(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5696041
(24)【登録日】2015年2月13日
(45)【発行日】2015年4月8日
(54)【発明の名称】創傷被覆材
(51)【国際特許分類】
A61F 13/00 20060101AFI20150319BHJP
A61F 13/02 20060101ALI20150319BHJP
A61B 17/00 20060101ALI20150319BHJP
【FI】
A61F13/00 301J
A61F13/00 301C
A61F13/02 345
A61B17/00 310
【請求項の数】11
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2011-514536(P2011-514536)
(86)(22)【出願日】2009年6月16日
(65)【公表番号】特表2011-525386(P2011-525386A)
(43)【公表日】2011年9月22日
(86)【国際出願番号】SE2009050746
(87)【国際公開番号】WO2009157856
(87)【国際公開日】20091230
【審査請求日】2012年2月24日
(31)【優先権主張番号】0801490-4
(32)【優先日】2008年6月24日
(33)【優先権主張国】SE
(73)【特許権者】
【識別番号】507226709
【氏名又は名称】メンリッケ・ヘルス・ケア・アーベー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】トーマス・ファボ
(72)【発明者】
【氏名】ウルフ・ヨハニソン
(72)【発明者】
【氏名】デニス・ハンソン
【審査官】
渋谷 善弘
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2008/0103462(US,A1)
【文献】
特表2007−524447(JP,A)
【文献】
特開平08−154964(JP,A)
【文献】
米国特許第05840052(US,A)
【文献】
米国特許第05167613(US,A)
【文献】
米国特許第05086764(US,A)
【文献】
特開2004−024724(JP,A)
【文献】
国際公開第2009/151380(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 13/00−13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気不透過性材料の外側層(4,4’)と、
創傷を取り囲む肌に創傷被覆材を取り付けるための手段(5,5’)であって、前記外側層(4,4’)に設けられる前記手段(5,5’)と、
弾性材料の事前圧縮された本体(2,2’)であって、事前圧縮された本体が創傷に創傷被覆材を取り付けた後で副圧を生成する、事前圧縮された本体(2,2’)と、
を含んでいる創傷被覆材(1,1’)において、
前記事前圧縮された本体(2,2’)は、前記外側層(4,4’)と別個である気密材料のケース(3,3’)内に含まれており、前記ケース(3,3’)は前記外側層(4,4’)の下に設けられ、前記ケースの少なくとも1部は、溶解性材料から製造され、前記溶解性材料は、液体滲出液と接触した場合に溶解することを特徴とする創傷被覆材(1,1’)。
【請求項2】
前記事前圧縮された本体(2,2’)は、創傷床から液体を直接的に又は間接的に吸引する能力を有することを特徴とする請求項1に記載の創傷被覆材(1,1’)。
【請求項3】
前記事前圧縮された本体(2,2’)は、前記創傷被覆材の創傷パッドを構成することを特徴とする請求項2に記載の創傷被覆材(1,1’)。
【請求項4】
前記創傷パッドは、複数の層(8,2’)から構成され、前記事前圧縮された本体(2’)は、前記複数の層(8,2’)の1つを構成することを特徴とする請求項3に記載の創傷被覆材(1,1’)。
【請求項5】
