(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る種々の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
【0011】
実施の形態1.
図1は、電子写真方式で動作する実施の形態1の画像形成装置1の主要構成を概略的に示す図であり、
図2は、
図1の画像形成装置1を概略的に示す機能ブロック図である。
【0012】
この画像形成装置1は、当該画像形成装置1の全体動作を制御する制御部80と電源回路70とを備えている。制御部80は、
図2に示されるように、主制御部81、LED制御部82、転写電圧制御部83、現像制御部84、熱源制御部85、信号処理部86及びインタフェース部(I/F部)87を有する。I/F部87は、電子機器などの外部機器と信号処理部86との間の通信インタフェース機能を有し、信号処理部86は、このI/F部87を介して外部機器から印刷データや制御信号を受信することができる。なお、LED制御部82、転写電圧制御部83及び現像制御部84によって画像形成制御部が構成され得る。
【0013】
図1に示されるように、画像形成装置1は、記録媒体Paを収容するカセット11Aと、記録媒体Pbを収容するトレイ11Bと、中間転写ベルトユニット40と、現像剤像形成部を構成する4個の画像形成ユニット(現像ユニット)30Y,30M,30C,30Kと、1次転写部をなす1次転写ローラ(1次転写部材)39Y,39M,39C,39Kと、2次転写ローラ19と、2次転写後に中間転写ベルト41上に残留する現像剤を回収するクリーニング部材48とを備えている。
【0014】
中間転写ベルトユニット40は、中間転写体をなす中間転写ベルト41と、中間転写ベルト41を駆動する駆動ローラ42と、従動ローラであるアイドルローラ43と、バックアップローラ44と、アイドルローラ43を所定方向に付勢する弾性付勢部材49とを含んで構成される。駆動ローラ42,アイドルローラ43及びバックアップローラ44はそれぞれ図面に垂直な回転軸の回りに回転自在となるように保持されている。
【0015】
中間転写ベルト41は、たとえばポリイミド樹脂などの樹脂材料からなる無端の弾性ベルトである。この中間転写ベルト41は、駆動ローラ42、アイドルローラ43及びバックアップローラ44に張設(張架)されている。駆動ローラ42は、
図2のベルト駆動モータ45からベルトフレーム(図示せず)を介して伝達された動力を受けて時計回りに回転することにより、中間転写ベルト41を循環回転させることができる。ここで、ベルト駆動モータ45の動作は、
図2の主制御部81によって制御される。駆動ローラ42は、中間転写ベルト41の送り方向において画像形成ユニット30Y,30M,30C,30Kよりも上流側に配置されており、アイドルローラ43は、その送り方向において画像形成ユニット30Y,30M,30C,30Kよりも下流側に配置されている。なお、駆動ローラ42、アイドルローラ43及び弾性付勢部材49によって、中間転写ベルト41を駆動する駆動機構が構成される。また、駆動ローラ42、アイドルローラ43及びバックアップローラ44によって、中間転写ベルト41を張設(張架)する張設部材が構成される。
【0016】
弾性付勢部材49の基端は、画像形成装置1のフレーム47に固定されており、弾性付勢部材49の先端は、中間転写ベルト41を張架する方向へアイドルローラ43を押圧付勢して中間転写ベルト41の全体に適正な張力を付与する。中間転写ベルト41が画像形成ユニット30Y,30M,30C,30Kと1次転写ローラ39Y,39M,39C,39Kとの間のニップ部を通過する際や、中間転写ベルト41が駆動ローラ42及びバックアップローラ44と接触し離れる際に、衝撃を受けた中間転写ベルト41の張力が変動する。弾性付勢部材49は、このような衝撃に起因する中間転写ベルト41の張力変動を低減させることができる。
【0017】
バックアップローラ44及び2次転写ローラ19は、中間転写ベルト41の被転写面41a上の現像剤像を記録媒体Pa,Pbに転写させる2次転写部を構成する。これらバックアップローラ44及び2次転写ローラ19は、互いに対向し且つ中間転写ベルト41を挟み込むように配置されている。2次転写ローラ19は、たとえば、金属製の芯材と、この芯材の外周面に巻き付けるように形成された弾性層(たとえば、発泡ゴム層)とで構成されればよい。この2次転写ローラ19は、スプリング状の弾性付勢部材50によってバックアップローラ44の方向に付勢されている。弾性付勢部材50の基端は、画像形成装置1のフレーム51に固定されており、弾性付勢部材50の先端は、2次転写ローラ19を押圧している。この弾性付勢部材50により、記録媒体Pa,Pbがバックアップローラ44と2次転写ローラ19との間のニップ部を通過する際に生じた2次転写ローラ19の振動を緩和することが可能となる。
【0018】
画像形成ユニット30Y,30M,30C,30Kは、イエロー,マゼンタ,シアン及びブラックの現像剤(粉体トナーを含む。)をそれぞれ収容し、これらイエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C)及びブラック(K)の現像剤からなる画像をそれぞれ形成する機能を有する。
図3は、
図1の画像形成装置1の要部を拡大して示す概略図である。
図3に示されるように、画像形成ユニット30Y,30M,30C,30Kは、中間転写ベルト41を介して1次転写ローラ39Y,39M,39C,39Kとそれぞれ対向する位置に配置されている。1次転写ローラ39Y,39M,39C,39Kは、図示されない付勢部材により画像形成ユニット30Y,30M,30C,30Kの方向に付勢されている。このため、画像形成ユニット30Y,30M,30C,30Kと1次転写ローラ39Y,39M,39C,39Kとは、中間転写ベルト41を挟み込むように配置される。
【0019】
イエローの現像剤像を形成する画像形成ユニット30Yは、画像形成ユニット30Y,30M,30C,30Kの中で中間転写ベルト41の送り方向における最も上流側の位置に配置されている。この画像形成ユニット30Yは、感光体ドラム31Yと、この感光体ドラム31Yの表面を一様に帯電させる帯電ローラ32Yと、回転する感光体ドラム31Yの表面に印刷画像に対応する静電潜像を形成するための露光を行うLEDヘッド(露光部)34Yと、現像剤担持体である現像ローラ35Yと、イエローの現像剤を現像ローラ35Yに供給する供給ローラ36Yとを有する。
図2のドラムモータDMYは、主制御部81による制御を受けて感光体ドラム31Yを回転させることができる。帯電ローラ32Y、現像ローラ35Y及び供給ローラ36Yは、
