(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
長尺の被加工材を所定の搬送方向に連続的に搬送しながら所定長さに前記搬送方向と直交する幅方向に沿って切断して所定の寸法の枚葉に加工するフライングシャーカッタ装置であって、
上側の切刃、下側の固定刃及び前記切刃を前記固定刃に対して上下に移動させる上下移動機構を備える上下動切断装置と、
該上下動切断装置の前記上下移動機構を駆動する第1駆動源と、
前記上下動切断装置の前記固定刃側の下端部を回動可能に支持する基台と、
前記上下動切断装置に対向して前記基台に立設される取付部材と、
該取付部材の上端部に回転可能に取り付けられる前後カム、その一方の端部が前記前後カムに取り付けられ、その他端部が前記上下動切断装置の前記切刃側の上端部に揺動可能に取り付けられる前後アームとを備え、前記上下動切断装置を前記被加工材の搬送方向の前後に移動させる前後移動装置と、
該前後移動装置の前記前後カムを回転駆動する第2駆動源とを有し、
前記上下動切断装置は、さらに、基体と、該基体の下端部に設けられ、前記基台に回動可能に支承される支承部とを備え、
前記固定刃は、前記基体の中間部に固定され、
前記切刃は、前記上下移動機構を介して前記基体に支持され、
前記上下移動機構は、前記基体に設けられるものであり、前記基体の上端部に設けられ、前記切刃が下端に固定される固定部材と、該固定部材を両側から上下動摺動可能に支持する支持部材と、前記基体の、前記支承部の近傍に回転可能に支持され、前記第1駆動源によって回転駆動される上下カムと、一端が前記固定部材に取り付けられ、他端が前記上下カムに取り付けられる上下アームとを有し、
前記前後アームの前記他端部は、前記支持部材に取り付けられることを特徴とするフライング式枚葉加工装置。
さらに、前記上下動切断装置の搬送上流側に設けられ、前記上下動切断装置の前記切刃及び前記固定刃による切断位置又は前記打抜型刃及び前記打抜型受による打抜位置まで送るべき前記被加工材の搬送方向の長さを計測するメジャーリングロールと、
前記上下動切断装置の前記上下移動機構による前記切刃又は前記打抜型刃の上下動と、前記前後移動装置による前記上下動切断装置の前後揺動とを、前記メジャーリングロールの回転に同期させるように、前記上下移動機構及び前記前後移動装置を制御する制御部を備える請求項1または2に記載のフライング式枚葉加工装置。
前記制御部は、前記上下動切断装置の前記固定刃が最も高くなる位置が、前記上下移動機構の前記切刃による前記被加工材の前記切断位置又は前記打抜き位置となるように、前記前後移動装置による前記上下動切断装置の前後揺動位置を制御する請求項3に記載のフライング式枚葉加工装置。
さらに、前記メジャーリングロールと、前記上下動切断装置との間に設けられ、搬送される前記被加工材の裏面側に搬送下流側に向けて空気を吹き出す空気吹出装置を備え、
前記空気吹出装置は、吹き出した空気によって前記被加工材を前記搬送方向に搬送する請求項3〜5のいずれか1項に記載のフライング式枚葉加工装置。
【背景技術】
【0002】
印画紙、写真用紙、インクジェット用紙、コピー用紙等の各種の紙製品や、各種のフィルム、プラスターシートやパップ剤等の薬剤シート、銅箔等の金属箔などのロール状の巻回された長尺シートは、シート加工装置によって所定寸法の枚葉(カットシート)に切断され、若しくは打ち抜かれている。
【0003】
このような従来のシート加工装置は、回転スリッタ及びシャーカッタ(ギロチンカッタ)を備える枚葉切断装置を有し、ロール状に巻かれた長尺シートを自動的に送って、送り方向に平行に回転スリッタで切断し、送り方向と直交する幅方向に所定幅に切断された長尺シートを間欠的に送り、長尺シートの送りが停止している間に、送り方向である長手方向に対する幅方向に沿ってシャーカッタで切断している。即ち、長尺シートの長手方向の切断を幅方向に沿って行うシャーカッタは、長尺シートの送りを一旦停止して、その切刃(上刃)を固定刃(下刃)に対して上下方向に移動させて長尺シートを切断している。
なお、長尺シートの打抜装置も同様に、長尺シートの送りを一旦停止して、その上打抜型刃を下打抜型受に対して上下方向に移動させて長尺シートを打ち抜いている。
【0004】
これに対し、本出願人は、長尺シートの送りを一旦停止させることなく、長尺シートを連続的に送りながら、幅方向に沿って連続的に切断することができるフライングシャーカッタ装置(特許文献1参照)及び連続的に打ち抜くことができるフライング式連続打抜装置(特許文献2参照)を提案している。
特許文献1に開示のフライングシャーカッタ装置は、シャーカッタの上側の切刃を上下動させる駆動機構を介して固定すると共に、駆動機構が設けられた基台に対して送り方向(水平方向)に移動可能に載置されたスライドブロックに下側の固定刃を固定し、スライドブロックに送り方向の移動によって、上側の切刃及び下側の固定刃を、駆動機構の一部を含めて一体として、長尺シートの送りと同期させて送り方向に移動させながら、上側の切刃を上下動させることで切断するものである。
【0005】
また、特許文献2に開示のフライング式連続打抜装置も、上打抜型刃の取付台を下打抜型受に対して上下動可能にすると共に、上打抜型刃取付台と下打抜型受とを一体として水平方向(送り方向)に被打抜加工材の移動に同期して移動させることにより、連続的に移動する被打抜加工材を所定寸法の枚葉に連続的に打ち抜くものである。
