特許第5696370号(P5696370)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5696370ポリカーボネート/ポリエチレンテレフタレート複合樹脂組成物及び成形品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5696370
(24)【登録日】2015年2月20日
(45)【発行日】2015年4月8日
(54)【発明の名称】ポリカーボネート/ポリエチレンテレフタレート複合樹脂組成物及び成形品
(51)【国際特許分類】
   C08L 69/00 20060101AFI20150319BHJP
   C08L 67/02 20060101ALI20150319BHJP
   C08K 5/49 20060101ALI20150319BHJP
   C08K 7/14 20060101ALI20150319BHJP
【FI】
   C08L69/00
   C08L67/02
   C08K5/49
   C08K7/14
【請求項の数】5
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2010-77225(P2010-77225)
(22)【出願日】2010年3月30日
(65)【公開番号】特開2010-261019(P2010-261019A)
(43)【公開日】2010年11月18日
【審査請求日】2012年11月14日
(31)【優先権主張番号】特願2009-94985(P2009-94985)
(32)【優先日】2009年4月9日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】594137579
【氏名又は名称】三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086911
【弁理士】
【氏名又は名称】重野 剛
(72)【発明者】
【氏名】長野 史智
(72)【発明者】
【氏名】有川 雄也
(72)【発明者】
【氏名】藤岡 清利
【審査官】 松元 洋
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−237295(JP,A)
【文献】 特開2003−128905(JP,A)
【文献】 特開2009−001620(JP,A)
【文献】 特開2007−023118(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 1/00 − 101/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリカーボネート樹脂95〜60質量%とポリエチレンテレフタレート樹脂5〜40質量%とからなる樹脂成分100質量部に、リン系熱安定剤0.01〜0.5質量部及び/又はヒンダードフェノール系熱安定剤0.01〜1質量部と、無機充填材1〜20質量部とを配合してなり、前記ポリエチレンテレフタレート樹脂が、重縮合触媒の失活処理がなされたポリエチレンテレフタレート樹脂であることを特徴とするポリカーボネート/ポリエチレンテレフタレート複合樹脂組成物。
【請求項2】
請求項1において、前記重縮合触媒の失活処理がなされたポリエチレンテレフタレート樹脂は、末端カルボキシル基濃度が5〜40μeq/g、固有粘度[η]が0.6〜1.5dl/g、全構成繰り返し単位に対するオキシエチレンオキシテレフタロイル単位の比率が90当量%以上であり、下記式(1)で算出される固相重合速度Ksが0.006(dl/g・hr)以下であることを特徴とするポリカーボネート/ポリエチレンテレフタレート複合樹脂組成物。
固相重合速度Ks=([η]s−[η]m)/T …(1)
(ここで、[η]sは、当該ポリエチレンテレフタレート樹脂を窒素気流下210℃で3時間保持した後の該ポリエチレンテレフタレート樹脂の固有粘度(dl/g)であり、[η]mは、当該ポリエチレンテレフタレート樹脂を窒素気流下210℃で2時間保持した後の該ポリエチレンテレフタレート樹脂の固有粘度(dl/g)である。Tは1(時間)である。)
【請求項3】
請求項1又は2において、前記無機充填材がガラス繊維であることを特徴とするポリカーボネート/ポリエチレンテレフタレート複合樹脂組成物。
【請求項4】
請求項3において、前記ガラス繊維が、表面にグリシジル基を有することを特徴とするポリカーボネート/ポリエチレンテレフタレート複合樹脂組成物。
【請求項5】
請求項1ないしのいずれか1項に記載のポリカーボネート/ポリエチレンテレフタレート複合樹脂組成物を成形してなるポリカーボネート/ポリエチレンテレフタレート複合樹脂成形品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリカーボネート樹脂に、耐薬品性の付与を目的としてポリエチレンテレフタレート樹脂を複合化した樹脂組成物における熱安定性と成形安定性を改良したポリカーボネート/ポリエチレンテレフタレート複合樹脂組成物と、このポリカーボネート/ポリエチレンテレフタレート複合樹脂組成物を成形してなる成形品に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリカーボネート樹脂、特に芳香族ポリカーボネート樹脂は、耐衝撃性、耐熱変形性、剛性、寸法安定性等に優れるために、電気機器、通信機器、精密機械、自動車部品等、幅広い用途に使用されている。しかしながら、ポリカーボネート樹脂は耐薬品性に劣るという欠点を保有しており、ポリカーボネート樹脂の耐薬品性を改善するためにポリエチレンテレフタレート樹脂との複合化が種々検討されている(例えば、特許文献1、2参照)。
【0003】
しかしながら、ポリカーボネート樹脂にポリエチレンテレフタレート樹脂を複合化すると、耐薬品性は改善されるものの、得られる樹脂組成物は熱安定性が悪く、成形工程においてシリンダー内で高温に保持されることにより、ポリカーボネート樹脂とポリエチレンテレフタレート樹脂とでエステル交換反応を起こし、反応による分解ガスの発生で泡、シルバーと称される成形品の外観不良の原因となる。そして、この様なポリカーボネート樹脂の分子量低下によりポリカーボネート樹脂本来の耐衝撃性、耐熱変形性等が損なわれるばかりか、高温下での滞留によりポリカーボネート樹脂組成物の粘度変化が生じることにより、射出成形時の成形安定性が損なわれ、成形品のショートショットやバリが発生するといった問題が起こる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−23118号公報
【特許文献2】特開2009−1620号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記従来の問題点を解決し、ポリカーボネート樹脂/ポリエチレンテレフタレート樹脂複合樹脂組成物における滞留熱劣化を抑制すると共に成形安定性を改善したポリカーボネート/ポリエチレンテレフタレート複合樹脂組成物とこのポリカーボネート/ポリエチレンテレフタレート複合樹脂組成物を成形してなる成形品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、ポリカーボネート/ポリエチレンテレフタレート複合樹脂組成物における上述の滞留熱劣化の問題は、ポリエチレンテレフタレート樹脂の製造工程で使用され、製品として提供されるポリエチレンテレフタレート樹脂中に含有される重縮合触媒に起因するものであり、従って、ポリエチレンテレフタレート樹脂として、この重縮合触媒を失活させたポリエチレンテレフタレート樹脂を用いると共に、特定の熱安定剤を配合することにより、滞留熱劣化をより確実に抑制し得ること、更に、無機充填材、好ましくはガラス繊維を、特定量配合することによって、意外にも滞留時の粘度変化を抑制し、成形安定性を高めることができることを見出した。
【0007】
本発明はこのような知見に基づいて達成されたものであり、以下を要旨とする。
【0008】
[1] ポリカーボネート樹脂95〜60質量%とポリエチレンテレフタレート樹脂5〜40質量%とからなる樹脂成分100質量部に、リン系熱安定剤0.01〜0.5質量部及び/又はヒンダードフェノール系熱安定剤0.01〜1質量部と、無機充填材1〜20質量部とを配合してなり、前記ポリエチレンテレフタレート樹脂が、重縮合触媒の失活処理がなされたポリエチレンテレフタレート樹脂であることを特徴とするポリカーボネート/ポリエチレンテレフタレート複合樹脂組成物。
【0009】
[2] [1]において、前記重縮合触媒の失活処理がなされたポリエチレンテレフタレート樹脂は、末端カルボキシル基濃度が5〜40μeq/g、固有粘度[η]が0.6〜1.5dl/g、全構成繰り返し単位に対するオキシエチレンオキシテレフタロイル単位の比率が90当量%以上であり、下記式(1)で算出される固相重合速度Ksが0.006(dl/g・hr)以下であることを特徴とするポリカーボネート/ポリエチレンテレフタレート複合樹脂組成物。
固相重合速度Ks=([η]s−[η]m)/T …(1)
(ここで、[η]sは、当該ポリエチレンテレフタレート樹脂を窒素気流下210℃で3時間保持した後の該ポリエチレンテレフタレート樹脂の固有粘度(dl/g)であり、[η]mは、当該ポリエチレンテレフタレート樹脂を窒素気流下210℃で2時間保持した後の該ポリエチレンテレフタレート樹脂の固有粘度(dl/g)である。Tは1(時間)である。)
