(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来、自動車でドリンク缶や小物類を収納する手段として、アームレストに設置されるカップホルダー(例えば、特許文献1参照)やドアパネルに内装されるポケット(例えば、特許文献2参照)等が知られている。
【0003】
図6は、ドアパネルに小物類等を収容保持するポケットを内装してなる、従来の自動車用ドアトリム1の一例を示すものである。一般に、この種の自動車用ドアトリム1は、ドアトリム本体2に開設されたポケット用開口3に物品を収容するドアポケット4や後付け機能部品等を装着して構成されている。
【0004】
そのドアトリム本体2は、タルクを混入したPP樹脂(ポリプロピレン樹脂)をモールドプレス成形することにより所望の曲面形状に成形してなる樹脂芯材と、この樹脂芯材のプレス成形時、該樹脂芯材と一体化されるTPO(サーモプラスチックオレフィン)シート等の表皮材とから構成されており、室内側に膨出するアームレスト5の下側に上記ポケット用開口3が開設されている。
【0005】
前記ドアポケット4の構成について、
図6のB−B断面図である
図7を用いて更に説明すると、ドアポケット4は、ポケット用開口3を挟むように、表裏面側に設けられたポケットフロントカバー6とポケットバックカバー7により形成される。なお、上記ポケットフロントカバー6は、ドアトリム本体2を成形する際、そのドアトリム本体2と一体に成形されてなる。また、ポケットフロントカバー6及びドアトリム本体2の裏面側にはそれぞれ取付用ボス2a、6aが突設形成されている。
【0006】
一方、ポケットバックカバー7は、PP樹脂を浅底容器状に形成し、かつ開口をポケットフロントカバー6の裏面側に対向させて設置し、ドアトリム本体2側の取付用ボス2a及びポケットフロントカバー6側の取付用ボス6aをそれぞれ取付孔7a,7b内に挿入した後、その取付用ボス2a,6aを熱溶着等によりカシメ固定される。そのポケットバックカバー7の内面には、ドアポケット4の有底部を形成する板状の底面部8がポケットフロントカバー6の裏面側に向かって略水平に設けられている。
【0007】
したがって、ここでのドアポケット4は、取付用ボス2a,6aと取付孔7a,7bを係合させて、ポケットフロントカバー6の裏面側にポケットバックカバー7をカシメ固定することにより、断面略上向きコ字状のドアポケット4が形成されている。このドアポケット4内には、ドリンク缶や小物類等が収容保持される。
【0008】
このようなドアポケット4では、ドリンク缶を収容する場合はドリンク缶の底部を底面部8上に載せて支え、小物類等を載せる場合も小物類を直接載せて支える構成とすると、車両走行中における車体の振動に伴ってドリンク缶の底部や小物類と底面部8との接触等により、ガタガタ音を含むさまざま異音を発生して耳障りとなる問題や、ドリンク缶の外周側面に発生した水滴が底面部8上に溜まり、飲むときにドリンク缶に付着して水滴が洋服や車内に落下し、濡らしたり汚したりする問題が発生する。そこで、これらの問題を防止するのに、底面部8上に中敷き9を布設している。
【0009】
また、この中敷き9は、濡れたり汚れたりした際に手入れを要する。そのため、中敷き9は着脱可能になっており、その脱着をするための手段として、
図8に示すように中敷き9の端部にタブ9aを一体に設けている。そして、中敷き9を取り外す場合は、
図7に示すようにドアポケット4の内側に手を差し込み、更に指100の先でタブ9aを引っ掛け、または摘んで持ち上げるようにして取り外していた。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という)について詳細に説明する。
【0022】
図1は本発明に係る自動車用ポケット構造を適用した自動車用ドアトリムを示す斜視図である。自動車用ドアトリム11は、ドアトリム本体12に開設されたポケット用開口13に物品を収容する自動車用ポケットとしてのドアポケット14や後付け機能部品等を装着して構成されている。
【0023】
そのドアトリム本体12は、タルクを混入したPP樹脂(ポリプロピレン樹脂)をモールドプレス成形することにより所望の曲面形状に成形してなる樹脂芯材と、この樹脂芯材のプレス成形時、該樹脂芯材と一体化されるTPO(サーモプラスチックオレフィン)シート等の表皮材とから構成されており、室内側に膨出するアームレスト15の下側に上記ポケット用開口13が開設されている。
【0024】
図2及び
図3は本発明に係る自動車用ポケット構造の第1の実施形態としてのドアポケット14を示すもので、
