特許第5696054号(P5696054)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ イーライ リリー アンド カンパニーの特許一覧

特許5696054注射後に自動的に注射器を引き抜く、薬剤を注射するための装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5696054
(24)【登録日】2015年2月13日
(45)【発行日】2015年4月8日
(54)【発明の名称】注射後に自動的に注射器を引き抜く、薬剤を注射するための装置
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/158 20060101AFI20150319BHJP
   A61M 5/32 20060101ALI20150319BHJP
【FI】
   A61M5/158 500N
   A61M5/32
【請求項の数】5
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2011-554101(P2011-554101)
(86)(22)【出願日】2010年3月8日
(65)【公表番号】特表2012-520128(P2012-520128A)
(43)【公表日】2012年9月6日
(86)【国際出願番号】US2010026503
(87)【国際公開番号】WO2010104779
(87)【国際公開日】20100916
【審査請求日】2013年2月27日
(31)【優先権主張番号】61/159,911
(32)【優先日】2009年3月13日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】594197872
【氏名又は名称】イーライ リリー アンド カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100084146
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100081422
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 光雄
(74)【代理人】
【識別番号】100118625
【弁理士】
【氏名又は名称】大畠 康
(74)【代理人】
【識別番号】100144200
【弁理士】
【氏名又は名称】奥西 祐之
(72)【発明者】
【氏名】エイドリアン・ベントン・ジェイムズ
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン・ジョゼフ・メイソン
(72)【発明者】
【氏名】クリスティン・ウェイ・シエン・マケルヘイニー
【審査官】 金丸 治之
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2008/112472(WO,A2)
【文献】 国際公開第2004/032989(WO,A2)
【文献】 国際公開第2007/047200(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/158
A61M 5/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤送達装置であって、
遠位端と近位端との間に延びる筐体と、
第1の位置と第2の位置との間で、前記筐体内において、回転可能に固定されかつ軸方向に移動可能な注射器搬送部と、
前記搬送部内に保持され、近位側の先端を有する注射針を備える、医薬が充填された注射器であって、
前記注射針の先端は、前記搬送部が前記第1の位置にある場合、前記筐体内に配置されており、
前記注射針の先端は、前記搬送部が前記第2の位置にある場合、注射部位に挿入するために、前記近位側の端部を越えて、前記筐体から突き出ている、医薬が充填された注射器と、
前記筐体の遠位端から軸方向に延び、かつ前記近位側の方向に手動で移動可能なプランジャであって、
前記プランジャは、前記筐体内において、回転可能に固定されかつ軸方向に移動可能である、プランジャと、
前記プランジャが前記筐体に向かって近位側に手動で差し込まれる場合、前記搬送部を、前記第1の位置から前記第2の位置へと前進させ、かつ、前記注射器から医薬を注射させるために、前記プランジャは、前記プランジャの第2タブ部(168)が、前記筐体のリブ部(114)に沿ってスライドするとき、前記搬送部のノブ部(98)に動いて係合する第1タブ部(166)を含んでおり、前記第1タブ部は、前記第2タブ部が前記リブ部の近位端に到達するとき、前記ノブ部への係合から抜けるようになっており、
前記プランジャが遠位側に移動する場合、前記注射針の先端が前記筐体内に再び配置される位置へと、前記搬送部を前記第2の位置から引き抜くために、前記搬送部の突起部(106)は、前記第1タブ部(166)の1つによって当接される、薬剤送達装置であり、前記薬剤送達装置は:
前記筐体内にあるつば部であって、少なくとも1つのカム作用可能な面を備える、つば部と;
注射針を挿入して前記注射器から医薬を注射する、前記プランジャの手動による前記近位側の方向への移動の間、前記つば部を、前記つば部と共に移動するための前記プランジャに対して解放可能な形で外れ止めを行うための、前記プランジャのノブ部(160)でサイズ及び構成される前記つば部のへり部(200)であって、