【0010】
[3] [1]又は[2]において、前記無機充填材がガラス繊維であることを特徴とするポリカーボネート/ポリエチレンテレフタレート複合樹脂組成物。
【0011】
[4] [3]において、前記ガラス繊維が、表面にグリシジル基を有することを特徴とするポリカーボネート/ポリエチレンテレフタレート複合樹脂組成物。
【0013】
] [1]ないし[]のいずれかに記載のポリカーボネート/ポリエチレンテレフタレート複合樹脂組成物を成形してなるポリカーボネート/ポリエチレンテレフタレート複合樹脂成形品。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ポリカーボネート樹脂に耐薬品性付与のためのポリエチレンテレフタレート樹脂および剛性や耐熱性等を付与するための無機充填材を複合化した樹脂組成物であって、滞留熱劣化が抑制されると共に増粘が抑制され、熱安定性及び成形安定性に優れたポリカーボネート/ポリエチレンテレフタレート複合樹脂組成物が提供される。
【0015】
このような本発明のポリカーボネート/ポリエチレンテレフタレート(PC/PET)複合樹脂組成物は、電気・電子機器部品、OA機器、機械部品、車輌部品、建築部材、各種容器、レジャー用品・雑貨類などの各種用途に有用であり、特に車輌外装・外板部品、車輌内装部品への適用が期待できる。
【0016】
本発明のポリカーボネート/ポリエチレンテレフタレート複合樹脂組成物が適用される車輌外装・外板部品としては、アウタードアハンドル、バンパー、フェンダー、ドアパネル、トランクリッド、フロントパネル、リアパネル、ルーフパネル、ボンネット、ピラー、サイドモール、ガーニッシュ、ホイールキャップ、フードバルジ、フューエルリッド、各種スポイラー、モーターバイクのカウルなどが挙げられる。
【0017】
また、車輌内装部品としては、インナードアハンドル、センターパネル、インストルメンタルパネル、コンソールボックス、ラゲッジフロアボード、カーナビゲーションなどのディスプレイハウジングなどが挙げられるが、本発明のポリカーボネート/ポリエチレンテレフタレート複合樹脂組成物の適用分野は何らこれらのものに限定されない。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明する。なお、本明細書において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
【0019】
[ポリカーボネート樹脂]
本発明のポリカーボネート/ポリエチレンテレフタレート複合樹脂組成物に用いられるポリカーボネート樹脂としては、芳香族ポリカーボネート樹脂、脂肪族ポリカーボネート樹脂、芳香族−脂肪族ポリカーボネート樹脂が挙げられるが、好ましくは、芳香族ポリカーボネート樹脂である。
【0020】
芳香族ポリカーボネート樹脂は、芳香族ヒドロキシ化合物と、ホスゲン又は炭酸のジエステルとを反応させることによって得られる、分岐していてもよい芳香族ポリカーボネート重合体である。芳香族ポリカーボネート樹脂の製造方法は、特に限定されるものではなく、ホスゲン法(界面重合法)、溶融法(エステル交換法)等の従来法によることができる。また、溶融法で製造され、末端基のOH基量を調整して製造されたポリカーボネート樹脂であってもよい。
【0021】
本発明に使用される芳香族ポリカーボネート樹脂の原料の一つである芳香族ジヒドロキシ化合物の代表的なものとして、例えば、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−t−ブチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン等が挙げられる。
さらに、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシルフェニル)エタン(THPE)、1,3,5−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ベンゼン等の分子中に3個以上のヒドロキシ基を有する多価フェノール等を分岐化剤として少量併用することもできる。
これらの芳香族ジヒドロキシ化合物のなかでも、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(以下、「ビスフェノールA」とも言い、「BPA」と略記することもある。)が好ましい。これらの芳香族ジヒドロキシ化合物は、単独で、又は2種以上を混合して用いることができる。
【0022】
分岐した芳香族ポリカーボネート樹脂を得るには、フロログルシン、4,6−ジメチル−2,4,6−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプテン−2、4,6−ジメチル−2,4,6−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、2,6−ジメチル−2,4,6−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプテン−3、1,3,5−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ベンゼン、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタンなどのポリヒドロキシ化合物、あるいは3,3−ビス(4−ヒドロキシアリール)オキシインドール(=イサチンビスフェノール)、5−クロルイサチン、5,7−ジクロルイサチン、5−ブロムイサチンなどを前記芳香族ジヒドロキシ化合物の一部として用いればよく、その使用量は、該ヒドロキシ化合物に対して0.01〜10モル%であり、好ましくは0.1〜2モル%である。
【0023】
エステル交換法による重合においては、ホスゲンの代わりに炭酸ジエステルがモノマーとして使用される。炭酸ジエステルの代表的な例としては、ジフェニルカーボネート、ジトリルカーボネート等に代表される置換ジアリールカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ−tert−ブチルカーボネート等に代表されるジアルキルカーボネートが挙げられる。これらの炭酸ジエステルは、単独で、又は2種以上を混合して用いることができる。これらのなかでも、ジフェニルカーボネート(以下、「DPC」と略記することもある。)、置換ジフェニルカーボネートが好ましい。
【0024】
また、上記の炭酸ジエステルは、好ましくはその50モル%以下、さらに好ましくは30モル%以下の量を、ジカルボン酸又はジカルボン酸エステルで置換してもよい。代表的なジカルボン酸又はジカルボン酸エステルとしては、テレフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸ジフェニル、イソフタル酸ジフェニル等が挙げられる。このようなジカルボン酸又はジカルボン酸エステルで置換した場合には、ポリエステルカーボネートが得られる。
【0025】
エステル交換法により芳香族ポリカーボネートを製造する際には、通常、触媒が使用される。触媒種に制限はないが、一般的にはアルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、塩基性ホウ素化合物、塩基性リン化合物、塩基性アンモニウム化合物、アミン系化合物等の塩基性化合物が使用されるが、中でもアルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物が特に好ましい。これらは、単独で使用してもよく、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。エステル交換法では、上記重合触媒をp−トルエンスルホン酸エステル等で失活させることが一般的である。
【0026】
芳香族ポリカーボネート樹脂として好ましいものは、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンから誘導されるポリカーボネート樹脂又は2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンと他の芳香族ジヒドロキシ化合物とから誘導されるポリカーボネート共重合体が挙げられる。また、難燃性等を付与する目的で、シロキサン構造を有するポリマー又はオリゴマーを共重合させることができる。芳香族ポリカーボネート樹脂は、原料の異なる2種以上の重合体及び/又は共重合体の混合物であってもよく、分岐構造を0.5モル%まで有していてもよい。
【0027】
ポリカーボネート樹脂の末端ヒドロキシル基含有量は、成形品の熱安定性、加水分解安定性、色調等に大きな影響を及ぼす。実用的な物性を持たせるためには、通常30〜2000ppm、好ましくは100〜1500ppm、さらに好ましくは200〜1000ppmであり、末端ヒドロキシル基含有量を調節する封止末端剤としてはp−tert−ブチルフェノール、フェノール、クミルフェノール、p−長鎖アルキル置換フェノール等を使用することができる。
【0028】