図2は
図1中のA−A線に相当する断面図、
図3は
図2に示すポケットバックカバーと中敷きの構造を説明する図である。
【0025】
図2及び
図3において、前記ドアポケット14は、ポケット用開口13を挟むように、ドアポケット14の前側の側壁面16aを形成する表面側に設けられたポケットフロントカバー16と同じくドアポケット14の後側の側壁面17a及び底面17b(以下、「内側底面17b」という)を形成するポケットバックカバー17とにより形成され、またドアポケット14の内側底面17b上には、中敷き18が着脱可能に布設されている。
【0026】
なお、上記ポケットフロントカバー16は、ドアトリム本体12を成形する際、そのドアトリム本体12と一体に成形されてなる。そのドアトリム本体12の裏面側には取付用ボス12aが突設され、またポケットフロントカバー16の裏面側にも取付用ボス(図示せず)が突設されている。
【0027】
一方、ポケットバックカバー17は、PP樹脂を浅底容器状に形成して、かつ開口をポケットフロントカバー16の裏面側(側壁面16a)に対向配置される。そのポケットバックカバー17の内面下側部分は、ポケットフロントカバー16の裏面側に向かって略水平に延ばされ、そのポケットフロントカバー16側に延ばされた部分により板状の底面部、すなわち上記内側底面17bを形成している。また、
図3に示すように、内側底面17bの先端部の一部は更に下方に折り曲げられ、その折り曲げられた一部によりポケットフロントカバー16と対向する取付フランジ17dが形成され、その取付フランジ17dにポケットフロントカバー16側の取付用ボスと対応して取付孔17eが設けられている。さらに、ポケットバックカバー17には、ドアトリム本体12側の取付用ボス12aと対応する位置に取付孔17cが設けられている。そして、ポケットバックカバー17とドアトリム本体12との間は、ドアトリム本体12側の取付用ボス12aを取付孔17cに挿入した後、その取付用ボス12aを熱溶着等によりカシメ固定して結合され、ポケットバックカバー17とポケットフロントカバー16との間は、ポケットフロントカバー16側の前記取付用ボスを取付フランジ17dの取付孔17eに挿入した後、その取付用ボスを熱溶着等によりカシメ固定して結合される。
【0028】
したがって、ここでのドアポケット14は、ドアトリム本体12側の取付用ボス12及びポケットフロントカバー16側の取付ボスとポケットバックカバー17側の取付孔17c,17eを係合させて、それぞれの取付ボスをカシメ固定することにより、有底形の断面略上向きコ字状をしたドアポケット14として形成されている。
【0029】
更に詳しくは、前記ポケットバックカバー17の内側底面17bには、このポケットバックカバー17からポケットフロントカバー16に向かって溝状の凹所19が形成されている。その凹所19は、
図3に示すようにポケットフロントカバー16側からポケットバックカバー17の側壁面17a側へ進むに従い徐々に深さが増す有底溝状に形成されており、ポケットバックカバー17の側壁面17aと連続している部位である端面には貫通した切欠孔20が設けられている。
【0030】
前記中敷き18は、ポリ塩化ビニル(PVC)またはエチレンプロピレンゴム(EPDM)等の軟質樹脂材でなり、前記内側底面17b上に布設できるように、内側底面17bと平面視の形が略一致し、かつ弾性変形可能で薄板状に形成されている。また、内側底面17bの凹所19と対応した位置には、上面側から指を挿入可能な凹部21を設けて、この中敷き18の下面側から垂下した状態にして、この中敷き18と一体に形成されてなるリブ状部22が設けられている。なお、このリブ状部22の形状は、中敷き18を内側底面17b上に布設した際、リブ状部22の端面22aと凹所19の切欠孔20との間に、その端面22aの弾性変形による変形を許容するための空間23が設けられるように、
図2に示すように端面22aが中敷き18の端18aよりも十分内側に形成されている。
【0031】
そして、このように構成されたドアポケット14は、ドアポケット14内にドリンク缶や小物類等を収容することができ、ドリンク缶や小物類等は中敷き18を介して内側底面17b上に載置されて収容保持される。
【0032】
また、中敷き18が濡れたり汚れたりして、取り外して手入れを要する際には、ポケット用開口13から手を差し入れ、その差し入れた手の指100を中敷き18の上側からリブ状部22の凹部21内に差し込むと共に、その差し込んだ指100を端面22aに当てがい、その端面22aをポケットバックカバー17の側壁面17a側に押す。
【0033】