前記つば部が前記筐体内で第1の角度方向から前記筐体内で第2の角度方向へと回転される場合、解放される、前記つば部のへり部及び前記プランジャのノブ部と;
前記つば部のへり部及び前記プランジャのノブ部が解放されて、前記筐体内で前記つば部から前記プランジャを遠位側に押し出す場合、軸方向において前記つば部と前記プランジャを離させるための付勢部材(210)と;
注射の間に前記つば部が前記プランジャと共に近位側に移動すると、少なくとも1つの前記カム作用可能な面を係合し、前記第1の角度方向から前記第2の角度方向へと前記つば部を回転して移動させ、それにより、前記つば部のへり部及び前記プランジャのノブ部を解放し、前記搬送部の突起部に当接する前記プランジャの第1タブ部の作用によって、注射の終わりに、前記付勢部材により前記プランジャを遠位側に駆動させかつ前記注射針の先端を引き抜くことを可能にする少なくとも1つのタブ部(220)と;
を備える、薬剤送達装置。
【請求項2】
プランジャの近位側への移動が初期のときである間に、前記第1の角度方向において前記つば部を維持し、かつプランジャの近位側への移動が後期のときである間に、前記つば部を回転させるための、前記筐体のリブ部(112)の第2のセットに適合する前記つば部の切り欠き部(174)をさらに備え、
前記筐体のリブ部の第2のセットの端部(113)は、前記つば部が前記第2の角度方向に配置された場合、前記筐体内において前記つば部が遠位側へ移動することを制限する、請求項1に記載の薬剤送達装置。
【請求項3】
前記つば部は、前記筐体から前記注射器の注射針の近位側への指し込みを防ぐために、前記搬送部を引き抜き後にロックするための、前記搬送部上の半径方向の突起の上を摺動して次いで係合するための少なくとも1つの弾性のあるタブを備える、請求項1に記載の薬剤送達装置。
【請求項4】
前記付勢部材は、前記つば部と前記プランジャとの間でとらえられた圧縮バネを備え、遠位端は前記プランジャと当接し、近位端は前記つば部と当接する、請求項1に記載の薬剤送達装置。
【請求項5】
前記少なくとも1つのカム作用可能な面は、前記つば部の近位側の面において切り欠き部によって形成された傾斜面を備える、請求項1に記載の薬剤送達装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬剤送達装置に関し、より詳細には、薬剤を注射するための、手動によって動力が与えられる送達装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の異なる疾患を患っている患者はしばしば自分で薬剤を注射する必要がある。一部の患者には標準の注射針を自分の皮膚に挿入し、次いで、注射器を操作して薬剤を注射することは困難であるので、様々な装置がそうした注射の行為を容易にするために提案されている。
【0003】
ある種類の装置は、自動的に注射針を挿入し、次いで、挿入された注射針を介して自動的に1回分の医薬を注射するものである。これらの装置は有用ではあるが、複雑であるために、提供するには高価である場合があり、さらに、そうした注射の行為に対してより管理することを望む利用者にとっては所望されない場合もある。
【0004】
様々な種類が揃えられた注射ペンもまた利用可能であり、これらのペンでは、一部の人々にとっては手動での注射をより容易にするものである。しかしながら、多くのそのようなペンは、様々な投薬量の注射に適している場合もあるが、一度きりの使用に必要とされる場合には不必要に複雑なものである。
【0005】
別の種類の装置は、特許文献1に開示されており、利用者に使い勝手がよい形にて、手動での注射針の挿入および手動での医薬の注射を可能にする。しかしながら、この種類の装置は、手動であって自動ではなく、注射後に注射針を、筐体内の保護された位置に引き抜くものであり、これはあらゆる使用者にとっては直感的に理解できない場合があるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2007/047200号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このように、これらのうちの1つ以上および従来技術の他の弱点を克服することができる装置を提供することが所望される。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の1つの形態において、本発明は薬剤送達装置を提供し、これは遠位端と近位端との間に延びる筐体と、第1の位置と第2の位置との間で、上記筐体内において、回転可能に固定されかつ軸方向に移動可能な注射器搬送部と、上記搬送部内に保持され、近位側の先端を有する注射針を備える、医薬が充填された注射器であって、上記注射針の先端は、上記搬送部が上記第1の位置にある場合、上記筐体内に配置されており、上記注射針の先端は、上記搬送部が上記第2の位置にある場合、注射部位に挿入するために、上記近位側の端部を越えて、上記筐体から突き出ている、医薬が充填された注射器と、上記筐体の遠位端から軸方向に延び、かつ上記近位側の方向に手動で移動可能なプランジャであって、上記プランジャは、上記筐体内において、回転可能に固定されかつ軸方向に移動可能である、プランジャと、上記プランジャが上記筐体に向かって近位側に手動で差し込まれる場合、上記搬送部を、上記第1の位置から上記第2の位置へと前進させ、かつ、上記注射器から医薬を注射させるための、上記搬送部、上記筐体、および上記プランジャにある手段と、上記プランジャが遠位側に移動する場合、上記注射針の先端が上記筐体内に再び配置される位置へと、上記搬送部を上記第2の位置から引き抜くための、上記搬送部および上記プランジャにある手段とを備える。