(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5696211
(24)【登録日】2015年2月13日
(45)【発行日】2015年4月8日
(54)【発明の名称】光ファイバ用被覆除去具及び被覆除去方法
(51)【国際特許分類】
G02B 6/245 20060101AFI20150319BHJP
【FI】
G02B6/245
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-507687(P2013-507687)
(86)(22)【出願日】2012年3月28日
(86)【国際出願番号】JP2012058206
(87)【国際公開番号】WO2012133568
(87)【国際公開日】20121004
【審査請求日】2013年9月9日
(31)【優先権主張番号】特願2011-75278(P2011-75278)
(32)【優先日】2011年3月30日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000005186
【氏名又は名称】株式会社フジクラ
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100126882
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 光永
(74)【代理人】
【識別番号】100160093
【弁理士】
【氏名又は名称】小室 敏雄
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】山口 敬
(72)【発明者】
【氏名】瀧澤 和宏
【審査官】
奥村 政人
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭57−076503(JP,A)
【文献】
実開平02−142803(JP,U)
【文献】
特開2010−008590(JP,A)
【文献】
特開2006−178289(JP,A)
【文献】
特開平10−319249(JP,A)
【文献】
特開平11−084140(JP,A)
【文献】
特表2008−542841(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/00− 6/02
G02B 6/245−6/25
G02B 6/46− 6/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基部と、前記基部から一方向に延出された一対のアーム部材とを有し、
各々の前記アーム部材は、基部側の弾性変形可能な変形部と、前記変形部より先端側の操作部とを有し、
夫々の前記操作部の互いに対向する内側に、楔形状の当接部がその先端辺が互いに対向するように設けられると共に、夫々の前記操作部の外側には、把持部が設けられており、
前記アーム部材の延出方向に沿って配置した光ファイバに夫々の前記当接部の先端辺を当接させた状態でその光ファイバを引き抜くことで前記光ファイバの被覆を除去し、
前記光ファイバは、光ケーブルから口出しされており、
前記基部に、前記光ケーブルの外被を把持する外被把持部材を光ファイバの引き抜き方向にスライドさせるスライド部を設け、
前記外被把持部材を操作して前記スライド部上でスライドさせることによって、前記光ファイバを引き抜く光ファイバ用被覆除去具。
【請求項2】
基部と、前記基部から一方向に延出された一対のアーム部材とを有し、
各々の前記アーム部材は、基部側の弾性変形可能な変形部と、前記変形部より先端側の操作部とを有し、
夫々の前記操作部の互いに対向する内側に、楔形状の当接部がその先端辺が互いに対向するように設けられると共に、夫々の前記操作部の外側には、把持部が設けられており、
前記アーム部材の延出方向に沿って配置した光ファイバに夫々の前記当接部の先端辺を当接させた状態でその光ファイバを引き抜くことで前記光ファイバの被覆を除去し、
前記光ファイバは、光ファイバホルダに保持されており、
前記基部に、前記光ファイバを保持する前記光ファイバホルダを光ファイバの引き抜き方向にスライドさせるスライド部を設け、
前記光ファイバホルダを操作して前記スライド部上でスライドさせることによって、前記光ファイバを引き抜く光ファイバ用被覆除去具。
【請求項3】
前記基部に、前記スライド部上でスライドさせる前記外被把持部材又は前記光ファイバホルダを被覆除去の開始位置に位置決め可能なストッパを設ける請求項1又は2に記載の光ファイバ用被覆除去具。
【請求項4】
