を有し(Cheng及びVan Dyke、Gene.1997 Sep 15;197(1−2):253−60)、結果としてオリゴヌクレオチドの効率が低下すると予期されるのは、もちろん望ましくない。多量体化又は凝集は、好ましくは、当業者に既知の標準の非変性ポリアクリルアミドゲル電気泳動技法により評価する。好ましい実施形態では、本発明のオリゴヌクレオチドの総量の20%又は15%未満、10%、7%、5%又はそれ未満が、上述のアッセイを用いて評価した、多量体化又は凝集する能力を有する。
【0017】
本発明により、許容されるRNA結合反応速度及び/又は熱力学的特性を有するオリゴヌクレオチドを設計することができる。RNA結合速度及び/又は熱力学的特性は、オリゴヌクレオチドの融解温度(Tm;基本的なTm及び最近接モデルを用いて、1本鎖RNA用のオリゴヌクレオチド特性計算機(www.unc.edu/〜cail/biotool/oligo/index.html)により計算した)、及び/又は(RNA構造バージョン4.5を用いる)AON標的エクソン複合体の自由エネルギーによって、少なくとも一部は決定される。もしTmが高すぎれば、オリゴヌクレオチドは特異性がより低いと予想される。許容されるTm及び自由エネルギーは、オリゴヌクレオチドの配列に依存する。したがって、これらの各パラメータについて好ましい範囲を得ることは難しい。許容されるTmは35及び65℃の間の範囲であってよく、許容される自由エネルギーは15及び45kcal/molの間の範囲であってよい。
【0018】
したがって、当業者は第一に、エクソン44の配列番号1、2、3若しくは4、又は本明細書で規定したようなその部分に結合し、且つ/又は相補的であるような、可能性のある治療化合物としてのオリゴヌクレオチドを選ぶことができる。当業者は、前記オリゴヌクレオチドが、本明細書で前に規定されたような前記配列に結合できることをチェックすることができる。任意選択で、第2ステップでは、当業者は、CpGの非存在、Gカルテットモチーフの非存在に関してチェックすること、及び/又は前記オリゴヌクレオチドのTm及び/又はAON標的複合体の自由エネルギーを最適化することにより、前記オリゴヌクレオチドをさらに最適化するために本発明を使用することができる。当業者は、CpG及びGカルテットモチーフが存在せず、且つ/又はオリゴヌクレオチドと相補的であるエクソン44の異なる配列(例えば、配列番号1、2、3又は4)を選ぶことによって、より許容されるTm及び/又は自由エネルギーが得られる、オリゴヌクレオチドの設計を試みることができる。或いは、もしエクソン44の配列番号1、2、3又は4内の所与の伸長に相補的なオリゴヌクレオチドが、CpG、Gカルテットモチーフを含み、且つ/又は許容されるTm及び/又は自由エネルギーをもたなければ、当業者は、オリゴヌクレオチドの長さを短くすること、及び/又はオリゴヌクレオチドと相補的ないずれかの配列番号1、2、3又は4内の異なる伸長を選ぶこと、及び/又はオリゴヌクレオチドの化学的性質を変えることによって、これらのどのパラメータも改善することができる。
【0019】
例として、配列番号1を選ぶと、いくつかのオリゴヌクレオチドが設計され、配列番号5、49及び54の配列に結合することがわかった。配列番号5を含むオリゴヌクレオチドは、最適なTmなどの、最適なRNA結合速度及び/又は熱力学的特性を有することがわかった。発明者等が、エクソン44スキッピングを誘導するこれらのオリゴヌクレオチドの機能性を試験すると、配列番号5を含むオリゴヌクレオチドが、これらの4つのオリゴヌクレオチドのうち最も効率的であることが確認された。これらの各オリゴヌクレオチドは、本発明の意味では機能的である。しかし、配列番号5を含むオリゴヌクレオチドは、配列番号1に結合し、且つ/又は相補的である、同定された最も好ましいオリゴヌクレオチドである。
【0020】
本方法のどのステップでも、本発明のオリゴヌクレオチドは、好ましくは、許容されるレベルの機能的活性をなおも示すことができるオリゴヌクレオチドである。前記オリゴヌクレオチドの機能的活性は、好ましくは、DMD遺伝子のエクソン44スキッピングをある程度まで誘導して、機能性ジストロフィンタンパク質及び/若しくはmRNA、並びに/又は異常なジストロフィンタンパク質及び/又はmRNAの産生の少なくとも部分的な減少を個体にもたらすものである。これらの各特質は、本明細書で後に規定する。かかる機能的活性は、個体の筋組織中若しくは筋細胞中、又はインビトロの細胞中で測定することができる。機能性の評価は、好ましくは、RT−PCRを用いて、mRNAレベルで行うことができる。機能性の評価は、好ましくは、断面のウエスタンブロット解析又は免疫蛍光解析を用いて、タンパク質レベルで行うことができる。好ましい実施形態では、オリゴヌクレオチドはDMD遺伝子のエクソン44スキッピングを誘導すると言われ、RT−PCRによってDMD患者の筋細胞において試験したとき、エクソン44スキッピングの割合は、少なくとも30%、又は少なくとも35%、又は少なくとも40%、又は少なくとも45%、又は少なくとも50%、又は少なくとも55%、又は少なくとも60%、又は少なくとも65%、又は少なくとも70%、又は少なくとも75%、又は少なくとも80%、又は少なくとも85%、又は少なくとも90%、又は少なくとも95%、又は100%である。
【0021】
好ましい実施形態では、かかるオリゴヌクレオチドは、好ましくは薬剤である。より好ましくは、前記薬剤は、個体又は患者においてデュシェンヌ型筋ジストロフィー又はベッカー型筋ジストロフィーを予防又は治療するためのものである。本明細書で規定したように、DMDプレmRNAは、好ましくはDMD又はBMD患者のDMD遺伝子のプレmRNAを意味する。患者は、好ましくはDMD若しくはBMDを有する患者、又はその遺伝的背景のためにDMD若しくはBMDにかかりやすい患者を意味することを意図する。
【0022】
DMD患者の場合では、使用されるオリゴヌクレオチドにより、好ましくは前記患者のDMD遺伝子中に存在するような少なくとも1つのDMD変異が訂正されることになり、したがって、好ましくはBMDジストロフィンのように見えるジストロフィンがつくられることになり、前記ジストロフィンは、好ましくは本明細書で後に規定される機能性ジストロフィンとなる。
【0023】
BMD患者の場合では、使用されるようなオリゴヌクレオチドにより、好ましくは前記患者のDMD遺伝子中に存在するような少なくとも1つのBMD変異が訂正されることになり、したがって、好ましくは前記BMD患者にもともと存在したジストロフィンより機能的になる、1つ又は複数のジストロフィンがつくられるであろう。さらにより好ましくは、前記薬剤により、個体において、機能的な若しくはより機能的なジストロフィンタンパク質及び/又はmRNAの産生が増加し、且つ/又は少なくとも一部は、異常な若しくはより機能的でないジストロフィンタンパク質及び/又はmRNAの産生が減少する。
【0024】
好ましくは、本発明の方法により、1つ又は複数の細胞、好ましくは患者の筋細胞中で、本明細書で特定されるDMDプレmRNAの少なくともエクソン44のスキッピングを誘導及び/又は促進することによって、前記患者において、より機能的なジストロフィンタンパク質及び/又はmRNAの産生が増加し、且つ/又は異常な若しくはより機能的でないジストリフィンタンパク質及び/又はmRNAの産生が減少する。患者におけるより機能的なジストロフィンタンパク質及び/又はmRNAの産生の増加、及び/又は異常なジストロフィンタンパク質及び/又はmRNAの産生の減少が、一般的にDMD患者に適用される。より機能的な又は機能的なジストロフィン及び/又はmRNAの産生の増加が、一般的にBMD患者に適用される。
【0025】
したがって、好ましい方法は、患者中又は前記患者の1つ又は複数の細胞中で、前記患者において、より機能的な若しくは機能的なジストロフィンタンパク質及び/又はmRNAの産生を増加させ、且つ/又は異常なジストロフィンタンパク質及び/又はmRNAの産生を減少させる方法であって、前記異常な又はより機能的なジストロフィンタンパク質及び/又はmRNAのレベルを、本方法の開始時の前記患者における前記ジストロフィン及び/又はmRNAのレベルと比較することによって評価する方法である。
【0026】
本明細書で規定したように、機能性ジストロフィンは、好ましくは配列番号55で特定されるアミノ酸配列を有するタンパク質に相当する野生型ジストロフィンである。機能性ジストロフィンは、好ましくは、当業者に知られているように、そのN末端部分にアクチン結合ドメイン(N末端の最初の240個のアミノ酸)、システインリッチなドメイン(3361から3685個までのアミノ酸)及びC末端ドメイン(C末端の最後の325個のアミノ酸)を有し、これらの各ドメインが野生型ジストロフィンに存在するジストロフィンである。本明細書で示されるアミノ酸は、配列番号55で表される野生型ジストロフィンのアミノ酸に相当する。別の実施形態では、機能性ジストロフィンは、少なくともある程度は野生型ジストロフィンの活性を示すジストロフィンである。「少なくともある程度」とは、好ましくは野生型機能性ジストロフィンに相当する活性の少なくとも30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%又は100%を意味する。この場面では、野生型ジストロフィンの活性は、好ましくはアクチン及びジストロフィン関連糖タンパク質複合体(DGC)に結合することである(Aartsma−Rus Aら、(2006)、ライデンのデュシェンヌ型筋ジストロフィー変異データベースへの登録:リーディングフレームルールを確認する変異型及び矛盾するケースの概観(Entries in the leiden Duchenne Muscular Dystrophy mutation database:an overview of mutation types And paradoxical cases that confirm the reading−frame rule)、Muscle Nerve、34:135−144)。アクチン及びDGC複合体へのジストロフィンの結合は、当業者に知られているような、ジストロフィーの疑いのある筋生検からの、総タンパク質抽出物を使用する共免疫沈降法又は断面の免疫蛍光解析のどちらかによって、可視化することができる。
【0027】
