特許第5696099号(P5696099)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5696099棒状アンテナ取付金具、その金具を使用した径の異なる棒状アンテナの取付方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5696099
(24)【登録日】2015年2月13日
(45)【発行日】2015年4月8日
(54)【発明の名称】棒状アンテナ取付金具、その金具を使用した径の異なる棒状アンテナの取付方法
(51)【国際特許分類】
   H01Q 1/12 20060101AFI20150319BHJP
【FI】
   H01Q1/12 C
【請求項の数】3
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-126894(P2012-126894)
(22)【出願日】2012年6月4日
(65)【公開番号】特開2013-251839(P2013-251839A)
(43)【公開日】2013年12月12日
【審査請求日】2014年5月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】592157076
【氏名又は名称】イワブチ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074192
【弁理士】
【氏名又は名称】江藤 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100121496
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 重雄
(72)【発明者】
【氏名】久保田 仁
【審査官】 岸田 伸太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−080377(JP,A)
【文献】 実開昭63−133705(JP,U)
【文献】 特開2005−133853(JP,A)
【文献】 実開昭54−132255(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支柱に対し2本以上の棒状アンテナを取付けるための棒状アンテナ取付金具であって、
上下両側面とその間の中継側面とからなる断面コ字状であって、上下両側面の長手方向のほぼ中間に、支柱の外径に応じた支柱挟持溝部を設けると共に、その支柱挟持溝部の両側にはそれぞれ棒状アンテナを挟持するためのアンテナ挟持部を設け、中継側面には、支柱挟持溝部およびアンテナ挟持部それぞれの両側をボルトが通るようにボルト孔を設けた長尺把持板と、
上下両側面とその間の中継側面とからなる断面コ字状であって、上下両側面の長手方向のほぼ中間に、支柱の外径に応じた支柱挟持溝部を設ける一方、中継側面には、支柱挟持溝部の両側をボルトが通るようにボルト孔を設け、支柱を介し長尺把持板に対向して設けられる支柱把持板と、
上下両側面とその間の中継側面とからなる断面コ字状であって、上下両側面の長手方向のほぼ中間に、取付けるべき棒状アンテナの外径に応じたアンテナ挟持溝部を設ける一方、中継側面には、アンテナ挟持溝部の両側をボルトが通るようにボルト孔を設け、棒状アンテナを介し長尺把持板のアンテナ挟持溝部に対向して設けられるアンテナ把持板と、
を有することを特徴とする棒状アンテナ取付金具。
【請求項2】
請求項1記載の棒状アンテナ取付金具において、
長尺把持板および支柱把持板の支柱挟持溝部は、平面視V字形状であり、
長尺把持板のアンテナ挟持部は、大径の棒状アンテナの外径に応じた平面視半円形状のアンテナ挟持溝部であり、
アンテナ把持板には、大径の棒状アンテナ用の大径アンテナ把持板と、小径の棒状アンテナ用の小径アンテナ把持板とがあって、大径アンテナ把持板と小径アンテナ把持板のアンテナ挟持溝部は、それぞれ、大径の棒状アンテナと小径の棒状アンテナの外径に応じた平面視半円形状であって、かつ、小径アンテナ把持板のアンテナ挟持溝部は、大径アンテナ把持板のアンテナ挟持溝部よりも溝が深く、棒状アンテナとの接触部分が多いことを特徴とする棒状アンテナ取付金具。