上記薬剤送達装置は、上記筐体内にあるつば部であって、少なくとも1つのカム作用可能な面を備える、つば部と、注射針を挿入して上記注射器から医薬を注射する、上記プランジャの手動による上記近位側の方向への移動の間、上記つば部を、上記つば部と共に移動するための上記プランジャに対して解放可能な形で外れ止めを行うための、上記つば部および上記プランジャにある手段であって、上記外れ止めの手段は、上記つば部が上記筐体内で第1の角度方向から上記筐体内で第2の角度方向へと回転される場合、解放される、手段と、上記外れ止めの手段が解放されて、上記筐体内で上記つば部から上記プランジャを遠位側に押し出す場合、軸方向において上記つば部と上記プランジャを離させるための付勢手段と、注射の間に上記つば部が上記プランジャと共に近位側に移動すると、少なくとも1つの上記カム作用可能な面を係合し、上記第1の角度方向から上記第2の角度方向へと上記つば部を回転して移動させ、それにより、上記外れ止めの手段を解放し、上記搬送部を引き抜かせるための、上記搬送部および上記プランジャにある上記手段の作用によって、注射の終わりに、上記付勢手段により上記プランジャを遠位側に駆動させかつ上記注射針の先端を引き抜くことを可能にする手段とを備える。
【0009】
本発明の1つの利点は、医薬の注射を便利にも手動で制御可能であり、いったんこの装置が医薬投与に用いられたら、その注射器の注射針は自動的に引き抜かれる、単一での使用の医薬送達装置が提供され得ることである。
【0010】
本発明のさらなる別の利点は、そうした手動で制御された医薬投与の後にその注射器の注射針が自動的に引き抜かれる間、その注射器の注射針は再利用されないように自動的にロックされることを可能にする、医薬送達装置が提供され得る。
【0011】
本発明の上述した利点および他の利点ならびに課題、またそれらを達成する方法は、添付の図面と併せて考慮される本発明の実施形態の以下の記載を参照することによって、より明確となり、かつ本発明自体がよりよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】初期または待機状態にある本発明の薬剤送達装置の1つの実施形態の斜視図である。
図2図1の薬剤送達装置の斜視展開図である。
図3図1の薬剤送達装置の別の斜視展開図である。
図4図1の装置の正面展開図である。
図5図1の装置の側面展開図である。
図6A図1の装置の付勢部材を保持するつば部の上面斜視図である。
図6B図1の装置の付勢部材を保持するつば部の底面斜視図である。
図6C図1の装置の付勢部材を保持するつば部の側面図である。
図6D図1の装置の付勢部材を保持するつば部の前面図である。
図6E図1の装置の付勢部材を保持するつば部の上面図である。
図6F図1の装置の付勢部材を保持するつば部の底面図である。
図7A図1の装置の筐体のベースプレートの上面斜視図である。
図7B図1の装置の筐体のベースプレートの前面図である。
図7C図1の装置の筐体のベースプレートの側面図である。
図7D図1の装置の筐体のベースプレートの断面図である。
図8図1の線8−8に沿った、送達装置の長手方向の断面図である。
図9図8に類似した長手方向の断面図であり、送達装置が注射針を挿入している間にその注射器を前進させる過程にある図である。
図10図9に類似した長手方向の断面図であり、送達装置が、挿入されている注射器の注射針を介して、その装置内に含まれる医薬を注射させる過程にある図である。
図11図9に類似した長手方向の断面図であり、送達装置が、その装置内に含まれる医薬注射のほぼ終わりに近く、このときに、引き抜きアセンブリが稼動状態へとシフトされている図である。
図12図9に類似した長手方向の断面図であり、送達装置の内容物が投与された後であって手動での差し込みの力がプランジャから取り除かれる前の図である。
図13図9に類似した長手方向の断面図であるが、図1の線13−13に沿った断面図であり、手動での差し込みの力がプランジャから取り除かれた後であって引き抜きアセンブリの操作によって注射器が引き抜かれている間の図である。
図14図13に類似した長手方向の断面図であり、注射器が完全に引き抜かれて、さらなる使用を防ぐためにロックされた後の最終状態にある装置である図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
対応する参照符号は、いくつかの図を通して対応する部分を示す。図面は本発明の実施形態を表しているが、それは必ずしも縮尺通りではなく、本発明をより良く図示し説明するために、特定の特徴が強調されている場合があるか、または図面の一部において省略されている場合がある。
【0014】
ここで図1から図14を参照すると、本発明の薬剤送達装置の一実施形態が示されている。通常、参照符号20で示される送達装置は、単回使用の送達装置である。装置20は主な引き抜き部として標準の予め充填された注射器に基づいているが、他の注射器に適合していてもよい。装置20はすぐに利用できる形で持ち運ばれ、中に予め充填された医薬を一回の決められた投薬量で提供するように操作可能である。この装置は特許文献1(この公報は本明細書において参照することにより援用される)に開示されたものと多くの点において機能的に類似している。
【0015】
