(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記携帯端末が、複数の基準局から発信される無線信号を受信している場合に、受信した無線信号の電力あるいは信号対雑音比を測定した結果から、位置特定に最適な基準局を選定して位置の特定を行い、もしくは複数の基準局を選定して位置特定を行なった結果を荷重平均することを特徴とする請求項第1項に記載の広域位置特定システム。
前記携帯端末から発信された無線信号が複数の基準局によって受信される場合に、前記複数の基準局の間をアドホックネットワークで接続し、前記複数の基準局が受信した無線信号の電力あるいは信号対雑音比のデータを相互に交換し、前記複数の基準局の内から、位置特定に最適な基準局を選定し、もしくは複数の基準局を選定してタイムスロットを割当て、前記選定された基準局が、配下の複数の中継局に対し、前記携帯端末を指定して中継動作を指令することを特徴とする請求項第2項に記載の広域位置特定システム。
前記起点信号、距離測定信号、もしくはこれらの両方が、搬送波信号、副搬送波信号、変調信号、スペクトル拡散符号、もしくはこれらの組合せであることを特徴とする請求項第1項あるいは第2項に記載の広域位置特定システム。
前記位相測定手段が、測定する信号周波数の4の整数倍のサンプリング周波数で、かつ4ビット以上のアナログデジタル変換器を用いてデジタル信号に変換し、Sinのルックアップテーブルとして0、1、0、−1、もしくは1、1、−1、−1、を用い、Cosのルックアップテーブルとして1、0、−1、0もしくは1、−1、−1、1、を用い、前記変換したデジタル信号とルックアップテーブルとの積和演算を行うことを特徴とする請求項第5項に記載の広域位置特定システム。
前記基準局をノードとして周辺に複数の中継局を配置し、前記基準局と複数の中継局との間でネットワークを構成し、前記ネットワークを、周辺の基準局もしくは外部と、有線回線もしくは無線回線を介して接続し、少なくとも、前記携帯端末の位置を特定するために必要な情報の交換を行なうことを特徴とする請求項第1項あるいは第2項に記載の広域位置特定システム。
前記基準局が、その周辺の3〜8局の中継局を1組として指定し、複数組を隣接させる場合には、一部の中継局を複数組にまたがって重複して指定し、指定した中継局に対して4ないし8のタイムスロットの内のいずれかを割付け、前記指定した中継局の識別番号と割付けたタイムスロットを報知情報の一部として記憶することを特徴とする請求項第1項あるいは第2項に記載の広域位置特定システム。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
この発明に係わる広域位置特定システムは、
図1、
図3、
図4、および請求項1に本発明の第1の実施の形態を示すように、バースト信号としてかつ間欠的に、無線信号を発信するための基準局101a、101bと、前記無線信号を受信し、同一周波数でかつ時分割で中継しあるいは再発信するための中継局102a〜102gと、前記基準局101a、101bと中継局102a〜102gから発信されあるいは中継される無線信号を、広域のサービスエリア100内を移動しながら受信して、自局の位置を特定するための携帯端末103とから構成され、
【0016】
前記広域のサービスエリア100内に、基準局と複数の中継局とを1組として、複数組を、縦方向と横方向に、間隔を置いて、離散的にもしくはメッシュ状に配置し、
前記基準局101a、101bが、少なくとも、制御手段11と、発信手段12と、アンテナあるいは送受波器15とを有し、
前記制御手段11が起点信号を生成し、前記発信手段が、少なくとも前記起点信号を含む無線信号を、バースト信号としてかつ間欠的に、前記アンテナあるいは送受波器15を介して発信し、
【0017】
前記中継局102a〜102gが、少なくとも、受信手段13と、制御手段11と、発信手段12と、アンテナ切替手段14と、アンテナあるいは送受波器15とを有し、
前記受信手段13が、前記基準局101a、101bから発信された無線信号を、前記アンテナあるいは送受波器15を介して受信し、前記制御手段11が、前記基準局101a、101bから受信した無線信号に含まれる起点信号を再生し、前記再生した起点信号の立上り点、立下り点、あるいゼロ交差点のタイミングを検出し、前記検出したタイミングで、起点信号
