(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5696340
(24)【登録日】2015年2月20日
(45)【発行日】2015年4月8日
(54)【発明の名称】シートシャッターの駆動装置
(51)【国際特許分類】
E06B 9/13 20060101AFI20150319BHJP
E06B 9/72 20060101ALI20150319BHJP
E05F 15/603 20150101ALI20150319BHJP
【FI】
E06B9/13 A
E06B9/72
E05F15/10
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2010-226589(P2010-226589)
(22)【出願日】2010年10月6日
(65)【公開番号】特開2012-77584(P2012-77584A)
(43)【公開日】2012年4月19日
【審査請求日】2013年9月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000107147
【氏名又は名称】日本電産シンポ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111866
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 秀明
(72)【発明者】
【氏名】坪根 太平
【審査官】
家田 政明
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭54−052319(JP,U)
【文献】
特開2005−240416(JP,A)
【文献】
特開2001−140564(JP,A)
【文献】
特開2002−181139(JP,A)
【文献】
特開2003−278849(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 9/00−9/92
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートと、
前記シートが巻かれる筒状のドラムと、
前記ドラムの中心線に直交するように配置され周縁部が前記ドラムの内壁に支持される板状の支持部材と、
前記ドラムを収容し、前記シートの出し入れが可能なシャッターケースと、
を備えたシートシャッターの駆動装置であって、
前記ドラムの一端に先端側から挿入される本体部と、
前記本体部と一体に設けられ、前記シャッターケースに取り付けられる基部と、を有し、
前記本体部には、モータ部と、前記モータ部の回転を制動制御するブレーキ部と、前記本体部の先端部分に配置され、前記モータ部の回転を減速して出力する減速部と、が収容され、
前記モータ部は、太陽ギアが設けられた駆動軸を有し、
前記減速部は、前記太陽ギアと噛み合う複数の遊星ギアと、前記複数の遊星ギアの外周に回転不能に配置され、前記遊星ギアと噛み合う内歯ギアと、ピンを介して前記遊星ギアを自転自在に支持するとともに前記太陽ギアの周りに公転自在に支持するキャリアと、を有し、
前記キャリアは、前記本体部の先端側に露出する連結面を有し、
前記連結面を前記支持部材に密着させて固定することにより、前記減速部が前記支持部材と連結される駆動装置。
【請求項2】
請求項1に記載の駆動装置において、
前記連結面には、前記支持部材を締結するための複数の締結穴が設けられ、
前記キャリアには、前記ピンが挿入される複数の軸穴が設けられ、
前記軸穴が貫通して前記締結穴のいずれかと同軸に連なっている駆動装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の駆動装置において、
前記本体部は、柱状の外観を呈し、
前記本体部の先端部分に、相対的に外径の小さい小径部が設けられ、
前記支持部材は、前記ドラムに固定されるフランジ部を有し、
前記フランジ部が、前記小径部と対向している駆動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートシャッターのドラムを回転駆動する駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図1に、シートシャッターの一例を示す。このシートシャッター100は、防虫や防塵、内外の空気の遮断等のために、工場や倉庫などの出入口Gによく設けられている。シートシャッター100には、様々なタイプが認められるが、近年では特に、小型で低価格なものが要望されている。
【0003】
シートシャッター100には、布や合成樹脂等で作られたシート101や、シャッターケース102、シートガイド103などが備えられている。シャッターケース102は出入口Gの上縁に沿って水平方向に配置され、シート101はシャッターケース102の下面のシート取出口から出し入れされる。一対のシートガイド103は出入口Gの左右側縁に沿って垂直方向に配置され、シート101の出し入れをガイドする。シャッターケース102の内部には、シート101が巻かれる長い筒状のドラム104や、ドラム104を回転駆動する駆動装置などが備えられている。
