(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
光源から射出される光を参照光と測定光とに分割し、前記測定光が測定対象に照射されたときの前記測定対象からの反射光と前記参照光とを合波し、合波された前記反射光と前記参照光の干渉光の光強度に基づいて前記測定対象の断層画像を取得する光断層画像化装置であって、
前記測定光の焦点位置を測定対象の深さ方向に変化させる焦点位置変更手段と、
前記測定光を走査しながら、前記焦点位置変更手段で変化させた複数の焦点位置にそれぞれ対応する複数の断層画像を生成する断層画像生成手段と、
前記複数の断層画像を合成することにより、前記測定対象の合成断層画像を生成する断層画像合成手段と、
前記測定光の焦点位置を測定対象の深さ方向に変化させつつ前記測定光の走査間隔よりも粗いプレ走査間隔で前記測定光をプレ走査して得られる画像データに基づき、前記複数の焦点位置を設定する焦点位置設定手段と、
を備える光断層画像化装置。
光源から射出される光を参照光と測定光とに分割し、前記測定光が測定対象に照射されたときの前記測定対象からの反射光と前記参照光とを合波し、合波された前記反射光と前記参照光の干渉光の光強度に基づいて前記測定対象の断層画像を取得する光断層画像化装置の作動方法であって、
前記測定光の焦点位置を測定対象の深さ方向に変化させる焦点位置変更ステップと、
前記測定光を走査しながら、前記焦点位置変更ステップで変化させた複数の焦点位置にそれぞれ対応する複数の断層画像を生成する断層画像生成ステップと、
前記複数の断層画像を合成することにより、前記測定対象の合成断層画像を生成する断層画像合成ステップと、
前記測定光の焦点位置を測定対象の深さ方向に変化させつつ前記測定光の走査間隔よりも粗いプレ走査間隔で前記測定光をプレ走査して得られる画像データに基づき、前記複数の焦点位置を設定する焦点位置設定ステップと、
を備える光断層画像化装置の作動方法。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付図面を参照して、本発明に係る光断層画像化装置及びその作動方法について詳細に説明する。
【0025】
第1実施形態:
図1は、本発明の第1実施形態に係る光構造像観察装置(光断層画像化装置)としてのOCTプロセッサの内部構成を示すブロック図である。
【0026】
図1に示すOCTプロセッサ400は、光干渉断層(OCT:Optical Coherence Tomography)計測法による測定対象の光断層画像を取得するためのもので、測定のための光Laを射出する光源手段としての第1の光源(第1の光源ユニット)12と、第1の光源12から射出された光Laを測定光(第1の光束)L1と参照光L2に分岐するとともに、被検体である測定対象Sからの戻り光L3と後述する光路長調整部26を経た参照光L2を合波して干渉光L4及びL5を生成する分波手段としての光ファイバカプラ(分岐合波部)14と、光ファイバカプラ14で分岐された測定光L1を測定対象まで導波するとともに測定対象からの戻り光L3を導波するプローブ側光ファイバFB1を備える光プローブとしてのOCTプローブ600と、測定光L1をプローブ側光ファイバFB1まで導波するとともにプローブ側光ファイバFB1によって導波された戻り光L3を導波する光ファイバFB2と、プローブ側光ファイバFB1を光ファイバFB2に接続し、測定光L1及び戻り光L3を伝送する光コネクタ18と、光ファイバカプラ14で生成された干渉光L4及びL5を干渉信号として検出する干渉手段としての干渉光検出部20と、この干渉光検出部20によって検出された干渉信号を処理して光構造情報を取得し情報処理する処理部22と、を有する。また、処理部22で取得された光構造情報に基づいて画像はモニタ装置500に表示される。
【0027】
また、OCTプロセッサ400は、測定の目印を示すためのエイミング光(第2の光束)Leを射出する第2の光源(第2の光源ユニット)13と、参照光L2の光路長を調整する光路長調整部26と、第1の光源12から射出された光Laを分光する光ファイバカプラ28と、光ファイバカプラ14で合波された干渉光L4及びL5を検出する検出器30a及び30bと、処理部22への各種条件の入力、設定の変更等を行う操作制御部32とを有する。
【0028】
なお、
図1に示すOCTプロセッサ400においては、上述した射出光La、エイミング光Le、測定光L1、参照光L2及び戻り光L3などを含む種々の光を各光デバイスなどの構成要素間で導波し、伝送するための光の経路として、プローブ側光ファイバFB1及び光ファイバFB2を含め種々の光ファイバFB(FB3、FB4、FB5、FB6、FB7、FB8など)が用いられている。
【0029】
