特許第5696402号(P5696402)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5696402
(24)【登録日】2015年2月20日
(45)【発行日】2015年4月8日
(54)【発明の名称】アクチュエータ
(51)【国際特許分類】
   H02K 33/16 20060101AFI20150319BHJP
【FI】
   H02K33/16 A
【請求項の数】4
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2010-194932(P2010-194932)
(22)【出願日】2010年8月31日
(65)【公開番号】特開2012-55069(P2012-55069A)
(43)【公開日】2012年3月15日
【審査請求日】2013年7月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002059
【氏名又は名称】シンフォニアテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137486
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 雅直
(74)【代理人】
【識別番号】100155309
【弁理士】
【氏名又は名称】坪内 哲也
(72)【発明者】
【氏名】村口 洋介
【審査官】 マキロイ 寛済
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第04346318(US,A)
【文献】 特開平11−187638(JP,A)
【文献】 特開昭58−108039(JP,A)
【文献】 特開平02−161625(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 33/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークと関連付けられ移動可能に構成される可動子と、この可動子に電磁力を作用させて可動子を移動可能方向に沿って往復運動させる磁気回路とを具備するアクチュエータであって、
前記磁気回路は、断面Cの字状乃至コの字状をなしその端面同士が対向する固定子コアと、固定子コアに巻回されるコイルと、固定子コアの各端面に設けられる板状の永久磁石と、固定子コアの端面に設けられる永久磁石同士の間に配置され可動子を構成する鉄心とを含む複数の要素部品から構成されており、
前記磁気回路を構成する要素部品のうち前記可動子を構成する鉄心以外の要素部品は、固定子コアの端面同士の間に生ずる磁束の向きに直交する少なくとも三方向に可動子を開放するように配置され
前記永久磁石は、前記固定子コアの各端面に取り付けられ互いに対向する磁極が異なる一対のものを、可動子の移動可能方向に沿って隣接する磁極が異なるように2組配置されていることを特徴とするアクチュエータ。
【請求項2】
前記固定子コアの端面は、端面同士が平行な平面形状をなすように形成されている請求項1に記載のアクチュエータ。
【請求項3】
前記可動子を移動可能に支持する支持機構の少なくとも一部は、前記固定子コアに挟まれる位置に配置されている請求項1又は2に記載のアクチュエータ。
【請求項4】
前記可動子を移動可能に支持する支持機構と前記可動子の位置を検出する位置検出センサとは、互いに対向して可動子を挟む位置関係に設定されている請求項1〜のいずれかに記載のアクチュエータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークと関連付けられる可動子を移動させる磁気回路を有するアクチュエータに係り、特にワークの設置位置を始めとする設計要求が種々の態様となる場合でもこれに対応可能な新たな磁気回路を有するアクチュエータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
