特許第5696044号(P5696044)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三井化学東セロ株式会社の特許一覧

特許5696044エチレン系樹脂組成物、太陽電池封止材およびそれを用いた太陽電池モジュール
<>
  • 特許5696044-エチレン系樹脂組成物、太陽電池封止材およびそれを用いた太陽電池モジュール 図000015
  • 特許5696044-エチレン系樹脂組成物、太陽電池封止材およびそれを用いた太陽電池モジュール 図000016
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5696044
(24)【登録日】2015年2月13日
(45)【発行日】2015年4月8日
(54)【発明の名称】エチレン系樹脂組成物、太陽電池封止材およびそれを用いた太陽電池モジュール
(51)【国際特許分類】
   C08L 23/26 20060101AFI20150319BHJP
   C08L 51/00 20060101ALI20150319BHJP
   C08F 8/00 20060101ALI20150319BHJP
   C08K 5/00 20060101ALI20150319BHJP
   H01L 31/042 20140101ALI20150319BHJP
【FI】
   C08L23/26
   C08L51/00
   C08F8/00
   C08K5/00
   H01L31/04 500
【請求項の数】16
【全頁数】66
(21)【出願番号】特願2011-518259(P2011-518259)
(86)(22)【出願日】2010年5月31日
(86)【国際出願番号】JP2010003648
(87)【国際公開番号】WO2010140343
(87)【国際公開日】20101209
【審査請求日】2013年5月17日
(31)【優先権主張番号】特願2009-132432(P2009-132432)
(32)【優先日】2009年6月1日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2009-238653(P2009-238653)
(32)【優先日】2009年10月15日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000220099
【氏名又は名称】三井化学東セロ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105050
【弁理士】
【氏名又は名称】鷲田 公一
(72)【発明者】
【氏名】池永 成伸
(72)【発明者】
【氏名】白田 孝
(72)【発明者】
【氏名】遣水 一広
(72)【発明者】
【氏名】母里 博志
(72)【発明者】
【氏名】室伏 貴信
(72)【発明者】
【氏名】善光 洋文
(72)【発明者】
【氏名】徳弘 淳
(72)【発明者】
【氏名】竹内 文人
【審査官】 阪野 誠司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−150094(JP,A)
【文献】 特開2006−316160(JP,A)
【文献】 特開2006−342236(JP,A)
【文献】 国際公開第2001/061763(WO,A1)
【文献】 特開2005−019975(JP,A)
【文献】 特開2007−150069(JP,A)
【文献】 特開2009−010277(JP,A)
【文献】 特開2006−210389(JP,A)
【文献】 特開2007−048504(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の要件a)〜e)を同時に満たすエチレン系重合体(A)をエチレン性不飽和シラン化合物(B)で変性して得られる変性体と、エチレン・α−オレフィン共重合体(C)をエチレン性不飽和シラン化合物(B)で変性して得られる変性体とを含有するエチレン系樹脂組成物。
a)密度が900〜940kg/m
b)DSCに基づく融解ピーク温度が90〜125℃
c)JIS K−6721に準拠して190℃、2.16kg荷重にて測定したメルトフローレ−ト(MFR2)が0.1〜100g/10分
d)Mw/Mnが1.2〜3.5
e)金属残渣が0.1〜50ppm
【請求項2】
前記エチレン・α−オレフィン共重合体(C)が、以下の要件f)を満たす、請求項に記載のエチレン系樹脂組成物。
f)密度が850〜895未満kg/m
【請求項3】
前記エチレン系重合体(A)の変性体が、エチレン系重合体(A)、エチレン性不飽和シラン化合物(B)および有機過酸化物の混合物を押出溶融して得られる、請求項1に記載のエチレン系樹脂組成物。
【請求項4】
前記エチレン・α−オレフィン共重合体(C)の変性体が、エチレン・α−オレフィン共重合体(C)、エチレン性不飽和シラン化合物(B)および有機過酸化物の混合物を押出溶融して得られる、請求項に記載のエチレン系樹脂組成物。
【請求項5】
前記エチレン系重合体(A)が、エチレン系重合体(A)のパウダーである、請求項に記載のエチレン系樹脂組成物。
【請求項6】
前記エチレン系重合体(A)が、エチレン系重合体(A)のパウダーとペレットの混合物である、請求項に記載のエチレン系樹脂組成物。
【請求項7】
前記混合物が、エチレン性不飽和シラン化合物(B)と有機過酸化物とを予め含浸させたエチレン系重合体(A)のパウダーと、エチレン系重合体(A)のペレットとの混合物である、請求項に記載のエチレン系樹脂組成物。
【請求項8】
紫外線吸収剤(D)、光安定化剤(E)および耐熱安定剤(F)からなる群より選ばれる少なくとも1種の添加剤をさらに含有する、請求項1に記載のエチレン系樹脂組成物。
【請求項9】
前記エチレン系重合体(A)の変性体とエチレン・α−オレフィン共重合体(C)の変性体との合計100重量部に対する、エチレン・α−オレフィン共重合体(C)の変性体の含有量が90重量部以下である、請求項に記載のエチレン系樹脂組成物。
【請求項10】
請求項1に記載のエチレン系樹脂組成物を含む、太陽電池封止材。
【請求項11】
請求項1に記載のエチレン系樹脂組成物からなるシートを含む、太陽電池封止材。
【請求項12】
前記太陽電池封止材の少なくとも片面にはエンボス加工が施されており、
前記太陽電池封止材の単位面積当りの凹部の合計体積Vと、前記単位面積に前記太陽電池封止材の最大厚みを乗じて得られる前記太陽電池封止材の見掛け体積Vとの百分比V/V×100(%)で表される空隙率Pが10〜50%であり、かつ
80℃での貯蔵弾性率(E’)が、2.5×10〜1.5×10Paである、請求項10に記載の太陽電池封止材。
【請求項13】
前記太陽電池封止材は、太陽電池モジュール用裏面保護部材と一体化している、請求項10に記載の太陽電池封止材。
【請求項14】
請求項10に記載の太陽電池封止材を用いて得られる太陽電池モジュール。
【請求項15】
請求項10に記載の太陽電池封止材を用いて得られる薄膜型太陽電池モジュール。
【請求項16】
請求項10に記載の太陽電池封止材を裏面側の太陽電池封止材として用いて得られる結晶型太陽電池モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラス・バックシート・薄膜電極との接着性、電気絶縁性、透明性、成形性、長期保存安定性、クッション性およびプロセス成形性に優れるエチレン系樹脂組成物に関し、さらにこれを用いた太陽電池封止材に関する。
【0002】
本発明はさらに、この様なエチレン系樹脂組成物を用いた太陽電池用封止シート、および太陽電池封止材または太陽電池用封止シートを用いた太陽電池モジュールに関する。
【背景技術】
【0003】
地球環境問題、エネルギー問題等が深刻さを増す中、クリーンでかつ枯渇のおそれがないエネルギー源として、太陽光エネルギーが注目されており、当該エネルギーを利用した太陽電池による発電が今後の新しい電気の供給方法として注目されている。
【0004】
太陽電池を建物の屋根部分等の屋外で使用する場合、太陽電池モジュールの形態で使用することが一般的である。前記の太陽電池モジュールは、結晶型太陽電池モジュールと薄膜型太陽電池モジュールの大きく2つに分けられる。結晶型太陽電池モジュールは、多結晶シリコンや単結晶シリコン等により形成された結晶型太陽電池セルを、太陽電池モジュール用保護シート(表面保護部材)/太陽電池用封止シート/結晶型太陽電池セル/太陽電池用封止シート/太陽電池モジュール用保護シート(裏面保護部材)の順に積層したものを、真空吸引して加熱圧着するラミネーション法等により製造されている。
【0005】
また、薄膜型太陽電池モジュールは、アモルファスシリコンや結晶シリコン等をガラス等の基板の上に数μmの非常に薄い膜を形成して作った薄膜型太陽電池セルを、薄膜型太陽電池セル/太陽電池用封止シート/太陽電池モジュール用保護シート(裏面保護部材)の順に積層したものを、真空吸引して加熱圧着するラミネーション法等により製造されている。
【0006】
このようにして得られる太陽電池モジュールは、耐候性を有し、建物の屋根部分等の屋外での使用にも適したものとなっている。
【0007】
従来、太陽電池用封止シートを構成する材料(太陽電池封止材)は、その透明性、柔軟性等が要求される観点から、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)が広く用いられていた(例えば、特許文献1参照)。EVAを太陽電池封止材として使用する場合、十分な耐熱性を付与するために架橋処理を行うのが一般的である。しかしながら、架橋処理には0.2〜2時間程度の比較的長時間を要するため、太陽電池モジュールの生産速度、生産効率を低下させる原因となっていた。また、EVAが分解して発生する酢酸ガス等の成分が、太陽電池素子に影響を与える可能性が懸念されていた。
【0008】
上述の技術的課題を解決するための方策の1つとして、太陽電池封止材の少なくとも一部にエチレン・α−オレフィン共重合体を使用することを挙げることができる。また、エチレン・α−オレフィン共重合体を主成分として含む太陽電池封止材も提案されている(特許文献2参照)。しかしながら、特許文献2は、封止材としての好ましい特性(耐熱性、透明性、柔軟性、耐プロセス安定性等)を得るための、エチレン・α−オレフィン共重合体の物性につき、何らの具体的な指針も開示していない。これは、特許文献2に開示された技術が、架橋処理を前提とするものであり、架橋処理と併せて所望の物性を達成しようとするものであるためと考えられる。
【0009】
さらに、特有の密度範囲を有するメタロセン系直鎖状低密度ポリエチレンを使用した太陽電池封止材も提案されている(特許文献3参照)。しかしながら、特許文献3も、エチレン・α−オレフィン共重合体の物性につき、密度以外には何らの具体的な指針も開示していない。これは、特許文献3に開示の技術が架橋処理を前提とするものであり、架橋処理と併せて所望の物性を達成しようとするものであるためと考えられる。また、特許文献3の太陽電池封止材は、耐熱性や耐湿性などが低くなるおそれがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平8−283696号公報
【特許文献2】特開2000−091611号公報
【特許文献3】特開2007−150069号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、上述の背景に鑑み、エチレン系樹脂組成物を用いた太陽電池封止材において、(必ずしも架橋を伴わずに)所望の物性を得るための指針を明確にすることである。具体的には、接着性、電気絶縁性、透明性、成形性、長期保存安定性、クッション性および太陽電池封止材を製造する際のプロセス安定性等の諸特性に優れるとともに、必要に応じて架橋を省略して生産性を改善することができる、エチレン系樹脂組成物および太陽電池封止材を提供することにある。本発明の目的は、さらに耐熱性および耐湿性と、接着性とを両立することができる、エチレン系樹脂組成物等を提供することにある。さらに、これらのエチレン系樹脂組成物および太陽電池封止材を用いた太陽電池モジュールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、特定の密度範囲、融点範囲、メルトフローレート範囲、分子量分布範囲、金属残渣範囲にあるエチレン系重合体(A)、および必要に応じてエチレン・α−オレフィン共重合体(C)を、エチレン性不飽和シラン化合物(B)で変性して得られる変性体を含有するエチレン系樹脂組成物を開発した。
【0013】
このようなエチレン系樹脂組成物を用いることにより、接着性、電気絶縁性、透明性、成形性およびプロセス安定性に優れ、かつ、必要に応じて架橋を省略して生産性の改善が可能な太陽電池封止材が得られることを見出した。さらには、エチレン系重合体(A)の変性体とエチレン・α−オレフィン共重合体(C)の変性体とを組み合わせることで、耐熱性や耐湿性と、接着性とを高度に両立しうることを見出した。本発明はこのような知見に基づきなされたものである。
【0014】
すなわち、本発明の第一は、以下のエチレン系樹脂組成物に関する。
[1] 以下の要件a)〜e)を同時に満たすエチレン系重合体(A)を、エチレン性不飽和シラン化合物(B)で変性して得られる変性体を含有する、エチレン系樹脂組成物。
a)密度が900〜940kg/m
b)DSCに基づく融解ピーク温度が90〜125℃
c)JIS K−6721に準拠して190℃、2.16kg荷重にて測定したメルトフローレ−ト(MFR2)が0.1〜100g/10分
d)Mw/Mnが1.2〜3.5
e)金属残渣が0.1〜50ppm
[2] エチレン・α−オレフィン共重合体(C)をエチレン性不飽和シラン化合物(B)で変性して得られる変性体をさらに含有する、[1]に記載のエチレン系樹脂組成物。
[3] 前記エチレン・α−オレフィン共重合体(C)が、以下の要件f)を満たす、[2]に記載のエチレン系樹脂組成物。
f)密度が850〜895未満kg/m
[4] 前記エチレン系樹脂組成物が、以下の要件g)を満たす、[1]〜[3]のいずれかに記載のエチレン系樹脂組成物。
g)エチレン系樹脂組成物に残存するエチレン性不飽和シラン化合物(B)に由来する遊離シランの含有率が、エチレン系樹脂組成物に含まれる全シランに対して5〜40重量%
[5] 前記エチレン系重合体(A)の変性体が、エチレン系重合体(A)、エチレン性不飽和シラン化合物(B)および有機過酸化物の混合物を押出溶融して得られる、[1]〜[4]のいずれかに記載のエチレン系樹脂組成物。
[6] 前記エチレン・α−オレフィン共重合体(C)の変性体が、エチレン・α−オレフィン共重合体(C)、エチレン性不飽和シラン化合物(B)および有機過酸化物の混合物を押出溶融して得られる、[2]〜[4]のいずれかに記載のエチレン系樹脂組成物。
[7] 前記エチレン系重合体(A)は、エチレン系重合体(A)のパウダーである、[5]または[6]に記載のエチレン系樹脂組成物。
[8] 前記エチレン系重合体(A)が、エチレン系重合体(A)のパウダーとペレットの混合物である、[5]または[6]に記載のエチレン系樹脂組成物。
[9] 前記混合物が、エチレン性不飽和シラン化合物(B)と有機過酸化物とを予め含浸させた、エチレン系重合体(A)のパウダーとエチレン系重合体(A)のペレットの混合物である、[5]または[6]に記載のエチレン系樹脂組成物。
[10] 紫外線吸収剤(D)、光安定化剤(E)、および耐熱安定剤(F)からなる群より選ばれる少なくとも1種の添加剤をさらに含有する、[1]〜[9]のいずれかに記載のエチレン系樹脂組成物。
[11] 前記エチレン系重合体(A)の変性体とエチレン・α−オレフィン共重合体(C)の変性体との合計100重量部に対する、エチレン・α−オレフィン共重合体(C)の変性体の含有量が90重量部以下である、[2]〜[10]のいずれかに記載のエチレン系樹脂組成物。
【0015】
本発明の第二は、エチレン系樹脂組成物からなる太陽電池封止材、およびそれを用いた太陽電池モジュールに関する。
[12] [1]〜[11]のいずれかに記載のエチレン系樹脂組成物を含む太陽電池封止材。
[13] [1]〜[11]のいずれかに記載のエチレン系樹脂組成物からなるシートを含む、太陽電池封止材。
[14] 前記太陽電池封止材の少なくとも片面にはエンボス加工が施されており、前記太陽電池封止材の単位面積当りの凹部の合計体積Vと、前記単位面積に前記太陽電池封止材の最大厚みを乗じて得られる前記太陽電池封止材の見掛け体積Vとの百分比V/V×100(%)で表される空隙率Pが10〜50%であり、かつ80℃での貯蔵弾性率(E’)が、2.5×10〜1.5×10Paである、[12]または[13]に記載の太陽電池封止材。
[15] 前記太陽電池封止材が、太陽電池モジュール用裏面保護部材と一体化している、[12]〜[14]のいずれかに記載の太陽電池封止材。
[16] [12]〜[15]のいずれかに記載の太陽電池封止材を用いて得られる太陽電池モジュール。
[17] [12]〜[15]のいずれかに記載の太陽電池封止材を用いて得られる薄膜型太陽電池モジュール。
[18] [12]〜[15]のいずれかに記載の太陽電池封止材を、裏面側の太陽電池封止材として用いて得られる結晶型太陽電池モジュール。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ガラス、バックシート、薄膜電極との接着性、電気絶縁性、透明性、成形性、長期保存安定性、クッション性およびプロセス安定性に優れ、かつ必要に応じて架橋を省略して生産性を改善することができるエチレン系樹脂組成物およびそれを含む太陽電池封止材を得ることができる。さらには、耐熱性および耐湿性と、接着性とを両立できる、エチレン系樹脂組成物およびそれを含む太陽電池封止材を得ることができる。
【0017】
また、本発明の太陽電池封止材を用いることで、上記の優れた諸特性に加えて、コスト等経済性に優れた太陽電池モジュールを得ることもできる。本発明の太陽電池封止材は、特に薄膜用太陽電池モジュールの太陽電池封止材、結晶型太陽電池モジュールの裏面側の太陽電池封止材として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】結晶シリコン系の太陽電池モジュールの構成の一例を示す断面図である。
図2】太陽電池セルの受光面と裏面の構成の一例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
1.エチレン系樹脂組成物
本発明のエチレン系樹脂組成物は、以下の要件a)〜e)を同時に満たすエチレン系重合体(A)の変性体を含み、必要に応じてエチレン・α−オレフィン共重合体(C)の変性体をさらに含んでもよい。
【0020】
エチレン系重合体(A)の変性体およびエチレン・α−オレフィン共重合体(C)の変性体
本発明のエチレン系樹脂組成物に含まれるエチレン系重合体(A)の変性体は、エチレン系重合体(A)を、有機過酸化物の存在下で、エチレン性不飽和シラン化合物(B)で変性して得られる変性体である。本発明のエチレン系樹脂組成物に含まれるエチレン・α−オレフィン共重合体(C)の変性体は、エチレン・α−オレフィン共重合体(C)を有機過酸化物の存在下で、エチレン性不飽和シラン化合物(B)で変性して得られる変性体である。
【0021】
エチレン系重合体(A)
エチレン系重合体(A)の変性体の原料となるエチレン系重合体(A)は、エチレンから導かれる構成単位を有し、かつa)〜e)の要件を満たすものであればよく、それ以外に特に制限はない。
【0022】
エチレン系重合体(A)は、例えば、エチレン単独重合体、または、エチレンとα−オレフィンまたは環状オレフィンとの共重合体でありうる。
【0023】
エチレンとα−オレフィンとの共重合体におけるα−オレフィンは、炭素原子数3〜20のα−オレフィンでありうる。炭素原子数3〜20のα−オレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセンなどが挙げられる。なかでも、炭素原子数4〜10のα−オレフィンが好ましく、具体的には、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンが特に好ましい。
【0024】
エチレンと環状オレフィンとの共重合体における環状オレフィンとしては、ノルボルネン誘導体、トリシクロ−3−デセン誘導体、トリシクロ−3−ウンデセン誘導体、テトラシクロ−3−ドデセン誘導体、ペンタシクロ−4−ペンタデセン誘導体、ペンタシクロペンタデカジエン誘導体、ペンタシクロ−3−ペンタデセン誘導体、ペンタシクロ−4−ヘキサデセン誘導体、ペンタシクロ−3−ヘキサデセン誘導体、ヘキサシクロ−4−ヘプタデセン誘導体、ヘプタシクロ−5−エイコセン誘導体、ヘプタシクロ−4−エイコセン誘導体、ヘプタシクロ−5−ヘンエイコセン誘導体、オクタシクロ−5−ドコセン誘導体、ノナシクロ−5−ペンタコセン誘導体、ノナシクロ−6−ヘキサコセン誘導体、シクロペンタジエン−アセナフチレン付加物、1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロフルオレン誘導体、1,4−メタノ−1,4,4a,5,10,10a−ヘキサヒドロアントラセン誘導体、および炭素数3〜20のシクロアルキレン誘導体などが挙げられる。
【0025】
なかでも、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン誘導体およびヘキサシクロ[6.6.1.13,6.110,13.02,7.09,14]−4−ヘプタデセン誘導体が好ましく、特にテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセンが好ましい。
【0026】
これらのα−オレフィンおよび環状オレフィンは、1種単独で用いてもよく、α−オレフィンと環状オレフィンとを組み合わせてもよい。これらのα−オレフィンおよび環状オレフィンは、エチレンとランダム共重合体を形成してもよいし、ブロック共重合体を形成してもよい。