第1の光源12は、OCTの測定のための光(例えば、波長1.3μmのレーザ光あるいは低コヒーレンス光)を射出するものであり、この第1の光源12は周波数を一定の周期で掃引させながら赤外領域である、例えば波長1.3μmを中心とするレーザ光Laを射出する光源である。この第1の光源12は、レーザ光あるいは低コヒーレンス光Laを射出する光源12aと、光源12aから射出された光Laを集光するレンズ12bとを備えている。また、第1の光源12から射出された光Laは、光ファイバFB4、FB3を介して光ファイバカプラ14で測定光L1と参照光L2に分岐され、測定光L1は光コネクタ18に入力される。
【0030】
また、第2の光源13は、エイミング光Leとして測定部位を確認しやすくするために可視光を射出するものである。例えば、波長0.66μmの赤半導体レーザ光、波長0.63μmのHe−Neレーザ光、波長0.405μmの青半導体レーザ光などを用いることができる。そこで、第2の光源13としては、例えば赤色あるいは青色あるいは緑色のレーザ光を射出する半導体レーザ13aと、半導体レーザ13aから射出されたエイミング光Leを集光するレンズ13bを備えている。第2の光源13から射出されたエイミング光Leは、光ファイバFB8を介して光コネクタ18に入力される。
【0031】
光コネクタ18では、測定光L1とエイミング光Leとが合波され、OCTプローブ600内のプローブ側光ファイバFB1に導波される。
【0032】
光ファイバカプラ14は、例えば2×2の光ファイバカプラで構成されており、光ファイバFB2、光ファイバFB3、光ファイバFB5、光ファイバFB7とそれぞれ光学的に接続されている。
【0033】
光ファイバカプラ14は、第1の光源12から光ファイバFB4及びFB3を介して入射した光Laを測定光(第1の光束)L1と参照光L2とに分岐し、測定光L1を光ファイバFB2に入射させ、参照光L2を光ファイバFB5に入射させる。
【0034】
さらに、光ファイバカプラ14は、光ファイバFB5に入射され後述する光路長調整部26によって周波数シフト及び光路長の変更が施されて光ファイバFB5を戻った光L2と、後述するOCTプローブ600で取得され光ファイバFB2から導波された光L3とを合波し、光ファイバFB3(FB6)及び光ファイバFB7に射出する。
【0035】
OCTプローブ600は、光コネクタ18を介して、光ファイバFB2と接続されており、光ファイバFB2から、光コネクタ18を介して、エイミング光Leと合波された測定光L1がプローブ側光ファイバFB1に入射される。入射されたこのエイミング光Leと合波された測定光L1をプローブ側光ファイバFB1によって伝送して測定対象Sに照射する。そして測定対象Sからの戻り光L3を取得し、取得した戻り光L3をプローブ側光ファイバFB1によって伝送して、光コネクタ18を介して、光ファイバFB2に射出するようになっている。
【0036】
また、OCTプローブ600は、エイミング光Leと合波されプローブ側光ファイバFB1から出射された測定光L1を測定対象Sに2次元走査して照射する走査手段及び照射/集光手段としての測定光学系601と、測定光学系601において測定光L1を2次元走査するため、また測定光L1の焦点位置を可変させるための焦点駆動手段としての光学系駆動機構602を備えている。
【0037】
光コネクタ18は、測定光(第1の光束)L1とエイミング光(第2の光束)Leとを合波するものである。
【0038】
干渉光検出部20は、光ファイバFB6及び光ファイバFB7と接続されており、光ファイバカプラ14で参照光L2と戻り光L3とを合波して生成された干渉光L4及びL5を干渉信号として検出する干渉手段を構成する。
【0039】
ここで、OCTプロセッサ400は、光ファイバカプラ28から分岐させた光ファイバFB6上に設けられ、干渉光L4の光強度を検出する検出器30aと、光ファイバFB7の光路上に干渉光L5の光強度を検出する検出器30bとを有している。
【0040】
干渉光検出部20は、検出器30a及び検出器30bの検出結果に基づいて、光ファイバFB6から検出する干渉光L4と光ファイバFB7から検出する干渉光L5をフーリエ変換することにより、測定対象Sの各深さ位置における反射光(あるいは後方散乱光)の強度を検出する。
【0041】
処理部22は、複数の異なる焦点位置における干渉光検出部20で抽出した干渉信号から光構造情報を取得し、取得した光構造情報に基づいて光断層構造像及び光立体構造像を生成するとともに、この光立体構造像に対して各種処理を施した画像をモニタ装置500へ出力する。処理部22の詳細な構成は後述する。
【0042】
光路長調整部26は、光ファイバFB5の参照光L2の射出側(すなわち、光ファイバFB5の光ファイバカプラ14とは反対側の端部)に配置されている。
【0043】