可動子の動作に伴いワークを移動させるアクチュエータとして、特許文献1に示すリニアアクチュエータが知られている。このリニアアクチュエータは、固定子を構成する断面略筒状のコアと、このコアの内部において移動可能に構成される可動子と、可動子に電磁力を作用させて可動子を移動させる磁気回路とを具備している。このコアの内壁には可動子に向けて延出して互いに対向する一対の対向面が形成されており、これら対向面には永久磁石が取り付けられ、各々の磁石が可動子に対向している。磁気回路は、上記のコアと、コアに巻回されるコイルと、コアの対向面に取り付けられた磁石と、コアの対向面同士の間に配置された可動子を構成する鉄心とを含む複数の要素部品から構成されており、コイルへの通電によって可動子を固定子に対し相対移動させるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−339147号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のようなワークを移動させるアクチュエータは、可動子とワークとの位置関係、可動子を支持する支持機構の配置位置および可動子の移動可能方向を始めとする設計要求が用途等に応じて種々の態様を取り得るものであり、種々の態様に対応可能なアクチュエータが求められている。
【0005】
しかしながら、特許文献1に示すものを始めとして従来のアクチュエータでは、磁気回路を構成するコアやコイル等の要素部品が可動子を包囲する構成が通例であるので、ワークの設置位置や可動子を移動可能に支持する支持機構の配置位置が例えば往復方向(二方向)に限定されるとともに、可動子の移動可能方向も往復方向に限定されてしまうという制約があり、磁気回路の一構成で種々の態様に対応することは難しい。
【0006】
このような課題は、上述のような磁気回路を構成する要素部品のうち可動子を構成する磁路部材が鉄心である可動鉄心型のものに限らず、磁路部材が永久磁石である可動磁石型の場合でも同様のことがいえる。
【0007】
本発明は、このような課題に着目してなされたものであって、その目的は、可動子を移動させる磁気回路に起因する制約を低減して、ワークの設置位置を始めとする設計要求が種々の態様となる場合であってもこれに対応可能な新たな磁気回路を有するアクチュエータを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、かかる目的を達成するために、次のような手段を講じたものである。
【0009】
すなわち、本発明のアクチュエータは、ワークと関連付けられ移動可能に構成される可動子と、この可動子に電磁力を作用させて可動子を移動可能方向に沿って往復運動させる磁気回路とを具備するアクチュエータであって、前記磁気回路は、断面Cの字状乃至コの字状をなしその端面同士が対向する固定子コアと、固定子コアに巻回されるコイルと、固定子コアの各端面に設けられる永久磁石と、固定子コアの端面に設けられる永久磁石同士の間に配置され可動子を構成する鉄心とを含む複数の要素部品から構成されており、前記磁気回路を構成する要素部品のうち前記可動子を構成する鉄心以外の要素部品は、固定子コアの端面同士の間に生ずる磁束の向きに直交する少なくとも三方向に可動子を開放するように配置され、前記永久磁石は、前記固定子コアの各端面に取り付けられ互いに対向する磁極が異なる一対のものを、可動子の移動可能方向に沿って隣接する磁極が異なるように2組配置されていることを特徴とする。
【0010】
断面Cの字状乃至コの字状をなすとは、コアの形状が断面ほぼCの字状をなすものや断面ほぼコの字状をなすものを含む意味である。
【0011】
このように、磁気回路を構成する要素部品のうち可動子を構成する鉄心以外の要素部品が、固定子コアの端面同士の間に生じる磁束の向きに直交する少なくとも三方向に可動子を開放するように配置されているので、多くとも二方向にしか可動子が開放されない従来に比べてワークの設置位置や可動子を支持する支持機構の配置位置の制約を低減して設計自由度を向上させることが可能となり、種々の設計要求に対応することが可能となる。
【0012】
かも、少なくとも三方向に可動子が開放されているので、可動子の動作に直線運動だけでなく、回転運動や揺動運動を採用することが可能となり、新たな態様を実現することが可能となる。
【0013】
また、固定子コアの端面には、可動子の移動可能方向に応じた方向に沿って隣接する磁極が異なるように板状の永久磁石が配置されていることから、部品を共通化して製造コストを低減させつつ可動子の移動可能方向を多方向に対応させることができる。
【0014】
さらに、鉄心が可動子を構成し、固定子コアの端面に永久磁石が設けられている可動鉄心型であるため、可動子の軽量化を可能として高速移動及び高効率化を追求することもできる。
【0015】
上記の支持機構の自由な配置や可動子の種々の動作を実現するとともに、可動子の組み付け性を向上させるためには、前記固定子コアの端面は、端面同士が平行な平面形状をなすように形成されていることが望ましい。
