特許第5696218号(P5696218)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5696218投影スクリーンと投影スクリーンを動かし及び位置決めするデバイスとを含むヘッドアップディスプレイ並びにこのようなヘッドアップディスプレイを操作する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5696218
(24)【登録日】2015年2月13日
(45)【発行日】2015年4月8日
(54)【発明の名称】投影スクリーンと投影スクリーンを動かし及び位置決めするデバイスとを含むヘッドアップディスプレイ並びにこのようなヘッドアップディスプレイを操作する方法
(51)【国際特許分類】
   B60K 35/00 20060101AFI20150319BHJP
   G02B 27/01 20060101ALI20150319BHJP
【FI】
   B60K35/00 A
   G02B27/01
【請求項の数】6
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-528682(P2013-528682)
(86)(22)【出願日】2011年9月16日
(65)【公表番号】特表2013-542117(P2013-542117A)
(43)【公表日】2013年11月21日
(86)【国際出願番号】EP2011066082
(87)【国際公開番号】WO2012035134
(87)【国際公開日】20120322
【審査請求日】2013年4月9日
(31)【優先権主張番号】102010046008.7
(32)【優先日】2010年9月18日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】502156098
【氏名又は名称】ジョンソン・コントロールズ・ゲー・エム・ベー・ハー
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(72)【発明者】
【氏名】ホープ、 クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】ノエル、 アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】ルンプ、 ホルスト
【審査官】 山村 秀政
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2008/0285138(US,A1)
【文献】 国際公開第2008/063632(WO,A2)
【文献】 特開平09−109787(JP,A)
【文献】 特表昭62−502038(JP,A)
【文献】 米国特許第05237455(US,A)
【文献】 米国特許第05457575(US,A)
【文献】 特開2005−062812(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/035134(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 35/00
G02B 27/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
投影スクリーン(3)と前記投影スクリーン(3)を動かし及び位置決めするデバイス(2)とを含むヘッドアップディスプレイ(1)であって、
前記デバイス(2)によって前記投影スクリーン(3)を引き出し又は格納するべく、短い経路の直線動を長い経路の枢動に変換し、前記デバイス(2)は駆動ユニット(5)によって動かすことができ、前記投影スクリーン(3)が動作位置にある場合、前記デバイス(2)によって前記投影スクリーン(3)の傾斜調整を操作することができ、前記駆動ユニット(5)はスライド(6)に機械的に連結され、前記駆動ユニット(5)の回転動を、案内レール(7)における前記スライド(6)の直線動に変換することができ、