デュシェンヌ型筋ジストロフィーを患っている個体は、一般的に、ジストロフィンをコードする遺伝子中に変異を有し、これにより完全なタンパク質の合成が妨げられる、すなわち中途終止によりタンパク質のC末端の合成が妨げられる。ベッカー型筋ジストロフィーにおいても、ジストロフィン遺伝子は野生型と比べて変異を含むが、変異により一般的に中途終止が誘導されず、タンパク質のC末端は一般的に合成される。結果として、必ずしも同じ活性量ではないが、少なくとも野生型タンパク質と種類の同じ活性を有する機能性ジストロフィンタンパク質が合成される。好ましい実施形態では、機能性ジストロフィンタンパク質とは、インフレームのジストロフィン遺伝子を意味する。BMD個体のゲノムは、一般的に、N末端部分(N末端の最初の240個のアミノ酸)、システインリッチなドメイン(3361から3685個までのアミノ酸)及びC末端ドメイン(C末端の最後の325個のアミノ酸)を含むジストロフィンタンパク質をコードするが、その中央のロッド形状ドメインは、野生型ジストロフィンの1つより短い場合がある(Aartsma−Rus Aら、(2006)、ライデンのデュシェンヌ型筋ジストロフィー変異データベースへの登録:リーディングフレームルールを確認する変異型及び矛盾するケースの概観(Entries in the leiden Duchenne Muscular Dystrophy mutation database:an overview of mutation types and paradoxical cases that confirm the reading−frame rule)、Muscle Nerve、34:135−144)。本明細書で示されるアミノ酸は、配列番号55で表される野生型ジストロフィンのアミノ酸に相当する。DMD治療のためのエクソンスキッピングは、好ましいが非限定的には、ロッドドメイン形状のドメイン中のエクソンをスキッピングしてリーディングフレームを訂正することにより、プレmRNAにおける中途終止を克服することを対象とし、タンパク質はロッドドメインがより短くなった結果としていくらかより短くはあるが、これによりC末端を含むジストロフィンタンパク質の残りを合成することが可能になる。好ましい実施形態では、DMDを有し、本明細書で規定されているようなオリゴヌクレオチドを使用して治療されている個体は、少なくともある程度は野生型ジストロフィンの活性を示すジストロフィンが得られるであろう。より好ましくは、もし前記個体がデュシェンヌの患者、又はデュシェンヌの患者である疑いがあれば、機能性ジストロフィンは、BMDを有する個体に由来するジストロフィンと機能性において同程度であり、好ましくは前記ジストロフィンがアクチン及びDGCの両方と相互作用できるが、その中央のロッド形状ドメインが野生型ジストロフィンの1つより短い場合がある(Aartsma−Rus Aら、(2006)、ライデンのデュシェンヌ型筋ジストロフィー変異データベースへの登録:リーディングフレームルールを確認する変異型及び矛盾するケースの概観(Entries in the leiden Duchenne Muscular Dystrophy mutation database:an overview of mutation types and paradoxical cases that confirm the reading−frame rule)、Muscle Nerve、34:135−144)。野生型ジストロフィンの中央のロッドドメインは、24個のスペクトリン様反復を含む(Aartsma−Rus Aら、(2006)、ライデンのデュシェンヌ型筋ジストロフィー変異データベースへの登録:リーディングフレームルールを確認する変異型及び矛盾するケースの概観(Entries in the leiden Duchenne Muscular Dystrophy mutation database:an overview of mutation types And paradoxical cases that confirm the reading−frame rule)、Muscle Nerve、34:135−144)。例えば、本明細書で提供されるようなジストロフィンの中央のロッド形状ドメインは、それがアクチン及びDCGに結合できる限り、5から23、10から22又は12から18個のスペクトリン様反復を含むことができる。
【0028】
前記患者中又は前記患者の細胞中の異常なジストロフィンの産生の減少とは、mRNAレベルで評価でき、好ましくは、異常なジストロフィンmRNAの最初の量の99%、90%、80%、70%、60%、50%、40%、30%、20%、10%、5%又はそれ未満が、RT PCRによってなおも検出できることを意味する。異常なジストロフィンmRNA又はタンパク質は、本明細書において、非機能性又は低から非機能性又は半機能性ジストロフィンmRNA又はタンパク質とも称される。非機能性プレmRNAジストロフィンは、好ましくはアウトオブフレームのジストロフィンタンパク質を導き、これはジストロフィンタンパク質が産生されず、且つ/又は検出されないことを意味する。非機能性ジストロフィンタンパク質は、好ましくはアクチン及び/又はDGCタンパク質複合体メンバーに結合できないジストロフィンタンパク質である。非機能性ジストロフィンタンパク質又はジストロフィンmRNAは、一般的に、タンパク質の無傷なC末端を有するジストロフィンタンパク質をもたない、又はコードしない。
【0029】
患者中又は前記患者の細胞中の機能性ジストロフィンの産生の増加は、(RT−PCR解析によって)mRNAレベルで評価でき、好ましくは、機能性又はインフレームのジストロフィンmRNAの検出可能な量が、RT PCRによって検出できることを意味する。別の実施形態では、検出可能なジストロフィンmRNAの1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%又は90%以上が、機能性又はインフレームのジストロフィンmRNAである。
【0030】
患者中又は前記患者の細胞中の機能性ジストロフィンの産生の増加は、(免疫蛍光法及びウエスタンブロット解析によって)タンパク質レベルで評価でき、好ましくは、機能性ジストロフィンタンパク質の検出可能な量が、免疫蛍光法又はウエスタンブロット解析によって検出できることを意味する。別の実施形態では、検出可能なジストロフィンタンパク質の1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%又は90%以上が、機能性ジストロフィンタンパク質である。
【0031】
増加又は減少は、好ましくは、本発明の前記分子又は組成物で処置する前の個体又は患者に存在する量と比較することによって、前記個体又は患者の筋組織中又は筋細胞中で評価する。或いは、比較は、処置が局所の場合、前記オリゴヌクレオチド又は組成物でまだ処置していない前記個体又は患者の筋組織又は細胞を用いて行うことができる。
【0032】
さらなる態様では、個体におけるデュシェンヌ型筋ジストロフィー又はベッカー型筋ジストロフィーの1つ又は複数の症状(単数又は複数)を軽減する、又は前記個体の筋芽細胞又は筋細胞の1つ又は複数の特徴(単数又は複数)を軽減するための方法であって、本明細書で規定されるオリゴヌクレオチド又は組成物を前記個体に投与するステップを含む方法が提供される。
【0033】
デュシェンヌ型筋ジストロフィー又はベッカー型筋ジストロフィーを患っている個体において、ジストロフィンプレmRNAを発現する細胞中の前記プレmRNAからのエクソンスキッピングを増強、誘導又は促進するための方法であって、本明細書で規定されるオリゴヌクレオチド又は組成物を前記個体に投与するステップを含む方法がさらに提供される。
【0034】
細胞中の機能性ジストロフィンタンパク質の産生を増加させ、且つ/又は異常なジストロフィンタンパク質の産生を減少させるための方法であって、前記細胞が異常なジストロフィンタンパク質をコードするジストロフィン遺伝子のプレmRNAを含み、本発明のオリゴヌクレオチド又は組成物を前記細胞に提供するステップと、前記プレmRNAのスプライシングから産生されるmRNAの翻訳を可能にするステップとを含む方法がさらに提供される。1つの実施形態では、前記方法は、例えば細胞培養を用いてインビボで行う。好ましくは、前記方法は前記個体においてインビボで行う。
【0035】
この場面では、機能性ジストロフィンタンパク質の産生の増加は、本明細書で規定されている。
【0036】
本発明の分子又は組成物を使用する、個体におけるデュシェンヌ型筋ジストロフィー又はベッカー型筋ジストロフィーの1つ又は複数の症状(単数又は複数)の軽減は、次のいずれかのアッセイによって評価することができる:歩行をロスする時間の延長、筋強度の改善、重りを持ち上げる能力の改善、床から立ち上がるのにかかる時間の改善、9メートルの歩行時間の改善、4段を上るのにかかる時間の改善、脚の機能グレードの改善、肺機能の改善、心臓機能の改善、生活の質の改善。これらの各アッセイは、当業者に既知である。例として、Manzurらの発表(Manzur AYら、(2008)、デュシェンヌ型筋ジストロフィー用のグルココルチコイド副腎皮質ステロイド(概説)(Glucocorticoid corticosteroids for Duchenne muscular dystrophy)、Wiley publishers、The Cochrane collaboration)では、これらの各アッセイの広範な説明がされている。これらの各アッセイに関しては、アッセイで測定したパラメータの検出可能な改善又は延長が見つかり次第、それは好ましくは、デュシェンヌ型筋ジストロフィー又はベッカー型筋ジストロフィーの1つ又は複数の症状が、本発明の分子又は組成物を用いて、個体において軽減したことを意味するであろう。検出可能な改善又は延長は、好ましくは、Hodgettsらの説明のように統計学的に重要な改善又は延長である(Hodgetts S.ら、(2006)、Neuromuscular Disorders、16:591−602)。
【0037】
或いは、デュシェンヌ型筋ジストロフィー又はベッカー型筋ジストロフィーの1つ又は複数の症状(単数又は複数)の軽減は、機能、完全性及び/又は生存に関する筋線維の特徴の改善を測定することによって評価でき、前記特徴は患者自身について評価する。かかる特徴は、所与の患者の細胞、組織レベルで評価することができる。1つ又は複数の特徴の軽減は、患者由来の筋原細胞又は筋細胞についての以下のいずれかのアッセイによって評価することができる:筋細胞によるカルシウム取込みの低下、コラーゲン合成の減少、形態の変化、脂質生合成の変化、酸化ストレスの減少、及び/又は筋線維の機能、完全性及び/又は生存の改善。これらのパラメータは、通常、筋生検の断面の免疫蛍光法及び/又は組織化学的解析を用いて評価する。
【0038】
本明細書で使用するようなオリゴヌクレオチドは、好ましくはアンチセンスオリゴヌクレオチド又はアンチセンスオリゴリボヌクレオチドを含む。好ましい実施形態では、エクソンスキッピング技法が適用される。エクソンスキッピングは、真核細胞内で起こる天然のスプライシング過程を干渉する。高等真核生物では、細胞のDNAにおけるタンパク質に関する遺伝情報は、イントロン配列によって互いに隔てられるエクソン中にコードされている。これらのイントロンは、場合によっては非常に長い。真核生物の転写機構により、エクソン及びイントロンの両方を含むプレmRNAがつくり出されるが、スプライシング機構により、しばしばすでにプレmRNAの産生中に、プレmRNA中に存在するエクソンと一緒にスプライシングすることによって、タンパク質に関する実際のコード領域がつくり出される。
【0039】