図面に関連して詳細な記載中の任意の方向的な参照、例えば、上側または下側、上部または底部、あるいは前部および側部等は記載の便宜のために意図されたものであり、それにより本発明を限定せず、または、そうした部品のいずれかを、任意の特定の位置または空間的方向に限定しない。
【0016】
送達装置20は、使用者が、片手でその装置を用いて、注射するための予め選択された部位の皮膚にその装置を快適に配置することができるように設計される。こうして配置した後、通常、使用者のもう一方の手は、手動でその装置のプランジャを押し下げて注射針を挿入し、薬物を送達するように使用することができる。この押し下げの力がこの装置のプランジャからなくなると、注射器の注射針は自動的に装置の筐体内へと引き抜かれて、その中で自動的にロックされる。
【0017】
送達装置20は、遠位端24および近位端26を有する、通常、参照符号22で示される外側筐体を備える。本明細書において用いられる場合、遠位および近位とは、送達装置が注射部位において用いられるために方向付けられる場合、そのような部位に対するその送達装置の軸方向位置のことであり、そのため、例えば、その筐体の近位端は、このような注射部位に最も近い筐体の端部のことをいう。
【0018】
外側筐体22の外周面は、大きさおよび形状が調節されており、部位の選択および注射の間、使用者または介護人が片手で容易に把持することができる材料からなる。外側筐体22は、共に固定して取り付けられた本体28、端部プレート30、および本体つば部32により形成されて示されている。つば部32は環状部34を有し、ここから、組立て中、本体28につば部32をしっかりと固定するために、本体28にある開口部38を介してスナップ式で留まる対の外れ止め用の突起36に懸っている。つば部32は、ABSプラスチック等の適切な材料でできていてよく、使用中に、プランジャが滑動して導かれるときに、限られた抵抗によりプランジャを安定させる。本体28およびプレート30は、透明プラスチックを含む1つ以上の材料で形成されてよく、かつ特に把持可能な部分について、ソフトタッチのカバーで形成されてよく、かつ各々は、図示された単一の射出成形された部分のみではなくそれ以上のものから組み立てられていてもよい。
【0019】
プレート30は皮膚接触面40および上側面42を備え、注射針が通過するための中央開口部44および3つの弓形スロット46で形成される。注射前に人によって手動で取り除かれるように設計されたプラスチックの注射針キャップ50は、ギザギザの付いた外周を有するベース部52、および開口部44を通して固定される直立したスリーブ部54を備える。スロット46内で固定する3つの湾曲したカム56はスリーブ部54の外側に配置されてキャップの取外しを容易にする。各カム56のベース部はまた、いったんスロット46に挿入されると、外側にスナップ式で固定して、プレート面42と解除可能に係合し、意図的に取り除かれるまでは装置20上の適切な位置にキャップ50を保持する、外側方向を向いたスナップ機構58を用いて形成される。
【0020】
スリーブ部54は、その遠位端において、直径方向において対向する突起部60の対を備える。スリーブ内側空洞部62は、注射器70の注射針72、ならびに可撓性封止シールド74、およびキャップの一部として効果的に機能する剛性のカバー76を収容する。キャップ50が図1に示される構成から取り除かれる場合、突起部60にある外れ止めフックが剛性のカバー76の遠位の面と係合して、シールド74およびカバー76を注射針72から取り外すように機能して、その後の使用のために筐体内で注射針の先端を露出させる。
【0021】
注射器70は、公知の適切な設計のものであり、注射針72が搭載されたバレル80、および医薬が充填された内部84の遠位端を摺動可能に封止する可撓性のストッパーまたはピストン82を備える。
【0022】
装置20の注射器搬送部90は、外側筐体22内に配置される。搬送部90は、以下でさらに記載されるように、外側筐体22に対して回転可能に固定されるが、装置の機能性を許容するために、筐体内において選択的に軸方向に移動することができる。搬送部90は、適切なプラスチック材料から一つながりで形成され、座部として機能する遠位端94を有する管状本体92を備え、この座部の上に、注射器の、遠位端において突出しているバレル80のフランジ86を固定する。注射器のバレル80は本体92の内部空洞93内に固定され、空洞部93を画定する搬送部内部面上に形成される図示されていない対の長手方向に延びるリブ部は、搬送部90に対して回転しかつ軸方向に固定される方向において、摩擦適合して注射器80を保持する。他の代替可能または追加の固定手段、例えば搬送部の上部におけるクリップ等が、カートリッジおよびシリンダを共に保持するために用いられてもよい。
【0023】
その遠位端において、管状本体92は本体92の外周と一体的に形成され、かつ半径方向外側に突き出た一対のガイドキー、すなわち翼部96を備える。段階式ノブ部(staging nub)98がキー96の間の搬送体周辺に配置される。ノブ部98は本体92と一体的に形成され、かつ本体92から半径方向外側に、キー96よりも短い距離で突き出ている。ノブ部98は押圧面として機能し、この面に対して軸方向の力がプランジャによって搬送部90へとかけられることができ、この搬送体を駆動し、かつ注射針を挿入するために注射器を近位において保持する。
【0024】
その近位端から突き出ていると、搬送本体92は直径方向において配置されている一対の、軸方向に延びた可撓性の脚部100を備える。戻り止め部102は、近位端において、各脚部100の外側領域上に形成される。各脚の近位端の内側面は、組立て中に脚部100を外側に曲げるために、キャップのスリーブ部54の面取りされた端部と協動する小さな先端面取りまたは傾斜部分を備える。