基部から一方向に延出された一対のアーム部材の間に、前記アーム部材の延出方向に沿って、光ケーブルから口出しされた光ファイバを配置すると共に、前記光ケーブルの外被を把持する外被把持部材を、前記基部に設けられたスライド部に載置する工程と、
前記一対のアーム部材の基部側の弾性変形可能な変形部より先端側に形成された操作部の外側に設けた把持部の夫々を把持して、前記操作部の互いに対向する側に設けた楔形状を有する当接部の夫々の先端辺どうしを前記光ファイバを介して近接させるように前記変形部を変形させ、前記光ファイバに前記当接部の夫々の先端辺を当接させる工程と、
前記当接部を前記光ファイバに当接させた状態で、前記外被把持部材を操作して前記スライド部上で光ファイバの引き抜き方向にスライドさせることによって、前記光ファイバを引き抜くことで前記光ファイバの被覆を除去する工程と、を含む被覆除去方法。
【請求項5】
基部から一方向に延出された一対のアーム部材の間に、前記アーム部材の延出方向に沿って、光ファイバホルダに保持された光ファイバを配置すると共に、前記光ファイバを保持する前記光ファイバホルダを、前記基部に設けられたスライド部に載置する工程と、
前記一対のアーム部材の基部側の弾性変形可能な変形部より先端側に形成された操作部の外側に設けた把持部の夫々を把持して、前記操作部の互いに対向する側に設けた楔形状を有する当接部の夫々の先端辺どうしを前記光ファイバを介して近接させるように前記変形部を変形させ、前記光ファイバに前記当接部の夫々の先端辺を当接させる工程と、
前記当接部を前記光ファイバに当接させた状態で、前記光ファイバホルダを操作して前記スライド部上で光ファイバの引き抜き方向にスライドさせることによって、前記光ファイバを引き抜くことで前記光ファイバの被覆を除去する工程と、を含む被覆除去方法。
【請求項6】
前記基部に、前記スライド部上でスライドさせる前記外被把持部材又は前記光ファイバホルダを被覆除去の開始位置に位置決め可能なストッパを設ける請求項4又は5に記載の被覆除去方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバの端末部分の被覆を除去する光ファイバ用被覆除去具及び被覆除去方法に関する。
本願は、2011年3月30日に、日本に出願された特願2011−075278号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
【背景技術】
【0002】
光ファイバを接続する場合、前処理として光ファイバの端末部分の被覆を除去する場合がある。特に現場においては、被覆の除去は光ファイバ用被覆除去具(ストリッパ)を用いて実施されることが多い。光ファイバ用被覆除去具としては様々な形態のものが提案されているが、被覆を除去する除去刃に使用される材料として、金属を用いることで耐久性を向上させるのが一般的である。また、特許文献1に記載されているように、除去刃を動かすための機構部分が複数の部品からなる構造が一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】日本国特開平11−104367号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記したような光ファイバ用被覆除去具は、除去刃に金属を使用したり、構造が複雑化していることによって、除去具が高価となる。これにより、現場においては除去具の数量が限定され、作業が滞るという問題があった。
【0005】
この発明は、このような事情を考慮してなされたもので、その目的は、単純な構造により大量生産が可能で、安価に製造することができる光ファイバ用被覆除去具及び被覆除去方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る光ファイバ用被覆除去具は、基部と、前記基部から一方向に延出された一対のアーム部材とを有し、各々の前記アーム部材は、基部側の弾性変形可能な変形部と、前記変形部より先端側の操作部とを有し、夫々の前記操作部の互いに対向する内側に、楔形状の当接部がその先端辺が互いに対向するように設けられると共に、夫々の前記操作部の外側には、把持部が設けられており、前記アーム部材の延出方向に沿って配置した光ファイバに夫々の前記当接部の先端辺を当接させた状態でその光ファイバを引き抜くことで前記光ファイバの被覆を除去する。
【0007】
この光ファイバ用被覆除去具によれば、一対のアーム部材を弾性変形可能とし、このアーム部材の先端側に楔形状の当接部を設けるという単純な構造を採用することにより、低コストな光ファイバ用被覆除去具を提供することができる。