と同期を確立し、かつ同期を保持して、クロック信号を生成し、前記クロック信号と同期しあるいは直交する距離測定信号を生成し、
【0018】
前記アンテナ切替手段14が、時分割で、前記アンテナあるいは送受波器15を切替え、前記発信手段12が、少なくとも前記生成した距離測定信号を含む無線信号を、時分割の間隔で、かつ各中継局に割当てられたタイムスロットで、バースト信号として、前記アンテナあるいは送受波器15を介して発信し、
前記携帯端末103が、少なくとも、受信手段13と、制御手段11と、アンテナあるいは送受波器15とを有し、前記受信手段が、前記基準局と複数の中継局から発信された無線信号を、前記アンテナあるいは送受波器15を介して受信し、
【0019】
前記制御手段11が、前記基準局101a、101bから受信した無線信号に含まれる起点信号を再生し、かつ前記中継局102a〜102gから受信した無線信号に含まれる距離測定信号を再生し、前記再生した起点信号の立上り点、立下り点、あるいはゼロ交差点のタイミングを検出し、前記検出したタイミングで、起点信号
と同期を確立し、かつ同期を保持して、クロック信号を生成し、前記クロック信号を基準として、前記距離測定信号の位相を測定し、前記距離測定信号の位相の測定結果から、双曲線航法によって、自局の位置を特定する。
【0020】
また、
図2、
図3、
図4、および請求項2に本発明の第2の実施の形態を示すように、広域のサービスエリア100内を移動しながら、バースト信号としてかつ間欠的に、無線信号を発信するための携帯端末103と、前記無線信号を受信し、同一周波数でかつ時分割で中継しあるいは再発信するための中継局102a〜102gと、前記携帯端末103と中継局102a〜102gとから発信されあるいは中継される無線信号を受信して、前記携帯端末103の位置を特定するための基準局101a、101bとから構成され、
【0021】
前記広域のサービスエリア100内に、基準局と複数の中継局とを1組として、複数組を、縦方向と横方向に、間隔を置いて、離散的にもしくはメッシュ状に配置し、
前記携帯端末103が、少なくとも、制御手段11と、発信手段12と、アンテナあるいは送受波器15とを有し、前記制御手段11が起点信号を生成し、前記発信手段12が、少なくとも前記起点信号を含む無線信号を、バースト信号としてかつ間欠的に、前記アンテナあるいは送受波器15を介して発信し、
【0022】
前記中継局102a〜102gが、少なくとも、受信手段13と、制御手段11と、発信手段12と、アンテナ切替手段14と、アンテナあるいは送受波器15とを有し、前記受信手段13が、前記携帯端末103から発信された無線信号を、前記アンテナあるいは送受波器15を介して受信し、前記制御手段11が、前記携帯端末103から受信した無線信号に含まれる起点信号を再生し、前記再生した起点信号の立上り点、立下り点、あるいはゼロ交差点のタイミングを検出し、
【0023】
前記検出したタイミングで、起点信号
と同期を確立し、かつ同期を保持して、クロック信号を生成し、前記クロック信号と同期しあるいは直交する距離測定信号を生成し、前記アンテナ切替手段14が、時分割で、前記アンテナあるいは送受波器15を切替え、前記発信手段12が、少なくとも前記生成した距離測定信号を含む無線信号を、時分割の間隔で、かつ当該中継局に割当てられたタイムスロットで、バースト信号として、前記アンテナあるいは送受波器15を介して発信し、
【0024】
前記基準局101a、101bが、少なくとも、受信手段13と、制御手段11と、アンテナあるいは送受波器15とを有し、
前記受信手段13が、前記携帯端末103と複数の中継局102a〜102gから発信された無線信号を、前記アンテナあるいは送受波器15を介して受信し、前記制御手段11が、前記携帯端末103から受信した無線信号に含まれる起点信号を再生し、
【0025】
かつ前記中継局102a〜102gから受信した無線信号に含まれる距離測定信号を再生し、前記再生した起点信号の立上り点、立下り点、あるいはゼロ交差点のタイミングを検出し、前記検出したタイミングで、起点信号
と同期を確立し、かつ同期を保持して、クロック信号を生成し、前記クロック信号を基準として、距離測定信号の位相を測定し、前記距離測定信号の位相の測定結果から、双曲線航法によって、前記携帯端末103の位置を特定する。
【0026】