前記事前圧縮された本体(2,2’)は、弾性フォームから製造されることを特徴とする請求項2〜4のいずれか一項に記載の創傷被覆材(1,1’)。
【請求項6】
前記事前圧縮された本体(2,2’)は、粘弾性フォームから製造されることを特徴とする請求項5に記載の創傷被覆材(1,1’)。
【請求項7】
前記創傷被覆材(1、1’)は、真空パッケージ内に格納されることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の創傷被覆材(1,1’)。
【請求項8】
前記創傷被覆材が使用される場合に創傷床に対して対向する側の少なくとも前記ケース(3,3’)は、溶解性材料から製造されることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の創傷被覆材(1,1’)。
【請求項9】
前記ケース(3,3’)における前記溶解性材料は、ポリビニルアルコールからなることを特徴とする請求項8に記載の創傷被覆材(1,1’)。
【請求項10】
空気不透過性材料の外側層(4’)と、
創傷を取り囲む肌に創傷被覆材を取り付けるための手段(5’)であって、前記外側層(4’)に設けられる前記手段(5’)と、
弾性材料の事前圧縮された本体(2’)であって、事前圧縮された本体が創傷に創傷被覆材を取り付けた後で副圧を生成する、事前圧縮された本体(2’)と、
を含んでいる創傷被覆材(1’)において、
前記外側層(4’)には、開口部(7)が設けられており、気密材料の第2の層(6)は、前記気密材料の第2の層(6)によって覆われた内部空間が前記開口部(7)を介して前記外側層(4’)と連通するように、前記外側層(4’)に開放可能に取り付けられており、
前記事前圧縮された本体(2’)は、前記外側層(4’)と別個である気密材料のケース(3’)内に含まれており、前記ケース(3’)は、前記気密材料の第2の層(6)によって覆われた内部空間に設けられており、前記ケースの少なくとも1部は、溶解性材料から製造され、前記溶解性材料は、液体滲出液と接触した場合に溶解することを特徴とする創傷被覆材(1’)。
【請求項11】
創傷パッド及び気密材料のカバー層を含んでいる第1の創傷被覆材と、請求項1による第2の創傷被覆材との組み合わせにおいて、
前記第2の創傷被覆材は、前記第1の創傷被覆材の前記カバー層における孔を囲んでいるその領域において、前記第1の創傷被覆材の上部に取り付けることを特徴とする組み合わせ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、空気不透過性材料の外側層と、創傷を取り囲む肌に対して創傷被覆材を取り付ける手段と、弾勢材料の事前圧縮された本体であって、創傷に創傷被覆材を取り付けた後で副圧を生成する、事前圧縮された本体と、を含んでいる創傷被覆材に関する。
【背景技術】
【0002】
創傷床が副大気圧(sub-atmospheric pressure)又は副圧(sub-pressure)にさらされる場合に、創傷の治癒のために有益であることは、示されている。副圧が創傷床を取り囲んでいる空間内に生成される創傷被覆材は、周知技術において周知とされ、例えば特許文献1〜7に見られる。そのような創傷被覆材、いわゆるNPT用被覆材(陰圧創傷閉鎖法用被覆材)は通常、チューブ又は同様のものによって、副圧の、多くの場合、ポンプ駆動である外部源に接続される。副圧の外部源は、静止装置とされる場合があり、又は患者が携帯することができる装置とされる場合がある。創傷被覆材内の空気の漏れに対する気密性に応じて、外部源は、連続的に又は断続的に駆動させることができる。副圧はまた、滲出液の割合を増加させ、それによって、創傷の洗浄を改善する。さらに、副圧を有する創傷被覆システムは、滲出液を効果的に処理し、創傷被覆材から創傷環境への漏れの危険性を減少させる。創傷床から吸引された創傷滲出液は、外部容器内に貯蔵されることができ、又は創傷被覆材内に含まれた多孔性体内に貯蔵されることができる。周知な副圧を有する創傷被覆材および関連装置の適用及び処理はそれ故に、非常に複雑とされ、非常に時間がかかり、従って改善の余地が存在している。