特許第5696258号(P5696258)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5696258
(24)【登録日】2015年2月13日
(45)【発行日】2015年4月8日
(54)【発明の名称】顔面マッサージ器
(51)【国際特許分類】
   A61N 1/30 20060101AFI20150319BHJP
   A61H 23/02 20060101ALI20150319BHJP
   A61M 37/00 20060101ALI20150319BHJP
【FI】
   A61N1/30
   A61H23/02 330
   A61M37/00
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-524949(P2014-524949)
(86)(22)【出願日】2012年8月13日
(65)【公表番号】特表2015-501158(P2015-501158A)
(43)【公表日】2015年1月15日
(86)【国際出願番号】KR2012006434
(87)【国際公開番号】WO2013027954
(87)【国際公開日】20130228
【審査請求日】2014年2月10日
(31)【優先権主張番号】20-2011-0007512
(32)【優先日】2011年8月19日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】506213681
【氏名又は名称】株式会社アモーレパシフィック
【氏名又は名称原語表記】AMOREPACIFIC CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100121382
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 託嗣
(72)【発明者】
【氏名】パク,チャン−マン
(72)【発明者】
【氏名】イ,チャン−クン
(72)【発明者】
【氏名】シン,テ−ホン
(72)【発明者】
【氏名】チョ,カ−ヨン
(72)【発明者】
【氏名】イル,スン−ファン
(72)【発明者】
【氏名】ファン,チョン−ワン
(72)【発明者】
【氏名】パク,ウ−ラム
(72)【発明者】
【氏名】オウ,テク−ジン
(72)【発明者】
【氏名】ヨム,ミョン−フン
(72)【発明者】
【氏名】カン,ビョン−ヨン
【審査官】 井上 哲男
(56)【参考文献】
【文献】 特表2010−502293(JP,A)
【文献】 特開2007−195673(JP,A)
【文献】 特開2007−098060(JP,A)
【文献】 特開平02−224769(JP,A)
【文献】 実用新案登録第3137239(JP,Y2)
【文献】 韓国公開特許第10−2009−0121643(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 1/30
A61N 1/18
A61H 23/02
A61M 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に収容空間が形成され、人体の皮膚に電流を流すための端子の端子露出孔が形成されるマスク;及び
前記マスクの収容空間に収容され、互いに異なる極性の二つの端子を前記端子露出孔を通じて外部に露出させ、回転軸及び前記回転軸を外側で取り囲むコイルを備えた駆動部を含み、前記駆動部の慣性回転による前記コイルの誘導起電力を用いて前記二つの端子間の電位差を大きくする少なくとも一つの電動モジュールを備えることを特徴とする、顔面マッサージ器。
【請求項2】
前記マスクは周縁部が互いに固定されて内側に前記収容空間をなす第1マスク及び第2マスクからなり、前記第1マスクと第2マスクの少なくとも一方に前記電動モジュールの挿入及び引出のための切開された挿入口が一つ以上形成されることを特徴とする、請求項1に記載の顔面マッサージ器。
【請求項3】
前記電動モジュールは、
振動子の駆動のための互いに異なる極性の電源端子が一面にそれぞれ形成され、前記電源端子が人体の皮膚を導電体として相互に接続するベース部;
前記ベース部の少なくとも一面に設置される前記振動子;
前記振動子に動力を提供するための前記回転軸及び前記回転軸を内側に位置させる前記コイルを備えた状態で前記ベース部に設置される前記駆動部;