エクソンスキッピングにより、少なくとも1つのスキッピングされたエクソンを欠く成熟mRNAが生じる。したがって、前記エクソンがアミノ酸をコードするとき、エクソンスキッピングにより、変化した産物の発現が導かれる。エクソンスキッピングのための技術は、現在、アンチセンスオリゴヌクレオチド(AON)の使用に向けられている。この研究の多くは、デュシェンヌ型筋ジストロフィー用のmdxマウスモデルにおいて行われる。mdxマウスは、エクソン23中にナンセンス変異を保有する。mdx変異により、機能性ジストロフィンタンパク質の合成が妨げられるはずであるにも関わらず、まれに、天然に生じるジストロフィン陽性線維が、mdx筋組織中に観察された。これらのジストロフィン陽性線維は、体細胞変異のために又は選択的スプライシングによって、見かけ上天然に生じるエクソンスキッピング機構から生じたと考えられる。ジストロフィンプレmRNA中のイントロン22及び23の3’及び/又は5’スプライス部位にそれぞれ向かうAONは、普通、エクソン23もmRNAから除去するための、イントロン23の除去に関連する因子を干渉することが示されている(Alter Jら、モルホリノオリゴヌクレオチドの全身性送達により体全体のジストロフィン発現が回復し、ジストロフィーの病状が改善する(Systemic delivery of morpholino oligonucleotide restores dystrophin expression bodywide and improves dystrophic pathology).Nat Med 2006;12(2):175−7、Lu QLら、mdxジストロフィーマウスにおいて変異エクソンをスキッピングすることによって産生されたジストロフィンの機能量(Functional amounts of dystrophin produced by skipping the mutated exon in the mdx dystrophic mouse).Nat Med 2003;6:6、Lu QLら、アンチセンスオリゴリボヌクレオチドの全身性送達により、体全体の骨格筋におけるジストロフィン発現が回復する(Systemic delivery of antisense oligoribonucleotide restores dystrophin expression in body−wide skeletal muscles).Proc Natl Acad Sci USA 2005;102(1):198−203、Mann CJら、改善したアンチセンスオリゴヌクレオチドにより、筋ジストロフィーのmdxマウスモデルにおいてエクソンスキッピングを誘導した(Improved antisense oligonucleotide induced exon skipping in the mdx mouse model of muscular dystrophy).J Gene Med 2002;4(6):644−54又はGraham IRら、アンチセンスオリゴリボヌクレオチド(splicomer)によって誘導される、mdxマウス筋におけるジストロフィンエクソン23スプライシングの治療用阻害に向けて:オリゴヌクレオチドアレイを用いた標的配列の最適化(Towards a therapeutic inhibition of dystrophin exon 23 splicing in mdx mouse muscle induced by antisense oligoribonucleotides (splicomers):target sequence optimisation using oligonucleotide arrays).J Gene Med 2004;6(10):1149−58)。
【0040】
標的にした特異的なエクソンスキッピングによって、DMD表現型は、より軽度なBMD表現型に転換される。エクソンスキッピングは、好ましくはエクソン内の配列を標的にするAONの結合によって誘導される。エクソン内の配列に向きをもつオリゴヌクレオチドは、一般的に、エクソンでない配列とのオーバーラップを示さない。好ましくは、少なくともイントロン中に存在しない限り、オリゴヌクレオチドはスプライス部位にオーバーラップしない。エクソン内の配列に向きをもつオリゴヌクレオチドは、好ましくは隣接するイントロンに相補的な配列を含まない。したがって、本発明によるオリゴヌクレオチドがさらに提供され、前記オリゴヌクレオチド又はその機能性同等物は、ジストロフィンプレmRNAのエクソンが、前記プレmRNAのスプライシングから産生されるmRNAに含まれるのを阻害するためのものである。エクソンスキッピング技法は、好ましくは、ジストロフィンプレmRNAから産生されるmRNA由来のエクソンの非存在により、より短くはあるが、より機能的なジストロフィンタンパク質のコード領域が生み出されるように適用される。この場面では、エクソンが含まれるのを阻害するとは、好ましくは、本明細書で前に規定されたように、元のもの、すなわち異常なジストロフィンmRNA及び/又はタンパク質の検出が減少することを意味する。
【0041】
本発明の場面内では、オリゴヌクレオチドの機能性同等物とは、好ましくは、1つ又は複数のヌクレオチドが置換されており、前記機能性同等物の活性が少なくともある程度は保持されている、本明細書で規定されるオリゴヌクレオチドを意味する。好ましくは、前記機能性同等物の活性により、機能性ジストロフィンタンパク質が提供される。したがって、前記機能性同等物の前記活性は、好ましくは機能性ジストロフィンタンパク質の量を定量化することによって、又は機能性ジストロフィンmRNAの量を定量化することによって評価される。機能性ジストロフィンタンパク質(又は機能性ジストロフィンmRNA)は、本明細書では好ましくは、アクチン及びDGCタンパク質メンバーに結合できる、ジストロフィンタンパク質(又は前記mRNAによってコードされるジストロフィンタンパク質)であることとして規定される。オリゴヌクレオチドの前記活性の評価は、好ましくはRT−PCR(mRNA)によって、又は免疫蛍光法若しくはウエスタンブロット解析(タンパク質)によって行う。前記活性は、好ましくは、機能性同等物が派生する前記オリゴヌクレオチドに相当する活性の、少なくとも50%、又は少なくとも60%、又は少なくとも70%、又は少なくとも80%、又は少なくとも90%、又は少なくとも95%又はそれ以上を表すとき、少なくともある程度は保持される。かかる活性は、個体の筋組織中若しくは筋細胞中、又はインビトロの細胞中で、機能性同等物が派生するオリゴヌクレオチドに相当する前記オリゴヌクレオチドの活性と比較することによって、測定することができる。この出願全体にわたり、言葉オリゴヌクレオチドが用いられるとき、それは本明細書で規定されるその機能性同等物に置き換えることができる。
【0042】
好ましい実施形態では、本明細書で前に規定されたようなジストロフィンプレmRNAのエクソン44の配列に結合し、且つ/又は相補的である配列を含む、本発明のオリゴヌクレオチドは、相補的な部分が、本発明のオリゴヌクレオチドの長さの少なくとも50%、より好ましくは少なくとも60%、さらにより好ましくは少なくとも70%、さらにより好ましくは少なくとも80%、さらにより好ましくは少なくとも90%、又はさらにより好ましくは少なくとも95%、又はさらにより好ましくは少なくとも98%、又はさらにより好ましくは少なくとも99%、又はさらにより好ましくは少なくとも100%であるようなものである。最も好ましい実施形態では、本発明のオリゴヌクレオチドは、本明細書で規定されるジストロフィンプレmRNAの部分に相補的である配列からなる。例として、オリゴヌクレオチドは、本明細書で規定されるジストロフィンプレmRNAの部分、及び追加の隣接配列に相補的である配列を含み得る。より好ましい実施形態では、前記オリゴヌクレオチドの前記相補的な部分の長さは、少なくとも8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59又は60ヌクレオチドである。好ましくは、追加の隣接配列は、タンパク質とオリゴヌクレオチドとの結合を改変するため、又はオリゴヌクレオチドの熱力学的特性を改変するため、より好ましくは標的RNA結合親和性を改変するために使用される。
【0043】
したがって、必ずしも、相補性領域中の全塩基が、対立する鎖中の塩基とペアをつくることができる必要はない。例えばオリゴヌクレオチドを設計するとき、例えば、相補的な鎖上の塩基と塩基対をつくらない残基を組み込むことを望むことができる。もし細胞中の環境下で、ヌクレオチドの伸長が相補的な部分と十分にハイブリッド形成できれば、ミスマッチはある程度は許可することができる。この場面では、「十分に」とは、好ましくは、EP1619249の実施例1に記載のようなゲル移動度シフトアッセイを使用して、オリゴヌクレオチドの結合が検出できることを意味する。任意選択で、前記オリゴヌクレオチドは、患者の筋細胞にトランスフェクトすることによって、さらに試験することができる。標的にしたエクソンスキッピングは、(EP1619249に記載のような)RT−PCRによって評価することができる。相補的な領域は、好ましくは、結合したときに、それらがプレmRNA中のエクソンに特異的であるように設計する。かかる特異性は、システムにおける他の(プレ)mRNA中の実際の配列に依存するので、相補的な領域の様々な長さでつくることができる。1つ又は複数の他のプレmRNAがオリゴヌクレオチドとハイブリッド形成できることになる危険も、オリゴヌクレオチドのサイズが大きくなるにつれて減少する。相補性領域中にミスマッチを含むが、プレmRNA中の標的領域(単数又は複数)とハイブリッド形成及び/又は結合する能力を保持するオリゴヌクレオチドが、本発明で使用できることは明白である。しかし好ましくは、少なくとも相補的な部分が、一般的に、1つ又は複数の相補的な領域中にかかるミスマッチを有するオリゴヌクレオチドより、高い効率及び高い特異性を有するとき、相補的な部分はかかるミスマッチを含まない。より高いハイブリッド形成強度(すなわち、対立する鎖との相互作用の数が増加すること)は、システムのスプライシング機構を干渉する方法の効率を上げるのに有利であると考えられる。好ましくは、相補性は90及び100%の間である。一般的に、これによりヌクレオチド20個のオリゴヌクレオチド中に1又は2つのミスマッチ(単数又は複数)か、ヌクレオチド40個のオリゴヌクレオチド中に1、2、3又は4個のミスマッチか、ヌクレオチド60個のオリゴヌクレオチド中に1、2、3、4、5又は6つのミスマッチが許可される。
【0044】
本発明の好ましい分子は、DMDプレmRNAのエクソン44から選択される配列にアンチセンスであるヌクレオチドベースの配列を含む、又はそれからなる。DMDプレmRNAの配列は、好ましくは配列番号1:5’−GUGGCUAACAGAAGCU、配列番号2:5’−GGGAACAUGCUAAAUAC、配列番号3:5’−AGACACAAAUUCCUGAGA及び配列番号4:5’−CUGUUGAGAAAから選択される。
【0045】
本発明の分子は、好ましくは、単離された分子である。
【0046】
本発明の分子は、好ましくは、配列番号1、2、3又は4から選択されたエクソン44の配列に結合し、且つ/又は相補的である、核酸分子又はヌクレオチドベースの分子又はオリゴヌクレオチド又はアンチセンスオリゴヌクレオチドである。
【0047】
本発明の好ましい分子は、18ヌクレオチド、19ヌクレオチド、20ヌクレオチド、21ヌクレオチド、22ヌクレオチド又は23ヌクレオチドなどの、約8から約60ヌクレオチド、より好ましくは約10から約50ヌクレオチド、より好ましくは約17から約40ヌクレオチド、より好ましくは約18から約30ヌクレオチド、より好ましくは約18から約24ヌクレオチド、最も好ましくは約20ヌクレオチドを含む、又はそれからなる。
【0048】
本発明の好ましい分子は、8から60ヌクレオチド、より好ましくは10から50ヌクレオチド、より好ましくは17から40ヌクレオチド、より好ましくは18から30ヌクレオチド、より好ましくは21から60ヌクレオチド、より好ましくは22から55ヌクレオチド、より好ましくは23から53ヌクレオチド、より好ましくは24から50ヌクレオチド、より好ましくは25から45ヌクレオチド、より好ましくは26から43ヌクレオチド、より好ましくは27から41ヌクレオチド、より好ましくは28から40ヌクレオチド、より好ましくは29から40ヌクレオチド、より好ましくは18から24ヌクレオチドを含み、又はそれからなり、好ましくは、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59又は60ヌクレオチドを含む、又はそれからなる。
【0049】
ある種の実施形態では、本発明により、表1Aに示されるアンチセンスヌクレオチド配列から選択されるアンチセンスヌクレオチド配列を含む、又はそれからなる分子が提供される。
【0050】