【0027】
本発明のエチレン系樹脂組成物に用いられるエチレン系重合体(A)は、以下の要件a)〜e)を満たす。
【0028】
〔要件a)〕
エチレン系重合体(A)の密度は、900〜940kg/mであり、好ましくは900〜935kg/m、さらに好ましくは900〜930kg/m、さらに好ましくは900〜925kg/m、さらに好ましくは905〜925kg/m、最も好ましくは905〜923kg/mである。
【0029】
エチレン系重合体(A)の密度が900kg/m未満であると、封止材の耐熱性が低下する。このため、太陽電池モジュールを傾けた状態で太陽光により発電した場合、封止材が軟化するため、ガラスや電極が徐々に滑ってしまいガラスが滑り落ちてしまう。また、シートのブロッキングが生じ、シートの巻き取り体からのシートの巻き出しにくくなったり、シート成形時にチルロールおよびエンボスロールへのベタツキが発生し、シートの厚み制御やシート成形が困難になったりする傾向にある。エチレン系重合体(A)の密度が940kg/m超過であると、封止材の柔軟性が低下し、太陽電池モジュールをラミネートにより製造する際に、シリコン結晶セルの割れや銀電極の剥離が生じる。また、溶融しにくいため、一般的なラミネーター温度150℃よりもラミネート成形時の温度を高くする必要がある。また、一般的なラミネーター温度150℃でも、第1段階の真空・余熱時間を長時間にわたって行わなければならないといった問題点が生じる。
【0030】
エチレン系重合体(A)の密度は、エチレン系重合体(A)のα−オレフィン等のコモノマー含量に依存する。すなわち、エチレン系重合体(A)におけるコモノマー含量が少ないほど密度は高く、コモノマー含量が多いほど密度は低くなる。また、エチレン系重合体(A)中のコモノマー含量は、重合系内におけるコモノマーとエチレンとの組成比(コモノマー/エチレン)により決定されることが知られている(例えばWalter Kaminsky, Makromol.Chem. 193, p.606(1992))。
【0031】
このため、コモノマー/エチレンの組成比を調整することで、エチレン系重合体(A)の密度を調整することができる。
【0032】
エチレン系重合体(A)の密度は、密度勾配管法により測定することができる。
【0033】
〔要件b)〕
エチレン系重合体(A)のDSCに基づく融解ピーク温度は90〜125℃であり、好ましくは90〜120℃であり、さらに好ましくは90〜115℃である。
【0034】
エチレン系重合体(A)の融解ピーク温度が90℃未満であると、封止材の耐熱性が低下する。このため、太陽電池モジュールを傾けた状態で太陽光により発電した際、封止材が軟化するため、ガラスや電極が徐々に滑り落ちてしまう。また、シートのブロッキングが生じ、シートの巻き取り体からのシートの巻き出しにくくなったり、シート成形時にチルロールおよびエンボスロールへのベタツキが発生してシートの厚み制御やシート成形が困難になったりする傾向にある。エチレン系重合体(A)の融解ピーク温度が125℃超過であると、封止材の柔軟性が低下し、モジュールをラミネートする際にシリコン結晶セルの割れや銀電極の剥離が生じる。また、溶融しにくいため、一般的なラミネーター温度150℃よりもラミネート成形時の温度が高くする必要がある。また、一般的なラミネーター温度150℃でも、第1段階の真空・余熱時間を長時間掛けて行わなければならないといった問題点が生じる。
【0035】
エチレン系重合体(A)の融解ピーク温度も、密度と同様に、エチレン系重合体(A)のα−オレフィン等のコモノマー含量に依存する。すなわち、エチレン系重合体(A)におけるコモノマー含量が少ないほど融解ピーク温度は高く、コモノマー含量が多いほど融解ピーク温度は低くなる。また、エチレン系重合体(A)中のコモノマー含量は、重合系内におけるコモノマーとエチレンとの組成比(コモノマー/エチレン)により決定されることが知られている(例えばWalter Kaminsky, Makromol.Chem. 193, p.606(1992))。
【0036】
このため、コモノマー/エチレンの組成比を調整することで、エチレン系重合体(A)の融解ピーク温度を調整することができる。
【0037】
エチレン系重合体(A)の融解ピーク温度は、DSCにより以下の条件で測定できる。すなわち、1)エチレン系重合体(A)の試料を5mg程度専用アルミパンにを詰めたものを準備し、2)これをパーキンエルマー社製DSC7にセットして、0℃から200℃までを320℃/minで昇温し;200℃で5分間保持した後;200℃から0℃までを10℃/minで降温し;0℃でさらに5分間保持した後、10℃/minで昇温する。3)得られた吸熱曲線から、溶融ピークのピーク頂点を融解ピーク温度として求める。
【0038】
〔要件c)〕
エチレン系重合体(A)のJIS K−6721に準拠して190℃、2.16kg荷重にて測定したメルトフローレ−ト(MFR2)が0.1〜100g/10分であり、好ましくは0.5〜50g/10分であり、さらに好ましくは0.5〜20g/10分である。
【0039】
エチレン系重合体(A)のMFR2が0.1g/10分未満であると、それを含むエチレン系樹脂組成物の流動性が低下し、シート押出成形時の生産性が低下する。エチレン系重合体(A)のMFR2が100g/10分超過であると、逆に流動性が高すぎるため、シート成形が困難である。また、シートの引張強度等の機械物性が低下する。
【0040】
エチレン系重合体(A)のメルトフローレート(MFR2)は、エチレン系重合体(A)の分子量に強く依存する。すなわち、メルトフローレート(MFR2)が小さいほどエチレン系重合体(A)の分子量は大きく、メルトフローレート(MFR2)が大きいほどエチレン系重合体(A)の分子量は小さくなる傾向がある。また、エチレン系重合体(A)の分子量は、重合系内における水素とエチレンとの組成比(水素/エチレン)により決定されることが知られている(例えば、Kazuo Soga、KODANSHA“CATALYTIC OLEFIN POLYMERIZATION”、376頁(1990年))。このため、水素/エチレンの組成比を調整することで、本発明の要件c)を満たすエチレン系重合体(A)を製造することができる。
【0041】
エチレン系重合体(A)のメルトフローレート(MFR2)は、JIS K−6721に準拠して190℃、2.16kg荷重にて測定できる。
【0042】
〔要件d)〕
本発明のエチレン系樹脂組成物に用いられるエチレン系重合体(A)のゲル浸透クロマトグラフ(GPC)で測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が1.2〜3.5であり、好ましくは1.2〜3.2であり、さらに好ましくは1.2〜2.8である。
【0043】
Mw/Mnが1.2未満のエチレン系重合体(A)を得るためには、通常、リビング重合でなければ得ることができない。このため、リビングポリマーを得るには、ポリマー単位重量当りの触媒量が増大してポリマーの製造コストが高くなり、工業的に不利である。エチレン系重合体(A)のMw/Mnが3.5超過であると、得られるエチレン系樹脂組成物の衝撃強度が低下する。また、シートにベタツキが発生し、シートがブロッキングしてシートの巻き取り体からシートを巻き出しにくくなる。
【0044】
重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)は、一般に組成分布の影響を受ける。例えば、エチレン系重合体(A)をバッチ式スラリー重合により得る場合、コモノマーの転化率を低く保つとMw/Mnは小さくなり、コモノマーの転化率を高くするとMw/Mnは大きくなる傾向にある。コモノマーの転化率とは、コモノマーの仕込み量に対する、重合反応に用いられた量の割合である。また、重合時間を短くすることで、コモノマーの転化率は低くなり、重合触媒の活性種の変質も抑制できる。このため、組成分布も狭くなり、Mw/Mnは小さくなる傾向にある。しかし、重合時間を長くすることで、コモノマー転化率は高くなり、重合触媒の変質も発生する。このため、組成分布が広がり、Mw/Mnは大きくなる傾向にある。さらに、連続の気相重合または溶液重合では、平均滞留時間を短くすることで、重合触媒の変質を抑制し、組成分布も狭くなるため、Mw/Mnは小さくなる傾向にある。しかし、平均滞留時間を長くすることで、重合触媒の活性種の変質が発生し、組成分布が広くなるため、Mw/Mnは大きくなる傾向にある。
【0045】
エチレン系重合体(A)の分子量分布(Mw/Mn)は、Waters社製ゲル浸透クロマトグラフAlliance GPC−2000型を用いて測定できる。
【0046】
〔要件e)〕
エチレン系重合体(A)の金属残渣が0.1〜50ppmであり、好ましくは0.1〜45ppmであり、さらに好ましくは0.1〜40ppm、最も好ましくは5〜50ppmである。
【0047】
エチレン系重合体(A)の金属残渣が0.1ppm未満であると、重合触媒の脱灰操作が必須となり、プラント固定費、用役費等が高くなることから製造コストが高くなる傾向にある。さらに、脱灰処理に用いる酸あるいはアルカリ、キレート剤も多量必要となることから、それらの酸あるいはアルカリ、キレート化剤がエチレン系重合体(A)中に残存する可能性が高くなる。このため、当該エチレン系重合体(A)を太陽電池封止材の原料として用いた場合、エチレン系重合体(A)に残存した酸またはアルカリ、キレート化剤により、太陽電池モジュールの電極等の腐食を起こす可能性がある。また、金属残渣が0.1ppm未満であると、長期保存安定性が低下する。これは、金属残渣が、酸やアルカリなどのキャッチャーとなり得るためと考えられる。つまり、金属残渣が少なすぎると、ガラスと樹脂との結合を切断する原因物質をシャットアウトしきれず、結合切断が多発するためと推測される。また、エチレン系重合体(A)の重合触媒として、メタロセン化合物に一般的に用いられるTi、Zr、Hf等が少量存在すると、これらが有機過酸化物を活性化するため、例えば押出変性時のエチレン性不飽和シラン化合物(B)のグラフト効率が向上する。また、上記のTi、Zr、Hf等の金属は、ラミネート加工時にエチレン系樹脂組成物中に極微量残存する有機過酸化物を活性化させるため、エチレン系樹脂組成物中に残存する遊離のエチレン性不飽和シラン化合物(B)をグラフト変性でき、接着強度が向上するものと推測される。
【0048】
一方、エチレン系重合体(A)の金属残渣が50ppm超過であると、金属残渣により体積固有抵抗、絶縁破壊抵抗の低下が起こる。また、金属残渣が50ppm超過であると、長期保存安定性が低下する。これは、エチレン系重合体(A)を太陽電池封止材の原料として用いた場合、ガラスとの密着面に経時的に金属がイオンとなってが溶け出し、ガラスと樹脂(太陽電池封止材)との結合を切断するためであると推測される。
【0049】
金属残渣は、重合触媒の活性種となる、例えばメタロセン化合物の遷移金属に由来している。金属残渣の量は、重合活性の高低に依存している。すなわち、重合活性が高い重合触媒であると、モノマーに対する触媒量を少なくできるので、自ずと金属残渣を少なくすることができる。そのため、重合活性の高い重合触媒を用いることが金属残査を少なくする上で好適な手法の一つとなる。また、用いる重合触媒の最適重合温度で重合させることや、重合圧力をできる限り高くし、重合触媒当たりのモノマー濃度を高くすることも、重合活性を上げて金属残渣を少なくする好適な手法の一つである。また、上記メタロセン化合物には、例えば有機アルミニウムオキシ化合物、メタロセン化合物と反応してイオン対を形成する化合物、および有機アルミニウム化合物等を添加することがある。これらの添加量をできる限り抑制することも、金属残渣を少なくする好適な手法の一つである。その他、様々な手法を用いて重合活性を向上させることも金属残渣を少なくする好適な手法となり得る。一方、酸およびアルカリまたはアセト酢酸メチル等のキレート化剤を用いて、脱灰処理により金属残渣を減少させる手法もある。しかし、エチレン重合体(A)中に、酸およびアルカリまたはキレート化剤が残留すると、薄膜電極の腐食を促進するため、本発明においては好適な手法ではない。
【0050】
エチレン系重合体(A)に含まれる金属残渣の量は、以下のようにして測定できる。1)エチレン系重合体(A)を湿式分解した後、純水にて定容し、2)ICP発光分析装置(島津製作所社製、ICPS−8100)にて、金属元素を定量し、これらのトータル量を金属残渣とする。
【0051】
エチレン系重合体(A)の製造方法
本発明のエチレン系重合体(A)は、従来公知のエチレン系重合用触媒成分を用いることにより製造することができる。例えば、チーグラ・ナッタ触媒、メタロセン化合物等が挙げられる。これらのなかで、重合活性を示す単位遷移金属当たりの重合活性が高いメタロセン化合物が、脱灰処理を施すことなく金属残渣が少ないエチレン系重合体(A)を得ることができるため、好ましい。メタロセン化合物は、例えば、特開2006−077261号公報、特開2008−231265号公報、および特開2005−314680号公報等に記載のメタロセン化合物を用いることができる。また、a)〜e)の要件を満たすエチレン系重合体(A)が得られる限り、前記特許文献に記載のメタロセン化合物とは異なる構造のメタロセン化合物を用いてもよい。メタロセン化合物は、二種以上をブレンドして用いてもよい。さらに、メタロセン化合物を用いた際のエチレン系重合体(A)の好ましい製造方法の態様は、例えば、
(I)従来公知のメタロセン化合物と、
(II)(II−1)有機アルミニウムオキシ化合物、(II−2)前記メタロセン化合物(I)と反応してイオン対を形成する化合物、および(II−3)有機アルミニウム化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物(助触媒と呼ぶ場合がある)と、
からなるオレフィン重合用触媒下に、エチレン単独重合、エチレンと炭素原子数が3〜20のα−オレフィンの少なくとも1種を共重合、もしくはエチレンと環状オレフィンとを共重合させる方法が挙げられる。
ここで、(II−1)有機アルミニウムオキシ化合物、(II−2)前記メタロセン化合物(I)と反応してイオン対を形成する化合物、および(II−3)有機アルミニウム化合物については、例えば、特開2006−077261号公報、特開2008−231265号公報、特開2005−314680号公報等に記載の各種化合物を用いることができる。上記要件a)〜要件e)を満たすエチレン系重合体(A)が得られる限り、前記特許文献に記載の各種化合物とは異なる化合物を用いてもよい。これらの化合物は、個別に重合雰囲気に投入しても、あるいは予め接触させてから重合雰囲気に投入してもよい。さらに、上記メタロセン化合物および助触媒成分は、例えば特開2005−314680号公報等に記載の微粒子状無機酸化物担体に担持させて用いてもよい。
【0052】
重合
エチレン系重合体(A)は、従来公知の気相重合法あるいは、スラリー重合法、溶液重合法などの液相重合法のいずれによっても得ることができる。好ましくは高活性で金属残渣が少なくなる気相重合法、スラリー重合法により行われる。スラリー重合および溶液重合は、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、灯油などの脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタンなどの脂環族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素;エチレンクロリド、クロルベンゼン、ジクロロメタンなどのハロゲン化炭化水素あるいはこれらの混合物などの不活性炭化水素媒体下で行われる。これらの不活性炭化水素溶媒のうちでは、脂肪族炭化水素、および脂環族炭化水素が好ましい。
【0053】
上記のようなメタロセン化合物を用いて、エチレン単独重合、エチレンと炭素原子数が3〜20のα−オレフィンの少なくとも1種を共重合、もしくは、エチレンと環状オレフィンとを共重合させてエチレン系重合体(A)を製造する場合、メタロセン化合物(I)は、反応容積1リットル当り、10−9〜10−1モル、好ましくは10−8〜10−2モルになるような量で用いられる。メタロセン化合物(I)の量が10−9mol/lより少ない場合、重合反応の頻度が少なくなり、重合活性が低下するため好ましくない。また、メタロセン化合物(I)の量が10−1mol/lを超えると、エチレン系重合体(A)の金属残渣が多くなるため、好ましくない。
化合物(II−1)は、化合物(II−1)と、メタロセン化合物(I)中の全遷移金属原子(M)とのモル比[(II−1)/M]が1〜10000、好ましくは10〜5000となるような量で用いられる。化合物(II−2)は、メタロセン化合物(I)中の全遷移金属(M)とのモル比[(II−2)/M]が、0.5〜50、好ましくは1〜20となるような量で用いられる。化合物(II−3)は、重合容積1リットル当り、0〜5ミリモル、好ましくは約0〜2ミリモルとなるような量で用いられる。
【0054】
本発明で用いられるエチレン系重合体(A)が「溶液重合」により得られる場合、重合温度は0〜200℃、好ましくは20〜190℃、更に好ましくは40〜180℃である。本発明に関わる溶液重合においては、重合温度が0℃に満たない場合、その重合活性は極端に低下するので生産性の点で実用的でない。また、0℃以上の重合温度領域では温度が高くなるに従い、重合時の溶液粘度が低下し、重合熱の除熱も容易となる。しかし、重合温度が200℃を超えると、重合活性が極端に低下するので生産性の点で実用的でない。重合圧力は、常圧〜10MPaゲージ圧、好ましくは常圧〜8MPaゲージ圧の条件下である。重合は、回分式、半連続式、連続式のいずれの方法においても行うことができる。反応時間(重合反応が連続法で実施される場合には平均滞留時間)は、触媒濃度、重合温度などの条件によっても異なり、適宜選択できるが、1分間〜3時間、好ましくは10分間〜2.5時間である。さらに重合を反応条件の異なる2段以上に分けて行うことも可能である。得られるエチレン系重合体(A)の分子量は、本発明の範囲内において、重合系中の水素濃度や重合温度を変化させることによっても調節することができる。さらに、使用する化合物(II)の量により調節することもできる。水素を添加する場合、その量は生成するエチレン・α−オレフィン共重合体1kgあたり0.001〜5,000NL程度が適当である。なお、前記重合方法で得られたエチレン系重合体(A)は、オレフィン重合体の製造方法で用いられる従来公知の脱灰処理を施し、触媒成分および微粒子無機酸化物担体を除去してもよい。
【0055】
エチレン性不飽和シラン化合物(B)
本発明で用いられるエチレン性不飽和シラン化合物(B)は、公知のものが使用でき、特に制限はない。具体的には、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシ−エトキシシラン)、γ−グリシドキシプロピル−トリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−メタクロキシプロピルメチルジメメトキシシラン、3−メタクロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクロキシプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシランなどが用いられる。なかでも、接着性付与能が高い、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、および3−アクロキシプロピルトリメトキシシランなどが好ましい。
【0056】
これらのなかで、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、3−アクロキシプロピルトリメトキシシランがさらに好ましい。得られるエチレン系樹脂組成物の接着性が良好で、各被着体とのラミネート成形時におけるラミ時間を短くでき、立体障害が小さく、エチレン系重合体(A)へのグラフト反応による変性効率が高いからである。
【0057】
エチレン性不飽和シラン化合物(B)の配合量は、上記エチレン系重合体(A)100重量部、またはエチレン系重合体(A)と後述するエチレン・α−オレフィン共重合体(C)の合計100重量部に対して、0.1〜5重量部であり、好ましくは0.1〜4重量部であり、より好ましくは0.3〜4重量部であり、さらに好ましくは0.3〜2.5重量部であり、最も好ましくは0.5〜2.5重量部である。
【0058】
エチレン性不飽和シラン化合物(B)の配合量が上記範囲にあると、エチレン系樹脂組成物の接着性を十分に高めながら、エチレン系樹脂組成物の透明性、柔軟性等に悪影響を与えないため、好ましい。
【0059】
エチレン・α−オレフィン共重合体(C)
エチレン・α−オレフィン共重合体(C)の変性体の原料となるエチレン・α−オレフィン共重合体(C)は、エチレンと、炭素原子数3〜20のα−オレフィンとを1種類単独で、または2種類以上を組み合わせて共重合させることにより得ることができる。
【0060】
