【実施例】
【0038】
以下、実施例を揚げて本発明の錠剤を具体的に説明する。
実施例および比較例において、錠剤の(a)硬度、(b)崩壊時間、(c)摩損度、(d)錠剤厚み、(e)顆粒の粒度分布、(f)顆粒の平均粒子径、(g)顆粒のかさ密度は以下に記載する測定法によって測定された値を意味する。
(a)硬度
錠剤硬度計 DC-50(岡田精工(株))を用いて、錠剤硬度を測定し
た。
(b)崩壊時間
「第15局改正日局試験法、一般試験法・崩壊試験法に準拠し、試験
液は水を用いた。
(c)摩損度
全質量が6.5gにできるだけ近い量に相当する錠剤を試験試料とし、
100回転(24〜26回転/分)後、摩損度(初期質量に対する減少質量
の百分率)を算出した。
「第15局改正日局試験法、参考情報・錠剤の摩損度試験法」に準拠。
摩損度=
((摩損前の錠剤初期質量(g)−摩損後の錠剤質量(g))×100
摩損前の錠剤初期質量(g)
(d)錠剤厚み
シックネスゲージ(新潟精機)を用いて、錠剤厚みを測定した。
(e)顆粒の粒度分布
電磁振動ふるい装置:エンデコッツ製オクタゴン
使用ふるい:850、710、500、355、180、150、106μm
試験条件:振動強度5、篩時間5分
試料約100gをふるい及び受器を重ね合わせた容器の上段のふるいに
いれ、上ぶたをした後、装置にセットする。上記の条件で試験した
後、各々のふるい及び受器の残留物の重量を量る(0.01g単位ま
で)。
(f)顆粒の平均粒子径D50
上記粒度分布の大きい粒子から積算し50重量%積算値の粒径とし
た。
(g)顆粒のかさ密度
試料をJIS K5101 見掛け比容静置法で使用する容量100mlの容器
に標準ふるい16メッシュ(目開き1.0mm)を施し、容器が山盛りに
なるまで入れる。
直線にへらで山盛りを削り取る。
受器の内容物の質量を0.01gの単位まで量る。
かさ密度(g/ml)=F/100 F:受器内の試料の質量、100:受器
の容量(ml)
【0039】
製剤処方例
表1、表2、表3の処方例に従い、下記の製造法で実施した。
なお、330mg製剤及び250mg製剤においては、基本的には500mg製剤とほぼ同一比例処方である。
実施例および比較例において使用された試剤の商品名(または商標名)および入手先は下記のとおりである。
(a)酸化マグネシウム粒子:“酸化マグネシウムT”
(協和化学工業(株)社製)
(b)結晶セルロース−I:“VIVAPUR 101 Premium”
(JRS Pharma Gmbh&Co.,Kg.,社製)
(c)結晶セルロース−II: “セオラスKG−1000”
(旭化成ケミカルズ(株)社製)
(d)トウモロコシデンプン: “精製乾燥殺菌コーンスターチ”
(松谷化学工業(株)社製)
(e)クロスカルメロ−スナトリウム: “キッコレートND−2HS”
(ニチリン化学工業(株)社製)
(f)ステアリン酸カルシウム: “ステアリン酸カルシウム 植物性”
(太平化学産業(株)社製)
(g)不溶性ポリビニルピロリドン(クロスポビドン):
“Kollidon CL”(BASF JAPAN社製)
なお表1〜表3中、“内部添加剤”は顆粒剤を調製する場合に使用された試剤を意味し、“外部添加剤”は一旦得られた顆粒剤(本整粒顆粒)にさらに配合された試剤を意味する。
【0040】
【表1】
【0041】
【表2】
【0042】
【表3】
【0043】
実施例1、3、5:(500mg, 330mg, 250mg製剤)
平均2次粒子径が6.50μmの酸化マグネシウム粒子17.17kg、結晶セルロース-I 0.33kg、高成形性の結晶セルロース-II 0.33kg、クロスカルメロースナトリウム 0.27kg、ステアリン酸カルシウム0.07kgをコンテナ型混合機にて混合後、ロール成形型乾式造粒機にてロール圧力5MPaで造粒した成形物をオシレーター式粉砕機にて顆粒を製した。本整粒顆粒18.17kgとステアリン酸カルシウム0.17kgをコンテナ型混合機にて混合後、さらに外部添加剤のクロスポビドン 0.50kg、結晶セルロース-II 0.17kgをコンテナ型混合機にて混合し製錠顆粒とした(表4参照)。但し、330mg製剤は、外部添加剤の結晶セルロース-II 0.16kgとする。その製錠顆粒物性を表5、6、7に示す。
【0044】
実施例2、4、6:(500mg,330mg,250mg製剤)
平均2次粒子径が6.50μmの酸化マグネシウム粒子17.17kg、結晶セルロース-I 0.17kg、結晶セルロース-II 0.50kg、クロスカルメロースナトリウム0.27kg、ステアリン酸カルシウム0.07kgをコンテナ型混合機にて混合後、ロール成形型乾式造粒機にてロール圧力5MPaで造粒した成形物をオシレーター式粉砕機にて顆粒を製した。本整粒顆粒18.17kgとステアリン酸カルシウム0.17kgをコンテナ型混合機にて混合後、さらに外部添加剤クロスポビドン0.50kg、結晶セルロース-II 0.17kgをコンテナ型混合機にて混合し製錠顆粒とした(表4参照)。但し、330mg製剤は、外部添加剤の結晶セルロース-II 0.16kgとする。その製錠顆粒物性を表5、6、7に示す。