光路長調整部26は、光ファイバFB5から射出された光を平行光にする第1光学レンズ80と、第1光学レンズ80で平行光にされた光を集光する第2光学レンズ82と、第2光学レンズ82で集光された光を反射する反射ミラー84と、第2光学レンズ82及び反射ミラー84を支持する基台86と、基台86を光軸方向に平行な方向に移動させるミラー移動機構88とを有し、第1光学レンズ80と第2光学レンズ82との距離を変化させることで参照光L2の光路長を調整する。
【0044】
第1光学レンズ80は、光ファイバFB5のコアから射出された参照光L2を平行光にするとともに、反射ミラー84で反射された参照光L2を光ファイバFB5のコアに集光する。
【0045】
また、第2光学レンズ82は、第1光学レンズ80により平行光にされた参照光L2を反射ミラー84上に集光するとともに、反射ミラー84により反射された参照光L2を平行光にする。このように、第1光学レンズ80と第2光学レンズ82とにより共焦点光学系が形成されている。
【0046】
さらに、反射ミラー84は、第2光学レンズ82で集光される光の焦点に配置されており、第2光学レンズ82で集光された参照光L2を反射する。
【0047】
これにより、光ファイバFB5から射出した参照光L2は、第1光学レンズ80により平行光になり、第2光学レンズ82により反射ミラー84上に集光される。その後、反射ミラー84により反射された参照光L2は、第2光学レンズ82により平行光になり、第1光学レンズ80により光ファイバFB5のコアに集光される。
【0048】
また、基台86は、第2光学レンズ82と反射ミラー84とを固定し、ミラー移動機構88は、基台86を第1光学レンズ80の光軸方向(
図1矢印A方向)に移動させる。
【0049】
ミラー移動機構88で、基台86を矢印A方向に移動させることで、第1光学レンズ80と第2光学レンズ82との距離を変更することができ、参照光L2の光路長を調整する
ことができる。
【0050】
操作制御部32は、図示はしないが、キーボード、マウス等の入力手段と、入力された情報に基づいて各種条件を管理する制御手段とを有し、処理部22に接続されている。操作制御部32は、入力手段から入力されたオペレータの指示に基づいて、処理部22における各種処理条件等(後述する焦点位置指定情報を含む)の入力、設定、変更等を行う。
【0051】
なお、操作制御部32は、操作画面をモニタ装置500に表示させてもよいし、別途表示部を設けて操作画面を表示させてもよい。また、操作制御部32で、第1の光源12、第2の光源13、光コネクタ18、干渉光検出部20、光路長ならびに検出器30a及び30bの動作制御や各種条件の設定を行うようにしてもよい。
【0052】
図2は
図1のOCTプローブの構成を示す図である。本実施形態のOCTプローブ600の測定光学系601は、プローブ側光ファイバFB1から出射したエイミング光Leと合波された測定光L1(以下、単に測定光L1と記す)を測定対象S上にて走査するためのガルバノミラー604と、測定光L1を平行光に変換しガルバノミラー604に集光させるレンズ部606とを備えて構成さている。
【0053】
また、OCTプローブ600では、測定対象Sは、基台610に設けられえた可動ステージ611のテーブル612に配置される。この可動ステージ611は、テーブル612を例えば、
図2に示すように、ガルバノミラー604が走査する走査軸をY軸としたときに、このY軸に略直交する水平面上の軸であるX軸に沿って走査するためのX軸可動部613と、X−Y平面に直交するZ軸方向である測定対象Sの深さ方向に駆動するZ軸可動部614とを備えて構成されている。
【0054】
そして、OCTプローブ600の光学系駆動機構602(
図1参照)は、上記のガルバノミラー604、X軸可動部613及びZ軸可動部614を駆動するようになっている。
【0055】
本実施形態のOCTプロセッサ400及びOCTプローブ600は、光学系駆動機構602により、特にZ軸可動部614をZ軸方向に進退させることで、測定対象Sに対して複数の焦点位置での所望の範囲の複数の光構造情報を得て、取得した複数の光構造情報に基づいて断層画像及び光立体構造画像を得ることができる。
【0056】
なお、OCTプローブの構成は計測対象を乗せているステージが深さ方向に動く
図2の構成に限らず、以下のOCTプローブの変形例1〜4のように構成することができる。
【0057】
(1)OCTプローブの変形例1:測定光学系601がY軸方向及びZ軸方向(深さ方向)に動く構成(
図3参照)
(2)OCTプローブの変形例2:レンズ部606のレンズの間隔を変える構成(
図4参照)
(3)OCTプローブの変形例3:プローブ側光ファイバFB1及びレンズ部606(
図5の2点破線内)が全体的に動き、計測対象Sに対する光路長を変える構成(
図5参照)
(4)OCTプローブの変形例4:ガルバノミラー604及びテーブル612(
図6の2点破線内)の水平移動により、光路長を変える構成(