ヌクレオチド配列:配列番号1:5’−GUGGCUAACAGAAGCUを有するヌクレオチドに、結合し、且つ/又は相補的であり、且つ/又はアンチセンスである、本発明の分子又は核酸分子は、好ましくは、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30、配列番号31、配列番号32、配列番号33、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40、配列番号41、配列番号42、配列番号49、配列番号54のアンチセンスヌクレオチド配列を含む、又はそれからなる。DMDプレmRNAのこの領域を標的にする好ましい分子は、配列番号5、配列番号49又は配列番号54のアンチセンスヌクレオチド配列を含む、又はそれからなる。最も好ましいオリゴヌクレオチドは、配列番号5のアンチセンスヌクレオチド配列を含む、又はそれからなる。
【0051】
より好ましい実施形態では、本発明により、アンチセンスヌクレオチド配列である配列番号5:5’−UCAGCUUCUGUUAGCCACUGを含む、又はそれからなる分子が提供される。この分子は、筋細胞中でDMD遺伝子のエクソン44のスプライシングを調節するのに非常に効率的であることがわかった。配列番号5を含む、本発明のより好ましいこの分子は、21から60、より好ましくは22から55、より好ましくは23から53、より好ましくは24から50、より好ましくは25から45、より好ましくは26から43、より好ましくは27から41、より好ましくは28から40、より好ましくは29から40個を含み、好ましくは、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59又は60ヌクレオチドを含む、又はそれからなる。
【0052】
別の好ましい実施形態では、本発明により、アンチセンスヌクレオチド配列である配列番号49又は54を含む、又はそれからなる分子が提供される。配列番号49又は配列番号54のいずれかを含む、本発明のこれらの好ましい分子は、18から60、より好ましくは18から55、より好ましくは20から53、より好ましくは24から50、より好ましくは25から45、より好ましくは26から43、より好ましくは27から41、より好ましくは28から40、より好ましくは29から40個をさらに含み、好ましくは、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59又は60ヌクレオチドを含む、又はそれからなる。
【0053】
さらなる実施形態では、配列番号2:5’−GGGAACAUGCUAAAUACにアンチセンスである本発明の分子は、好ましくは配列番号43又は配列番号44のアンチセンスヌクレオチド配列を含む、又はそれからなる。配列番号43又は配列番号44のいずれかを含む、本発明のこれらの好ましい分子は、17から60ヌクレオチド、より好ましくは18から30ヌクレオチド、より好ましくは21から60、より好ましくは22から55、より好ましくは23から53、より好ましくは24から50、より好ましくは25から45、より好ましくは26から43、より好ましくは27から41、より好ましくは28から40、より好ましくは29から40、より好ましくは18から24ヌクレオチドをさらに含み、好ましくは、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59又は60ヌクレオチドを含む、又はそれからなる。
【0054】
なおさらなる実施形態では、配列番号3:5’−AGACACAAAUUCCUGAGAにアンチセンスである本発明の分子は、好ましくは、配列番号47又は配列番号48のアンチセンスヌクレオチド配列を含む、又はそれからなる。配列番号47又は配列番号48のいずれかを含む、本発明のこれらの好ましい分子は、17から60ヌクレオチド、より好ましくは18から30ヌクレオチド、より好ましくは17から60、より好ましくは22から55、より好ましくは23から53、より好ましくは24から50、より好ましくは25から45、より好ましくは26から43、より好ましくは27から41、より好ましくは28から40、より好ましくは29から40、より好ましくは18から24ヌクレオチドをさらに含み、好ましくは、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59又は60ヌクレオチドを含む、又はそれからなる。
【0055】
なおさらなる実施形態では、配列番号4:5’−CUGUUGAGAAAにアンチセンスである本発明の分子は、好ましくは、配列番号45又は配列番号46のアンチセンスヌクレオチド配列を含む、又はそれからなる。配列番号45又は配列番号46のいずれかを含む、本発明のこれらの好ましい分子は、11から60ヌクレオチド、より好ましくは11から30ヌクレオチド、より好ましくは11から60個をさらに含み、好ましくは、11、12、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59又は60ヌクレオチドを含む、又はそれからなる。
【0056】
本発明の分子のヌクレオチド配列は、本明細書で下記にさらに詳述するように、RNA残基、又は1つ若しくは複数のDNA残基、及び/又は1つ若しくは複数のヌクレオチド類似体若しくは同等物を含むことができる。
【0057】
本発明の分子は、ヌクレアーゼ耐性を増加させ、且つ/又は標的配列に対するアンチセンスヌクレオチドの親和性を増加させるように修正される1つ又は複数の残基を含むことが好ましい。したがって、好ましい実施形態では、アンチセンスヌクレオチド配列は、少なくとも1つのヌクレオチド類似体又は同等物を含み、ヌクレオチド類似体又は同等物は、修飾された塩基、及び/又は修飾された骨格、及び/又は非天然のヌクレオシド間結合、又はこれらの修飾の組合せを有する残基として規定される。
【0058】
好ましい実施形態では、ヌクレオチド類似体又は同等物は、修飾された骨格を含む。かかる骨格の例には、モルホリノ骨格、カルバメート骨格、シロキサン骨格、スルフィド、スルホキシド及びスルホン骨格、ホルムアセチル及びチオホルムアセチル骨格、メチレンホルムアセチル骨格、リボアセチル骨格、アルケン含有骨格、スルホメート、スルホネート及びスルホンアミド骨格、メチレンイミノ及びメチレンヒドラジノ骨格、並びにアミド骨格が挙げられる。ホスホロジアミデートモルホリノオリゴマーは、アンチセンス剤として以前に研究された、修飾骨格オリゴヌクレオチドである。モルホリノオリゴヌクレオチドは、DNAのデオキシリボース糖が六員環に置き換えられ、ホスホジエステル結合がホスホロジアミデート結合に置き換えられた、無電荷の骨格を有する。モルホリノオリゴヌクレオチドは、酵素分解に耐性があり、RNase Hの活性よりむしろ、翻訳の抑止又はプレmRNAスプライシングの干渉によって、アンチセンス剤として機能するようである。モルホリノオリゴヌクレオチドは、細胞膜を物理的に破壊する方法によって、組織培養細胞にうまく送達され、これらのいくつかの方法を比較するある研究では、スクレープローディングが最も効率的な送達方法であることがわかったが、モルホリノ骨格は無電荷であるため、陽イオン性脂質は、細胞中へのモルホリノオリゴヌクレオチドの取込みの効率的な媒介物ではない。最近の報告では、モルホリノオリゴヌクレオチドによる三重鎖形成が実際に示され、非イオン性骨格のため、これらの研究により、モルホリノオリゴヌクレオチドはマグネシウムの非存在において三重鎖形成できることが示された。
【0059】
短鎖アルキル若しくはシクロアルキルのヌクレオチド間結合によって形成される結合、混合ヘテロ原子及びアルキル若しくはシクロアルキルのヌクレオチド間結合、又は1つ若しくは複数の短鎖ヘテロ原子又は複素環のヌクレオシド間結合などの、骨格中の残基間の結合が、リン原子を含まないことがさらに好ましい。
【0060】
好ましいヌクレオチド類似体又は同等物は、修飾されたポリアミド骨格を有するペプチド核酸(PNA)を含む(Nielsenら、(1991) Science 254、1497−1500)。PNAベースの分子は、塩基対認識に関するDNA分子の正確な模倣体である。PNAの骨格は、ペプチド結合によって連結されるN−(2−アミノエチル)グリシンユニットで構成され、核酸塩基がメチレンカルボニル結合によって骨格に連結される。代替骨格は、1つの炭素が伸長したピロリジンPNAモノマーを含む(Govindaraju及びKumar(2005)Chem.Commun、495−497)。PNA分子の骨格は、荷電したリン酸基を含まないため、PNA−RNAハイブリッドは、通常、RNA−RNA又はRNA−DNAハイブリッドそれぞれより安定である(Egholmら(1993)Nature 365、566−568)。
【0061】
さらなる好ましい骨格は、モルホリノヌクレオチド類似体又は同等物を含み、リボース又はデオキシリボース糖が、六員環モルホリノに置き換えられる。最も好ましいヌクレオチド類似体又は同等物は、ホスホロジアミデートモルホリノオリゴマー(PMO)を含み、リボース又はデオキシリボース糖が、六員環モルホリノに置き換えられ、隣接モルホリノ環の間の陰イオン性ホスホジエステル結合が、非イオン性ホスホロジアミデート結合に置き換えられる。
【0062】
なおさらなる実施形態では、本発明のヌクレオチド類似体又は同等物は、ホスホジエステル結合中の非架橋酸素の1つの置換を含む。この修飾により、塩基対がわずかに不安定化するが、ヌクレアーゼ分解への重要な耐性が加えられる。好ましいヌクレオチド類似体又は同等物は、ホスホロチオエート、キラルなホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、ホスホトリエステル、アミノアルキルホスホトリエステル、H−ホスホネート、例えば3’−アルキレンホスホネート、5’−アルキレンホスホネート及びキラルなホスホネートを含むエチル及び他のアルキルホスホネート、ホスフィネート、例えば3’−アミノホスホルアミデート及びアミノアルキルホスホルアミデートを含むホスホルアミデート、チオノホスホルアミデート、チオノアルキルホスホネート、チオノアルキルホスホトリエステル、セレノホスフェート又はボラノホスフェートを含む。
【0063】
本発明のさらなる好ましいヌクレオチド類似体又は同等物は、−OH;−F;1つ又は複数のヘテロ原子によって妨げることができる、置換又は非置換の、直鎖状又は分岐状の低級(C1〜C10)アルキル、アルケニル、アルキニル、アルカリル、アリル又はアラルキル;O−、S−又はN−アルキル;O−、S−又はN−アルケニル;O−、S−又はN−アルキニル;O−、S−又はN−アリル;O−アルキル−O−アルキル、−メトキシ、−アミノプロポキシ;メトキシエトキシ;−ジメチルアミノオキシエトキシ;及び−ジメチルアミノエトキシエトキシなどの、2’、3’及び/又は5’位で一又は二置換される、1つ又は複数の糖部分を含む。糖部分は、ピラノース若しくはその誘導体、又はデオキシピラノース若しくはその誘導体、好ましくはリボース若しくはその誘導体、又はデオキシリボース若しくはその誘導体であってよい。好ましい誘導体化された糖部分は、ロックト核酸(LNA)を含み、2’炭素原子が、糖環の3’又は4’炭素原子に連結し、それによって二環式糖部分を形成する。好ましいLNAは、2’−O、4’−C−エチレン架橋核酸を含む(Moritaら.2001.Nucleic Acid Res Supplement No.1:241−242)。これらの置換により、ヌクレオチド類似体又は同等物に、RNase H及びヌクレアーゼ耐性が与えられ、標的RNAに対する親和性が増加する。
【0064】
別の実施形態では、本発明のヌクレオチド類似体又は同等物は、1つ又は複数の塩基の修飾又は置換を含む。修飾された塩基は、当業者に既知である又は既知であろう、イノシン、キサンチン、ヒポキサンチン、他の−アザ、デアザ、−ヒドロキシ、−ハロ、−チオ、チオール、−アルキル、−アルケニル、−アルキニル、ピリミジン及びプリン塩基のチオアルキル誘導体などの合成及び天然塩基を含む。