上記の特許文献1に開示のフライングシャーカッタ装置及び特許文献2に開示のフライング式連続打抜装置は、上記従来のシート加工装置の枚葉切断装置や打抜装置のように、長尺シートを切断するために長尺シートを間欠的に送り、切断毎にその送りを一旦停止する必要がないので、長尺シートを連続的に送ることができ、従来のシート加工装置の枚葉切断装置や打抜装置に比べて効率良く切断や打ち抜きができるという特徴を有している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記の特許文献1に開示のフライングシャーカッタ装置、及び特許文献2に開示のフライング式連続打抜装置等のフライング式枚葉切断装置では、長尺シートを連続的に送りながら長尺シートを切断する事ができるものの、上側の切刃及び下側の固定刃や上打抜型刃取付台及び下打抜型受を、駆動機構の一部を含めて一体として、長尺シートの送りと同期させて水平方向(送り方向)に移動させる必要があるため、切断機構や打抜機構を備えた水平移動機構、即ちフライング機構の装置構成が大型となり、その結果、出力の大きいモータが必要である等の問題があった。
【0008】
また、これらの従来のフライング式枚葉切断装置では、装置構成が大型のフライング機構が送り方向に往復移動するため、大きな動荷重の振動が発生し、それに伴って大きな騒音(振動音)も発生するばかりか、寸法ずれなどの誤差も大きくなるために、生産性が上げられないという問題があった。
また、上記従来のフライング式枚葉切断装置では、設置当初や調整後の所定期間は、切断機構や打抜機構及びフライング機構も、正確かつ確実に動作できるものの、所定期間を過ぎるとずれや誤差を生じ、これが切断寸法や切断面の形状にずれや誤差を生じさせてしまうという問題があった。
【0009】
本発明の目的は、上記従来技術の問題点を解消し、切断機構や打抜機構のフライング機構の装置構成を簡略化でき、長期間に亘って、ロール状に巻回された長尺シート等の長尺のシート状被加工材を高い精度で所定寸法に切断することができ、切断の際に大きな振動や騒音を発生させることがなく、生産性も高くすることができるフライング式枚葉加工装置及びこれを用いるシート加工装置を提供することにある。
本発明の他の目的は、上記目的に加え、さらに、供給ロールによる等の長尺の被加工材の送り速度を自由に変更でき、切断速度や切断サイズの変更に対して、自由かつ簡単に対処できるフライング式枚葉加工装置及びこれを用いるシート加工装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明の第1の態様のフライング式枚葉加工装置は、長尺の被加工材を所定の搬送方向に連続的に搬送しながら所定長さに前記搬送方向と直交する幅方向に沿って切断して所定の寸法の枚葉に加工するフライングシャーカッタ装置であって、上側の切刃、下側の固定刃及び前記切刃を前記固定刃に対して上下に移動させる上下移動機構を備える上下動切断装置と、該上下動切断装置の前記上下移動機構を駆動する第1駆動源と、前記上下動切断装置の前記固定刃側の下端部を回動可能に支持する基台と、前記上下動切断装置に対向して前記基台に立設される取付部材と、該取付部材の上端部に回転可能に取り付けられる前後カム、その一方の端部が前記前後カムに取り付けられ、その他端部が前記上下動切断装置の前記切刃側の上端部に揺動可能に取り付けられる前後アームとを備え、前記上下動切断装置を前記被加工材の搬送方向の前後に移動させる前後移動装置と、該前後移動装置の前記前後カムを回転駆動する第2駆動源とを有
し、前記上下動切断装置は、さらに、基体と、該基体の下端部に設けられ、前記基台に回動可能に支承される支承部とを備え、前記固定刃は、前記基体の中間部に固定され、前記切刃は、前記上下移動機構を介して前記基体に支持され、前記上下移動機構は、前記基体に設けられるものであり、前記基体の上端部に設けられ、前記切刃が下端に固定される固定部材と、該固定部材を両側から上下動摺動可能に支持する支持部材と、前記基体の、前記支承部の近傍に回転可能に支持され、前記第1駆動源によって回転駆動される上下カムと、一端が前記固定部材に取り付けられ、他端が前記上下カムに取り付けられる上下アームとを有し、前記前後アームの前記他端部は、前記支持部材に取り付けられることを特徴とする。
【0011】
また、上記目的を達成するために、本発明の第2の態様のフライング式枚葉加工装置は、長尺の被加工材を所定の搬送方向に連続的に搬送しながらプレスして所定の寸法の枚葉に打ち抜き加工するフライングプレス装置であって、上側の打抜型刃、下側の打抜型受及び前記打抜型刃を前記打抜型受に対して上下に移動させる上下移動機構を備える上下動切断装置と、該上下動切断装置の前記上下移動機構を駆動する第1駆動源と、前記上下動切断装置の前記打抜型受側の下端部を回動可能に支持する基台と、前記上下動切断装置に対向して前記基台に立設される取付部材と、該取付部材の上端部に回転可能に取り付けられる前後カム、その一方の端部が前記前後カムに取り付けられ、その他端部が前記上下動切断装置の前記打抜型刃側の上端部に揺動可能に取り付けられる前後アームとを備え、前記上下動切断装置を前記被加工材の搬送方向の前後に揺動させる前後移動装置と、該前後移動装置の前記前後カムを回転駆動する第2駆動源とを有
し、前記上下動切断装置は、さらに、基体と、該基体の下端部に設けられ、前記基台に回動可能に支承される支承部とを備え、前記打抜型受は、前記基体の中間部に固定され、前記打抜型刃は、前記上下移動機構を介して前記基体に支持され、前記上下移動機構は、前記基体に設けられるものであり、前記基体の上端部に設けられ、前記打抜型刃が下端に固定される固定部材と、該固定部材を両側から上下動摺動可能に支持する支持部材と、前記基体の、前記支承部の近傍に回転可能に支持され、前記第1駆動源によって回転駆動される上下カムと、一端が前記固定部材に取り付けられ、他端が前記上下カムに取り付けられる上下アームとを有し、前記前後アームの前記他端部は、前記支持部材に取り付けられることを特徴とする。
【0013】
また、上記第1及び第2の態様のフライング式枚葉加工装置は、さらに