前記駆動部の電源入力端に設置され、前記駆動部の電源をオン/オフする駆動スイッチ;
前記駆動スイッチのオン/オフを制御して前記駆動部の動作状態及び前記駆動部の動作による前記振動子の振動状態を制御する制御部;及び
前記駆動スイッチと駆動部との間に入力端が並列で接続され、前記駆動スイッチのオフ動作による前記駆動部の空回転の際、前記回転軸周辺のコイルから発生する電気エネルギーを前記駆動部の出力端に流す誘導起電力処理部を含むことを特徴とする、請求項1に記載の顔面マッサージ器。
【請求項4】
前記制御部は、前記駆動スイッチをパルス幅変調(PWM:Pulse Width Modulation)方式で前もって設定された時間間隔でオン/オフ制御することを特徴とする、請求項3に記載の皮膚刺激用電動モジュール。
【請求項5】
前記マスクが人体の頭部に着用されるための着用部をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の皮膚刺激用電動モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は顔面マッサージ器に係り、特に別途の昇圧回路なしに互いに異なる極性の電源端子の間に比較的高い電位差を形成し、人体の皮膚に多量の電流を流してイオン泳動法(イオントフォレシス、iontophoresis)の機能を大幅に向上させることができ、しかも外部電源なしにもマスクの電動モジュールを個別に動作させて顔面の全部にあるいは局部に刺激を加えることができる顔面マッサージ器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、皮膚の弾力向上及び老化防止のために各種の化粧品やマッサージ用クリームなどの機能性化粧品が使われており、このような機能性化粧品を使って皮膚を管理する専門マッサージ点なども繁盛している。
【0003】
また、顔面皮膚に刺激を与えるマッサージ器(以下、顔面マッサージ器という)も提供されている。このような顔面マッサージ器は通常顔面状のマスクに振動モーターを付着して顔面の経絡に振動を与え、これにより血液循環を円滑にするとともに皮膚老化などを予防する。
【0004】
図1は従来の顔面マッサージ器を示した図である。同図に示したように、従来の顔面マッサージ器はガルバニックイオン電流発生部10、ガルバニックイオン電流発生部10に備えられる作業電極11及びこのような作業電極11に並列で連結される作業電極用締結手段20、顔面の所定部位に付着される反対電極12及びこのような反対電極12に並列で連結される反対電極用顔接触部30、及び湿式マトリックス皮膚用パック40を含んでなる。
【0005】
しかし、前記のような従来の顔面マッサージ器は、湿式マトリックス皮膚用パックとガルバニックイオン電流発生部が作業電極用締結手段によって電気的に接続された後、ガルバニックイオン電流発生部のガルバニックイオン電流が湿式マトリックス皮膚用パックに印加される形態であるので、従来の顔面マッサージ器は作業電極用締結手段を一緒に揃えた状態でだけ動作可能であるとともに湿式マトリックス皮膚用パックとガルバニックイオン電流発生部を一緒に備えている場合にだけ使用者はイオン電流によるマッサージ機能を受けることができる。
【0006】
また、イオン泳動法(iontophoresis)は人体の皮膚に電位差を与えて皮膚の電気的環境を変化させてイオン性薬物の皮膚透過を増加させる方法で、このようなイオン泳動法の効果は最大電流の形成が重要なかなめである。すなわち、人体の皮膚抵抗は数十キロオーム(KΩ)ないし数十メガオーム(MΩ)とかなり高くて、これにより皮膚に十分な電流を流入させるためには比較的高い入力電圧が要求される。このような理由のため、従来のイオン泳動法を用いる顔面マッサージ器は通常イオン電流発生部に昇圧回路を含み、これによりイオン電流発生部の構造が複雑となるとともに顔面マッサージ器の全体サイズの拡大につながり、その保管及び携帯に不便さが伴う。
【0007】