ポリカーボネート樹脂中の残存モノマー量としては、芳香族ジヒドロキシ化合物が150ppm以下、好ましくは100ppm以下であり、さらに好ましくは50ppm以下である。エステル交換法により合成された場合には、さらに炭酸ジエステル残存量が300ppm以下、好ましくは200ppm以下、さらに好ましくは150ppm以下である。
【0029】
ポリカーボネート樹脂の分子量は特に制限は無いが、溶媒としてメチレンクロライドを用い、20℃の温度で測定した溶液粘度より換算した粘度平均分子量で、好ましくは10,000〜50,000の範囲のものであり、より好ましくは11,000〜40,000のものであり、特に好ましくは12,000〜30,000の範囲のものである。粘度平均分子量を10,000以上とすることにより、機械的特性がより効果的に発揮され、50,000以下とすることにより、成形加工がより容易になる。また、粘度平均分子量の異なる2種以上のポリカーボネート樹脂を混合してもよく、粘度平均分子量が上記好適範囲外であるポリカーボネート樹脂を混合し、上記分子量の範囲内としてもよい。
【0030】
[ポリエチレンテレフタレート樹脂]
本発明に用いられるポリエチレンテレフタレート樹脂とは、全構成繰り返し単位に対するテレフタル酸及びエチレングリコールからなるオキシエチレンオキシテレフタロイル単位(以下「ET単位」と称す場合がある。)の比率(以下「ET比率」と称す場合がある。)が好ましくは90当量%以上であるポリエチレンテレフタレート樹脂であり、本発明におけるポリエチレンテレフタレート樹脂はET単位以外の構成繰り返し単位を10当量%未満の範囲で含んでいてもよい。本発明におけるポリエチレンテレフタレート樹脂は、テレフタル酸又はその低級アルキルエステルとエチレングリコールとを主たる原料として製造されるが、他の酸成分及び/又は他のグリコール成分を併せて原料として用いてもよい。
【0031】
テレフタル酸以外の酸成分としては、フタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、4,4′−ジフェニルスルホンジカルボン酸、4,4′−ビフェニルジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−フェニレンジオキシジ酢酸及びこれらの構造異性体、マロン酸、コハク酸、アジピン酸等のジカルボン酸及びその誘導体、p−ヒドロキシ安息香酸、グリコール酸等のオキシ酸又はその誘導体が挙げられる。
【0032】
また、エチレングリコール以外のジオール成分としては、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール等の脂肪族グリコール、シクロヘキサンジメタノール等の脂環式グリコール、ビスフェノールA、ビスフェノールS等の芳香族ジヒドロキシ化合物誘導体等が挙げられる。
【0033】
上記の様なテレフタル酸又はそのエステル形成性誘導体とエチレングリコールとを含む原料は、エステル化触媒又はエステル交換触媒の存在下におけるエステル化反応又はエステル交換反応により、ビス(β−ヒドロキシエチル)テレフタレーテ及び/又はそのオリゴマーを形成させ、その後、重縮合触媒及び安定剤の存在下で高温減圧下に溶融重縮合を行ってポリマーとされる。
【0034】
エステル化触媒は、テレフタル酸がエステル化反応の自己触媒となるため特に使用する必要はない。また、エステル化反応は、エステル化触媒と後述する重縮合触媒の共存下に実施することも可能であり、また、少量の無機酸等の存在下に実施することができる。エステル交換触媒としては、ナトリウム、リチウム等のアルカリ金属塩、マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属塩、亜鉛、マンガン等の金属化合物が好ましく使用されるが、中でも得られるポリエチレンテレフタレート樹脂の外観上、マンガン化合物が特に好ましい。
【0035】
重縮合触媒としては、ゲルマニウム化合物、アンチモン化合物、チタン化合物、コバルト化合物、錫化合物等の反応系に可溶な化合物が単独又は組み合わせて使用される。重縮合触媒としては、色調及び透明性等の観点から二酸化ゲルマニウムが特に好ましい。これらの重縮合触媒には重合中の分解反応を抑制するために安定剤を併用してもよく、安定剤としては、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリフェニルホスフェート等のリン酸エステル類、トリフェニルホスファイト、トリスドデシルホスファイト等の亜リン酸エステル類、メチルアシッドホスフェート、ジブチルホスフェート、モノブチルホスフェート酸性リン酸エステル、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、ポリリン酸等のリン化合物の1種又は2種以上が好ましい。
【0036】
上記の触媒の使用割合は、全重合原料中、触媒中の金属の重量として、通常1〜2000ppm、好ましくは3〜500ppmの範囲とされ、安定剤の使用割合は、全重合原料中、安定剤中のリン原子の重量として、通常10〜1000ppm、好ましくは20〜200ppmの範囲とされる。触媒及び安定剤の供給は、原料スラリー調製時の他、エステル化反応又はエステル交換反応の任意の段階において行うことができる。更に、重縮合反応工程の初期に供給することもできる。
【0037】
エステル化反応又はエステル交換反応時の反応温度は、通常240〜280℃であり、反応圧力は通常、大気に対する相対圧力として0.2〜3kg/cmG(20〜300kPa)である。また、重縮合時の反応温度は、通常250〜300℃であり、反応圧力は通常、絶対圧力として500〜0.1mmHg(67〜0.013kPa)である。この様なエステル化又はエステル交換反応及び重縮合反応は、一段で行っても、複数段階に分けて行ってもよい。この様にして得られるポリエチレンテレフタレート樹脂は、極限粘度が通常0.45〜0.70dl/gであり、常法によりチップ化される。このチップの平均粒径は、通常2.0〜5.5mm、好ましくは2.2〜4.0mmの範囲とされる。
【0038】
次に、上記の様に溶融重縮合により得られたポリマーは、通常固相重合に供される。固相重合に供されるポリマーチップは、予め固相重合を行う温度より低い温度に加熱して予備結晶化を行った後、固相重合に供されてもよい。この様な予備結晶化は、(a)乾燥状態のポリマーチップを、通常120〜200℃、好ましくは130〜180℃の温度で1分間〜4時間加熱する方法、(b)乾燥状態のポリマーチップを、水蒸気又は水蒸気含有不活性ガス雰囲気下で、通常120〜200℃の温度で1分間以上加熱する方法、(c)水、水蒸気又は水蒸気含有不活性ガス雰囲気下で吸湿させ調湿したポリマーチップを、通常120〜200℃の温度で1分間以上加熱する方法等によって行うことができる。ポリマーチップの調湿は、その含水分が通常100〜10000ppm、好ましくは1000〜5000ppmの範囲となる様に実施される。調湿したポリマーチップを結晶化や固相重合に供することにより、PETに含まれるアセトアルデヒドや微量に含まれる不純物の量を一層低減化することが可能である。
【0039】
固相重合工程は、少なくとも一段からなり、通常190〜230℃、好ましくは195〜225℃の重合温度、通常1kg/cmG〜10mmHg(絶対圧力として200〜1.3kPa)、好ましくは0.5kg/cmG〜100mmHg(絶対圧力として150〜13kPa)の重合圧力の条件下、窒素、アルゴン、二酸化炭素等の不活性ガス流通下で実施される。固相重合時間は、温度が高いほど短時間でよいが、通常1から50時間、好ましくは5〜30時間、更に好ましくは10〜25時間である。固相重合により得られたポリマーの極限粘度は、通常0.70〜0.90dl/gの範囲である。
【0040】
本発明に用いるポリエチレンテレフタレート樹脂の固有粘度[η]は、適宜選択して決定すればよいが、通常0.5〜2dl/g、中でも0.6〜1.5dl/g、特には0.7〜1.0dl/gであることが好ましい。固有粘度[η]を0.5dl/g以上、特には0.7dl/g以上とすることで、本発明の樹脂組成物における機械的特性や、滞留熱安定性、耐薬品性、耐湿熱性が向上する傾向にあり好ましい。逆に固有粘度[η]を2dl/g未満、特には1.0dl/g未満とすることで樹脂組成物の流動性が向上する傾向にあり好ましい。
【0041】
本発明において、ポリエチレンテレフタレート樹脂の固有粘度は、フェノール/テトラクロルエタン(重量比1/1)の混合溶媒を使用し、30℃で測定した値である。
【0042】
本発明に用いるポリエチレンテレフタレート樹脂の末端カルボキシル基の濃度は、通常1〜60μeq/gであり、中でも3〜50μeq/g、更には5〜40μeq/gであることが好ましい。末端カルボキシル基濃度を60μeq/g以下とすることで、樹脂組成物の機械的特性が向上する傾向にあり、逆に末端カルボキシル基濃度を1μeq/g以上とすることで、樹脂組成物の耐熱性、滞留熱安定性や色相が向上する傾向にあり、好ましい。
【0043】
なお、ポリエチレンテレフタレート樹脂の末端カルボキシル基濃度は、ベンジルアルコール25mLにポリエチレンテレフタレート樹脂0.5gを溶解し、水酸化ナトリウムの0.01モル/Lベンジルアルコール溶液を使用して滴定することにより求めることができる。
【0044】