炭素数3〜20のα−オレフィンとしては、直鎖状または分岐状のα−オレフィン、例えばプロピレン、1−ブテン、2−ブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセンなどを挙げることができる。本発明において使用できるα−オレフィンには、極性基含有オレフィンも含まれる。極性基含有オレフィンとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、無水マレイン酸などのα,β−不飽和カルボン酸類、およびこれらのナトリウム塩等の金属塩類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチルなどのα,β−不飽和カルボン酸エステル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル類;アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジルなどの不飽和グリシジル類などを挙げることができる。また、ビニルシクロヘキサン、ジエンまたはポリエン;芳香族ビニル化合物、例えばスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、o,p−ジメチルスチレン、メトキシスチレン、ビニル安息香酸、ビニル安息香酸メチル、ビニルベンジルアセテート、ヒドロキシスチレン、p−クロロスチレン、ジビニルベンゼンなどのスチレン類;および3−フェニルプロピレン、4−フェニルプロピレン、α−メチルスチレンなどを反応系に共存させて重合させることも可能である。
【0061】
炭素数が3〜20のα−オレフィンは、好ましくは炭素原子数4以上のα−オレフィンであり、特に好ましくは炭素原子数4〜8のα−オレフィンである。このようなα−オレフィンの例には、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ブテン、3,3−ジメチル−1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、および1−オクテン等が含まれ、これらのうち1種類もしくは2種類以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、入手の容易さおよび得られる共重合体の物性の面から、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、および1−オクテンが好ましい。また本発明においては、炭素原子数が3〜20の環状オレフィン類、例えばシクロペンテン、シクロヘプテン、ノルボルネン、5−メチル−2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−ビニル−2−ノルボルネンなどを併用してもよい。
【0062】
しかしながら、エチレン系重合体(A)の共重合されているコモノマー種と、エチレン・α−オレフィン共重合体(C)の共重合されているコモノマー種は同一種でないほうがよい。これは、エチレン系重合体(A)の共重合されているコモノマー種と、エチレン・α−オレフィン共重合体(C)の共重合されているコモノマー種とが同一種である場合、エチレン系重合体(A)とエチレン・α−オレフィン共重合体(C)の相溶性が向上し、エチレン系樹脂組成物の耐熱性を低下させる傾向にあるためである。ただし、エチレン系樹脂組成物の耐熱性を満足できる範囲であれば、エチレン系重合体(A)の共重合されているコモノマー種と、エチレン・α−オレフィン共重合体(C)の共重合されているコモノマー種は同一種であってもよい。さらに、エチレン・α−オレフィン共重合体(C)の重合形態としては、ランダム共重合体であっても、ブロック共重合体であってもよい。
【0063】
エチレン・α−オレフィン共重合体(C)に含まれるα−オレフィンから導かれる構成単位は、9〜22mol%である。好ましくは10〜22mol%であり、さらに好ましくは11〜17mol%である。エチレン・α−オレフィン共重合体(C)に含まれるα−オレフィンから導かれる構成単位が9mol%未満であると、タック性を向上することができず、接着性が向上しない傾向にある。エチレン・α−オレフィン共重合体(C)に含まれるα−オレフィンから導かれる構成単位が22mol%超過であると、エチレン系重合体(A)との相溶性が低下し、シート表面へのブリードアウトが起こり、シートを繰り出しにくくなる傾向にある。また、シート成形時にチルロールへのベタツキが発生し、シートの厚み制御やシート成形が困難になる傾向もある。
【0064】
エチレン・α−オレフィン共重合体(C)の密度は、850kg/m以上895kg/m未満である。好ましくは850〜890kg/m、さらに好ましくは850〜880kg/mである。エチレン・α−オレフィン共重合体(C)の密度が895kg/m超過であると、タック性を向上することができず、接着性の向上がみられず、柔軟性も付与されない。エチレン・α−オレフィン共重合体(C)の密度が850kg/m未満であると、エチレン系重合体(A)との相溶性が低下し、シート表面へのブリードアウトが起こり、シートの巻き取り体からシートを巻き出しにくくなる傾向にある。また、シート成形時にチルロールおよびエンボスロールへのベタツキが発生し、シートの厚み制御やシート成形が困難になる傾向もある。すなわち、エチレン・α−オレフィン共重合体(C)の密度が850kg/m以上895kg/m未満であると、エチレン系重合体(A)とあまり相溶しないため、エチレン系重合体(A)の結晶性を低下させることなく、エチレン系樹脂組成物の耐熱性を保持できる。また、シートの巻き取り体からシートを巻き出し難くなったり、シート成形時にチルロールおよびエンボスロールへのベタツキが発生したりせず、シートの厚み制御やシート成形が可能である。
【0065】
エチレン・α−オレフィン共重合体(C)のDSCに基づく融解ピーク温度は、85℃以下あるいは実質的に観測されない範囲である。好ましくは80℃以下あるいは実質的に観測されない範囲であり、さらに好ましくは75℃以下あるいは実質的に観測されない範囲である。エチレン・α−オレフィン共重合体(C)の融解ピーク温度が85℃超過であると、タック性を向上することができず、接着性が向上しない傾向にある。
【0066】
エチレン・α−オレフィン共重合体(C)のJIS K−6721に準拠して190℃、2.16kg荷重にて測定されるメルトフローレ−ト(MFR2)は、0.1〜100g/10分の範囲である。好ましくは0.1〜80g/10分であり、より好ましくは0.5〜80g/10分であり、さらに好ましくは1.0〜50g/10分である。
【0067】
エチレン・α−オレフィン共重合体(C)のMFR2が0.1g/10分未満であると、エチレン・α−オレフィン共重合体(C)を含むエチレン系樹脂組成物の流動性が低下し、シート押出成形時の生産性が低下する。また、樹脂組成物のスコーチ性(「スコーチ」とは、加工中において樹脂組成物が早期に架橋することを意味する)が高くなり、ゲル化を起こしやすくなる。このため、押出機のトルクが上昇し、シート成形が困難となる場合がある。また、シートが得られたとしても、押出機内で発生したゲル物によって、シートの表面に凹凸が発生し、外観が悪くなる場合がある。また、電圧をかけるとシート内部のゲル物周辺にクラックが生じ、絶縁破壊抵抗が低下する。さらに、ゲル物界面での透湿が起こりやすくなり、透湿性が低下する。また、シート表面に凹凸が発生するため、太陽電池モジュールのラミネート加工時にガラス、薄膜電極、バックシートとの密着性が悪化し、接着が不十分となるため、接着性も低下する。一方、エチレン・α−オレフィン共重合体(C)のMFR2が100g/10分超過であると、分子量が低いためチルロール等のロール面への付着が起こり、剥離を要するため均一な厚みのシート成形が困難となる。さらに、樹脂組成物にコシがないため、0.3mm以上の厚いシートを成形することが困難となる傾向にある。
【0068】
さらに、エチレン・α−オレフィン共重合体(C)のJIS K−6721に準拠して190℃、10kg荷重にて測定したメルトフローレ−ト(MFR10)とMFR2の比であるMFR10/MFR2が、5.0〜8.0の範囲にある。MFR10/MFR2は、好ましくは5.5〜8.0であり、さらに好ましくは5.5〜7.5である。MFR10/MFR2が5.0未満であると、エチレン・α−オレフィン共重合体(C)の製造が困難である。MFR10/MFR2が8.0超過であると、低温特性が低下する傾向にある。
【0069】
エチレン・α−オレフィン共重合体(C)の、ゲル浸透クロマトグラフ(GPC)で測定される重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比である分子量分布Mw/Mnが、1.2〜3.5の範囲である。Mw/Mnは、好ましくは1.5〜3.5であり、さらに好ましくは1.7〜3.2である。エチレン・α−オレフィン共重合体(C)のMw/Mnが1.2未満のものを製造するためには、リビング重合的にエチレン・α−オレフィン共重合体を重合しなければならない。このため、触媒活性が得られない、あるいは従来公知の重合方法で得られたエチレン・α−オレフィン共重合体の低分子量体、高分子量成分の分離が必要となり、製造コストが高価になる。また、成形できる温度幅も狭く、押出機での吐出量も不均一になるため、均一な厚みのシートを得にくい。エチレン・α−オレフィン共重合体(C)のMw/Mnが3.5超過であると、低分子量成分を有するため、シートにベタツキが発生し、シートがブロッキングしてシートを繰り出しにくくなる。また、一般に、分子量分布Mw/Mnが大きくなると、組成分布も広くなることが知られており、シートにベタツキが発生する。このため、シートがブロッキングし、シートを繰り出しにくくなる。さらに、低分子量成分が、シート表面にブリードするため、接着が阻害され、接着性が低下する。
【0070】
エチレン・α−オレフィン共重合体(C)の配合量は、重量比で、エチレン系重合体(A)/エチレン・α−オレフィン共重合体(C)=100/0〜10/90である。好ましくはエチレン系重合体(A)/エチレン・α−オレフィン共重合体=100/0〜20/80であり、より好ましくはエチレン系重合体(A)/エチレン・α−オレフィン共重合体=100/0〜40/60であり、より好ましくはエチレン系重合体(A)/エチレン・α−オレフィン共重合体=100/0〜60/40である。
【0071】
エチレン・α−オレフィン共重合体(C)の重量比が90超過であると、封止材の耐熱性が低下する。このため、太陽電池モジュールを傾けた状態で太陽光により発電した場合、ガラスや電極が徐々に滑ってしまい、ガラスが滑り落ちる傾向がある。また、シート成形時のチルロールおよびエンボスロールへのベタツキが発生し、シートの厚み制御やシート成形が困難になる傾向もある。さらに、シートのブロッキングが発生し、シートの巻き取り体からシートを巻き出しにくくなる。エチレン・α−オレフィン共重合体(C)を上記範囲でブレンドすることにより、エチレン系樹脂組成物のタック性が向上し、各被着体、特にポリエステル樹脂、鋼板、プラスチック板およびFRP板等の太陽電池モジュール用裏面保護部材との接着性を向上する傾向にある。
【0072】
エチレン・α−オレフィン共重合体(C)の製造方法
エチレン・α−オレフィン共重合体(C)の製造方法は、特に限定されず、チタン化合物、バナジウム化合物またはメタロセン化合物など種々の触媒を用いて製造することができる。中でも、前記分子量分布Mw/Mnおよび組成分布を満たしたエチレン・α−オレフィン共重合体を得ることが容易なメタロセン化合物を用いることが好ましい。メタロセン化合物は、例えば、特開2006−077261号公報、特開2008−231265号公報、および特開2005−314680号公報等に記載のメタロセン化合物を用いることができる。また、a)〜e)の要件を満たすエチレン系重合体であれば、前記特許文献に記載のメタロセン化合物とは異なる構造のメタロセン化合物を用いてもよい。メタロセン化合物は、二種以上ブレンドして用いしてもよい。さらに、エチレン・α−オレフィン共重合体(C)の好ましい製造方法の態様は、例えば、
(I)従来公知のメタロセン化合物と、
(II)(II−1)有機アルミニウムオキシ化合物、(II−2)前記メタロセン化合物(I)と反応してイオン対を形成する化合物、および(II−3)有機アルミニウム化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種以上の化合物(助触媒と呼ぶ場合がある)と、
からなるオレフィン重合用触媒の存在下に、エチレンと、1種類または2種類以上の炭素数が3〜20のα−オレフィンとを共重合することが挙げられる。(II−1)有機アルミニウムオキシ化合物、(II−2)前記メタロセン化合物(I)と反応してイオン対を形成する化合物、および(II−3)有機アルミニウム化合物は、前記エチレン系重合体(A)の製造方法の箇所に記載したものと同様のものを用いることができる。さらに、上記メタロセン化合物および助触媒成分は、例えば特開2005−314680号公報等に記載の微粒子状無機酸化物担体に担持して用いてもよい。
【0073】
重合
本発明のエチレン・α−オレフィン共重合体(C)は、従来公知の気相重合法あるいは、スラリー重合法、溶液重合法などの液相重合法のいずれでによっても得ることができる。エチレン・α−オレフィン共重合体(C)は、好ましくは溶液重合法などの液相重合法により得られる。
【0074】
上記のようなメタロセン化合物を用いて、エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとの共重合を行い、エチレン・α−オレフィン共重合体(C)を製造する場合、メタロセン化合物(I)は、反応容積1リットル当り、10−9〜10−1モル、好ましくは10−8〜10−2モルになるような量で用いられる。
【0075】
化合物(II−1)は、化合物(II−1)と、メタロセン化合物(I)中の全遷移金属原子(M)とのモル比[(II−1)/M]が、1〜10000、好ましくは10〜5000となるような量で用いられる。化合物(II−2)は、メタロセン化合物(I)中の全遷移金属(M)とのモル比[(II−2)/M]が、0.5〜50、好ましくは1〜20となるような量で用いられる。化合物(II−3)は、重合容積1リットル当り、0〜5ミリモル、好ましくは0〜2ミリモルとなるような量で用いられる。
【0076】
溶液重合では、上記のようなメタロセン化合物の存在下で、エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとの共重合を行うことによって、コモノマー含量が高く、組成分布が狭く、分子量分布が狭いエチレン・α−オレフィン共重合体(C)を効率よく製造できる。ここで、エチレンと、炭素数3〜20のα−オレフィンとの仕込みモル比は、エチレン:α−オレフィン=10:90〜99.9:0.1であり、好ましくはエチレン:α−オレフィン=30:70〜99.9:0.1であり、さらに好ましくはエチレン:α−オレフィン=50:50〜99.9:0.1である。
【0077】
炭素数3〜20のα−オレフィンとしては、直鎖状または分岐状のα−オレフィン、例えばプロピレン、1−ブテン、2−ブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセンなどを挙げることができる。本発明における溶液重合で用いられるα−オレフィンには、極性基含有オレフィンも含まれる。
【0078】
極性基含有オレフィンの例には、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、無水マレイン酸などのα,β−不飽和カルボン酸類、およびこれらのナトリウム塩等の金属塩類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチルなどのα,β−不飽和カルボン酸エステル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル類;アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジルなどの不飽和グリシジル類などを挙げることができる。また、ビニルシクロヘキサン、ジエンまたはポリエン;芳香族ビニル化合物、例えばスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、o,p−ジメチルスチレン、メトキシスチレン、ビニル安息香酸、ビニル安息香酸メチル、ビニルベンジルアセテート、ヒドロキシスチレン、p−クロロスチレン、ジビニルベンゼンなどのスチレン類;および3−フェニルプロピレン、4−フェニルプロピレン、α−メチルスチレンなどを反応系に共存させて高温溶液重合を進めることも可能である。
【0079】
これらのα−オレフィンの中では、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテンおよび1−オクテンが好ましい。また、本発明における溶液重合方法では、炭素原子数が3〜20の環状オレフィン類、たとえばシクロペンテン、シクロヘプテン、ノルボルネン、5−メチル−2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、および5−ビニル−2−ノルボルネンなどを併用してもよい。
【0080】
本発明に関わる「溶液重合」とは、後述の不活性炭化水素溶媒中にポリマーが溶解した状態で重合を行う方法の総称である。本発明に関わる溶液重合における重合温度は、0〜200℃であり、好ましくは20〜190℃であり、さらに好ましくは40〜180℃である。
【0081】
本発明に関わる溶液重合においては、重合温度が0℃に満たない場合、その重合活性は極端に低下するので、生産性の点で実用的でなく、さらにはエチレン・α−オレフィン共重合体(C)の分子末端の二重結合量が低下する。また、0℃以上の重合温度領域では温度が高くなるに従い、重合時の溶液粘度が低下し、重合熱の除熱も容易となる。さらには、エチレン・α−オレフィン共重合体の分子末端の二重結合量が増加する。しかし、重合温度が200℃を超えると、重合活性が極端に低下するので、生産性の点で実用的でない。
【0082】
重合圧力は、常圧〜10MPaゲージ圧であり、好ましくは常圧〜8MPaゲージ圧の条件下である。共重合は、回分式、半連続式、連続式のいずれの方法においても行うことができる。反応時間(共重合反応が連続法で実施される場合には平均滞留時間)は、触媒濃度および重合温度などの条件によって異なり適宜選択することができるが、1分間〜3時間であり、好ましくは10分間〜2.5時間である。さらに重合を、反応条件の異なる2段階以上に分けて行うことも可能である。
【0083】
得られるエチレン・α−オレフィン共重合体(C)の分子量は、本発明の範囲内において、重合系中の水素濃度や重合温度を変化させることによっても調節することができる。さらに、使用する化合物(II)の量により調節することもできる。水素を添加する場合、その量は生成するエチレン・α−オレフィン共重合体(C)1kgあたり0.001〜5,000NL程度が適当である。また、得られるエチレン・α−オレフィン共重合体(C)の分子末端に存在するビニル基およびビニリデン基の数は、重合温度を高くすること、水素添加量を極力少なくすることで調整できる。
【0084】
後述の実施例のような配位重合でエチレン・α−オレフィン系重合体(C)を得る場合、エチレン・α−オレフィン系重合体(C)中の長鎖分岐構造は、エチレン・α−オレフィンの共重合の過程で、β−水素脱離反応により生成した末端ビニル基を有する分子鎖(マクロモノマー)が、共重合鎖に再挿入することにより生成すると考えられている。このため、溶液中のマクロモノマー濃度とエチレン濃度との比([マクロモノマー]/[エチレン])を増減させることで、エチレン・α−オレフィン共重合体中のMFR10/MFR2を制御することができる。一般的に、[マクロモノマー]/[エチレン]が高いと、エチレン・α−オレフィン共重合体中の長鎖分岐量は増加し、[マクロモノマー]/[エチレン]が低いと、エチレン・α−オレフィン共重合体中の長鎖分岐量は低下する。
【0085】
溶液中の[マクロモノマー]/[エチレン]を増減させる手法には具体的には、以下のような方法が挙げられる。
[1]重合温度
重合温度が低いほどβ−水素脱離反応は起こりにくくなる。そのため、重合温度を低くすれば、[マクロモノマー]/[エチレン]が小さくなり、エチレン・α−オレフィン共重合体中のMFR10/MFR2は低下する。
[2]ポリマー濃度
溶液中のポリマー濃度を低くすれば、相対的にマクロモノマー濃度も低くなるため、[マクロモノマー]/[エチレン]が小さくなり、エチレン・α−オレフィン共重合体中のMFR10/MFR2は低下する。
[3]エチレン転化率
エチレン転化率を低くすれば、溶液中のエチレン濃度が高くなるため、[マクロモノマー]/[エチレン]が小さくなり、エチレン・α−オレフィン共重合体中のMFR10/MFR2は低下する。
[4]溶媒種
重合溶媒を高沸点の溶媒にすると、溶液中のエチレン濃度が高くなるため、[マクロモノマー]/[エチレン]が小さくなり、エチレン・α−オレフィン共重合体中のMFR10/MFR2は低下する。
【0086】
他にも、β−水素脱離反応を制御する以外にAl原子への連鎖移動反応等を制御することによって[マクロモノマー]/[エチレン])を増減させ、エチレン・α−オレフィン共重合体中のMFR10/MFR2を変化させることもできる。
【0087】
本発明に関わる溶液重合において用いられる溶媒は、通常、不活性炭化水素溶媒であり、好ましくは常圧下における沸点が50℃〜200℃の飽和炭化水素である。具体的には、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、灯油などの脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタンなどの脂環族炭化水素が挙げられる。なおベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類やエチレンクロリド、クロルベンゼン、ジクロロメタンなどのハロゲン化炭化水素も、本発明の高温溶液重合に関わる「不活性炭化水素溶媒」に含まれ、その使用を制限するものではない。前記したように、本発明に係る溶液重合においては、従来繁用されてきた芳香族炭化水素溶解タイプの有機アルミニウムオキシ化合物のみならず、脂肪族炭化水素や脂環族炭化水素に溶解するMMAO,TMAO−341(東ソー・ファインケム(株)製)のような修飾メチルアルミノキサンを使用できる。この結果、溶液重合用の溶媒として脂肪族炭化水素や脂環族炭化水素を用いれば、重合系内や生成するエチレン・α−オレフィン共重合体中に芳香族炭化水素が混入する可能性をほぼ完全に排除することが可能となった。すなわち、本発明に関わる溶液重合方法は、環境負荷を軽減化でき人体健康への影響を最小化できるという特徴も有する。