【0065】
アンチセンスオリゴヌクレオチド中の全ての位置が一様に修飾される必要はないことは、当業者に理解される。さらに、前述の類似体又は同等物の1つ以上は、単一のアンチセンスオリゴヌクレオチド中、又はアンチセンスオリゴヌクレオチド内の単一の位置でさえも、組み込むことができる。ある種の実施形態では、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、少なくとも2つの異なるタイプの類似体又は同等物を有する。
【0066】
本発明のより好ましいアンチセンスオリゴヌクレオチドは、2’−O−メチル修飾リボース(RNA)、2’−O−エチル修飾リボース、2’−O−プロピル修飾リボースなどの、2’−O−アルキルホスホロチオエートアンチセンスオリゴヌクレオチド、及び/又はハロゲン化誘導体などの、これらの修飾の置換誘導体を含む。
【0067】
本発明の最も好ましいアンチセンスオリゴヌクレオチドは、2’−O−メチルホスホロチオエートリボースを含む。
【0068】
効率的なエクソン44スキッピングのために、異なるアンチセンスオリゴヌクレオチドを組み合わせられることも、当業者に理解されよう。好ましい実施形態では、2つの異なるアンチセンスオリゴヌクレオチド、3つの異なるアンチセンスオリゴヌクレオチド、4つの異なるアンチセンスオリゴヌクレオチド又は5つの異なるアンチセンスオリゴヌクレオチドなどの、少なくとも2つのアンチセンスオリゴヌクレオチドの組合せが、本発明の方法で使用される。
【0069】
アンチセンスオリゴヌクレオチドは、細胞、好ましくは筋原細胞又は筋細胞中へのアンチセンスオリゴヌクレオチドの取込みを増強する部分に結合することができる。かかる部分の例は、コレステロール、炭水化物、ビタミン、ビオチン、脂質、リン脂質、これに限定されないが、アンテナペディア、TAT、トランスポータン、及びオリゴアルギニン、ポリアルギニン、オリゴリシン若しくはポリリシンなどの陽電荷アミノ酸を含む細胞貫通ペプチド、抗体によって得られるような抗体結合ドメイン、抗体のFabフラグメント、又はラクダ科単一ドメイン抗体結合ドメインなどの単鎖抗体結合ドメインである。
【0070】
好ましいアンチセンスオリゴヌクレオチドは、ペプチド連結型PMOを含む。
【0071】
本発明のオリゴヌクレオチドは、当業者に既知の適切な方法を用いて、間接的に投与することができる。オリゴヌクレオチドは、例えば、発現ベクターの形式で、個体、又は前記個体の細胞、組織又は器官に提供することができ、発現ベクターが前記オリゴヌクレオチドを含む転写物をコードする。発現ベクターは、好ましくは遺伝子送達媒体によって細胞、組織、器官又は個体に導入される。好ましい実施形態では、本明細書で特定される分子の発現又は転写を駆動する発現カセット又は転写カセットを含む、ウイルスベースの発現ベクターが提供される。細胞には、必須配列を干渉できる分子をもたらすことができ、結果としてプラスミド由来アンチセンスオリゴヌクレオチドの発現、又はアデノウイルス若しくはアデノ関連ウイルスベースのベクターにより実現するウイルスの発現によって、高効率なエクソン44スキッピングが引き起こされる。発現は、好ましくは、U1、U6又はU7RNAプロモーターなどのポリメラーゼIIIプロモーターによって駆動される。好ましい送達媒体は、アデノ関連ウイルスベクター(AAV)などのウイルスベクター、又はレンチウイルスベクターなどのレトロウイルスベクター(Goyenvalle Aら、U7snRNA媒介型エクソンスキッピングによるジストロフィー筋の救済(Rescue of dystrophic muscle through U7 snRNA−mediated exon skipping)Science 2004;306(5702):1796−9、De Angelis FGら、ジストロフィンプレmRNAのエクソン51のスプライスジャンクションに対するアンチセンス配列を保有するキメラsnRNA分子により、デルタ48−50DMD細胞中でのエクソンスキッピング及びジストロフィン合成の回復を誘導する(Chimeric snRNA molecules carrying antisense sequences against the splice junctions of exon 51 of the dystrophin pre−mRNA induce exon skipping and restoration of a dystrophin synthesis in Delta 48−50 DMD cells)Proc Natl Acad Sci USA 2002;99(14):9456−61、又はDenti MAら、キメラアデノ関連ウイルス/アンチセンスU1核内低分子RNAにより、mdxマウスの局所治療によってジストロフィン合成及び筋機能を効果的に救済する(Chimeric adeno−associated virus/antisense Ul small nuclear RNA effectively rescues dystrophin synthesis and muscle function by local treatment of mdx mice)Hum Gene Ther 2006;17(5):565−74)などである。或いは、プラスミド、人工染色体、細胞のヒトゲノム中の標的にした相同組換え及び組込みに使用できるプラスミドは、本明細書で規定されるオリゴヌクレオチドの送達に適切に適用することができる。本発明で好ましいのは、転写がPolIIIプロモーターから駆動され、且つ/又は転写物がU1又はU7転写物との融合の形態であり、これにより低分子転写物を送達するための優れた結果がもたらされるベクターである。適切な転写物を設計することは、当業者の技能内である。好ましいのは、PolIII駆動型転写物である。好ましくは、U1又はU7転写物との融合転写物の形態である(同じGoyenvalle Aら、De Angelis FGら又はDenti MAらを参照されたい)。かかる融合は、記載のようにつくり出すことができる(Gorman Lら、改変U7核内低分子RNAによるプレmRNAスプライシング様式の安定的な変化(Stable alteration of pre−mRNA splicing patterns by modified U7 small nuclear RNAs).Proc Natl Acad Sci USA 1998;95(9):4929−34、又はSuter Dら、二重標的アンチセンスU7snRNAにより、3つのヒトベータサラセミア変異中の異常なエクソンの効率的なスキッピングを促進する(Double−target antisense U7 snRNAs promote efficient skipping of an aberrant exon in three human betathalassemic mutations). Hum Mol Genet 1999;8(13):2415−23)。オリゴヌクレオチドは、そのままで送達することができる。しかし、オリゴヌクレオチドは、ウイルスベクターにもコードすることができる。一般的に、これは、転写物の一部にオリゴヌクレオチドの配列を含むRNA転写物の形態である。
【0072】
1つの好ましいアンチセンスオリゴヌクレオチド発現系は、アデノウイルス関連ウイルス(AAV)ベースのベクターである。高効率なDMDのエクソン44スキッピングのための低分子アンチセンスヌクレオチド配列の延長した発現に使用できる、単鎖及び二本鎖AAVベースのベクターを開発した。
【0073】
好ましいAAVベースのベクターは、ポリメラーゼIIIプロモーター(PolIII)によって駆動される発現カセットを含む。好ましいPolIIIプロモーターは、例えば、U1、U6又はU7RNAプロモーターである。
【0074】
したがって、本発明は又、DMD遺伝子のエクソン44スキッピングを誘導するための、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドを発現させるためのPolIIIプロモーター駆動型発現カセットを含む、ウイルスベースのベクターも提供する。
【0075】
個体又は前記個体の細胞、組織、器官に、オリゴヌクレオチド及び/又はその同等物をもたらすための方法の改善は、これまですでに達成された前進を考慮して予測される。かかる将来の改善は、本発明の方法を使用するmRNAの再構築への述べた効果を達成するためにもちろん組み込むことができる。オリゴヌクレオチド及び/又はその同等物は、個体、前記個体の細胞、組織又は器官にそのまま送達することができる。オリゴヌクレオチド及び/又はその同等物を投与するとき、オリゴヌクレオチド及び/又はその同等物は、送達方法と適合性のある溶液中に溶解させることが好ましい。筋又は筋原細胞には、水溶液中でプラスミドを提供することによって、アンチセンスオリゴヌクレオチド発現のためのプラスミドを提供することができる。或いは、プラスミドは、既知のトランスフェクト剤を用いたトランスフェクションによって提供することができる。静脈内、皮下、筋肉内、くも膜下腔内及び/又は脳室内投与のために、溶液は生理食塩水であることが好ましい。本発明において特に好ましいのは、本明細書で規定される各構成物を細胞に且つ/又は細胞中に、好ましくは筋細胞中に送達する助けとなるであろう賦形剤又はトランスフェクト剤を使用することである。好ましいのは、細胞膜を通って小胞又はリポソーム中に複合体化又はトラップした、本明細書で規定される各構成物を送達する複合体、ナノ粒子、ミセル、小胞及び/又はリポソームを形成できる賦形剤又はトランスフェクト剤である。これらの賦形剤の多くは、当技術分野では既知である。適切な賦形剤又はトランスフェクト剤は、ポリエチレンイミン(PEI;ExGen500(MBI Fermentas))、LipofectAMINE(商標)2000(Invitrogen)若しくはその誘導体、又はポリプロピレンイミン若しくはポリエチレンイミンコポリマー(PEC)及び誘導体を含む同様の陽イオン性ポリマー、合成両親媒性物質(SAINT−18)、リポフェクチンTM、DOTAP及び/又は本明細書で規定される各構成物を細胞に、好ましくは筋細胞に送達できる粒子中に自己集合できるウイルスカプシドタンパク質を含む。かかる賦形剤は、アンチセンス核酸などのオリゴヌクレオチドを、筋細胞を含む幅広い様々な培養細胞に効率的に送達することが示された。それらの高いトランスフェクション潜在力を、全体の細胞の生存の観点から、予期される低レベルから中レベルの毒性と組み合わせる。構造的な改変の容易さは、さらなる改変、並びにそれらのさらなる(インビボの)核酸輸送の特徴及び毒性の解析を可能にするのに用いることができる。
【0076】
リポフェクチンはリポソームのトランスフェクト剤の例を表す。リポフェクチンは、2つの脂質成分、すなわち陽イオン性脂質N−[1−(2,3ジオレオイロキシ)プロピル]−N,N,N−トリメチルアンモニウム塩化物(DOTMA)(cp.硫酸メチル塩であるDOTAP)及び中性脂質ジオレイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)からなる。中性成分は、細胞内放出を媒介する。送達系の別の群は、ポリマーのナノ粒子である。
【0077】
DNAトランスフェクト試薬としてよく知られる、ジエチルアミノエチルアミノエチル(DEAE)−デキストリンのようなポリカチオンは、ブチルシアノアクリレート(PBCA)及びヘキシルシアノアクリレート(PHCA)と組み合わせて、本明細書で規定される各構成物を送達できる、好ましくは細胞膜を通過して細胞中にオリゴヌクレオチドを送達できる陽イオン性ナノ粒子を処方することができる。
