特許第5696223号(P5696223)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5696223自己調整ブレーキを有する車両シート調整装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5696223
(24)【登録日】2015年2月13日
(45)【発行日】2015年4月8日
(54)【発明の名称】自己調整ブレーキを有する車両シート調整装置
(51)【国際特許分類】
   A47C 1/025 20060101AFI20150319BHJP
【FI】
   A47C1/025
【請求項の数】9
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-539162(P2013-539162)
(86)(22)【出願日】2011年11月16日
(65)【公表番号】特表2013-544147(P2013-544147A)
(43)【公表日】2013年12月12日
(86)【国際出願番号】EP2011005762
(87)【国際公開番号】WO2012065721
(87)【国際公開日】20120524
【審査請求日】2013年5月31日
(31)【優先権主張番号】102010051401.2
(32)【優先日】2010年11月16日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】502156098
【氏名又は名称】ジョンソン・コントロールズ・ゲー・エム・ベー・ハー
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(72)【発明者】
【氏名】キルバハラン、 アルベルト レジノルド
(72)【発明者】
【氏名】ユルゲン、 オットー
(72)【発明者】
【氏名】マイ、 ヘルムート
(72)【発明者】
【氏名】チャンデュア、 サチン
【審査官】 大谷 謙仁
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−187337(JP,A)
【文献】 特表2007−521894(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47C 1/025
B60N 2/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両シートバックレストの調整装置(1)であって、
回転軸(D)に沿って配列された第1継手部品(2)と、
前記回転軸(D)に沿って配列されかつ内歯を有する第2継手部品(3)と、
外歯を有するギアホイール(4)であって、前記外歯が前記第2継手部品(3)の前記内歯と噛合するべく構成される結果、前記第2継手部品(3)の前記内歯上を転動することができるギアホイール(4)と、
駆動ユニット(9)であって、前記駆動ユニット(9)からのトルクを前記ギアホイール(4)へ伝達するべく構成された駆動ユニット(9)と、
2つの偏心器手段(5.1)を含む偏心器(5)であって、前記駆動ユニット(9)からのトルクを前記ギアホイール(4)へ伝達するべく構成された偏心器(5)と、
ブレーキ手段(8)と
を含み、
2つの前記継手部品(2、3)の相対位置は、前記偏心器(5)又は前記駆動ユニット(9)によって変更され、
前記偏心器(5)はさらに、前記第2継手部品(3)の前記内歯の内部にある前記ギアホイール(4)の前記外歯を波打ちギア機構の原理に従って駆動するべく構成されて前記ギアホイール(4)に対する前記偏心器(5)の動きが防止され、
前記ギアホイール(4)にはさらに、前記ブレーキ手段(8)と協働するべく構成されたロック外形(4.2、11、13)が設けられて前記調整装置(1)の自己調整が少なくとも実質的に防止される調整装置。
【請求項2】
前記ロック外形(4.2、11、13)は、前記ギアホイールの内径領域に設けられる、請求項1に記載の調整装置(1)。
【請求項3】
前記ブレーキ手段(8)は、少なくとも一つのアームを有し、
前記アームの両端にはいずれの場合も阻止要素が設けられる、請求項1又は2に記載の調整装置(1)。
【請求項4】