また、従来の顔面マッサージ器は、ガルバニックイオン電流発生部のイオン電流が湿式マトリックス皮膚用パックに全体的に供給されるものなので、使用者が必要によって顔面の特定部位のみに対してはイオン泳動法の刺激機能を受けようとするとか、反対に特定部位のみに対してイオン泳動法の刺激機能を受けないようとしても、それが不可能であった。例えば、使用者が顔面に怪我をした部位があるから、当該部位を除いた他の顔面部位にだけ刺激機能を受けようとしてもそれが不可能である。これにより、使用者は顔面マッサージ器の使用をあきらめるとか、怪我をした部位の痛みを甘受して顔面マッサージ機能を受けなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、本発明は前記のような問題点を解決するためになされたもので、別途の昇圧回路なしに駆動部の慣性回転による誘導起電力を用いて互いに異なる極性の電源端子の間に比較的高い電位差を形成する複数の電動モジュールを含み、人体の皮膚に多量の電流を流してイオン泳動法の効果を極大化することができる顔面マッサージ器を提供することに目的がある。
【0009】
また、本発明は、外部電源なしにもマスクそのものの構造だけで動作して、イオン泳動法を伴う皮膚刺激及びマッサージ機能を提供することができる顔面マッサージ器を提供することに目的がある。
【0010】
また、本発明は、顔面の特定部分に対してだけイオン泳動法を伴う皮膚刺激及びマッサージ機能を提供するとか、これと反対に顔面の特定部分を除いた残りの部分に対してだけイオン泳動法を伴う皮膚刺激及びマッサージ器の機能を提供することができ、これに加えて使用者がイオン泳動法を伴う皮膚刺激及びマッサージ部位を選択することができる顔面マッサージ器を提供することに目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記のような目的を達成するためで本発明による顔面マッサージ器は、内部に収容空間が形成され、人体の皮膚に電流を流すための端子の端子露出孔が形成されるマスク;及び前記マスクの収容空間に収容され、互いに異なる極性の二つの端子を前記端子露出孔を通じて外部に露出させ、回転軸及び前記回転軸を外側で取り囲むコイルを備えた駆動部を含み、前記駆動部の慣性回転による前記コイルの誘導起電力を用いて前記二つの端子間の電位差を大きくする少なくとも一つの電動モジュールを備えてなる。
【0012】
また、前記マスクは周縁部が互いに固定されて内側に前記収容空間をなす第1マスク及び第2マスクからなり、前記第1マスクと第2マスクの少なくとも一方に前記電動モジュールの挿入及び引出のための切開された挿入口が一つ以上形成されることを特徴とする。
【0013】
また、前記電動モジュールは、振動子の駆動のための互いに異なる極性の電源端子が一面にそれぞれ形成され、前記電源端子が人体の皮膚を導電体として相互に接続するベース部;前記ベース部の少なくとも一面に設置される前記振動子;前記振動子に動力を提供するための前記回転軸及び前記回転軸を内側に位置させる前記コイルを備えた状態で前記ベース部に設置される前記駆動部;前記駆動部の電源入力端に設置され、前記駆動部の電源をオン/オフする駆動スイッチ;前記駆動スイッチのオン/オフを制御して前記駆動部の動作状態及び前記駆動部の動作による前記振動子の振動状態を制御する制御部;及び前記駆動スイッチと駆動部との間に入力端が並列で接続され、前記駆動スイッチのオフ動作による前記駆動部の空回転の際、前記回転軸周辺のコイルから発生する電気エネルギーを前記駆動部の出力端に流す誘導起電力処理部を含むことを特徴とする。
【0014】
また、前記制御部は、前記駆動スイッチをパルス幅変調(PWM:Pulse Width Modulation)方式で前もって設定された時間間隔でオン/オフ制御することを特徴とする。
【0015】
また、前記マスクが人体の頭部に着用されるための着用部をさらに含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によると、別途の昇圧回路なしに駆動部の慣性回転による誘導起電力を用いて互いに異なる極性の電源端子の間に比較的高い電位差を形成する複数の電動モジュールを顔面マッサージ器に含めることで、人体の皮膚に多量の電流を流してイオン泳動法の効果を極大化するとともに皮膚刺激及びマッサージ機能を提供することができる。
【0017】
また、自体電源供給によって個別に駆動するマスクの複数の電動モジュールを別途の外部電源なしにも動作させて使用者が皮膚刺激及びマッサージ機能を受けることができるので、使用上の便利性及び携帯の容易性などが向上する効果がある。