【0088】
物性値のばらつきを抑制するため、重合反応により得られたエチレン・α−オレフィン共重合体(C)および所望により添加される他の成分は、任意の方法で溶融、混練および造粒等されることが好ましい。
【0089】
エチレン系重合体(A)とエチレン・α−オレフィン共重合体(C)とをブレンド後の樹脂成分のトータル密度は、855〜940kg/mであることが好ましく、870〜940kg/mであることがより好ましく、870〜930kg/mであることがさらに好ましく、880〜920kg/mであることが特に好ましい。エチレン系重合体(A)とエチレン・α−オレフィン共重合体(C)のブレンド後の樹脂成分のトータル密度が855kg/m未満であると、シート成形時のチルロールおよびエンボスロールへのベタツキが発生し、シートの厚み制御やシート成形が困難になる傾向にある。さらに、シートのブロッキングが発生し、シートの巻き取り体からシートを巻き出しにくい傾向にある。一方、エチレン系重合体(A)とエチレン・α−オレフィン共重合体(C)のブレンド後の樹脂成分のトータル密度が940kg/m超過であると、封止材の柔軟性が低下し、モジュールをラミネートする際に結晶セルの割れや銀電極の剥離が生じやすくなる。また、ラミネート成形時の温度を高くする必要がある。
【0090】
有機過酸化物
本発明で用いられる有機過酸化物は、エチレン系重合体(A)および必要に応じて用いられるエチレン・α−オレフィン共重合体(C)を、エチレン性不飽和シラン化合物(B)でグラフト変性する際のラジカル開始剤として用いられる。
【0091】
エチレン系重合体(A)またはエチレン・α−オレフィン共重合体(C)に、エチレン性不飽和シラン化合物(B)をグラフト変性することにより、エチレン系重合体(A)またはエチレン・α−オレフィン共重合体(C)のシラン変性体を得ることができる。このシラン変性体は、強固な接着力を発現することができる。
【0092】
本発明で好ましく用いられる有機過酸化物は、エチレン系重合体(A)またはエチレン・α−オレフィン共重合体(C)にエチレン性不飽和シラン化合物(B)をグラフト変性することが可能なものであればよく、その種類には特に制限はない。有機過酸化物の好ましい具体例としては、ジラウロイルパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジベンゾイルパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーフタレート、クメンヒドロパーオキシド、t−ブチルヒドロパーオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキセン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシマレイン酸、1,1−ジ(t−アミルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ジ(t−アミルパーオキシ)シクロヘキサン、t−アミルパーオキシイソノナノエート、t−アミルパーオキシノルマルオクトエート、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルカーボネート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−アミル−パーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシイソノナノエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、2,2−ジ(ブチルパ−オキシ)ブタン、n−ブチル−4,4−ジ(t−ブチルパ−オキシ)プチレート、メチルエチルケトンパ−オキサイド、エチル3,3−ジ(t−ブチルパ−オキシ)ブチレート、ジクミルパ−オキサイド、t−ブチルクミルパ−オキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジ−t−ブチルパ−オキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパ−オキサイド、アセチルアセトンパ−オキサイド等が挙げられる。これらのうち好ましくは、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキセン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルカーボネート、t−ブチルパーオキシベンゾエート等が挙げられる。
【0093】
有機過酸化物の配合量は、エチレン系重合体(A)100重量部もしくはエチレン系重合体(A)とエチレン・α−オレフィン共重合体(C)の合計100重量部に対して0〜1.0重量部であり、好ましくは0.01〜0.5重量部である。有機過酸化物の配合量が上記範囲にあると、得られるエチレン系重合体(A)のシラン変性体のゲル分率を抑制できる。ゲル分率が高くなると、得られるシート等の表面に凹凸が発生し、外観が悪くなる。また、電圧をかけるとシート等の内部のゲル周辺にクラックが生じ、絶縁破壊抵抗が低下する。さらに、ゲル分率が高くなると、ゲル界面での透湿が起こりやすくなり、透湿性が低下する。
【0094】
エチレン系重合体(A)の変性体およびエチレン・α−オレフィン共重合体(C)の変性体の製造方法
エチレン系重合体(A)をエチレン性不飽和シラン化合物(B)で変性して得られる変性体、およびエチレン・α−オレフィン共重合体(C)をエチレン性不飽和シラン化合物(B)で変性して得られる変性体の製造方法としては、押出溶融変性法、溶液変性法等の従来公知の変性手法を用いることができる。なかでも、製造コストが安価である、押出溶融変性法が好ましい。
【0095】
本発明における押出溶融変性法としては、
(i)エチレン系重合体(A)のパウダーと、エチレン性不飽和シラン化合物(B)と、有機過酸化物の存在下で押出溶融変性する方法、
(ii)エチレン系重合体(A)のパウダーと、エチレン系重合体(A)のペレットと、エチレン性不飽和シラン化合物(B)と、有機過酸化物の存在下で押出溶融変性する方法、
(iii)予めエチレン性不飽和シラン化合物(B)と有機過酸化物とを含浸したエチレン系重合体(A)のパウダーと、エチレン系重合体(A)のペレットとを混合して押出溶融変性する方法、等が挙げられる。上記(i)〜(iii)の押出溶融変性法では、エチレン系重合体(A)に、必要に応じてエチレン・α−オレフィン共重合体(C)をさらに混合してもよい。
【0096】
上記(ii)および(iii)において、エチレン系重合体(A)のパウダーとエチレン系重合体(A)のペレットの重量比は、パウダー/ペレット比が100/0〜1/99であり、好ましくは100/0〜5/95であり、より好ましくは100/0〜20/80である。
【0097】
本発明において、エチレン系重合体(A)のパウダーとは、光学顕微鏡観察やレーザー回折散乱法等で測定される粒子の大きさが20μm〜5mm程度であるもの、好ましくは0.05〜4mmであるものをいう。粒子径が20μmm未満であると、押出機ホッパーでの粒子間のブロッキングを発生し、押出機スクリューへの食い込み不良を起こし、シートの厚薄ムラが起こりやすい傾向にある。粒子径が5mm超過の場合、重合粒子の履歴がシートに残存し、シート表面での凹凸や厚薄ムラが起こりやすい傾向にある。
【0098】
本発明において、エチレン系重合体(A)のペレットは、公知の単軸押出機、および二軸押出機等を用いて調整される。このようなペレットには、丸型ペレット、角型ペレット等が含まれる。ペレットの大きさは、押出機ホッパー口の大きさにも依存するが、通常の押出機であれば、ペレットの最長径が5cm以下であることが好ましい。ペレットの最長径が5cmを超えると、ペレット形状による履歴がシートに残存し、シート表面での凹凸や厚薄ムラが起こりやすい傾向にある。
【0099】
押出溶融変性をエチレン系重合体(A)のパウダーを混在した状態で行うと、各種添加剤をブレンドする際に有機過酸化物、エチレン性不飽和シラン化合物(B)等の液状添加剤がパウダーに容易に含浸する。このため、エチレン系樹脂組成物、当該エチレン系樹脂組成物を含む太陽電池封止材および太陽電池用封止シート中に濃度ムラが発生しないため、好ましい。また、押出しの際に各種添加剤が均一に分散する。このため、エチレン系樹脂組成物、当該エチレン系樹脂組成物を含む太陽電池封止材および太陽電池用封止シート中のゲルの発生が防止され、接着性の向上、絶縁破壊電圧の向上が図れる。なお、エチレン性不飽和シラン化合物(B)をエチレン系重合体(A)のパウダーに含浸させることで、エチレン系重合体(A)のペレットを同時に使用した場合でも、パウダーとペレット間の相溶性を高くすることができ、エチレン系重合体(A)のパウダー単独で用いた場合と同等の効果を得ることができる。
【0100】
押出溶融変性におけるエチレン系重合体(A)のパウダーとペレットの合計100重量部に対する、有機過酸化物およびエチレン性不飽和シラン化合物(B)の配合量は、有機過酸化物が0〜1.0重量部、エチレン性不飽和シラン化合物(B)が0.1〜5重量部であり、好ましくは有機過酸化物が0.01〜0.5重量部、エチレン性不飽和シラン化合物(B)が0.1〜4重量部である。なお、エチレン・α−オレフィン共重合体(C)の変性体をさらに含むエチレン系樹脂組成物を得る場合には、上記エチレン系重合体(A)の重量部は、エチレン系重合体(A)とエチレン・α−オレフィン共重合体(C)との合計の重量部、と読み替えるものとする。
【0101】
押出溶融変性法において、エチレン系重合体(A)および必要に応じてエチレン・α−オレフィン共重合体(C)と、エチレン性不飽和シラン化合物(B)とを反応させて変性体を得る押出は、従来公知の単軸押出機、二軸押出機等を用いて行われる。このときの押出条件は、通常、エチレン系重合体(A)の融点以上、具体的にはエチレン系重合体(A)を変性する場合は、例えば100〜300℃、好ましくは150〜260℃で、0.5〜10分間行われることが望ましい。
【0102】
また、エチレン系重合体(A)、および必要に応じてエチレン・α−オレフィン共重合体(C)にラジカル重合性のエチレン性不飽和シラン化合物(B)をグラフト変性させる際には、還元性物質を添加してもよい。還元性物質を用いると、ラジカル重合性のエチレン性不飽和シラン化合物(B)のグラフト量を向上させることができる。
【0103】
紫外線吸収剤(D)、光安定化剤(E)、耐熱安定剤(F)
本発明のエチレン系樹脂組成物は、紫外線吸収剤(D)、光安定化剤(E)、耐熱安定剤(F)からなる群より選ばれる少なくとも1種の添加剤を含有してもよい。上記添加剤の配合量は、エチレン系重合体(A)、および必要に応じてエチレン・α−オレフィン共重合体(C)の合計100重量部に対して、0.005〜5重量部であることが好ましい。さらに、上記3種から選ばれる少なくとも2種の添加剤を含有することが好ましく、上記3種全てが含有されていることが最も好ましい。上記添加剤の配合量が上記範囲にあると、耐候安定性および耐熱安定性を向上する効果を十分に確保し、かつ、エチレン系樹脂組成物の透明性やガラスとの接着性の低下を防ぐことができるので好ましい。
【0104】
紫外線吸収剤(D)として具体的には、2−ヒドロキシ−4メトキシベンゾフェノン、2−2−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−4−カルボキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−N−オクトキシベンゾフェノンなどのベンゾフェノン系、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアリゾール系、フェニルサルチレート、p−オクチルフェニルサルチレート等のサリチル酸エステル系のものが用いられる。
【0105】
光安定剤(E)として具体的には、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]等のヒンダードアミン系、ヒンダードピペリジン系化合物などのものが好ましく使用される。
【0106】
耐熱安定剤(F)として具体的には、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、ビス[2,4−ビス(1,1−ジメチルエチル)−6−メチルフェニル]エチルエステル亜リン酸、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)[1,1−ビフェニル]−4,4’−ジイルビスホスフォナイト、および、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト等のホスファイト系耐熱安定剤、3−ヒドロキシ−5,7−ジ−tert−ブチル−フラン−2−オンとo−キシレンとの反応生成物等のラクトン系耐熱安定剤、3,3’,3”,5,5’,5”−ヘキサ−tert−ブチル−a,a’,a”−(メチレン−2,4,6−トリイル)トリ−p−クレゾール、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ベンジルベンゼン、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、チオジエチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]等のヒンダードフェノール系耐熱安定剤、硫黄系耐熱安定剤、アミン系耐熱安定剤などを挙げることができる。また、これらを1種または2種以上を用いることもできる。中でも、ホスファイト系耐熱安定剤およびヒンダードフェノール系耐熱安定剤が好ましい。
【0107】
その他成分・添加剤
本発明のエチレン系樹脂組成物は、本発明の目的を損なわない範囲で、上記の成分以外の他の樹脂成分や添加剤を適宜含んでもよい。
【0108】
他の樹脂成分の例には、エチレン系重合体(A)以外の各種ポリオレフィン、例えば密度が900kg/mより小さいエチレン・α−オレフィン共重合体やスチレン系やエチレン系のブロック共重合体、プロピレン系重合体などが挙げられる。これらは、上記エチレン系重合体(A)の合計100重量部、もしくはエチレン系重合体(A)とエチレン・α−オレフィン共重合体(C)との合計100重量部に対して、0.0001重量部〜50重量部であり、好ましくは0.001重量部〜40重量部含有されていてもよい。
【0109】
添加剤の例には、ポリオレフィン以外の各種樹脂、各種ゴム、可塑剤、充填剤、顔料、染料、帯電防止剤、抗菌剤、防黴剤、難燃剤、架橋助剤、および分散剤等から選ばれる1種または2種以上の添加剤が含まれるが、これらに限定されない。
【0110】
架橋助剤としては、オレフィン系樹脂で一般に使用される従来公知のものが使用できる。このような架橋助剤は、分子内に二重結合を2個以上有する化合物であり、具体的には、t−ブチルアクリレート、ラウリルアクリレート、セチルアクリレート、ステアリルアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、エチルカルビトールアクリレート、メトキシトリプロピレングリコールアクリレート等のモノアクリレート、t−ブチルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、セチルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、メトキシエチレングリコールメタクリレート、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート等のモノメタクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート等のジアクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、1,9−ノナンジオールジメタクリレートネオペンチルグリコールジメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート等のジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート等のトリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート等のトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート等のテトラアクリレート、ジビニルベンゼン、ジ−i−プロペニルベンゼン等のジビニル芳香族化合物、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート等のシアヌレート、ジアリルフタレート等のトリアリル化合物やジアリル化合物、p−キノンジオキシム、p−p’−ジベンゾイルキノンジオキシム等のオキシム、フェニルマレイミド等のマレイミドが挙げられる。これらの架橋助剤のなかで、より好ましいのはジアクリレート、ジメタクリレート、およびジビニル芳香族化合物である。
【0111】
架橋助剤の配合量は、エチレン系重合体(A)の合計100重量部、もしくはエチレン系重合体(A)とエチレン・α−オレフィン共重合体(C)との合計100重量部に対して、0〜5重量部であることが好ましい。架橋助剤の配合量がこのような範囲であると、エチレン系樹脂組成物が適度な架橋構造を有することができ、耐熱性、機械物性、接着性を向上できる。
【0112】
本発明のエチレン系樹脂組成物は、エチレン系重合体(A)をエチレン性不飽和シラン化合物(B)で変性した変性体と、必要に応じてエチレン・α−オレフィン共重合体(C)をエチレン性不飽和シラン化合物(B)で変性した変性体とを含む。このエチレン系樹脂組成物中の、エチレン性不飽和シラン化合物(B)に由来するグラフトシラン量の合計が50〜8000ppmであり、好ましくは100〜7000ppmであり、より好ましくは640〜2960ppmであり、さらに好ましくは800〜2960ppmであり、最も好ましくは800〜2800ppmである。グラフトシラン量が50ppm未満であると、ガラス、バックシート、薄膜電極への接着強度;特にバックシートとの接着強度が低下する。グラフトシラン量が8000ppm超過であると、グラフトシラン量を上げるためにエチレン性不飽和シラン化合物(B)と有機過酸化物とを多量に使用するため、ゲルの発生が起こり、前述の被着体への接着性が低下したり、太陽電池封止材シートの外観が悪化したりする。
【0113】
エチレン系重合体(A)とエチレン・α−オレフィン共重合体(C)の分子鎖にグラフト変性されたグラフトシリカ量は、以下の手順で測定できる。
1)本発明のエチレン系樹脂組成物からなるシートを、アセトンを溶媒としてソックスレー抽出し、シートサンプルを準備する。2)得られたシートサンプルを湿式分解した後、純水にて定容し、ICP発光分析装置(島津製作所社製、ICPS−8100)にてケイ素(Si)を定量することにより測定できる。
【0114】
また、エチレン系重合体(A)やエチレン・α−オレフィン共重合体(C)を、エチレン性不飽和シラン化合物(B)でグラフト変性した変性体を含むエチレン系樹脂組成物を、6ヶ月程度長期保管した後に太陽電池封止材として使用すると、特にバックシートへの接着性が低下することがある。これは、6ヶ月程度長期保管する間に、空気中の水分がエチレン系樹脂組成物中に浸透して、エチレン系樹脂組成物中の(エチレン系重合体(A)などの)分子鎖にグラフト変性されたエチレン性不飽和シラン化合物(B)に由来するアルコキシシリル基を加水分解してヒドロキシシリル基を生成し;生成したヒドロキシシリル基が、分子鎖間または分子鎖内で隣接するヒドロキシシリル基またはアルコキシシリル基と縮合反応するためと考えられる。たとえば、PET製のバックシートであれば、PETシートの表面の水酸基と反応するべき(エチレン系重合体(A)などをグラフト変性している)エチレン性不飽和シラン化合物(B)のアルコキシシリル基の濃度が低下し、PET製バックシートへの接着強度が低下すると考えられる。また、エチレン系樹脂組成物を長期保管する間に上記縮合反応が起こらなくても、太陽電池モジュールのラミネート加工時の予熱の際に、各被着体の官能基と(分子鎖にグラフト変性された)アルコキシシリル基とを反応させる前に、前記加水分解で生成したヒドロキシシリル基が、分子鎖間または分子鎖内で隣接するヒドロキシシリル基またはアルコキシシリル基と縮合反応する。このため、PET製のバックシートであれば、PETの水酸基と反応するべきアルコキシSi基の濃度が低下し、PET製バックシートへの接着強度が低下すると考えられる。
【0115】
本発明のエチレン系樹脂組成物に残存するエチレン性不飽和シラン化合物(B)に由来する遊離シランの含有率が、エチレン系樹脂組成物に含まれる全シラン量に対して5〜40重量%であることが好ましく、5〜35重量%であることがより好ましく、5〜30重量%であることがさらに好ましい。エチレン系樹脂組成物中に残存するエチレン性不飽和シラン化合物(B)に由来する遊離シラン含有率が5重量%未満であると、6ヶ月程度長期保管した後に太陽電池封止材として使用した場合、特にバックシートへの接着性が低下する。これは、6ヶ月程度長期保管中に空気中の水分がエチレン系樹脂組成物に浸透し、エチレン系重合体(A)やエチレン・α−オレフィン共重合体(C)の分子鎖をグラフト変性しているエチレン性不飽和シラン化合物(B)に由来するアルコキシシリル基を加水分解し;生成したヒドロキシSi基が、分子鎖間または分子鎖内で隣接するアルコキシシリル基やヒドロキシシリル基と縮合反応を起こすためと考えられる。これに対して、エチレン系樹脂組成物が、(グラフト変性していない)遊離されたエチレン性不飽和シラン化合物(B)を少量含んでいれば、浸透してきた水分が、遊離したエチレン性不飽和シラン化合物(B)のアルコキシシリル基を加水分解する。このため、浸透してきた水分により、エチレン系重合体(A)やエチレン・α−オレフィン共重合体(C)の分子鎖にグラフト変性されたエチレン性不飽和シラン化合物(B)に由来するアルコキシシリル基が加水分解されるのを抑制できる。このため、PET製のバックシートであれば、PETの水酸基との反応すべきエチレン系樹脂組成物中のアルコキシSi基の濃度が低下せず、PET製バックシートへの接着強度が発現すると考えられる。