図2の現像制御部84による制御を受けて動作する現像ユニット33Yを構成している。感光体ドラム31Yの表面のうち静電潜像が形成された部分が現像ローラ35Yに到達すると、感光体ドラム31Y上の静電潜像と現像ローラ35Yとの電位差により、イエローの現像剤が感光体ドラム31Y上に移動して感光体ドラム31Y上に現像剤像(トナー画像)を形成する。その後、感光体ドラム31Y上の現像剤像は、1次転写位置まで搬送され、1次転写ローラ39Yによって中間転写ベルト41上の被転写面41aに転写される。このとき、1次転写ローラ39Yには転写バイアスが印加されるので、1次転写ローラ39Yと感光体ドラム31Yとの間にニップ(挟持)された中間転写ベルト41上に現像剤像が転写される。なお、画像形成ユニット30Yは、現像ローラ35Yの表面上の現像剤層(トナー層)を薄層化する現像ブレードや、1次転写後に感光体ドラム31Yの表面に残留した現像剤を掻き落とすクリーニング部材も有しているが、これら現像ブレード及びクリーニング部材は、図示されていない。
【0020】
他の画像形成ユニット30M,30C,30Kも、画像形成ユニット30Yと同様の構成を有している。すなわち、マゼンタの現像剤像を形成する画像形成ユニット30Mは、感光体ドラム31Mと、この感光体ドラム31Mの表面を一様に帯電させる帯電ローラ32Mと、回転する感光体ドラム31Mの表面に印刷画像に対応する静電潜像を形成するための露光を行うLEDヘッド(露光部)34Mと、現像剤担持体である現像ローラ35Mと、マゼンタの現像剤を現像ローラ35Mに供給する供給ローラ36Mとを有する。
図2のドラムモータDMMは、主制御部81による制御を受けて感光体ドラム31Mを回転させることができる。帯電ローラ32M、現像ローラ35M及び供給ローラ36Mは、
図2の現像制御部84による制御を受けて動作する現像ユニット33Mを構成する。
【0021】
また、シアンの現像剤像を形成する画像形成ユニット30Cは、感光体ドラム31Cと、この感光体ドラム31Cの表面を一様に帯電させる帯電ローラ32Mと、回転する感光体ドラム31Cの表面に印刷画像に対応する静電潜像を形成するための露光を行うLEDヘッド(露光部)34Cと、現像剤担持体である現像ローラ35Cと、シアンの現像剤を現像ローラ35Cに供給する供給ローラ36Cとを有する。
図2のドラムモータDMCは、主制御部81による制御を受けて感光体ドラム31Cを回転させることができる。帯電ローラ32C、現像ローラ35C及び供給ローラ36Cは、
図2の現像制御部84による制御を受けて動作する現像ユニット33Cを構成する。
【0022】
そして、ブラックの現像剤像を形成する画像形成ユニット30Kは、画像形成ユニット30Y,30M,30C,30Kの中で中間転写ベルト41の送り方向における最も下流側の位置に配置されている。この画像形成ユニット30Kは、感光体ドラム31Kと、この感光体ドラム31Kの表面を一様に帯電させる帯電ローラ32Kと、回転する感光体ドラム31Kの表面に印刷画像に対応する静電潜像を形成するための露光を行うLEDヘッド(露光部)34Kと、現像剤担持体である現像ローラ35Kと、ブラックの現像剤を現像ローラ35Kに供給する供給ローラ36Kとを有する。
図2のドラムモータDMKは、主制御部81による制御を受けて感光体ドラム31Kを回転させることができる。帯電ローラ32K、現像ローラ35K及び供給ローラ36Kは、
図2の現像制御部84による制御を受けて動作する現像ユニット33Kを構成する。後述するように、画像形成ユニット30Kは、印刷画像に対応する現像剤像に先行して、印刷画像に対応しないマーク画像(マーク用現像剤像)TMa,TMbを形成し、これらマーク画像TMa,TMbを中間転写ベルト41に転写させる。
【0023】
上記感光体ドラム31Y,31M,31C,31Kは、たとえば、アルミニウムなどの金属パイプ(導電性基体)と、この金属パイプの周りに形成された有機感光体(OPC:Organic Photoconductor)などの光導電層とで構成されている。
図2のLEDヘッド34Y,34M,34C,34Kは、LED制御部82による制御を受けて動作する。LEDヘッド34Yは、図示は省略するが、感光体ドラム31Yの長手方向(軸方向)に沿って配列された複数のLED素子(発光ダイオード素子)と、これらLED素子を駆動するLED駆動部と、それらLED素子の出射光を感光体ドラム31Yの表面に導くレンズアレイとを備えている。他のLEDヘッド34M,34C,34Kも、LEDヘッド34Yと同様の構成を有する。
【0024】
図2に示されるように、電源回路70は、転写電圧制御部83による制御を受けて動作する高圧電源71Y,71M,71C,71Kを有しており、これら高圧電源71Y,71M,71C,71Kは、1次転写ローラ39Y,39M,39C,39Kにそれぞれ1次転写用の転写バイアスを供給する。これら転写バイアスにより、感光体ドラム31Y,31M,31C,31Kと1次転写ローラ39Y,39M,39C,39Kとの間の1次転写位置のニップ部において、感光体ドラム31Y,31M,31C,31Kから中間転写ベルト41の被転写面41aにイエロー,マゼンタ,シアン及びブラックの現像剤像が順次転写される。最下流側の感光体ドラム31Kと1次転写ローラ39Kとの間のニップ部では、イエロー,マゼンタ,シアン及びブラックの現像剤像が重ね合わされる。この結果、中間転写ベルト41上にカラー現像剤像TPが形成される。中間転写ベルト41は、カラー現像剤像TPを被転写面41a上に担持しつつバックアップローラ44と2次転写ローラ19との間の2次転写位置に向けて搬送する。
【0025】
ところで、画像形成装置1は、
図1に示されるように、複数枚の記録媒体Paを積層状態で収容するカセット11Aと、このカセット11Aから記録媒体Paを取り出して送り出す送り出しローラ12と、カセット11Aから送り出された記録媒体Paを1枚ずつ挟み込んで分離する分離手段(ローラ部材)13A,13Bと、分離手段13A,13Bから供給された記録媒体Paを挟み込んで案内する一対のレジストローラ14A,14Bと、一対の搬送ローラ17A,17Bと、一対の搬送ローラ18A,18Bとを備える。送り出しローラ12は、
図2の送り出しモータ25から伝達された動力を受けて回転することにより、カセット11Aから記録媒体Paを取り出して分離手段13A,13Bに送り出すことができる。また、レジストローラ14A,14Bは、
図2のレジストモータ(ステッピングモータ)27から伝達された動力を受けて回転することにより、記録媒体Paのスキュー(搬送方向に対して記録媒体Paが斜行する状態)を矯正しつつこの記録媒体Paを搬送することができる。主制御部81は、送り出しモータ25及びレジストモータ27の動作を個別に制御することが可能である。
【0026】