【0078】
これらの一般的なナノ粒子物質に加えて、陽イオン性ペプチドのプロタミンにより、コロイドを伴うオリゴヌクレオチドを処方するための代替のアプローチが可能になる。このコロイドナノ粒子系により、いわゆるプロティクルが形成でき、これはオリゴヌクレオチドの細胞内放出をパッケージ及び媒介する、単純な自己集合方法によって調製することができる。当業者は、ヒトにおけるデュシェンヌ型筋ジストロフィー又はベッカー型筋ジストロフィーの治療のために、オリゴヌクレオチドを送達する本発明に使用するための、上記又は他の市販のいかなる代替賦形剤、並びにオリゴヌクレオチドをパッケージ及び送達するための送達系も、選択及び適応することができる。
【0079】
さらに、オリゴヌクレオチドは、細胞、細胞質及び/又はその核中への取込みを加速させるように設計された標的リガンドに、特異的に共有結合又は非共有結合的に連結させることができる。かかるリガンドは、(i)細胞の取込みを加速させる、細胞、組織又は器官の特定のエレメントを認識する化合物(これに限定されないが、ペプチド(様)構造体が挙げられる)及び/又は(ii)細胞中への取込み、及び/又は例えばエンドソーム又はリソソームの、小胞からのオリゴヌクレオチドの細胞内放出を加速させることができる化学的化合物を含むことができる。
【0080】
したがって、好ましい実施形態では、オリゴヌクレオチドは、組成物又は薬剤、又は少なくとも賦形剤、及び/又は送達のための標的リガンド、及び/又は細胞へのその送達装置、及び/又はその細胞内送達の増強がもたらされる組成物中に処方される。それ故に、本発明は又、オリゴヌクレオチドを含み、少なくとも1つの賦形剤、及び/又は送達のための標的リガンド、及び/又は前記オリゴヌクレオチドの細胞への送達装置、及び/又はその細胞内送達の増強をさらに含む、薬学的に許容される組成物も包含する。もし組成物が、本明細書で後に規定される補助化合物などの追加の構成物を含めば、組成物の各構成物は、1つの単一の組合せ又は組成物又は調製に処方することができないことを理解されたい。それらの独自性により、当業者は、どの処方のタイプが、本明細書で規定される各構成物に最も適するかを承知するであろう。好ましい実施形態では、本発明により、オリゴヌクレオチド及び本明細書で後に規定されるさらなる補助化合物を含む部分のキットの形態である組成物又は調製が提供される。
【0081】
好ましいオリゴヌクレオチドは、個体においてデュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)又はベッカー型筋ジストロフィー(BMD)を予防又は治療するためのものである。本発明のオリゴヌクレオチドを使用して治療できる個体は、すでにDMD又はBMDを有すると診断できている。或いは、本発明のオリゴヌクレオチドを使用して治療できる個体は、まだDMD又はBMDを有すると診断できていないが、その遺伝的背景を考慮して、将来的にDMD又はBMDにかかる危険性の増加を有する個体は診断することができる。好ましい個体はヒトである。
【0082】
もし必要であれば、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドを発現する分子又はベクターは、薬学的に許容される担体を添加することによって、薬学的に活性な混合物に組み込むことができる。
【0083】
したがって、本発明は又、本発明によるアンチセンスオリゴヌクレオチド、又は本発明によるアンチセンスオリゴヌクレオチドを発現するウイルスベースのベクターを含む分子を含む薬学的組成物も提供する。
【0084】
さらなる態様では、本明細書で規定されるオリゴヌクレオチドを含む組成物が提供される。好ましくは、前記組成物は、本明細書で規定される少なくとも2つの異なるオリゴヌクレオチドを含む。より好ましくは、これらの2つの異なるオリゴヌクレオチドは、1つ又は2つ又はそれより多いエクソンをスキッピングするように設計される。マルチスキッピングは本発明に包含され、エクソン44スキッピングを誘導する本発明のオリゴヌクレオチドが、別のエクソンスキッピングを誘導する別のオリゴヌクレオチドと組み合わせて使用される。この場面では、別のエクソンは、エクソン43、45又は52であってよい。マルチエクソンスキッピングは、すでにEP1619249中に開示されている。DMD遺伝子は、多くの異なるエクソンを有する大きな遺伝子である。該遺伝子がX染色体上に位置することを考えれば、罹患するのはほとんど男児であるが、女児が両親から悪い遺伝子のコピーを受け取ることができるとき、又はその筋細胞中での特に偏ったX染色体不活性化のために、機能性対立遺伝子の特に偏った不活性化を患っているとき、女児も該疾患に罹患し得る。該タンパク質は、少なくとも2.4Mbの範囲を超える複数のエクソン(79)によってコードされる。欠損は、DMD遺伝子のどの部分でも起こり得る。特定のエクソン(単数又は複数)のスキッピングにより、正常より短いが、少なくとも部分的に機能的なジストロフィンタンパク質をコードする、再構築されたmRNAを頻繁にもたらすことができる。エクソンスキッピング技術にもとづく薬剤の開発における実用上の問題は、細胞中の機能性ジストロフィンタンパク質の欠乏をもたらし得る、複数の変異である。多発性の異なる変異が、単一エクソンのスキッピングによってすでに訂正できるという事実にも関わらず、異なる変異に関して異なるエクソンのスキッピングが必要であるとき、この複数の変異には、異なる一連の医薬品の生成が必要である。オリゴヌクレオチド、又は2つ以上のエクソンのスキッピングを誘導できる、本明細書で後に規定される少なくとも2つの異なるオリゴヌクレオチドを含む組成物の利点は、1つを超えるエクソンが、単一の医薬品を用いてスキッピングできることである。この特性は、多くの異なるDMD、又は特定の重篤なBMD変異を治療するために、限定された数の医薬品だけを生成する必要がある点で、実用上非常に有用であるだけではない。現在、当業者に開かれている別の選択肢は、特に再構築された機能性ジストロフィンタンパク質を選択し、これらの好ましいジストロフィンタンパク質を生成できる化合物を産生することである。かかる好ましい最終結果は、さらに軽度表現型ジストロフィンと称される。
【0085】
好ましい実施形態では、前記組成物は、好ましくは医薬品組成物であり、前記医薬品組成物は、薬学的に許容される担体、アジュバント、希釈剤及び/又は賦形剤を含む。かかる医薬品組成物は、薬学的に許容されるどの担体、フィラー、保存剤、アジュバント、溶解剤、希釈剤及び/又は賦形剤も含むことができ、又提供される。薬学的に許容されるかかる担体、フィラー、保存剤、アジュバント、溶解剤、希釈剤及び/又は賦形剤は、例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy、第20版.Baltimore、MD:Lippincott Williams&Wilkins、2000で見つけることができる。前記組成物の各特質は、本明細書で前に規定した。
【0086】
いくつかのオリゴヌクレオチドを使用する場合、本明細書ですでに規定された濃度又は用量は、使用する全オリゴヌクレオチドの総濃度若しくは用量、又は使用若しくは添加する各オリゴヌクレオチドの濃度若しくは用量を指し得る。したがって、1つの実施形態では、使用するオリゴヌクレオチドの各又は総量が、0.5mg/kg及び10mg/kgの間の範囲の量で投薬される組成物が提供される。
【0087】
本発明によりさらに、DMDmRNAのスプライシングを調節するための、本発明によるアンチセンスオリゴヌクレオチド、又は本発明によるアンチセンスオリゴヌクレオチドを発現するウイルスベースのベクターの使用が提供される。スプライシングは、好ましくはインビトロのヒト筋原細胞又は筋細胞中で調節される。より好ましくは、スプライシングは、インビボのヒト筋原細胞又は筋細胞中で調節される。
【0088】
本発明の1つ又は複数のヌクレオチド類似体又は同等物を含む、好ましいアンチセンスオリゴヌクレオチドは、全身性送達で、心筋細胞を含む1つ又は複数の筋細胞中のスプライシングを調節する。この点において、特定のヌクレオチド類似体又は同等物を含むアンチセンスオリゴヌクレオチドの全身性送達により、筋細胞のサブセットを標的にする結果になり得るが、異なるヌクレオチド類似体又は同等物を含むアンチセンスオリゴヌクレオチドにより、筋細胞の異なるサブセットを標的にする結果になり得る。したがって、1つの実施形態では、DMDmRNAのエクソン44スキッピングを調節するために、異なるヌクレオチド類似体又は同等物を含むアンチセンスオリゴヌクレオチドの組合せを使用するのが好ましい。
【0089】
本発明によりその上、DMD又はBMD患者の治療用の薬剤を調製するための、本発明によるアンチセンスオリゴヌクレオチド、又は本発明によるアンチセンスオリゴヌクレオチドを発現するウイルスベースのベクターの使用が提供される。
【0090】
したがって、さらなる態様では、個体においてデュシェンヌ型筋ジストロフィー又はベッカー型筋ジストロフィーを予防又は治療するための薬剤を製造するための、本明細書で規定されるオリゴヌクレオチド又は組成物の使用が提供される。前記使用の各特質は、本明細書で前に規定されている。
【0091】
本発明による使用又は方法での治療は、少なくとも1週間、少なくとも1カ月、少なくとも数カ月、少なくとも1年、少なくとも2、3、4、5又は6年以上である。本発明にしたがって使用するための、本明細書で規定される各分子又はオリゴヌクレオチド又はその同等物は、DMD又はBMDに罹患した又はかかる危険がある個体のインビボの細胞、組織及び/又は器官への直接投与に適している場合があり、インビボ、エクスビボ又はインビトロで直接投与することができる。本発明のオリゴヌクレオチド、組成物、化合物又は補助化合物の投与頻度は、患者の年齢、患者の変異、分子の数(すなわち用量)、前記分子の剤形などのいくつかのパラメータに依存することができる。頻度は、少なくとも2週間又は3週間又は4週間又は5週間又はより長い期間に1回の間の範囲であってよい。
【0092】
本発明によるオリゴヌクレオチドの用量範囲は、好ましくは厳密な手順要件が存在する、臨床試験(インビボでの使用)における用量漸増試験にもとづいて設計する。本明細書で規定される分子又はオリゴヌクレオチドは、0.1及び20mg/kg、好ましくは0.5及び10mg/kgの間の範囲の用量で使用することができる。
【0093】
好ましい実施形態では、0.1nM及び1μMの間の範囲の、本明細書で規定されるオリゴヌクレオチドの濃度で使用される。好ましくは、この範囲は、筋細胞又は筋組織などの細胞モデルにおけるインビトロでの使用に関してである。より好ましくは、使用する濃度は、0.3から400nM、さらにより好ましくは、1から200nMの間の範囲である。いくつかのオリゴヌクレオチドを使用する場合、この濃度又は用量は、オリゴヌクレオチドの総濃度若しくは用量、又は添加する各オリゴヌクレオチドの濃度若しくは用量を指し得る。所与の上記のようなオリゴヌクレオチド(単数又は複数)の濃度又は用量の範囲は、インビトロ又はエクスビボでの使用のための好ましい濃度又は用量である。当業者は、使用するオリゴヌクレオチド(単数又は複数)、処置される標的細胞、標的遺伝子及びその発現レベル、使用する溶媒、並びにトランスフェクション及びインキュベーションの条件に応じて、使用するオリゴヌクレオチド(単数又は複数)の濃度又は用量がさらに変化し、さらに最適化を必要とすることがあることを理解されよう。
【0094】