前記ロック外形(4.2、11、13)は、摩擦接続及び/又は材料接続によって前記ギアホイール(4)に接続される、請求項1から3のいずれか一項に記載の調整装置(1)。
【請求項5】
前記ロック外形(4.2、11、13)は、前記ギアホイール(4)と一体的に設けられる、請求項1から3のいずれか一項に記載の調整装置(1)。
【請求項6】
各アームは傾斜部を含み、
前記傾斜部は、前記駆動ユニット(9)と協働することによって前記ブレーキ手段(8)を任意にアンロックする、請求項3から5のいずれか一項に記載の調整装置(1)。
【請求項7】
前記ギアホイール(4)は密封表面(4.4)を有する、請求項6に記載の調整装置(1)。
【請求項8】
前記密封表面は径方向に設けられる、請求項7に記載の調整装置(1)。
【請求項9】
前記密封表面(4.4)は、カバー及び/又は前記駆動ユニット(9)と密封的に協働する、請求項7又は8に記載の調整装置(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両コンポーネントの、特に第1継手部品及び第2継手部品が回転軸に沿って配列される車両シートバックレストの調整装置に関する。2つの継手部品同士の相対的位置を変更することができる。トルクが駆動ユニットから第2継手部品上で回転するギアホイールに伝達される結果、第2継手部品が調整される。本発明はさらに、車両コンポーネントの、特に自動車シートバックレストの調整装置ギアホイールに関する。
【背景技術】
【0002】
このような調整装置は、例えば自動車製造業においてリクライナとも称され、先行技術より十分に周知である。しかしながら、このような調整装置は、摩耗及び/又は振動の結果、自己調整を行う。これは望ましくない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2010/102413(A1)号パンフレット
【特許文献2】独国特許出願公開第19500914(A1)号明細書
【発明の概要】
【0004】
したがって、本発明の課題は、先行技術の欠点がない調整装置を与えることにある。
【0005】
本課題は、車両コンポーネントの、特に第1継手部品及び第2継手部品が回転軸に沿って配列される車両シートバックレストの調整装置によって解決される。2つの継手部品の相対位置は、トルクを駆動ユニットからギアホイールへ伝達する偏心器によって変更され、前記ギアホイールは第2継手部品上を回転し、第2継手部品は好ましくは2つの偏心器手段を含み、調整装置は、その自己調整を少なくとも実質的に防止するブレーキ手段を含み、前記ブレーキ手段は、ギアホイールに設けられるロック外形と協働する。
【0006】
好ましくは、ブレーキ手段は、少なくとも一つの好ましくは2つのアームを有し、当該単数又は複数のアームは、特に弾性的態様で設けられる。各アームは好ましくは、その少なくとも一端に阻止要素を有する。阻止要素は、偏心器がロック外形に対して自己調整されることを防止する。ロック外形は、ギアホイールに又は調整装置のさらなる部品に設けられる。各阻止要素は、ロック外形と摩擦嵌め及び/又は形状嵌めのロック態様で、好ましくは複数の異なる位置で協働する。ブレーキ手段は、好ましくは双方の回転方向における自己調整を防止する。阻止要素は、一方向のみで阻止することが好ましい。ロック外形は好ましくは、複数の摩擦嵌め及び/又は形状嵌め接続手段を有する。例えば、互いに等距離に配列されるのが好ましい歯又は歯状構造である。好ましくは、ロック外形は、円環形状の態様に配列される。
【0007】
好ましくは、各アームには、弾性的態様でプリテンションが与えられる。その結果、各アームは阻止要素を、例えばロック外形又はリクライナのさらなる要素に対して押圧する。
【0008】
さらに好ましくは、アームは傾斜部を含み、当該傾斜部は、例えば駆動手段と協働しすることによってブレーキ手段を任意にアンロックする。これは、特に、ブレーキ手段のアームがそのプリテンション方向に対抗して弾性変形されることによって行われる。
【0009】
好ましくは、ロック外形は、ギアホイールの内径領域に設けられる。特に好ましくは、ロック外形は、摩擦接続及び/又は材料接続によってギアホイールに接続される。代替的に、ロック外形は、ギアホイールと一体的に設けられる。好ましくは又は本発明によれば、ギアホイールは、特に前記ギアホイールの内側周縁に、例えばブレーキ手段の阻止要素が阻止態様で協働することができる刻み目にロック外形を含む。