また、請求項3に示すように、前記携帯端末103が、複数の基準局から発信される無線信号を受信している場合に、受信した無線信号の電力あるいは信号対雑音比を測定した結果から、位置特定に最適な基準局を選定して位置の特定を行い、もしくは複数の基準局を選定して位置特定を行なった結果を荷重平均する。
【0027】
また、請求項4に示すように、前記携帯端末から発信された無線信号が複数の基準局によって受信される場合に、前記複数の基準局の間をアドホックネットワークで接続し、前記複数の基準局が受信した無線信号の電力あるいは信号対雑音比のデータを相互に交換し、前記複
数の基準局の内から、位置特定に最適な基準局を選定し、もしくは複数の基準局を選定してタイムスロットを割当て、前記選定された基準局が、配下の複数の中継局に対し、前記携帯端末を指定して中継動作を指令することを特徴とする請求項第2項に記載の広域位置特定システム。
【0028】
また、請求項5に示すように、前記制御手段が、起点信号再生手段、同期検出手段、同期発振手段、距離測定信号生成手段、距離測定信号再生手段、位相測定手段、
及び位置特定手段
を含む。
【0029】
また、請求項6に示すように、前記起点信号、距離測定信号、もしくはこれらの両方が、搬送波信号、副搬送波信号、変調信号、スペクトル拡散符号、もしくはこれらの組合せである。
また、請求項7に示すように、基準局101
が、無線信号を間欠発信する間隔を、内部に設けた自励発振器を用いて、ランダムに制御し、
前記基準局から発信される無線信号を非同期で発
信することで、無線信号を効率的に活用する。
また、請求項8に示すように、前記携帯端末103が、無線信号を間欠発信する間隔を、内部に設けた自励発振器を用いて、ランダムに制御し、複数の携帯端末から発信される無線信号を非同期で発信し、あるいは前記携帯端末の移動速度に応じて前記間隔を制御することで、無線信号を効率的に活用する。
【0032】
また、請求項
9に示すように、前記位相測定手段が、測定する信号周波数の4倍以上のサンプリング周波数で、かつ4ビット以上のアナログデジタル変換器を用いてデジタル信号に変換し、Sinのルックアップテーブルとして0、1、0、−1、もしくは1、1、−1、−1、を用い、Cosのルックアップテーブルとして1、0、−1、0もしくは1、−1、−1、1、を用い、前記変換したデジタル信号とルックアップテーブルとの積和演算を行う。
また、請求項
10に示すように、前記基準局101をノードとして、前記基準局と複数の中継局との間でネットワークを構成し、前記ネットワークを、周辺の基準局もしくは外部と、有線回線もしくは無線回線を介して接続し、少なくとも、前記携帯端末の位置を特定するために必要な情報の交換を行なう。
【0033】
また、請求項
11に示すように、前記基準局が、その周辺の3〜8局の中継局を1組として指定し、複数組を隣接させる場合には、一部の中継局を複数組にまたがって重複して指定し、指定した中継局に対して4ないし8のタイムスロットの内のいずれかを割付け、前記指定した中継局の識別番号と割付けたタイムスロットを報知情報として記憶する。
【0034】
また、請求項
12に示すように、前記携帯端末103、基準局101、中継
局102、もしくはこれらの組み合わせが、複数のアンテナ又は複数の送受波器15を設けて周期的に切替えながら、無線信号を発信しあるいは受信し、前記品質検知手段において、前記複数のアンテナ又は複数の送受波器に対応して、位置特定の結果を平均し、あるいは荷重平均し、あるいは移動平均することで、位置特定精度を高めることができる。
また、請求項
13に示すように、前記基準局、中継
局、もしくはこれらの両方が、高さの異なる位置にアンテナ又は複数の送受波器を設置され、前記制御手段が3次元の位置を特定する。
【0035】
(実施の形態1)
図1、
図3、
図4は本発明の第1の実施の形態による広域位置特定システムの構成図である。
図1、
図3、
図4において、101a、101bは基準局、102a〜102gは中継手段、103は携帯端末、1a〜1iは基準局から中継局に向けて発信される無線信号の伝搬経路、2a〜2dは携帯端末103に向けて発信される無線信号の伝搬経路、11は制御手段、12は発信手段、13は受信手段、14はアンテナ切替手段、15はアンテナ、41は基準発振器、42は位置特定手段、43は位相測定手段、44は距離測定信号再生手段、45は起点信号生成手段、46は同期発振器、47は距離測定信号生成手段、48は位相同期発振器、49は同期検出手段、50は起点信号再生手段、51、52は接続端子である。
【0036】