【請求項3】
請求項1または請求項2記載の棒状アンテナ取付金具を使用した径の異なるアンテナの取付方法であって、
長尺把持板の上下両側面の支柱挟持溝部と支柱把持板の上下両側面の支柱挟持溝部とにより支柱を挟持すると共に、長尺把持板および支柱把持板の中継側面のボルト孔にボルトを通して支柱の両側を挟持して当該支柱に長尺把持板および支柱把持板を固定し、
その長尺把持板に大径の棒状アンテナを取付ける場合には、長尺把持板の上下両側面のアンテナ挟持部とアンテナ把持板の上下両側面のアンテナ挟持溝部とにより大径の棒状アンテナを挟持すると共に、長尺把持板およびアンテナ把持板の中継側面のボルト孔にボルトを通して大径の棒状アンテナの両側を挟持することにより大径の棒状アンテナを取付け、
その長尺把持板に小径の棒状アンテナを取付ける場合には、長尺把持板の中継側面の背面側とアンテナ把持板の上下両側面のアンテナ挟持溝部とにより小径の棒状アンテナを挟持すると共に、長尺把持板およびアンテナ把持板の中継側面のボルト孔にボルトを通して小径の棒状アンテナの両側を挟持することにより小径の棒状アンテナを取付けることを特徴とする棒状アンテナ取付金具を使用した径の異なるアンテナの取付方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、支柱に対し2本以上の棒状アンテナを取付けるための棒状アンテナ取付金具に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話の基地局や中継局等のアンテナとしては、ポール(棒)状のアンテナ(以下、棒状アンテナという。)が利用されており、支柱になるべく多くの棒状アンテナを設置することが要求されている。そのため、例えば、支柱に取付けるための金具と、棒状アンテナを取付けるための金具等を別々の金具にした棒状アンテナ取付金具がある(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−249911号公報
【特許文献2】特開2004−200999号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前述の従来の棒状アンテナ取付金具では、支柱に対し2本以上の棒状アンテナを取付けることができるものの、取付角度が指向性に重大な影響を与える特定の種類の棒状アンテナに対応して、正確に所定の角度に取り付けることができるように構成していたため、支柱に取付けるための金具と棒状アンテナを取付けるための金具等が別々の金具で構成されており、金具の部品点数が多いと共に、その重量が増大するので、作業性が悪いという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、このような問題に着目してなされたもので、支柱に対し2本以上の棒状アンテナを取付ける場合でも、なるべく金具の部品点数を減らすことができる棒状アンテナ取付金具、およびその金具を使用した径の異なる棒状アンテナの取付方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明に係る棒状アンテナ取付金具は、支柱に対し2本以上の棒状アンテナを取付けるための棒状アンテナ取付金具であって、上下両側面とその間の中継側面とからなる断面コ字状であって、上下両側面の長手方向のほぼ中間に、支柱の外径に応じた支柱挟持溝部を設けると共に、その支柱挟持溝部の両側にはそれぞれ棒状アンテナを挟持するためのアンテナ挟持部を設け、中継側面には、支柱挟持溝部およびアンテナ挟持部それぞれの両側をボルトが通るようにボルト孔を設けた長尺把持板と、上下両側面とその間の中継側面とからなる断面コ字状であって、上下両側面の長手方向のほぼ中間に、支柱の外径に応じた支柱挟持溝部を設ける一方、中継側面には、支柱挟持溝部の両側をボルトが通るようにボルト孔を設け、支柱を介し長尺把持板に対向して設けられる支柱把持板と、上下両側面とその間の中継側面とからなる断面コ字状であって、上下両側面の長手方向のほぼ中間に、取付けるべき棒状アンテナの外径に応じたアンテナ挟持溝部を設ける一方、中継側面には、アンテナ挟持溝部の両側をボルトが通るようにボルト孔を設け、棒状アンテナを介し長尺把持板のアンテナ挟持溝部に対向して設けられるアンテナ把持板と、を有することを特徴とする。