搬送ローラ17A,17Bは、レジストローラ14A,14Bから供給された記録媒体Paを挟み込んで搬送ローラ18A,18Bの間の領域に送り出す。搬送ローラ18A,18Bは、搬送ローラ17A,17Bから供給された記録媒体Paのスキューを矯正しつつこの記録媒体Paを2次転写ローラ19とバックアップローラ44との間の2次転写位置のニップ部に送り込む。搬送ローラ17A,17B,18A,18Bは、
図2の搬送ローラ群TMを構成し、
図2の搬送モータ群MTから伝達された動力を受けて回転することにより記録媒体Paを搬送することができる。主制御部81は、搬送モータ群MTの動作を制御することが可能である。
【0027】
また、画像形成装置1は、記録媒体Paとは異なる記録媒体Pbを収容するトレイ11Bと、このトレイ11Bから記録媒体Pbを取り出して送り出す送り出しローラ16と、トレイ11Bから送り出された記録媒体Pbを1枚ずつ挟み込んで分離する分離手段(ローラ部材)15A,15Bとを備えている。送り出しローラ16は、
図2の送り出しモータ26から伝達された動力を受けて回転することにより、トレイ11Bから記録媒体Pbを取り出して分離手段15A,15Bに送り出すことができる。主制御部81は、この送り出しローラ16の動作を制御し得る。搬送ローラ17A,17B,18A,18Bは、トレイ11Bから記録媒体Pbが供給された場合も、この記録媒体Pbを2次転写位置に送り込むことが可能である。上記分離手段13A,13B,15A,15B、レジストローラ14A,14B及び搬送ローラ17A,17B,18A,18Bは、媒体搬送機構を構成し得る。
【0028】
記録媒体Pa,Pbとしては、たとえば、用紙、合成紙、厚紙、特殊用紙、プラスチックフィルムあるいは布などのシート状のものが挙げられる。本実施の形態では、記録媒体Pb,Paは互いに異なる材質及び厚さを有するが、これに限定されるものではない。
【0029】
バックアップローラ44及び2次転写ローラ19は、搬送ローラ18A,18Bから供給された記録媒体Pa(またはPb)に被転写面41a上のカラー現像剤像TPを転写(2次転写)させる。このとき、2次転写ローラ19に転写バイアス(直流電圧)が印加されて2次転写ローラ19とバックアップローラ44との間に電位差が発生するので、この電位差により記録媒体Pa(またはPb)上にカラー現像剤像TPを転写させることができる。
図2の高圧電源72は、転写電圧制御部83による制御を受けて動作し、2次転写ローラ19に当該転写バイアスを供給する。
【0030】
クリーニング部材48は、2次転写後に中間転写ベルト41上に残留した現像剤を除去することができる。クリーニング部材48のエッジ部は、中間転写ベルト41の被転写面41aに一定の圧力で接触するように配置されているので、2次転写部から搬送された残留現像剤を中間転写ベルト41から掻き落とすことができる。
【0031】
バックアップローラ44及び2次転写ローラ19は、カラー現像剤像TPが2次転写された記録媒体Pa(またはPb)を定着ユニット52に送り出す。定着ユニット52は、記録媒体Pa上に転写された現像剤像を記録媒体Paに定着させる機能を有する。
図1に示されるように定着ユニット52は、回転自在の円管状の定着ローラ54と、弾性体材料からなる表面層を持つ回転自在のバックアップローラ(加圧ローラ)53とを有しており、定着ローラ54とバックアップローラ53との間にニップ(挟持)された記録媒体Paに圧力と熱とを印加することにより、現像剤像を溶かして記録媒体Paに定着させることができる。
図2の定着モータ56は、主制御部81による制御を受けて動作し、定着ローラ54を回転させることができる。この定着ローラ54の内部にはハロゲンランプなどの熱源55が配置されている。
図2の熱源制御部85は、熱源55に供給すべきバイアス電圧を制御して定着ローラ54の表面温度を制御することが可能である。
【0032】
定着ユニット52から送り出された記録媒体Pa(またはPb)は、セパレータ21の姿勢に応じて、一対の搬送ローラ20A,20Bまたは一対のスイッチバック用ローラ22A,22Bのいずれか一方に供給される。
図1に示されるようにセパレータ21が通常姿勢にあるときは、搬送ローラ20A,20Bは、定着ユニット52から供給された記録媒体Paを挟持しつつ画像形成装置1の外部へ排出する。
【0033】
一方、セパレータ21の姿勢が点線で示されるスイッチバック姿勢に切り替えられたときは、定着ユニット52から送り出された記録媒体Paの進行方向は、スイッチバック搬送機構の方向に変更される。スイッチバック搬送機構は、媒体搬送機構の一部をなし、供給された記録媒体Paを再度2次転写位置へ導いて当該記録媒体Paに両面印刷するための構成である。すなわち、スイッチバック搬送機構は、一対のスイッチバック用ローラ22A,22Bと、一対の搬送ローラ23A,23Bと一対の搬送ローラ24A,24Bとを含む。スイッチバック用ローラ22A,22Bは、供給された記録媒体Paを挟持しつつこの記録媒体Paの先端部を画像形成装置1の底部に向けて搬送し、その後、記録媒体Paの搬送方向を逆方向に反転させて、この記録媒体Paの後端部を一対の搬送ローラ23A,23Bに送り出す。搬送ローラ23A,23B,24A,24Bは、供給された記録媒体Paを挟持しつつ搬送ローラ18A,18Bに案内する。搬送ローラ18A,18Bは、搬送ローラ24A,24Bから供給された記録媒体Paを再度2次転写位置へ送り出す。
【0034】
なお、画像形成装置1は、搬送ローラ20A,20B,22A,22B,23A,23B,24A,24Bを回転させるステッピングモータなどの駆動部品群(図示せず)を有する。主制御部81は、当該駆動部品群の動作を制御することができる。
【0035】
図3に示されるように、画像形成装置1は、第1色ずれセンサ61、第2色ずれセンサ62及び濃度センサ63を備えている。これら第1色ずれセンサ61、第2色ずれセンサ62及び濃度センサ63は、アイドルローラ43とバックアップローラ44との間における現像剤像の搬送経路近傍、すなわち1次転写位置と2次転写位置との間における現像剤像の搬送経路近傍で、中間転写ベルト41の被転写面41aと対向する位置に配置されている。また、第1色ずれセンサ61、第2色ずれセンサ62及び濃度センサ63は、バックアップローラ44の近傍に配置されている。ここで、バックアップローラ44の近傍とは、第1色ずれセンサ61、第2色ずれセンサ62及び濃度センサ63の当該バックアップローラ44からの距離が、アイドルローラ43とバックアップローラ44との接線の長さの35%以内であればよいことを意味する。
【0036】
図4は、
図3のIV−IV線における矢視図である。