【0010】
本発明のさらなる主題又は好ましい主題は、車両コンポーネントの、特に第1継手部品及び第2継手部品が回転軸に沿って配列される車両シートバックレストの調整装置である。駆動ユニットによって、2つの継手部品同士の相対的位置を変更することができる。駆動ユニットは、第2継手部品上で回転するギアホイールにトルクを伝達する。ギアホイールの支承部の軸方向の延びが、当該ギアホイールの歯の軸方向の延びよりも大きい。その結果、ギアホイールの取り付けがさらに安定する。
【0011】
本発明のさらに好ましい又は発明的な主題によれば、ギアホイールは密封表面を有する。この密封表面によって、塵、塗料、又は液体が調整装置に入り込むことが防止される。好ましくは、密封表面は径方向に設けられる。
【0012】
好ましくは、密封表面は、本発明に係る調整装置のカバー及び/又は駆動手段と密封的に協働する。
【0013】
本発明のさらなる又は好ましい主題は、特に自動車シートバックレストの調整装置のギアホイールである。前記ギアホイールは、歯から始まる軸方向段部を径方向内側に有するように設けられる。その結果、例えば調整装置の保持プレート及び/又は駆動手段が特に密封的に支承する円環形状表面がもたらされる。すなわち、調整装置のギアホイールであって、歯から始まって円環形状表面を径方向内側に有する軸方向段部を有し、当該円環形状表面上で当該調整装置及び/又は駆動手段の保持プレートが密封的に支承されるギアホイールが与えられる。
【0014】
さらに好ましくは又は本発明によれば、ギアホイールは、特に滑らかな密閉用支承表面を含み、当該支承表面は、例えばカバー及び/又は駆動手段と密封的に協働し、調整装置の内部を特に塗料の適用から保護する。すなわち、調整装置のギアホイールであって、滑らかな密封用支承表面を含み、当該支承表面は、当該調整装置のカバー及び/又は駆動手段と密封的に協働して当該調整装置の内部を塗料の適用から保護するギアホイールが与えられる。
【0015】
図1から4を参照して本発明が以下に記載される。当該説明は、単なる例示として与えられ、すべての発明に等しく当てはまる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明に係る調整装置の分解図を示す。
図2】ブレーキ手段を示す。
図3】ブレーキ手段のさらなる実施例を示す。
図4】本発明に係るギアホイールを示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、本発明に係る調整装置の一実施例の分解図である。調整装置は、第1継手部品2すなわちシート部品アダプタ、及び第2継手部品3すなわちバックレストアダプタを有する。バックレストアダプタは、車両シートのバックレストに直接的に又は間接的に接続される。シートアダプタ2は、この場合はねじによって車両シートに締結される。シートアダプタ2には、外歯を有するギアホイール4が回転可能に設けられる。前記外歯は、バックレストアダプタの歯と噛合によって協働する。その結果、バックレストアダプタの角度が調整される。バックレストアダプタ3は、車両シートのバックレストに接続、好ましくは溶接される。当業者であれば、2つのアダプタ2及び3の当該機能が互換可能なことがわかる。バックレストアダプタ3のシートアダプタ2に対する相対位置は、2つのウェッジ5を有する偏心器によって変更される。前記2つのウェッジ5は、好ましくは対称的に配列され、特に好ましくは回転軸Dを通って延びる平面に対して鏡面対称に配列される。2つのウェッジ5は、エネルギー蓄積装置、この場合はばね7、好ましくは、ウェッジ5にあるノッチにいずれの場合も両端が係合する環状ばねによって強制的に分離される。エネルギー蓄積装置7は偏心器の一部をなす。さらに、ウェッジ5は、好ましくは少なくとも部分的に支承シェル6の中に配列されてこれに支持される。支承シェル6によって、偏心器とギアホイール4との間の摩擦を低減することができる。また、偏心器の均一な動作を達成することができる。さらに、本発明に係る装置は駆動手段9を含む。駆動手段9は、手動又はモータの形態で駆動される。前記駆動手段9は、その回転動を偏心器5に伝達する。その結果、駆動ユニット9が回転すると、ギアホイール4は、内歯付きバックレストアダプタ3内で回転する。