ここで、長尺把持板および支柱把持板の支柱挟持溝部は、平面視V字形状であり、長尺把持板のアンテナ挟持部は、大径の棒状アンテナの外径に応じた平面視半円形状のアンテナ挟持溝部であり、アンテナ把持板には、大径の棒状アンテナ用の大径アンテナ把持板と、小径の棒状アンテナ用の小径アンテナ把持板とがあって、大径アンテナ把持板と小径アンテナ把持板のアンテナ挟持溝部は、それぞれ、大径の棒状アンテナと小径の棒状アンテナの外径に応じた平面視半円形状であって、かつ、小径アンテナ把持板のアンテナ挟持溝部は、大径アンテナ把持板のアンテナ挟持溝部よりも溝が深く、棒状アンテナとの接触部分が多いようにすると良い。
また、本発明に係る上述の棒状アンテナ取付金具を使用したアンテナの取付方法は、長尺把持板の上下両側面の支柱挟持溝部と支柱把持板の上下両側面の支柱挟持溝部とにより支柱を挟持すると共に、長尺把持板および支柱把持板の中継側面のボルト孔にボルトを通して支柱の両側を挟持して当該支柱に長尺把持板および支柱把持板を固定し、その長尺把持板に大径の棒状アンテナを取付ける場合には、長尺把持板の上下両側面のアンテナ挟持部とアンテナ把持板の上下両側面のアンテナ挟持溝部とにより大径の棒状アンテナを挟持すると共に、長尺把持板およびアンテナ把持板の中継側面のボルト孔にボルトを通して大径の棒状アンテナの両側を挟持することにより大径の棒状アンテナを取付け、その長尺把持板に小径の棒状アンテナを取付ける場合には、長尺把持板の中継側面の背面側とアンテナ把持板の上下両側面のアンテナ挟持溝部とにより小径の棒状アンテナを挟持すると共に、長尺把持板およびアンテナ把持板の中継側面のボルト孔にボルトを通して小径の棒状アンテナの両側を挟持することにより小径の棒状アンテナを取付けることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の棒状アンテナ取付金具、およびその金具を使用した径の異なる棒状アンテナの取付方法によれば、長尺把持板と支柱把持板とにより支柱を挟持して支柱にこの金具を取付ける一方、取付けるべき2本以上の棒状アンテナ毎にアンテナ把持板を用意しておき、長尺把持板と各アンテナ把持板とにより棒状アンテナを挟持してその金具に2本以上の棒状アンテナを取付けるようにしたため、1つの長尺把持板を支柱と2本以上の棒状アンテナの取付けに共用することができ、金具の部品点数を減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明に係る棒状アンテナ取付金具を使用して支柱に2本の大径の棒状アンテナを取付けた状態の斜視図である。
図2】(a),(b)それぞれ、この棒状アンテナ取付金具を使用して支柱に2本の大径の棒状アンテナを取付けた状態の平面図、正面図である。
図3】この棒状アンテナ取付金具を使用して支柱に2本の大径の棒状アンテナを取付けた状態の右側面図である。
図4】この棒状アンテナ取付金具を使用して支柱に2本の小径の棒状アンテナを取付けた状態の斜視図である。
図5】(a),(b)それぞれ、この棒状アンテナ取付金具を使用して支柱に2本の小径の棒状アンテナを取付けた状態を示す平面図、正面図である。
図6】この棒状アンテナ取付金具を使用して支柱に2本の小径の棒状アンテナを取付けた状態の右側面図である。
図7】(a)〜(d)それぞれ、この棒状アンテナ取付金具を構成する長尺把持板の斜視図、平面図、正面図、右側面図である。
図8】(a)〜(d)それぞれ、この棒状アンテナ取付金具を構成する支柱把持板の斜視図、平面図、正面図、右側面図である。
図9】(a)〜(d)それぞれ、この棒状アンテナ取付金具を構成する大径アンテナ把持板の斜視図、平面図、正面図、右側面図である。
図10】(a)〜(d)それぞれ、この棒状アンテナ取付金具を構成する小径アンテナ把持板の斜視図、平面図、正面図、右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明にかかる棒状アンテナ取付金具の実施形態について、図面を参照して説明する。