本発明で用いるポリエチレンテレフタレート樹脂は、上述のようなポリエチレンテレフタレート樹脂に重縮合触媒の失活処理を施したものである。ポリエチレンテレフタレート樹脂の重縮合触媒の失活処理方法としては、特に制限はなく、用いた重縮合触媒に応じて従来公知の失活処理を施すことができる。この失活処理方法としては、例えば、以下のような方法が挙げられる。
【0045】
重縮合触媒の失活処理方法1:ゲルマニウム触媒の熱水(蒸気)処理
ポリエチレンテレフタレート樹脂を熱水(蒸気)処理してポリエチレンテレフタレート樹脂中のゲルマニウム触媒を失活させる方法。
具体的には、ポリエチレンテレフタレート樹脂を容器に充填し、70〜150℃、例えば約100℃の水蒸気をポリエチレンテレフタレート樹脂に対して毎時1〜100重量%の量で5〜6000分間通蒸して、蒸気処理を行った後乾燥する。
ポリエチレンテレフタレート樹脂を容器内でポリエチレンテレフタレート樹脂の0.3〜10重量倍の蒸留水に浸漬させ、次に、ポリエチレンテレフタレート樹脂及び蒸留水が入った容器を外部より加熱し、内温を70〜110℃にコントロールし、3〜3000分間保持して熱水処理を行なった後、脱水し、乾燥する。
上記乾燥は、通常、窒素等の不活性ガス中、120〜180℃で3〜8時間行われる。
【0046】
重縮合触媒の失活処理方法2:チタニウム触媒へのリン化合物添加
ポリエチレンテレフタレート樹脂にリン化合物を添加して、ポリエチレンテレフタレート樹脂中のチタニウム触媒を失活させる。この場合、リン原子の添加量は、ポリエチレンテレフタレート樹脂の重量を基準として7〜145ppmの範囲であることが好ましい。リン化合物の添加量が7ppmに満たない場合、触媒の失活が不十分であり、本発明の目的とする効果が得られない場合がある。リン原子の添加量が145ppmを超える場合、リン化合物自体が粗大凝集粒子となり、外観不良や耐衝撃性の低下といった問題が生じる。
【0047】
なお、添加するリン化合物としては、従来公知のリン酸エステル化合物類や亜リン酸エステル化合物類、そしてホスホネート化合物類等が挙げられる。中でも下記一般式(2)で表されるホスホネート化合物が好適である。
【0048】
OC(O)XP(O)(OR …(2)
(式中、R及びRは炭素数1〜4のアルキル基、Xは−CH−又は−CH(Y)−(Yはフェニル基を示す。)であり、R及びRはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。)
【0049】
上記式(2)で表されるホスホネート化合物の中でも、アルキルホスホネート化合物が好ましく例示され、これらの中でも特にトリエチルホスホノ酢酸が好ましい。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0050】
上記ポリエチレンテレフタレート樹脂の重縮合触媒の失活処理方法は、本発明で採用し得る失活処理の一例であって、本発明に係る失活処理は何ら上記の方法に限定されるものではない。
【0051】
以下において、重縮合触媒の失活処理を施したポリエチレンテレフタレート樹脂を「失活PET」と称し、未処理のポリエチレンテレフタレート樹脂を「未処理PET」と称す。
【0052】
本発明で用いる失活PETは、上述のようなポリエチレンテレフタレート樹脂中の重縮合触媒の失活処理がなされることによって、下記式(1)で算出される固相重合速度Ksが0.006(dl/g・hr)以下、特に0.005(dl/g・hr)以下、とりわけ0.001〜0.004(dl/g・hr)程度となったものが好ましい。
固相重合速度Ks=([η]s−[η]m)/T …(1)
ここで、[η]sは、当該ポリエチレンテレフタレート樹脂を窒素気流下210℃で3時間保持した後の該ポリエチレンテレフタレート樹脂の固有粘度(dl/g)であり、[η]mは、当該ポリエチレンテレフタレート樹脂を窒素気流下210℃で2時間保持した後の該ポリエチレンテレフタレート樹脂の固有粘度(dl/g)である。Tは1(時間)である。即ち、本発明では、窒素気流下210℃にて3時間保持した後の固有粘度を[η]s、そして同条件下で2時間保持した後の固有粘度を[η]mとし、これらの値を用いて、上述した(1)式により算出した固相重合速度Ksを、固相重合速度Ksとした。
【0053】
失活PETの固相重合速度Ksが0.006(dl/g・hr)を超えるものでは、重縮合触媒の失活処理が不十分であり、本発明による滞留熱劣化の抑制効果を十分に得ることができない。ただし、固相重合速度Ksを過度に小さくすることは困難であり、通常0.001(dl/g・hr)以上である。
【0054】
[樹脂成分]
本発明に係る樹脂成分は、前述のポリカーボネート樹脂の1種又は2種以上の95〜60質量%と、上述の失活PETの1種又は2種以上の5〜40質量%とからなる。
【0055】
樹脂成分中のポリカーボネート樹脂の割合が上記上限よりも多く、失活PETの割合が上記下限よりも少ないと、PETを用いることによる耐薬品性の向上効果を十分に得ることができず、逆に、ポリカーボネート樹脂の割合が上記下限よりも少なく、失活PETの割合が上記上限よりも多いと、ポリカーボネート樹脂本来の特性が損なわれ、耐衝撃性や耐熱性等が低下するため好ましくない。
【0056】
好ましい割合は、ポリカーボネート樹脂90〜60質量%、失活PET10〜40質量%であり、より好ましくはポリカーボネート樹脂85〜60質量%、失活PET15〜40質量%である。
【0057】
[熱安定剤]
本発明の樹脂組成物は、上述の樹脂成分に対してリン系熱安定剤及び/又はヒンダードフェノール系熱安定剤を含むことを必須とし、これらの特定の熱安定剤を含むことにより、ポリエチレンテレフタレート樹脂として失活PETを用いることによる滞留熱劣化の抑制効果をより一層顕著に高め、耐滞留熱劣化性に優れた樹脂組成物を実現することができる。即ち、リン系熱安定剤は、過酸化物の分解作用により、また、ヒンダードフェノール系熱安定剤は過酸化物ラジカルを捕捉する作用により、熱劣化を抑止することができる。
【0058】
リン系熱安定剤としては、亜リン酸エステル、リン酸エステル等のリン系熱安定剤が挙げられる。
【0059】
亜リン酸エステルとしては、例えば、トリフェニルホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリノニルホスファイト、トリデシルホスファイト、トリオクチルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、トリシクロヘキシルホスファイト、モノブチルジフェニルホスファイト、モノオクチルジフェニルホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト等の亜リン酸のトリエステル、ジエステル、モノエステル等が挙げられる。
【0060】
リン酸エステルとしては、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリス(ノニルフェニル)ホスフェート、2−エチルフェニルジフェニルホスフェート、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4−ジフェニルホスフォナイト等が挙げられる。
【0061】
上記のリン系熱安定剤の中では、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト等のホスファイト化合物が好ましく、中でもビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールホスファイトやトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイトが特に好ましい。
【0062】
ヒンダードフェノール系熱安定剤としては、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、チオジエチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N’−ヘキサン−1,6−ジイルビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオナミド)、2,4−ジメチル−6−(1−メチルペンタデシル)フェノール、ジエチル[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]ホスフォエート、3,3’,3’’,5,5’,5’’−ヘキサ−tert−ブチル−a,a’,a’’−(メシチレン−2,4,6−トリイル)トリ−p−クレゾール、4,6−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾール、エチレンビス(オキシエチレン)ビス[3−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−m−トリル)プロピオネート]、ヘキサメチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン,2,6−ジ−tert−ブチル−4−(4,6−ビス(オクチルチオ)−1,3,5−トリアジン−2−イルアミノ)フェノール等が挙げられる。
【0063】