【0116】
一方、エチレン系樹脂組成物中に残存するエチレン性不飽和シラン化合物(B)に由来する遊離シラン含有率が40重量%超過であると、各被着体への接着性が低下する。すなわち、エチレン系重合体(A)等をグラフト変性しているエチレン性不飽和シラン化合物(B)よりも、モノマーとして残留しているエチレン性不飽和シラン化合物(B)のほうが、エチレン系樹脂組成物中での拡散速度が大きい。このため、ラミネート加工時において、遊離したエチレン性不飽和シラン化合物(B)のほうが、グラフト変性しているエチレン性不飽和シラン化合物(B)よりも速く拡散し、被着体との界面に移動して界面の極性基と反応しやすい。また、遊離したエチレン性不飽和シラン化合物(B)同士も縮合反応する。このため、エチレン系重合体(A)をグラフト変性しているエチレン性不飽和シラン化合物(B)の、被着体の極性基との反応が妨げられ、各被着体との接着強度が低下すると考えられる。
【0117】
エチレン系樹脂組成物において、(エチレン系重合体(A)等をグラフト変性せずに)残留している遊離シリカ量および遊離シリカ含有率は、以下の手順で測定できる。
1)本発明のエチレン系樹脂組成物からなるシートサンプルを準備する。2)得られたシートサンプルを湿式分解した後、純水にて定容し、ICP発光分析装置(島津製作所社製、ICPS−8100)にて全ケイ素(Si)を定量する。3)得られた全ケイ素量から、前述のグラフトシリカ量を差し引くことで「遊離ケイ素量」を求める。4)さらに、遊離ケイ素量の、全ケイ素量に対する百分率を「遊離シリカの含有率」とする。
【0118】
さらに、本発明のエチレン系樹脂組成物は、エチレン系重合体(A)をエチレン性不飽和シラン化合物(B)で変性した変性体と、必要に応じてエチレン・α−オレフィン共重合体(C)をエチレン性不飽和シラン化合物(B)で変性した変性体の、ゲル分率が30%以下である。ゲル分率が30%超過であると、前述のように、被着体への接着性が低下したり、太陽電池封止材シートの外観が悪化したりする。
【0119】
2.太陽電池封止材
本発明のエチレン系樹脂組成物は、ガラスおよび太陽電池裏面保護部材との接着性や、耐候性、耐熱性、体積固有抵抗、電気絶縁性、透湿性、電極腐食性、成形性、およびプロセス安定性に優れており、従来公知の太陽電池モジュールの太陽電池封止材として好適に用いられる。特に、密度が900〜920kg/mのエチレン系重合体(A)の変性体、および必要に応じてエチレン・α−オレフィン共重合体(C)の変性体を含むエチレン系樹脂組成物は、透明性や柔軟性にも優れ、結晶型太陽電池モジュールにも好適に用いることができる。
【0120】
本発明の太陽電池封止材の製造方法は、通常の方法であってよく、ニーダー、ロール、バンバリミキサー、および押出機等により、上記した各成分を溶融ブレンドする方法が好ましい。
【0121】
太陽電池用封止シート
本発明の好ましい実施形態の一つは、本発明のエチレン系樹脂組成物からなるシート(または層)を含む太陽電池封止材(太陽電池用封止シート)である。太陽電池用封止シートは、本発明のエチレン系樹脂組成物からなるシート(または層)を少なくとも1層有していれば、その他の層と複合化されていてもよい。
【0122】
本発明のエチレン系樹脂組成物からなるシート(層)の厚みは、0.01〜2mmであり、好ましくは0.05〜1mmであり、さらに好ましくは0.1〜1mmであり、さらに好ましくは0.15〜1mmであり、さらに好ましくは0.2〜1mmであり、さらに好ましくは0.2〜0.9mmであり、さらに好ましくは0.3〜0.9mmであり、最も好ましくは0.3〜0.8mmである。本発明のエチレン系樹脂組成物からなるシート(層)の厚みがこの範囲内であると、ラミネート工程における、ガラス、太陽電池セル、薄膜電極等の破損が抑制できる。また、低温での太陽電池モジュールのラミネート成形もできる。さらに、本発明のエチレン系樹脂組成物からなるシート(層)が、十分な光線透過率を有することにより、高い光発電量の太陽電池モジュールを得ることができる。
【0123】
本発明のエチレン系樹脂組成物からなるシート(層)の成形方法は、特に制限は無いが、公知の各種の成形方法(キャスト成形、押出シート成形、インフレーション成形、射出成形、圧縮成形、カレンダー成形等)を採用できる。例えば、押出機中で前述のエチレン系重合体(A)、および必要に応じてエチレン・α−オレフィン共重合体(C)をエチレン性不飽和シラン化合物(B)で押出溶融変性するとともに、紫外線吸収剤(D)、光安定剤(E)、耐熱安定剤(F)、必要に応じてその他添加剤とを溶融混練しながら、押出シート成形を行う。これにより、本発明のエチレン系樹脂組成物からなるシートを含む太陽電池封止材を得ることができる。
【0124】
2種類のエチレン系重合体(A)であるエチレン系重合体(A−1)とエチレン系重合体(A−2)を用いる場合には;
1)予めエチレン系重合体(A−1)をエチレン性不飽和シラン化合物(B)で押出溶融変性した変性体と、エチレン系重合体(A−2)と、各種添加剤(D,E,F,その他)とを溶融混練したもの;
2)予め各種添加剤(D,E,F,その他)とエチレン系重合体(A−2)とを溶融混練したものと、エチレン系重合体(A−1)をエチレン性不飽和シラン化合物(B)で押出溶融変性した変性体とを溶融混練したもの;
3)エチレン系重合体(A−1)をエチレン性不飽和シラン化合物(B)で押出溶融変性した変性体と、予め各種添加剤(D,E,F,その他)を溶融混練したものと、エチレン系重合体(A−2)とを溶融混練したもの;
4)エチレン系重合体(A−1)をエチレン性不飽和シラン化合物(B)で押出溶融変性する際に各種添加剤(D,E,F,その他)を溶融混練したものと、エチレン系重合体(A−2)とを溶融混練したもの;
を、それぞれ押出シート成形して、本発明のエチレン系樹脂組成物からなるシート(または層)を有する太陽電池封止材を得ることもできる。
【0125】
2種類のエチレン系重合体(A−1)とエチレン系重合体(A−2)とは、本発明におけるエチレン系重合体(A)のa)〜e)の各要件を満たしたものであれば、同一でも異なってもよい。
【0126】
また、本発明のエチレン系樹脂組成物からなるシート(または層)の表面には、エンボス加工が施されてもよい。太陽電池封止材のシート表面を、エンボス加工によって装飾することで、封止シート同士、または、封止シートと他のシート等とのブロッキングを防止しうる。さらに、エンボスが、太陽電池封止材(太陽電池用封止シート)の貯蔵弾性率を低下させるため、太陽電池用封止シートと太陽電池素子とをラミネートする時に太陽電池素子等に対するクッションとなって、太陽電池素子の破損を防止することができる。
【0127】
太陽電池封止材(太陽電池用封止シート)の単位面積当りの凹部の合計体積Vと、太陽電池封止材(太陽電池封止シート)の見掛けの体積Vとの百分比V/V×100で表される空隙率P(%)が、10〜50%であることが好ましく、10〜40%であることがより好ましく、15〜40%であることがさらに好ましい。なお、太陽電池封止材(太陽電池封止シート)の見掛けの体積Vは、単位面積に太陽電池用封止シートの最大厚みを乗じることにより得られる。
【0128】
空隙率Pが10%未満であると、太陽電池封止材の弾性率を十分低下させることができず、十分なクッション性が得られない。このため、モジュールの製造工程にて、2段階でラミネート加工(加圧工程)する際に、結晶系太陽電池では、シリコンセルやシリコンセルと電極とを固定する半田が割れたりし;薄膜系太陽電池では、銀電極が割れたりすることがある。つまり、エチレン系樹脂組成物からなるシートを含む太陽電池封止材の空隙率が10%未満であると、太陽電池封止材に局所的に圧力が加えられた場合に、圧力が加えられた凸部が潰れるように変形しない。このため、ラミネート加工時に、例えばシリコンセル等に対して局所的に大きな圧力が加わってシリコンセルが割れてしまう。また、太陽電池封止材の空隙率が10%未満であると、空気の通り道が少ないため、ラミネート加工時に脱気不良となる。このため、太陽電池モジュールに空気が残留して外観が悪化したり、長期使用時には、残留した空気中の水分により電極の腐食が生じたりすることがある。さらに、ラミネート時に、流動したエチレン系樹脂組成物が空隙を埋めないため、太陽電池モジュールの各被着体の外部にはみ出して、ラミネーターを汚染することもある。
【0129】
一方、空隙率Pが80%よりも大きいと、ラミネート加工の加圧時に空気を全て脱気できず、太陽電池モジュール内に空気が残留しやすい。このため、太陽電池モジュールの外観が悪化したり、長期使用時には、残留した空気中の水分により電極の腐食を起こしたりする。また、ラミネート加工の加圧時に空気を全て脱気できないため、太陽電池封止材と被着体との接着面積が低下し、十分な接着強度が得られない。
【0130】
空隙率Pは、次のような計算により求めることができる。エンボス加工が施された太陽電池封止材の、見掛けの体積V(mm)は、太陽電池封止材の最大厚みtmax(mm)と単位面積(例えば1m=1000×1000=10mm)との積によって、下記式(1)のようにして算出される。
(mm)=tmax(mm)×10(mm)・・・(1)
一方、この単位面積の太陽電池封止材の実際の体積V(mm)は太陽電池封止材を構成する樹脂の比重ρ(g/mm)と単位面積(1m)当りの太陽電池封止材の実際の重さW(g)と、を下記式(2)に当てはめることにより算出される。
(mm)=W/ρ ・・・(2)
太陽電池封止材の単位面積当りの凹部の合計体積V(mm)は、下記式(3)に示されるように、「太陽電池封止材の見掛けの体積V」から「実際の体積V」を差し引くことによって算出される。
(mm)=V−V=V−(W/ρ)・・・(3)
したがって、空隙率(%)は次のようにして求めることができる。
空隙率P(%)=V/V×100
=(V−(W/ρ))/V×100
=1−W/(ρ・V)×100
=1−W/(ρ・tmax・10)×100
空隙率(%)は、上記の計算式によって求めることができるが、実際の太陽電池封止材の断面やエンボス加工が施された面を顕微鏡撮影し、画像処理等することによって求めることもできる。
【0131】
エンボス加工により形成される凹部の深さは、太陽電池封止材の最大厚みの20〜95%であることが好ましく、50〜95%であることがより好ましく、65〜95%であることがより好ましい。シートの最大厚みtmaxに対する凹部の深さDの百分比を、凹部の「深さ率」と称する場合がある。
【0132】
エンボス加工の凹部の深さとは、エンボス加工による太陽電池封止材の凹凸面の凸部の最頂部と凹部の最深部との高低差Dを示す。また、太陽電池封止材の最大厚みtmaxとは、太陽電池封止材の一方の面にエンボス加工してある場合、一方の凸部の最頂部から他方の面までの(太陽電池封止材厚さ方向の)距離を示し;太陽電池封止材の両方の面にエンボス加工が施されている場合は、一方の面の凸部の最頂部から他方の凸部の最頂部までの(太陽電池封止材厚さ方向の)距離を示す。
【0133】
エンボス加工は、太陽電池封止材の片面に施されていても、両面に施されていてもよい。エンボス加工の凹部の深さを大きくする場合は、太陽電池封止材の片面にのみ形成するのが好ましい。エンボス加工が太陽電池封止材の片面にのみ施されている場合、太陽電池封止材の最大厚みtmaxは0.01〜2mmであり、好ましくは0.05〜1mmであり、さらに好ましくは0.1〜1mmであり、さらに好ましくは0.15〜1mmであり、さらに好ましくは0.2〜1mmであり、さらに好ましくは0.2〜0.9mmであり、さらに好ましくは0.3〜0.9mmであり、最も好ましくは0.3〜0.8mmである。太陽電池封止材の最大厚みtmaxがこの範囲内であると、ラミネート工程における、ガラス、太陽電池セル、薄膜電極等の破損を抑制でき、比較的低温でも太陽電池モジュールのラミネート成形ができるので好ましい。。また、太陽電池封止材は、十分な光線透過率を確保でき、それを用いた太陽電池モジュールは高い光発電量を有する。
【0134】
少なくとも片面にエンボス加工が施された、本発明の太陽電池封止材の固体粘弾性測定装置で測定される80℃での貯蔵弾性率(E’)は、2.5×10〜1.5×10Paであることが好ましい。80℃での貯蔵弾性率(E’)を規定するのは、以下の理由による。すなわち、太陽電池モジュールの製造工程において、ラミネーターにより150℃でラミネート加工をする際に、第1段階で約2〜4分間脱気および加熱を兼ねて真空引きを行い;第2段階で加圧して各被着体との接着を行う。この第1段階での真空引きの際に、ラミネーターによる太陽電池封止材の温度上昇が、常温から80℃程度までとなる。このため、固体粘弾性測定装置で測定される80℃での貯蔵弾性率(E’)が、第2段階で加圧する際に重要と考えられる。
【0135】
太陽電池封止材の、80℃での貯蔵弾性率(E’)が2.5×10Pa未満であると、ラミネート加工時に加圧された際に、太陽電池封止材が各被着体よりはみ出し、ラミネーターを汚し、太陽電池モジュールの生産性を低下させる傾向がある。また、太陽電池封止材と被着体との接着強度も低下する傾向にもある。さらに、被着体としてのガラス基板が、ラミネーターの天板側に配置されている場合、ラミネート加工終了時に加圧状態から圧を開放した際に、ガラス基板が圧の開放によって跳ね上がる(スプリングバックと称される現象)。そのとき、太陽電池封止材が、ガラス基板の弾性変化に追従できず、太陽電池封止材とガラス基板との界面にラミネートできない部分が生じることがある。
【0136】
80℃での貯蔵弾性率(E’)が1.5×10Pa超過であると、第2段階での加圧時に、太陽電池封止材の弾性率が高くて硬い。このため、結晶系太陽電池の場合では、シリコンセルやシリコンセルと電極の固定している半田が割れたりし;薄膜系太陽電池では、例えば銀電極などが割れたりする。また、第2段階目の加圧時に十分な押し込みができず、エンボス間に存在する空気を十分に押し出せないため、太陽電池モジュール内部に気泡が残留することがある。
【0137】
80℃での貯蔵弾性率(E’)は、太陽電池封止材の空隙率Pによって調整できる。例えば、エンボス加工による空隙率Pを高くすれば、80℃での貯蔵弾性率を低くすることができる。また、エチレン系重合体(A)/エチレン・α−オレフィン共重合体(C)の重量比において、エチレン・α−オレフィン共重合体(C)の重量比を大きくすれば、80℃での貯蔵弾性率を低くすることができる。さらに、エチレン系樹脂組成物の密度を低くくすれば、80℃での貯蔵弾性率を低くすることができる。
【0138】
固体粘弾性測定装置で測定される80℃での貯蔵弾性率(E’)は、例えば以下のようにして測定できる。すなわち、1)試料を1mm厚みのシートより幅3mm、長さ30mmの短冊を切り出した試料を準備し;2)ティー・エイ・インスツルメント社製のRSA−IIを用いて、窒素雰囲気下、周波数1Hz、昇温速度3℃/minで、試料を、−70℃から測定可能な温度範囲まで昇温したときの、80℃での貯蔵弾性率(E’)を求めることができる。
【0139】
上記のように、特定の範囲の貯蔵弾性率や空隙率を有する太陽電池封材は、太陽電池モジュールを製造する際のラミネート加工における、セルの割れや気泡の巻き込みを防止できるという利点がある。
【0140】
さらに、本発明のエチレン系樹脂組成物からなるシート(または層)は、太陽電池モジュールサイズに合わせて裁断された枚葉形式であってもよいし、太陽電池モジュールを作製する直前のサイズに合わせて裁断可能なロール形式であってもよい。
【0141】
本発明のエチレン系樹脂組成物からなるシート(または層)は、厚み0.5mm以下の試料で測定したときの内部ヘイズが1%〜60%、好ましくは1%〜40%の範囲にあることが望ましい。
【0142】
太陽電池用封止シートは、本発明のエチレン系樹脂組成物からなるシート(または層)を少なくとも1層有していればよい。したがって、本発明のエチレン系樹脂組成物からなる層は、1層であってもよいし、2層以上であってもよい。構造を単純にしてコストを下げる観点、および、層間での界面反射を極力小さくして光を有効に活用する観点等からは、1層であることが好ましい。
【0143】
本発明の好ましい実施形態である太陽電池用封止シートは、本発明のエチレン系樹脂組成物からなるシート(または層)のみで構成されていてもよいし、本発明のエチレン系樹脂組成物からなるシート(または層)以外の層(以下、「その他の層」ともいう)を有していてもよい。
【0144】
その他の層の例としては、目的で分類するならば、表面保護または裏面保護のためのハードコート層、接着層、反射防止層、ガスバリア層、防汚層、バックシート、太陽電池モジュール用裏面保護部材等を設けることができる。その他の層の例としては、材質で分類するならば、紫外線硬化性樹脂からなる層、熱硬化性樹脂からなる層、ポリオレフィン樹脂からなる層、カルボン酸変性ポリオレフィン樹脂からなる層、フッ素含有樹脂からなる層、環状オレフィン(共)重合体からなる層、ポリエステル樹脂からなる層、ガラス、無機化合物からなる層等が含まれる。好ましくは、ポリオレフィン樹脂からなる層、カルボン酸変性ポリオレフィン樹脂からなる層、フッ素含有樹脂からなる層、環状オレフィン(共)重合体からなる層、ポリエステル樹脂からなる層、ガラスが挙げられる。
【0145】
本発明のエチレン系樹脂組成物からなるシート(または層)と、その他の層との位置関係には特に制限はなく、本発明の効果が得られる範囲で適宜選択される。すなわち、その他の層は、2以上の本発明のエチレン系樹脂組成物からなる層の間に設けられてもよいし、太陽電池用封止シートの最外層に設けられてもよいし、それ以外の位置に設けられてもよい。本発明のエチレン系樹脂組成物からなるシート(または層)の片面にのみその他の層が設けられてもよいし、両面にその他の層が設けられてもよい。その他の層の数は、特に制限はなく、任意の数だけ設けることができ、その他の層を設けなくともよい。
【0146】
本発明のエチレン系樹脂組成物からなるシート(または層)と、その他の層との積層方法は、特に制限はないが、キャスト成形機、押出シート成形機、インフレーション成形機、射出成形機等の公知の溶融押出機を用いて共押出して積層体を得る方法;あるいは予め成形された一方の層上に、他方の層を溶融あるいは加熱ラミネートして積層体を得る方法が好ましい。
【0147】
また、適当な接着剤(例えば、無水マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂(例えば、三井化学社製のアドマー、三菱化学社製のモディックなど)、不飽和ポリオレフィンなどの低(非)結晶性軟質重合体、エチレン/アクリル酸エステル/無水マレイン酸3元共重合体(例えば、住化シーディエフ化学社製のボンダインなど)をはじめとするアクリル系接着剤、エチレン/酢酸ビニル系共重合体またはこれらを含む接着性樹脂組成物など)を用いたドライラミネート法あるいはヒートラミネート法などにより積層してもよい。接着剤としては、120℃〜150℃程度の耐熱性があるものが好ましく使用され、ポリエステル系あるいはポリウレタン系接着剤などが好適なものとして例示される。また、両層の接着性を改良するために、例えば、シラン系カップリング処理、チタン系カップリング処理、コロナ処理、プラズマ処理等を用いても良い。
【0148】
本発明の太陽電池用封止シートは、厚み0.5mm以下の試料で測定したときの内部ヘイズが1%〜60%、好ましくは5%〜50%の範囲にあることが望ましい。
【0149】
太陽電池モジュール
本発明の太陽電池封止材、およびその好ましい実施形態である太陽電池用封止シートは、上述のような優れた特性を有する。したがって、かかる太陽電池封止材および/または太陽電池用封止シートを用いて得られた太陽電池モジュールは、本発明の効果を有する。
【0150】
太陽電池モジュールは、例えば、通常、多結晶シリコン等により形成された太陽電池素子を太陽電池用封止シートで挟み積層し、さらに表裏両面を保護シートでカバーした結晶型太陽電池モジュールが挙げられる。すなわち、典型的な太陽電池モジュールは、太陽電池モジュール用保護シート(表面保護部材)/太陽電池用封止シート/太陽電池素子/太陽電池用封止シート/太陽電池モジュール用保護シート(裏面保護部材)という構成になっている。もっとも、本発明の好ましい実施形態の1つである太陽電池モジュールは、上記の構成には限定されず、本発明の目的を損なわない範囲で、上記の各層の一部を適宜省略し、または上記以外の層を適宜設けることができる。上記以外の層としては、例えば接着層、衝撃吸収層、コーティング層、反射防止層、裏面再反射層、および光拡散層等を設けることができるが、これらに限定されない。これらの層は、特に限定はないが、各層を設ける目的や特性を考慮して、適切な位置に設けることができる。
【0151】
(1)結晶シリコン系の太陽電池モジュール
図1は、結晶シリコン系の太陽電池モジュール20の構成の一例を示す断面図である。
図1に示されるように、太陽電池モジュール20は、インターコネクタ29により電気的に接続された複数の結晶シリコン系の太陽電池セル22と、それを挟持する一対の表面保護部材24と裏面保護部材26とを有し、これらの保護部材と複数の太陽電池セル22との間に、封止層28が充填されている。封止層28は、本発明の太陽電池用封止シートを貼り合わせた後、加熱圧着されて得られ、太陽電池セル22の受光面および裏面に形成された電極と接している。電極とは、太陽電池セル22の受光面および裏面にそれぞれ形成された集電部材であり、後述する集電線、タブ付用母線、および裏面電極層などを含む。