本発明にかかる棒状アンテナ取付金具は、支柱に対し2本以上の棒状アンテナを取付けるための棒状アンテナ取付金具であって、図1図6に示すように、支柱2の上端部に、径が大径の棒状アンテナ(以下、大径アンテナと略す場合もある。)31と小径の棒状アンテナ(以下、小径アンテナと略す場合もある。)32とのいずれか一方を2本ずつを取付けるように構成されている。つまり、この棒状アンテナ取付金具1は、長尺把持板11と、支柱把持板12と、2個ずつ用意した大径アンテナ把持板13,13および小径アンテナ把持板14,14と、これらを固定する角根ボルト41およびナット42とにより、支柱2の両側に大径アンテナ31または小径アンテナ32を1本ずつ取付けるように構成されている。ここで、長尺把持板11の長手方向の長さは、図2図5等に示すように、支柱把持板12と大径アンテナ把持板13の2個分の長さ、および支柱把持板12と小径アンテナ把持板14の2個分の長さよりやや長くして、長尺把持板11の両側から大径アンテナ把持板13や小径アンテナ把持板14の端部が突出しないようにしている。
【0010】
長尺把持板11は、図7(a)〜(d)に示すように、上下両側面111,112とその間の中継側面113とからなる断面コ字状であって、上下両側面111,112の長手方向のほぼ中間に、支柱2の外径に応じた例えば平面視V溝形状の支柱挟持溝部111a,112aが形成されている。また、その支柱挟持溝部111a,112aの両側には、アンテナ挟持部として、それぞれ取付けようとする大径の棒状アンテナ31の外径に応じた例えば平面視半円形状のアンテナ挟持溝部(以下、大径アンテナ挟持溝部という。)111b,112bを設けている。なお、支柱挟持溝部111a,112aは、平面視V溝形状に限らず、平面視半円形状の溝などでも勿論良い。
【0011】
また、長尺把持板11の中継側面113には、支柱2を挟む形で対向配置した支柱把持板12とにより支柱2を挟持して固定できるように、支柱2の外径以上に離間した2つの支柱挟持用ボルト孔113a,113aが設けられている一方、大径アンテナ31または小径アンテナ32を挟む形で対向配置したアンテナ把持板13,13とにより大径アンテナ31または小径アンテナ32を挟持して固定できるように、大径アンテナ31の外径以上に離間した2つのアンテナ挟持用ボルト孔113b,113bが両側に設けられている。
【0012】
ここで、アンテナ挟持用ボルト孔113b,113bは、正方形のボルト孔であるのに対し、支柱挟持用ボルト孔113a,113aは、横長の長方形のボルト孔にしている。これは、支柱2における多少の外径の誤差を吸収すると共に、ラチェットスパナ等の工具の装着および動作領域を確保したり、さらには、この金具1を支柱2ではなく、ボルト孔間隔が狭い他の部材にも取付けることができるようにしたためである。なお、支柱挟持用ボルト孔113a,113aおよびアンテナ挟持用ボルト孔113b,113bも円形状ではなく、四角形状であるので、それらのボルト孔に挿入するボルトとして角根ボルト41を使用できる。
【0013】
また、アンテナ挟持用ボルト孔113b,113bは、四角形状であるため、図4図6に示すように、長尺把持板11と支柱把持板12とにより支柱2を挟持する場合は、角根ボルト41の頭部は長尺把持板11側に位置するのに対し、長尺把持板11と小径アンテナ把持板14とにより小径アンテナ32を挟持する場合は、角根ボルト41の頭部は長尺把持板11側に位置して、角根ボルト41が反対の方向を向くことになる。そのため、ナット42は長尺把持板11の背面側と前面側に位置することになり、近接する角根ボルト41ではナット42が長尺把持板11を介して反対側に配設されることになるので、ラチェットスパナ等の工具が挿入し易くなり、ナット42の締付け作業が容易になる。なお、アンテナ挟持用ボルト孔113b,113bは、丸穴形状でも良いが、丸穴形状にするとこの効果は得られない。
【0014】