【0025】
搬送本体92は、180度の角度の間隔でその外側に、かつ本体92の近位端付近において形成される一対のノブ部104を備える。ノブ部104は半径方向外側に突き出ており、注射器が使用後に自動的に引き抜かれた後に、付勢部材を保持するつば部の補足機構と協動して筐体内の後退位置においてその注射器をロックする、引き抜きロック機構の役割を果たす。
搬送本体92はまた、戻り止めノブ部104の遠位に配置され、かつそこから角度が付けられてオフセットされた単一の弾性の捕捉部(capture)、すなわち外れ止め突起部(latching tang)106を備える。この突起部106は、本体92の下方にかつ半径方向外側の方向に、本体92から角度を付けられて突き出ている。突起部106は弾性を有した構造であるので、内側に曲がることができ、次いで、挿入過程の間のプランジャ部材が通過する間に、外側に向かって反発してロック機構へと戻ることができる。
【0026】
筐体本体28は、図4における参照符号112により破線で示された、直径方向に対向し、長手方向に延びる一対のリブ部を備える面によって画定された内部空洞部110を備える。リブ部112は、プランジャアセンブリの長手方向の動きを案内するキーの役割を果たす。リブ部112の近位端は参照符号113で示されている。プランジャアセンブリと協動する直径方向に対向した一対の段階的リブ部114は、リブ部112から角度をつけて間隔が置かれている。各リブ部114は、バー状の主部115、主部115の遠位端へと至る傾斜面、すなわち傾斜部118、および主部115の近位端における傾斜部120を備える。傾斜部118は、注射器が動くのに先立って、短期間の円滑なエネルギーを蓄え、傾斜部120は実際に、プランジャによる直線的な進行から、搬送部を解放させる。傾斜部118および120は、適切な感覚およびペンの操作を達成するために、設計者によって選択された傾斜であってよい。適切な傾斜は約45度を含むものであり、傾斜部120のより大きな傾斜には、図示の装置に対する段階的変化をなくす(unstaging)動きを画定するよう、プランジャをより正確に解放することが所望され得る。
【0027】
装置20のプランジャは、主に参照符号130で示され、使用者がこの装置を稼動することでの手動での操作が可能である。プランジャ130は、プランジャスリーブ部132、プランジャロッドまたはステム134、およびプランジャキャップ136(これらは全てアセンブリ製造中において堅く相互連結される)を含むプラスチック成形部品から形成されて図示されている。プランジャスリーブ部132は、半径方向に間隔を置いた位置関係において、ステム134の周囲に、かつステム134と同心円状に配置されて、搬送部および注射器の部分を自由に固定する環状の間隙を画定する。キャップ136の遠位にある面138は、プランジャを使用者が差し込むことで、その面に対して直接に圧迫することが意図されている。プランジャステム134は、キャップ136の近位の面の環状へり部(lip)142内で圧入され、次いでさらに、UV硬化された接着剤で固定される遠位端140を備える。プランジャステムおよびキャップは、例えばスナップ式での固定などのように、異なるように取り付けられてもよい。プランジャステム134の近位端145は、注射器のピストン82が直接に押圧係合するために、注射器のバレル80内で自由に固定されるようにサイズ調整されている。
【0028】
プランジャのスリーブ部132は、キャップ136の第2の環状へり部146内で圧入され、次いでさらに、UV硬化された接着剤で固定される遠位端152を備える円筒形の管状本体150を有する。プランジャのスリーブ部およびキャップは、例えばスナップ式の固定を介して異なるように取り付けられてもよい。円周上に面取りされたショルダー部、すなわちへり部156はスリーブ部132の近位端周囲に延びている。へり部156内で直径方向に対向し、かつ長手方向に延びた第1の対のスロット、すなわち切り欠き部158は筐体のリブ部112を収容して、スロットを案内する役割を果たし、これにより、使用中に筐体内で長手方向に移動するとき、プランジャが移動する間、筐体28に対するプランジャのスリーブ部132の回転運動を常に防ぐ。へり部のスロット158から環状に間隔を置いているへり部156内で直径方向に対向し、かつ長手方向の第2の対のスロット159は、クリアランススロットの役割を果たして、段階的リブ部114が通過することを可能にさせる。へり部156は、挿入に先立って、本体つば部32による妨害により使用者が筐体からプランジャを不適切に引き抜くことを防ぐ。
【0029】
プランジャのスリーブ部132の内部面には図示されていない長手方向に延びる一対の案内溝が備わっている。案内溝は搬送キー96を摺動可能に受取って、以下でさらに記載するように、相対的な軸運動を可能にする間、常に、搬送部90とプランジャ部材130とを共に、効果的にかつ回転可能にロックする。図4において参照符号160で示された破線において示すように、プランジャのスリーブ部132の内側面はまた、直径方向に対向した一対のノブ部を備える。ノブ部160は、アセンブリ製造中に、以下で記載される付勢部材を保持するつば部と搬送部90とを共に解放可能な形で外れ止めを行うために、その付勢部材を保持するつば部の補足的な機構と協動する外れ止め機構として機能する。