【0152】
図2は、太陽電池セル22の受光面22Aと裏面22Bに構成の一例を示す平面図である。図2(A)に示されるように、太陽電池セル22の受光面22Aには、ライン状に多数形成された集電線32と、集電線32から電荷を収集するとともに、インターコネクタ29と接続されるタブ付用母線(バスバー)34Aと、が形成されている。
【0153】
図2(B)に示されるように、太陽電池セル22の裏面22Bには、全面に導電層(裏面電極)36が形成され、その上に導電層36から電荷を収集するとともに、インターコネクタ29と接続されるタブ付用母線(バスバー)34Bが形成されている。
【0154】
集電線32の線幅は、例えば0.1mm程度であり;タブ付用母線34Aの線幅は、例えば2〜3mm程度であり;タブ付用母線34Bの線幅は、例えば5〜7mm程度である。集電線32、タブ付用母線34Aおよびタブ付用母線34Bの厚みは、例えば20〜50μm程度である。
【0155】
集電線32、タブ付用母線34Aおよびタブ付用母線34Bは、導電性が高い金属を含むことが好ましい。このような導電性の高い金属の例には、金、銀、銅などが含まれるが、導電性や耐腐食性が高い点などから、銀や銀化合物、銀を含有する合金などが好ましい。
【0156】
導電層36は、導電性の高い金属だけでなく、受光面で受けた光を反射させて太陽電池セルの光電変換効率を向上させるという観点などから、光反射性の高い成分、例えばアルミニウムを含むことが好ましい。
【0157】
集電線32、タブ付用母線34A、タブ付用母線34Bおよび導電層36は、太陽電池セル22の受光面22Aまたは裏面22Bに、前記導電性の高い金属を含む導電材塗料を、例えばスクリーン印刷により50μmの塗膜厚さに塗布した後、乾燥し、必要に応じて例えば600〜700℃で焼き付けすることにより形成される。
【0158】
表面保護部材24は、受光面側に配置されることから、透明である必要がある。表面保護部材24の例には、透明ガラス板や透明樹脂フィルムなどが含まれる。一方、裏面保護部材26は透明である必要はなく、その材質は特に限定されない。裏面保護部材26の例にはガラス基板やプラスチックフィルム等が含まれるが、耐久性や透明性の観点からガラス基板が好適に用いられている。
【0159】
太陽電池モジュール20は、任意の製造方法で得ることができる。太陽電池モジュール20は、例えば、裏面保護部材26、太陽電池用封止シート、複数の太陽電池セル22、太陽電池用封止シートおよび表面保護部材24をこの順に積層した積層体を得る工程;該積層体を、ラミネーター等により加圧し貼り合わせ、同時に必要に応じて加熱する工程;前記工程の後、さらに必要に応じて積層体を加熱処理し、前記封止材を硬化する工程により得ることができる。
【0160】
さらに、例えばシランガスから化学気相成長(CVD)させてできる数μmの薄いアモルファスシリコン膜を、ガラスやフィルムの基板上に形成し、必要に応じてさらに銀等の電極をスパッタした太陽電池素子を用いて、該太陽電池素子、太陽電池用封止シートおよび太陽電池モジュール用保護シート(裏面保護部材)の順に積層した薄膜系(アモルファス系)太陽電池モジュールも挙げられる。
【0161】
(2)薄膜シリコン系(アモルファスシリコン系)の太陽電池モジュール
薄膜シリコン系の太陽電池モジュールは、(1)表面側透明保護部材(ガラス基板)/薄膜太陽電池セル/封止層/裏面保護部材をこの順に積層したもの;(2)表面側透明保護部材/封止層/薄膜太陽電池セル/封止層/裏面保護部材をこの順に積層したもの等でありうる。表面側透明保護部材、裏面保護部材および封止層は、前述の1)の場合と同様である。
【0162】
(1)の態様における薄膜太陽電池セルは、例えば、透明電極層/pin型シリコン層/裏面電極層をこの順に含む。透明電極層の例には、In、SnO、ZnO、CdSnO、ITO(InにSnを添加したもの)等の半導体系酸化物が含まれる。裏面電極層は、例えば銀薄膜層を含む。各層は、プラズマCVD(ケミカル・ベ−パ・デポジション)法やスパッタ法により形成される。
【0163】
封止層は、裏面電極層(例えば銀薄膜層)と接するように配置される。透明電極層は、表面側透明保護部材上に形成されるので、表面保護部材と透明電極層との間に封止層は配置されないことが多い。
【0164】
(2)の態様における薄膜太陽電池セルは、例えば、透明電極層/pin型シリコン層/金属箔、または耐熱性高分子フィルム上に配置された金属薄膜層(例えば、銀薄膜層)、をこの順に含む。金属箔の例には、ステンレススチール箔等が含まれる。耐熱性高分子フィルムの例には、ポリイミドフィルム等が含まれる。
【0165】
透明電極層およびpin型シリコン層は、前述と同様、CVD法やスパッタ法により形成される。つまり、pin型シリコン層は、金属箔、または耐熱性高分子フィルム上に配置された金属薄膜層に形成され;さらに透明電極層は、pin型シリコン層に形成される。また、耐熱性高分子フィルム上に配置される金属薄膜層もCVD法やスパッタ法により形成されうる。
【0166】
この場合、封止層は、透明電極層と表面保護部材との間;および金属箔または耐熱性高分子フィルムと裏面保護部材との間にそれぞれ配置される。このように、太陽電池用封止シートから得られる封止層は、太陽電池セルの集電線、タブ付用母線および導電層などの電極と接している。
【0167】
また(2)の態様における薄膜太陽電池セルは、シリコン層が(1)の態様における結晶シリコン系の太陽電池セルに比べて薄いため、太陽電池モジュール製造時の加圧や前記モジュール稼動時の外部からの衝撃により破損しにくい。このため、結晶シリコン系の太陽電池モジュールに用いられるものよりも薄膜太陽電池モジュールに用いる太陽電池用封止シートの柔軟性は低くてもよい。一方、上記薄膜太陽電池セルの電極は上述のように金属薄膜層であるため、腐食により劣化した場合、発電効率が著しく低下する恐れがある。したがって、エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)よりも柔軟性に劣るが分解ガスの発生源となる架橋剤を必ずしも必要としない、本発明のエチレン系樹脂組成物からなるシートを含む太陽電池用封止シートは、(2)の態様における薄膜太陽電池モジュール用の太陽電池用封止シートとしてより好適に用いられる。
【0168】
また、その他の太陽電池モジュールとして、太陽電池セルにシリコンを用いた太陽電池モジュールがある。太陽電池セルにシリコンを用いた太陽電池モジュールには、結晶シリコンとアモルファスシリコンを積層したハイブリッド型(HIT型)太陽電池モジュール、吸収波長域の異なるシリコン層を積層した多接合型(タンデム型)太陽電池モジュール、無数の球状シリコン粒子(直径1mm程度)と集光能力を上げる直径2〜3mmの凹面鏡(電極を兼ねる)を組み合わせた球状シリコン型太陽電池モジュールなどが挙げられる。また、太陽電池セルにシリコンを用いた太陽電池モジュールには、従来のpin接合構造を持つアモルファスシリコン型のp型窓層の役割を、「絶縁された透明電極」から「電界効果によって誘起される反転層」に置き換えた構造を持つ電界効果型太陽電池モジュール等も挙げられる。また、太陽電池セルに単結晶のGaAsを用いたGaAs系太陽電池モジュール;太陽電池セルとしてシリコンの代わりに、Cu、In、Ga、Al、Se、Sなどからなるカルコパイライト系と呼ばれるI−III−VI族化合物を用いたCISまたはCIGS系(カルコパイライト系)太陽電池モジュール;太陽電池セルとしてCd化合物薄膜を用いたCdTe−CdS系太陽電池、CuZnSnS(CZTS)太陽電池モジュール等が挙げられる。本発明の太陽電池封止材は、これら全ての太陽電池モジュールの太陽電池封止材として用いることができる。
【0169】
特に、太陽電池モジュ−ルを構成する光起電力素子の下に積層する充填材層は、光起電力素子の上部に積層される充填材層・電極・裏面保護層との接着性を有することが必要である。また、光起電力素子としての太陽電池素子の裏面の平滑性を保持するために、熱可塑性を有することが必要である。さらに、光起電力素子としての太陽電池素子を保護するために、耐スクラッチ性、衝撃吸収性等に優れていることが必要である。
【0170】
上記充填材層としては、耐熱性を有することが望ましい。特に、太陽電池モジュ−ル製造の際、真空吸引して加熱圧着するラミネ−ション法等における加熱作用や、太陽電池モジュ−ル等の長期間の使用における太陽光等の熱の作用などにより、充填材層を構成するエチレン系樹脂組成物が変質したり、劣化ないし分解したりしないことが望ましい。仮に、該エチレン系樹脂組成物に含まれる添加剤等が溶出したり、分解物が生成したりすると、それらが太陽電池素子の起電力面(素子面)に作用し、その機能、性能等を劣化させてしまうことになる。このため、耐熱性は、太陽電池モジュ−ルの充填材層の有する特性として必要不可欠のものである。
【0171】
さらに、上記充填材層は、吸湿性に優れていることが好ましい。この場合、太陽電池モジュールの裏面側からの水分の透過を防ぐことができ、太陽電池モジュールの光起電力素子の腐食、劣化を防ぐことができる。
【0172】
上記充填材層は、光起電力素子の上に積層する充填剤層と異なり、必ずしも透明性を有することを必要としない。
【0173】
本発明の太陽電池封止材は、上記の特性を有しており、結晶型太陽電池モジュールの裏面側の太陽電池封止材、水分浸透に弱い薄膜型太陽電池モジュールの太陽電池封止材として好適に用いることができる。
【0174】
太陽電池モジュール用表面保護部材
太陽電池モジュールにおいて用いられる太陽電池モジュール用表面保護部材は、特に制限はないが、太陽電池モジュールの最表層に位置するため、耐候性、撥水性、耐汚染性、機械強度をはじめとして、太陽電池モジュールの屋外暴露における長期信頼性を確保するための性能を有することが好ましい。また、太陽光を有効に活用するために、光学ロスの小さい、透明性の高いシートであることが好ましい。
【0175】
上記太陽電池モジュールに好適に用いられる太陽電池モジュール用表面保護部材の材料としては、ポリエステル樹脂、フッ素樹脂、アクリル樹脂、環状オレフィン(共)重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体等からなる樹脂フィルムやガラス基板などが挙げられる。
【0176】
樹脂フィルムは、好ましくは、透明性、強度、コスト等の点で優れたポリエステル樹脂、特にポリエチレンテレフタレート樹脂や、耐侯性のよいフッ素樹脂などである。
【0177】
フッ素樹脂の例としては、四フッ化エチレン−エチレン共重合体(ETFE)、ポリフッ化ビニル樹脂(PVF)、ポリフッ化ビニリデン樹脂(PVDF)、ポリ四フッ化エチレン樹脂(TFE)、四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合体(FEP)、ポリ三フッ化塩化エチレン樹脂(CTFE)がある。耐候性の観点ではポリフッ化ビニリデン樹脂が優れているが、耐候性および機械的強度の両立では四フッ化エチレン−エチレン共重合体が優れている。また、封止材層等の他の層を構成する材料との接着性の改良のために、コロナ処理、プラズマ処理を表面保護部材に行うことが望ましい。また、機械的強度向上のために延伸処理が施してあるシート、例えば2軸延伸のポリプロピレンシートを用いることも可能である。
【0178】
太陽電池モジュール用表面保護部材としてガラス基板を用いる場合、ガラス基板は、波長350〜1400nmの光の全光線透過率が80%以上であることが好ましく、より好ましくは90%以上である。かかるガラス基板としては赤外部の吸収の少ない白板ガラスを使用するのが一般的であるが、青板ガラスであっても厚さが3mm以下であれば太陽電池モジュールの出力特性への影響は少ない。また、ガラス基板の機械的強度を高めるために熱処理により強化ガラスを得ることができるが、熱処理無しのフロート板ガラスを用いてもよい。また、ガラス基板の受光面側に反射を抑えるために反射防止のコーティングをしてもよい。
【0179】
太陽電池モジュール用裏面保護部材
太陽電池モジュールにおいて用いられる太陽電池モジュール用裏面保護部材は、特に制限はないが、太陽電池モジュールの最表層に位置するため、上述の表面保護部材と同様に、耐候性、機械強度等の諸特性を求められる。したがって、表面保護部材と同様の材質で太陽電池モジュール用裏面保護部材を構成してもよい。すなわち、表面保護部材として用いられる上述の各種材料を、裏面保護部材としても用いることができる。特に、ポリエステル樹脂、およびガラスを好ましく用いることができる。
【0180】
また、裏面保護部材は、太陽光の通過を前提としないため、表面保護部材で求められる透明性は、必ずしも要求されない。そこで、太陽電池モジュールの機械的強度を増すために、あるいは、温度変化による歪、反りを防止するために、補強板を張り付けてもよい。補強板は、例えば、鋼板、プラスチック板、FRP(ガラス繊維強化プラスチック)板等を好ましく使用することができる。
【0181】
さらに、本発明の太陽電池封止材が、上記太陽電池モジュール用裏面保護部材と一体化していてもよい。本発明の太陽電池封止材と太陽電池モジュール用裏面保護部材とを一体化させることにより、モジュール組み立て時に太陽電池封止材および太陽電池モジュール用裏面保護部材をモジュールサイズに裁断する工程を短縮できる。また、太陽電池封止材および太陽電池モジュール用裏面保護部材をそれぞれレイアップする工程を、一体化したシートでレイアップする工程にすることで、レイアップ工程を短縮・省略することもできる。
【0182】
本発明の太陽電池封止材と太陽電池モジュール用裏面保護部材とを一体化させる場合における、太陽電池封止材と太陽電池モジュール用裏面保護部材の積層方法は、特に制限されない。積層方法には、キャスト成形機、押出シート成形機、インフレーション成形機、射出成形機等の公知の溶融押出機を用いて共押出して積層体を得る方法や;あらかじめ成形された一方の層上に、他方の層を溶融あるいは加熱ラミネートして積層体を得る方法が好ましい。
【0183】
また、適当な接着剤(例えば、無水マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂(例えば、三井化学社製のアドマー、三菱化学社製のモディックなど)、不飽和ポリオレフィンなどの低(非)結晶性軟質重合体、エチレン/アクリル酸エステル/無水マレイン酸3元共重合体(例えば、住化シーディエフ化学製のボンダインなど)をはじめとするアクリル系接着剤、エチレン/酢酸ビニル系共重合体またはこれらを含む接着性樹脂組成物など)を用いたドライラミネート法あるいはヒートラミネート法などにより積層してもよい。
【0184】
接着剤としては、120℃〜150℃程度の耐熱性があるものが好ましく、具体的にはポリエステル系あるいはポリウレタン系接着剤などが好ましい。また、二つの層の接着性を向上させるために、少なくとも一方の層に、例えばシラン系カップリング処理、チタン系カップリング処理、コロナ処理、プラズマ処理等を施してもよい。
【0185】
太陽電池素子
太陽電池モジュールにおける太陽電池素子は、半導体の光起電力効果を利用して発電できるものであれば、特に制限はない。太陽電池素子は、例えば、シリコン(単結晶系、多結晶系、非結晶(アモルファス)系)太陽電池、化合物半導体(III−III族、II−VI族、その他)太陽電池、湿式太陽電池、有機半導体太陽電池などを用いることができる。この中では、発電性能とコストとのバランスなどの観点から、多結晶シリコン太陽電池が好ましい。
【0186】
シリコン太陽電池素子、化合物半導体太陽電池素子とも、太陽電池素子として優れた特性を有しているが、外部からの応力、衝撃等により破損しやすいことで知られている。本発明の太陽電池封止材は、柔軟性に優れているので、太陽電池素子への応力、衝撃等を吸収して、太陽電池素子の破損を防ぐ効果が大きい。したがって、本発明の太陽電池モジュールにおいては、本発明の太陽電池封止材からなる層が、直接太陽電池素子と接合されていることが望ましい。
【0187】
また、太陽電池封止材が熱可塑性を有していると、一旦、太陽電池モジュールを作製した後であっても、比較的容易に太陽電池素子を取り出すことができるため、リサイクル性に優れている。本発明の太陽電池封止材の必須成分であるエチレン系樹脂組成物は、熱可塑性を有するため、太陽電池封止材全体としても熱可塑性を有しており、リサイクル性の観点からも好ましい。
【0188】
電極
太陽電池モジュールにおける電極の構成および材料は、特に限定されないが、具体的な例では、透明導電膜と金属膜の積層構造を有する。透明導電膜は、SnO、ITO、ZnOなどからなる。金属膜は、銀、金、銅、錫、アルミニウム、カドミウム、亜鉛、水銀、クロム、モリブデン、タングステン、ニッケル、バナジウム等の金属からなる。これらの金属膜は、単独で用いられてもよいし、複合化された合金として用いられてもよい。透明導電膜と金属膜とは、CVD、スパッタ、蒸着等の方法により形成される。
【0189】
発電設備
本発明の好ましい実施形態である太陽電池モジュールは、生産性、発電効率、寿命等に優れている。このため、この様な太陽電池モジュールを用いた発電設備は、コスト、発電効率、寿命等に優れ、実用上高い価値を有する。
【0190】
上記の発電設備は、家屋の屋根に設置したり、キャンプなどアウトドア向けの移動電源として利用したり、自動車バッテリーの補助電源として利用したりするなど、屋外、屋内を問わず、長期間使用できる。
【実施例】
【0191】
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。但し、本発明の範囲は、実施例により制限されるものではない。
【0192】
[固体触媒成分の調製]
特開平9−328520号公報に記載の方法にて、メタロセン化合物であるジメチルシリレンビス(3−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドを含有する固体触媒成分の調製を行った。
具体的には、250℃で10時間乾燥したシリカ3.0gを50mlのトルエンで懸濁状にした後、0℃まで冷却した。その後、メチルアルミノキサンのトルエン溶液(Al=1.29ミリモル/ml)17.8mlを30分で滴下した。この際、系内の温度を0℃に保った。引き続き、0℃で30分間反応させ、次いで30分かけて95℃まで昇温し、その温度で4時間反応させた。その後60℃まで降温し、上澄み液をデカンテーション法により除去した。
得られた固体成分をトルエンで2回洗浄した後、トルエン50mlで再懸濁化した。この系内へ、ジメチルシリレンビス(3−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド(ジアステレオ異性体の混合比1:1)のトルエン溶液(Zr=0.0103ミリモル/ml)11.1mlを20℃で30分かけて滴下した。次いで、80℃まで昇温し、その温度で2時間反応させた。その後、上澄み液を除去し、ヘキサンで2回洗浄することにより、1g当たり2.3mgのジルコニウムを含有する固体触媒を得た。
【0193】
[予備重合触媒の調製]
同様に特開平9−328520号公報に記載の方法にて、予備重合触媒を得た。
具体的には、上記で得られた固体触媒4gをヘキサン200mlで再懸濁した。この系内にトリイソブチルアルミニウムのデカン溶液(1ミリモル/ml)5.0mlおよび1−ヘキセン0.36gを加えて、35℃で2時間エチレンの予備重合を行った。これにより、固体触媒1g当り2.2mgのジルコニウムを含有し、3gのポリエチレンが予備重合された予備重合触媒を得た。
【0194】
エチレン系重合体(A)の合成
[重合例1]
充分に窒素置換した内容積2リットルのステンレス製オートクレーブに、脱水精製したヘキサンを800ミリリットル装入し、系内をエチレンと水素の混合ガス(水素含量;0.7モル%)で置換した。
【0195】
次いで系内を60℃とし、トリイソブチルアルミニウム1.5ミリモル、1−ヘキセン200ミリリットル、および上記調製した予備重合触媒を、ジルコニウム原子換算で0.015mg原子となるように添加した。
【0196】
その後、上記と同様の組成を有するエチレンと水素の混合ガスを導入し、全圧3MPaGとして重合を開始した。その後、混合ガスのみを補給し、全圧を3MPaGに保ち、70℃で1.5時間重合を行った。重合終了後、得られたポリマーを濾過し、80℃で1晩乾燥し、パウダー状のエチレン系重合体(A)1を101g得た。
【0197】
得られたエチレン系重合体(A)1を、サーモ・プラスチック(株)製単軸押出機(スクリュー径20mmφ・L/D=28)にて、ダイス温度190℃条件下で、押出した溶融樹脂をペレット状に切断し、エチレン系重合体(A)1のペレットであるエチレン系重合体(A)1’を得た。
【0198】
[重合例2]
ヘキサンの量を795ミリリットルに、1−ヘキセンの量を205ミリリットルに代えた以外は、重合例1と同様にしてエチレン系重合体(A)2を得た。得られたエチレン系重合体(A)2は95gであった。このエチレン系重合体(A)2を単軸押出機に投入し、重合例1と同様にしてペレット状のエチレン系重合体(A)2’を得た。
【0199】
[重合例3]
エチレンと水素の混合ガスの水素含量を0.5モル%、ヘキサンの量を870ミリリットル、1−ヘキセンの量を230ミリリットルに代えた以外は、重合例1と同様にエチレン系重合体(A)3を得た。得られたエチレン系重合体(A)3は130gであった。さらに、このエチレン系重合体(A)3を単軸押出機に投入し、重合例1と同様にして、エチレン系重合体(A)3’を得た。
【0200】
[重合例4]
エチレンと水素の混合ガスの水素含量を0.2モル%、ヘキサンの量を910ミリリットル、1−ヘキセンの量を90ミリリットルに代えた以外は、重合例1と同様にしてエチレン系重合体(A)4を得た。得られたエチレン系重合体(A)4は145gであった。このエチレン系重合体(A)4を単軸押出機に投入し、重合例1と同様にしてペレット状のエチレン系重合体(A)4’を得た。