、前記上下動切断装置の搬送上流側に設けられ、前記上下動切断装置の前記切刃及び前記固定刃による切断位置又は前記打抜型刃及び前記打抜型受による打抜位置まで送るべき前記被加工材の搬送方向の長さを計測するメジャーリングロール
と、前記上下動切断装置の前記上下移動機構による前記切刃又は前記打抜型刃の上下動と、前記前後移動装置による前記上下動切断装置の前後揺動とを、前記メジャーリングロールの回転に同期させるように、前記上下移動機構及び前記前後移動装置を制御する制御部を備えるのが好ましい。
また、前記制御部は、前記上下動切断装置の前記固定刃が最も高くなる位置が、前記上下移動機構の前記切刃による前記被加工材の前記切断位置又は前記打抜き位置となるように、前記前後移動装置による前記上下動切断装置の前後揺動位置を制御するのが好ましい。
また、前記制御部は、前記メジャーリングロールに取り付けられたエンコーダによって計測された回転量に応じて前記上下移動機構及び前記前後移動装置を制御するのが好ましい。
【0014】
また、さらに、前記メジャーリングロールと、前記上下動切断装置との間に設けられ、搬送される前記被加工材の裏面側に搬送下流側に向けて空気を吹き出す空気吹出装置を備え、前記空気吹出装置は、吹き出した空気によって前記被加工材を前記搬送方向に搬送するのが好ましい。
また、さらに、前記上下動切断装置の前記切刃及び前記固定刃、又は前記打抜型刃及び前記打抜型受を冷却する冷風を吹き出す刃物冷却装置を備えるのが好ましい。
また、前記空気吹出装置又は前記刃物冷却装置は、前記被加工材への静電気の帯電を防止するイオンを含む空気または冷風を吹き出すのが好ましい。
【0015】
また、上記目的を達成するために、本発明の第3の態様のシート加工装置は、原反供給装置と、該原反供給装置から供給されるロール状の長尺の被加工材を所定寸法の枚葉に切断もしくは打ち抜く、第1又は第2の態様のフライング式枚葉加工装置と、該フライング式枚葉加工装置で切断加工もしくは打抜加工された枚葉を集積する枚葉集積装置とを有することを特徴とする。
ここで、上記第3の態様のシート加工装置は、さらに、前記被加工材に対し、その幅方向のカットを前記搬送方向に平行に行う回転スリッタを有し、その長手方向のカットを行う前記フライング式枚葉加工装置が下流側に、前記回転スリッタが上流側に配置されているのが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
以上の本発明の各態様によれば、切断機構や打抜機構のフライング機構の装置構成を簡略化でき、長期間に亘って、ロール状に巻回された長尺シート等の長尺のシート状被加工材を高い精度で所定寸法に切断することができ、切断の際に大きな振動や騒音を発生させることがなく、生産性も高くすることができる。
また、本発明の各態様によれば、上記効果に加え、さらに、供給ロールによる長尺の被加工材の送り速度を自由に変更でき、切断速度や切断サイズの変更に対して、自由かつ簡単に対処できる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明に係るフライング式枚葉加工装置を用いるシート加工装置を添付の図面に示す好適実施形態に基づいて以下に詳細に説明する。
なお、以下では、印画紙、写真用紙、インクジェット用紙、コピー用紙等の各種の紙製品、各種のフィルム、プラスターシートやパップ剤等の薬剤シート、銅箔等の金属箔などのロール状に巻回された長尺の被加工材である長尺シートを所定寸法の枚葉に切断する回転スリッタ及びフライングシャーカッタを備える枚葉切断装置を有するシート加工装置を代表例として説明するが、本発明がこれに限定されないことは言うまでもない。例えば、本発明のフライング式枚葉加工装置として、長尺の被加工材を所定の搬送方向に連続的に搬送しながら所定長さに前記搬送方向と直交する幅方向に沿って切断して所定の寸法の枚葉に加工するフライングシャーカッタ装置であっても良いし、長尺の被加工材を所定の搬送方向に連続的に搬送しながらプレスして所定の寸法の枚葉に打ち抜き加工するフライングプレス装置であっても良い。
【0019】
ここで、
図1及び
図2は、それぞれ、本発明のシート加工装置の一実施形態の全体を示す正面図及び上面図である。また、
図3は、
図1及び
図2に示すシート加工装置の原反供給装置の搬送ロール装置及びダンサーロール装置を示す正面図であり、
図4は、
図1及び
図2に示すシート加工装置の枚葉切断装置の正面図であり、
図5は、
図4に示す枚葉切断装置のフライングシャーカッタ装置の詳細を示す側面図である。また、
図6は、
図4に示す枚葉切断装置の模式的構成図である。
【0020】
図1及び
図2に示す本発明の一実施形態である長尺シートのシート加工装置10は、
図1及び
図2の左側の上流側から右側の下流側に向かって、ロール状の長尺シートを送ることによって幅方向(送り方向の直交方向)及び長手方向(送り方向)の切断加工が行われるもので、上流から順に、原反供給装置12、フライング式枚葉加工装置である枚葉切断装置(単に、切断装置ともいう)14及び製品集積装置16に分けられる。
【0021】
原反供給装置12は、
図1に示すように、原反となるロール状に巻かれた長尺シートWを保持するとともに、このロール状に巻かれた長尺シートWを巻き出して供給する巻き出し装置18、この巻き出し装置18から巻き出された長尺シートWのテンションを検出するテンション検出装置20、巻き出し装置18から巻き出された長尺シートWの巻き癖を除去する巻き癖除去装置22、巻き出された長尺シートWを保持して切断装置14に供給する搬送ロール装置24及び切断装置14に供給するための長尺シートWに所定のテンションを付与するダンサーロール装置26から構成されている。
【0022】
また、切断装置14は、