【0016】
小型化を追求するためには、前記可動子を移動可能に支持する支持機構の少なくとも一部は、前記固定子コアに挟まれる位置に配置されていることが効果的である。
【0017】
可動子の位置を検出する位置検出センサを配置するにあたり、検出精度を向上させるためには、前記可動子を移動可能に支持する支持機構と前記可動子の位置を検出する位置検出センサとは、互いに対向して可動子を挟む位置関係に設定されていることが効果的である。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、以上説明した構成であるから、可動子を移動させる磁気回路を構成する要素部品によって可動子が包囲されることを避けて少なくとも三方向に可動子が開放されているので、多くとも二方向にしか可動子が開放されない従来に比べてワークの設置位置や可動子を支持する支持機構の配置位置の制約が低減され、設計自由度を向上させることが可能となり、磁気回路の一構成を以て種々の設計要求に対応することが可能となる。しかも、少なくとも三方向に可動子が開放されているので、可動子の動作に直線運動だけでなく、回転運動や揺動運動を採用することが可能となり、新たな態様を実現することが可能となる。したがって、種々の設計要求に対応し得る汎用性のあるアクチュエータを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施形態に係るアクチュエータを示す斜視図。
図2】同アクチュエータを示す正面図。
図3】同アクチュエータを示す平面図。
図4】同アクチュエータを示す側面図。
図5】同アクチュエータを構成する可動子を示す図。
図6】同アクチュエータの製造方法に関する図。
図7】同アクチュエータの製造方法に関する図。
図8】同アクチュエータの動作に関する説明図。
図9】同アクチュエータの適用例を示す説明図。
図10】本発明の他の実施形態に係るアクチュエータの構成を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
【0021】
本実施形態のアクチュエータは、図1図4に示すように、可動子2を移動可能方向(図1及び図3で示すX方向)に沿って往復運動させるリニアアクチュエータに適用されており、固定子1と、この固定子1に対し相対移動可能に構成される可動子2と、この可動子2に電磁力を作用させて可動子2を移動させる磁気回路mcとを有している。そして、本実施形態のリニアアクチュエータは、可動子2に例えばワイヤボンダのノズル等を始めとするワークを取り付け又は連結等により関連付けて、これら装置の駆動部を構成するために利用される。
【0022】
固定子1は、図6(a)に示すように、固定子コアとも呼ばれる断面Cの字状をなし端面10a同士が対向するC型コア10と、図1図3に示すように、このC型コア10に巻回されるコイル11と、C型コア10の端面10a・10aに取り付けられる永久磁石12とを有する。なお、コア10が断面Cの字状をなしているが、断面コの字状をなすものでもよく、ここでは両者をまとめてC型コアと称する。
【0023】
固定子1を構成するC型コア10は、図4及び図6(a)に示すように、断面Cの字状をなす複数のコア板10sを積層して固定したもので、図2及び図6(a)に示すように、基端部10bから延びる一対の延出部10c・10cの先端部たる端面10a・10a同士の間を開放して端面10a・10a同士が互いに対向して平行な平面形状をなすように形成されている。
【0024】
固定子1を構成するコイル11は、図1図3及び図6(c)に示すように、巻数が等しい一対のコイル11・11をコア10に取り付けたもので、通電によりC型コア10及びその端面10a・10a同士の間のギャップgpに可動子2を移動させるための磁束を発現させるものである。各々のコイル11・11は、C型コア10の端面10a・10a同士、すなわち可動子コアたる鉄心2cを挟む延出部10c・10c同士の間のギャップgpを挟んで互いに対向する位置に配置され、図6(c)に示すように、C型コア10の端面10a・10a同士、すなわち可動子コアたる鉄心2cを挟む延出部10c・10c同士の中心線c1から対称の位置関係となるように設定されている。
【0025】
固定子1を構成する永久磁石12は、図3に示すように、一対の板状の永久磁石12a・12bを互いに対向する磁極が異なるようにC型コア10の各々の端面10a・10aに取り付けたものであり、これら一対の永久磁石12a・12bを二組用いて可動子の移動可能方向(X方向)に沿って隣接する磁極が異なるように配置している。