さらに、そのような創傷被覆材に使用されるチューブは、本質的に断面形状が変化することなく、副圧と大気圧との間の圧力差に耐えるのに十分な剛性を有しなければならない。そのようなチューブはそれ故に、該チューブが取付テープ又は密接した衣類などの外力によって肌に押圧される場合に、又は患者が横たわる場合に、患者の肌に対して刺激を与える場合がある、又は損傷を与える場合がある。完全な廃棄処理に追加して、その代わりに携帯型ポンプ(例えば機械式ポンプ又は電気式ポンプ)が患者によって使用される場合に、患者の不快感及び肌への損傷に関する上述された欠点も存在する。それ故に、そのような装置が避けられることができる場合にそれが有利とされるであろう。
【0003】
特許文献8には、その内部表面が複数の開口部を含んでおり、吸収材料を完全に取り囲んでいる外部バリア内に入れられた自己膨張式の吸収材料と、外周接着層と、からなる創傷被覆材が開示されている。一の実施形態において、前記開口部は開いた状態であり、他の実施形態において、前記開口部は、溶解性シーラントによって閉鎖状態とされる。その明細書において、第2の実施形態による創傷被覆材がどのように製造されるかとの示唆が存在しない、すなわち外側バリアが自己膨張式の材料にどのように適用されるかとの示唆又は溶解性シーラントがその内部表面における複数の開口部にどのように適用されるかとの示唆が存在しない。第2の実施形態による創傷被覆材は、製造を複雑にさせるであろう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第4,969,880号明細書
【特許文献2】米国特許第5,645,081号明細書
【特許文献3】米国特許第5,636,643号明細書
【特許文献4】米国特許第6,855,135号明細書
【特許文献5】国際公開第2006/025848号パンフレット
【特許文献6】米国特許出願公開第2008/0082059号明細書
【特許文献7】米国特許出願公開第2008/0004559号明細書
【特許文献8】米国特許出願公開第2008/0103462 A1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願発明の目的は、良好に機能し、且つ製造を容易にする、空気不透過性材料の外側層と、創傷を取り囲む肌に創傷被覆材を取り付けるための手段と、弾性材料の事前圧縮された本体であって、創傷に創傷被覆材を取り付ける後に、副圧を生成する事前圧縮された本体と、を含んでいる創傷被覆材を得ることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、空気不透過性材料の外側層と、創傷を取り囲む肌に創傷被覆材を取り付けるための手段と、弾性材料の事前圧縮された本体であって、事前圧縮された本体が創傷に創傷被覆材を取り付けた後で副圧を生成する、事前圧縮された本体と、を含んでいる創傷被覆材において、前記事前圧縮された本体は、前記外側層から離れている気密材料のケース内に含まれ、それによって、前記ケースの少なくとも1部が、液体滲出液と接触した後で溶解する溶解性材料から製造されることを特徴とする創傷被覆材によって達成される。そのような創傷被覆材の事前圧縮された本体は、別々に製造されることができ、次いで創傷被覆材の製造のための通常の種類の製造ライン内に持ち込まれることができる。そのような製造ラインのために使用される通常の装置は、それ故に、変更される必要がなく、又は弾性本体を圧縮するための装置を追加させる必要がなく、且つそのような製造ラインにおける製造速度は、圧縮段階によって遅くなる必要がない。さらに、そのようなケース内における圧縮された本体の包囲は、容易に達成される。全体的なケース又はその下部の少なくとも大部分、すなわち創傷被覆材の使用中に創傷床に対して対向するように意図される側の少なくとも大部分が溶解性材料から製造される場合に、滲出液が事前圧縮された本体に入り込む大きな領域が存在し、該領域は、滲出液のみが液体不透過層における複数の開口部を通じて入り込む場合より迅速な吸収に導き、同様に吸収プロセスの迅速な開始に導くことが可能である。