上記の中では、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートが好ましい。これら2つのフェノール系熱安定剤は、チバ・スペシャルテイ・ケミカルズ社より、「イルガノックス1010」及び「イルガノックス1076」の名称で市販されている。
【0064】
リン系熱安定剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、ヒンダードフェノール系熱安定剤についても1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、リン系熱安定剤とヒンダードフェノール系熱安定剤とを併用してもよい。
【0065】
リン系熱安定剤は、ポリカーボネート樹脂と失活PETとからなる樹脂成分100質量部に対して0.01〜0.5質量部、好ましくは0.02〜0.2質量部用いられる。また、ヒンダードフェノール系熱安定剤は、ポリカーボネート樹脂と失活PETとからなる樹脂成分100質量部に対して0.01〜1質量部、好ましくは0.05〜0.2質量部用いられる。これらの熱安定剤の配合量が少な過ぎると熱安定剤を配合することによる滞留熱劣化の抑制効果を十分に得ることができず、多過ぎてもその効果は頭打ちとなり、経済的でない。なお、リン系熱安定剤とヒンダードフェノール系熱安定剤とを併用する場合、各々の熱安定剤を上記配合範囲内とした上で、合計の配合割合が、ポリカーボネート樹脂と失活PET樹脂とからなる樹脂成分100質量部に対して0.07〜0.4質量部となるように用いることが好ましい。
【0066】
[無機充填材]
本発明のPC/PET複合樹脂組成物は、ポリカーボネート樹脂と失活PETよりなる樹脂成分100質量部に対して、1〜20質量部の無機充填材を含むことを特徴とし、この所定量の無機充填材の配合で、熱滞留時の樹脂組成物の増粘を抑制することができる。即ち、無機充填材は、その表面処理により、ポリカーボネート樹脂との密着性を向上し、熱滞留時の無機充填材の分散不良を防止して、凝集による増粘を抑制し、射出成形時の射出圧の変化を抑え、これにより、成形安定性を改良する機能を奏する。
【0067】
本発明に用いる無機充填材としては、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維、セラミック繊維、これらのミルドファイバー、並びにスラグ繊維、ロックウール、ワラストナイト、ゾノトライト、チタン酸カリウムウイスカー、ホウ酸アルミニウムウイスカー、ボロンウイスカー、塩基性硫酸マグネシウムウイスカーなどの繊維状無機充填材や、ガラスフレーク、ガラスビーズ、黒鉛、タルク、マイカ、カオリナイト、セピオライト、アタバルジャイト、モンモリロナイト、ベントナイト、スメクタイトなどの珪酸塩化合物、シリカ、アルミナ、炭酸カルシウム等の無機フィラーが挙げられる。これらの無機充填材は、例えば、金属コートガラス繊維や金属コート炭素繊維などのように異種材料で表面を被覆したものであってもよい。これらの無機充填材は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0068】
これらの中でもガラス繊維、炭素繊維、及びこれらのミルドファイバーが、成形安定性向上の点で有利であり、特にガラス繊維及びそのミルドファイバーは、ポリカーボネート樹脂と失活PETよりなる樹脂成分とのより強固な密着性が達成される点で有利である。本発明で用いる無機充填材としては殊にガラス繊維が好ましい。
【0069】
ガラス繊維としては、Aガラス、Cガラス、Eガラス等のガラス組成を特に限定するものではなく、場合によりTiO、SO、P等の成分を含有するものであってもよい。但し、Eガラス(無アルカリガラス)がより好ましい。
【0070】
また、ガラス繊維の平均繊維径としては特に限定されるものではないが、通常1〜25μmのものが使用され、好ましくは3〜17μmである。この範囲の平均繊維径を持つガラス繊維は、熱膨張係数と剥離力に対する耐性の両立において良好である。繊維径が細くなると樹脂成分との界面の面積が増加するため成形安定性向上効果はよいが、かかる界面による剥離力への好ましくない影響は増加する。界面の密着性が優先される場合に、より太い径のガラス繊維の使用は1つの処方となり得る。
【0071】
ガラス繊維の好ましい繊維長としては、樹脂組成物ペレット又は成形品中での数平均繊維長として50〜1,000μm、好ましくは100〜500μm、特に好ましくは120〜300μmのものである。なお、ガラス繊維の数平均繊維長は、成形品を溶剤に溶解したり、樹脂を塩基性化合物で分解した後に採取されるガラス繊維の残渣から、光学顕微鏡観察などから画像解析装置により算出される値である。なお、数平均繊維長の算出に際しては繊維径以下の長さのものはカウントしない。他の繊維状充填材においても数平均繊維長は1,000μm以下が適切である。
【0072】
ガラス繊維等の無機充填材は、ポリカーボネート樹脂と失活PETよりなる樹脂成分とのより強固な密着性を達成するために、シランカップリング剤などにより表面処理されていることが好ましい。かかるシランカップリング剤における反応基としては、エポキシ基、アミノ基、ビニル基、及びメタクリロキシ基などが挙げられ、特にエポキシ基及びアミノ基が好ましい。
【0073】
また、ガラス繊維や炭素繊維においては、通常、繊維を集束処理するための表面被覆がなされる。樹脂成分との密着性は表面被覆剤の影響を大きく受けるため、表面被覆剤の選択は重要である。樹脂成分との強固な結合を確保して成形安定性を改善する点から、エポキシ基含有化合物からなる表面被覆剤が好ましい。エポキシ基含有化合物は、ポリカーボネート樹脂と失活PETよりなる樹脂成分に対する反応性に富み、密着性が良好であり、また、密着性の耐湿熱性にも優れる。
【0074】
ガラス繊維等の無機充填材の表面処理剤として、各種のエポキシ基含有化合物が使用可能であるが、エポキシ基含有化合物は、好ましくはその分子量が500以上の高分子構造を有するものであり、さらに好ましくは、1分子中に複数のエポキシ基を含有するものである。また耐熱性の観点から芳香環から主として構成される構造が好ましい。
【0075】
より具体的にはエポキシ基含有化合物として好適なものとしては、エポキシ樹脂、中でもフェノールノボラック型エポキシ樹脂、線状クレゾールノボラック型エポキシ樹脂が挙げられ、特にフェノールノボラック型エポキシ樹脂であることが好ましい。
【0076】
本発明において、無機充填材として好ましく用いられるガラス繊維は、上述のエポキシ基を有するシランカップリング剤や、エポキシ基含有化合物よりなる表面被覆剤で処理されることにより、表面にグリシジル基を有するものであることが、本発明の効果を顕著なものとする点で好ましい。
【0077】
本発明のPC/PET複合樹脂組成物における無機充填材の含有割合は、ポリカーボネート樹脂と失活PETとからなる樹脂成分100質量部に対して1〜20質量部、好ましくは2〜15質量部、より好ましくは3〜10質量部である。
無機充填材の含有割合が上記下限値より少ないと無機充填材を配合したことによる寸法安定性の改良効果を十分に得ることができず、上記上限値を超えると衝撃強度が劣る場合がある。
【0078】
[その他の成分]
本発明に係る樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、上述のポリカーボネート樹脂及び失活PETと熱安定剤及び無機充填材の他、通常のポリカーボネート樹脂組成物に含有される他の種々の添加剤を含有していてもよい。
【0079】
含有し得る各種添加剤としては、酸化防止剤、離型剤、紫外線吸収剤、染顔料、難燃剤、強化剤、耐衝撃性改良剤、帯電防止剤、防曇剤、滑剤・アンチブロッキング剤、流動性改良剤、可塑剤、分散剤、防菌剤などが挙げられる。これらは2種以上を併用してもよい。以下、本発明の樹脂組成物に好適な添加剤の一例について具体的に説明する。
【0080】
離型剤としては、脂肪族カルボン酸、脂肪族カルボン酸とアルコールとのエステル、数平均分子量200〜15000の脂肪族炭化水素化合物、ポリシロキサン系シリコーンオイルの群から選ばれる少なくとも1種の化合物が挙げられる。
【0081】
脂肪族カルボン酸としては、飽和又は不飽和の脂肪族1価、2価又は3価カルボン酸を挙げることができる。ここで脂肪族カルボン酸とは、脂環式のカルボン酸も包含する。これらの中では、好ましい脂肪族カルボン酸は、炭素数6〜36の1価又は2価カルボン酸であり、炭素数6〜36の脂肪族飽和1価カルボン酸が更に好ましい。係る脂肪族カルボン酸の具体例としては、パルミチン酸、ステアリン酸、カプロン酸、カプリン酸、ラウリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、メリシン酸、テトラリアコンタン酸、モンタン酸、アジピン酸、アゼライン酸などが挙げられる。
【0082】
脂肪族カルボン酸とアルコールとのエステルにおける脂肪族カルボン酸としては、前記脂肪族カルボン酸と同じものが使用できる。一方、アルコールとしては、飽和又は不飽和の1価又は多価アルコールを挙げることができる。これらのアルコールは、フッ素原子、アリール基などの置換基を有していてもよい。これらの中では、炭素数30以下の1価又は多価の飽和アルコールが好ましく、炭素数30以下の脂肪族飽和1価アルコール又は多価アルコールが更に好ましい。ここで脂肪族とは、脂環式化合物も含有する。係るアルコールの具体例としては、オクタノール、デカノール、ドデカノール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、2,2−ジヒドロキシペルフルオロプロパノール、ネオペンチレングリコール、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトール等が挙げられる。