図6参照)。
【0058】
図7はOCTプロセッサの処理部の構成を示すブロック図である。
図7に示すように、OCTプロセッサ400の処理部22は、焦点位置指定部230、光構造情報検出部220、断層構造情報生成部225、メモリ231、複数焦点画像合成部221、光立体構造画像構築部222、表示制御部224及びI/F部228を備えて構成される。
【0059】
焦点位置指定部230は、光構造情報検出部220に対して測定光L1の異なる複数の焦点位置を指定するものであって、焦点位置指定手段を構成する。
【0060】
光構造情報検出部220は、焦点位置指定部230から指定された焦点位置において、干渉光検出部20で検出した干渉信号から光構造情報を検出するものである。この光構造情報検出部220は、焦点位置指定部230から指定された焦点位置に基づいて、OCTプローブ600の光学系駆動機構602を制御する。
【0061】
断層構造情報生成部225は、光構造情報検出部220が検出した光構造情報に基づき、測定光L1の異なる複数の焦点位置毎の断層構造情報(断層画像データ)を生成するものであって断層構造情報生成手段を構成する。
【0062】
メモリ231は、断層構造情報生成部225が生成した断層構造情報(断層画像データ)を異なる複数の焦点位置毎に格納するものである。
【0063】
複数焦点画像合成部221は、メモリ231に格納された異なる複数の焦点位置毎の断層構造情報(断層画像データ)に基づいた合成断層画像を生成する断層画像生成手段であり、複数焦点画像合成部221が生成する合成断層画像については後述する。
【0064】
光立体構造画像構築部222は、複数焦点画像合成部221が生成した合成断層画像に基づいて光立体構造画像を生成するものであって立体構造画像生成手段を構成する。
【0065】
表示制御部227は、複数焦点画像合成部221が生成した合成断層画像あるいは光立体構造画像構築部222からの光立体構造画像を、I/F部228を介した操作制御部32の制御信号によりモニタ装置500に出力するものであって、表示制御手段を構成する。
【0066】
I/F部228は、操作制御部32からの設定信号、指定信号を各部に送信する通信インターフェイス部であって、表示形態指定手段を構成する。
【0067】
まず、このように構成された本実施形態のOCTプロセッサ400の処理部22における処理の概要を
図8を用いて説明する。
【0068】
図8に示すように、本実施形態の処理部22は、異なる焦点位置の画像である断層構造情報(
図8の焦点位置が浅い画像A及び焦点位置が深い画像Bの断層画像データ)を取得し、これらの断層構造情報(画像A及び画像Bの断層画像データ)を、例えば加算処理等の画像合成処理により合成した合成画像である合成断層画像を生成することで、浅い位置から深い位置まで高いS/N比と適切な解像度を有する合成断層画像をモニタ装置500に表示・提示する。
【0069】
本実施形態のOCTプロセッサ400の処理部22の作用の詳細について、
図9のフローチャートを用い、
図10ないし
図12を参照して説明する。
【0070】
図9に示すように、OCTプロセッサ400の処理部22は、パラメータkを1にセットする(ステップS1)。
【0071】
次に、処理部22は、焦点位置指定部230から第k番目の焦点位置Fd(k)を取得し、光構造情報検出部220にて焦点位置Fd(k)での測定光L1の走査(スキャン)を実行し(ステップS2)、断層構造情報生成部225において焦点位置Fd(k)における断層構造情報(断層画像データ)を生成する(ステップS3)。
【0072】
ステップS3での処理では光構造情報検出部220は、スキャンデータをA/D変換、信号処理の過程を経て焦点位置Fd(k)における断層構造情報(断層画像データ)に変換し、生成した焦点位置Fd(k)での断層構造情報(断層画像データ)をメモリ231に格納する。
【0073】
そして、処理部22は、ステップS4にてパラメータkが所定数(スキャンする焦点位置の個数)Nを越えたかどうか判断し、パラメータkがNを越えていない(k≦N)ならばステップS5にてパラメータkをインクリメントしステップS2に戻り、パラメータkがNを越えたならば(k>N)、ステップS6に進む。
【0074】
続いて、処理部22は、複数焦点画像合成部221にてメモリ231に格納されているN個の断層構造情報(断層画像データ)を用いて複数の焦点位置での合成断層画像を生成する(ステップS6)。この合成断層画像の生成については後述する。
【0075】
そして、処理部22は、光立体構造画像構築部222にて複数焦点画像合成部221が生成した合成断層画像に基づいて光立体構造画像を生成するとともに、表示制御部227により複数焦点画像合成部221が生成した合成断層画像あるいは光立体構造画像構築部222からの光立体構造画像を、I/F部228を介した操作制御部32の制御信号によりモニタ装置500に表示させる画像表示処理を行い(ステップS7)、処理を終了する。