支柱把持板12は、図8(a)〜(d)に示すように、長尺把持板11と同様に、上下両側面121,122とその間の中継側面123とからなる断面コ字状であって、上下両側面121,122の長手方向のほぼ中間に、支柱2に当接する平面視V溝形状の支柱挟持溝部121a,122aを設けている。また、中継側面113には、支柱2の外径以上離間した2つのボルト孔123a,123aを設け、支柱2を挟むように長尺状把持板11に対向して設けられる。そのため、長尺把持板11の平面視V溝形状の支柱挟持溝部111a,112aと、支柱把持板12の平面視V溝形状の支柱挟持溝部121a,122aとにより支柱2を両側から挟持して、この金具1を支柱2の上部に固定できるため。支柱2の外径が多少変更されても、平面視V溝形状の支柱挟持溝部111a,112aと支柱挟持溝部121a,122aとにより対応して、支柱2を確実かつ均等に挟持することが可能となる。
【0015】
大径アンテナ把持板13は、図9(a)〜(d)に示すように、上下両側面131,132とその間の中継側面133とからなる断面コ字状であって、上下両側面131,132の長手方向のほぼ中間に、大径の棒状アンテナ31の外径に応じた平面視半円形状のアンテナ挟持溝部(以下、大径アンテナ挟持溝部という。)131a,132aを設けている。また、中継側面133には、大径アンテナ31の外径以上離間した角穴形状のボルト孔133a,133aを設けている。これにより、図1図3に示すように、長尺把持板11と支柱把持板12とにより支柱2を挟持する場合は、角根ボルト41の頭部は長尺把持板11側に位置するのに対し、長尺把持板11と大径アンテナ把持板13とにより大径アンテナ31を挟持する場合は、角根ボルト41の頭部は大径アンテナ把持板13側に位置して、角根ボルト41が反対の方向を向くことになる。そのため、図4図6に示す小径アンテナ32の取付けの場合と同様に、図1図3に示す小径アンテナ32の取付けの場合も、近接する角根ボルト41ではナット42が長尺把持板11を介して反対側に配設されることになるので、ラチェットスパナ等の工具が挿入し易くなり、ナット42の締付け作業が容易になる。なお、本発明では、ボルト孔133a,133aは、丸穴形状でも良いが、丸穴形状にするとこの効果は得られない。
【0016】
小径アンテナ把持板14は、図10(a)〜(d)に示すように、上下両側面141,142とその間の中継側面143とからなる断面コ字状であって、上下両側面141,142の長手方向のほぼ中間に、小径の棒状アンテナ32の外径に応じた平面視半円形状のアンテナ挟持溝部(以下、小径アンテナ挟持溝部という。)141a,142aを設けていると共に、中継側面143には、小径アンテナ32の外径以上離間した丸穴形状のボルト孔143a,143aを設けている。なお、ボルト孔143a,143aは、角穴形状でもよい。
【0017】
ここで、図2(b)および図5(b)から明らかなように、大径アンテナ把持板13の中継側面133の短手方向(図2(b)上、上下方向)の幅、すなわち上下両側面131,132間の間隔は、長尺把持板11の中継側面113の同方向の幅や、支柱把持板12の中継側面123の同方向の幅とほぼ同じであるのに対し、小径アンテナ把持板14の中継側面143の同方向の幅は、それらの幅より小さくしている。これは、大径アンテナ31の方が小径アンテナ32よりも重く、かつ、風などの抵抗も受け易いため、大径アンテナ31を挟持する大径アンテナ把持板13の方が小径アンテナ32を挟持する小径アンテナ把持板14よりも挟持している棒状アンテナから受ける応力やモーメントが大きくなり、幅を大きくして耐力を大きくする必要があるからである。また、この小径アンテナ32では、図4図5(a),(b)、図6に示すように、基部側に所定の間隔を開けて上下に3本ずつネジ(ビス)32aが設けられており、そのネジ32aの頭が表面側に突出しているため、小径アンテナ把持板14の中継側面143の上下方向の幅を狭くして小径アンテナ32の基部のネジ32aの頭が上下から当接するようにして、小径アンテナ32の落下および抜止め効果を果たすことができる。
【0018】