【0030】
直径方向に対向した弾性のある一対の突起部165は近位端付近において、プランジャのスリーブ部132内に形成される。突起部165の各々は、図2に示されるように、その近位端において、内側に突き出たタブ部166を備え、かつ半径方向外側に突き出たタブ部168を備える。タブ部166は、図1に示されている待機位置からプランジャ130が筐体22に対して差し込む間、突起部165が内側に曲がり、かつタブ部168が筐体のリブ部144に沿って摺動するとき、搬送部の段階的ノブ部98と駆動して係合するように構造化されている。
【0031】
装置20の注射器自動引き抜き機構は、通常、参照符号170で示される付勢部材を保持するつば部を利用し、これは図6Aから図6Fにさらに示す。つば部170は、注射の後で注射器が引き抜かれた後に、ロックして搬送部90と係合するまで、搬送部に対して軸方向に回転可能に動くことができるように、その搬送部と共にその周囲に同心円状に自由に固定される。付勢部材を保持するつば部170は、装置20が組み立てられたとき、搬送部90周囲全体に延びて亘っているリング状本体172を備える。つば部本体172は、筐体のリブ部112を収容するその外周に形成された、長手方向に延びる一対の切り欠き部174を備える。切り欠き部174の各々に隣接して示された小さな長手方向のリブ部175は公差制御のために提供されている。つば部本体172は、その外周にある切り欠き部174と角度をつけて間隔が置かれている長手方向に延びる一対の第2の切り欠き部176を備え、かつクリアランススロットとして機能して段階的リブ部114が通過することを可能にする。一対の切り欠き部は各々、傾斜面180を備え、広がった設置面182が、本体172の下側面177において、180度の角度の間隔にて形成される。つば部170の内部において、通常、本体172の近位側を向いた面178は、注射器が引き抜かれる間、搬送部の戻り止め部102の遠位側の面における平面部101が当接することで物理的な停止部分として機能する。
【0032】
本体172の上側面185は、以下に記載するように外側に曲がり、次いで内側に動いて搬送部をロックする弾性のあるロック突起部192を画定する、一対の対向する開口したスロット189がその外周に沿って施された直立した管状部分187となる。管状部分187における直径方向に対向した切り欠き部195は、アセンブリ製造中、搬送案内キー96が通過できるように提供される。2つの軸方向に向いたリブ部194はその軸方向の高さに沿って、つば部170の内部面から突き出ている。リブ部194は装置部品のセンタリングを維持する役割を果たす。管状部品の遠位端に沿って、プランジャの一対の外れ止め機構が、180度の角度の間隔で距離を置いて形成される。2つの外れ止め機構が力のバランスを取ることが好適であるが、例えば単一のそのような機構等、異なる数のそのような機構が採用されてもよい。各々の外れ止め機構は、通常、参照符号200で示されるへり部を備え、これは管状部分187の、内側に凹んだ領域196に覆いかぶさるように半径方向外側に突き出ている。へり部200は、外周方向に延びる保持部分202、ならびに、保持部分202から存在する短い捕捉部分204および端部壁部分206を備える。へり部200は、へり部200と接触したプランジャのノブ部160と、そのノブ部160の上で適合するように、大きさが調節されて、そのノブ部160と一緒に構成される。より詳細には、保持部分202の近位側の面と適合され、かつ、へり部202の軸方向下方にあって、角度的には壁部分206と捕捉部分204との間にある空間内で、凹んだ領域196に向かって突き出ているノブ部に適合されるように構成される。このような構成において、つば部170は、プランジャと解放可能な形で外れ止めをされている。凹んだ領域196は、ノブ部160と適合して、半径方向にさらなる材料を許容し、それゆえさらに堅牢なへり部係合を可能にするために、図示の実施形態におけるさらなる空間を提供する。さらに、凹んだ領域196の背部を規定する壁は、搬送部本体92の外面に接近しているため、へり部200が装置の引き抜きまたは稼動の間、半径方向内側に曲がらないようにする。壁部分206はへり部200に剛性を加える役割を果たし、捕捉部分204はアセンブリ製造中に部品の位置合わせを維持するのに有用であるノブ部のための戻り止め機構を提供する。
【0033】
プランジャ130とつば部170とを分離させる付勢部材は、装置20の注射器自動引き抜き機構の一部である。図示した実施形態において、付勢部材はプランジャとつば部との間にとらえられた予め設置された部材の形をとっている。この付勢部材は、つば部管状部分187周囲に適合するコイル状の金属圧縮バネ210である。バネ210の遠位端212はプランジャのスリーブへり部156の下側に当接し、バネ210の近位端214はつば部本体172の上側面185に当接する。
【0034】