バースト信号としてかつ間欠的に、無線信号を発信するための基準局101a、101bと、前記無線信号を受信し、同一周波数でかつ時分割で中継しあるいは再発信するための中継局102a〜102gと、前記基準局101a、101bと中継局102a〜102gから発信されあるいは中継される無線信号を、広域のサービスエリア100内を移動しながら受信して、自局の位置を特定するための携帯端末103とから構成され、
【0037】
前記広域のサービスエリア内に、基準局と複数の中継局とを1組として複数組を設置し、縦方向と横方向に、間隔を置いて、離散的にもしくはメッシュ状に配置し、
前記基準局101a、101bが、少なくとも、制御手段11と、発信手段12と、アンテナ15とを有し、前記制御手段11が、少なくとも、起点信号再生手段50、同期検出手段49、同期発振手段46、距離測定信号生成手段47、距離測定信号再生手段44、位相測定手段43、位置特定手段42、もしくはこれらの組み合わせであり、
前記起点信号生成手段45が起点信号を生成し、前記発信手段12が、少なくとも前記起点信号と、システム同期信号、識別番号、報知情報、もしくはこれらの組み合わせとを含む無線信号を、バースト信号としてかつ間欠的に、アンテナ15を介し、伝搬経路1a〜1iを経由して発信し、
【0038】
前記中継局102a〜102gが、少なくとも、受信手段13と、制御手段11と、発信手段12と、、アンテナ15とを有し、前記制御手段11が、少なくとも、起点信号再生手段50、同期検出手段49、同期発振手段46、距離測定信号生成手段47、距離測定信号再生手段44、位相測定手段43、位置特定手段42、もしくはこれらの組み合わせであり、前記受信手段13が、前記基準局101a、101bから発信された無線信号を、アンテナ15を介し、伝搬経路1a〜1iを経由して受信し、
【0039】
前記起点信号再生手段50が、前記基準局101a、101bから受信した無線信号に含まれる起点信号を再生し、前記同期検出手段49が、前記再生した起点信号の立上り点、立下り点、あるいはゼロ交差点のタイミングを検出し、前記同期発振手段46が、前記タイミングで、起点信号と瞬時に同期を確立し、かつ同期を保持して、クロック信号を生成し、前記距離信号生成手段47が、前記クロック信号と同期しあるいは直交する距離測定信号を生成し、前記発信手段が、少なくとも前記生成した距離測定信号を含む無線信号を、時分割の間隔で、かつ各中継局に割当てられたタイムスロットで、バースト信号として、アンテナ15を介し、伝搬経路2a〜2dを経由して発信し、
【0040】
前記携帯端末103が、少なくとも、受信手段13と、制御手段11と、アンテナ15とを有し、前記制御手段11が、少なくとも、起点信号再生手段50、同期検出手段49、同期発振手段46、距離測定信号生成手段47、距離測定信号再生手段44、位相測定手段43、位置特定手段42、もしくはこれらの組み合わせであり、
【0041】
前記受信手段13が、前記基準局101a、101bと中継局102a〜102gから発信された無線信号を、アンテナ15を介し、伝搬経路2a〜2dを経由して受信し、前記起点信号再生手段50が、前記基準局101a、101bから受信した無線信号に含まれる起点信号を再生し、かつ前記距離信号再生手段44が、前記中継局102a〜102gから受信した無線信号に含まれる距離測定信号を再生し、
【0042】
前記同期検出手段49が、前記再生した起点信号の立上り点、立下り点、あるいはゼロ交差点のタイミングを検出し、前記同期発振手段46が、前記検出したタイミングで、起点信号と瞬時に同期を確立し、かつ同期を保持して、クロック信号を生成し、前記位相測定手段43が、前記クロック信号を基準として、前記距離測定信号の位相を測定し、前記位置特定手段42が、前記距離測定信号の位相の測定結果から、双曲線航法によって、自局の位置を特定する。
【0043】
なお、前記携帯端末103が、複数の基準局101a、101bから発信される無線信号を受信している場合に、受信した無線信号の電力あるいは信号対雑音比を測定した結果から、位置特定に最適な基準局を選定して位置の特定を行い、もしくは複数の基準局を選定して位置特定を行なった結果を荷重平均することで、位置特定精度を改善できる。
【0044】
また、前記起点信号、距離測定信号、もしくはこれらの両方が、搬送波信号、副搬送波信号、変調信号、スペクトル拡散符号、もしくはこれらの組合せである。