図4に示されるように、第1色ずれセンサ61及び第2色ずれセンサ62は、被転写面41aにおけるカラー現像剤像TPの形成領域の幅方向(カラー現像剤像TPの搬送方向に垂直な方向)両端付近と対向する位置に配置される。濃度センサ63は、被転写面41aの当該幅方向の略中央位置と対向する位置に配置されている。
【0037】
第1色ずれセンサ61及び第2色ずれセンサ62は、イエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C)及びブラック(K)間の現像剤像の転写位置のずれ(色ずれ)を補正する目的で使用される光学センサである。第1色ずれセンサ61及び第2色ずれセンサ62は、色ずれ補正用に形成された所定のパターン画像(カラー現像剤像)を検出する。第1色ずれセンサ61及び第2色ずれセンサ62の各々は、たとえば、被転写面41aに向けて光を照射する発光ダイオードと、その反射光を受光するフォトトランジスタやフォトダイオードなどの受光素子とで構成される。当該受光素子は、受光量に応じた電気信号を
図2の主制御部81に供給することができる。主制御部81は、第1色ずれセンサ61から出力された電気信号を2値化して色ずれセンサ信号CE1を生成し、第2色ずれセンサ62から出力された電気信号を2値化して色ずれセンサ信号CE2を生成する機能を有する。主制御部81は、色ずれ補正用のパターン画像に対して得られた色ずれセンサ信号CE1,CE2に基づいて、イエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C)及びブラック(K)間の色ずれを測定する。LED制御部82は、その色ずれの測定結果に基づいてLEDヘッド34Y,34M,34C,34Kの露光動作を個別に制御することで色ずれを自動的に補正することができる。色ずれ補正の方法は、たとえば、特開2001−134041号公報(特許文献2)にも開示されており、この方法を使用して色ずれ補正を実行してもよい。
【0038】
濃度センサ63は、イエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C)及びブラック(K)の各色の現像剤像の濃度を検出しこれを補正するために使用される光学センサである。画像形成ユニット30Y,30M,30C,30Kのそれぞれの特性の経時変化(たとえば、感光体ドラム31Y,31M,31C,31Kの感度特性や現像剤の帯電特性の経時変化)あるいは使用環境の変化に応じてイエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C)及びブラック(K)間の現像剤像の濃度のバラツキ、あるいは、当該濃度の最適値からのずれが発生し得る。このため、主制御部81,LED制御部82,転写電圧制御部83及び現像制御部84は、濃度センサ63による各色の濃度検出結果に基づいて、画像形成ユニット30Y,30M,30C,30K及び1次転写ローラ39Y,39M,39C,39Kに対する制御条件を個別に変えて現像剤像の濃度を補正する機能を有している。濃度センサ63は、たとえば、被転写面41aに向けて光を照射する発光ダイオードと、その反射光を受光するフォトトランジスタやフォトダイオードなどの受光素子とで構成される。当該受光素子は、受光量に応じた電気信号を
図2の主制御部81に供給することができる。主制御部81は、濃度センサ63から出力された電気信号を2値化して濃度センサ信号PDを生成する。本実施の形態では、この濃度センサ信号PDは、ブラック(K)の現像剤像の濃度を基準とした濃度補正のために使用される。
【0039】
第1色ずれセンサ61及び第2色ずれセンサ62の中心と対向する被転写面41a上の対向位置から2次転写位置までの現像剤像の搬送距離L3は、
図3に示されるように、アイドルローラ43から当該対向位置までの搬送距離よりも長い。搬送距離L3は、画像形成装置1の印刷動作中でもほとんど変化しない。
【0040】
また、
図3に示されるように、画像形成装置1は、2次転写位置に向けて搬送経路上を移動する記録媒体Pa(またはPb)を検出する媒体検出センサとして第1搬送センサ64及び第2搬送センサ65を備えている。これら第1搬送センサ64及び第2搬送センサ65は、下流側の位置に配置されており、第2搬送センサ65は、第1搬送センサ64よりもさらに下流側の位置(より2次転写位置に近い位置)に配置されている。第1搬送センサ64及び第2搬送センサ65は、搬送経路上を移動する記録媒体Pa(またはPb)と接触して当該記録媒体Pa(またはPb)の通過を検知する接触センサでもよいし、あるいは、記録媒体Pa(またはPb)の通過を光学的に検知する非接触センサでもよい。主制御部81は、第1搬送センサ64及び第2搬送センサ65からそれぞれ出力された電気信号を2値化して搬送センサ信号FD1,FD2を生成する。主制御部81は、これら搬送センサ信号FD1,FD2に基づいて送り出しモータ25,26及び搬送モータ群MTの動作を制御することで、記録媒体Pa(またはPb)が2次転写位置に到達するタイミングを適時調整することができる。第1搬送センサ64の中心に相当する位置から2次転写位置までの記録媒体Paの搬送距離L2は、画像形成装置1の印刷動作中でもほとんど変化しない。
【0041】
次に、上記画像形成装置1の動作について説明する。
【0042】
起動状態の画像形成装置1に対して外部機器からI/F部87を介して印刷画像データが入力されると、信号処理部86は、印刷命令を主制御部81に送信するとともに、入力された印刷画像データに基づいてY成分,M成分,C成分及びK成分のビットマップデータを生成し、当該ビットマップデータを主制御部81に出力する。主制御部81は、信号処理部86からの印刷命令に応じて、LED制御部82,転写電圧制御部83,現像制御部84及び熱源制御部85と連携して当該ビットマップデータの印刷動作を開始させる。
【0043】
図5(A)〜(D)は、画像形成装置1の印刷動作を説明するためのタイミングチャートである。印刷動作が開始されると、主制御部81は、ベルト駆動モータ45の回転及びドラムモータDMY,DMC,DMM,DMKの回転を開始させる。この結果、中間転写ベルト41及び感光体ドラム31Y,31M,31C,31Kが駆動される。また、現像制御部84は、帯電ローラ32Y,32M,32C,32Kに帯電動作を開始させる。
【0044】
次に、LED制御部82は、