【0007】
好ましい実施形態において、事前圧縮された本体は、創傷床から液体を直接的に又は間接的に吸引する能力を有する。事前圧縮された本体は、次いで、創傷被覆材の創傷パッド又は創傷パッドの一部を構成することができ、創傷パッドが複数の層から構成されることができ、事前圧縮された本体が創傷パッドの複数の層のうちの1つを構成する。
【0008】
事前圧縮された本体は、好ましくは、例えばポリウレタンフォームなどの弾性フォームから製造される。粘弾性フォーム(viscoelastic foam)などの他のフォームはまた、使用されることができる。
【0009】
好ましくは、創傷被覆材は、真空パッケージ内に格納される。
【0010】
好ましくは、前記ケースは、創傷被覆材が使用される場合に創傷床に対して対向するその少なくとも側で溶解性材料から製造され、該溶解性材料は、ポリビニルアルコールからなる。
【0011】
第2の実施形態において、そのケース内に含まれた事前圧縮された本体は、創傷被覆材の外側層の外側に配置され、事前圧縮された本体及びケースのユニットは、気密材料の第2の層内に含まれ、外側層及び第2の層における開口部の周りの領域において外側層に開放可能に取り付けられる。
【0012】
本願発明はまた、創傷パッド及び気密材料のカバー層を含んでいる第1の創傷被覆材と、上述した種類の第2の創傷被覆材との組み合わせにおいて、前記第2の創傷被覆材は、前記第1の創傷被覆材の前記カバー層における孔を取り囲んでいるその領域において、前記第1の創傷被覆材の上部に取り付けることを特徴とする組み合わせに関する。
【0013】
本願発明は、同封された図面を参照して記載されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本願発明の第1の好ましい実施形態による創傷被覆材の断面図を概略的に示す図である。
【
図2】本願発明の第2の好ましい実施形態による創傷被覆材の断面図を概略的に示す図である。
【
図3】事前圧縮された本体の製造を概略的に図示する図である。
【
図4】事前圧縮された本体の製造を概略的に図示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1には、第1の実施形態による創傷被覆材1の断面図が概略的に図示される。創傷被覆材1は、プラスチックフォームなどの圧縮可能な弾性材料の事前圧縮された本体2を含む。事前圧縮された本体2は、
図1に概略的に示されるように、それが創傷被覆材1内に配置される前に、圧縮された状態で気密ケース3内に含まれる。それによって、事前圧縮された本体2の事前圧縮は、事前圧縮された本体2の処理中に、この本体及びそのような本体を含む被覆材の貯蔵中に、及びこの本体及びそのような本体を含む被覆材の輸送中に、維持される。気密ケース3は、液体と接触した場合に溶解する材料、例えばポリビニルアルコールのフィルムの、それらの下側の全体的な部分又は少なくとも大部分からなる。その気密ケース3における事前圧縮された本体2は、気密材料の外側層4、好ましくは、プラスチックフィルムの外側層4によって覆われ、創傷床を取り囲んでいる肌に対して創傷被覆材1の取付を可能にするために、事前圧縮された本体2の周囲を越えて横方向に延在する。フィルム4の下側には、すなわち事前圧縮された本体2に対して対向する側において、肌に優しい接着剤のコーティング5が、事前圧縮された本体2の周囲の外側で横方向に延在しているフィルムの少なくとも一部において塗布される。気密ケース3の上側は、好ましくは、1つ又は複数の部分において外側層4の下側に取り付けられることができる。
【0016】
「下側」及び「上側」との記載は、創傷被覆材が患者に取り付けられる位置と無関係に、
図1及び
図2に示される創傷被覆材の位置に関連している。「下側」との記載は、それ故に、創傷被覆材が使用される場合に、患者の肌に対して対向した創傷被覆材の側である。
【0017】