【0004】
そのような駆動装置の1つに、ドラムの内部に配置される内蔵型の駆動装置がある(例えば、特許文献1)。
【0005】
フランジ状の出力軸を有する減速機は公知である(例えば、特許文献2)。特許文献2では、減速機の出力軸を兼ねるキャリアは、3本の支柱が設けられた円盤状の本体プレートと、各支柱に固定されるカバープレートとで構成されている。これら本体プレートとカバープレートとの間に遊星歯車が回転自在に支持されている。
【0006】
本体プレートの出力側の面には8個の取付穴が形成され、その裏面には、遊星歯車を支持するピンの一端が挿入される3個の遊星ピン穴が形成されている。取付穴や遊星ピン穴は、いずれも周方向に均等に配置されるため、各穴が互いに干渉しないように、それぞれの穴のいずれか1つの形成位置を一致させ、その他の穴の形成位置がずれるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−240416号公報
【特許文献2】特開2002−181139号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
図2に、シートシャッター100に用いられている従来の内蔵型の駆動装置110(単に駆動装置110ともいう)の一例を示す。同図に示すように、駆動装置110の先端側の大部分は、横向きに配置されるドラム104の一端からその内部に挿入されていて、ドラム104からはみ出た基端部分がシャッターケース102に固定されている(駆動装置110の固定部位)。駆動装置110にはブレーキ部111やモータ部112、減速部113が備えられ、これらは駆動装置110の内部に回転軸に沿って直列に配置されている。出力シャフト114が、駆動装置110の先端からドラム104の奥に向かって突出している。
【0009】
ドラム104の内部には軸固定部材115が固定されている。軸固定部材115は、円板状のベース部115aと、ベース部115aの中央に設けられたボス部115bとを有している。ベース部115a及びボス部115bの中央に貫通する孔に出力シャフト114が固定され、ドラム104は軸固定部材115を介して駆動装置110に回転可能に連結されている。なお、ドラム104の他端は軸支部116を介してシャッターケース102に回転自在に支持されている。
【0010】
このように、従来の内蔵型の駆動装置110の場合、駆動装置110自体が横長に構成されているうえに、駆動装置110からドラム104の奥に突出する出力シャフト114に軸固定部材115が取り付けられるため、軸固定部材115の取付部位(連結部位)が駆動装置110の固定部位から大きく離れていた。連結部位にはドラム104等の荷重が加わるので、離れた固定部位に大きな力のモーメントが作用する。その結果、固定部位に強度が要求され、小型化や低価格化を進める上で耐久性の確保が難しいといった不利があった。
【0011】
また、ドラム104の直径はできるだけ小さくしたいことから、ドラム104の端部と駆動装置110との間に十分な隙間を確保することができない。そのため、ドラム104が撓むとドラム104の端部と駆動装置110とが接触するおそれがある。更に、軸固定部材115は、強度を確保しながら軽量化を図る必要があるため、ボス部115bの形成など複雑な構造になり易く、生産性に難があった。
【0012】
そこで、本発明の目的は、生産性に優れ、ドラムをより適切に支持することができ、小型化や低価格化に有利なシートシャッターの駆動装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係るシートシャッターの駆動装置は、シートと、前記シートが巻かれる筒状のドラムと、前記ドラムの内壁に固定される支持部材と、前記ドラムを収容し、前記シートの出し入れが可能なシャッターケースと、を備えたシートシャッターの駆動装置である。駆動装置は、前記ドラムの一端に先端側から挿入される本体部と、前記本体部と一体に設けられ、前記シャッターケースに取り付けられる基部とを有している。
【0014】
前記本体部には、モータ部と、前記モータ部の回転を制動制御するブレーキ部と、前記本体部の先端部分に配置され、前記モータ部の回転を減速して出力する減速部とが収容されている。前記減速部は、前記本体部から露出する連結部を有し、シャフトを介在せずに前記支持部材に前記連結部が連結される。
【0015】
係る構成の駆動装置によれば、シャフトを介在せずに直接的に支持部材に連結部が連結されるので、シャフトを介してドラム等を支持していた従来の駆動装置と比べて、駆動装置が支えられている基部からドラム等の支持部位までの距離を小さくできる。その結果、基部に作用するトルクが小さくなるため、基部や基部を固定する部位に求められる強度を低減することができ、小型化や低価格化を促進することができる。ボス部等が不要になり、支持部材の構造も簡素にできるので、生産性にも優れる。
【0016】