図1に示すように、長尺シートWを所定の幅で幅方向に切断する回転スリッタ装置28、幅方向に切断された長尺シートWを供給する供給ロール装置30、供給ロール装置30によって供給される長尺シートWの送り量を検出するメジャーリングロール装置(以下、単にメジャーロール装置ともいう)32、及び、幅方向に切断された長尺シートWを連続搬送しながら所定の長さで長手方向に切断するフライングシャーカッタ装置(以下、単にシャーカッタ装置ともいう)34とから構成されており、製品集積装置16は、搬送コンベア装置36と製品ストック装置38とから構成されている。
【0023】
巻き出し装置18は、前述したように、原反となるロール状に巻かれた長尺シートWを保持するとともに、このロール状に巻かれた長尺シートWを巻き出して供給するものであって、原反となるロール状に巻かれた長尺シートWの巻き芯を1対の保持アーム44で保持するとともに、この保持アーム44を開閉することによってロール状の長尺シートWを交換可能とするものである。そして、この保持アーム44は、ロール状の長尺シートWの外形寸法に応じて保持アーム44の高さや間隔、ロール状に巻かれた長尺シートWの巻き出し位置等が調整可能となっている。
【0024】
巻き出し装置18に保持された長尺シートWは、搬送ロール装置24によって引き出されるが、保持アーム44に設けられたブレーキによって、たとえば5〜10kg程度のテンションを付与して巻き出されるようにコントロールされる。このテンションのコントロールは、テンション検出装置20によって長尺シートWのテンションを検出し、この検出されたテンションに応じて保持アーム44に設けられたブレーキの強さを制御することによって、長尺シートWが常時ほぼ一定のテンションで巻き出されるように調整される。
【0025】
ここで、本実施形態では、テンション検出装置20の中央の検出ロール46の支持台48にロードセル(図示しない)を配置し、このロードセルによって長尺シートWに付与されたテンションを検出するものであり、ロードセルにかかる負荷を検出して保持アーム44のブレーキにフィードバックし、ブレーキの強さを制御する。この保持アーム44に設けられたブレーキとしては、ブレーキの強さを任意に制御することができるパウダーブレーキを使用することが望ましい。
【0026】
巻き癖除去装置22は、巻き出し装置18から巻き出されたロール状の長尺シートWの巻き癖を除去するものであって、直径12mm程度のデカーラ50(小径のプーリ)によって、ロール状に巻かれていたことによって巻き癖がついてカールしている長尺シートWを反対向きに小さな曲率半径で曲げて巻き癖を除去するものである。この巻き癖除去装置22は、巻き出し装置18に保持されるロール状の長尺シートWの向きに応じてどちら側の巻き癖でも除去することができるように、デカーラ50の位置が長尺シートWの搬送面に対して上下に移動可能となっており、図示されない調整ねじ等によってデカーラ50の位置が調整されて固定されている。
【0027】
搬送ロール装置24は、巻き出し装置18から巻き出された長尺シートWを保持して駆動し、切断装置14に供給するものであって、
図3により詳細に示されるように、上下1対のニップローラ56、58を有している。そして、上側のローラ56は油圧または空圧のシリンダ60で下側のローラ58に押圧されている。下側のローラ58は下方に配置された減速機付きの駆動モータ62で長尺シートWを送る方向に駆動されている。
【0028】
この上側のローラ56と下側のローラ58とは、長尺シートWを保持して巻き出し装置18から巻き出すとともに、長尺シートWを所定の速度で送るものであって、下側のローラ58が送り速度の基準となる駆動側となるので、耐磨耗性の高い焼入れ鋼や特殊鋼を研磨して仕上げてあることが望ましく、上側のローラ56は、挟持して搬送する長尺シートWに滑りが発生しないように下側のローラ58に押圧するものなので、ゴムなどの摩擦係数が高い材料とすることが望ましい。そして、このように構成することによって、巻き出し装置18から巻き出された長尺シートWのテンションに変動が生じても、滑りの発生を最小限に抑えて、下流の切断装置14にその影響を与えないようにすることができる。
【0029】
ダンサーロール装置26は、搬送ロール装置24から切断装置14に送られる長尺シートWに所定のテンションを付与するものであって、長尺シートWは、2個のアイドルローラ64と、2本の支持ロッド66で上下動可能に支持されているスライドブロック68に配置されたテンションローラ70との間に巻回されている。テンションローラ70は、左側に配置された1対のプーリ72、74に巻回されたチェーン76に連結されており、このチェーン76には重錘78が設けられている。
【0030】
したがって、2個のアイドルローラ64とテンションローラ70に巻回された長尺シートWは、支持ロッド66で支持されたスライドブロック68と重錘78との重さの差で下方に付勢されることになり、この荷重のほぼ1/2が長尺シートWに付与されるテンションとなって、テンションローラ70の上下方向の位置に関係なく一定の荷重となる。
【0031】
本実施形態のシート加工装置10は、このように構成されているので、例えば、巻き出し装置18から巻き出すときの5〜10kgであって、ロールの径などによって変動するテンションは搬送ロール装置24で遮断され、切断装置14に伝えられるテンションは、このダンサーロール装置26で付与される適正なテンション(例えば2〜3kg)となるので、長尺シートWを巻き出し装置18から安定して巻き出すために必要な5〜10kg程度の高いテンションによって生じていたロールの回転むらやスリップがなすことができ、切断装置14で切断する長尺シートの精度のバラツキを±0.1〜0.3mm程度に向上させることができる。
【0032】