【0083】
なお、上記のエステル化合物は、不純物として脂肪族カルボン酸及び/又はアルコールを含有していてもよく、複数の化合物の混合物であってもよい。
【0084】
脂肪族カルボン酸とアルコールとのエステルの具体例としては、蜜ロウ(ミリシルパルミテートを主成分とする混合物)、ステアリン酸ステアリル、ベヘン酸ベヘニル、ベヘン酸ステアリル、グリセリンモノパルミテート、グリセリンモノステアレート、グリセリンジステアレート、グリセリントリステアレート、ペンタエリスリトールモノパルミテート、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールジステアレート、ペンタエリスリトールトリステアレート、ペンタエリスリトールテトラステアレート等が挙げられる。
【0085】
数平均分子量200〜15000の脂肪族炭化水素としては、流動パラフィン、パラフィンワックス、マイクロワックス、ポリエチレンワックス、フィッシャートロプシュワックス、炭素数3〜12のα−オレフィンオリゴマー等が挙げられる。ここで、脂肪族炭化水素としては、脂環式炭化水素も含まれる。また、これらの炭化水素化合物は部分酸化されていてもよい。これらの中では、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス又はポリエチレンワックスの部分酸化物が好ましく、パラフィンワックス、ポリエチレンワックスが更に好ましい。数平均分子量は、好ましくは200〜5000である。これらの脂肪族炭化水素は単一物質であっても、構成成分や分子量が様々なものの混合物であっても、主成分が上記の範囲内であればよい。
【0086】
ポリシロキサン系シリコーンオイルとしては、例えば、ジメチルシリコーンオイル、フェニルメチルシリコーンオイル、ジフェニルシリコーンオイル、フッ素化アルキルシリコーン等が挙げられる。これらは2種類以上を併用してもよい。
【0087】
離型剤の含有量は、ポリカーボネート樹脂と失活PETの合計100質量部に対し、通常0.001〜2質量部、好ましくは0.01〜1質量部である。離型剤の含有量が0.001質量部未満の場合は離型性の効果が十分でない場合があり、2質量部を超える場合は、耐加水分解性の低下、射出成形時の金型汚染などの問題がある。
【0088】
紫外線吸収剤の具体例としては、酸化セリウム、酸化亜鉛などの無機紫外線吸収剤の他、ベンゾトリアゾール化合物、ベンゾフェノン化合物、トリアジン化合物などの有機紫外線吸収剤が挙げられる。これらの中では有機紫外線吸収剤が好ましい。特に、ベンゾトリアゾール化合物、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノール、2−[4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−5−(オクチロキシ)フェノール、2,2’−(1,4−フェニレン)ビス[4H−3,1−ベンゾキサジン−4−オン]、[(4−メトキシフェニル)−メチレン]−プロパンジオイックアシッド−ジメチルエステルの群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
【0089】
ベンゾトリアゾール化合物の具体例としては、メチル−3−[3−tert−ブチル−5−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル]プロピオネート−ポリエチレングリコールとの縮合物が挙げられる。また、その他のベンゾトリアゾール化合物の具体例としては、2−ビス(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−tert−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−2’−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3−tert−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−tert−アミル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2,2’−メチレン−ビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2N−ベンゾトリアゾール2−イル)フェノール][メチル−3−[3−tert−ブチル−5−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル]プロピオネート−ポリエチレングリコール]縮合物などが挙げられる。これらは2種以上を併用してもよい。
【0090】
上記の中では、好ましくは、2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノール、2−[4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−5−(オクチロキシ)フェノール、2,2’−メチレン−ビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2N−ベンゾトリアゾール2−イル)フェノール]である。
【0091】
紫外線吸収剤の含有量は、ポリカーボネート樹脂と失活PETの合計100質量部に対し、通常0.01〜3質量部、好ましくは0.1〜1質量部である。紫外線吸収剤の含有量が0.01質量部未満の場合は耐候性の改良効果が不十分の場合があり、3質量部を超える場合はモールドデボジット等の問題が生じる場合がある。
【0092】
染顔料としては、無機顔料、有機顔料、有機染料などが挙げられる。無機顔料としては、例えば、カーボンブラック、カドミウムレッド、カドミウムイエロー等の硫化物系顔料;群青などの珪酸塩系顔料;亜鉛華、弁柄、酸化クロム、酸化チタン、鉄黒、チタンイエロー、亜鉛−鉄系ブラウン、チタンコバルト系グリーン、コバルトグリーン、コバルトブルー、銅−クロム系ブラック、銅−鉄系ブラック等の酸化物系顔料;黄鉛、モリブデートオレンジ等のクロム酸系顔料;紺青などのフェロシアン系顔料が挙げられる。有機顔料及び有機染料としては、銅フタロシアニンブルー、銅フタロシアニングリーン等のフタロシアニン系染顔料;ニッケルアゾイエロー等のアゾ系染顔料;チオインジゴ系、ペリノン系、ペリレン系、キナクリドン系、ジオキサジン系、イソインドリノン系、キノフタロン系などの縮合多環染顔料;アンスラキノン系、複素環系、メチル系の染顔料などが挙げられる。これらは2種以上を併用してもよい。これらの中では、熱安定性の点から、カーボンブラック、酸化チタン、シアニン系、キノリン系、アンスラキノン系、フタロシアニン系化合物などが好ましい。
【0093】
染顔料の含有量は、ポリカーボネート樹脂と失活PETの合計100質量部に対し、通常5質量部以下、好ましくは3質量部以下、更に好ましくは2質量部以下である。染顔料の含有量が5質量部を超える場合は耐衝撃性が十分でない場合がある。
【0094】
難燃剤としては、ハロゲン化ビスフェノールAのポリカーボネート、ブロム化ビスフェノール系エポキシ樹脂、ブロム化ビスフェノール系フェノキシ樹脂、ブロム化ポリスチレンなどのハロゲン系難燃剤、リン酸エステル系難燃剤、ジフェニルスルホン−3,3’−ジスルホン酸ジカリウム、ジフェニルスルホン−3−スルホン酸カリウム、パーフルオロブタンスルホン酸カリウム等の有機金属塩系難燃剤、ポリオルガノシロキサン系難燃剤などが挙げられるが、リン酸エステル系難燃剤が特に好ましい。
【0095】
リン酸エステル系難燃剤の具体例としては、トリフェニルホスフェート、レゾルシノールビス(ジキシレニルホスフェート)、ハイドロキノンビス(ジキシレニルホスフェート)、4,4’−ビフェノールビス(ジキシレニルホスフェート)、ビスフェノールAビス(ジキシレニルホスフェート)、レゾルシノールビス(ジフェニルホスフェート)、ハイドロキノンビス(ジフェニルホスフェート)、4,4’−ビフェノールビス(ジフェニルホスフェート)、ビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)等が挙げられる。これらは2種以上を併用してもよい。これらの中では、レゾルシノールビス(ジキシレニルホスフェート)、ビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)が好ましい。
【0096】
難燃剤の含有量は、ポリカーボネート樹脂と失活PETの合計100質量部に対し、通常1〜30質量部、好ましくは3〜25質量部、更に好ましくは5〜20質量部である。難燃剤の含有量が1質量部未満の場合は難燃性が十分でない場合があり、30質量部を超える場合は耐熱性が低下する場合がある。
【0097】