【0201】
[重合例5]
エチレンと水素の混合ガスの水素含量を0.8モル%、ヘキサンの量を780ミリリットル、1−ヘキセンの量を220ミリリットルに代えた以外は、重合例1と同様にしてエチレン系重合体(A)5を得た。得られたエチレン系重合体(A)5は78gであった。このエチレン系重合体(A)5を単軸押出機に投入し、重合例1と同様にしてペレット状のエチレン系重合体(A)5’を得た。
【0202】
[重合例6]
エチレンと水素の混合ガスの水素含量を0.2モル%、ヘキサンの量を915ミリリットル、1−ヘキセンの量を85ミリリットルに代えた以外は、重合例1と同様にしてエチレン系重合体(A)6を得た。得られたエチレン系重合体(A)6は146gであった。このエチレン系重合体(A)6を単軸押出機に投入し、重合例1と同様にしてペレット状のエチレン系重合体(A)6’を得た。
【0203】
[重合例7]
エチレンと水素の混合ガスの水素含量を0.2モル%、ヘキサンの量を830ミリリットル、1−ヘキセンの量を179ミリリットルに代えた以外は、重合例1と同様にしてエチレン系重合体(A)7を得た。得られたエチレン系重合体(A)7は94gであった。このエチレン系重合体(A)7を単軸押出機に投入し、重合例1と同様にしてペレット状のエチレン系重合体(A)7’を得た。
【0204】
[重合例8]
エチレンと水素の混合ガスの水素含量を0.3モル%に代えた以外は、重合例7と同様にしてエチレン系重合体(A)8を得た。得られたエチレン系重合体(A)8は84gであった。このエチレン系重合体(A)8を単軸押出機に投入し、重合例1と同様にしてペレット状のエチレン系重合体(A)8’を得た。
【0205】
[重合例9]
エチレンと水素の混合ガスの水素含量を1.0モル%に代えた以外は、重合例7と同様にしてエチレン系重合体(A)9を得た。得られたエチレン系重合体(A)9は145gであった。このエチレン系重合体(A)9を単軸押出機に投入し、重合例1と同様にしてペレット状のエチレン系重合体(A)9’を得た。
【0206】
[重合例10]
エチレンと水素の混合ガスの水素含量を1.3モル%に代えた以外は、重合例7と同様にしてエチレン系重合体(A)10を得た。エチレン系重合体(A)10は162gであった。このエチレン系重合体(A)10を単軸押出機に投入し、重合例1と同様にしてペレット状のエチレン系重合体(A)10’を得た。
【0207】
[重合例11]
エチレンと水素の混合ガスの水素含量を1.6モル%、予備重合触媒をジルコニウム原子換算で0.013mg原子に代えた以外は、重合例7と同様にしてエチレン系重合体(A)11を得た。得られたエチレン系重合体(A)11は151gであった。このエチレン系重合体(A)11を単軸押出機に投入し、重合例1と同様にしてペレット状のエチレン系重合体(A)11’を得た。
【0208】
[重合例12]
エチレンと水素の混合ガスの水素含量を2.0モル%、予備重合触媒をジルコニウム原子換算で0.012mg原子に代えた以外は、重合例7と同様にしてエチレン系重合体(A)12を得た。得られたエチレン系重合体(A)12は151gであった。このエチレン系重合体(A)12を単軸押出機に投入し、重合例1と同様にしてペレット状のエチレン系重合体(A)12’を得た。
【0209】
[重合例13]
水素の混合なくエチレンのみの供給に代えた以外は、重合例7と同様にしてエチレン系重合体(A)13を得た。得られたエチレン系重合体(A)13は85gであった。このエチレン系重合体(A)13を単軸押出機に投入し、重合例1と同様にしてペレット状のエチレン系重合体(A)13’を得た。
【0210】
[重合例14]
ヘキサンの量を820ミリリットル、1−ヘキセンの量を180ミリリットル、予備重合触媒をジルコニウム原子換算で0.024mg原子に代えた以外は、重合例1と同様にしてエチレン系重合体(A)14を得た。得られたエチレン系重合体(A)14は125gであった。このエチレン系重合体(A)14を単軸押出機に投入し、重合例1と同様にしてペレット状のエチレン系重合体(A)14’を得た。
【0211】
[重合例15]
ヘキサンの量を830ミリリットル、1−ヘキセンの量を170ミリリットル、予備重合触媒をジルコニウム原子換算で0.013mg原子、重合時間を0.75時間に代えた以外は、重合例1と同様にしてエチレン系重合体(A)15を得た。得られたエチレン系重合体(A)15は85gであった。このエチレン系重合体(A)15を単軸押出機に投入し、重合例1と同様にしてペレット状のエチレン系重合体(A)15’を得た。
【0212】
[重合例16]
前述のように調整した固体触媒成分のジメチルシリレンビス(3−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムクロリドのトルエン溶液(Zr=0.0103ミリモル/ミリリットル)を5.55ミリリットル、市販の固体触媒成分であるビス(3−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムクロリドのトルエン溶液(Zr=0.0103ミリモル/ミリリットル)を5.55ミリリットル、とを混合して固体触媒成分を得た。得られた固体触媒成分を用いて予備重合を行い、予備重合触媒を得た。
【0213】
そして、ヘキサンの量を820ミリリットル、1−ヘキセンの量を180ミリリットル、上記合成した予備重合触媒をジルコニウム原子換算で0.017mg原子、重合時間を3時間に代えた以外は、重合例1と同様にしてエチレン系重合体(A)16を得た。得られたエチレン系重合体(A)16は165gであった。このエチレン系重合体(A)16を単軸押出機に投入し、重合例1と同様にしてペレット状のエチレン系重合体(A)16’を得た。
【0214】
[重合例17]
エチレンと水素の混合ガスの水素含量を0.8モル%、ヘキサンの量を750ミリリットル、1−ヘキセンの量を250ミリリットル、予備重合触媒をジルコニウム原子換算で0.008mg原子、全圧を4MPaGに代えた以外は、重合例1と同様にしてエチレン系重合体(A)17を得た。得られたエチレン系重合体(A)17は150gであった。このエチレン系重合体(A)を単軸押出機に投入し、重合例1と同様にしてペレット状のエチレン系重合体(A)17’を得た。
【0215】
[重合例18]
エチレンと水素の混合ガスの水素含量を0.2モル%、ヘキサンの量を950ミリリットル、1−ヘキセンの量を50ミリリットル、予備重合触媒をジルコニウム原子換算で0.045mg原子、全圧を1.2MPaGに代えた以外は、重合例1と同様にしてエチレン系重合体(A)18を得た。得られたエチレン系重合体(A)18は80gであった。このエチレン系重合体(A)18を単軸押出機に投入し、重合例1と同様にしてペレット状のエチレン系重合体(A)18’を得た。
【0216】
[重合例19]
エチレンと水素の混合ガスの水素含量を0.8モル%、ヘキサンの量を750ミリリットル、1−ヘキセンの量を250ミリリットル、予備重合触媒をジルコニウム原子換算で0.008mg原子、全圧を4MPaGに代えた以外は、重合例1と同様にして重合反応を行った。得られた重合液に、1Nの塩酸を5ミリリットル、蒸留水500ミリリットル加えて脱灰処理を行い、水分を分離した。次いで、蒸留水で回収水のpHが中和されるまで中和処理を行った。その後、ポリマーを濾過し、80℃で1晩乾燥してエチレン系重合体(A)19を得た。得られたエチレン系重合体(A)19は150gであった。このエチレン系重合体(A)19を単軸押出機に投入し、重合例1と同様にしてペレット状のエチレン系重合体(A)19’を得た。
【0217】
[重合例20]
エチレンと水素の混合ガスの水素含量を0.2モル%、ヘキサンの量を945ミリリットル、1−ヘキセンの量を55ミリリットル、予備重合触媒をジルコニウム原子換算で0.055mg原子、全圧を1MPaGに代えた以外は、重合例1と同様にしてエチレン系重合体(A)20を得た。得られたエチレン系重合体(A)20は70gであった。このエチレン系重合体(A)20を単軸押出機に投入し、重合例1と同様にしてペレット状のエチレン系重合体(A)20’を得た。
【0218】
[重合例21]
エチレンと水素の混合ガスの水素含量を0.7モル%に代えた以外は、重合例7と同様にしてエチレン系重合体(A)21を得た。得られたエチレン系重合体(A)21は105gであった。このエチレン系重合体(A)21を単軸押出機に投入し、重合例1と同様にしてペレット状のエチレン系重合体(A)21’を得た。
【0219】
重合例1〜21で合成したエチレン系重合体(A)の、a)密度、b)融解ピーク温度、c)MFR2、d)分子量分布(Mw/Mn)およびe)金属残渣、を以下のようにして測定した。
【0220】
a)密度
190℃、2.16kg荷重におけるメルトフローレート(MFR2)を測定した後のストランドを、1時間かけて室温まで徐冷した。その後、ストランドの密度を、密度勾配管法によって測定した。
【0221】
b)融解ピーク温度
試料5mg程度を詰めた専用アルミパンを、パーキンエルマー社製DSC7を用いて、0℃から200℃までを320℃/minで昇温し;200℃で5分間保持した後;200℃から0℃までを10℃/minで降温し;0℃でさらに5分間保持した後、次いで10℃/minで昇温した。これにより得られた吸熱曲線から、溶融ピークのピーク頂点を融解ピーク温度として求めた。なお、DSC測定時に、複数のピークが検出される場合は、最も高温側で検出されるピークを、融解ピーク温度(Tm)とした。
【0222】
c)MFR2
JIS K−6721に準拠して190℃、2.16kg荷重にて測定した。
【0223】
d)分子量分布(Mw/Mn)
分子量分布(Mw/Mn)は、Waters社製ゲル浸透クロマトグラフAlliance GPC−2000型を用いて、以下の条件で測定した。
分離カラムは、TSKgel GNH6−HTを2本、およびTSKgel GNH6−HTLを2本、用いた。カラムサイズは、いずれも直径7.5mm、長さ300mmであり、カラム温度は140℃とした。
移動相には、o−ジクロロベンゼン(和光純薬工業)および酸化防止剤としてBHT(武田薬品)0.025重量%を用いて、1.0ml/分で移動させた。
試料濃度は15mg/10mLとし、試料注入量は500μLとした。
検出器として示差屈折計を用いた。分子量がMw<1000およびMw>4×10である標準ポリスチレンとしては、東ソー社製のものを用い;1000≦Mw≦4×10の標準ポリスチレンとしては、プレッシャーケミカル社製のものを用いた。
【0224】
e)金属残渣
エチレン系重合体(A)を湿式分解した後、純水にて定容し、ICP発光分析装置(島津製作所社製、ICPS−8100)により、アルミニウム、ジルコニウム、チタン、ハフニウム、およびマグネシウムを定量し、トータル量を金属残渣の量とした。
【0225】
重合例1〜6で得られたエチレン系重合体(A)の物性を表1に;重合例7〜13で得られたエチレン系重合体(A)の物性を表2に;重合例14〜21で得られたエチレン系重合体(A)の物性を表3にそれぞれ示す。
【表1】
【表2】
【表3】
【0226】
[実施例1]
エチレン系重合体(A)1’を100重量部と、エチレン性不飽和シラン化合物(B)1としてビニルメトキシシランを1.5重量部と、有機過酸化物1として2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサンを0.05重量部と、紫外線吸収剤(D)として2−ヒドロキシ−4−ノルマル−オクチルオキシベンゾフェノンを0.4重量部と、ラジカル捕捉剤(E)としてビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケートを0.1重量部と、耐熱安定剤(F)としてトリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイトを0.1重量部とを添加し、さらにドライブレンドして、エチレン系重合体のブレンド物を得た。
【0227】
次いで、得られたエチレン系重合体のブレンド物を、サーモ・プラスチック(株)製単軸押出機(スクリュー径20mmφ・L/D=28)で溶融混練した後、コートハンガー式T型ダイス(リップ形状;270×0.8mm)からダイス温度210℃の条件下で押出成形し、ロール温度30℃で冷却した後、巻き取り速度1.0m/minで、第1冷却ロールにエンボスロールを用いて成形した。これにより、エチレン系重合体(A)1’をエチレン性不飽和シラン化合物(B)1で変性した変性体を含有するエチレン系樹脂組成物からなるシートを得た。シートの最大厚みtmaxは500μmであった。また、シートにはエンボス加工が施されており、空隙率Pは28%であった。
【0228】
得られたシートについて、以下の特性を評価した。その結果を表4に示す。
【0229】
グラフトシラン量
得られたシート(エチレン系樹脂組成物からなるシート)を、アセトンを溶媒としてソックスレー抽出を行った。得られたシートサンプルを湿式分解した後、純水にて定容し、ICP発光分析装置(島津製作所社製、ICPS−8100)にてケイ素(Si)を定量した。
【0230】
残存するエチレン性不飽和シラン化合物に由来する遊離シラン含有率
得られたシート(エチレン系樹脂組成物からなるシート)を湿式分解後、純水にて定容しICP発光分析装置(島津製作所社製、ICPS−8100)にて、ケイ素(Si)の全量を定量した。得られたケイ素量から、前述で求めたグラフトシラン量を差し引いて、「エチレン性不飽和シラン化合物の残量」を求めた。この「残存エチレン性不飽和シラン化合物に由来するケイ素量」のケイ素(Si)の全量に対する割合(%)を「遊離シラン含有率」とした。
【0231】
接着強度
ポリエチレンテレフタレート樹脂製のバックシート(リンテック(株)製、リプレア)のオゾン洗浄品と、中央部に銀をスパッタリングしたガラス板(以下、薄膜電極と略す)との間に、厚み0.5mmのシートサンプルを挟んだ。これを、真空ラミネーター内の、150℃に温調したホットプレート上に載せて、2分間真空減圧した後、13分間加熱した。これにより、薄膜電極スパッタガラス/シートサンプル/バックシートの積層体を作製した。
【0232】
この積層体を15mm幅に切断し、シートサンプルの、各被着体(バックシート、薄膜電極、ガラス)に対する、180度ピールによる剥離強度を測定した。
180度ピールによる剥離強度は、インストロン社製引張試験機Instron1123を用いて、23℃、スパン間30mm、引張速度30mm/分で測定し、3回の測定の平均値を採用し、「接着強度」とした。
【0233】
恒温恒湿試験
上記接着強度試験で作製した積層体の周縁をブチルゴムでシールし、さらに外装をアルミ製の枠で覆って、模擬モジュールを準備した。この模擬モジュールを、JIS C8917に準拠し、スガ試験機(株)製XL75特殊仕様にて、試験槽内温度85℃、湿度85%の条件下で、上記積層体の促進試験を2000時間行った。促進試験後の積層体を取り出し、シートサンプルのガラスに対する接着強度を測定した。接着強度維持率は、(促進試験前の)初期の接着強度に対する維持率を示す。
【0234】
高強度キセノン照射試験
上記接着強度試験で作製した積層体の周縁をブチルゴムでシールし、さらに外装をアルミ製の枠で覆って、模擬モジュールを準備した。この模擬モジュールを、JIS C8917に準拠し、スガ試験機(株)製XL75特殊仕様にて、ブラックパネル温度(BPT)83℃、湿度50%の条件で、上記積層体の促進試験を2000時間行った。促進試験後の積層体を取り出し、シートサンプルのガラスに対する接着強度を測定した。接着強度維持率は、(促進試験前の)初期の接着強度に対する維持率を示す。
【0235】
ヒートサイクル試験
上記接着強度試験で作製した積層体の周縁をブチルゴムでシールし、さらに外装をアルミ製の枠で覆って模擬モジュールを準備した。この模擬モジュールを、JIS C8917に準拠し、スガ試験機(株)製XL75特殊仕様にて、試験槽内温度を−40℃から90℃まで2時間以内で昇温した後;90℃で1時間保持し;90℃から−40℃まで2時間以内で降温した後;−40℃で1時間保持する、という6時間のサイクルを200回繰り返し、上記積層体の促進試験を1200時間行った。促進試験後の積層体を取り出し、シートサンプルのガラスに対する接着強度を測定した。接着強度維持率は、(促進試験前の)初期の接着強度に対する維持率を示す。
【0236】
絶縁破壊抵抗
JIS−K6911に準拠し、厚さ0.4mmの試験片を用いて23℃で測定した。
試験片は、200℃に設定した神藤金属工業社製油圧式熱プレス機を用いて、10MPaの圧力でシート状に成形して得た。0.4mm厚のシート(スペーサー形状;240×240×2mm厚の板に80×80×0.5〜3mm、4個取り)の場合、200℃に設定した上記熱プレス機にて、試料を2分程度予熱した後、10MPaで1分間加圧した。得られた試料を、20℃に設定した別の神藤金属工業社製油圧式熱プレス機を用いて、10MPaで圧縮した後、3分程度冷却して測定用試料を作製した。熱板は5mm厚の真鍮板を用いた。
【0237】
ゲル分率
押出機にて得られたシートからサンプル1gを採取し、沸騰キシレンでのソックスレー抽出を10時間行い、30メッシュのステンレスメッシュでろ過した。ろ過後のメッシュを、110℃にて8時間減圧乾燥した後、メッシュ上のサンプルの残存量を算出した。
【0238】
水蒸気透過率
JIS−Z0208およびJIS−K7129に準拠し、23℃、90%湿度の条件下、カップ法による水蒸気透過率を、厚さ0.5mmの試験片を用いて測定した。
【0239】
電極腐食性
中央部に銀をスパッタリングした一対のガラス板(以下、薄膜電極と略す)の間に、厚み0.5mmのシートサンプルを挟んだ。これを、真空ラミネーター内の、150℃に温調したホットプレート上に載せて、2分間真空減圧した後、13分間加熱し、薄膜電極スパッタガラス/シートサンプル/薄膜電極スパッタガラスの積層体を作製した。この積層体を上記恒温恒湿試験した後、得られる積層体の銀電極の状態を目視評価した。評点を以下のとおりとした。
○:腐食による変化無し
△:腐食による変化が若干見られる
×:腐食により電極が茶褐色に変化あり
【0240】
固体粘弾性
得られたシート(片面にエンボス加工が施された、最大厚みtmaxが500μmのシート)を、幅3mm、長さ30mmの短冊状に切り出して試料片を準備した。この試料片の貯蔵弾性率を、ティー・エイ・インスツルメント社製のRSA−IIにより、窒素雰囲気下、周波数1Hz、昇温速度3℃/minの条件で、−70℃から測定可能な温度範囲まで測定した。そして、80℃での貯蔵弾性率(E’)を求めた。
【0241】
空隙率P
得られたシート(片面にエンボス加工が施された、最大厚みtmaxが500μmのシート)の、見掛けの体積V(mm)を、下記式(1)に示されるように、太陽電池封止材1の最大厚みtmax(mm)と単位面積(例えば1m=1000×1000=10mm)との積から求めた。
(mm)=tmax×10 ・・・(1)
一方、単位面積の太陽電池封止材の実際の体積V(mm)を、下記式(2)に示されるように、太陽電池封止材を構成する樹脂の比重ρ(g/mm)と単位面積(1m)当りの太陽電池封止材の実際の重さW(g)とから求めた。
(mm)=W/ρ ・・・(2)
太陽電池封止材の単位面積当りの凹部の合計体積V(mm)を、下記式(3)に示されるように、太陽電池封止材の見掛けの体積Vから実際の体積Vを差し引いた値として求めた。
(mm)=V−V=V−(W/ρ) ・・・(3)
そして、太陽電池封止材の空隙率(%)を次式によって求めた。
空隙率P(%)=V/V×100=(V−(W/ρ))/V×100=1−W/(ρ・V)×100=1−W/(ρ・tmax・10)×100
【0242】
長期保管試験
片面にエンボス加工が施された、最大厚みtmaxが500μmの太陽電池封止材のシートサンプルを準備した。このシートサンプルを、厚さ100μmのポリエチレン製のポリ袋に入れ、ポリ袋の開口部をヒートシールして常温で6ヶ月間保管した。保管後のシートサンプルを用いて、薄膜電極スパッタガラス/シートサンプル/バックシートの積層体を作製した。この積層体の、シートサンプルのバックシートとの剥離強度を180度ピールにより測定した。
【0243】
[実施例2]
エチレン系重合体(A)1’をエチレン系重合体(A)2’に代えた以外は実施例1と同様にしてブレンド物を得て、さらにシートを得た。得られたシートについて評価を行った。結果を表4に示す。
【0244】
[実施例3]
エチレン系重合体(A)1’をエチレン系重合体(A)3’に代え、耐熱安定剤(F)であるトリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイトの添加量を0.05重量部に代えた以外は実施例1と同様にしてブレンド物を得て、さらにシートを得た。得られたシートについて評価を行った。結果を表4に示す。
【0245】
[実施例4]
エチレン系重合体(A)1’をエチレン系重合体(A)4’に代え、耐熱安定剤(F)であるトリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイトの添加量を0.2重量部に代えた以外は実施例1と同様にしてブレンド物を得て、さらにシートを得た。得られたシートについて評価を行った。結果を表4に示す。
【0246】
[比較例1]
エチレン系重合体(A)1’をエチレン系重合体(A)5’に代え、耐熱安定剤(F)であるトリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイトの添加量を0.2重量部に代えた以外は実施例1と同様にしてブレンド物を得て、さらにシート成形を行った。しかし、シートの第1冷却ロールへの粘着が激しく、厚み500μmのシートを定常的に得ることが困難であった。また、シートのブロッキングが激しく、巻きだし難かった。得られたシートについて評価を行った。その結果、初期の接着強度や、恒温恒湿試験、高強度キセノン照射試験およびヒートサイクル試験後の接着強度維持率が低下した。結果を表4に示す。