また、前記携帯端末103もしくは基準局101において、無線信号を間欠発信する間隔を、内部に設けた自励発振器を用いて制御することによって、複数の携帯端末あるいは複数の基準局から無線信号を非同期で発信し、あるいは前記携帯端末の移動速度に応じて間欠発信の間隔を制御することで、無線信号を効率的に活用できる。
【0045】
また、前記起点信号再生手段40もしくは距離測定信号再生手段34において、前記起点信号もしくは距離測定信号が、無線信号の搬送波信号あるいは副搬送波信号である場合には、直接群遅延歪みおよび遅延誤差の少ない帯域通過フイルタを通し、あるいは無線信号の搬送波信号あるいは副搬送波信号を変調した変調信号である場合には、遅延誤差の少ないアナログ復調器もしくは高い周波数のクロック信号を用いた遅延誤差の少ないデジタル復調器によって復調した後に前記帯域通過フイルタを通して再生することで、位置特定精度を向上させることができる。
【0046】
また、前記同期発振手段36が基準発振器31によって駆動される、セットあるいはリセット付きのカウンタあるいは数値制御発振器によって構成され、前記受信手段13cによって受信され、起点信号再生手段40によって復調されもしくは再生された起点信号の立上がり点、立下がり点、もしくはゼロ交差点のタイミングを、同期検出手段39によって少なくとも16MHz以上のサンプリング周波数を用いて検出し、前記検出したタイミングで、前記カウンタあるいは数値制御発振器をセットしもしくはリセットすることによって、前記起点信号と短時間で同期を確立し、かつ前記起点信号が消滅した後も、比較的に長時間、同期を保持することができる。
【0047】
また、前記携帯端末103、中継局102、基準局101、もしくはこれらの組合せが、無線信号の伝搬経路の品質を検知する品質検知手段を有し、前記品質検知手段が、前記受信手段において受信した無線信号の電力あるいは信号対雑音比を測定した結果から回線品質を分析し、前記位置特定の結果をフイルタリングし、補正し、あるいは補完する。
【0048】
また、前記基準局101と基準局101、基準局101と中継局102、中継局102と中継局102、もしくはこれらの複数組の組み合わせが、長方形のサービスエリアの長辺の方向に沿って、背中合わせに、もしくは直列に、設置されることで、更に広いエリアをカバーすることができる。
また、前記長方形のサービスエリアの長い辺22a、22bが、道路脇の歩道であり、横断歩道であり、屋内の通路あるいは廊下であり、もしくは歩行者の移動エリアであるものとする。
【0049】
また、
図1に例示するように、基準局が、その周辺の3〜8局の中継局を1組として指定し、複数組を隣接させる場合には、一部の中継局を複数組にまたがって重複して指定し、指定した中継局に対して4ないし8のタイムスロットの内のいずれかを割付け、前記指定した中継局の識別番号と割付けたタイムスロットを報知情報の一部として記憶する。
また、
図1の配置では、隣接する複数の基準局の間では、非同期でありランダムであり、しかも合計が8msのバースト信号で起点信号を発信しているので、お互いに妨害を与える確率が少なく、広域をカバーするよう配置することが出来る。
【0050】
また、前記位相測定手段が、測定する信号周波数の4倍以上のサンプリング周波数で、かつ4ビット以上のアナログデジタル変換器を用いてデジタル信号に変換し、Sinのルックアップテーブルとして0、1、0、−1、もしくは1、1、−1、−1、を用い、Cosのルックアップテーブルとして1、0、−1、0もしくは1、−1、−1、1、を用い、前記変換したデジタル信号とルックアップテーブルとの積和演算を行うことで、高精度でかつリアルタイムに位相を測定することができる。
【0051】
また、基準局1局を中心として周辺に中継局4局を配置し、各中継局にビーム幅90度の指向性アンテナを接続し、指向性の方句を斜め下方に向け、4角形のエリアを囲むように配置することで、マルチパスの影響を軽減し、位置特定精度を向上させることができる。
また、本システムに、GPSと同一の周波数を割り当てた場合でも、合計8msのバースト信号であるため、12組の基準局と複数の中継局を同一場所に設置し、1mw程度の送信出力としても、GPS受信機に与える妨害の程度は、過去の実験データから見て、軽微であると考えられる。
【0052】
また、前記基準局、中継手段、もしくはこれらの両方が、高さの異なる位置にアンテナ又は送受波器を設置することで、前記制御手段が3次元の位置を特定することができる。