【0018】
また、顔面の特定部分に対してだけイオン泳動法を伴う皮膚刺激及びマッサージ機能を提供するとか、反対に顔面の特定部分を除いた残りの部分に対してだけイオン泳動法を伴う皮膚刺激及びマッサージ機能を提供することができ、使用者が自分の顔面皮膚状態などを考慮してイオン泳動法を伴う皮膚刺激及びマッサージ部位を選択することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】従来の顔面マッサージ器を示した図である。
図2】本発明の一実施例による顔面マッサージ器を示した斜視図である。
図3】本発明の一実施例による顔面マッサージ器を示した分解斜視図である。
図4図3のA−A線についての断面図である。
図5】本発明の一実施例による顔面マッサージ器の電動モジュールを示した斜視図である。
図6】本発明の一実施例による皮膚刺激用電動モジュールの背面斜視図である。
図7】本発明の一実施例による皮膚刺激用電動モジュールの構成を示したブロック図である。
図8】本発明の一実施例による皮膚刺激用電動モジュールの誘導起電力を処理する回路的構成を概略的に示した図である。
図9】本発明の一実施例による皮膚刺激用電動モジュールの駆動部の出力電圧変化の推移を示したグラフである。
図10】本発明の一実施例による皮膚刺激用電動モジュールの駆動部の出力電圧変化の推移を示したグラフである。
図11】本発明の他の実施例による皮膚刺激用電動モジュールの構成を示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付図面に基づいて本発明の一実施例による顔面マッサージ器を詳細に説明する。
【0021】
図2は本発明の一実施例による顔面マッサージ器を示した斜視図、図3は本発明の一実施例による顔面マッサージ器を示した分解斜視図、図4図3のA−A線についての断面図である。
【0022】
同図に示したように、本発明の一実施例による顔面マッサージ器は、マスクと複数の電動モジュールとを含んでなる。
【0023】
まず、図2を参照して本発明の一実施例による顔面マッサージ器の概括的な構成及び作用について説明する。
【0024】
マスク200は、内部に電動モジュール100の収容のための収容空間が形成され、このようなマスク200の収容空間に電動モジュール100が収容され、その振動及び人体皮膚に対する電流出力によってイオン泳動法(iontophoresis)を伴う皮膚刺激及びマッサージ機能を提供する。ここで、電動モジュール100は一つ以上提供されることができる。このような電動モジュール100は自体電源を備えて個別動作が可能である。これにより、この実施例の顔面マッサージ器は外部電源なしにもマスク200の電動モジュール100を動作させてマッサージ機能を提供することができ、顔面の特定部分に対してだけマッサージするとか、反対に顔面の特定部分を除いた残りの部分に対してだけマッサージすることができる。
【0025】
つぎに、図2図4を参照してこの実施例による顔面マッサージ器の具体的な構成について説明する。
【0026】
図2図4を参照すれば、顔面マッサージ器は、第1マスク210、第2マスク220、及び電動モジュール100を含んでなる。また、顔面マッサージ器は着用部300をさらに含んでなることができる。
【0027】
第1マスク210と第2マスク220は周縁部を互いに固定して相互間の内側に収容空間を形成する。そして、このような第1マスク210と第2マスク220の少なくとも一方には電動モジュール100の挿入及び引出のための切開された挿入口、または電動モジュール100の絶縁部材180を外部に引き出すための切開された挿入口210aが形成される。この実施例においては、第1マスク210に絶縁部材180の外部への引出のための挿入口210aが形成されたものを例とした。また、第1マスク210と第2マスク220の少なくとも一方には電動モジュール100の互いに異なる極性の電源端子111、112を外部に露出させるための端子露出孔220aが形成される。この実施例においては、第2マスクに端子露出孔220aが形成されるものを例とした。
【0028】
電動モジュールを図5図11を参照して説明する。図5図11を参照すれば、電動モジュールは、ベース部110、振動子120、駆動部130、駆動スイッチ140、制御部150、及び誘導起電力処理部160を含んでなる。また、電動モジュールはバッテリー170をさらに含んでなることができる。