具体的には、次のように構成することができる。すなわち、前記モータ部は、太陽ギアが設けられた駆動軸を有している。前記減速部は、前記太陽ギアと噛み合う複数の遊星ギアと、前記複数の遊星ギアの外周に回転不能に配置され、前記遊星ギアと噛み合う内歯ギアと、ピンを介して前記遊星ギアを自転自在に支持するとともに前記太陽ギアの周りに公転自在に支持するキャリアとを有している。前記キャリアは、前記本体部の先端側に露出する連結面を有している。そして、前記連結面を前記支持部材に密着させて固定することにより、前記減速部が前記支持部材と連結される。
【0017】
本体部の先端側から露出する減速部の連結面に、支持部材を密着させて固定しているので、シャフトで支持するのと比べて、支持部材をより安定して支持することができる。その結果、ドラムが撓むのが抑制されるため、駆動装置とドラムとが接触し難くなり、ドラムをより小径にできる。
【0018】
更に具体的には、次のようにするのが好ましい。すなわち、前記連結面には、前記支持部材を締結するための複数の締結穴が設けられている。前記キャリアには、前記ピンが挿入される複数の軸穴が設けられている。そして、前記軸穴が貫通して前記締結穴のいずれかと同軸に連なるようにする。
【0019】
そうすれば、軸穴と締結穴とをまとめて加工できるので、加工に要する工数や作業負担を削減することができ、生産性を向上させることができる。
【0020】
特に、前記本体部が柱状の外観を呈している場合、前記本体部の先端部分に、相対的に外径の小さい小径部を設けるのが好ましい。そして、前記支持部材が、前記ドラムに固定されるフランジ部を有し、前記フランジ部が前記小径部と対向しているようにするとよい。
【0021】
そうすれば、小径部を設けることで、本体部の先端部分とドラムとの間に空間を形成することができる。そして、支持部材にフランジ部を設け、小径部と対向するようにそのフランジ部を空間に配置すれば、支持部材をドラムにより強固に固定できるうえに、ドラム等の支持部位が基部に近づくため、よりいっそう基部周辺への負担を軽減することができる。
【0022】
駆動装置は、内歯ギアを利用してドラムを支持するようにしてもよい。例えば、そのような駆動装置では、前記モータ部は、太陽ギアが設けられた駆動軸を有している。前記減速部は、前記太陽ギアと噛み合う複数の遊星ギアと、前記複数の遊星ギアの外周に回転自在に配置され、前記遊星ギアと噛み合う内歯ギアと、回転不能に配置され、ピンを介して前記遊星ギアを自転自在に支持するキャリアとを有している。そして、前記内歯ギアが前記本体部から露出して前記支持部材と一体に設けられている。
【0023】
内歯ギアを利用してドラムを支持することで、よりいっそうドラム等の支持部位は基部に近づくので、基部周辺への負担を更に軽減することができる。比較的構造が簡略化できる利点もある。
【発明の効果】
【0024】
以上説明したように、本発明によれば、従来の駆動装置と比べて、生産性に優れ、ドラムをより適切に支持できるようになるので、シートシャッターの小型化や低価格化の実現が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】シートシャッターの一例を示す概略図である。
【
図3】実施形態の駆動装置を示す概略断面図である。
【
図6】
図5における矢印X方向から見た概略図である。
【
図7】
図5におけるY−Y線における概略断面図である。
【
図8】別実施形態の駆動装置を示す、
図4に相当する概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。ただし、以下の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物あるいはその用途を制限するものではない。
【0027】
図3に、本発明を適用したシートシャッター100Aの駆動装置1(内蔵型)の一例を示す。本実施形態のシートシャッター100Aは、駆動装置1や、軸固定部材115に代えてドラム104の内部にフランジ壁2(支持部材)が設けられている点を除けば、先に
図1や
図2を用いて説明したシートシャッター100と基本的な構成は同じである。
【0028】
すなわち、
図1に示したように、シートシャッター100Aには、シート101や、シャッターケース102、シートガイド103などが備えられていて、シャッターケース102の内部には、例えば全長が1m〜4mなど、シート101が巻かれる長い円筒状のドラム104や、ドラム104を回転駆動する駆動装置1などが備えられている。そして、
図2に示したように、ドラム104の一方の端部に駆動装置1が配置され、ドラム104の他方の端部に軸支部116が配置されていて、ドラム104はこれら駆動装置1及び軸支部116に回転自在に支持されている。
【0029】
フランジ壁2は円板状の部材である。フランジ壁2は、その周縁部がドラム104の内壁に固定され、ドラム104の中心線Aと直交するように配置されている。フランジ壁2の詳細については、別途後述する。
【0030】