【0076】
なお、ステップS7の画像表示処理においては、適用可能な画像の合成手法の種類、合成パラメータ、計測を行った焦点深さの組み合わせを一緒に表示し、ユーザが指定で変更できるようにすることで、ユーザの使用目的に合った画像を生成、表示することができる。
【0077】
図9の処理における合成断層画像の生成について説明する。
図9の処理により、メモリ231には、例えば
図10に示すような焦点位置Fd(1)、焦点位置Fd(2)、焦点位置Fd(3)での取得画像の断層構造情報(断層画像データ)が格納される。
【0078】
そこで、ステップS6の処理では、これら焦点位置Fd(1)、焦点位置Fd(2)、焦点位置Fd(3)での複数の断層構造情報(断層画像データ)を平均化して合成して合成断層画像を生成する。
【0079】
単純な平均化では、焦点深度を越えた深さの情報まで統合してしまうので、本実施形態では、
図11及び
図12に示すような重み付け関数を用いて焦点位置周辺に重みを付け、強度変換を行った断層構造情報(断層画像データ)を平均化する。
【0080】
なお、重みを付けに用いる重み付け関数は、焦点深度領域を1、非焦点深度領域を0にした矩形関数でも、焦点位置を中心になだらかに変化するものでもよい。
【0081】
このように本実施形態では、複数の異なる焦点位置を指定し、指定した異なる焦点位置毎の断層構造情報(断層画像データ)を取得し、これらの断層構造情報(断層画像データ)を合成することで、浅い位置から深い位置まで高いS/N比と適切な解像度を有する断層画像を生成することができる。
【0082】
第2実施形態:
第2実施形態は、第1実施形態とほとんど同じであるので、異なる点のみ説明し、同一の構成には同じ符号を付し説明は省略する。
【0083】
図13に示すように、第2実施形態の処理部22は、第1実施形態の構成である焦点位置指定部230、光構造情報検出部220、断層構造情報生成部225、メモリ231、複数焦点画像合成部221、光立体構造画像構築部222、表示制御部224及びI/F部228に加えて、プレスキャン情報処理部240が設けられている。
【0084】
上記プレスキャン情報処理部240は、光構造情報検出部220に対して通常の走査間隔よりも粗いプレ走査間隔にて測定光L1を走査させ、このプレ走査間隔による走査にて得られた前記断層構造情報に基づき、焦点位置指定部230が指定する複数の焦点位置Fd(k)を設定する焦点位置設定手段である。
【0085】
なお、プレスキャン情報処理部240は光構造情報検出部220を制御することにより、光学系駆動機構602(
図1参照)により測定光L1をプレスキャン時の所定焦点位置、及びプレ走査間隔にて測定対象Sを2次元走査する。
【0086】
その他の構成は第1実施形態と同じである。
【0087】
ここで、本実施形態におけるプレスキャン情報処理部240によるプレスキャンの概要について説明する。
【0088】
(A)水平分解能:Δx
OCTの水平分解能Δxは、式(1)に示すように、光源の中心波長λと焦点距離f、試料に当たるビーム径dで決定される。高い水平分解能Δxを得るためには、開口数NAが高いレンズでビームを絞る必要がある。
【0090】
(B)焦点深度:Z
一方、焦点深度Zは水平分解能Δxが小さくなるほど小さくなる。つまり、高い水平分解能Δxを得るためにビームを絞るほど、式(2)で計算される焦点深度Zが短くなる。焦点深度は水平分解能の二乗に比例するため、水平分解能Δxが高くなると焦点深度Zが急激に減少する。
【0092】
眼底や血管を対象にしているOCTの場合、層構造の計測が重視され、かつ深い部分まで計測できることが要求される。そのために、高い焦点深度を得るために水平分解能を犠牲にしている場合が多い。
【0093】
しかし消化管や気管支を対象とするOCTの場合は、腺管や血管の走行が診断に重要な情報になるため、高い水平分解能を有する必要がある。一方で、粘膜の表層から深さ数百um前後に位置する粘膜筋板の途切れなど、層構造の変化も計測できる必要がある。
【0094】
第2実施形態では、水平分解能と計測可能深さの両立という課題を、プレスキャン処理を行い測定光L1の焦点位置を変化させることで解決する。
【0095】
測定対象Sとなる生体組織は、
(1)注目構造が表面からどの深さにあるのかが未知である
(2)表面の盛り上がり、陥没などにより、計測装置に対する距離が一定ではない
以上2つの理由で、決められた複数の焦点位置でOCT計測を行う場合、背景や計測対象でない深い位置でも焦点位置を変えながら計測を行うことになり、効率的ではない。特に3次元データを取得する際に、この問題は大きくなる。
【0096】
測定対象Sの表面の位置や観測対象構造の深さを大まかに把握できると、OCT計測に必要な焦点位置を数点に限定することができ、効率化できる。