【0029】
ベース部110は、振動子120の駆動のための互いに異なる極性の電源端子111、112が一面にそれぞれ形成される。この際、電源端子111、112は振動子120を駆動させる駆動部130に電源を供給し、このような駆動部130の駆動によって振動子120が振動する。また、電源端子111、112は人体の皮膚を導電体として相互に接続され、これは人体の皮膚に電位差を与えて皮膚の電気的環境を変化させることで、イオン性薬物の皮膚透過を増加させるイオン泳動法のためのものである。
【0030】
振動子120はベース部110の少なくとも一面に設置されるもので、このような振動子120は後述する駆動部130の作動によって所定パターンの振動を行うようになる。そして、このような振動子120の振動はベース部110に伝達され、これにより、振動子120の振動の際、ベース部110の全体が振動をする。
【0031】
駆動部130はベース部100に設置され、振動子120に動力を提供するための回転軸(図示せず)及びこのような回転軸を内側に位置させるコイルとを備える。前記駆動部130の代表的な例として直流モーターがある。したがって、以下の説明では駆動部130として直流モーターが例として説明されるが、本発明はこれに限定されるものではない。そして、参照符号131は駆動部130の電源入力端に設置される電源供給処理部を示したものである。
【0032】
駆動スイッチ140は駆動部130に対する電源入力端に設置され、そのオン/オフによって駆動部130に電源を供給するとか、反対に駆動部130に対する電源供給を遮断する。この実施例においてはこのような駆動スイッチ140がトランジスタであり、エミッタに駆動部130の駆動電源が印加され、ベースに制御部150のパルス信号が印加される形態を例とした。しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、駆動スイッチ140は制御部150のパルス信号に応じてオン/オフとなって駆動部130に対する電源供給を断続することができる条件を満足する範囲内で多様に変形実施することができる。また、この実施例においては、駆動部130に印加される駆動電源が3(V)であるものを例とした。
【0033】
制御部150は、駆動スイッチ140のオン/オフを制御して駆動部130の動作状態及び駆動部130の動作による振動子120の振動状態を制御する。このような制御部150は、パルス幅変調(PWM:Pulse Width Modulation)方式で駆動部130の動作を制御する。すなわち、制御部150のパルス信号が駆動スイッチ140であるトランジスタのベースに印加され、このような制御部150のパルス信号に応じてトランジスタは所定の時間間隔でオン/オフを繰り返すようになる。
【0034】
誘導起電力処理部160はその入力端が駆動スイッチ140と駆動部130との間に並列で接続され、その出力端が駆動部130の出力端に並列で接続される。そして、このような誘導起電力処理部160は駆動スイッチ140のオフ動作による駆動部130の空回転の際、駆動部130の回転軸の周辺コイルから発生する電気エネルギーを駆動部130の出力端に流す。すなわち、駆動部130である直流モーターは駆動スイッチ140のオン状態で電源が印加されて作動する。この際、制御部150のパルス信号に応じて駆動スイッチ140がオフ状態に転換されても、直流モーターは回転する慣性によってずっと回転し、この過程で直流モーターのコイルで誘導起電力が発生する。
【0035】
そして、このように直流モーターのコイルで発生した誘導起電力は駆動部130(直流モーター)の出力端に印加され、よって駆動部130の出力端に電気的に連結されるベース部110の(−)電源誘導起電力が印加されると同時に相対的に多量の電流が流れるようになる。この実施例を基準にさらに説明すれば、駆動部130である直流モーターに3(V)の駆動電源が印加される。すなわち、ベース部110の(+)電源端子の電圧は3(V)であり、ベース部110の(−)電源端子の電圧は直流モーターのコイルから印加される誘導起電力によって13(V)となる。
【0036】
バッテリー170は電動モジュール100に電源を供給する機能をする。
【0037】