【0008】
また、本発明に係る光ファイバ用被覆除去具は、前記光ファイバは、光ケーブルから口出しされるとともに、この光ケーブルの外被を把持する外被把持部材付きであり、前記基部に、前記外被把持部材を光ファイバの引き抜き方向にスライドさせるスライド部を設ける構成としてもよい。
この構成の光ファイバ用被覆除去具は、光コネクタに用いられる外被把持部材に把持された光ケーブルに適用することができる。
【0009】
また、本発明に係る光ファイバ用被覆除去具は、光ファイバは、光ファイバホルダに保持された光ファイバであり、前記基部に、前記光ファイバホルダを光ファイバの引き抜き方向にスライドさせるスライド部を設ける構成としてもよい。
この構成の光ファイバ用被覆除去具は、光ファイバホルダに保持された光ファイバに適用することができる。
【0010】
また、本発明に係る光ファイバ用被覆除去具は、前記基部に、前記スライド部をスライドさせる前記外被把持部材又は前記光ファイバホルダを被覆除去の開始位置に位置決め可能なストッパを設けることが好ましい。
これにより、外被把持部材又は光ファイバホルダをストッパに突き当てた状態から被覆を除去することによって、被覆が裸光ファイバを被覆する寸法を、ストッパの位置に応じて一定にすることができる。
【0011】
さらに、前記課題を解決するため、本発明は、基部から一方向に延出された一対のアーム部材の間に、前記アーム部材の延出方向に沿って光ファイバを配置する工程と、前記一対のアーム部材の基部側の弾性変形可能な変形部より先端側に形成された操作部の外側に設けた把持部の夫々を把持して、前記操作部の互いに対向する側に設けた楔形状を有する当接部の夫々の先端辺どうしを前記光ファイバを介して近接させるように前記変形部を変形させ、前記光ファイバに前記当接部の夫々の先端辺を当接させる工程と、前記当接部を前記光ファイバに当接させた状態で前記光ファイバを引き抜くことで前記光ファイバの被覆を除去する工程とを含む光ファイバの被覆除去方法を提供する。
【0012】
この被覆除去方法によれば、一対のアーム部材を弾性変形可能とし、このアーム部材の先端側に楔形状の当接部を設けるという単純な構造を採用することにより、低コストに光ファイバの被覆を除去することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、低コストな光ファイバ用被覆除去具及び被覆除去方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の第一実施形態のストリッパの斜視図である。
【
図4】ストリッパにコネクタ付光ファイバを組み込んだ様子を示す斜視図である。
【
図5A】ストリッパの作用を示し、ストリッパにコネクタ付光ファイバを挿入する様子を示す概略平面図である。
【
図5B】ストリッパの作用を示し、ストリッパで光ファイバ素線の端末部分を挟み込んだ様子を示す概略平面図である。
【
図5C】ストリッパの作用を示し、ストリッパで光ファイバ素線の被覆を除去する様子を示す概略平面図である。
【
図6】本発明の第二実施形態のストリッパの斜視図である。
【
図7】第二実施形態のストリッパに光ファイバ素線を保持した光ファイバホルダを組み込んだ様子を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(第一実施形態)
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
本実施形態のストリッパ10は、光ファイバケーブル60(
図4参照)の端末部から延出する光ファイバ素線61の被覆を除去し、光ファイバ裸線61aを露出させる光ファイバ用被覆除去具である。
【0016】
光ファイバ裸線61aは特に限定されず、従来公知の各種の光ファイバ、例えば、シングルモード光ファイバ、マルチモード光ファイバ、偏波保持光ファイバ、ホーリーファイバなどの各種の光ファイバを適用することができる。また光ファイバ裸線61aの外径は限定されないが、一般に広く使用されている直径125μmの光ファイバ裸線などを用いることが好ましい。
光ファイバケーブル60は、ドロップケーブルや、屋内配線用のいわゆるインドアケーブルとして用いられるものであり、図示例では光ファイバ素線61を1本だけ内蔵した単心のものを例示している。
【0017】
なお、この光ファイバケーブル60としては、光ファイバ素線61にかえて、単心の光ファイバ心線といった被覆光ファイバ(裸光ファイバに樹脂被覆材がコーティング(被着)された構成の光ファイバ)を用いた構成のものも採用可能である。また、光ファイバケーブル60の端末部には、外被把持部材51が固定されている。また、これらを総称して、コネクタ付光ファイバ50と呼ぶ。また、外被把持部材51の両側面には、後述するガイド溝7に対応したガイド突起52が光ファイバケーブル60の延在方向に沿って形成されている。