前記スライド(6)は、接続ピン(6.4)によって変換要素(8)に機械的に連結され、前記接続ピン(6.4)は、前記変換要素(8)に配置されるスロット孔(8.1)の中に突出し、前記変換要素(8)は、固定された第1回転心棒(R1)まわりに回転可能又は枢動可能に取り付けられ、前記変換要素(8)及び前記ベース要素(9)は、第2回転心棒(R2)によって互いに回転可能又は枢動可能に連結され、前記ベース要素(9)は、前記投影スクリーン(3)に固定的に取り付けられ、一つのレバー要素(10)の端が、第3回転心棒(R3)によって前記ベース要素(9)に回転可能又は枢動可能に連結され、前記レバー要素(10)はその端が、前記回転心棒(R3)から離れた側において、固定された第4回転心棒(R4)に回転可能又は枢動可能に取り付けられ、前記第2回転心棒(R2)の端にピン要素(11)が配置され、前記ピン要素は、前記投影スクリーン(3)の動作位置において、位置決め要素(12)と機能的に接続し、前記位置決め要素(12)に案内構造が一体化され、前記投影スクリーン(3)の動作位置において、前記駆動ユニット(5)による前記スライド(6)の動きが、前記投影スクリーン(3)の傾斜調整のための前記投影スクリーン(3)の回転心棒(R3)まわりの枢動を引き起こすヘッドアップディスプレイ(1)。
【請求項2】
前記駆動ユニット(5)はステッパモータとして具現される、請求項1に記載のヘッドアップディスプレイ(1)。
【請求項3】
前記スライド(6)には少なくとも2つの案内ピン(6.2、6.3)が配置され、前記案内ピン(6.2、6.3)は、前記案内レール(7)の中に突出し、かつ、前記案内レール(7)内で前記スライド(6)のエンドストッパを具現する、請求項1に記載のヘッドアップディスプレイ(1)。
【請求項4】
請求項1からのいずれか一項に記載されたヘッドアップディスプレイ(1)を操作する方法であって、
前記デバイス(2)によって前記投影スクリーン(3)を引き出し又は格納するべく、短い経路の直線動を長い経路の枢動に変換し、前記投影スクリーン(3)が動作位置にある場合、前記デバイス(2)によって前記投影スクリーン(3)の傾斜が調整される方法。
【請求項5】
前記投影スクリーン(3)は、その静止位置が完全にインストルメントパネル内に配置される、請求項に記載の方法。
【請求項6】
前記投影スクリーン(3)は、その動作位置が前記インストルメントパネルから出るように動かされ、前記画像供給ユニット(4)の光路内に配置されるように位置決めされる、請求項又はに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプリアンブルに記載されるとおり、投影スクリーンと投影スクリーンを動かし及び位置決めするデバイスとを含むヘッドアップディスプレイに関する。本発明はさらに、請求項13のプリアンブルに記載されるとおり、このようなヘッドアップディスプレイを操作する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
このタイプのヘッドアップディスプレイは従来技術により一般に知られており、投影スクリーンを有するディスプレイユニットを含む。投影スクリーン上には、画像供給ユニットによって及び適用可能な場合には光モジュールによって、車両情報が投影される。この場合、投影スクリーンは透明な設計であり、車両運転者の視野内に配置される。
【0003】
非作動状態において、ヘッドアップディスプレイは特に、車両のインストルメントパネル表面の内側かつ下方にあるキャビティ内に格納可能とされ、操作が必要なときにこのキャビティから引き出すことができる。
【0004】
幾何学的に明瞭かつ歪みなしの情報を車両運転者へ提示することによって特に際立つ最適化された表示を達成するには、特に車両運転者の高さ及び結果的な着座位置に対し、水平傾斜軸まわりに投影スクリーンの傾斜を調整することが必要とされる。この目的に対し、非常に精細な調整が必要とされる。同時に、ヘッドアップディスプレイの操作中における位置の変化を防止するべく、当該投影スクリーンを調整位置に確実に固定することも必要とされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願公開第2008/285138(A1)号明細書
【特許文献2】国際公開第2008/063632(A2)号パンフレット
【特許文献3】米国特許第5,237,455号明細書
【特許文献4】米国特許第5,457,575号明細書
【発明の概要】
【0006】
本発明の目的は、投影スクリーンと投影スクリーンを動かし及び位置決めするデバイスとを有する改良されたヘッドアップディスプレイ並びにこのようなヘッドアップディスプレイを操作する方法を与えることにある。
【0007】
ヘッドアップディスプレイに関し、本発明によれば、この目的は、請求項1に記載の特徴を有する投影スクリーンと投影スクリーンを動かし及び位置決めするデバイスとによって達成される。
【0008】
方法に関し、本発明によれば、この目的は、請求項13に記載の特徴を有する、投影スクリーンと投影スクリーンを動かし及び位置決めするデバイスとを含むヘッドアップディスプレイを操作する方法によって達成される。
【0009】