滴下防止剤としては、例えば、ポリフルオロエチレン等のフッ素化ポリオレフィンが挙げられ、特にフィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレンが好ましい。これは、重合体中に容易に分散し、且つ、重合体同士を結合して繊維状材料を作る傾向を示す。フィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレンはASTM規格でタイプ3に分類される。ポリテトラフルオロエチレンは、固体形状の他、水性分散液形態のものも使用可能である。フィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレンとしては、例えば三井・デュポンフロロケミカル社より、「テフロン(登録商標)6J」又は「テフロン(登録商標)30J」として、ダイキン工業社より「ポリフロン(商品名)」として市販されている。
【0098】
滴下防止剤の含有量は、ポリカーボネート樹脂と失活PETの合計100質量部に対し、通常0.02〜4質量部、好ましくは0.03〜3質量部である。滴下防止剤の配合量が5質量部を超える場合は成形品外観の低下が生じる場合がある。
【0099】
なお、本発明に係る樹脂組成物には、ポリカーボネート樹脂及び失活PET以外の他の樹脂成分やゴム成分(エラストマー)が含まれていてもよい。この場合、他の樹脂ないしゴム成分としては、例えば、アクリロニトリル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリスチレン樹脂などのスチレン系樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂などのポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリメタクリレート樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂などが挙げられるが、これらの他の樹脂やゴム成分(エラストマー)の含有量は、ポリカーボネート樹脂と失活PETとの併用による効果を十分に確保する上で、ポリカーボネート樹脂と失活PETとの合計100質量部に対して30質量部以下とすることが好ましい。
【0100】
[PC/PET複合樹脂組成物の製造方法]
本発明のPC/PET複合樹脂組成物は、ポリカーボネート樹脂、失活PET、無機充填材、リン系熱安定剤及び/又はヒンダードフェノール系熱安定剤、並びに必要に応じて添加される他の添加剤を用いて、従来公知の任意の方法を適宜選択して製造することができる。
【0101】
具体的には、ポリカーボネート樹脂、失活PET、無機充填材、リン系熱安定剤及び/又はヒンダードフェノール系熱安定剤、並びに必要に応じて配合される添加剤を、タンブラーやヘンシェルミキサーなどの各種混合機を用い予め混合した後、バンバリーミキサー、ロール、ブラベンダー、単軸混練押出機、二軸混練押出機、ニーダーなどで溶融混練して樹脂組成物を製造することができる。また、各成分を予め混合せずに、又は、一部の成分のみ予め混合してフィーダーを用いて押出機に供給して溶融混練して樹脂組成物を製造することもできる。
【0102】
[PC/PET複合樹脂組成物の好適物性]
本発明のPC/PET複合樹脂組成物のうち、好ましいものは、280℃で60分間保持した後のクロロホルム可溶分の数平均分子量Mnの、280℃で60分保持する前のクロロホルム可溶分の数平均分子量Mnに対する保持率、即ち、Mn/Mn×100で算出される熱滞留後の数平均分子量の保持率が、80%以上である。この数平均分子量の保持率が80%未満では、本発明で目的とする滞留熱劣化の抑制効果が十分であるとは言えず、滞留熱劣化の問題がある。好ましくは、この数平均分子量の保持率は85%以上,さらに好ましくは90%以上である。
【0103】
また、本発明のPC/PET複合樹脂組成物のうち、好ましいものは、280℃で60分間保持した後のシャルピー衝撃強度Ipが、280℃で60分保持する前のシャルピー衝撃強度Ipの80%以上、即ち、Ip/Ip×100で算出される熱滞留後のシャルピー衝撃強度の保持率が80%以上である。このシャルピー衝撃強度の保持率が80%未満では、本発明で目的とする滞留熱劣化の抑制効果が十分であるとは言えず、滞留熱劣化の問題がある。好ましくは、このシャルピー衝撃強度の保持率は85%以上,さらに好ましくは90%以上である。
【0104】
なお、本発明のPC/PET複合樹脂組成物のシャルピー衝撃強度Ipは5.0kJ/m以上、特に7.0kJ/m以上であることが好ましい。
【0105】
また、本発明のPC/PET複合樹脂組成物のうち、好ましいものは、当該樹脂組成物を280℃で30分保持した後に射出成形した成形品のMFRを[R]、当該樹脂組成物を該射出成形機に注入後直ちに射出成形した成形品のMFRを[R]とした際、下記(3)式で算出されるMFR[R]に対するMFR[R]の低下率が、−20〜20%であることを特徴とするPC/PET複合樹脂組成物である。
MFRの低下率=(R−R)/R×100 …(3)
【0106】
本発明では、当該樹脂組成物をシリンダ温度280℃のシリンダ中にて、30分滞留させた後に、同シリンダ温度にて射出成形した(以下、単に「射出成形した」と記す。)成形品のMFRを[R]とし、そして当該樹脂組成物を280℃のシリンダ内に注入後し、射出成形に十分な充填量となった後、直ちに射出成形したて得られた成形品のMFRを[R]とし、これらの値を用いて、上述した(3)式によりMFRの低下率を算出した。尚、射出成形機としては名機製作所製「M150AII−SJ型」を用いた。
【0107】
このMFRの低下率が20%を超える場合、あるいは−20%未満の場合では、射出成形において経時で樹脂組成物の流動性変化が大きいため、同一条件での射出成形が困難となり、ショートショットやバリの発生などの成形不良現象が発生する。
MFRの低下率は特に−10〜10%であることが好ましい。
【0108】
なお、本発明において、PC/PET複合樹脂組成物の数平均分子量、シャルピー衝撃強度、及びMFRは、後述の実施例の項に記載される方法で測定された値である。
【0109】
また、上述のPC/PET複合樹脂組成物の数平均分子量、及びシャルピー衝撃強度の評価における保持条件を、「280℃、60分(1時間)」という条件とするのは、通常のPC/PET複合樹脂組成物の射出成形におけるシリンダーの滞留温度及び滞留時間の最も高い温度及び最も長い時間を想定したものであり、280℃で1時間、樹脂組成物の滞留熱劣化の問題がないものであれば、通常の使用において、滞留熱劣化は生じないという想定に基くものである。
【0110】
一方、MFRの低下率の評価における保持条件を、「280℃、30分間」という条件とするのは、樹脂組成物中に含まれる無機充填材の凝集に伴う粘度上昇が、成形機内での滞留後15〜30分間程度で起こり、それ以降はポリカーボネート樹脂の分子量低下による粘度低下と相殺されて成形性の変化が見かけ上低減される傾向を示すので、評価に最も適する滞留時間が30分間であるためである。
【0111】
[PC/PET複合樹脂成形品の製造方法]
本発明のPC/PET複合樹脂組成物から成形品を製造する方法は、特に限定されるものではなく、熱可塑性樹脂について一般に採用されている成形法、すなわち一般的な射出成形法、超高速射出成形法、射出圧縮成形法、多色射出成形法、ガスアシスト射出成形法、断熱金型を用いた成形法、急速加熱冷却金型を用いた成形法、発泡成形(超臨界流体も含む)、インサート成形、IMC(インモールドコーティング成形)成形法、押出成形法、シート成形法、熱成形法、回転成形法、積層成形法、プレス成形法などを採用することができる。また、各種射出成形法においてはホットランナー方式を用いた成形法を選択することもできる。
【0112】
また、本発明のPC/PET複合樹脂組成物を他の熱可塑性樹脂組成物と多色複合成形して複合成形品とすることもできる。
【0113】
なお、本発明では、ポリエチレンテレフタレート樹脂として失活PETを用い、特定の熱安定剤を配合すると共に、更に特定量の無機充填材を用いることにより、ポリカーボネート樹脂にポリエチレンテレフタレート樹脂を複合化したことによる樹脂組成物の滞留熱劣化は抑制されるため、成形工程における滞留熱劣化の問題は防止されるが、この滞留温度が過度に高く、また、滞留時間が過度に長いと、滞留熱劣化の問題が生じる恐れがある。従って、本発明のPC/PET複合樹脂組成物の成形工程における樹脂組成物の滞留温度は280℃以下で滞留時間は60分以下とすることが好ましい。
【実施例】
【0114】
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、これらの実施例に限定されるものではない。
【0115】
なお、実施例及び比較例において使用した樹脂組成物の配合成分は、以下の通りである。
【0116】
ポリカーボネート樹脂:三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製品 芳香族ポリカーボネート樹脂「商品名:ユーピロン(登録商標)S−3000」、粘度平均分子量21,500、末端ヒドロキシル基含有量150ppm
【0117】
ポリエチレン樹脂:日本ポリエチレン社製「商品名:カーネルKS240T」(ポリエチレン樹脂)
【0118】