創傷被覆材1の使用前に、その下側は、従来技術とされるような、使用前に接着剤コーティング5を保護するための保護層(図示せず)で覆われる。保護層は、接着剤に対して不十分に付着する物質から製造され、又は該物質で被覆される。それ故に、保護層のために使用される材料は、使用される接着剤に依存し、接着剤及び保護層の全ての周知な組み合わせは本願発明で使用されることができる。そのような組み合わせの例は、ポリエチレン層によって、又はシリコン接着剤に開放可能に取り付けられた側にポリエチレンコーティングを有するペーパー層によって、覆われたシリコン接着剤である。保護層は、創傷被覆材が患者に適用される前に、創傷被覆材から取り除かれる。
【0018】
さらに、覆っているプラスチックフィルム4が非常に薄い場合に、例えば50マイクロメータより薄い場合に、事前圧縮された本体2の外側で横方向に延在しているフィルム3の部分の縁部領域の周りのフレームの形態である強化層(図示せず)は、同様に従来技術とされるような、プラスチックフィルム4の上側に、すなわち事前圧縮された本体2から遠位の側に取り外し可能に取り付けられる。該強化層は、フィルム被覆材又は同様のもののための強化層のために使用される周知技術とされる任意の材料から製造されることができる。そのような強化層は、創傷に対する創傷被覆材の適用に関連して取り除かれる。
【0019】
創傷被覆材1が滲出性創傷(an exuding wound)に取り付けられる場合に、気密ケース4の下側又は少なくとも大部分は、滲出液がケースと接触した状態になる場合に溶解し、事前圧縮された本体2は、その弾性に起因して膨脹し始めることができる。膨脹している事前圧縮された本体は、覆われているフィルムの下に膨脹体積を生成し、それによって、創傷表面と覆われているフィルムとの間の液体(fluidum)において、副圧(sub-pressure)を生成するであろう。多くの滲出液が創傷被覆材内に入り込む場合に、事前圧縮された本体は膨脹し続けるであろう。事前圧縮された本体がその完全に膨脹された形状に到達する場合に、又は事前圧縮された本体が外部からの機械的なフォーサー(external mechanical forcers)によってさらに膨脹することを妨げる場合に、それ以上の副圧は、事前圧縮された本体によって発生しないであろう。
【0020】
フィルム4の下側の接着剤コーティング5は、創傷床と事前圧縮された本体2の上部及び側部を覆っているフィルム4の一部とによって境界を定めた空間が外部環境に対して密封されるようにし、それによって、空気がこの空間内に漏れないように形成されるべきである。少なくとも10mmの柔軟性を有し、少なくとも例えば50g/m
2の量で塗布されるシリコン接着剤のコーティングは、国際公開第2006/075950号パンフレットから明らかになるように、この目的のために適切とされ、該国際公開第2006/075950号パンフレットがさらなる詳細のために参照される。
【0021】
図2には、本願発明による創傷被覆材1’の第2の好ましい実施形態が概略的に示される。事前圧縮された本体2’が前記フィルムの内側の代わりに、接着剤によって被覆されたフィルム4’の外側に配置され、且つ創傷被覆材1’もフィルム4’によって境界が定められた空間内に吸収材料の本体8を備える点において、創傷被覆材1’は、
図1を参照して記載される創傷被覆材1と主に異なる。
図1による創傷被覆材1におけるコンポーネントに類似の創傷被覆材1’におけるコンポーネントは、プライムサイン(prime sign)の追加とともに、同一の参照符号を付与される。第2の実施形態において、事前圧縮された本体2’は、開口部又はチャンネル7によってフィルム4’の内部に接続される気密及び液密のエンベロープ6内に含まれる。気密及び液密のエンベロープ6は、プラスチック材料のフィルムから構成することができ、事前圧縮された本体が、気密及び液密のエンベロープによって妨害されることなく、所望の程度までその内部で膨脹することができるそのような寸法を有することができる。さらに、気密及び液密のエンベロープ6とプラスチックフィルム4’とは、接着剤接合又は溶着接合などの任意の適切な手段によってチャンネル7の周りの領域において、互いに接合される。同様に、この実施形態において、事前圧縮された本体2’は、ケース3内に含まれ、該ケース3の少なくとも下側又はその大部分が溶解性材料のフィルムによって構成される。