【0053】
(実施の形態2)
図2、
図3、
図4は本発明の第2の実施の形態による広域位置特定システムの構成図である。
図2、
図3、
図4において、101a、101bは基準局、102a〜102gは中継手段、103は携帯端末、1a〜1iは基準局から中継局に向けて発信される無線信号の伝搬経路、2a〜2dは携帯端末103に向けて発信される無線信号の伝搬経路、11は制御手段、12は発信手段、13は受信手段、14はアンテナ切替手段、15はアンテナ、41は基準発振器、42は位置特定手段、43は位相測定手段、44は距離測定信号再生手段、45は起点信号生成手段、46は同期発振器、47は距離測定信号生成手段、48は位相同期発振器、49は同期検出手段、50は起点信号再生手段、51、52は接続端子である。
【0054】
広域のサービスエリア100内を移動しながら、バースト信号としてかつ間欠的に、無線信号を発信するための携帯端末103と、前記無線信号を受信し、同一周波数でかつ時分割で中継しあるいは再発信するための中継局102a〜102gと、前記携帯端末103と中継局102a〜102gから発信されあるいは中継される無線信号を受信して、前記携帯端末103の位置を特定するための基準局101a、101bとから構成され、前記広域のサービスエリア100内に、基準局と複数の中継局とを1組として複数組を設置し、縦方向と横方向に、間隔を置いて、離散的にもしくはメッシュ状に配置し、
【0055】
前記携帯端末103が、少なくとも、制御手段11と発信手段12と、アンテナ15とを有し、前記制御手段11が、少なくとも、起点信号再生手段50、同期検出手段49、同期発振手段46、距離測定信号生成手段47、距離測定信号再生手段44、位相測定手段43、位置特定手段42、もしくはこれらの組み合わせであり、前記信号生成手段50が起点信号を生成し、前記発信手段12が、少なくとも前記起点信号と、システム同期信号、識別番号、もしくはこれらの組み合わせとを含む無線信号を、バースト信号としてかつ間欠的に、アンテナ15を介し、伝搬経路2a〜2dを経由して発信し、
【0056】
前記中継局が、少なくとも、受信手段13と、制御手段11と、発信手段12と、アンテナ15とを有し、前記制御手段11が、少なくとも、起点信号再生手段50、同期検出手段49、同期発振手段46、距離測定信号生成手段47、距離測定信号再生手段44、位相測定手段43、位置特定手段42、もしくはこれらの組み合わせであり、前記受信手段13が、前記携帯端末103から発信された無線信号を、アンテナ15を介し、伝搬経路2a〜2dを経由して受信し、
【0057】
前記起点信号再生手段50が、前記携帯端末103から受信した無線信号に含まれる起点信号を再生し、前記同期検出手段49が、前記再生した起点信号の立上り点、立下り点、あるいはゼロ交差点のタイミングを検出し、前記同期発振手段46が、前記検出したタイミングで、起点信号と瞬時に同期を確立し、かつ同期を保持して、クロック信号を生成し、
【0058】
前記距離測定信号生成手段44が、前記クロック信号と同期しあるいは直交する距離測定信号を生成し、前記発信手段12が、少なくとも前記生成した距離測定信号を含む無線信号を、時分割の間隔で、かつ当該中継局に割当てられたタイムスロットで、時分割でかつバースト信号として、アンテナ15を介し、伝搬経路1a〜1iを経由して発信し、
【0059】
前記基準局が、少なくとも、受信手段13と、制御手段11と、アンテナ15とを有し、前記制御手段11が、少なくとも、起点信号再生手段50、同期検出手段49、同期発振手段46、距離測定信号生成手段47、距離測定信号再生手段44、位相測定手段43、位置特定手段42、もしくはこれらの組み合わせであり、前記受信手段13が、前記携帯端末103と中継局102a〜102gから発信された無線信号を、アンテナ15を介し、伝搬経路1a〜1iを経由して受信し、
【0060】
前記起点信号再生手段50が、前記携帯端末103から受信した無線信号に含まれる起点信号を再生し、前記距離信号再生手段44が、前記中継局102a〜102gから受信した無線信号に含まれる距離測定信号を再生し、前記同期検出手段49が、前記再生した起点信号の立上り点、立下り点、あるいはゼロ交差点のタイミングを検出し、前記同期発振手段46が、前記検出したタイミングで、起点信号と瞬時に同期を確立し、かつ同期を保持して、クロック信号を生成し、