テンションローラ70の位置は、上流側の搬送ロール装置24と下流側の供給ロール装置30との送り速度に差が生じると、当然のことながら、上方または下方に移動する。このため、1対のプーリ72、74の一方にプーリの回転方向の位置を検出する検出装置(図示しない)を設け、あるいはスライドブロック68に上下方向の位置を検出する検出装置(図示しない)を設けることによって、搬送ロール装置24と供給ロール装置30との送り速度の差を検出することができるので、この検出信号で搬送ロール装置24と供給ロール装置30の少なくとも一方の回転数を制御することによって、完全に同期した送り速度で長尺シートWを送ることができる。
【0033】
切断装置14は、原反供給装置12の下流側に配置され、上流側から下流側に向かって、原反供給装置12のダンサーロール装置26で所定のテンションが付与された長尺シートWを幅方向に複数列に切断する回転スリッタ装置28と、回転スリッタ装置28で幅方向に複数列に切断された長尺シートWを送り込む供給ロール装置30と、供給ロール装置30によって送り込まれる長尺シートWの送り量(送り長さ)を計測するメジャーロール装置32と、供給ロール装置30によってメジャーロール装置32で計測された所定送り量だけ送り込まれた長尺シートWを連続搬送しながら切断するシャーカッタ装置34とを有する。
【0034】
回転スリッタ装置28は、
図4に示すように、長尺シートWの上側に配置された回転スリッタ80と、下側に配置されたバックアップローラ82とを有しており、回転スリッタ80の回転刃84で長尺シートWを所定の幅で幅方向に切断する。この回転スリッタ80の回転刃84は、V字状の鋭利な切刃を有しており、この回転刃84の切刃を長尺シートWの上側から、長尺シートWの下側に配置されたバックアップローラ82に向かって押圧することによって長尺シートWを切断するものであって、後述する供給ロール装置30による長尺シートWの移動によって、長尺シートWを切断するとともに回転スリッタ80の回転刃84が回転する。
【0035】
回転スリッタ80は、油圧または空圧のシリンダ86で上下方向に移動する横梁88にクランプ(図示せず)で固定されており、長尺シートWの幅方向の寸法と同じ間隔で配置された多数の回転スリッタ80によって長尺シートWを幅方向に切断する。ここで、回転スリッタ80は、長尺シートWの幅方向の寸法と同じ間隔で配置された回転スリッタ80の取付位置の微調整を行う調整歯車やシリンダ86で回転スリッタ80が下降して長尺シートWを切断する際の回転刃84の切り込み深さを調整するための調整ねじなどを備えているのが良い。
【0036】
回転スリッタ80の回転刃84を支持する下側のバックアップローラ82は、回転刃84の切刃が喰い込んでも傷がついたり磨耗したりすることの少ないゴムや軟質のプラスチック等の材質であって、詳細は後述するように、供給ロール装置30による長尺シートWの移動と同期して回転する。
【0037】
供給ロール装置30は、回転スリッタ装置28で幅方向に切断された長尺シートWをシャーカッタ装置34に供給するものであって、上下1対のニップロール102、104を有しており、上側のロール102は、油圧または空圧のシリンダ106で下側のロール104に押圧されている。そして、下側のロール104は、図示例ではACサーボモータ108によって、間欠的に回転駆動されるとともに、この供給ロール装置30で送られる長尺シートWの送り速度と前述した回転スリッタ装置28のバックアップローラ82における長尺シートWの送り量との間に送り量の誤差が生じないように、チェーン110で連動して長尺シートWの送り量が一致するように構成されている。
【0038】
メジャーロール装置32は、長尺シートWの送り量(定速搬送の場合は送り速度)を検出するものであって、長尺シートWの移動によって回転する上下1対のニップロール96、98を有しており、上側のロール96は、油圧または空圧のシリンダ100で下側のロール98に押圧されている。この1対のニップロール96、98のいずれか一方にエンコーダ152(
図6参照)等の回転検出機構を配置して、長尺シートWの移動によるニップロール96、98の回転によって長尺シートWの送り量を検出する。そして、この回転検出機構で検出した長尺シートWの送り量の所定のタイミングで後述するシャーカッタ装置34を作動して長尺シートWを長手方向に切断して、カットシート(枚葉)とする。
なお、上ニップロール96は、ゴムライニングロールとしても良い。また、製品の種類により、螺旋を切っても良いし、ストレートとしても良い。
【0039】
図4に示すフライングシャーカッタ装置34は、長尺シートWを連続搬送しながら、幅方向に切断された長尺シートWを所定の長さで、即ち所定送り量の長尺シートWを長手方向に切断するものである。
図5に、
図4に示すシャーカッタ装置34の詳細を示す側面模式図である。
なお、このシャーカッタ装置34は、原反となる長尺シートWの幅より長いカッタで切断するものであり、図示しないが、全体の幅は非常に広くなる。
図5に示すシャーカッタ装置34は、上刃(切刃)114と下刃(固定刃)116とからなるシャーカッタ112と、上刃114を下刃116に対して上下動させる上下移動機構118と、上下移動機構118を駆動する上下駆動源120と、上下駆動源120が設置される基台122と、基台122に回動可能に支承される支承部124aが下端部に設けられ、下刃116が固定され、上下移動機構118が取り付けられ、上刃114が上下移動機構118を介して支持される基体124と、基体124に対向して基台122に立設される取付部材126と、と、取付部材126に取り付けられ、上下移動機構118の上端部を長尺シートWの搬送方向の前後に移動、即ち揺動させる前後移動装置128と、前後移動装置128を駆動する前後駆動源130とを有する。
【0040】