装置20が、図1および図8において示されるように、待機状態にあるとき、プランジャ130とつば部170は共に外れないようにされており、こうした外れ防止の結果、つば部のへり部200とプランジャのノブ部160との係合を形成し、バネ210は圧縮された状態においてとらえられて、つば部170、およびそれゆえ、とらえられたバネ210はプランジャと共に運ばれて、同じようにしてプランジャに対して移動する。プランジャ130およびつば部170は、以下でさらに記載されるように、外れ止め機構を解放し、これらの部品を外すように互いに対して回転される場合、引き抜きアセンブリが稼動可能となり、バネ210はプランジャ130およびつば部170を軸方向に遠ざけるように広がる準備が整う。バネ210は、使用者がプランジャから手を放すか、あるいは注射の終わりにプランジャへの任意の力を加えるのを止めたときに、注射器の搬送部と筐体の端部プレートとを保持する戻り止め力を克服して、適切に搬送部を引き抜き自動的に注射器を保持するための十分な力を提供するように設計者によって選択される。スプリングの力は、注射が完了するまで使用者がプランジャを継続して差し込む場合に、そのプランジャが不意に遠位へと移動しないように使用者によって与えられるはずの通常の指し込みの力よりも弱いものである。ある適切なバネ210は、プランジャへ約1.1ポンド(約499グラム)の最大戻り力を付与する。
【0035】
注射器の引き抜き機構はまた、プランジャ130との外れ止め係合からつば部170を回転させるように、そのつば部170を係合する筐体内に、軸方向にかつ回転可能に固定された外し機構を利用する。図示の実施形態において、外し機構は、端部プレート30と一体的に形成された一対の直立のタブ部220の形で提供される。代替の実施形態において、タブの機能は、例えば、つば部との係合のために、筐体本体28の内部面に固定され、そこから内側に突き出た耳等で、異なるように提供されてもよい。タブ部220は、つば部の傾斜面180によって摺動可能に係合され、つば部設置面182に対して適合する、半径方向に向けられた上部面222を備える。脚部がキャップスリーブ部54によって外側に曲げられたときに、搬送部の脚部100の端部がタブ部面222に当接すると、キャップが取り除かれる前に注射をしようとする近位側でのプランジャの動きを妨げる。各上側面222の内側端部224は面取りされていて、解放可能に搬送部の脚部戻り止め部102と係合するように設計された戻り止め傾斜部228が備わったタブ部の側面226へと至る。端部プレートと一体的に形成されている2つの支持部材230はタブ部220の間に延びていて、そのリング状開口部38はタブ部220に剛性を与える。支持部材230上に形成された棚部232は戻り止め傾斜部228の側面に位置し、搬送部脚部の戻り止め部102と当接して搬送部が前進するのを停止させる停止面として機能する。棚部232は傾斜部の成形を容易にするために傾斜部228の下方には延びていない。タブ部220の高さは、プランジャ130からつば部170を外すよう設計中に選択され、それによりいったんプランジャの駆動力が取り除かれると注射針を引き抜くことを可能にし、この時点で、許容制限内で注射器の所望の含有量全体が搬送されたことを保証する。このような時点において、通常、注射器のピストンは注射器バレルの底からわずかに空間を空けており、通常の手動の指し込み動作の力および運動量により、自動引き抜き機構によりプランジャを遠位端へと移動させることのできる力がそのプランジャから取り除かれる前に、使用者は通常、注射器のピストンの移動を最も低い位置に移動させると考えられる。
【0036】
つば部によって物理的に係合されているそのつば部および装置の部品は、それらの間で摺動を行わせるように選択された材料からなる。例えば図示した実施形態において、つば部32は、例えば潤滑性添加剤を用いて成形されたABSプラスチック等の低摩擦材料から一つながりで形成されており、プランジャのスリーブ部130および端部プレート30は透明なABS等の1つ以上の補足的なプラスチックから成形される。
【0037】
装置20の構成は、例示的な操作の以下の説明を鑑みてさらに理解される。使用者には、通常、図1および図8において示される、キャップがなされた待機状態で装置が提供される。使用者がキャップ50、それゆえ保持シールド74およびカバー76を取り除き、これにより注射針72を露出させた後(しかし全体は本体28の空間内にある)、装置を手動にて注射部位に対して端部プレート30を用いて配置する。次いで使用者が手動にて、プランジャのキャップ136に直接に指し込み力を付与すると、プランジャ130は近位側へと移動を開始して、タブ部168と筐体のリブ部114との摺動による係合の結果生じる突起部165の内側への動きに起因して、タブ部166がノブ部98と当接する。プランジャ130を手動でさらに差し込むと、搬送部90およびその保持された注射器70を駆動し始め、ならびに、戻り止め部102が端部224の上に摺動しかつタブ部面226に沿って摺動すると搬送部脚部100が内側に曲がるので、同時にかつ等量にて、搬送部つば部170およびとらえられたバネ210を近位側に駆動し始める。手動による指し込みが続いて、注射針72の先端が開口部44を通過して使用者の注射部位へと移行すると、搬送部90は、戻り止め部102が戻り止め傾斜部228で弾かれるまで近位側へと移動し続け、注射針が挿入されたことを音と触知で指示し、このとき、プランジャの突起部165は、タブ部168がリブ部114の近位端に到達したことに起因して、外側に広がって弾性的にノブ部98と係合する。この時点で、プランジャのスリーブ部による直接的な係合に起因した搬送部の前進が止まり、注射針は注射のために効果的に挿入されて、装置は図9に示されるように構成される。
【0038】