これにより、リブ状部22の端面22aが指100の押圧で弾性変形され、
図2の(b)に示すように、この変形されたリブ状部22の一部が指先を上下方向両側から挟み込む。すなわち、指先の挟み込みにより、指100がリブ状部22に引っ掛かった状態となり、指先をリブ状部22の端面22aに引っ掛けて中敷き18を引き上げ易くした状態にする。また、中敷き18の他端とポケットフロントカバー16の側壁面16aとの間に隙間αが形成されるため、他の指を隙間αに入れて中敷き18を掴むことができ、これにより中敷き18を更に掴み易くする。
【0034】
そして、この状態で手を引き上げると、中敷き18をリブ状部22と共に指100で容易に引き上げることができ、中敷き18をドアポケット14内から簡単に取り外すことができる。
図2の(a)はリブ状部22の凹部21内に指を差し込む前の状態を示し、(b)は指100をリブ状部22の凹部21内に差し込んで端面22aをポケットバックカバー17の側壁面17a側に押すことにより、指先が上下方向から挟まれている状態を示す。また、取り外して手入れを終えた後は、ポケット用開口13から差し入れることにより再び布設することができる。
【0035】
また、このドアポケット14の構造では、リブ状部22の端面22aと凹所19の切欠孔20との間に、該端面22aの弾性変形による変形を許容する空間23が設けられているので、リブ状部22の端面22aが押圧されて一部が弾性変形する際、その空間23がリブ状部22の弾性変形を許容して、該リブ状部22が指先をより挟み易い状態となるまで、大きく変形するのを可能にする。
【0036】
さらに、ポケットバックカバー17の凹所19において、側壁面17aと隣接する端面、すなわちリブ状部22の端面と対向する端面には、貫通孔としてなる切欠孔20が設けられているので、リブ状部22の端面22aが指100で押圧されて一部が弾性変形する際、その切欠孔20によるスペースがリブ状部22の弾性変形を許容して、リブ状部22が指先をより挟み易い状態となるまで、大きく変形するのを可能にする。
【0037】
なお、上記空間23及び切欠孔20は、空間23か切欠孔20のどちらか一方を設けるだけでも上記端面22aの大きな弾性変形を得ることは可能である。
【0038】
図4及び
図5は本発明に係る自動車用ポケット構造の第2の実施形態としてのドアポケット14を示すもので、
図4は
図1中のA−A線に相当する断面図、
図5は
図4に示すポケットバックカバーと中敷きの構造を説明する図である。この第2の実施形態の構成は、第1の実施形態の構成が指でリブ状部22の端面22aをポケットバックカバー17の側壁面17a側に押して中敷き18を取り外す構造としているのに対して、指でポケットフロントカバーの側壁面側に押して中敷きを取り外す構造にしたものであり、他の構成は
図2及び
図3と同一であるから、同一の構成部分は同一符号を付して説明をする。
【0039】
図4及び
図5において、前記ドアポケット14は、ポケット用開口13を挟むように、表裏面側からドアポケット14の前側の側壁面26aを形成する表面側に設けられたポケットフロントカバー26と同じくドアポケット14の後側の側壁27a及び底面27b(以下、「内側底面27b」という)を形成するポケットバックカバー27とにより形成され、またドアポケット14の内側底面27b上には、中敷き28が着脱可能に布設されている。
【0040】
なお、上記ポケットフロントカバー26は、ドアトリム本体12を成形する際、そのドアトリム本体12と一体に成形されてなる。また、ポケットフロントカバー26及びドアトリム本体12の裏面側にはそれぞれ取付用ボス26b、12aが突設されている。
【0041】
一方、ポケットバックカバー27は、PP樹脂を浅底容器状に形成して、かつ開口をポケットフロントカバー26の裏面側(側壁面26a)に対向配置される。そのポケットバックカバー27の内面下側部分は、ポケットフロントカバー26の裏面側に向かって略水平に延ばされ、そのポケットフロントカバー26側に延ばされた部分により板状の底面部、すなわち上記内側底面27bを形成している。また、
図5に示すように、内側底面27bの先端部の一部は更に下方に折り曲げられ、その折り曲げられた一部によりポケットフロントカバー26と対向する取付フランジ27dが形成され、その取付フランジ27dにポケットフロントカバー26側の取付用ボス26bと対応して取付孔27eが設けられている。さらに、ポケットバックカバー27には、ドアトリム本体12側の取付用ボス12aと対応する位置に取付孔27cが設けられている。そして、ポケットバックカバー27とドアトリム本体12の間、及び、ポケットバックカバー27とポケットフロントカバー26との間は、ドアトリム本体12側の取付用ボス12a及びポケットフロントカバー26側の取付用ボス26bをそれぞれ取付孔27c,27e内に挿入した後、その取付用ボス12a,26bを熱溶着等によりカシメ固定して結合される。