上下移動機構118は、基体124に設けられ、シャーカッタ112の上刃114を下刃116に対して上下動させて、長尺シートWを所定長さに切断するもので、基体124の上端部に設けられ、上刃114が下端に固定される固定部材132と、固定部材132を両側から上下動摺動可能に支持する支持部材134と、基体124の支承部124aの近傍に回転可能に支持され、上下駆動源120によって回転駆動される上下移動偏心カム(以下、上下カムともいう)136と、一端が固定部材132に取り付けられ、他端が上下カム136に取り付けられる上下アーム138とを備える。
前後移動装置128は、取付部材126に設けられ、シャーカッタ112を長尺シートWの搬送に同期させてその搬送方向の前後に揺動させる、具体的には、シャーカッタ112を長尺シートWの搬送に同期させてその搬送方向に移動させながら、シャーカッタ112によって長尺シートWを所定長さに切断させ、次いで、シャーカッタ112を長尺シートWの次の切断位置まで搬送方向と逆方向に移動させるもので、取付部材126の上端部に回転可能に取り付けられる前後移動偏心カム(以下、前後カムともいう)140と、その一方の端部が前後カム140に取り付けられ、その他端部が上下移動機構118の支持部材134の上端部に揺動可能に取り付けられる前後アーム142とを備える。
【0041】
図5に示すシャーカッタ装置34をメジャーロール装置32で計測される、供給ロール装置30による長尺シートWの所定の送り量に同期して動作させる機構は、供給ロール装置30によって長尺シートWがシャーカッタ112の上刃114と下刃116との間に所定の送り量だけ送られるのに合わせて、前後駆動源130、例えば、ACサーボモータを作動して前後移動装置128の前後移動偏心カム140を回転駆動し、前後アーム142を介してシャーカッタ112を送り方向に回動させ、シャーカッタ112の下刃116が所定位置、例えば、最も高い位置に来た時点で、上下駆動源120、例えばACサーボモータをオンすることにより駆動される上下移動機構118の上下移動偏心カム136によって、固定されたシャーカッタ112の下刃116に対してシャーカッタ112の上刃114を、長尺シートWの上側から下方向に移動(下降)させて、長尺シートWを所定寸法に切断し、切断後、上方向に移動(上昇)させて、元の位置に復帰させると共に、長尺シートWを固定刃116に載せたまま、シャーカッタ112を、前後移動装置128の前後移動偏心カム140によって、切断位置に送り方向に移動させ、切断された枚葉シートWを下流のコンベア装置36に引き渡した後、送り方向と逆方向に移動させて、元の位置に復帰させるものである。
【0042】
即ち、前述したメジャーロール装置32の回転検出機構(エンコーダ)で検出された長尺シートWの送り量に合わせて、前後移動装置128の前後カム140によってシャーカッタ112を送り方向に回動させて、長尺シートWの送り量が所定の送り量となったタイミングで、シャーカッタ112の下刃116が所定の位置に位置すると共に、シャーカッタ装置34の上下移動機構118の作動信号が送出され、この作動信号によって上下駆動源120が作動して上下カム136が1回転して停止する。即ち、上下カム136の1回転に応じて、シャーカッタ112の上刃114が下刃116に対して下降して上刃114と下刃116との間の長尺シートWを切断し、その後上昇して下刃116から離間する元の位置に停止する。
したがって、上下移動機構118の上下カム136は、長尺シートWの送り量が所定の送り量となったタイミングで、1回転してシャーカッタ112の上刃114を1往復させて長尺シートWの切断動作を行わせるのに対し、前後移動装置128の前後カム140は、シャーカッタ112の先の切断動作タイミングと次の切断動作タイミングとの間に1回転して、固定刃116を長尺シートWの連続搬送に同期して移動させ、連続搬送される長尺シートWを伸縮させたり、停止させたり、スリップさせたりするのを防止している。
【0043】
なお、シャーカッタ112の上刃114は、上下移動機構118の固定部材132に固定され、固定部材132は、支持部材134に上下動可能に支持されるが、その際の摺動抵抗を減らすために、支持部材134に小ボール134aを埋め込み固定部材132と支持部材134との間に複数の小ボール134aを介在させるようにしても良い。
また、下刃116は、L字状の下刃取付台144に取り付けられ、下刃取付台144が基体124に固定されることにより、基体124に固定される。なお、図示例では、下刃取付台144の凹部144aは、コンベア取付台としても機能する。また、下刃取付台144は、基体124への取付位置を調整ネジ(図示せず)で調整することができ、シャーカッタ112の上刃114と下刃116とのクリアランス(最大隙間)を調整できるようなっている。
【0044】
本発明では、毎分1〜2000回の切断ができる機構であり、刃物(上刃114、下刃116)のショット回数が多いので、刃物間(上刃114と下刃116との間)のクリアランスの調整及び刃物(上刃114、下刃116)の冷却をするのが好ましい。
このため、シャーカッタ112の上刃114及び下刃116の各先端側には、それぞれ、刃物を冷却するための冷却風吹出口146及び148が設けられており、図示しない刃物冷却装置からの冷却風を吹出口146及び148から上刃114及び下刃116に吹き付けることにより、上刃114及び下刃116の過熱を防止し、切れ味の劣化を防止している。また、同時に、イオン風等の静電気空気吹き込みを行い、静電冷却を行うのも好ましい。
【0045】
図6は、本発明の長尺シートのシート加工装置10の切断装置14の供給ロール装置30、メジャーロール装置32及びシャーカッタ装置34の動作系を模式的に示す構成図である。