使用者が手動にて近位側にプランジャ130を差し込み続けると、ピストン82は、プランジャロッド134によって力が加えられて、軸方向に固定された注射器内において近位側に移動され、注射器に含まれる医薬を、注射針72を介して外に押し出す。このピストン運動の間、筐体に対して近位側への方向におけるさらなる搬送部および注射器の前進は、摩擦力および/または動水力に起因して、通常は、例えば約0.5mmなどの非常に少しであるのが典型的であり、こうした少しの前進は、筐体のプレート棚部232と当接する搬送部脚部の戻り止め部102によって物理的に止められる。図10は、医薬挿入の間であって、プランジャのスリーブ部のタブ部166が搬送部の突起部106の半径方向内側にカム作用を開始する前の時点における装置20を示す。つば部170は、へり部202とノブ部160との係合により、プランジャ部材130と外れないままであり、図10においては、この図面において切れ目が用いられているのでそれらのうちの1つのみしか示されない。つば部170はまた、つば部の案内切り欠き部174が筐体のリブ部112上にいまだ適合しているので、筐体22に対する回転動作が固定された配置のままとなっている。つば部170は、端部プレートのタブ部220と係合する位置にはいまだ到達していない。図11は、医薬送達の間であって、プランジャのスリーブ部のタブ部166が突起部106(この突起部はその外側に延びる配置構成へと弾性的に戻される)を近位側に通過した後の時点における装置20を示す。図10の位置から図11の位置へプランジャが移動する間、つば部170は軸方向に搬送され、その結果、切り欠き部174はリブ部112の端部113を通過して、筐体内でつば部が回転しないようにしていた1つの制限を解放する。さらに、つば部170は、プランジャ130からつば部170を外して引き抜きアセンブリを機能させることができるように、プレートタブ部220とのカム係合に起因して、筐体内において第1の角度方向から強制的に回転させられている。より詳細には、つば部170がそのように下方に移動されると、傾斜面180はタブ部上側面222と接触し、つば部170は、つば部面180が面タブ部222に沿って摺動すると回転し、ここでつば部設置面182は、つば部のさらなる近位側への動きを物理的に止める機能を果たすタブ部上側面222に到達して、そこに案内される。このとき、つば部170は筐体内で第2の角度方向にあり、ここで、つば部のへり部202および捕捉部分204は、つば部とスリーブ部とを外すように、プランジャのノブ部160に対して回転して、プランジャのノブ部160と完全に取り払い、それにより、それらの間で作用する引き抜きバネ210を解放し、このバネの即時の拡張は、使用者がプランジャに対して付与している継続的な力によって防がれる。こうした解除は、前述したように、機械的公差の量に応じ、図12において示されるように、プランジャ130がそのストロークの終わりに到達する直前に生じ、ここでピストン82は、注射器バレル80内の最も低い位置にあり、プランジャ130が使用者によって近位側へと前進されるさらなる全ての力を停止させ、最も低い位置に置かれたことは、挿入が完全であることを使用者に示している。バネ210はコイル内で十分なクリアランスを有するように選択されて、プランジャのスリーブ部130がつば部170に対して有する近位側への動きの最後の部分に付随したわずかな圧縮を許容する。
【0039】
使用者がここで、挿入が完全であると知ると、次いで、プランジャ130への近位側へ力を付与することを止めて、引き抜きアセンブリは、さらなる使用者の入力なしに、自動的に筐体内に注射針を引き抜く役割を果たす。特に、バネ210が拡張すると、バネは筐体に対して遠位側にプランジャ130を駆動し、この運動の間に、プランジャのタブ部166は搬送部の突起部106と当接し、搬送部90およびその保持された注射器70を、プランジャと共に筐体28内で遠位側に移動させる。搬送部90および注射器70がプランジャ130によって上方に引き上げられると、搬送部のノブ部104はつば部の突起部192を通過し、この突起部は、ノブ部104と接触すると外側に弾性的に曲がり、次いで、ノブ部104の近位側に配置されたロック構成に対して半径方向内側に弾かれる。つば部170は、筐体のリブ部の端部113がつば部本体172の上側面185との衝突に起因して、上方へ引き上げられることが防がれる。この時点で、装置20は、図13に示されるように配置され、この配置において、注射器70およびその注射針72は、筐体内において近位側への移動をしないように保護するようにロックされて、この筐体中で、注射器の搬送部のノブ部104とつば部の突起部192とが直接、物理的に当接することで、注射針が筐体から近位側へと差し込むことのないようにする。バネ210は、搬送部の脚部の平面部101がつば部と当接し、物理的に停止され、つば部の遠位側への移動がリブ部の端部113によって防がれるまで、プランジャをさらに引き抜くことを継続して、とらえられた搬送体および保持された注射器を筐体内に引き抜き、この時点で、装置20は、図14に示すように構成されており、使用者によって適切に廃棄されるのを待機している状態である。
【0040】
本発明は好適な設計を有して図示されかつ記載されているが、本発明は、本開示の趣旨および範囲内において修正されてもよい。本出願は、それゆえ、その一般的な原理を用いて本発明の任意の変形、使用、または適合に及んでいることが意図されている。さらに、本出願は、本発明が関連する技術分野における公知または慣用の実施内において生じる本開示からのそのような逸脱にも及ぶことが意図されている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図6F
図7A
図7B
図7C
図7D
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14