【0022】
多様な実施形態において、エンベロープ6は、開口部7を覆っている溶解性材料のフィルムによってシールされることができる。そのような場合において、事前圧縮された本体のための別個のケース3’は、取り除かれることができる。
【0023】
吸収体8が全体的に又は局所的に飽和され、それによって、ケース3’の下側又は開口部7を覆っている溶解性材料の片が創傷床から吸収された滲出液と接触した状態になる場合に、溶解性材料は溶解され、事前圧縮された本体2は膨脹し始め、それによって副圧を生成するであろう。
【0024】
創傷被覆材1’において、創傷被覆材1’が大気圧と事前圧縮された本体2’によって生成された副圧との間の圧力差にさらされる場合に、フィルム4’を創傷床から遠位に配置している本体が必要とされるので、吸収体8は除かれることができない。全ての他の態様において、創傷被覆材1’におけるコンポーネントは、
図1を参照して記載される創傷被覆材1におけるコンポーネントと同一とされることができ、創傷被覆材1’は、同一の方法で機能するであろう。
【0025】
代替的な実施形態において、事前圧縮された本体2’及びそのエンベロープ6は、別体として製造され、該別体は、接着剤で被覆された薄いフィルム3’及び創傷パッド8を備えているいわゆるアイランド被覆材(island dressing)に取り付けられることができる。そのような場合において、エンベロープ6は、その下側に、すなわち溶解性材料の片によって覆われた開口部7を有する側に、フィルム4’にエンベロープ6を取り付けるための開口部7を囲んでいる接着領域を有するであろう。さらに、フィルム4’は、好ましくは材料の取り外し可能な片によって覆われる開口部7に対応する開口部を有するであろう。そのような場合において、その事前圧縮された本体2’を有するエンベロープ6は、吸収体8が飽和されるまで、フィルム4’に取り付けられる必要がなく、それは、フィルム4’に対するエンベロープ6の取付直後に、副圧が生成されるであろうことを意味する。この代替的な構造の利点は、所定の程度まで膨脹される、事前圧縮された本体2’とともに使用されたエンベロープ6が、下に配置された吸収体8及びフィルム4’を交換する必要なしに、完全な事前圧縮された本体2’を有する新しいエンベロープ6によって取り換えられることができる。
【0026】
そのような従来のアイランド被覆材における開口部を切断することによって、事前形成された開口部7を有していない従来のアイランド被覆材にそのような別個のエンベロープ6を取り付けることは、当然ながら可能である。
【0027】
創傷被覆材1’が創傷を取り囲んでいる肌に取り付けられる場合に、及び事前圧縮された本体2’と環境との間のシールを構成する液体溶解性材料が、取り付けられた創傷被覆材1’において破壊される場合に、生成される副圧に起因して、事前圧縮された本体2’及び吸収体8は、互いに対して密接に押圧され、吸収体8は、大気圧と創傷床の上方の空間において生成された副圧との間の圧力差に対応する圧力によって、主に創傷床に対して密接に押圧されるであろう。創傷滲出液は次いで、吸収体8から流れ出し、毛細管力によって生成された副圧に起因して主に事前圧縮された本体2’内に吸引されるであろう。好ましくは、創傷被覆材1’は、事前圧縮された本体2’が吸収体8へ流れ出させることができるように構成される場合に、事前圧縮された本体2’は、創傷被覆材1’の創傷パッドの一部である。
【0028】
事前圧縮された本体2’の膨脹は、創傷被覆材が創傷を取り囲んでいる肌に取り付けられる場合に、事前圧縮された本体2’を含んでいるフィルム6によって妨害されずに展開しなければならない。フィルム6の寸法は、それ故に、好ましくは、緩和状態への事前圧縮された本体2’の膨脹を可能にするようにさせる。創傷被覆材の所望された性質に応じて、フィルム6の大きな寸法又は中間の寸法を選択することは、当然ながら可能である。大きな寸法は、膨脹するように圧縮された弾性本体2’の能力が完全に使用されることを確実にするために、選択されることができる。中間の寸法は、創傷が副圧に連続的にされられることを確実にするために、創傷被覆材1が交換されなければならない場合を指示するために、使用されることができる。該指示は次いで、折り畳み部又は平坦ではない部分がもはやフィルム6上に存在しない場合に、創傷被覆材が交換されるべきであることとされるであろう。