【0026】
C型コア10は、図2に示すように、その基端10b側がベース13に固定されており、このベース13を足場として可動子2を移動可能方向(X方向)に沿ってスライド可能に支持するスライド型軸受を用いた支持機構14が配置されている。
【0027】
可動子2は、図2及び図5に示すように、略棒状をなし先端2a側がC型コア10の端面10a・10a同士の間に配置され、基端2b側が図示しないボルト等の固着具で支持機構14に取り付けられ片持ち支持状態でC型コア10の端面10a(移動可能方向であるX方向)に沿って直線移動可能に構成されている。具体的には、可動子2は、図5に示すように、C型コア10の端面10a・10a同士の間に配置される可動子コアとも呼ばれる鉄心2cと、この鉄心2cと支持機構14とを関連付ける(連結)ための樹脂等の非磁性材からなる連結部材2dとを有する。鉄心2cは、図2に示すように、上記の固定子1を構成するC型コア10、コイル11及び永久磁石12とともに可動子2を移動させる磁束mfを発現させる磁気回路mcを構成する複数の要素部品の一部である。ここでは要素部品のうち可動子2を構成する要素部品を磁路部材と呼ぶが、主に図1及び図2で示す本実施形態のように、磁気回路mcを構成する要素部品(C型コア10,コイル11,永久磁石12,鉄心2c)のうち可動子を構成する磁路部材(鉄心2c)以外の要素部品(C型コア10,コイル11,永久磁石12)を、C型コア10の端面10a・10a同士の間に生ずる磁束の向き(Y方向)に直交する少なくとも三方向(X1方向,X2方向及びZ1方向)に可動子2を開放するように配置している。これはC型コア10を用いることにより実現可能となるものである。
【0028】
図3及び図5に示すように、可動子2を構成する連結部材2dは、鉄心2cを移動可能方向(X方向)側から挟み込んで鉄心2cを固定しており、鉄心2cのうちC型コア10の端面10a側を開放することにより鉄心2cとC型コア10に取り付けた永久磁石12との隙間を限りなく小さくして磁路を形成しやすいように鉄心2cを支持するものである。
【0029】
また、連結部材2dには、可動子2のうち先端2a側(反支持機構側)の寸法w1を基端2b側(支持機構14側)の寸法w2よりも小さくするテーパ部2dを形成することで、可動子2の重心を支持機構14側に可能な限り近づけるように構成されている。このように、支持機構14が可動子2を片持ち支持する構成では、可動子2の重心が支持機構14に近づくほど加減速時の振動に対する安定度が増すので、本実施形態のように可動子2の重心を支持機構14側に近づけるように、可動子2の支持機構14側と反支持機構側とを非対称に形成すると、加速時又は減速時に可動子2に生じる振動を低減して可動子2を効率よく駆動させることが可能となる。なお、図5に示す可動子2のコアギャップ方向の寸法w6は、図2に示すC型コア10の端面10a・10aに取り付けた永久磁石12同士の間のギャップ寸法w5に対応して若干小さく設定される。
【0030】
上記の支持機構14は、図2に示すように、この支持機構14の少なくとも一部をC型コア10の基端10b付近であってC型コア10の延出部10c・10cに挟まれる位置に配置し、図2及び図6(a)に示すC型コア10に挟まれる空間spを有効利用している。また、C型コア10に挟まれる空間spには、支持機構14の他に可動子2の位置を検出するエンコーダ等を用いた位置検出センサ15が上記のベース13を足場として設けられている。この位置検出センサ15は、支持機構14と互いに対向して可動子2の基端2bを挟む位置関係に設定されており、可動子2のうち支持機構14に近く振動の少ない部位を検出することで検出誤差を低減して検出精度を向上させている。位置検出センサ15は、図示しない検出対象となる対象部と、この対象部を感知する感知部とから構成されており、本実施形態では、対象部を可動子2に設け、検知部をベース13に固定することで、位置検出センサ15を調整容易にするとともに検出を安定させている。
【0031】
このように、アクチュエータを構成する支持機構14及び位置検出センサ15等の機構部品をアクチュエータの一方向側(C型コア10の基端10b側)に集めて、可動子2と関連付けるワーク等の配置自由度を格段に向上させるとともに、アクチュエータ自体を限られた範囲でコンパクト化している。