【0018】
図1及び
図2に示すように、本実施形態のストリッパ10は、本体部1と、本体部1から一方向に延出された一対のアーム部材2,2とを有し、これらが一体に形成されたものである。ストリッパ10は、例えばポリカーボネート樹脂により形成されるがこれに限られることはなく、適度な弾性を有する樹脂であれば、様々な樹脂を使用することができる。
以下、アーム部材2の延出方向(長手方向)を、単に長手方向という。なお、以下、ストリッパ10について、アーム部材2の側を前方、本体部1の側を後方として説明する。例えば、
図2において、左側が前方、右側が後方である。また、
図3において、上側を上、下側を下として説明する。
【0019】
本体部1は、平面視矩形状で上下方向に厚みを有する台部3と、台部3の前端から、上方に延出する一対の壁部4,4と、壁部4から後方に延出するスライド部5とから構成されている。
壁部4,4は前後方向に厚みを有する矩形板状の部位である。
図3に示すように、壁部4,4は空間をおいて左右に形成されている。2つの壁部4,4の間の空間は、ストリッパ10にコネクタ付光ファイバ50の外被把持部材51を組み込んだ際に光ファイバ素線61が延在するための空間である。
【0020】
スライド部5は、外被把持部材51を載置し、かつ外被把持部材51をスライドさせる部位であり、外被把持部材51の引き抜き方向を定めるための一対のガイド壁6,6を備えている。各々のガイド壁6は、壁部4の両側端部から後方に延出している。ガイド壁6,6の対向面には、互いに対向するガイド溝7が形成されている。ガイド溝7は、前後方向に延在する断面U字状の溝であり、各々の溝底部が対向し、平行をなすように形成されている。ガイド壁6の後端は、上部が切り欠かれることによって、ガイド壁6の後端下部が突出しており、この突出部8の上面がガイド面9とされている。
さらに、ガイド溝7の前端であって、壁部4の後面4aは、
図4に示すように、コネクタ付光ファイバ50をガイド溝7に沿って挿入した際、外被把持部材51の前端が当接するストッパとして機能する。
【0021】
一対のアーム部材2,2は、本体部1の各々の壁部4から前方に延出している長尺形の板形状部材である。各々のアーム部材2は左右方向が板厚方向であり、各々のアーム部材2の面が対向して配置されている。つまり、アーム部材2の断面形状は、左右方向に対して、上下方向が長い矩形形状である。
【0022】
アーム部材2は、本体部1側の変形部15と、先端側の操作部16とから構成されている。変形部15は、長手方向に直交する方向(左右方向)の幅寸法が短く形成されており、これにより、弾性変形可能とされている。
アーム部材2の操作部16の互いに対向する内側である一面16aには、楔形状の当接部11がアーム部材2と一体に形成されている。当接部11は楔の先端辺11aが上下方向に延在するように、かつ、各々の先端辺11aが相対向し、アーム部材2の変形部15を弾性変形させることによって、先端辺11a同士が当接する位置に形成されている。先端辺11aは、完全な鋭角形状ではなく、楔の先端が面取りされた面形状となっている。
この面の前後方向の厚みは1mm程度が好ましい。また、各々のアーム部材2の先端側であって、夫々の操作部16の外側、つまり、当接部11が形成されている一面16aの反対側の面には、把持部12が設けられている。把持部12においては、アーム部材2の左右方向の厚みが、より厚くなっていると共に、上方から見て左右方向の側面が凹円弧状に形成されている。
【0023】
本実施形態のストリッパ10は、一度の成形によって複数個のストリッパ10が形成されるように、一つのランナーに、複数のストリッパ10をゲートを介して接続させた成形品で供給することが好ましい。製品としては、ランナーにストリッパ10を接続させた状態で供給してもよいし、ランナーからストリッパ10を取り外した上で、供給してもよい。
【0024】
次に、本実施形態のストリッパ10を用いて、光ファイバ素線61の被覆を除去する工程について説明する。光ファイバ素線61の被覆を除去する際は、
図5Aに示すように、外被把持部材51のガイド突起52とガイド溝7とが噛み合うように、コネクタ付光ファイバ50をストリッパ10の後方から外被把持部材51の前端が壁部4の後面4aに当接するまで挿入する。