本実施形態の駆動装置1は、ドラム104の一端に先端側から挿入される本体部1aと、本体部1aの基端側に一体に設けられた基部1bとを有している。基部1bは、シャッターケース102にボルト等で締結して固定される。本体部1aは柱状(例えば円柱状)の外観を呈し、ドラム104と中心線A(回転軸A)が一致するように組み付けられている。本体部1aとドラム104とが接触しないように、本体部1aの最大外径はドラム104の最小内径よりも小さく設定されている。
【0031】
本体部1a及び基部1bの外郭を構成するケース3は、複数のパーツを組み合わせて形成されている。本体部1aの内部に、モータ部10やブレーキ部20、減速部30が、回転軸Aに沿って一列に並ぶように配置されている。この駆動装置1では、モータ部10によって回転駆動力が形成され、その回転駆動力がトルクを高めるために減速部30によって減速された状態で出力される。
【0032】
モータ部10は、駆動軸11やロータ12、ステータ13などを有し、本体部1aにおける回転軸A方向の中間部位に配置されている。モータ部10には、これら以外にも、外部からモータ部10に電流を供給する配線や電流を制御する基板等が備えられているが、ここではその説明や図示は省略する。
【0033】
駆動軸11は、回転軸Aを中心にして自在に回転できるように、2個のベアリング14a,14bを介してケース3に支持されている。駆動軸11の先端部分は、減速部30の内部に突出し、駆動軸11の後端部分は、ブレーキ部20の内部に突出している。そして、駆動軸11の先端部分には、太陽ギア15が同軸(中心線が一致した状態)に固定されている。
【0034】
ロータ12は、駆動軸11と同軸に設けられ、その外周には複数のネオジム磁石16が設けられている。ステータ13は、ステータコア17や複数のコイル18等で構成された円筒状の複合部材であり、ケース3の内壁に固定されている。ステータ13は、ロータ12の外周面と僅かな隙間を隔てて対向するように、ロータ12の半径方向外側に配置されている。
【0035】
ブレーキ部20は、任意の位置でシート101を保持して、シート101がずれ落ちたりしないようにするために、モータ部10が出力する回転駆動力を制動制御する。ブレーキ部20は、本体部1aの基端側の部分に配置されている。ブレーキ部20には、例えば、ディスクブレーキ等で構成された制動機構が備えられている。
【0036】
図4に詳しく示すように、減速部30は、本体部1aの先端側の部分に配置されている。減速部30は、3個の遊星ギア31,31,31と1個の内歯ギア32、キャリア33などを有している。
【0037】
各遊星ギア31は、太陽ギア15と噛み合うように太陽ギア15の周りに等間隔で配置されている。内歯ギア32は、リング状のギアであり、各遊星ギア31と噛み合うように、これら遊星ギア31の外周に配置されている。内歯ギア32は、ケース3と一体に形成されていて、回転不能となっている。各遊星ギア31は、キャリア33によって支持されている。
【0038】
図5、
図6、
図7にも示すように、キャリア33は、1個の金属ブロックから切削加工等によって形成された多段円柱状の回転体である。具体的には、キャリア33は、一体に形成された、円柱状の第1軸受部33a及び第2軸受部33bと、第1軸受部33a及び第2軸受部33bよりも大径のギア支持部33cとを有している。ギア支持部33cは、第1軸受部33aと第2軸受部33bの間に位置している。
【0039】
第1軸受部33aの突端部分は、回転軸Aに直交した平坦面となっている(連結面34)。第2軸受部33bの突端部分の中央には、太陽ギア15を受け入れる噛合空間35が凹み形成されている。ギア支持部33cの側面には、各遊星ギア31に対応して3つのギア窓36が開口している。これらギア窓36は、噛合空間35から放射状に延びる横孔37を通じて噛合空間35と連通している。横孔37の両端から遊星ギア31の歯の一部が突出するように、各横孔37内に各遊星ギア31が収容される。
【0040】
連結面34には、フランジ壁2を締結するための6個の締結穴38,…,38が形成されている。これら締結穴38,…,38は、第1軸受部33aに回転軸A方向に沿って形成され、周方向に等間隔で配置されている。また、連結面34の中央には、位置決め用の治具穴39が形成されている。
【0041】
キャリア33における第1軸受部33aの一部からギア支持部33c及び第2軸受部33bにわたる部分に、3つの軸穴40,40,40が形成されている。これら軸穴40,40,40は、回転軸A方向に沿って形成され、各横孔37を貫通するように周方向に等間隔で配置されている。本実施形態の軸穴40は、加工を容易にするために、貫通して締結穴38と同軸に連なるように形成されている。
【0042】
すなわち、3つの締結穴38が各軸穴40と周方向に重なるように配置されており、キャリア33を貫通するようにこれら各穴の下地となる下孔が形成される。その後、下孔における第1軸受部33a側の部分をねじ切りして締結穴38が形成され、下孔における第2軸受部33bやギア支持部33c側の部分を二次加工して軸穴40が形成されている。
【0043】
各軸穴40にはピン41が挿入され、各遊星ギア31は、これらピン41を介してキャリア33に自転自在に支持されるとともに太陽ギア15の周りに公転自在に支持される。