図5(A)に示されるような露光制御信号ECY,ECM,ECC,ECKをLEDヘッド34Y,34M,34C,34Kにそれぞれ供給することでLEDヘッド34Y,34M,34C,34Kの露光動作を制御する。LEDヘッド34Y,34M,34C,34Kは、露光制御信号ECY,ECM,ECC,ECKにより指定されたタイミングで印刷画像の色成分に対応する光を感光体ドラム31Y,31M,31C,31Kに照射して感光体ドラム31Y,31M,31C,31Kの表面に静電潜像を形成する。ここで、露光制御信号ECYの信号レベルが低レベル(ONレベル)のとき、LEDヘッド34Yは動作して感光体ドラム31Yを露光するが、露光制御信号ECYの信号レベルが高レベル(OFFレベル)のときは、LEDヘッド34Yは動作しない。他の感光体ドラム31M,31C,31Kも、それぞれ露光制御信号ECM,ECC,ECKの信号レベルに応じて感光体ドラム31Yと同様に動作する。
図5(A)に示されるように、時刻t
0から時刻t
2までの期間内に、LEDヘッド34Y,34M,34C,34Kはこの順番で印刷画像用の露光動作を開始する。
【0045】
現像ローラ35Y,35M,35C,35Kは、感光体ドラム31Y,31M,31C,31K上の静電潜像にそれぞれ現像剤を付着させてイエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C)及びブラック(K)の現像剤像を形成する。1次転写ローラ39Y,39M,39C,39Kは、電源回路70から転写バイアスの印加を受けて、感光体ドラム31Y,31M,31C,31K上のイエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C)及びブラック(K)の現像剤像を中間転写ベルト41の被転写面41aに転写して重ね合わせる。これより、中間転写ベルト41上にカラー現像剤像TPが形成される。
【0046】
本実施の形態では、画像形成ユニット30Yに対する露光制御信号ECYの信号レベルがONレベルとなる期間内に、LED制御部82は、画像形成ユニット30Kに対して、印刷画像と対応しないONレベルのパルスMPを含む露光制御信号ECKを供給する(時刻t
0)。これにより、上流側の画像形成ユニット30Yでイエローの現像剤像が形成される期間内に、下流側の画像形成ユニット30Kは、印刷画像用のカラー現像剤像TPに先行してマーク画像TMa,TMbを形成することとなる。
【0047】
マーク画像TMa,TMbは、感光体ドラム31Kと1次転写ローラ39Kとの間のニップ部で中間転写ベルト41に転写された後、2次転写位置に向けて搬送される。その後、第1色ずれセンサ61及び第2色ずれセンサ62は、搬送経路上を移動するマーク画像TMa,TMbを検出する。
図6(A)は、中間転写ベルト41上のマーク画像TMa,TMbとこれらに後続するカラー現像剤像TPとを概略的に示す図であり、
図6(B)は、
図6(A)のVIb−VIb線における矢視図である。
図6(B)に示されるように、マーク画像TMa,TMbは、被転写面41aにおける第1色ずれセンサ61及び第2色ずれセンサ62の検出領域をそれぞれ通過する位置に形成されている。第1色ずれセンサ61及び第2色ずれセンサ62がマーク画像TMa,TMbをそれぞれ検出すると、
図5(B)に示されるように、主制御部81は、マーク画像TMaの検出結果を示す立ち下がりパルスCPaを色ずれセンサ信号CE1から検知するとともに、マーク画像TMbの検出結果を示す立ち下がりパルスCPbを色ずれセンサ信号CE2から検知する(時刻t
1)。
【0048】
一方、LED制御部82による露光制御の開始時刻t0から所定時間経過後に、記録媒体Paの搬送が開始される。
図5(D)は、露光制御と同期して搬送され
る記録媒体Paの搬送速度V(以下「媒体搬送速度V」と呼ぶ。)の一例を示すグラフである。
図5(D)に示されるように、媒体搬送速度Vは、当初、中間転写ベルト41の駆動速度すなわち被転写面41a上の現像剤像(マーク画像TMa,TMb及びカラー現像剤像TP)の搬送速度V1と同じ速度となるように制御される。なお、本実施の形態のような中間転写方式の画像形成装置1の場合、画像形成ユニット30Y,30M,30C,30Kの中で最も上流側にある画像形成ユニット30Y内の露光位置で形成された静電潜像が当該露光位置から現像位置まで移動する距離Lpsと、当該現像位置で形成された現像剤像が当該現像位置から2次転写位置まで移動する距離Lpdとの和(=Lps+Lpd)は、記録媒体Paがカセット11Aの媒体取り出し位置から2次転写位置まで移動する距離よりも長いことが一般的である。このため、LED制御部82による露光制御は、記録媒体Paの搬送よりも時間的に早く開始される。
【0049】
第1搬送センサ64が2次転写位置に向けて移動している記録媒体Paを検出すると、主制御部81は、
図5(C)に示す立ち上がりパルスDPaを搬送センサ信号FD1から検知する(時刻t
3)。
図7(A)は、第1搬送センサ64が記録媒体Paを検出した時刻t
3での中間転写ベルト41上のカラー現像剤像TPの位置を概略的に示す図であり、
図7(B)は、
図7(A)のVIIb−VIIb線における矢視図である。
図7(A)に示されるように、カラー現像剤像TPの先端TPtの位置から2次転写位置までの搬送距離をL1とするとき、次式(1)が高い精度で成立する。
L3−L1=T2×V1−T1×V1 ・・・(1)
【0050】
上式(1)において、T1は、マーク画像TMa,TMbの基となる静電潜像が画像形成ユニット30K内で形成された時刻t
0から、マーク画像TMa,TMbが第1色ずれセンサ61及び第2色ずれセンサ62で検出された時刻t
1までの経過時間である。T2は、ブラック(K)の現像剤像の基となる静電潜像が画像形成ユニット30Kで形成された時刻t
2から、当該ブラック(K)の現像剤像が
図7(A)に示す位置に到達した時刻t
3までの経過時間である。
【0051】
図6(B)の例では、マーク画像TMa,TMb間に搬送方向の位置ずれが無いため、第1色ずれセンサ61及び第2色ずれセンサ62は、マーク画像TMa,TMbを同時刻t
1に検出するが、マーク画像TMa,TMb間に搬送方向の位置ずれがある場合には、マーク画像TMaの検出時刻t
1aとマーク画像TMbの検出時刻t
1bとが異なる。この場合には、たとえば、露光制御の開始時刻t
0から検出時刻t
1aまでの経過時間T1aと、露光制御の開始時刻t
0から検出時刻t
1bまでの経過時間T1bとの平均値を経過時間T1として算出すればよい。
【0052】
感光体ドラム31Kの表面速度は、中間転写ベルト41の駆動速度V1とほぼ同じである。よって、上式(1)の右辺のT1×V1は、経過時間T1の間に、マーク画像TMa,TMbの基となる静電潜像が搬送された距離Lmsとマーク画像TMa,TMbが搬送された距離Lmtとの合計の距離Lm(=Lms+Lmt)を意味する。また、上式(1)の右辺のT2×V1は、経過時間T2の間に、印刷画像のブラックの色成分に対応する静電潜像が搬送された距離Lpsと当該静電潜像に対応する現像剤像が搬送された距離Lptとの合計の距離Lp(=Lps+Lpt)を意味する。よって、距離Lpと距離Lmとの差は、