【0029】
同一の寸法要求はまた、当然ながら、
図1に示された実施形態におけるフィルムに適用可能とされる。しかしながら、中間の寸法は、エンベロープ4のために選択されないであろう。この態様において、フィルム4の下側が事前圧縮された本体2を覆っている部分に接着剤コーティングを有する場合があるけれども、フィルム4の過大寸法による折り畳み部又は同様のものを含んでいるフィルムの領域が当然ながら接着剤を含まないとされなければならないことは、指摘される。
【0030】
図2に示される実施形態において、吸収体8は、開口セルを有するフォーム、又は吸収性繊維から製造された繊維の不織材料又は織物材料などの吸収材料によって構成される。しかしながら、吸収体8が吸収材料とされることは必要性がなく、吸収体が空気及び液体のための透過性とされることは、十分である。それ故に、例えば、吸収材料又は非吸収材料のネット、穿孔されたプラスチックフィルム、又は非吸収繊維から製造された不織布材料又は織物材料から構成されることができる。
【0031】
第2の実施形態における吸収体8に類似の吸収体又は非吸収体はまた、当然ながら、事前圧縮された本体と創傷床との間に配置された
図1による創傷被覆材1内に存在することができる。
【0032】
本願発明による創傷被覆材に使用された材料は、例えばエチレンオキシドによって、創傷被覆材が滅菌されることができるようにさせる。
【0033】
図3及び
図4には、本願発明による創傷被覆材1、1’における使用のための事前圧縮された本体2を製造するための好ましい例が、概略的に図示される。ポリウレタンフォームなどの弾性吸収材料の本体2は、完全に膨脹された状態で2つのシート3A及び3Bの間に配置される。シート3Bは、本体2及び固定プレート9の輪郭が一致するように、本体2の切断面と類似の形状を有している固定プレート9上に配置される。シート3Aの上側には、同様の形状を有するプレート10が配置される。プレート10は、固定プレート9に向けて移動可能である。その後に、プレート10は、本体2のために所望される圧縮の程度に対応する所定の力F及び所定の距離で固定プレート9に向けて移動される。本体2の圧縮中に、本体からの空気は、横方向に逃れる。本体2が所望される程度に圧縮される場合に、固定プレート9及びプレート10の輪郭の外側の領域において、それ故に、圧縮された本体の輪郭の外側の領域において、シート3A及び3Bを互いに固定するためのツールは、前記領域において互いに対してシート3A及び3Bを押圧する。
図3において、前記ツールの部品11のみが概略的に図示される。互いに対するシートの固定は、熱溶着又は接着剤によってそのような任意の適切な方法で行われることができる。接着剤が使用される場合に、接着剤は、シートが互いに押圧される前に、前記領域における前記シートの一方又は両方に塗布される。
図4において、そのケース3における事前圧縮された本体2の構成は、示される。ケース3が気密であるので、空気は、ケースの内側の空間内に漏れることができず、事前圧縮された本体2は、それ故に膨脹を防止される。
【0034】
図示された例において、シート3A及び3Bは、互いから別個であるが、その圧縮前に、本体2に亘って折り畳まれる一のシートをその代わりに使用することは可能である。そのような場合において、事前圧縮された本体2の外側の領域において折り畳まれたシートの縁部を互いに固定するためのツールは、シートの折り畳み部に亘って延在する必要がない。
【0035】
図3及び