【0097】
通常OCTのスキャンは、内部の詳しい情報を得るため、光源の特性により決定される水平・垂直分解能と同等もしくは小さいサンプリング間隔で行われる。しかし表面の位置と内部構造を大まかに把握し、本(通常)スキャンで用いる焦点位置を算出するためには、細かい間隔で計測する必要はない。
【0098】
3次元フーリエドメインOCTでは、垂直方向のサンプリング間隔はフーリエ変換によるデータ処理で決定され、スキャン速度には大きな影響を与えない。水平方向スキャン(
図14におけるx、y方向)の範囲を制限するか、サンプリング間隔を広く取る(プレ走査間隔とする)ことが、本実施形態におけるプレスキャンの概念である。
【0099】
プレスキャン時は、内部構造、表面凹凸が未知であるため、なるべく多くの焦点位置で画像を取得する必要がある。そこで、本実施形態では、
図15のように「焦点位置z
n=z
n-1+焦点深度」になるように設定する。
【0100】
プレスキャン結果を用いた焦点深さの組み合わせ設定方法としては、例えば以下の境界検出法あるいはコントラスト法がある。
【0101】
境界検出法:
(A)計測すべき層が決まっている場合
図16に示すように、プレスキャンで得られた画像から、対象の表面と層の境界を抽出する。計測すべき層が表面から境界1までの間の場合、焦点位置は表面の最浅点と境界1の最深点の間で選べば良い。
図16の場合、z1’、 z2’、 z3’が本スキャンで用いる焦点位置になる。
(B).計測すべき深さ範囲が決まっている場合
プレスキャンで得られた画像から、対象の表面を抽出する。表面の最浅点を基準点z1’にし、計測深さ範囲をカバーするよう、焦点深度の間隔で焦点位置zn’を決定する。
【0102】
コントラスト法:
プレスキャンで取得された画像で、
図17及び
図18のように焦点位置znを中心とした焦点深度範囲の領域で信号強度の標準偏差を計算する。
図17のように構造変化がない領域では標準偏差が小さく、
図18のように構造変化がある領域では標準偏差が大きくなる。標準偏差が一定値以上の焦点位置を、本スキャンで用いる焦点位置に決定する。
【0103】
次に、本実施形態のOCTプロセッサ400の処理部22の作用の詳細について、
図19のフローチャートを用い、
図20ないし
図24を参照して説明する。
【0104】
本実施形態の処理部22では、
図19に示すように、第1実施形態のステップS1〜S7の処理(
図9参照)に先立って、プレスキャン情報処理部240にてステップS11〜S13の処理を行う。そこで、本実施形態では、ステップS11〜S13のみ説明し、ステップS1〜S7の処理は第1実施形態と同じであるので、説明は省略する。
【0105】
図19に示すように、まず、本実施形態の処理部22は、プレスキャン情報処理部240にて光構造情報検出部220を制御し測定対象Sを通常走査間隔より粗い間隔でプレスキャンする(ステップS11)。
【0106】
次に、処理部22は、プレスキャン情報処理部24にて本スキャン時の適切な焦点位置Fd(k)の組み合わせを決定するプレスキャン情報処理を実行する(ステップS12)。
【0107】
そして、処理部22は、焦点位置指定部230に対して、ステップS12にて決定した本スキャン時の焦点位置Fd(k)を設定し(ステップS13)、ステップS1の処理に移行する。
【0108】
ステップS12のプレスキャン情報処理により、本スキャン時の焦点位置の変更回数を少なくし、計測時間を短縮することが可能となる。
【0109】
なお、プレスキャン情報処理において、プレスキャンでの計測画像情報を用いて焦点位置の組み合わせを決定する方法としては、以下の例が考えられる。
【0110】
(1)
図20ないし
図22に示すように、対象の表面(境界A:
図20)と、層の境界位置(境界B:
図21、境界C:
図22)を検出し、焦点位置Fd(k)として設定する。なお、OCT信号は層と層の境界面で周辺より強い信号が検出されるので、深さ方向信号の微分値を用いる等の手法が有効である。
【0111】
(2)OCTの断層像は、
図23及び
図24のように、焦点が合っているヒストグラム部分で高いコントラストを有する。取得した画像から、一定範囲のコントラストを計算し、注目構造で最も高いコントラストが得られた焦点位置を選択する。
【0112】
なお、本実施形態では、ステップS6において複数焦点画像合成部221は、
図25ないし
図27に示すように、メモリ231に格納されているN個の断層構造情報(断層画像データ)を、プレスキャン情報処理により得られた層単位で切り分け、各層に最も近い焦
点位置の断層構造情報(断層画像データ)のみを足し合わせ、複数の焦点位置での合成断層画像を生成することができる。
【0113】
また、本実施形態では、ステップS6において複数焦点画像合成部221は、