次いで、把持部12,12を把持し、当接部11の先端辺11aどうしを光ファイバ素線61を介して近接させるように変形部15を変形させる。これにより、光ファイバ素線61に当接部11の夫々の先端辺11aを当接させ、先端辺11aを被覆に食い込ませる。この状態で、
図5Cに示すように、コネクタ付光ファイバ50を後方に引っ張ることで、被覆が引き千切られ、光ファイバ素線61から被覆が除去される。
【0025】
上記実施形態によれば、本体部1と、一対のアーム部材2及び当接部11を有し、これらが樹脂により一体に形成されている構造であるため、より低コストでストリッパ10を提供することができる。
また、外被把持部材51を壁部4の後面4aに突き当てることによって、外被把持部材51を被覆除去の開始位置に位置決め可能であり、被覆が裸光ファイバを被覆する寸法を一定にすることができる。
なお、壁部4の後面4aと当接部11の先端辺11aとの前後方向の距離寸法は、外被把持部材51を含んで組み立てられる光コネクタの仕様により適宜設定される。
【0026】
(第二実施形態)
次に、本発明の第二実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
本実施形態は、光ファイバホルダ20(
図7参照)に固定された光ファイバ素線61の被覆を除去するためのストリッパであり、第一実施形態のストリッパとは、本体部1Bの形状が異なる。
【0027】
図6に示すように、本実施形態のストリッパ10Bの本体部1Bには、後述する光ファイバホルダ20を載置し、かつ光ファイバホルダ20をスライドさせるためのスライド部25が設けられている。スライド部25の両側には、光ファイバホルダ20の外形寸法に合わせて、光ファイバホルダ20の引き抜き方向を定めるためのガイド壁26が設けられている。
さらに、アーム部材2Bの後面27は、
図7に示すように、光ファイバホルダ20をガイド壁26に沿って挿入した際、光ファイバホルダ20の前端が当接するストッパとして機能する。
【0028】
図7に示すように、光ファイバホルダ20は、光ファイバを保持するホルダであり、ベース部21と、蓋体22とを有し、ベース部21上の光ファイバ素線61を、蓋体22によってベース部21に押さえ込んで把持固定するようになっている。
ベース部21は、合成樹脂、金属などで構成され、図示例では略長方形の板状とされている。ベース部21の上面には、光ファイバ素線61を保持する位置決め溝23が、ベース部21の長手方向に沿って直線状に形成されている。図示例の位置決め溝23は、断面略V字状とされている。また、ベース部21の前方にも離間して位置決め突起24が設けられている。
【0029】
上記実施形態によれば、光ファイバホルダ20に保持された光ファイバ素線61の被覆を除去する際は、
図7に示すように、光ファイバホルダ20をストリッパ10Bのスライド部25に載置した状態で把持部12を把持することで当接部11を光ファイバ素線61に当接させ、先端辺11aを被覆に食い込ませる。この状態から第一実施形態の方法と同様に光ファイバホルダ20を後方に引っ張ることで、被覆が引き千切られ、光ファイバ素線61から被覆が除去される。
また、光ファイバホルダ20をアーム部材2Bの後面27に突き当てることによって、光ファイバホルダ20を被覆除去の開始位置に位置決め可能であり、被覆が裸光ファイバを被覆する寸法を一定にすることができる。
【0030】
なお、上記各実施形態においては、被覆された光ファイバとして光ファイバ素線61を用いたが、これに限らず、本実施形態のストリッパ10,10Bは、様々な被覆を有する光ファイバに対して使用可能である。
【0031】
なお、本発明の技術範囲は上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変更を加えることが可能である。例えば、以上で説明した各実施形態では、当接部は楔形状としているが、光ファイバの被覆の性状に合わせて形状を変更することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明に係る光ファイバ用被覆除去具及び被覆除去方法は、光ファイバの端末部分の被覆を除去する場面において広く用いられることができる。
【符号の説明】
【0033】
1,1B 本体部(基部)
2,2B アーム部材
4 壁部
4a 後面(ストッパ)
5 スライド部
10,10B ストリッパ(光ファイバ用被覆除去具)
11 当接部
11a 先端辺
12 把持部
15 変形部
16 操作部
20 光ファイバホルダ
25 スライド部
27 後面(ストッパ)
51 外被把持部材
60 光ファイバケーブル(光ケーブル)
61 光ファイバ素線(光ファイバ)