【0042】
したがって、ここでのドアポケット14は、取付用ボス12a,26bと取付孔27c,27eを係合させて、それぞれの取付用ボス12a,26bをカシメ固定することにより、有底形の断面略上向きコ字状をしたドアポケット14として形成される。
【0043】
更に詳しくは、前記ポケットバックカバー27の内側底面27bには、ポケットフロントカバー26と隣接する端部からポケットバックカバー27の側壁面27aと隣接する部位に向かって溝状の凹所29が形成されている。その凹所29は、
図5に示すように側壁面27a側からポケットフロントカバー26と隣接する端部側へ進むに従い徐々に深さが増す有底溝状に形成されており、その端部側はポケットフロントカバー26に向かって開口されている。
【0044】
前記中敷き28は、ポリ塩化ビニル(PVC)またはエチレンプロピレンゴム(EPDM)等の軟質樹脂材でなり、前記内側底面27b上に布設できるように、内側底面27bと平面視の形が略一致し、かつ弾性変形可能で薄板状に形成されている。また、内側底面27bの凹所29と対応した位置には、上面側から指を挿入可能な凹部31を設けて、この中敷き28の下面側から垂下した状態にして、この中敷き28と一体に形成されてなるリブ状部32が設けられている。なお、このリブ状部32の形状は、中敷き28を内側底面27b上に布設した際、リブ状部32の端面32aとポケットフロントカバー26の側壁面26aとの間に、その端面32aの弾性変形による変形を許容するための空間33が設けられるように、
図4に示すように端面32aが中敷き28の端28aよりも十分内側に形成されている。
【0045】
そして、このように構成されたドアポケット14は、ドアポケット14内にドリンク缶や小物類等を収容することができ、ドリンク缶や小物類等は中敷き28を介して内側底面27b上に載置されて収容保持される。
【0046】
また、中敷き28が濡れたり汚れたりして、取り外して手入れを要する際には、ポケット用開口13から手を差し入れ、その差し入れた手の指100を中敷き28の上側からリブ状部32の凹部31内に差し込むと共に、その差し込んだ指100を端面32aに当てがい、その端面32aをポケットフロントカバー26の側壁面26a側に押す。
【0047】
これにより、リブ状部32の端面32aが指100の押圧で弾性変形され、
図4の(b)に示すように、この変形されたリブ状部32の一部が指先を上下方向両側から挟み込む。すなわち、指先の挟み込みにより、指100がリブ状部32に引っ掛かった状態となり、指先をリブ状部32の端面32aに引っ掛けて中敷き28を引き上げ易くした状態にする。また、中敷き28の他端とポケットバックカバー27の側壁面27aとの間に隙間αが形成されるため、他の指を隙間αに入れて中敷き28を掴むことができ、これにより中敷き28を更に掴み易くする。
【0048】
そして、この状態で手を引き上げると、中敷き28をリブ状部32と共に指100で容易に引き上げることができ、中敷き28をドアポケット14内から簡単に取り外すことができる。
図4の(a)はリブ状部32の凹部31内に指を差し込む前の状態を示し、(b)は指をリブ状部32の凹部31内に差し込んで端面32aをポケットバックカバー27の側壁面27a側に押すことにより、端面32aで指先が上下方向から挟まれている状態を示す。また、取り外して手入れを終えた後は、ポケット用開口13から差し入れることにより再び布設することができる。
【0049】
また、このドアポケット14の構造では、リブ状部32の端面32aとポケットフロントカバー26との間に、該端面32aの弾性変形による変形を許容する空間33が設けられているので、リブ状部32の端面32aが押圧されて一部が弾性変形する際、その空間33がリブ状部32の弾性変形を許容して、該リブ状部32が指先をより挟みやすい状態となるまで、大きく変形するのを可能にする。
【0050】
なお、上記実施形態では、自動車用ドアのポケット構造を例にして説明したが、本発明のポケット構造は、自動車に設けられる他のポケット構造にも同様にして適用できるものである。したがって、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等も発明に含まれるものである。