図7(A)に示されるように搬送距離L3と搬送距離L1との差Δ(=L3−L1)とほぼ同じとなる。
【0053】
上式(1)を変形して次式(2)を得ることができる。
L1=L3−(T2−T1)×V1 ・・・(2)
【0054】
主制御部81は、この式(2)に基づいて、記録媒体Pa(またはPb)が検出された時点t
3における現像剤像の位置から2次転写位置までの現像剤像の搬送予定距離L1を予測し、この搬送予定距離L1に基づいて当該記録媒体Pa(またはPb)の搬送速度Vを可変制御する。これにより、2次転写位置に向かって搬送されるカラー現像剤像TPと記録媒体Pa(またはPb)との間の位置合わせの精度を向上させることができる。
【0055】
図8は、媒体搬送速度の制御方法の主要な手順の一例を概略的に示すフローチャートであり、
図9は、
図8の搬送速度可変制御(ステップS23)の手順を概略的に示すフローチャートである。以下、これら
図8及び
図9を参照しつつ、主制御部81による媒体搬送速度Vの制御処理を説明する。
【0056】
主制御部81は、印刷命令の受信後、LED制御部82に指示して露光制御を開始させる(ステップS10)。LED制御部82は、主制御部81からの指示に応じて、
図5(A)に示されるように時刻t
0で1ページ目の露光制御信号ECYを生成し、この露光制御信号ECYと同期するマーク画像TMa,TMb用の立ち下がりパルスMPを生成する。主制御部81は、立ち下がりパルスMPをトリガとして内蔵タイマの計数動作を開始させることで時刻t
0からの経過時間の計測を開始する(ステップS11)。
【0057】
次に、主制御部81は、送り出しモータ25,26、レジストモータ27及び搬送モータ群MTを制御して記録媒体Paの搬送を開始させる(ステップS12)。この搬送制御により、記録媒体Paは、
図5(D)に示されるように一定の搬送速度V1(以下「通常搬送速度V1」と呼ぶ。)で2次転写位置に向かって搬送される。
【0058】
その後、主制御部81は、第1色ずれセンサ61及び第2色ずれセンサ62から色ずれ検出パルスCPa,CPbが入力されるまで待機する(ステップS13のNO)。
図5(B)に示されるような色ずれ検出パルスCPa,CPbが入力されると(ステップS13のYES)、主制御部81は、内蔵タイマの計測動作を終了させて色ずれ検出パルスCPa,CPbにそれぞれ対応する計数値Na,Nbを得る(ステップS14)。次いで、主制御部81は、計数値Na,Nbにそれぞれ対応する経過時間T1a,T1bの算術平均値(=(T1a+T1b)/2)を算出し、この算術平均値に経過時間T1を設定する(ステップS15)。その後、内蔵タイマの計数値Na,Nbは初期化される。
【0059】
その後、主制御部81は、基準色(ブラック)用の現像剤像の露光制御が開始されるまで待機する(ステップS16のNO)。
図5(A)に示されるように時刻t
2で基準色の現像剤像の露光制御が開始されると、主制御部81は、内蔵タイマの計数動作を開始させることで時刻t
2からの経過時間の計測を開始する(ステップS17)。その後、主制御部81は、媒体検出パルス(立ち上がりパルス)DPaが入力されるまで待機する(ステップS18のNO)。
図5(C)に示されるように時刻t
3で媒体検出パルスDPaが入力されると(ステップS18のYES)、主制御部81は、内蔵タイマの計測動作を終了させて計数値Ncを得る(ステップS19)。次いで、主制御部81は、計数値Ncに対応する時間に経過時間T2を設定する(ステップS20)。その後、内蔵タイマの計数値は初期化される。
【0060】
経過時間T1,T2の設定完了後、主制御部81は、上式(2)に従い、経過時間T1,T2の時間差(=T2−T1)に基づいて、
図7(A)に示されるようなカラー現像剤像TPの搬送予定距離L1を算出する(ステップS21)。この搬送予定距離L1の値は、メモリに記憶される。次いで、この搬送予定距離L1が許容範囲内にあるか否かが判定される(ステップS22)。搬送予定距離L1が許容範囲内にあると判定した場合(ステップS22のYES)、主制御部81は、
図5(D)の点線で示される通常搬送速度V1で2次転写位置まで記録媒体Paの搬送を続行させる。その後、次ページの印刷命令が無い場合には(ステップS25のNO)、1ページ目の印刷処理の完了後に制御処理は終了する。一方、次ページの印刷命令が有る場合には(ステップS25のYES)、主制御部81は、次ページの露光制御と同期して1ページ目と同様に記録媒体Paの搬送制御を開始する(ステップS26)。その後、処理手順はステップS25に戻る。
【0061】
他方、ステップS22で搬送予定距離L1が許容範囲外にあると判定した場合(ステップS22のNO)、主制御部81は、
図9の搬送速度可変制御を実行する(ステップS23)。
【0062】
図9を参照すると、中間転写ベルト41が駆動方向に縮小したために搬送予定距離L1が媒体搬送距離L2よりも短くなっている場合は(ステップS30のYES)、主制御部81は、
図5(D)に示されるように時刻t
3から待ち時間T3の経過後に媒体搬送速度Vを通常搬送速度V1から速度V2に低下させる(ステップS31)。その後、主制御部81は、媒体検出パルス(立ち上がりパルス)DPbが入力されるまで待機する(ステップS32のNO)。媒体検出パルスDPbが入力されると(ステップS32のYES)、主制御部81は、媒体検出パルスDPbをトリガとして
図5(D)に示されるように、媒体検出パルスDPbの検出時刻t
4から待ち時間T4の経過後に媒体搬送速度Vを加速して速度V2から通常搬送速度V1に戻す(ステップS33)。これにより、2次転写位置での記録媒体Paとカラー現像剤像TPとの位置合わせの精度が向上する。
【0063】
一方、中間転写ベルト41が駆動方向に伸びているために搬送予定距離L1が媒体搬送距離L2よりも長い場合には(ステップS30のNO)、主制御部81は、
図5(D)の点線で示されるように時刻t
3から待ち時間T3の経過後に媒体搬送速度Vを通常搬送速度V1から速度V3に増加させる(ステップS36)。その後、主制御部81は、媒体検出パルス(立ち上がりパルス)DPbが入力されるまで待機する(ステップS37のNO)。媒体検出パルスDPbが入力されると(ステップS37のYES)、主制御部81は、媒体検出パルスDPbをトリガとして
図5(D)の点線で示されるように検出時刻t
4から待ち時間T4の経過後に媒体搬送速度Vを速度V3から通常搬送速度V1に戻す(ステップS38)。これにより、2次転写位置での記録媒体Paとカラー現像剤像TPとの位置合わせの精度が向上する。
【0064】