図28に示すように、焦点位置が浅い(例えば焦点位置がFd(1))画像から水平方向に解像度の高いエッジを抽出し、焦点位置が深い(例えば焦点位置がFd(2))画像にオーバーレイし、複数の焦点位置での合成断層画像を生成することもできる。
【0114】
このように本実施形態では、第1実施形態の効果に加え、プレスキャン情報処理により、焦点位置Fd(k)が目的や対象の状態に応じて動的に変更でき、浅い位置から深い位置まで高いS/N比と適切な解像度を有する断層画像を生成するのに必要な断層構造情報(断層画像データ)を最小限度の異なる焦点位置Fd(k)により、効率的に取得することができる。
【0115】
なお、上記の各実施形態におけるOCTプロセッサ400及びOCTプローブ600は、
図29に示すように、内視鏡装置と共に画像診断装置10を構成することができる。
【0116】
すなわち、
図29に示すように、この画像診断装置10は、主として内視鏡100、内視鏡プロセッサ200、光源装置300、上述した例えば第1実施形態のOCTプロセッサ400、及びモニタ装置500とから構成される。なお、内視鏡プロセッサ200は、光源装置300を内蔵するように構成されていてもよい。
【0117】
内視鏡100は、手元操作部112と、この手元操作部112に連設される挿入部114とを備える。術者は手元操作部112を把持して操作し、挿入部114を被検者の体内に挿入することによって観察を行う。
【0118】
手元操作部112には、鉗子挿入部138が設けられており、この鉗子挿入部138が先端部144の鉗子口156に連通されている。本発明に係る画像診断装置10では、OCTプローブ600を鉗子挿入部138から挿入することによって、OCTプローブ600を鉗子口156から導出する。OCTプローブ600は、鉗子挿入部138から挿入され、鉗子口156から導出される挿入部603と、術者がOCTプローブ600を操作するための操作部605、及びコネクタ410を介してOCTプロセッサ400と接続されるケーブル607から構成されている。
【0119】
内視鏡100の先端部144には、観察光学系150、照明光学系152、及びCCD(不図示)が配設されている。
【0120】
観察光学系150は、被検体を図示しないCCDの受光面に結像させ、CCDは受光面上に結像された被検体像を各受光素子によって電気信号に変換する。この実施の形態のCCDは、3原色の赤(R)、緑(G)、青(B)のカラーフィルタが所定の配列(ベイヤー配列、ハニカム配列)で画素毎に配設されたカラーCCDである。
【0121】
光源装置300は、可視光を図示しないライトガイドに入射させる。ライトガイドの一端はLGコネクタ120を介して光源装置300に接続され、ライトガイドの他端は照明光学系152に対面している。光源装置300から発せられた光は、ライトガイドを経由して照明光学系152から出射され、観察光学系150の視野範囲を照明する。
【0122】
内視鏡プロセッサ200には、CCDから出力される画像信号が電気コネクタ110を介して入力される。このアナログの画像信号は、内視鏡プロセッサ200内においてデジタルの画像信号に変換され、モニタ装置500の画面に表示するための必要な処理が施される。
【0123】
このように、内視鏡100で得られた観察画像のデータが内視鏡プロセッサ200に出力され、内視鏡プロセッサ200に接続されたモニタ装置500に画像が表示される。
【0124】
鉗子挿入部138から挿入するOCTプローブ600の先端は、例えば
図30に示すように、シースであるプローブシース620と、キャップ622と、プローブ側光ファイバFB1と、バネ624と、固定部材626と、照射手段、第1の走査手段及び集光手段としての光学レンズ628とを有して構成される。
【0125】
プローブシース(シース)620は、可撓性を有する筒状の部材であり、光コネクタ18においてエイミング光Leが合波された測定光L1及び戻り光L3が透過する材料からなっている。なお、プローブシース620は、測定光L1(エイミング光Le)及び戻り光L3が通過する先端(光コネクタ18と反対側のプローブ側光ファイバFB1の先端、以下プローブシース620の先端と言う)側の一部が全周に渡って光を透過する材料(透明な材料)で形成されていればよく、先端以外の部分については光を透過しない材料で形成されていてもよい。
【0126】
キャップ622は、プローブシース620の先端に設けられ、プローブシース620の先端を閉塞している。
【0127】
プローブ側光ファイバFB1は、線状部材であり、プローブシース620内にプローブシース620に沿って収容されており、光ファイバFB2から射出され、光コネクタ18で光ファイバFB8から射出されたエイミング光Leと合波された測定光L1を光学レンズ628まで導波するとともに、測定光L1(エイミング光Le)を測定対象Sに照射して光学レンズ628で取得した測定対象Sからの戻り光L3を光コネクタ18まで導波し、光ファイバFB2に入射する(