【0045】
比較例1:(500mg製剤)
平均2次粒子径が6.50μmの酸化マグネシウム粒子17.17kg、結晶セルロース-I 1.19kg、クロスカルメロースナトリウム0.59kgをコンテナ型混合機にて混合後、ロール成形型乾式造粒機にてロール圧力5MPaで造粒した成形物をオシレーター式粉砕機にて顆粒を製した。本整粒顆粒19.15kgとステアリン酸カルシウム0.20kgをコンテナ型混合機にて混合し製錠顆粒とした(表4参照)。その製錠顆粒物性を表5に示す。
【0046】
比較例2:(330mg製剤)
平均2次粒子径が6.50μmの酸化マグネシウム粒子17.17kg、結晶セルロース-I 1.20kg、トウモロコシデンプン0.36kg、クロスカルメロースナトリウム0.59kgをコンテナ型混合機にて混合後、ロール成形型乾式造粒機にてロール圧力5MPaで造粒した成形物をオシレーター式粉砕機にて顆粒を製した。本整粒顆粒19.3kgとステアリン酸カルシウム0.21kgをコンテナ型混合機にて混合し製錠顆粒とした(表4参照)。その製錠顆粒の顆粒物性を表6に示す。
【0047】
比較例3:(250mg製剤)
平均2次粒子径が6.50μmの酸化マグネシウム粒子17.17kg、結晶セルロース-I 1.24kg、トウモロコシデンプン0.34kg、クロスカルメロースナトリウム 0.62kgをコンテナ型混合機にて混合後、ロール成形型乾式造粒機にてロール圧力5MPaで造粒した成形物をオシレーター式粉砕機にて顆粒を製した。本整粒顆粒19.37kgとステアリン酸カルシウム0.21kgをコンテナ型混合機にて混合し製錠顆粒とした(表4参照)。その製錠顆粒物性を表7に示す。
【0048】
【表4】
【0049】
【表5】
【0050】
【表6】
【0051】
【表7】
【0052】
実施例7、8および比較例4(500mg製剤)
実施例1、2で製した顆粒を用い、直径10.5mm、エッジ摩損抑制に有効な隅角単R杵(隅角角度30°、隅角水平距離0.8mm、カップ深さ0.94mm、R20°)を24本装着したロータリー打錠機にて、打錠圧力15〜16KNで製錠し、1錠当たり重量570mg、厚み5.1mmの酸化マグネシウム錠剤を得た。
一方、比較例3で製した顆粒を用い、単R杵(直径10.5mm、カップ深さ0.78mm、R17.5)を用い、580mg/錠、厚み5.1mmの酸化マグネシウム錠剤を得た(比較例3)。ここで“単R”とは隅角角度および隅角水平距離を有しない形状を意味する。その錠剤物性値を表8に示す。
【0053】
【表8】
【0054】
実施例9、10及び比較例5(330mg製剤)
実施例3、4で製した顆粒を用い、直径9.0mm、エッジ摩損抑制に有効な隅角単R杵(隅角角度30°、隅角水平距離0.68mm、カップ深さ0.87mm、R14.7)を24本装着したロータリー打錠機にて、打錠圧力9〜10KNで製錠し、1錠当たり重量376mg、厚み4.7mmの酸化マグネシウム錠剤を得た。
一方、比較例2で製した顆粒を用い、単R杵(直径9.0mm、カップ深さ0.77mm、R13mm)を用い、375mg/錠、厚み4.7mmの酸化マグネシウム錠剤を得た(比較例5)。その錠剤物性値を表9に示す。
【0055】
【表9】
【0056】
実施例11、12及び比較例6(250mg製剤)
実施例5、6で製した顆粒を用い、直径8.0mm、エッジ摩損抑制に有効な隅角単R杵(隅角角度30°、隅角水平距離0.61mm、カップ深さ0.78mm、R12.8)を24本装着したロータリー打錠機にて、打錠圧力9〜10KNで製錠し、1錠当たり重量285mg、厚み4.4mの酸化マグネシウム錠剤を得た。
一方、比較例3で製した顆粒を用い、単R杵(直径8.0mm、カップ深さ0.65mm、R12)を用い、285mg/錠、厚み4.4mmの酸化マグネシウム錠剤を得た(比較例6)。その錠剤物性値を表10に示す。
【0057】
【表10】
【0058】
実施例13〜15および比較例7〜9(錠剤形状が及ぼす錠剤物性への影響)
製剤処方及び錠剤形状杵剤形(単Rと隅角単R)の組合せと錠剤物性(錠剤硬度及び摩損度)の関係を表11〜13に示す。その結果、250mg製剤、330mg製剤、500mg製剤ともに、本発明の錠剤形状のものは摩損度の低減となり、優位性が確認された。また杵剤形を隅角単R杵に変更することで大幅な摩損度の低減となった。
【0059】
【表11】
【0060】
【表12】
【0061】
【表13】
【0062】
実施例16、17及び比較例10(裸錠の加速経時における崩壊遅延抑制検討)
実施例7、8および比較例4の錠剤を用い、安定性評価を実施した。試験は加速経時条件下(40℃−RH75%)、裸錠における崩壊時間の遅延抑制状況を測定した。その結果を表14に示す。
【0063】
【表14】
【0064】
実施例18、19および比較例11(落下試験での錠剤の割れ欠け評価)
机上80cmの高さから、錠剤入りボトルを垂直に落下させ、錠剤の割れ欠けを調べた。その結果を、表15に示す。その結果、本発明の錠剤は、大幅に錠剤の割れ欠けの発現が抑制された。
【0065】
【表15】