また、図9(b)および図10(b)に示すように、大径アンテナ把持板13の大径アンテナ挟持溝部131a,132aと、小径アンテナ把持板14の小径アンテナ挟持溝部141a,142aとは、共に平面視半円形状であるものの、小径アンテナ把持板14の小径アンテナ挟持溝部141a,142aは、大径アンテナ把持板13のアンテナ挟持溝部131a,132aよりも溝が深く大きい、すなわち小径アンテナ挟持溝部141a,142aの方がその半円形状部分の周長が長く、棒状アンテナとの接触部分が多くしている。なお、この効果については後述する。
【0019】
次に、上述の棒状アンテナ取付金具1を使用した支柱2への大径アンテナ31および小径アンテナ32の取付方法について説明する。
【0020】
(支柱2への取付け)
この棒状アンテナ取付金具1を支柱2に取付ける場合は、大径アンテナ31および小径アンテナ32の場合も同様に、図1図6に示すように、まず、長尺把持板11の上下両側面111,112の支柱挟持溝部111a,112aと、支柱把持板12の上下両側面121,122の支柱挟持溝部121a,122aとを支柱2を両側から挟持する位置に対向配置する。
【0021】
次に、長尺把持板11の中継側面113の支柱挟持用ボルト孔113a,113a(図7(c)参照。)と、支柱把持板12の中継側面123のボルト孔123a,123a(図8(c)等参照。)に角根ボルト41を通しナット42により締め付けて、支柱2の両側を挟持することにより支柱2にこの棒状アンテナ取付金具1を取付ける。
【0022】
(大径アンテナ31の取付け)
そして、支柱2に2本の大径アンテナ31,31を取付ける場合は、図1図3に示すように、長尺把持板11の上下両側面111,112の大径アンテナ挟持溝部111b,112bと、大径アンテナ把持板13,13の上下両側面111,112の大径アンテナ挟持溝部111b,112bとにより大径アンテナ31,31を挟持する。次に、長尺把持板11の中継側面113のアンテナ挟持用ボルト孔113b,113b(図7(c)参照。)と、大径アンテナ把持板13,13の中継側面133のボルト孔133a,133a(図9(c)参照。)に角根ボルト41を通しナット42により締め付けて大径アンテナ31の両側を挟持することにより2本の大径アンテナ31,31を取付けることができる。
【0023】
(小径アンテナ32の取付け)
一方、支柱2に2本の小径アンテナ32、32を取付ける場合は、図4および図5に示すように、長尺把持板11の中継側面113の背面と、小径アンテナ把持板14,14の上下両側面141,142の小径アンテナ挟持溝部141a,142aとにより小径アンテナ32,32を挟持する。そして、長尺把持板11の中継側面113のアンテナ挟持用ボルト孔113b,113b(図7(c)参照。)と、小径アンテナ把持板14,14の中継側面143のボルト孔143a,143a(図10(c)参照。)に角根ボルト41を通しナット42により締め付けて小径アンテナ32の両側を挟持することにより2本の小径アンテナ32,32を取付けることができる。
【0024】
従って、この棒状アンテナ取付金具1、およびその金具1を使用した径の異なる棒状アンテナの取付方法によれば、長尺把持板11と支柱把持板12とにより支柱2を挟持して支柱2にこの金具1を取付ける一方、取付けるべき2本以上の大径アンテナ31,32または小径アンテナ32,32毎にアンテナ把持板13,14を用意しておき、長尺把持板11と各アンテナ把持板13,14とにより2本以上の棒状アンテナ31,32を取付けるようにしたため、1つの長尺把持板11を、支柱2と2本以上の棒状アンテナ31,32の取付けに共用することができ、金具の部品点数を減らすことができる。
【0025】
また、この棒状アンテナ取付金具1では、図9(a),(b)と図10(a),(b)とを比較すれば明らかな通り、大径アンテナ把持板13の大径アンテナ挟持溝部131a,132aと、小径アンテナ把持板14の小径アンテナ挟持溝部141a,142aとは、共に平面視半円形状であるものの、小径アンテナ把持板14の小径アンテナ挟持溝部141a,142aは、大径アンテナ把持板13のアンテナ挟持溝部131a,132aよりも溝を深く大きくして、小径アンテナ挟持溝部141a,142aの半円形状部分の周長を長くすることにより棒状アンテナとの接触部分を多く、すなわち長くしている。
【0026】