未処理PET:三菱化学(株)製品 PET「GG500S」、重縮合触媒として、二酸化ゲルマニウム触媒を用いたもの、固有粘度[η]:0.76dl/g、末端カルボキシル基濃度AV:28μeq/g、ET比率:97.8当量%、固相重合速度Ks:0.0086dl/g・hr(物性値はいずれも後述の測定方法による。)
【0119】
失活PET:上記未処理PETに対して、以下の重縮合触媒の失活処理を施したもの、固有粘度[η]:0.75dl/g、末端カルボキシル基濃度AV:30μeq/g、ET比率:97.8当量%、固相重合速度Ks:0.0032dl/g・hr(物性値はいずれも後述の測定方法による。)
<失活処理方法>
未処理PET50kgを100℃の蒸留水50kg中で1時間煮沸処理した後、脱水し、窒素雰囲気中、120℃で6時間時間乾燥した。
【0120】
リン系熱安定剤:チバ・スペシャルテイ・ケミカルズ社(株)製「イルガフォス168」(トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト)
ヒンダードフェノール系熱安定剤:チバ・スペシャルテイ・ケミカルズ社「イルガノックス1076」(オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)
【0121】
無機充填材T:日本タルク社製 タルク「商品名 マイクロエースP3」平均粒径5μm
無機充填材A:日本電気硝子社製 ガラス繊維「商品名 ECS03T−571」(平均繊維径13μm、平均繊維長3mm)
無機充填材B:日本電気硝子社製 ガラス繊維「商品名 ECS03T−187」(平均繊維径13μm、平均繊維長3mm、表面にグリシジル基を含む表面処理(ビスフェノール型エポキシ樹脂により収束)されたガラス繊維)
【0122】
カーボンブラック:三菱化学(株)製「#1000」ファーネスカーボンブラック
【0123】
また、各種物性ないし特性の評価方法は次の通りである。
【0124】
<PETの末端カルボキシル基濃度>
樹脂チップ0.5gを精秤し、195℃のベンジルアルコール25ml中に溶解し、氷水中で数十秒間冷却した後エチルアルコール2mlを加え、自動滴定装置(東亜電波製「AUT−301」)を用いて、0.01N−NaOHベンジルアルコール溶液で中和滴定した。測定滴定量A(ml)、ブランク滴定量B(ml)、NaOHベンジルアルコールの力価F、及び、試料の秤量値W(g)より、下記式により、末端カルボキシル基量AV(μeq/g)を求めた。
AV=(A−B)×0.01×F×1000/W
【0125】
<PETの固有粘度>
凍結粉砕したPET試料0.50gを、フェノール/テトラクロロエタン(重量比1/1)の混合液を溶媒として、濃度(c)を1.0g/dlの溶液を調製した。ここで試料溶解条件は120℃で30分間で溶解させた。この溶液を30℃にてウベローデ型粘度計を用いて、溶媒のみ(c=0)に対する相対粘度(ηrel )を測定し、この相対粘度(ηrel )−1を比粘度(ηsp)とし濃度(c)との比(ηsp/c)を求めた。同様にして濃度(c)を0.5g/dl、0.2g/dl、0.1g/dlとして、それぞれの比(ηsp/c)を求め、これらの値より、濃度(c)を0に外挿したときの比(ηsp/c)を固有粘度[η](dl/g)として求めた。
【0126】
<PETの組成分析>
樹脂試料を重水素化トリフルオロ酢酸に常温で溶解させた3重量%溶液を用いて、核磁気共鳴装置(日本電子社製「JNM−EX270型」)にてH−NMRを測定し、各ピークを帰属し、その積分比からテレフタル酸、及びテレフタル酸以外のジカルボン酸成分、並びに、エチレングリコール、及びそれ以外のジオール成分の割合を求め、オキシエチレンオキシテレフタロイル単位の含有率(ET比率)を算出した。
【0127】
<PETの固相重合速度>
1粒当りの平均粒重が24mgとなるようにカットされたPETチップ10gを直径30mmφ、高さ30mmのステンレス製メッシュで作成した容器に入れ、イナートオーブン(ESPEC社製「IPHH−201型」)中で、40リットル/分の窒素気流下160℃で4時間乾燥させた。その後、窒素流通を保持した状態で160℃から210℃まで1時間かけて昇温し、210℃で保持後3時間後の固有粘度[η]s、2時間後の固有粘度[η]mから、以下の(1)式により算出した。
固相重合速度Ks=([η]s−[η]m)/1 …(1)
【0128】
[実施例1〜4、比較例1〜3]
表1に示す各成分を表1に示す割合でタンブラーミキサーで均一に混合した後、二軸押出機(日本製鋼所社製、TEX30XCT、L/D=42、バレル数12)を用いて、シリンダー温度280℃、スクリュー回転数200rpm、吐出量30kg/hrにてバレルより押出機にフィードし、溶融混練することにより樹脂組成物のペレットを作製した。
【0129】
上記の方法で得られたペレットを、120℃で6時間以上乾燥した後、射出成形機(名機製作所製「M150AII−SJ型」)を用いて、シリンダー温度280℃、金型温度80℃、成形サイクル55秒の条件で、シリンダ内に樹脂を滞留させない通常成形、つまりシリンダ内に溶融樹脂組成物を注入後し、射出成形に十分な充填量となった後、直ちに射出成形を行った(保持時間無しの)場合、シリンダー内に60分間保持した後に成形を行った場合、およびシリンダー内に30分間保持した後に成形を行った場合の、各々の条件下で得られた試験片を作製した(それぞれ保持時間無しの試験片と、60分保持後の試験片と、30分保持後の試験片)。試験片形状はISO3167多目的試験片typeAに準拠した。
【0130】
<樹脂組成物の数平均分子量保持率>
上述の成形法にて得られた保持時間無しの試験片の数平均分子量Mnと60分保持後の試験片の数平均分子量Mnをそれぞれ測定し、これらの値から、数平均分子量の保持率(Mn/Mn×100)を算出した。
【0131】
なお、数平均分子量は以下の方法により測定した。
(樹脂組成物の数平均分子量)
樹脂組成物の成形片から約50mgを切り出し、クロロホルム中に0.1wt%となるように浸漬し、室温で24hr静置した。この溶液を0.45μmのポリテトラフルオロエチレン製メンブレンフィルターで濾過し、ゲルクロマトグフィー測定用クロロホルム可溶分を得た。得られた樹脂組成物のクロロホルム可溶分0.1mlを、Tosoh HLC−8220GPC(R)に注入し、クロロホルムを移動相として、流速1.0ml/分でGPC測定を行った。カラムにはPL 10μm Mixed B(7.5mm I.D×30cm×2)を用い、カラム温度を40℃として、内蔵RIを検出器として使用した。較正試料には単分散ポリスチレンを用い、ポリスチレン換算法で数平均分子量測定を行った。測定は1試料につき2回行い、2回の平均値を数平均分子量Mnとした。
【0132】
<樹脂組成物のシャルピー衝撃強度>
上述の成形法にて得られた保持時間無しの試験片についてISO179規格に準拠してノッチ付きシャルピー衝撃強度Ipを測定した。
【0133】
<樹脂組成物のシャルピー衝撃強度保持率>
上述の成形法にて得られた60分保持後の試験片のシャルピー衝撃強度Ipを測定し、保持時間無しの試験片のシャルピー衝撃強度Ipとからシャルピー衝撃強度の保持率(Ip/Ip×100)を算出した。
【0134】
<樹脂組成物のMFRの低下率>
上記の方法で成形した保持時間無しの試験片と30分保持後の試験片をそれぞれ剪定鋏で裁断して、それぞれMFR(メルトフローレート)測定に供した。測定条件は、シリンダー温度を280℃、荷重を2.16kgとして、ASTM D1238に準拠した。
30分保持後の試験片のMFRを[R]とし、保持時間無しの試験片のMFRを[R]とし、これらの値を用いて、以下の計算式に基づいてMFRの低下率を算出した。
MFRの低下率=([R]−[R])/[R]×100
【0135】
<樹脂組成物の弾性率>
保持時間無しの試験片についてISO527に準拠して、樹脂組成物の弾性率を測定した。
【0136】
<成形品外観>
シリンダー内で60分間保持した後に上述の成形法で得られたISO試験片について成形品外観を目視にて観察し、以下の基準により評価した。
◎:シルバーや発泡痕等は見られず、光沢のある表面外観を呈する。
○:光沢のある表面外観を呈するが、ゲート付近等に僅かな凹凸が認められる。
×:表面の大部分にシルバーが発生し、表面光沢のない外観を呈する。
【0137】
評価結果を表1に示す。
【0138】
【表1】
【0139】
表1より次のことが分かる。本発明の樹脂組成物、特に実施例3に記載の樹脂組成物は、射出成形時の滞留による粘度変化が起きにくく、熱安定性と成形安定性及びシャルピー衝撃強度や弾性率等の機械物性バランスに優れ、表面外観も優れたものとなることが分かる。
実施例4より、ポリエチレン樹脂等の他の樹脂を配合しても本発明の効果を達成することができることが分かる。
【0140】
比較例1は、未処理PETを用いたものであり、無機充填材も熱安定剤も含まず、数平均分子量保持率、シャルピー衝撃強度保持率、MFRの低下率、成形品外観のすべてが劣る。
比較例2は未処理PETを用いたものであり、無機充填材を含むが、熱安定剤を含まず、数平均分子量保持率、シャルピー衝撃強度保持率、成形品外観が劣る結果となる。
比較例3は失活PETを用いたものであるが、無機充填材を含むものの熱安定剤を含まず、数平均分子量保持率が劣る結果となる。