本発明にしたがって使用するための本明細書で規定されるオリゴヌクレオチドは、DMD又はBMDに罹患した、又はかかる危険がある個体のインビボでの細胞、組織及び/又は器官への投与に適している場合があり、インビボ、エクスビボ又はインビトロで投与することができる。前記オリゴヌクレオチドは、DMD又はBMDに罹患した、又はかかる危険がある個体のインビボでの細胞、組織及び/又は器官に、直接的又は間接的に投与でき、インビボ、エクスビボ又はインビトロで直接的又は間接的に投与することができる。デュシェンヌ及びベッカー型筋ジストロフィーが、筋細胞において顕著な表現型を有するとき、前記細胞は筋細胞であることが好ましく、前記組織が筋組織であることがさらに好ましく、且つ/又は前記器官が筋組織を含む、若しくはそれからなることがさらに好ましい。好ましい器官は心臓である。好ましくは、前記細胞は、変異ジストロフィンタンパク質をコードする遺伝子を含む。好ましくは、前記細胞は、DMD又はBMDを患っている個体の細胞である。
【0095】
別段に示されていない限り、本明細書に記載のような各実施形態は、本明細書に記載のような別の実施形態と組み合わせることができる。
【0096】
この文書及びその特許請求の範囲では、動詞「含む」及びその活用は、その非限定的な意味において使用され、この言葉に続く事項は含まれるが、特別に述べられない事項は除外されないことを意味する。さらに、動詞「からなる」は、「から本質的になる」に置き換えることができ、これは、本明細書で規定される化合物又は補助化合物が、特別に特定されるものより多くの追加の成分(単数又は複数)を含むことができ、前記追加の成分(単数又は複数)が本発明特有の特徴を変えないことを意味する。
【0097】
さらに、不定冠詞「a」又は「an」による要素の言及は、場面により1つ及び1つだけの要素があることが明確に要求されない限り、1つより多い要素が存在する可能性を除外しない。したがって、不定冠詞「a」又は「an」は、通常、「少なくとも1つの」を意味する。
【0098】
言葉「およそ」又は「約」は、数値に関して使用するとき(およそ10、約10)、好ましくは、値が所与の値10の1%大きい又は小さい値であってよいことを意味する。
【0099】
本明細書で使用されるような表現「インビボ」は、細胞が由来する生物から単離できる細胞系におけることを意味し得る。好ましい細胞は筋細胞である。インビボは、組織中又は好ましくは本明細書で規定される患者である多細胞生物中も意味し得る。本発明にわたり、インビボは、一般的に無細胞系に関連するインビトロと反対である。
【0100】
本明細書に引用される全ての特許及び論文の参考文献は、参照によりそれらの全体を本明細書に組み込む。本明細書で特定される各実施形態は、別段に示されていない限り、一緒に組み合わせることができる。
【0101】
本発明は以下の実施例でさらに説明される。これらの実施例は、本発明の範囲を制限するものではなく、単に本発明を明確にする助けとなるものである。
【実施例】
【0103】
(例1)
材料及び方法
AONの設計は、m−foldプログラム(Mathewsetら、J Mol Biol 1999;288(5):911−40)によって予測されるような標的エクソンRNAのオープン二次構造の(部分的な)オーバーラップ、ESE−finderソフトウェア(rulai.cshl.edu/tools/ESE/)(Cartegniら、Nucleic Acids Res 2003;31(13):3568−71)によって予測されるような推測上のSRタンパク質結合部位の(部分的な)オーバーラップ、及び3つ以上のヌクレオチドのG伸長又はCpG対の回避にもとづいた。AON(表1を参照されたい)は、Eurogentec(Belgium)及びProsensa Therapeutics BV(ライデン、オランダ)により合成し、2’−O−メチルRNA及び完全長ホスホロチオエート骨格を含む。
【0104】
組織培養、トランスフェクション及びRT−PCR解析
健康な個体(「ヒト対照」)又はエクソン45欠失を有するDMD患者に由来する筋管培養物を、以前に記載されたように処理した(Aartsma−Rusら、Hum Mol Genet 2003;12(8):907−14;Havengaら、J Virol 2002;76(9):4612−20)。AONの選別のために、筋管培養物に、150及び/又は400nMの各AONをトランスフェクトした。トランスフェクト剤ポリエチレンイミン(PEI、ExGen500 MBI Fermentas)又は誘導体(UNIFectylin、Prosensa Therapeutics BV、オランダ)を、AON1μgにつき、2μlのExGen500又はUNIFectylinで使用した。フルオレセイン標識を有する対照AONを、最適なトランスフェクト効率を確認するために使用した(概して90%以上の蛍光の核が得られた)。RNAを、記載のようにトランスフェクトして24から48時間後に単離した(Aartsma−Rusら、Neuromuscul Disord 2002;12 Suppl:S71)。エクソンスキッピングの効率を、エクソン44に隣接するエクソン中のプライマーを使用して(Aartsma−Rusら、Neuromuscul Disord 2002;12 Suppl:S71)、ネステッドRT−PCR解析によって決定した。BigDye Terminator Cycle Sequencing Ready Reactionキット(PE Applied Biosystems)及びABI 3700 Sequencer(PE Applied Biosystems)を使用する、Leiden Genome Technology Center (LGTC)による配列検証のために、QIAquick Gel Extractionキット(QIAGEN)を使用して、PCRフラグメントをアガロースゲルから単離した。定量化のために、Agilent 2100 bioanalyzer(Agilent Technologies、USA)のDNA 1000 LabChipsキットを使用して、PCR産物を解析した。
【0105】
結果
エクソン44内の配列を標的にする一連のAONを設計し、トランスフェクト及びそれに続くRT−PCR及び単離したRNAの配列解析によって、健康な対照及び患者由来の筋管培養物中の両方で試験した。エクソン45の欠失を有するDMD患者に由来する筋管では、特異的なエクソン44スキッピングは、試験したAONごとに(PS187からPS201)150nMで誘導され、PS188(配列番号5)、PS190(h44AON2として以前に出版された;Aartsma−Rusら、Neuromuscul Disord 2002;12 Suppl:S71)、PS191(配列番号47)、PS193(配列番号48)、PS194(配列番号46)及びPS196(配列番号51)は、最高レベルのスキッピング(150nMで84%及び94%の間)を実際に示した(
図1A)。
【0106】
同様のトランスフェクション実験を、健康な個体由来の対照細胞中で行った。エクソン44スキッピングの割合を評価し、患者の細胞培養物中のものと比較した(
図1B)。エクソン44スキッピング後の対照の転写物の本来備わっているナンセンス変異依存RNA分解機構のために、対照の割合は、患者の細胞中のものより概して低かった(例えば、
図1A(患者細胞)対
図1C(対照細胞)のPS197による結果を参照されたい)。
【0107】
3つの追加のAON(PS199(配列番号44)、PS200(配列番号49)及びPS201(配列番号50))を、150nM及び400nMの濃度で、対照筋細胞中で試験した。エクソン44スキッピングの割合は、1%(PS199)及び44%(PS200)の間で変化した(
図1C)。全トランスフェクション実験にもとづき、AON PS187、PS188、PS190、PS191、PS192、PS193、PS194、PS196及びPS200は、最も効率が良く、AON PS189、PS197、PS198、PS199及びPS201は最も効率が悪いと考察された。
【0108】
PS188(配列番号5)を、健康なヒトの対照筋細胞中で、イントリプロで50から400nMの用量増加を適用する用量反応実験においてさらに試験した。エクソン44スキッピングの増加レベルは、それにしたがって、400nMのPS188で45%まで観察された(
図2A)。
【0109】
(例2)
材料と方法
EDTA管中に採取した、健康なヒトの新鮮な対照血液試料を、HistoPaque勾配の最上層に重ねた。遠心分離において(最上部から最下部まで4層のうち)単核細胞を有する第2層を採取し、洗浄し、再び遠心分離した。細胞ペレットを、増殖培養液中で再懸濁し、計数した。6穴プレート中に、1穴につき8x10
6個の細胞を蒔き、37℃、5%CO
2で3時間インキュベートした。次いで細胞に、二連で1ディッシュにつき0又は200nMのPS188(配列番号5;2’OMePS RNA;Prosensa Therapeutics BV)をトランスフェクトした。トランスフェクトして72時間後にRNAを単離し、エクソン44に隣接するDMD遺伝子特異的プライマーを使用するRT−PCR解析によって解析した(Aartsma−Rusら、Neuromuscul Disord 2002;12 Suppl:S71)。BigDye Terminator Cycle Sequencing Ready Reactionキット(PE Applied Biosystems)及びABI 3700 Sequencer(PE Applied Biosystems)を使用するLeiden Genome Technology Center(LGTC)による配列解析を、QlAquick Gel Extractionキット(QIAGEN)を使用してRNAレベルで特異的エクソン44スキッピングを確認した単離PCR産物において行った。
【0110】
結果
健康な対照個体由来のトランスフェクトした末梢血単核球(PB−MNC)中では、PS188は、200nMで加えたときに、新規のより短い転写物フラグメントの産生を誘導した(
図2B)。このフラグメントを単離し、配列決定し、特異的なエクソン44スキッピングのための確認をした。トランスフェクトしていないPB−MNCでは、エクソン44スキッピングは観察されなかった。これらの結果は、PS188が、インビトロでのヒトのエクソン44スキッピングを誘導する効率的な化合物であることを示す。
【0111】
(例3)
材料及び方法
アンチセンスオリゴヌクレオチド(AON)
正常及びmdxマウス(Sicinskiら(1989).Science 244:1578−1580)に、マウス特異的m46AON4(van Deutekomら(2001)Hum Mol Genet 10:1547−1554)を注射し、一方、hDMDマウスに、ヒト特異的PS196(配列番号51)又はPS188(配列番号5)を注射した。どちらのAONも、完全長ホスホロチオエート骨格及び2’−O−メチル修飾リボース分子を含んでいた(PS196:Eurogentec、Belgium;PS188:Prosensa Therapeutics BV)。
【0112】
正常、mdx及びトランスジェニックhDMDマウス
正常なマウス(C57B1/6NCrL)及びmdxマウス(C57B1/10ScSn−mdx/J)は、Charles River Laboratories(オランダ)から入手した。トランスジェニックhDMDマウスは、発明者等自身のLUMC実験室で操作した。簡潔には、胚性幹(ES)細胞を、完全長(2.4Mb)ヒトDMD遺伝子を含む2.7MbのYACを保有する酵母スフェロプラストと融合することにより、遺伝子改変した。このYACは、酵母におけるより小さいオーバーラップYACの相同遺伝子組換えによって以前に再構築した(Den Dunnenら(1992)Hum Mol Genet1:19−28)。PFGEマッピング、全体の遺伝子にわたるエクソンPCR解析、及び分裂中期のFISH解析により評価されるような、完全サイズのYACの1つのコピーの組込みを示すES細胞を、次いでホモ接合体hDMDマウスの作製に使用した(’t Hoenら、J.Biol.Chem.2008)。トランスジェニックhDMDマウスは、遺伝子改変による身体的影響を受けないようである。ヒトDMD遺伝子の適切な発現は、筋肉においてRNA及びタンパク質の両レベルで実際に示すことができた。これらのマウスの操作は、Dutch Ministry of Agriculture(LNV);project nr.VVA/BD01.284(E21)により認可された。