【0044】
キャリア33は、連結面34を本体部1aの先端側に向けた状態で、ケース3に第1ベアリング42及び第2ベアリング43を介して回転自在に支持されている。第1ベアリング42は、第2ベアリング43よりも大きなベアリングが用いられ、第1軸受部33a側に配置されている。第2ベアリング43は、第2軸受部33b側に配置されている。連結面34は本体部1aの先端側から露出しており、その連結面34にフランジ壁2が締結されている。
【0045】
フランジ壁2は円板状の主面部51を有し、その主面部51おける各締結穴38に対応する6ヶ所に挿通孔52が形成されている。また、主面部51の中央部には、治具穴39に対応して治具挿入孔53が形成されている。治具挿入孔53及び治具穴39に所定の治具が挿入されて芯出しされる。そうして、各挿通孔52及び締結穴38にボルトを締結することで、フランジ壁2は連結面34に密着して所定位置に固定される。
【0046】
このように、フランジ壁2を連結面34に直接固定することで、シャフトを介して連結していた従来の駆動装置110と比べて、シャッターケース102に固定された駆動装置1の基部1bからフランジ壁2との締結部位までの距離が短くなるので、基部1bに作用する力のモーメントが軽減される。その結果、基部1bの固定構造に要求される強度が低下するため、小型化や低価格化を進める上で有利となる。
【0047】
しかも、ドラム104の中心線と直交するように配置されたフランジ壁2を面で受け止めて支持することで、ドラム104の撓みを抑制することができ、ドラム104の端部と駆動装置1との間の隙間が小さくてもドラム104と駆動装置1とが接触し難くなる。従って、ドラム104の直径をより小さくできる。フランジ壁2に、ボス部などの複雑な構造が不要になるので生産性にも優れる。
【0048】
更に、本実施形態の駆動装置1では、基部1b周辺への負担がより軽減できるようにしている。具体的には、本体部1aの先端部分に、その他の部分よりも相対的に外径の小さい小径部61を設けることにより、ドラム104と小径部61との間にスペース(受入空間)が形成されている。そして、フランジ壁2に、その主面部51の外周縁から駆動装置1側に張り出してドラム104に固定される肉厚なフランジ部62が設けられている。フランジ部62は、受入空間に受け入れられて小径部61と対向している。
【0049】
このように、フランジ壁2に駆動装置1側に張り出すフランジ部62を設け、そのフランジ部62をドラム104に固定することで、駆動装置1にドラム104等の荷重が作用する部位を基部1b側に近づけることができるため、より基部1bに作用する力のモーメントを軽減することができる。
【0050】
また、本実施形態の駆動装置1では、フランジ部62の先端部から全周にわたってドラム104の中心方向に向かって張り出す区画壁部63が設けられている。区画壁部63の先端は小径部61に近接している。このような区画壁部63を設けることで、本体部1aから潤滑油が漏れ出した場合に、潤滑油の流出が区画壁部63で規制されるので、潤滑油がドラム104の外に漏れ出すのを防ぐことができる。また逆に、ドラム104の外から駆動装置1の内部に塵埃等が入り込むのも防ぐことができる。
【0051】
(別の実施形態)
図8に、別の実施形態の駆動装置1Aを示す。本実施形態の駆動装置1Aでは、内歯ギアを利用することにより、更に基部1b周辺への負担が軽減できるようにした。なお、本実施形態の駆動装置1Aも上述した駆動装置1と基本的な構成は同じであるため、同じ機能の部材については同じ符号を用いてその説明は省略する。
【0052】
この駆動装置1Aの内歯ギア32Aは、本体部1aから露出して、ドラム104に支持環71(支持部材)を介して固定されている。支持環71と内歯ギア32Aとは一体に形成されている。本実施形態のキャリア33Aは、本体部1a(ケース3)にピン41を差し込むことによって回転不動に固定されている。従って、各遊星ギア31は自転はしても公転はしない。
【0053】
キャリア33Aの外周側には一対のベアリング72,72が設けられている。内歯ギア32Aは、これらベアリング72,72を介してキャリア33Aに支持されており、回転軸Aを中心に回転自在となっている。従って、この駆動装置1Aの場合、本体部1aの先端よりも更に基部1b側でドラム104と連結されるので、基部1bに作用する力のモーメントをよりいっそう軽減することができる。
【0054】
本発明にかかる駆動装置は、前記の実施形態等に限定されず、それ以外の種々の構成をも包含する。例えば、ドラムや本体部の断面形状は円形でも多角形でもよい。
【符号の説明】
【0055】
1 駆動装置
1a 本体部
1b 基部
2 フランジ壁(支持部材)
10 モータ部
15 太陽ギア
20 ブレーキ部
30 減速部
31 遊星ギア
32 内歯ギア
33 キャリア
34 連結面
38 締結穴
40 軸穴
61 小径部
62 フランジ部
100A シートシャッター
101 シート
102 シャッターケース
104 ドラム
116 軸支部
A 回転軸