本発明の好ましい実施例及びさらなる実施例が従属項の主題である。
【0010】
本発明によれば、投影スクリーンと当該投影スクリーンを動かし及び位置決めするデバイスとを含むヘッドアップディスプレイにおいて、当該デバイスによって投影スクリーンを引き出し又は格納するべく、短い経路の直線動を長い経路の枢動に変換することができる。投影スクリーンが動作位置にある場合、デバイスによって投影スクリーンの傾斜調整を操作することができる。有利には、これによって、特に狭い空間要件を特徴とするヘッドアップディスプレイを許容することができるのと同時に、簡単に実装することができる。
【0011】
特に有利には、投影スクリーンの引き出し又は格納、さらには投影スクリーンのその動作位置における傾斜調整が、一つの駆動ユニットによって操作可能となる。
【0012】
デバイスは、好ましくはステッパモータとして具現される駆動ユニットによって動かすことができる。
【0013】
駆動ユニットは便宜上、スライドに機械的に連結される。駆動ユニットの回転動が、案内レールにおけるスライドの直線動に変換され得る。スライドには少なくとも2つの案内ピンが配置され、これは、案内レールの中に突出し、当該案内レール内でスライド用エンドストッパを具現する。
【0014】
スライドは、接続ピンによって変換要素に機械的に連結される。接続ピンは、変換要素に配置されるスロット孔の中に突出し、当該変換要素は、固定された第1回転心棒まわりに回転可能又は枢動可能に取り付けられる。
【0015】
変換要素及びベース要素は好ましくは、第2回転心棒によって互いに回転可能又は枢動可能に連結され、当該ベース要素は、投影スクリーンに固定的に取り付けられる。
【0016】
有利には、レバー要素の端が、第3回転心棒によってベース要素に回転可能又は枢動可能に連結される。レバー要素はその端が、第3回転心棒から離れた側において、固定された第4回転心棒に回転可能又は枢動可能に取り付けられる。
【0017】
第2回転心棒の端にピン要素が配置され、当該ピン要素は、投影スクリーンの動作位置において、位置決め要素と機能的に接続し、当該位置決め要素には案内構造が一体化される。投影スクリーンの動作位置において、駆動ユニットによるスライドの動きが、投影スクリーンの当該回転心棒まわりの枢動と、結果的な当該投影スクリーンの傾斜調整とを引き起こす。
【0018】
本発明によれば、投影スクリーンと投影スクリーンを動かし及び位置決めするデバイスとを含むヘッドアップディスプレイにおいて、当該デバイスによって投影スクリーンを引き出し又は格納するべく、短い経路の直線動を長い経路の枢動に変換することができる。投影スクリーンが動作位置にある場合、当該デバイスによって当該投影スクリーンの傾斜が調整される。特に有利には、これによって、車両にヘッドアップディスプレイを一体化するための狭い空間要件のみで済む。同時に、画像供給ユニットと投影スクリーンとの間の非常に短い光路を実現することができる。これはまた、有利には、投影スクリーン上に表示される情報の画像品質を向上させる。特に、高レベルのシャープネス、ブライトネス、及びコントラストが達成される。
【0019】
有利には、静止位置にある投影スクリーンは特に、完全にインストルメントパネル内に配置される。
【0020】
動作位置にある投影スクリーンは便宜上、インストルメントパネルから出るように動かされ、画像供給ユニットの光路内に配置されるように位置決めされる。
【0021】
図面を参照して本発明の実施例が以下、詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】投影スクリーンを動かし及び位置決めするデバイスを含む、本発明に係るヘッドアップディスプレイの概略的斜視図を示す。
図2】ヘッドアップディスプレイのさらなる概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
すべての図面において、互いに同じ部分は同じ参照番号で示される。
【0024】
図1において、本発明に係るヘッドアップディスプレイ1は、ヘッドアップディスプレイ1の投影スクリーン3を動かし及び位置決めするデバイス2を含む。図2は、概略図において、ヘッドアップディスプレイ1と、投影スクリーン3の動きのシーケンスを示す。本発明は、両図面を同時に参照して以下に説明される。
【0025】