これは、大径アンテナ31を取付ける場合は、図1図3に示すように、長尺把持板11の上下両側面111,112の大径アンテナ挟持溝部111b,112bと、大径アンテナ把持板13,13の上下両側面111,112の大径アンテナ挟持溝部111b,112bとにより大径アンテナ31を挟持するため、大径アンテナ31の外周面に接触して挟持している部分は、長尺把持板11の大径アンテナ挟持溝部111b,112bと、大径アンテナ把持板13,13の大径アンテナ挟持溝部111b,112bとの双方となる。
【0027】
これに対し、小径アンテナ32を取付ける場合は、図4図6に示すように、長尺把持板11の中継側面113の背面と、小径アンテナ把持板14,14の上下両側面141,142の小径アンテナ挟持溝部141a,142aとにより小径アンテナ32を挟持するため、長尺把持板11の中継側面113の背面と小径アンテナ32との接触部分は、平面視ではほとんど点の状態になって短くなり、長尺把持板11側のその挟持力ないしは摩擦力が弱くなるため、それを小径アンテナ把持板14,14の小径アンテナ挟持溝部141a,142aにより補うためである。
【0028】
その結果、この棒状アンテナ取付金具1によれば、小径アンテナ32を挟持するために、長尺把持板11の大径アンテナ挟持溝部111b,112bではなく、中継側面113の背面を使用しつつも、大径アンテナ31の挟持の場合と同等の挟持力ないしは摩擦力を確保できるため、小径アンテナ32も大径アンテナ31と同等に挟持することが可能となる。
【0029】
なお、上記実施形態の説明では、この棒状アンテナ取付金具1により、大径アンテナ31を2本、または小径アンテナ32を2本というように、1本の支柱2に同径の棒状アンテナを2本取り付けるように説明したが、本発明では、これに限らず、1本の支柱2に同径の棒状アンテナを3本以上取り付けるようにしても良いし、さらには、1本の支柱2に異径の棒状アンテナ、例えば、大径アンテナ31と小径アンテナ32とを1本ずつ取付けるようにしても良い。ただし、1本の支柱2に同径の棒状アンテナを3本以上取り付ける場合には、長尺把持板11もその分長くなり、大径アンテナ把持板13や小径アンテナ把持板14もその棒状アンテナの本数だけ用意する必要がある。また、1本の支柱2に、例えば、大径アンテナ31と小径アンテナ32とを1本ずつ取付ける場合には、長尺把持板11の一方側では、大径アンテナ31を長尺把持板11の上下両側面111,112の大径アンテナ挟持溝部111b,112bと、大径アンテナ把持板13の上下両側面111,112の大径アンテナ挟持溝部111b,112bとにより大径アンテナ31を固定する一方、長尺把持板11の他方側では、長尺把持板11の中継側面113の背面と、小径アンテナ把持板14の上下両側面141,142の小径アンテナ挟持溝部141a,142aとにより小径アンテナ32を挟持することになる。
【0030】
また、この棒状アンテナ取付金具1では、長尺把持板11において支柱挟持溝部111a,112aの両側にアンテナ挟持部として大径アンテナ挟持溝部111b,112bを設けて説明したが、本発明では、必ずしも大径アンテナ挟持溝部111b,112bを設ける必要はなく、省略しても良い。ただし、省略した場合には、長尺把持板11と大径アンテナ31との接触部分が少なくなるので、小径アンテナ把持板14の小径アンテナ挟持溝部141a,142aと同様に、大径アンテナ把持板13の大径アンテナ挟持溝部131a,132aを深く、ないしは大きくして、大径アンテナ把持板13と大径アンテナ31との接触部分が多くなるようにすると良い。
【符号の説明】
【0031】
1 棒状アンテナ取付金具
11 長尺把持板
111a,112a 支柱挟持溝部
111b,112b 大径アンテナ挟持溝部(アンテナ挟持部)
12 支柱把持板
121a,122a 支柱挟持溝部
13 大径アンテナ把持板
131a,132a 大径アンテナ挟持溝部
14 小径アンテナ把持板
141a,142a 小径アンテナ挟持溝部
2 支柱
31 大径アンテナ
32 小径アンテナ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10