【0113】
AONの投与
マウスにおける筋肉内AON注射の実験は、Leiden University医学部の動物実験委員会(UDEC)により認可された(prpject no.00095,03027)。AONは、純粋、又は製品説明書にしたがい、5%w/vグルコース溶液中でAON1nmolにつきPEI1mlの比率の陽イオン性ポリマーのポリエチレンイミン(PEI;ExGen 500(20x)、MBI Fermentas)との複合体、若しくは15nmolのSAINT−18TM(Synvolux Therapeutics B.V.、オランダ)との複合体のいずれかで、注射した。SAINT−18TM送達系は、陽イオン性ピリジニウム頭部基にもとづき、アンチセンスオリゴヌクレオチドの非毒性送達を可能にする。マウスを1:1(v/v)ヒプノルム/ドルミカム溶液(Janssen Pharmaceutica、Belgium/Roche、オランダ)の腹腔内注射により麻酔した。純粋AON(PS188)を、22ゲージ針のハミルトンシリンジを用いるマウスの両腓腹筋への筋肉内注射により、最終注射量40μlで投与した。マウスは、24時間間隔で40μgの2つの注射を受けた。マウスを、注射後の異なる時点;PS188を注射したhDMDマウスに関しては最後に注射して10日後で屠殺した。筋肉を単離し、液体窒素冷却した2−メチルブタン中で凍結した。
【0114】
RT−PCR解析
筋肉試料を、RNA−Bee溶液(Campro Scientific、オランダ)中でホモジナイズした。全部のRNAを、製品説明書にしたがい単離及び精製した。逆転写酵素C.thermポリメラーゼ又はTranscriptor(Roche Diagnostics、オランダ)によるcDNA合成のために、RNA300ngを、30分間60℃で20μl反応液に使用し、マウス又はヒト特異的プライマーで逆方向刺激した。最初のPCRを、(PS188を注射したマウスに関してはエクソン43−45に隣接する)外側のプライマーセットを用いて、94℃(40秒)、60℃(40秒)及び72℃(60秒)の20周期で行った。この反応液(1:10に希釈)の1μlを、次いで標的エクソン(PS188を注射したマウスに関してはエクソン44)に直接隣接するエクソン中のネステッドプライマーの組合せを使用して、94℃(40秒)、60℃(40秒)及び72℃(60秒)の30周期で再増幅した。PCR産物を2%アガロースゲル上で解析した。スキッピング効率を、DNA1000LabChip(登録商標)キット及びAgilent 2100 bioanalyzer(Agilent Technologies、オランダ)を使用する、PCR産物の定量化によって決定した。プライマーセット及び配列は、以前記載された(Aartsma−Rusら(2002) Neuromuscul Disord 12 Suppl:S71.8,17;van Deutekomら(2001) Hum Mol Genet 10:1547−1554)。
【0115】
配列解析
RT−PCR産物を、QIAquick Gel Extractionキット(QIAGEN)を使用して、2%アガロースゲルから単離した。Direct DNA配列決定を、BigDye Terminator Cycle Sequencing Ready Reactionキット(PE Applied Biosystems)を使用して、Leiden Genome Technology Center(LGTC)により行い、ABI 3700 Sequencer(PE Applied Biosystems)上で解析した。
【0116】
MALDI−TOF質量分析法
RNA−Beeの筋肉ホモジネートを、製品説明書にしたがい96穴スピンプレート(Applied Biosystems)で、核酸精製キット(SequazymeTM Pinpoint SNPキット用Nucleic Acid Purificationキット、Applied Biosystems)を使用して精製した。マトリックス溶液(50%アセトニトリル中の3−ヒドロキシピコリン酸50mg/ml及び二塩基性クエン酸アンモニウム25mM)を、1mlアリコートで、AnchorChipTM試料標的(Bruker Daltonics、ドイツ)に加え、風乾した。試料をマトリックスの結晶上に0.5mlアリコートでスポットし、風乾した。質量決定を、Reflex III MALDI−TOF質量分析法(Bruker Daltonics、ドイツ)で行った。スペクトルを、反射鏡モードで得、およそ900のレーザーショットを蓄積した。標識した及び標識していないm46AON4の試料を比較のために解析した。
【0117】
結果
野生型筋肉におけるエクソンスキッピング
発明者等はまず、インビボのマウスの筋肉中で標的にしたエクソンスキッピングを設定し、投与の異なるパラメータを最適化した。最初の実験は、野生型マウスで行い、ナンセンス変異依存RNA分解機構により、エクソンスキッピング効率の過小評価が起こることになるが、AONの効果をmRNAレベルのみでモニターした。発明者等は、各アンチセンスオリゴヌクレオチドを0.9nmolから5.4nmolの用量に増やし注射した。全部の筋肉のRNAのRT−PCR解析では、注射した全試料中に新規のより短い転写物フラグメントの出現が実際に示された。配列解析では、この産物中で正確なエクソン44スキッピングが確認された(データは示していない)。
【0118】
反対側の注射した筋肉の断面を、蛍光標識した対照AONの分散及び持続に関して解析した。純粋AONの注射後、発明者等は、最大1週間いくつかの線維内で蛍光シグナルを観察した。後の時点では、弱いシグナルだけが、主に間質スペース内で観察された。PEIの使用により、蛍光シグナルの分散及び持続の両方が、3週間後でさえ明確に強化された。しかし、それは又、ほとんどの蛍光を吸収する、線維の変性及び単球浸潤も誘導する。SAINTを使用して、シグナルのほとんどを、最大1週間、間質スペース中で検出し、このことは、この薬剤が筋線維中にAONを効率的に送達しなかったことを示す。蛍光シグナルは、無傷な機能性AONの存在に一致しない可能性があるため、発明者等は、注射した筋肉試料のMALDI−TOF質量分析を行った。この解析では、蛍光標識が、24時間以内にAONから除去されたことが示された。標識したAONは、PEIを使用したときのみ最大2週間検出できた。間質のAONは、おそらく細胞内のAONより、分解に対して脆弱だったのであろう。標識していないAONは、全3シリーズにおいて注射後3から4週間観察されたが、それは細胞内に存在するとき、すなわちPEIシリーズにおいてのみ機能的であり得る。
【0119】
hDMD筋肉におけるヒト特異的エクソンスキッピング
エクソンスキッピング戦略は、配列特異的な治療アプローチであるため、理想の前臨床検証は、マウスの実験的背景における標的ヒトDMD遺伝子であろう。発明者等は、組み込んだ完全長ヒトDMD遺伝子の機能性コピーを保有する、かかるトランスジェニック「ヒト化」DMD(hDMD)マウスを操作した。hDMDマウスの筋肉中のヒトジストロフィンの発現は、ヒト特異的抗体(MANDYS106)を使用する、断面の免疫組織化学解析によって特異的に検出した。筋肉のRNAレベルでは、マウス又はヒトいずれかの特異的プライマーを使用するRT−PCR解析により、ヒトDMD遺伝子の正しい転写が実際に示された。その上、mdxマウスにわたる使用において、hDMDコンストラクトでは、組織学的及びcDNAマイクロアレイ解析により評価したように(’t Hoenら、J.Biol.Chem.2008)、ジストロフィー欠損の補完が示された。hDMDマウスは、一般的にネイキッドAONの制限された取込みを示す、健康な筋線維を有する。発明者等は、PEIと複合体化したヒト特異的なAON PS196(配列番号51)又はPEIなしのPS188(配列番号5)を、hDMDマウスの腓腹筋に注射した(24時間以内に2x40μgの注射)。注射して7から10日後に、発明者等は、ヒトDMD転写物から標的エクソン44スキッピングを明確に観察した(
図3A)。ヒト特異的AONは、相当するマウスの配列に対して、各20塩基長に2又は3つだけのミスマッチを有する高い相同性をもつが、マウスの内在性転写物は、どの検出可能なレベルでも影響を受けなかった。PS188は、配列解析により確認したように、エクソン44スキッピングを誘導した。処置していないhDMD筋肉中で、エクソン44スキッピングは観察されなかった。これらの結果は、PS188が、筋組織中でヒトエクソン44スキッピングを誘導する効率的な化合物であることを示す。
【0120】
(例4)
材料及び方法
PS188に関する大規模毒性プログラムの一部として、非絶食のカニクイザルを、PS188(配列番号5;2’OMePS RNA;Agilent Life Sciences、USA)の用量レベル6mg/kgで、29日間4日ごとに、1時間静脈内注入(5ml/kg/h)により処置した。PS188製剤は、投与開始の直前(可能な限り早く、すなわち投与を始める1時間以内前の最も早く)に、各処置日(1、5、9、13、17、21、25及び29日目の試験)に新鮮に調製した。製剤は、リン酸緩衝液中でPS188を溶解することによって調製した;純度及び含水量は、薬物物質の分析証明書に提示したように考慮した。PS188の量は、各動物の現在の体重に適合させた。動物は、最後に投与して96時間後に屠殺した(33日目)。全体の血液試料(10ml)をEDTA管に採取し、(室温で夜間輸送した後)HistoPaque勾配の最上層に重ねた。遠心分離において、(最上層から最下層まで4層のうち)単核細胞を有する第2層を採取し、洗浄し、再び遠心分離した。RNAを、結果として生じた細胞ペレットから単離し、エクソン44に隣接するDMD遺伝子特異的プライマーを使用するRT−PCR解析によって解析した(Aartsma−Rusら、Neuromuscul Disord 2002;12 Suppl:S71)。配列解析は、BigDye Terminator Cycle Sequencing Ready Reactionキット(PE Applied Biosystems)、及びABI3700Sequencer(PE Applied Biosystems)を使用して、Leiden Genome Technology Center(LGTC)によって単離したPCR産物において行ったQIAquick Gel Extractionキット(QIAGEN)を使用して、RNAレベルでの特異的エクソン44スキッピングを確認した。
【0121】
結果
PS188の用量レベル6mg/kgで、29日間4日ごとに1時間静脈内注入により処置したサルにおいて、末梢血単核球では低いレベルのジストロフィンのみが発現されるという事実にも関わらず、エクソン44スキッピングが、末梢血単核球中で観察された(
図3B)。PS188により標的にしたヒト及びサルのDMD配列は、実際100%同一である。処置していないサルでは、エクソン44スキッピングは観察されなかった。これらの結果は、PS188が、インビボでエクソン44スキッピングを誘導する効率的な化合物であることを示す。
【表1-1】
【表1-2】
【化1】
【化2】