投影スクリーン3とは別に、ヘッドアップディスプレイ1は、画像供給ユニット4を含む。画像供給ユニット4によって、表示されるべき情報が投影スクリーン3上に投影される。ヘッドアップディスプレイ1は好ましくは、自動車のインストルメントパネルのキャビティ内に、図示しない態様で取り付けられる。投影スクリーン3は、完全に可動な態様で具現されかつ配置される。すなわち、投影スクリーン3は、インストルメントパネル表面の下方にあるキャビティ内に格納可能であり、ヘッドアップディスプレイ1を操作する必要があればこのキャビティから引き出すことができる。キャビティから引き出されるとき、投影スクリーン3は、画像供給ユニット4の光路内に配置されるように位置決めされる。
【0026】
デバイス2は、格納及び引き出し中に投影スクリーン3を動かし、投影スクリーン3の位置決めをするべく設けられる。
【0027】
デバイス2は駆動ユニット5を含む。駆動ユニット5は、特に電気モータ、好ましくはステッパモータとして具現される。駆動ユニット5は回転可能シャフト5.1を有する。回転可能シャフト5.1の表面には、シャフト5.1を完全に取り囲むねじ山が形成される。
【0028】
シャフト5.1はスライド6に連結される。スライド6は、x方向に可動に配置される。スライド6は、シャフト5.1に対応する孔を備える連結要素6.1を有する。孔にはねじ山が具現される。これは、シャフト5.1のねじ山に対応する。ねじ山は、シャフト5.1の長手軸方向まわりの回転動が、案内レール7におけるスライド6の直線動をもたらすように配置される。この案内を目的として、スライド6は2つの案内ピン6.2、6.3を含む。案内ピン6.2、6.3は、案内レール7の中に突出する。同時に、案内ピン6.2、6.3は、案内レール7内でのスライド6用エンドストッパを具現する。
【0029】
スライド6は、接続ピン6.4によって変換要素8に連結される。接続ピン6.4は、変換要素8に配置されるスロット孔8.1の中に突出する。変換要素8は、固定された第1回転心棒R1によってヘッドアップディスプレイ1の中に回転可能に取り付けられる。
【0030】
変換要素8は次に、ベース要素9に連結される。ベース要素9には投影スクリーン3が取り付けられる。変換要素8及びベース要素9は、第2回転心棒R2によって互いに回転可能に連結される。
【0031】
ベース要素9には、第3回転心棒R3によってレバー要素10が接続される。レバー要素10は、回転心棒R3から離れた側において第4回転心棒R4に回転可能に取り付けられる。第4回転心棒R4はヘッドアップディスプレイ1の内側に固定的に取り付けられる。
【0032】
投影スクリーン3を引き出す間、スライド6は、駆動ユニット5のシャフト5.1によってx方向に動かされる。この場面において、変換要素8は、接続ピン6.4によってスライド6に連結されているので、第1回転心棒R1まわりに枢動される。その結果、スライド6の直線動が回転動に変換される。同時に、ベース要素9は、円弧経路Kに沿ってy方向に動かされる。円弧経路Kは、第4回転心棒R4に枢動可能に取り付けられたレバー要素10によって予め定められている。その結果、投影スクリーン3は、画像供給ユニット4の光路内に動かされる。
【0033】
投影スクリーン3及びベース要素9が上端位置に到達すると、第2回転心棒R2の端に配置されるピン要素11が、機能的な接続状態で位置決め要素12と係合する。ピン要素11及び位置決め要素12は、駆動ユニット5によるスライド6のさらなる動きによって投影スクリーン3の傾斜が調整可能となるように具現される。これを目的として、位置決め要素12は、図示しない案内構造を含む。案内構造において、ピン要素11は、当該上端位置において投影スクリーン3が第3回転心棒R3まわりに枢動されるように案内される。案内構造は、回転心棒R3まわりの枢動が予め非常に正確に定まる態様で具現される。これにより、傾斜調整を、非常に繊細に、無段的に、かつ非常に正確に実装することができる。
【0034】
有利には、ヘッドアップディスプレイ1及びデバイス2の設計は、デバイス2を含むヘッドアップディスプレイ1の非常に狭い空間要件にもかかわらず、インストルメントパネル内のキャビティからの投影スクリーン3の引き出し及び格納と、投影スクリーン3のその傾斜調整のための枢動とをもたらす。さらに特に有利には、このために必要なのは、一つの駆動ユニット5のみである。
【符号の説明】
【0035】
1 ヘッドアップディスプレイ
2 デバイス
3 投影スクリーン
4 画像供給ユニット
5 駆動ユニット
5.1 シャフト
6 スライド
6.1 連結要素
6.2 案内ピン
6.3 案内ピン
6.4 接続ピン
7 案内レール
8 変換要素
8.1 スロット孔
9 ベース要素
10 レバー要素
11 ピン要素
12 位置決め要素

K 円弧経路
R1 第1回転心棒
R2 第2回転心棒
R3 第3回転心棒
R4 第4回転心棒
x、y、z デカルト座標の方向
図1
図2