ステップS33またはステップS38の後に、次ページの印刷命令が無い場合には(ステップS39のNO)、1ページ目の印刷処理の完了後に制御処理は終了する。一方、次ページの印刷命令が有る場合には(ステップS39のYES)、主制御部81は、次ページの露光制御と同期して1ページ目と同様に記録媒体Paの搬送制御を開始する(ステップS40)。その後、主制御部81は、媒体検出パルス(立ち上がりパルス)DPaが入力されるまで待機する(ステップS41のNO)。
図5(D)に示されるように媒体検出パルスDPaが入力されると(ステップS41のYES)、ステップS30以後の手順が繰り返し実行される。このため、複数ページに亘って2次転写位置での記録媒体Paとカラー現像剤像TPとの位置合わせを精度良く行うことができる。
【0065】
ところで、
図2の高圧電源72は、記録媒体Paの先端が2次転写位置に到達するタイミングに合わせてカラー現像剤像TPの帯電荷の極性とは逆極性の転写バイアスを2次転写ローラ19に印加する。これに対し、マーク画像TMa,TMbが2次転写位置を通過する際には、高圧電源72は、マーク画像TMa,TMbの帯電荷と同極性の電圧を2次転写ローラ19に印加することで、2次転写ローラ19がマーク画像TMa,TMbで汚染されることを防止する。また、
図3に示されるように転写されずに中間転写ベルト41上に残留したマーク画像TMa,TMbは、クリーニング部材48によって除去される。
【0066】
次に、上記実施の形態1の画像形成装置1の効果について説明する。
【0067】
上記の通り、本実施の形態の画像形成装置1は、画像形成ユニット30Kの1次転写位置から2次転写位置に至る搬送経路上を移動しているマーク画像TMa,TMbを検出し、その検出結果に基づいて記録媒体Pa(またはPb)の搬送速度Vを可変制御することができる。このため、マーク画像TMa,TMbに続いて搬送されるカラー現像剤像TPと記録媒体Pa(またはPb)との間の位置合わせの精度を向上させることができる。たとえば、経時変化や環境変化などに起因して中間転写ベルト41の周長のバラツキや変化、あるいは可動可能なアイドルローラ43の中心位置のずれが生じると、1次転写位置から2次転写位置までのカラー現像剤像TPの搬送距離が変化することがあるが、本実施の形態の画像形成装置1は、そのようなカラー現像剤像TPの搬送距離の変化を補償することができる。
【0068】
主制御部81は、
図7(A)に示したように、第1搬送センサ64により記録媒体Paが検出された時点t
3(
図5(C))でのカラー現像剤像TPの先端TPtから2次転写位置までの搬送予定距離L1を予測し(
図8のステップS21)、この搬送予定距離L1に応じて媒体搬送速度Vを可変制御しているので、媒体搬送速度Vを柔軟に且つ細かい手順で制御することができる。したがって、2次転写位置で合流するカラー現像剤像TPと記録媒体Pa(またはPb)との位置合わせを極めて正確に行うことができる。
【0069】
また、画像形成ユニット30Y,30M,30C,30Kのうち下流側の画像形成ユニット30Kがマーク画像TMa,TMbを形成するので、マーク画像TMa,TMbの形成は、印刷命令の受信後、中間転写ベルト41から記録媒体Pa上にカラー現像剤像TPが転写されるまでの時間を遅らせることがない。言い換えれば、印刷ジョブに関する一連の画像形成動作の中にマーク画像TMa,TMbを形成する動作が含まれるので、マーク画像TMa,TMbを形成することによる画像形成動作の遅延を防止することができる。したがって、ファーストプリント時間(印刷命令の受信後、1ページ目の記録媒体が画像形成装置1から排出されるまでの時間)を犠牲にせずに精度の高い位置合わせを実現することができる。
【0070】
なお、本実施の形態では、画像形成ユニット30Y〜30Kのうち最も上流側に配置された画像形成ユニット30Yが現像剤像を形成する期間内に、最も下流側に配置された画像形成ユニット30Kがマーク画像TMa,TMbを形成しているが、これに限定されるものではない。画像形成ユニット30Yが現像剤像を形成する期間内に、下流側の画像形成ユニット30M,30Cのいずれかがマーク画像TMa,TMbを形成してもよい。この場合にも、印刷ジョブに関する一連の画像形成動作の中にマーク画像TMa,TMbの形成動作を組み込むことができるので、ファーストプリント時間を犠牲にせずに精度の高い位置合わせを実現することができる。ただし、最も下流側の画像形成ユニット30Kがマーク画像TMa,TMbを形成することが好ましい。
【0071】
マーク画像TMa,TMbを形成する画像形成ユニット30Kは、駆動ローラ42から離れた位置に配置されている。よって、駆動ローラ42による駆動開始直後にマーク画像TMa,TMbを形成する場合でも、マーク画像TMa,TMbは、その駆動開始直後に駆動ローラ42から中間転写ベルト41を伝播する振動の影響を受けにくいという利点がある。このため、マーク画像TMa,TMbの形成位置の精度が向上し、媒体搬送速度Vの補正の精度も向上することとなる。また、色ずれ補正時の基準色であるブラックの現像剤像を形成する画像形成ユニット30Kを使用してマーク画像TMa,TMbを形成することで誤差の低い位置合わせが可能となる。
【0072】
なお、画像形成ユニット30M,30Cのいずれかがマーク画像TMa,TMbを形成する場合でも、画像形成ユニット30M,30Cは、画像形成ユニット30Yを介して駆動ローラ42から離間しているため、駆動ローラ42から中間転写ベルト41を伝播する振動の影響を受けにくい。よって、この場合でも、マーク画像TMa,TMbの形成位置の精度向上と、媒体搬送速度Vの補正精度の向上とを実現することができる。ただし、画像形成ユニット30Y〜30Kの中で駆動ローラ42から最も離れている画像形成ユニット30Kがマーク画像TMa,TMbを形成することが好ましい。
【0073】
また、媒体搬送速度Vの補正動作は印刷ジョブの中に組み込まれるので、不必要な感光体ドラム31Y,31M,31C,31Kの回転動作、並びに中間転写ベルト41の不要な駆動を行う必要がないため、感光体ドラム31Y,31M,31C,31Kや中間転写ベルトユニット40の寿命を長くすることが可能である。
【0074】
さらに、上記実施の形態では、第1色ずれセンサ61と第2色ずれセンサ62という2つの色ずれセンサを使用してマーク画像TMa,TMbが検出されている。これにより、たとえば画像形成ユニット30Kの傾きによりマーク画像TMa,TMbの形成位置(転写位置)が搬送方向(副走査方向)に互いにずれた場合でも、その形成位置のずれを補償することができる。このため、搬送予定距離L1を正確に予測することが可能である。ただし、本発明はこれに限定されるものではなく、いずれか一方の色ずれセンサによる検出結果のみを用いてもよい。
【0075】
実施の形態2.