【0018】
偏心器は、すでに述べたように、内歯付きリングの内側にある外歯付きギアホイール4を駆動する役割を果たす。内歯付きリングは、外歯付きリングに対し少なくとも一つのさらなる歯を含む。したがって、これは、いわゆる波打ちギア機構であることが好ましい。
【0019】
本発明によれば、装置はブレーキ手段8を含む。ブレーキ手段8は、第1継手部品2が、第2継手部品3に対して自己調整、すなわち駆動手段9が作動することなく自己調整されることを防止する。
【0020】
図2は、ブレーキ手段8の第1実施例を示す。前記ブレーキ手段は2つのアーム8.2を含む。その両端には、いずれの場合も阻止要素8.1が配置される。特に図2bからわかるように、前記阻止要素8.1は、偏心器ドライブ5の突起5.1とロック外形、この場合は固定リング13との間において阻止態様で協働する。固定リング13は、本実施例の場合、ギアホイール4に又はギアホイール4と一体的に設けられる。その結果、自己調整力Fは、例えばギアホイール4に対する又は調整装置の異なる部品に対する偏心器の動きを生じさせることができない。好ましくは、いずれの場合も阻止要素8.1は、一回転方向のみの阻止態様で機能する。アーム8.2には本実施例の場合、プリテンションが与えられる。その結果、アーム8.2は、いずれの場合も阻止要素8.1に、ロック外形13の方向にその凹部の一つの中へのプリテンションを与える。ブレーキ手段8のアンロックが図2cに示されている。例えば矢印14によって示されるように駆動手段9が回転するとすぐに、いずれの場合もアンロック手段9.1が、この場合は3次元的に形成されているアーム8.2上の一つの対応アンロック傾斜部8.3と協働する。その結果、アーム8.2が径方向内向きに押圧されるので、阻止要素8.1が固定リング13との係合から外れる。すなわち、調整装置は、駆動手段9によって双方の回転方向に調整することができる。
【0021】
図3は、図2に係るロック手段の特定の一実施例を示す。本実施例の場合、ブレーキ手段8は一つのアーム8.2のみを有する。径方向アーム8.4が、ブレーキ手段8の他側部に設けられる。前記径方向アームは、アンロック表面9.1と協働することなく超過移動を許容する。これにより、調整装置が回転するときのがたつき音が回避される。
【0022】
図4は、本発明に係るギアホイール4を示す。ギアホイール4は、本実施例の場合、軸方向段部4.1を有する。軸方向段部4.1は、例えば保持プレート10のための支承表面として設けられる。さらに、ギアホイールは、特にその内側周縁領域に、ロック外形4.2を有する。ロック外形4.2は、例えばブレーキ手段8と協働することができる。前記ロック外形は、例えば、ギアホイールが作られる金属プレートに一体的に形成される。好ましくは又は本発明によれば、内側支承部4.3が、ギアホイール4の歯の左右に向かって、好ましくはいずれの場合も同じ長さで軸方向に延びるように設けられる。これにより、ギアホイールのさらに安定した取り付けが得られる。さらに好ましくは又は本発明によれば、ギアホイール4は、密封表面4.4、この場合は円環形状密封表面を有する。これは特に、滑らかな設計であり、例えば駆動ユニット9のカバーと密封的に協働する。したがって、調整装置の特に内部を、塵及び/又は塗装中の塗料の侵入から保護することができる。
【符号の説明】
【0023】
1 調整装置
2 第1継手部品、シート部品アダプタ
3 第2継手部品
4 ギアホイール
4.1 軸方向段部、支承表面
4.2 ロック外形、刻み目
4.3 内側支承部
4.4 密封表面
5 偏心器、ウェッジセグメント
5.1 突起
6 滑り軸受
7 ばね手段
8 ブレーキ手段
8.1 阻止要素
8.2 アーム、ばね手段
8.3 傾斜部
8.4 径方向アーム
9 駆動手段
9.1 アンロック手段、アンロック表面
10 保持プレート
11 ロック外形、固定リング
12 保持リング
13 ロック外形、固定リング
14 矢印
15 伝達手段、トルク伝達手段
15.1 傾斜部
D 回転軸
F 自己調整力
図1
図2
図3
図4