図1参照)。
【0128】
ここで、プローブ側光ファイバFB1と光ファイバFB2とは、光コネクタ18によって接続されており、プローブ側光ファイバFB1の回転が光ファイバFB2に伝達しない状態で、光学的に接続されている。また、プローブ側光ファイバFB1は、プローブシース620に対して回転自在、及びプローブシース620の軸方向に移動自在な状態で配置されている。
【0129】
バネ624は、プローブ側光ファイバFB1の外周に固定されている。また、プローブ側光ファイバFB1及びバネ624は、光コネクタ18に接続されている。
【0130】
光学レンズ628は、プローブ側光ファイバFB1の測定側先端(光コネクタ18と反対側のプローブ側光ファイバFB1の先端)に配置されており、先端部が、プローブ側光ファイバFB1から射出された測定光L1(エイミング光Le)を測定対象Sに対し集光するために略球状の形状で形成されている。
【0131】
光学レンズ628は、プローブ側光ファイバFB1から射出した測定光L1(エイミング光Le)を測定対象Sに対し照射し、測定対象Sからの戻り光L3を集光しプローブ側光ファイバFB1に入射する。
【0132】
固定部材626は、プローブ側光ファイバFB1と光学レンズ628との接続部の外周に配置されており、光学レンズ628をプローブ側光ファイバFB1の端部に固定する。ここで、固定部材626によるプローブ側光ファイバFB1と光学レンズ628の固定方法は、特に限定されず、接着剤により、固定部材626とプローブ側光ファイバFB1及び光学レンズ628を接着させて固定されても、ボルト等を用い機械的構造で固定してもよい。なお、固定部材626は、ジルコニアフェルールやメタルフェルールなど光ファイバの固定や保持あるいは保護のために用いられるものであれば、如何なるものを用いても良い。
【0133】
また、プローブ側光ファイバFB1及びバネ624は、回転筒(不図示)に接続されており、回転筒によってプローブ側光ファイバFB1及びバネ624を回転させることで、光学レンズ628をプローブシース620に対し、矢印R2方向に回転させる。また、光コネクタ18は、回転エンコーダ(不図示)を備え、回転エンコーダからの信号に基づいて光学レンズ628の位置情報(角度情報)から測定光L1の照射位置を検出する。つまり、回転している光学レンズ628の回転方向における基準位置に対する角度を検出して、測定位置を検出する。
【0134】
さらに、プローブ側光ファイバFB1、バネ624、固定部材626、及び光学レンズ628は、駆動部(不図示)により、プローブシース620内部を矢印S1方向(鉗子口方向)、及びS2方向(プローブシース620の先端方向)に移動可能に構成されている。
【0135】
上記画像診断装置10の場合、
図30に示すように、OCTプローブ600のプローブシース(シース)620には、屈折率を変化させるための液体を注入可能な液体充填部620aがシースの内周全面側に長手軸に沿って設けられており、この液体充填部620aに複数種類の液体を適宜注入することにより、屈折率を変化させ、測定光L1の焦点位置を可変することができ、これにより、上記実施形態1,2と同様に、浅い位置から深い位置まで高いS/N比と適切な解像度を有する断層画像を生成するのに必要な断層構造情報(断層画像データ)を最小限度の異なる焦点位置Fd(k)により、効率的に取得することができる。
【0136】
また、上記画像診断装置10の場合、先端部が略球状の形状で形成されている光学レンズ628により、プローブ側光ファイバFB1から射出された測定光L1(エイミング光Le)を測定対象Sに対し集光するとともに液体充填部620aに液体を注入することにより、屈折率を変化させ、測定光L1の焦点位置を可変するとしたが(
図30参照)、これに限らず、例えば
図31に示すように、モータ63により駆動されるガルバノミラー631にてプローブ側光ファイバFB1からの測定光L1(エイミング光Le)を測定対象Sに対し集光するとともにプローブ側光ファイバFB1の出射端を矢印S1方向(鉗子口方向)、及びS2方向(プローブシース620の先端方向)に移動させることで測定光L1の焦点位置を可変する構成としても、上記実施形態1,2と同様に、浅い位置から深い位置まで高いS/N比と適切な解像度を有する断層画像を生成するのに必要な断層構造情報(断層画像データ)を最小限度の異なる焦点位置Fd(k)により、効率的に取得することができる。
【0137】
以上、本発明の光断層画像化装置及びその作動方法について詳細に説明したが、本発明は、以上の例には限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変形を行ってもよいのはもちろんである。