図6に示すように、1対のニップロール102、104からなる供給ロール装置30の下側のニップロール104がACサーボモータ108によって回転駆動されると、長尺シートWは、図中右方向に搬送される。この時、1対のニップロール96,98からなるメジャーロール装置32の下側のニップロールに取り付けられたエンコーダ152によって、供給ロール装置30の1対のニップロール102、104によって搬送される長尺シートWの搬送量、すなわち、シャーカッタ装置34のシャーカッタ112への長尺シートWの送り量が検出される。
【0046】
この時、エンコーダ152によって検出された長尺シートWの搬送量、すなわち、送り量(検出信号)は、制御装置154に伝送される。制御装置154は、供給ロール装置30のACサーボモータ108、シャーカッタ装置34の上下移動機構118の上下駆動源120及び前後移動装置128の前後駆動源130にも接続されており、エンコーダ152からの検出信号によって、供給ロール装置30のACサーボモータ108、シャーカッタ装置34の上下移動機構118の上下駆動源120及び前後移動装置128の前後駆動源130を制御する。
すなわち、制御装置154は、エンコーダ152によって検出された長尺シートWの搬送量、すなわち、送り量(検出信号)を受け取り、ACサーボモータ108の回転制御を行い、供給ロール装置30による長尺シートWの搬送速度や搬送量(送り量)を制御すると共に、前後駆動源(ACサーボモータ)130の回転制御を行い、前後移動装置128によるシャーカッタ112の前後移動(送り方向の移動及びその逆方向の移動)の速度や移動量(揺動量)を制御する。
【0047】
ここで、制御装置154は、エンコーダ152からの検出信号(長尺シートWの送り量(搬送量)が所定の送り量となった時点で、シャーカッタ装置34の上下駆動源(ACサーボモータ)120に動作信号を送り、上下駆動源120をオンして、回転駆動を開始させ、正確に1回転させて、上下カム136を介してシャーカッタ112の上刃114下上動させて1往復させ、所定送り長さの長尺シートWを正確に切断して、上下駆動源120をオフして停止させる。
この時、制御装置154は、シャーカッタ装置34の上下駆動源120をオフさせるが、供給ロール装置30のACサーボモータ108を、長尺シートWが一定速度で連続搬送されるように定速制御し、前後移動装置128の前後駆動源130を、シャーカッタ112(の下刃116)が長尺シートWの連続搬送に同期して搬送方向(前方向)移動されるように前後カム140を連続的に回転させる制御を行う。
このように、供給ロール装置30による長尺シートWの搬送動作と、シャーカッタ装置34の前後移動装置128のシャーカッタ112(の下刃116)の前後移動(特に、前方向の移動)動作及び上下移動機構118による長尺シートWの切断動作とは、それぞれ、メジャーロール装置32のエンコーダ152の検出信号に基づいて制御装置154によって制御されるACサーボモータ108と、前後駆動源130及び上下駆動源120によって制御される。
【0048】
上述したように、本発明においては、シャーカッタ装置34のシャーカッタ112の上刃114を上下1往復させるための上下カム136の1回転の駆動を、この上下カム136を直接駆動する上下駆動源120を正確に1回転させることによって実現している。上下駆動源120では、電気的にオンオフすることにより、容易に正確に1回転させることができる。また、上下駆動源120は、その回転駆動の制御を電気的なオンオフによって行い、それによって上下カム136の回転・停止を制御するものであるので、従来の切断装置に比べ、長期間に亘って、ロール状に巻回された長尺シートを十分な精度で所定寸法に切断することができ、また、振動や騒音の発生がない。
【0049】
また、供給ロール装置30の回転駆動をACサーボモータ108で行う場合、供給ロール装置30の一対のニップロール102,104の回転を正確かつ確実に連続して行うことができるので、長尺シートWの連続搬送を正確かつ確実に一定速度で行うことができる。また、このように連続搬送される長尺シートWに同期して、長尺シートWが載置されるシャーカッタ112の下刃116を送り方向に移動させることができるので、シャーカッタ装置34の上下移動機構118の切断動作の際に、長尺シートWを停止させる必要が無いので、生産性を高くすることができる。
さらに、供給ロール装置30による長尺シートWの搬送速度(送り速度)や搬送量(送り量)を、自由に変更できる。このため、シャーカッタ装置34の上下駆動源120によって、シャーカッタ装置34の切断動作、すなわちシャーカッタ112の上刃114を上下動の速度やタイミングやサイクル速度が変った場合であっても、自由かつ簡単に追随して、長尺シートWの搬送速度(送り速度)や搬送量(送り量)を変更できる。
従って、この場合には、供給ロール装置30による長尺シートWの送り速度を自由に変更でき、切断速度や切断サイズの変更に対して、自由かつ簡単に対処できる。
【0050】
なお、供給ロール装置30のACサーボモータ108、シャーカッタ装置34の上下移動機構118の上下駆動源120及び前後移動装置128の前後駆動源130等の駆動源としては、ACサーボモータ及び減速機(例えば、1/2等)の組み合せ、ACサーボモータダイレクト方式(直結方式)等が好ましく、上下移動機構118や前後移動装置128としては、カム方式、エアーシリンダ方式、油圧シリンダ方式等を用いても良い。
本発明においては、シャーカッタ装置34の本体(基体124)をその支点(支承部124a)により揺動させるので、揺動速度(送り方向への移動速度)を挙げても、振動や騒音等が発生しないので、長尺シートWの送り速度を挙げ、生産性を上げることができる。
【0051】
なお、
図7及び
図8に示すように、メジャーロール装置32の一対のニップロール96、98と、シャーカッタ装置34のシャーカッタ112の下刃116との間には、エア(空気)吹出装置(図示せず)からの空気を挿入する空気挿入口156を設けておき、シャーカッタ112の下刃116に向け、空気を吹き出すようにするのが好ましい。