次に、本発明に係る実施の形態2について説明する。本実施の形態の画像形成装置の基本構成は、
図1〜
図3に示した実施の形態1の画像形成装置1の基本構成と同じである。本実施の形態では、搬送経路上を移動するマーク画像を検出するのは、濃度センサ63であり、第1色ずれセンサ61及び第2色ずれセンサ62では無い。この点を除いて、本実施の形態の媒体搬送速度の制御方法は、実施の形態1の媒体搬送速度の制御方法とほぼ同じである。
【0076】
図10(A)〜(D)に、本実施の形態の画像形成装置の印刷動作を説明するためのタイミングチャートを示す。印刷動作が開始されると、上記実施の形態1の場合と同様に、主制御部81は、ベルト駆動モータ45の回転及びドラムモータDMY,DMC,DMM,DMKの回転を開始させる。この結果、中間転写ベルト41及び感光体ドラム31Y,31M,31C,31Kが駆動される。また、現像制御部84は、帯電ローラ32Y,32M,32C,32Kに帯電動作を開始させる。
【0077】
次に、LED制御部82は、
図10(A)に示されるような露光制御信号ECY,ECM,ECC,ECKをLEDヘッド34Y,34M,34C,34Kにそれぞれ供給することでLEDヘッド34Y,34M,34C,34Kの露光動作を制御する。
図10(A)の露光制御信号ECY,ECM,ECC,ECKの信号波形は、
図5(A)の信号波形と同じである。
【0078】
また、画像形成ユニット30Yに対する露光制御信号ECYの信号レベルがONレベルとなる期間内に、LED制御部82は、画像形成ユニット30Kに対してONレベルのパルスMPdを含む露光制御信号ECKを供給する(時刻t
0)。これにより、画像形成ユニット30Kでマーク画像TMdが形成され、中間転写ベルト41上に転写される。マーク画像TMdは、2次転写位置に向かって搬送経路上を移動する際に濃度センサ63によって検出される。
【0079】
図11(A)は、中間転写ベルト41上のマーク画像TMdとこれに後続するカラー現像剤像TPとを概略的に示す図である。
図11(B)は、
図11(A)のXIb−XIb線における矢視図である。
図11(B)に示されるように、マーク画像TMdは、被転写面41aにおける濃度センサ63の検出領域を通過する位置に形成されている。濃度センサ63がマーク画像TMdを検出すると、
図10(B)に示されるように、主制御部81は、マーク画像TMdの検出結果を示す立ち下がりパルスCPdを濃度センサ信号PDから検知する(時刻t
1d)。
【0080】
一方、LED制御部82による露光制御の開始時刻t
0から所定時間経過後に、記録媒体Paの搬送が開始される。
図10(D)は、露光制御と同期して搬送される記録媒体Paの搬送速度V(以下「媒体搬送速度V」と呼ぶ。)の一例を示すグラフである。媒体搬送速度Vは、
図10(D)に示されるように当初は中間転写ベルト41の駆動速度すなわち被転写面41a上の現像剤像(マーク画像TMd及びカラー現像剤像TP)の搬送速度V1と同じ速度となるように制御される。
【0081】
第1搬送センサ64が2次転写位置に向けて移動している記録媒体Paを検出すると、主制御部81は、
図10(C)に示す立ち上がりパルスDPaを搬送センサ信号FD1から検知する(時刻t
3)。
図12(A)は、第1搬送センサ64が記録媒体Paを検出した時刻t
3での中間転写ベルト41上のカラー現像剤像TPの位置を概略的に示す図であり、
図12(B)は、
図12(A)のXIIb−XIIb線における矢視図である。
図12(A)に示されるように、カラー現像剤像TPの先端TPtの位置から2次転写位置までの搬送距離をL1とするとき、上式(1)と同様に、次式(3)が高い精度で成立する。
L4−L1=T2×V1−T1d×V1 ・・・(3)
【0082】
上式(3)において、L4は、濃度センサ63の中心と対向する被転写面41a上の対向位置から2次転写位置までの現像剤像の搬送距離である。この搬送距離L4は、
図12(A)に示すように、アイドルローラ43から当該対向位置までの搬送距離よりも長く、画像形成装置1の印刷動作中でもほとんど変化しない。また、T1dは、マーク画像TMdの基となる静電潜像が画像形成ユニット30K内で形成された時刻t
0から、マーク画像TMdが濃度センサ63で検出された時刻t
1dまでの経過時間である。T2は、ブラック(K)の現像剤像の基となる静電潜像が画像形成ユニット30Kで形成された時刻t
2から、当該ブラック(K)の現像剤像が
図12(A)に示す位置に到達した時刻t
3までの経過時間である。
【0083】
上式(3)を変形して次式(4)を得ることができる。
L1=L4−(T2−T1d)×V1 ・・・(4)
【0084】
主制御部81は、この式(4)に基づいて、記録媒体Paが検出された時点t
3における現像剤像の位置から2次転写位置までの現像剤像の搬送予定距離L1を予測し、この搬送予定距離L1に基づいて当該記録媒体Paの搬送速度Vを可変制御する。これにより、2次転写位置に向かって搬送されるカラー現像剤像TPと記録媒体Paとの間の位置合わせの精度を向上させることができる。
【0085】
以下、
図13を参照しつつ、実施の形態2に係る媒体搬送速度Vの制御処理を説明する。
図13は、実施の形態2に係る媒体搬送速度の制御方法の主要な手順の一例を概略的に示すフローチャートである。このフローチャートの手順は、ステップS13d,S14d,S15d,S21dを除いて、上記した
図8のフローチャートの手順と同じである。
【0086】
主制御部81は、実施の形態1の場合と同様にステップS10〜S12を実行した後、濃度検出パルス(立ち下がりパルス)CPdが入力されるまで待機する(ステップS13dのNO)。
図10(B)に示されるような濃度検出パルスCPdが入力されると(ステップS13dのYES)、主制御部81は、内蔵タイマの計測動作を終了させて濃度検出パルスCPdに対応する計数値Ndを得る(ステップS14d)。次いで、主制御部81は、計数値Ndに対応する経過時間T1dを設定する(ステップS15d)。その後、内蔵タイマの計数値Ndは初期化される。
【0087】
その後、主制御部81は、実施の形態1の場合と同様にステップS16〜S20を実行した後に、上式(4)に従い、経過時間T1d,T2の時間差(=T2−T1d)に基づいて、カラー現像剤像TPの搬送予定距離L1を算出する(ステップS21d)。この搬送予定距離L1の値は、メモリに記憶される。その後、主制御部81は、搬送予定距離L1が許容範囲内か否かに応じて(ステップS22)、実施の形態1の場合と同様にステップS23またはステップS25,S26を実行する。
【0088】
以上に説明したように実施の形態2では、濃度センサ63は、1次転写位置から2次転写位置に向けて移動するマーク画像TMdを検出し、主制御部81は、その検出結果に基づいて記録媒体Pa(またはPb)の搬送速度Vを可変制御することができる。また、実施の形態1の場合と同様に、主制御部81は、カラー現像剤像TPの搬送予定距離L1を予測し(
図13のステップS21d)、この搬送予定距離L1に応じて媒体搬送速度Vを可変制御するので、媒体搬送速度Vを柔軟に且つ細かい手順で制御することができる。したがって、2次転写位置で合流するカラー現像剤像TPと記録媒体Pa(またはPb)との位置合わせを極めて正確に行うことができる。
【0089】
また、本実施の形態では、上記実施の形態1の場合とは異なり、濃度センサ63で検出されるマーク画像TMdを1つしか形成せずに済む。このため、現像剤の消費量を抑制することができるという利点がある。また、マーク画像TMdは、濃度センサ63の検出領域に合わせて被転写面41aの幅方向の略中央位置に形成されるため、平均的に画像形成ユニット30Kの傾きの影響をほとんど受けずに、2次転写位置でのカラー現像剤像TPと記録媒体Pa(またはPb)との間の位置合わせの精度を向上させることができる。
【0090】
以上、図面を参照して本発明の種々の実施の形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な形態を採用することもできる。たとえば、制御部80の構成の全部または一部は、ハードウェアで実現されてもよいし、あるいは、CPU(中央演算装置)などのプロセッサに処理を実行させるプログラムで実現されてもよい。また、制御部80は、特定の用途向けに複数機能の回路を1つにまとめた集積回路であるエーシック(Application Specific Integrated Circuit、ASIC)、あるいは、ユーザが独自の論理回路を書き込むことができるゲートアレイの一種であるフィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(Field Programmable Gate Array、FPGA)により構成されてもよい。
【0091】
本発明は、中間転写方式を採用する複写機、ファクシミリ機器、プリンタなどの画像形成装置に適用され得る。