また、この実施例においては、このような誘導起電力処理部160が電源ダイオードであるものを例としたが、本発明がこれに限定されるものではなく、誘導起電力処理部160は直流モーターのコイルで発生した誘導起電力を直流モーターの出力端に印加する条件を満足する範囲内で多様に変形実施することができる。
【0038】
そして、この実施例においては、ベース部110がプリント基板であり、このようなベース部110に駆動部130、駆動スイッチ140、制御部150、及び誘導起電力処理部160が実装され、またベース部には実装された構成間の電気的連結のための回路パターンが形成される。ここで、プリント基板はフレキシブルプリント回路基板(FPCB:Flexible Printed Circuit Board)であることができ、これはベース部110が人体皮膚の屈曲面に沿ってもっとうまく接触し、これにより振動子120の振動が人体皮膚にもっとうまく伝達されるようにするためである。
【0039】
前記構成によって、本発明の電動モジュール100は互いに異なる極性の電源端子111、112間の電位差を別の昇圧回路なしに直流モーターのコイルで発生する誘導起電力によって大きくし、よって人体の皮膚にもっと多い電流を流すことができ、イオン泳動法の効果を高める機能をする。
【0040】
また、人体皮膚に直接接触する電源端子111、112の昇圧作用が、別の昇圧回路及びバッテリー170の電源消耗なしに回転軸のコイルから発生する誘導起電力の電流を使うので、その使用過程でバッテリーの消耗を最少化することができる。
【0041】
また、皮膚刺激用電動モジュール100の全体にわたって人体皮膚に振動を伝達することができるので、振動伝達領域は相対的に拡大しながらも昇圧回路の比較的複雑な構成を要しないので、全体積は相対的に減少して携帯性が向上する。
【0042】
図9及び図10は本発明の一実施例による皮膚刺激用電動モジュールの駆動部の出力電圧変化の推移を示したグラフである。
【0043】
図9において、“a”区間は直流モーターに電源が印加される区間、“b”区間は直流モーターに電源が印加されない区間を示したもので、この実施例では5(V)の電圧が直流モーターの入力端に印加され、これにより制御部150から5(V)のパルス信号が駆動スイッチ140に印加される。そして、“c”は“b”区間で発生した誘導起電力の電圧を示したもので、同図に示したように、直流モーターに電源が印加されない区間で最大13(V)の誘導起電力が発生することを確認することができる。
【0044】
また、図10において、図9の“b”区間で最大13(V)の誘導起電力が発生することにより、最大12(mA)の電流が人体の皮膚に流れることを確認することができる。ここで、誘導起電力及びそれによる電流の人体皮膚に対する作用は非連続的にインパルス(impulse)形態で印加され、これは人体皮膚に鍼を打つことと類似した作用をし、よって人体皮膚に有用な刺激を与えてマッサージ及び治療効果を提供することができる。
【0045】
また、図2図4に戻り、着用部300は人体の頭部にマスクを着用することができるようにする用途のものとして、この実施例ではこのような着用部300がヘアバンド状のものを例としたが、本発明はこれに限定されるものではない。着用部300は一対のバンドからなり、このような一対のバンドの一端がマスク200の両側にそれぞれ固定され、各バンドの他端には一対のバンド間の相互結合のためのベルクロテープ310が付着される。そして、ベルクロテープ310の長さを比較的長くし、ベルクロテープ130間の接触部位を多様に調節してバンド型着用部300の長さを調整することもできる。
【0046】
前述した図2図10の実施例から分かるように、本発明の顔面マッサージ器は、その電動モジュールが別途の昇圧回路なしに駆動部の慣性回転による誘導起電力を用いて互いに異なる極性の電源端子の間に比較的高い電位差を形成するので、人体の皮膚に多量の電流を流してイオン泳動法の効果を極大化するとともに皮膚刺激及びマッサージ機能を提供することができる。
【0047】
また、本発明の顔面マッサージ器は、自体電源供給によって個別に駆動する複数の電動モジュールによって別途の外部電源なしにもマスクの電動モジュールを動作させるので、使用者は皮膚刺激及びマッサージ機能を受けることができ、使用上の便利性及び携帯の容易性などが向上する。