【0247】
[比較例2]
エチレン系重合体(A)1’をエチレン系重合体(A)6’に代え、耐熱安定剤(F)であるトリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイトの添加量を0.02重量部に代えた以外は実施例1と同様にしてブレンド物を得て、さらにシートを得た。得られたシートについて評価を行った。その結果、本ラミネート加工条件では、エチレン系樹脂組成物が溶融しにくく、初期の接着性が発現しなかった。結果を表4に示す。
【表4】
【0248】
[実施例5]
エチレン系重合体(A)1’を、エチレン系重合体(A)1’を90重量部と、エチレン系重合体(A)3を10重量部との混合物に代えた以外は実施例1と同様にしてブレンド物を得て、さらにシートを得た。得られたシートについて評価を行った。結果を表5に示す。
【0249】
[実施例6]
エチレン系重合体(A)1’を、エチレン系重合体(A)1’を98重量部と、エチレン系重合体(A)3を2重量部との混合物に代え、耐熱安定剤(F)であるトリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイトの添加量を0.05重量部に代えた以外は実施例1と同様にしてブレンド物を得て、さらにシートを得た。得られたシートについて評価を行った。結果を表5に示す。
【0250】
[実施例7]
予め、エチレン系重合体(A)3を80重量部、エチレン性不飽和シラン化合物(B)1としてビニルトリメトキシシランを1.5重量部、有機過酸化物1として2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサンを0.05重量部、紫外線吸収剤(D)として2−ヒドロキシ−4−ノルマル−オクチルオキシベンゾフェノンを0.4重量部、ラジカル捕捉剤(E)としてビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケートを0.1重量部、および耐熱安定剤(F)としてトリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイトを0.2重量部ドライブレンドした後、サーモ・プラスチック(株)製単軸押出機(スクリュー径20mmφ・L/D=28)にて、ダイス温度210℃条件下で、押出溶融して変性体を得た。得られたエチレン系重合体(A)3の変性体と、ペレット状のエチレン系重合体(A)1’を20重量部とをドライブレンドして、エチレン系重合体のブレンド物を得た以外は実施例1と同様にしてシートを得た。得られたシートについて評価を行った。結果を表5に示す。
【0251】
[実施例8]
エチレン系重合体(A)1’を、エチレン系重合体(A)3に代え、耐熱安定剤(F)であるトリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイトの添加量を0.2重量部に代えた以外は実施例1と同様にしてブレンド物を得て、さらにシートを得た。得られたシートについて、評価を行った。結果を表5に示す。
【表5】
【0252】
[実施例9〜13]
エチレン系重合体(A)の種類および耐熱安定剤(F)であるトリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイトの添加量を表6に示す通りに代えた以外は実施例1と同様にしてブレンド物を得て、さらにシートを得た。得られたシートについて評価を行った。結果を表6に示す。
【0253】
[比較例3]
エチレン系重合体(A)を表6に示す通りに代えた以外は実施例1と同様にしてブレンド物を得て、さらにシート成形を行った。しかし、シートに腰がなく、また、第1冷却ロールへの粘着が激しく、厚みが500μmの均一なシートを得ることができず、接着性の評価には至らなかった。結果を表6に示す。
【0254】
[比較例4]
エチレン系重合体(A)を表6に示す通りに代えた以外は実施例1と同様にしてブレンド物を得て、さらにシート成形を行った。しかし、押出機のトルクがオーバーし押出シート成形が不可能だったため、シートを得ることができなかった。結果を表6に示す。
【0255】
[実施例14〜15]
エチレン系重合体(A)の種類および耐熱安定剤(F)であるトリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイトの添加量を表7に示す通りに代えた以外は実施例1と同様にしてブレンド物を得て、さらにシートを得た。得られたシートについて、評価を行った。結果を表7に示す。
【0256】
[比較例5]
エチレン系重合体(A)の種類および耐熱安定剤(F)であるトリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイトの添加量を表7に示す通りに代えた以外は実施例1と同様にしてブレンド物を得て、さらにシート成形を行った。しかし、第1冷却ロールへの粘着が激しく、厚みが500μmの均一なシートを得ることができず、接着性の評価には至らなかった。結果を表7に示す。
【0257】
[実施例16〜17]
エチレン系重合体(A)の種類および耐熱安定剤(F)であるトリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイトの添加量を表8に示す通りに代えた以外は実施例1と同様にしてブレンド物を得て、さらにシートを得た。得られたシートについて、評価を行った。結果を表8に示す。
【0258】
[比較例6]
エチレン系重合体(A)の種類および耐熱安定剤(F)であるトリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイトの添加量を表8に示す通りに代えた以外は実施例1と同様にしてブレンド物を得て、さらにシートを得た。得られたシートについて、評価を行った。結果を表8に示す。その結果、シートには脱灰時の極微量の酸が残留していたため、銀電極の腐食を起こした。また、初期の接着強度も低く、恒温恒湿試験、高強度キセノン照射試験、ヒートサイクル試験後の接着強度の維持率が低下した。
【0259】
[比較例7]
エチレン系重合体(A)の種類および耐熱安定剤(F)であるトリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイトの添加量を表8に示す通りに代えた以外は実施例1と同様にしてブレンド物を得て、さらにシートを得た。得られたシートについて、評価を行った。結果を表8に示す。その結果、シートの金属残渣が多く、絶縁破壊抵抗が低下した。また、恒温恒湿試験、高強度キセノン照射試験、ヒートサイクル試験後の接着強度の維持率が低下した。
【表6】
【表7】
【表8】
【0260】
[実施例18]
エチレン系重合体(A)1’を、エチレン系重合体(A)1’を90重量部とエチレン系重合体(A)3を10重量部との混合物に代え、エチレン性不飽和シラン化合物(B)1としてビニルトリメトキシシランの配合量を0.3重量部に代え、さらに有機過酸化物1を有機過酸化物2としてt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルカーボネート0.01重量部に代えた以外は実施例1と同様にしてブレンド物を得て、さらにシートを得た。得られたシートについて、評価を行った。結果を表9に示す。、
【0261】
[実施例19]
エチレン系重合体(A)1’を、エチレン系重合体(A)21’を90重量部とエチレン系重合体(A)3を10重量部との混合物に代え、エチレン性不飽和シラン化合物(B)1としてビニルトリメトキシシランの配合量を2.5重量部に代えた以外は実施例1と同様にしてブレンド物を得て、さらにシートを得た。得られたシートについて、評価を行った。なお、薄膜電極スパッタガラス/シートサンプル/バックシートの積層体の作製の真空ラミネーターの条件を、ホットプレート温度150℃、真空減圧2分、加熱6分間の条件に変更した。結果を表9に示す。
【0262】
[実施例20]
エチレン性不飽和シラン化合物(B)1(ビニルトリメトキシシラン)をエチレン性不飽和シラン化合物(B)2の3−アクロキシプロピルトリメトキシシランに代えた以外は実施例19と同様にしてブレンド物を得て、さらにシートを得た。得られたシートについて、評価を行った。なお、薄膜電極スパッタガラス/シートサンプル/バックシートの積層体の作製の真空ラミネーターの条件を、ホットプレート温度150℃、真空減圧2分、加熱6分間の条件に変更した。結果を表9に示す。
【表9】
【0263】
[エチレン・α−オレフィン共重合体1の合成例]
攪拌羽根を備えた実質内容積1Lのステンレス製重合器(攪拌回転数=500rpm)を用いて、重合温度105℃で、連続的にエチレンと1−ブテンとの共重合反応を行った。具体的には、重合器側部から液相へ、ヘキサンを毎時1.60L、エチレンを毎時56g、1−ブテンを毎時170gの速度で、また水素を毎時1.4NL、[ジメチル(t−ブチルアミド)(テトラメチル−η5−シクロペンタジエニル)シラン]チタンジクロライドを毎時0.0004mmol、トリフェニルカルベニウム(テトラキスペンタフルオロフェニル)ボレートを毎時0.004mmol、トリイソブチルアルミニウムを毎時0.2mmolの速度で連続的に供給し、重合圧力3.8MPaGになるように保持して共重合反応を行った。なお、連続的に得られたエチレン/1−ブテン共重合体のヘキサン溶液をホールドドラムに貯めて、そこに触媒失活剤として、メタノールを毎時0.2mlで添加して重合を停止した。
【0264】
得られたエチレン/1−ブテン共重合体のヘキサン溶液を、1時間毎に抜き出して、2Lのメタノール中で重合溶液からポリマーを析出させた。その後、ポリマーを、真空下130℃、10時間乾燥させて、エチレン/1−ブテン共重合体を得た。収量は毎時47.3gであった。
【0265】
[エチレン・α−オレフィン共重合体2の合成例]
合成例1の1−ブテンに代えて1−オクテンを毎時80g、ヘキサンを毎時1.8L、[ジメチル(t−ブチルアミド)(テトラメチル−η5−シクロペンタジエニル)シラン]チタンジクロライドを毎時0.0002mmol、トリフェニルカルベニウム(テトラキスペンタフルオロフェニル)ボレートを毎時0.002mmol、トリイソブチルアルミニウムを毎時0.05mmolにした以外は、合成例1と同様にして、エチレン/1−オクテン共重合体を得た。収量は毎時46.7gであった。
【0266】
合成例1および2で得られたエチレン・αーオレフィン共重合体(C)の物性を前述と同様にして測定した。このうち、分子量分布(Mw/Mn)と、MFR10/MFR2とについては、以下のようにして測定した。結果を表10に示す。
【0267】
エチレン・α−オレフィン共重合体(C)の分子量分布(Mw/Mn)
分子量分布(Mw/Mn)は、Waters社製GPC−150Cを用いて、以下のようにして測定した。
分離カラムは、TSKgel GMH6−HTおよびTSKgel GMH6−HTLを用いた。カラムサイズは、それぞれ内径7.5mm、長さ600mmであり、カラム温度は140℃とした。
移動相には、o−ジクロロベンゼン(和光純薬工業)および酸化防止剤としてBHT(武田薬品)0.025重量%を用いて、1.0ml/分で移動させた。試料濃度は、0.1重量%とし、試料注入量は500μリットルとした。検出器として、示差屈折計を用いた。
分子量がMw<1000およびMw>4×10の標準ポリスチレンとしては、東ソー社製のものを用い;1000≦Mw≦4×10の標準ポリスチレンとしては、プレッシャーケミカル社製のものを用いた。分子量計算は、ユニバーサル校正して、用いた各α−オレフィンに合わせてエチレン・α−オレフィン共重合体に換算した値である。
【0268】
MFR10/MFR2
1)MFR10の測定
JIS K−6721に準拠して190℃、10kg荷重にてMFR10を測定した。
2)上記測定したMRF10と、前述と同様にして測定したMFR2とより、MFR10/MFR2を算出した。
【表10】
【0269】
[実施例21]
エチレン系重合体(A)1’を、エチレン系重合体(A)21’を70重量部とエチレン系重合体(A)3を10重量部とエチレン・α−オレフィン共重合体1を20重量部との混合物に代え、エチレン性不飽和シラン化合物(B)1としてビニルトリメトキシシランの配合量を2重量部に代えた以外は実施例1と同様にしてブレンド物を得て、さらにシートを得た。なお、薄膜電極スパッタガラス/シートサンプル/バックシートの積層体の作製の真空ラミネーターの条件を、ホットプレート温度150℃、真空減圧2分間、加熱6分間の条件に変更した。得られたシートについて実施例1と同様の評価を行った。結果を表11に示す。
【0270】
[実施例22]
エチレン系重合体(A)1’を、エチレン系重合体(A)3を10重量部とエチレン・α−オレフィン共重合体2を90重量部との混合物に代え、エチレン性不飽和シラン化合物(B)1としてビニルトリメトキシシランの配合量を2重量部に以外は実施例1と同様にしてブレンド物を得て、さらにシートを得た。得られたシートについて実施例1と同様の評価を行った。結果を表11に示す。
【表11】
【0271】
[実施例23]
太陽電池モジュール用裏面保護部材として、第1ロール面の内側にポリエチレンテレフタレート樹脂製のバックシート(リンテック(株)製、リプレア)のオゾン洗浄品をセットし、実施例19のエチレン系樹脂組成物を押出ラミネート成形した。その結果、バックシートとの接着性、銀電極、ガラスへの接着性も実施例19と同等の性能を有する、太陽電池封止材と太陽電池モジュール用裏面保護部材とが一体化した太陽電池封止材を得た。
【0272】
[実施例24]
太陽電池モジュール用裏面保護部材として、第1ロール面の内側にポリエチレンテレフタレート樹脂製のバックシート(リンテック(株)製、リプレア)のオゾン洗浄品をセットし、実施例21のエチレン系樹脂組成物を押出ラミネート成形した。その結果、バックシートとの接着性、銀電極、ガラスへの接着性も実施例21と同等の性能を有する、太陽電池封止材と太陽電池モジュール用裏面保護部材とが一体化した太陽電池封止材を得た。
【0273】
[実施例25]
実施例23で作製した、太陽電池封止材と太陽電池モジュール用裏面保護部材とを一体化させた太陽電池封止材を準備した。前記太陽電池封止材/市販のEVA製太陽電池封止材(三井化学ファブロ(株)製、ソーラーEVA)/ガラスの構成となるように積層した。この積層物を、真空ラミネーター内の、150℃に温調したホットプレート上に載せて、真空減圧2分間、加熱13分間行い、ガラス/EVA/太陽電池封止材/太陽電池モジュール用裏面保護部材のラミネート積層体を作製した。次いで、このラミネート積層体を150℃の空気循環式オーブンにて60分間放置してEVAを架橋させ、ガラス/EVA/太陽電池封止材/太陽電池モジュール用裏面保護部材の積層体を得た。得られた積層体を15mm幅に切り、実施例23で作製した太陽電池封止材のEVAとの剥離強度を180度ピールにて測定した。その結果、EVAと、実施例25で作製した太陽電池封止材との接着強度が十分発現し、太陽電池封止材の基材破壊を起こした。
【0274】
[実施例26]
実施例24で作製した、太陽電池封止材と太陽電池モジュール用裏面保護部材とを一体化させた太陽電池封止材を準備した。そして、実施例25と同様にして、ガラス/EVA/太陽電池封止材/太陽電池モジュール用裏面保護部材の積層体を得た。この積層体を15mm幅に切り、実施例24で作製した太陽電池封止材のEVAとの剥離強度を180度ピールにて測定した。その結果、EVAと太陽電池封止材の接着強度が十分発現し、太陽電池封止材の基材破壊を起こした。
【0275】
[実施例27]
実施例5の太陽電池封止材のシートサンプルを、銀を中央部にスパッタリングした一対のガラス板(以下、薄膜電極と略す)の間に挟んで積層物を得た。この積層物を、真空ラミネーター内の、150℃に温調したホットプレート上に載せて真空減圧2分間、加熱13分間を行い、薄膜電極スパッタガラス/シートサンプル/薄膜電極スパッタガラスの積層体を作製した。得られた積層体を、恒温恒湿試験機に投入し、2000hr後の銀電極の状態を確認した。その結果、銀電極は投入初期と変わらず腐食が発生していなかった。また、積層体の水蒸気透過率の結果を表12に示す。
【0276】
[実施例28]
実施例19の太陽電池封止材のシートサンプルを用いて、実施例27と同様に、薄膜電極スパッタガラス/シートサンプル/薄膜電極スパッタガラスの積層体を作製した。得られた積層体を、恒温恒湿試験機に投入し、2000hr後の銀電極の状態を確認した。その結果、銀電極は投入初期と変わらず腐食が発生していなかった。また、積層体の水蒸気透過率の結果を表12に示す。
【0277】
[実施例29]
実施例21の太陽電池封止材のシートサンプルを用いて、実施例27と同様に、薄膜電極スパッタガラス/シートサンプル/薄膜電極スパッタガラスの積層体を作製した。得られた積層体を、恒温恒湿試験機に投入し、2000hr後の銀電極の状態を確認した。その結果、銀電極は投入初期と変わらず腐食が発生していなかった。また、積層体の水蒸気透過率の結果を表12に示す。
【0278】
[比較例8]
銀を中央部にスパッタリングした一対のガラス板(以下、薄膜電極と略す)の間に、厚み0.5mmの市販のEVA製太陽電池封止材(三井化学ファブロ(株)製、ソーラーEVA)のシートサンプルを挟んで積層物を得た。この積層物を、真空ラミネーター内の、150℃に温調したホットプレート上に載せて、真空減圧2分間、加熱13分間を行い、薄膜電極スパッタガラス/シートサンプル/薄膜電極スパッタガラスのラミネート積層体を作製した。次いで、このラミネート積層体を、150℃の空気循環式オーブンにて60分間放置して、EVAを架橋させて、薄膜電極スパッタガラス/シートサンプル/薄膜電極スパッタガラスの積層体を得た。得られた積層体を、恒温恒湿試験機に投入し、2000hr後の銀電極の状態を確認した。その結果、銀電極は投入初期と変わり若干の腐食が発生していた。また、積層体の水蒸気透過率の結果を表12に示す。
【表12】
【0279】
[実施例30]
エチレン系重合体(A)1’を、エチレン系重合体(A)21’を90重量部とエチレン系重合体(A)3を10重量部との混合物に代え、エチレン性不飽和シラン化合物(B)1としてビニルトリメトキシシランの配合量を2重量部に代え、有機過酸化物1として2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサンの配合量を0.03重量部に代えた以外は実施例1と同様にしてブレンド物を得た。さらに、第1冷却ロールのエンボスロールを交換して、空隙率Pが10%となるようにした以外は実施例1と同様にしてシートを得た。得られたシートについて評価を行った。結果を表13に示す。
【0280】
[実施例31]
耐熱安定剤(F)であるトリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイトの添加量を0.2重量部に代えた以外は実施例30と同様にしてブレンド物を得た。さらに、第1冷却ロールのエンボスロールを交換して、空隙率Pが50%となるようにした以外は実施例30と同様にしてシートを得た。得られたシートについて評価を行った。結果を表13に示す。
【0281】
[実施例32]
エチレン系重合体(A)21’とエチレン系重合体(A)3との混合物を、エチレン系重合体(A)4’を100重量部に代え、耐熱安定剤(F)であるトリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイトの添加量を0.2重量部に代えた以外は実施例30と同様にしてブレンド物を得て、さらにシートを得た。得られたシートについて評価を行った。結果を表13に示す。
【0282】
[実施例33]
エチレン系重合体(A)21’とエチレン系重合体(A)3との混合物を、エチレン系重合体(A)21’を10重量部とエチレン系重合体(A)3を10重量部とエチレン・α−オレフィン共重合体1を80重量部との混合物に代えた以外は実施例31と同様にしてブレンド物を得て、さらにシートを得た。得られたシートについて評価を行った。結果を表13に示す。
【表13】
【0283】
表13に示されるように、実施例30〜33では、ラミネート加工後の薄膜太陽電池に割れなどは生じておらず、良好であった。また、ラミネーターの状態も、太陽電池封止材のシートによる汚染はみられず、良好であった。さらに、恒温恒湿試験後の銀電極の状態も特に腐食はみられず、良好であった。
【0284】
本出願は、2009年6月1日出願の特願2009−132432、および2009年10月15日出願の特願2009−238653に基づく優先権を主張する。当該出願明細書に記載された内容は、すべて本願明細書に援用される。
【産業上の利用可能性】
【0285】
本発明は、ガラス、バックシート、薄膜電極との接着性、電気絶縁性、透明性、成形性、長期保存安定性、クッション性およびプロセス安定性に優れるエチレン系樹脂組成物に関し、さらにこれを用いた太陽電池封止材に関する。また本発明は、このような太陽電池封止材または太陽電池用封止シートを用いた太陽電池モジュールに関する。さらに、特定の範囲の貯蔵弾性率および太陽電池封止シート表面に空隙率を有することで、太陽電池モジュールのラミネート加工のセル割れや気泡の巻き込みを防止できる。
【0286】
さらに、本発明の太陽電池封止材は、耐熱性、耐湿性および接着性にも優れ、薄膜用太陽電池モジュールの太陽電池封止材、結晶型太陽電池モジュールの裏面側の太陽電池封止材として有用である。
【符号の説明】
【0287】
20 太陽電池モジュール
22 太陽電池セル
22A (太陽電池セルの)受光面
22B (太陽電池セルの)裏面
24 表面保護部材
26 裏面保護部材
28 封止層
29 インターコネクタ
32 集電線
34A、34B タブ付用母線
36 導電層
図1
図2