図4に図示された例において、全体的なシート3Bは、好ましくはポリビニルアルコールのフィルムなどの溶解性材料である一方、シート3Aは、シート3Bの材料に取り付けられることができる任意の気密材料である。溶解性材料から製造される両方のシート3A及び3Bを有することは、可能である。ケース3が折り畳まれたシートによって構成される場合において、たとえそのようなシートにおいて本体2の断面に対応する、又は該断面の少なくとも大部分に対応する開口部を形成させ、その後に、シートにそのような開口部を覆っている溶解性材料片を取り付けることを可能にする場合に、これは、好ましくは溶解性材料である。これは、上述される圧縮手順が行われる前に実行されるべきである。好ましくはないが、同一の方法でシート3Bに開口部を提供することは可能であり、溶解性材料のカバーとともにこの開口部を提供することは可能である。
【0036】
事前圧縮された本体のための製造方法の図示された例において、プレート9及び10と固定ツールとは、事前圧縮された本体2の断面と一致するために寸法決めされる。しかしながら、プレートが事前圧縮された本体2の全体的な領域を覆っており、且つプレート9及び10に対する事前圧縮された本体2の小さなずれを可能にすることを確実にするために、プレートは、事前圧縮された本体2の断面より僅かに大きいとされてもよい。
【0037】
本願発明による創傷被覆材において一体として別個のケース内に事前圧縮された本体を提供することによって、従来の設計の創傷パッドを有する創傷被覆材の製造のための生産ラインは、使用された装置の変更なしに、又は新しい装置の追加なしに、本願発明による創傷被覆材の製造のために使用されることができる。生産速度は、生産ラインにおいて圧縮行程によって遅くならず、該生産ラインは、連続的な生産ラインにおいて特に重要である。さらに、そのような事前圧縮された本体の製造は、単純な構成の装置のみを必要とされ、且つそれ故に、コストを抑えた方法で製造されることができる。
【0038】
本願発明による創傷被覆材は、従来のアイランド創傷被覆材と比較して多くの利点を有する。第1に、大気圧と生成された副圧との間の圧力差は、創傷床に対して創傷パッドを密接に押圧し、それによって、創傷パッドと創傷床との間の良好な接触が確実にされる。実際のところ、前記圧力差は、全体として創傷被覆材の良好な固定を保証するであろう。創傷床の上方に生成された副圧はまた、創傷床からの滲出液の良好な除去を確実にし、創傷の治癒を改善するであろう。
【0039】
既存の陰圧創傷閉鎖被覆材と比較して、本願発明による創傷被覆材は、空間的に小さく(less spacious)、電気式ポンプ又は手動式ポンプを必要とせず、まったく音がせず、使用を容易にする。本願発明による創傷被覆材はまた、溶解性の種類であり、点検又は洗浄を必要としない。さらに、本願発明による創傷被覆材は、外部空気流を有していない、その結果として外部チューブを使用しない閉鎖システムであり、使用且つ適用を非常に容易にさせ、再利用可能なシステムと比較して交差感染の危険性を減少させる。本願発明による創傷被覆材は、既存の陰圧創傷閉鎖法用被覆材より少ない部品を有し、貯蔵又は処理を容易にし、低コストで製造されることができる。
【0040】
記載された実施形態は当然ながら、本願発明の技術範囲を逸脱することなく改良されることができる。創傷被覆材の形状は、例えば、図面に示される形状及び図面を参照して記載される形状と異なる場合がある。上記の周知なフィルム被覆材のために使用される他の接着剤又は材料は、使用されることができる。いわゆる超吸収性粒子(superabsorbent particle)は、事前圧縮された本体内に混合されることができ、創傷被覆材の液体貯蔵能力をさらに増加させるために、事前圧縮された本体の上部に追加の層の形態で存在することができる。創傷パッドは、複数の層から構成することができる。本願発明の技術範囲は、それ故に、添付された特許請求の範囲の内容によってのみ制限されるであろう。
【符号の説明】
【0041】
1、1’ 創傷被覆材
2、2’ 事前圧縮された本体
3、3’ 気密ケース
4,4’ フィルム
5、5’ 接着剤のコーティング
6 エンベロープ
7 開口部、チャンネル
8 吸収体
9 固定プレート
10 プレート
11 部品
F 所定の力