【0048】
また、顔面の特定部分に対してだけイオン泳動法を伴う皮膚刺激及びマッサージ機能を提供するとか、反対に顔面の特定部分を除いた残りの部分に対してだけイオン泳動法を伴う皮膚刺激及びマッサージ機能を提供することができ、使用者が自分の顔面皮膚状態などを考慮してイオン泳動法を伴う皮膚刺激及びマッサージ部位を選択することができる。
【0049】
一方、図11は本発明の顔面マッサージ器の電動モジュールの他の構成を示した斜視図である。同図に示したように、電動モジュール400は、電源接続部材180、及び絶縁部材190を含んでなる。そして、説明に先立ち、電動モジュール400の残りの構成は図2図10の実施例による皮膚刺激用電動モジュール100と同様であるので、これについての詳細な説明は省略するとともに同一図面符号を使う。
【0050】
バッテリー170はベース部110に設置され、電源接続部材180を介して駆動部130及び制御部150に電源を提供する。
【0051】
電源接続部材180は、バッテリー170の電源端子(図示せず)及びベース部110に形成された駆動部130の電源端子(図示せず)を電気的に連結する。言い換えれば、駆動部130は電源接続部材180を介してバッテリー170と接続される。また、ベース部110の電源端子は制御部150に対する電源供給機能を果たすこともでき、これによりベース部110には電源端子と駆動部130及び制御部150を並列で連結する回路パターンが形成される。
【0052】
絶縁部材190はバッテリー170の電源端子と電源接続部材180間の接触領域に付着される。すなわち、絶縁部材190はバッテリー170に付着され、バッテリー170の電源端子と電源接続部材180間の電気的接続を遮断し、このような絶縁部材190がバッテリー170から分離されるとき、バッテリー170の電源端子と電源接続部材180間の電気的接続がなされる。ここで、絶縁部材190がバッテリー170に着脱可能に付着され、絶縁部材190の着脱によってバッテリー170の電源端子と電源接続部材180間の電気的接続を制御して駆動部130に対するバッテリー170の電源印加を断続することができる。
【0053】
すなわち、絶縁部材190がバッテリー170の電源端子とび電源接続部材180間のスイッチング動作を行うことができる。この際、皮膚刺激用電動モジュール400は別途のスイッチ構造を持っていなくても、絶縁部材190のスイッチング機能によって使用時にだけバッテリー170の電源が消耗されるようにすることができる。言い換えれば、スイッチの省略による皮膚刺激用電動モジュール400の体積は縮小しながらも、バッテリー170は振動子120の動作時にだけ消耗されるようにすることができる。
【0054】
また、この実施例においては、絶縁部材190が薄シート状に形成されてバッテリー170に電源端子を遮るように着脱可能に付着される形態を例としたが、本発明がこれに限定されるものではなく、絶縁部材190はバッテリー170の電源端子領域に着脱されてバッテリー170の電源端子と電源接続部材180間の電源印加を断続することができる条件下で多様に変形実施することができる。そして、絶縁部材190は図面に詳細に示していないが、マスク200の外部に露出される延長部を備え、延長部を介して使用者が絶縁部材190を操作することができるようにする。
【0055】
以上で説明したものは本発明による顔面マッサージ器を実施するための一実施例に過ぎないもので、本発明は前述した実施例に限定されなく、以下の請求範囲で請求するような本発明の要旨を逸脱することなしに、本発明が属する当該分野で通常の知識を持った者であれば誰でも多様な変更実施が可能な範囲まで本発明の技術的精神があると言える。
【符号の説明】
【0056】
100、400 皮膚刺激用電動モジュール
110 ベース部
111 (+)電源端子
112 (−)電源端子
120 振動子
130 駆動部
131 電源供給処理部
140 駆動スイッチ
150 制御部
160 誘導起電力処理部
170 バッテリー
180 電源接続部材
190 絶縁部材
200 マスク
210 第1マスク
220 第2マスク
220a 端子露出孔
300 着用部
310 ベルクロテープ
図1
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