【0061】
前記位相測定手段43が、前記クロック信号を基準として、距離測定信号の位相を測定し、前記位置特定手段42が、前記距離測定信号の位相の測定結果から、双曲線航法によって、携帯端末103の位置を特定する。
【0062】
なお、前記携帯端末から発信された無線信号が複数の基準局によって受信される場合に、前記複数の基準局の間をアドホックネットワークで接続し、前記複数の基準局が受信した無線信号の電力あるいは信号対雑音比のデータを相互に交換し、前記複数組の基準局の内から、位置特定に最適な基準局を選定し、もしくは複数の基準局を選定してタイムスロットを割当て、前記選定された基準局が、配下の複数の中継局に対し、前記携帯端末を指定して中継動作を指令することで、複数の基準局が同時に携帯端末からの位置特定要求に応答するのを回避することができる。
【0063】
図5は、本発明の広域位置特定システムで用いられる無線信号の構成図であり、61a〜61cはシステム同期信号、62a〜62cはMACレイヤ、63a〜63cは起点信号もしくは距離測定信号、64は基準局から発信される無線信号の時間軸、65は第1のタイムスロットを割当てられた中継局から発信される無線信号の時間軸、66は第2のタイムスロットを割当てられた中継局から発信される無線信号の時間軸である。
【0064】
前記システム同期信号61a〜61cは複数ビットのユニークワードであり、±100ナノ秒程度の精度で前記基準局と中継局、あるいは中継局と携帯端末との間の制御タイミングを合わせることができるが、この程度の精度で前記位相差を検出すると、距離の測定誤差が数十mと大きくなる問題点がある。
前記MACレイヤ62a〜62cは、少なくとも、符号長、識別番号、相手先番号、報知信号、誤り訂正符号、もしくはこれらの組合せから構成され、前記システム同期信号61a〜61cとセットになって生成される。
【0065】
最初、基準局から、システム同期信号61aと、MACレイヤ62aと起点信号63aとが発信され、引き続き時分割の間隔後に、第1のタイムスロットを割当てられた中継局からシステム同期信号61bと、MACレイヤ62bと第1の距離起点信号63bとが発信され、引き続きタイムスロット後に、第2のタイムスロットを割当てられた中継局からシステム同期信号61cと、MACレイヤ62cと第1の距離起点信号63cとが発信される。
【0066】
ここで、前記MACレイヤ62a〜62cの継続時間を各々0.5ms程度とし、前記起点信号もしくは距離測定信号63a〜63cの継続時間を各々0.5ms程度とすると、8タイムスロットを設けても、合計で8ms程度の継続時間となるので、基準発振器の周波数安定度を±0.5ppm程度にすると、同期度差は±4nsとなるので、高精度で同期を保持できる。
【0067】
図6は、本発明の広域位置特定システムのタイミングチャートであり、71aは基準局で生成される起点信号、71bは第1のタイムスロットに割付られた中継局で受信される起点信号、71cは第2のタイムスロットに割付られた中継局で受信される起点信号、72aは基準局から第1のタイムスロットに割付られた中継局に向けた伝搬経路、72bは基準局から第2のタイムスロットに割付られた中継局に向けた伝搬経路、72cは前記基準局から携帯端末に向けた伝搬経路、
【0068】
73aは時分割同時送受信の間隔77aを経過後第1のタイムスロットに割付られた中継局から発信される距離測定信号、73bは時分割同時送受信の間隔77aと第1のタイムスロット間隔77bを経過後第2のタイムスロットに割付られた中継局から発信される距離測定信号、74aは中継局102aから発信される距離測定信号が位置特定手段103に向けて無線回線を伝搬する経路、74bは中継局から発信される距離測定信号が携帯端末に向けて無線回線を伝搬する経路、75a、75bは携帯端末で受信された距離測定信号、
【0069】
76a、76bは前記携帯端末で再生された起点信号の位相と距離測定信号との位相差、81aは基準局から発信される起点信号の時間軸、81bは第1のタイムスロットに割付られた中継局102aで再生される起点信号の時間軸、81cは第2のタイムスロットに割付られた中継局で再生される起点信号の時間軸、82aは第1のタイムスロットに割付られた中継局から発信される距離測定信号の時間軸、82bは第2のタイムスロットに割付られた中継局から発信される距離測定信号の時間軸、83aは携帯端末で再生される起点信号の時間軸、83b、83cは中継局から受信し再生した距離測定信号の時間軸である。