ここで、シャーカッタ装置34の下刃取付台144の長尺シートWの搬送路には、メジャーロール装置32の長尺シートWの搬送路に沿って、櫛歯状部材150を取付部材126に取り付けておくのが好ましい。このように、長尺シートWの搬送路を櫛歯状部材150で形成することにより、空気挿入口156から装入された空気を櫛歯状部材150やシャーカッタ112の下刃取付台144や下刃116と、その上を連続搬送される長尺シートWとの間に空気を流すことができるので、長尺シートWを抵抗なく、流れの方向、即ち長尺シートWの送り方向に送ることができる。
なお、空気吹出装置から吹き出す空気をイオン風として、長尺シートWと搬送路を構成する部材との間に生じる静電気を除去するようにしても良い。
【0052】
シャーカッタ装置34の下流側には、搬送コンベア装置36(
図1及び
図2参照)が近接して配置され、シャーカッタ装置34によって切断されたカットシートWを直ちに受け取り、下流側の製品ストック装置38に搬送する。シャーカッタ装置34のシャーカッタ112と、搬送コンベア装置36の上流側の端部との距離を、最小カットシート長さより十分短くすることによって、カットシートWのカールなどによって、シャーカッタ装置34の切断刃114及び116から搬送コンベア装置36への乗り移りに失敗するなどの事故を完全に防止することができる。
搬送コンベア装置36は、下流側にあるので、搬送コンベア装置36の上面は、下刃116の上面より低い位置に配置されている。特に、下刃116の上面と下流側の搬送コンベア装置36の上面との高さの差は、下刃116とコンベア装置36とが干渉することなく、切断された長尺シートWをスムーズに受け渡しするために必要なものであり、例えば、約20mmに設定されている。搬送コンベア装置36のその他の構成は、従来技術とほぼ同様なので、ここでは説明を省略する。
【0053】
なお、本発明においては、シャーカッタ装置34の送り方向に配置される搬送コンベア装置36は、前後移動装置128によってシャーカッタ112、特に下刃116が送り方向の前後に移動するので、乗り移りを確実にするために、シャーカッタ112の送り方向の前後の移動に合わせて一端が伸縮する伸縮コンベアとするのが好ましい。
搬送コンベア装置36の上方には、搬送される長尺シートWの浮き上がりを防止するために、任意の数の押さえローラ158が設けられている。この押さえローラ158は、取付軸に取り付けられており、整列して搬送される長尺シートWが、風などの外乱によって乱れるのを防止するために、自重または軽い付勢力で上から押さえるものである。
【0054】
製品ストック装置42は、搬送コンベア装置40で整列して搬送された長尺シートWを受け取って、載置台に積み重ねてストックするものであり、ストッパー機構や長尺シートWの厚さに応じて上下する載置台の上下機構等を有しているが、いずれも、従来技術とほぼ同様の機構を採用しているので、ここでは詳細な説明は省略する。
【0055】
なお、上述の例では、供給ロール装置30及びシャーカッタ装置34の上下駆動源120及び前後駆動源130としてACサーボモータを用いているが、本発明はこれには限定されず、サーボモータであればよく、例えばDCサーボモータ等を用いてもよい。
また、供給ロール装置30の駆動源としては、長尺シートの連続搬送ができれば、サーボモータ以外のモータを用いてもよい。
本発明のシート加工装置で切断されるシートとしては、普通紙や各種のコーティング紙、プラスチックフィルム、プラスチックシート、布地、不織布、金属箔や、これらの多層体、さらに、これらに薬剤や接着剤等を塗布したものなど、各種のシート状被加工物が例示される。
【0056】
本発明では、シャーカッタの間欠運動の切断方式を連続的に切断し、且つ、1分間の切断能力を1〜000回、更には2000回切断できる。また、切口も、上下運動により直角に切断でき、駆動源のACサーボ制御又はシーケンサによる制御により、製品の流れをメージャーリングロールのエンコーダの検出パルスのスピードに同調させ、流れの方向の直角度を正確に切断できる。また、パップ剤等の伸縮する材料も、伸びることなく、縮むことなく、寸法精度±0.1〜0.3mmで切断できる。また、ノンストップ切断により、インライン方式昼夜連続運転装置や、巻出装置付き装置等のどのような切断装置にも適用できるし、どのような切断装置にも代用できる。さらに、切断精度も高いので、大切りして、小切りして、寸法を揃える必要が無いので、非常に手間がかからず、コスト削減が可能であり、製品をストックするスペースも不要であり、素早い出荷が可能である。
【0057】
上述した例では、長尺シートWを所定寸法のカットシートWに切断するフライングシャーカッタ装置34を代表例として説明したが、本発明はこれに限定されず、シャーカッタ装置34の切断刃(上刃114及び下刃116)をパンチとダイスにかえることによって、打ち抜き装置に採用することもできる。例えば、フライングシャーカッタ装置34のシャーカッタ112の上刃114及び下刃116の代わりに、
図9に示すような、上打抜型刃アタッチメント158及び下打抜型受アタッチメント160を用いて、フライングプレス装置として構成しても良い。上打抜型刃アタッチメント158及び下打抜型受アタッチメント160は、取付部158a及び160aをそれぞれの取付孔に取り付ければよい。
なお、プレス等に用いられる刃物としては、トムソン刃、スエーデン鋼ダイセット金型等を挙げることができる。
【0058】
以上、本発明に係るフライング式枚葉加工装置及びこれを用いるシート加工装置について、種々の実施例を挙げて詳細に説明したが、本発明は上記種々の実施例に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更をしてもよいのはもちろんである。