【0070】
前記基準局から発信される起点信号71aをASin(2πf1t)とすると、前記起点信号71aが、距離L1(m)の伝搬経路72aを伝搬し、前記中継局によって受信され、起点信号71bとして再生されると、BSin{2πf1t+(2πL1(f1/C)}に位相が変化する。
前記再生された起点信号71bと、同期確立誤差がゼロで同期した距離測定信号73aを生成すると、生成された距離測定信号73aは、同じくBSin{2πf1t+(2πL1(f1/C)}で表される。
【0071】
前記時分割の間隔77a後に、前記生成された距離測定信号73aが、前記中継局から発信され、距離L2(m)の伝搬経路74aを伝搬し、前記携帯端末で再生される距離測定信号75aは、CSin{2πf1t+(L1+L2)(2πf1)/C)}で表わされる。ここで、Cは光の速度とする。
【0072】
一方、前記基準局から発信され、距離L3(m)の無線回線の伝搬経路72cを伝搬し、前記携帯端末で受信された起点信号71dは、CSin{2πf1t+(2πL3f1)/C)}で表わされるので、前記起点信号と同期したクロック信号を用いて、前記再生された位置特定信号75aの位相を測定すると、位相差76aが測定され、ΔΦ={4π(L1+l2−L3)(f1/C)}となることから、(L1+L2−L3)=CΔΦ/4πf1から、距離(L1+L2−L3)(m)が算出できる。
ここで、前記のL2(m)は固定値であり、前記携帯端末の内部情報として予めダウンロードされ記憶されているものとする。
【0073】
以上の説明では、前記中継局から発信される距離測定信号として、単一の周波数の距離測定信号を再発信する場合について説明したが、単一の周波数の距離測定信号を用いる場合、ΔΦの変化を0<ΔΦ<2πに制限する必要があることから、再生された起点信号71bに同期しあるいは直交し少なくとも周波数が異なる複数の距離測定信号を用いると、複数のレンジで位置を特定することが可能となり、特定したい位置にレンジを合わせることで、精密な位置の特定が可能となるメリットが得られる。
【0074】
また、前記中継局から発信する距離測定信号は、周波数分割多重方式で同時発信することができる。
また、前記中継局と位置特定手段のいずれか一方あるいは両方に、複数のアンテナあるいは送受波器を接続し、周期的に切替えながら方向測定信号を発受信して前記複数のアンテナあるいは送受波器に対応する位相差を測定することで、相互間の方向を測定することが可能となり、双曲線航法による位置の特定結果を補正しあるいは補完することによって、信頼性の高い高精度の広域位置特定システムを実現できる。
【0075】
また、前記無線信号として、超音波信号、高周波信号、もしくは光信号を用いることができる。なお、超音波信号もしくは光信号の場合には、アンテナの代わりに、送受波器を用いる。
また、超広帯域通信方式(ウルトラワイドバンド)を用いることで、高い周波数の変調信号あるいは高いチップレートの拡散符号を採用できるので、同期しあるいは直交する複数の変調信号あるいは拡散符号を割り当てることが可能となり、複数の測定レンジを設定できることから、30m以内の近距離での位置特定精度を向上させることができる。
【0076】
また、前記基準局101をノードとして、前記基準局と複数の中継局との間でネットワークを構成し、前記ネットワークを、周辺の基準局もしくは外部と、有線回線もしくは無線回線を介して接続し、少なくとも、前記携帯端末の位置を特定するために必要な情報の交換を行なうことができる。
また、前記無線信号の周波数として、GPSに割当てられた周波数、その近傍の周波数、法令に定められた周波数、もしくはこれらの組み合わせによる周波数を割当てることが出来れば、GPSへの妨害が少なくしかも屋内でも、前記位置特定手段の位置を高精度で特定することが可能となることから、GPSのシームレス化が実現できる。
【0077】
また、携帯端末をRFタグとして、コンテナあるいは流通貨物に添付し、通学中の児童に携帯させ、あるいは車両に搭載することでと、コンテナヤードでのコンテナの3次元の位置あるいは倉庫内の貨物の3次元の位置が自動的に検知できることになる。
また、携帯端末を児童が携帯し、複数の中継局を交差点の周辺などに設置し、位置特定手段を車両に搭載することで、交差点あるいは横断歩道での児童と車との出会い頭の衝突を防止するための装置に応用できる。