【0032】
上記の構成のアクチュエータの動作は特許文献1のものと同様であるので詳細な説明を省略するが、コイルに通電されていない場合は、図8(a)に示すように、対向する磁極が異なる一対の永久磁石12a・12bを、移動可能方向(X方向)に沿って隣接する磁極が異なるように二組配置することにより、C型コア10のギャップgpに互いに向きの異なる二つの磁束mf1・mf2を発現させる。図8(b)に示すように、コイル11に対し或る方向(正方向)に通電を行うと、二つの磁束mf1・mf2のうち一方の磁束mf1が強まり他方の磁束mf2が弱まり、鉄心2cすなわち可動子2が磁束の強まる方向(X1方向)へ電磁力が作用して可動子2が移動する。一方、図8(c)に示すように、上記の正方向に対して逆向きである逆方向にコイル11への通電を行う場合には、その逆の方向(X2方向)に電磁力が作用して可動子2が移動する。この動作原理を利用して、図2に示す位置検出センサ15の検出結果に基づきコイル11・11への通電をサーボ制御することでコイル11・11へ通電する電流の大きさ及び向きを制御し、可動子2を任意の位置に移動させるものである。すなわち、永久磁石12を並べる方向に応じて可動子2の移動可能方向が決定されており、且つ、図1に示すように少なくとも三方向に可動子2を開放する構成であるので、磁石の並びを図9(a)→図9(b)のように変えるだけで移動可能方向をX方向→Z方向に変えることができ、共通の部品を用いて移動可能方向を多方向に対応させることが可能となる。
【0033】
上記のアクチュエータは、次の工程を含む製造方法を実施することにより製造される。すなわち、その製造方法は、図6に示すように、コア用意工程と、コイル形成工程と、コイル取り付け工程と、磁石取り付け工程と、磁路形成工程とを含んで構成される。
【0034】
コア用意工程では、図6(a)及び図4に示すように、基端部10bから延びる一対の延出部10c・10cの先端部10a・10a同士の間が開放された断面Cの字状乃至コの字状をなす複数のコア板10sを積層して固定し固定子コアとも呼ばれるC型コア10を生成する。なお、コア板10sを積層せずにC型コア10を一体成型してもよい。
【0035】
コイル形成工程では、図6に示すように、C型コア10の延出部10c・10c同士の間に形成されるギャップのうち最も狭い先端部10a・10a同士の間のギャップ寸法w4よりもコイル11のギャップ方向の幅寸法w3を狭くし、且つ、C型コア10のうち延出部先端10aから環状コイル11の取り付け位置に至る部位の寸法w7,w8(図3参照)よりも環状コイル11の孔の寸法w9,w10を幅広とする制約の下において、固定子コア10と独立した状態で導線11aを巻回して環状のコイル11を形成する。この場合、C型コア10と独立した状態で所定の電磁力を得るために必要なターン数導線11aを巻回して環状コイル11を形成する。この場合、C型コア10と独立した状態で導線11aを巻くので専用の巻線機等を用いずに手作業でも作業効率を損なうことがなく、製造コストを省くことが可能となる。
【0036】
コイル取り付け工程では、図6(c)に示すように、巻回した環状のコイル11をC型コア10の先端部10a・10a同士(延出部10c・10c同士)の間のギャップgpを通しつつ、環状コイル11の孔に延出部10cを嵌めて樹脂等の接着剤を用いてコイル11をコア10に取り付ける。C型コア側を固定して装置に取り付けることが多いので、本方式のようにコイルを取付けたあと、ボイスコイルモータのように断線の恐れが無く。コイルへのリード線結線作業も容易となる。
【0037】
磁石取り付け工程では、図7(d)に示すように、C型コア10の端面10a・10aに、二対の板状の永久磁石12a・12bを互いに対向する磁極が異なるように取り付ける。この際、コイル11・11及び永久磁石12は、少なくとも三方向(X1方向,X2方向及びZ1方向)にギャップgpを開放するように配置される。
【0038】
磁路形成工程では、図7(e)に示すように、C型コア10の端面10a・10a同士(延出部10c・10c同士)の間に鉄心2cを配置して鉄心2cを含む可動子2を支持機構14に取り付け、鉄心2c及びC型コア10でコイル11への通電により生じる磁束の磁路を形成する。
【0039】
なお、可動子2を小型化して軽量化するほど得られる加速度が大きくなり、ワーク可動のタクトタイムが向上して駆動効率(製造装置の駆動部に適用する場合は生産性)の向上を追求することができるものの、図5に示すように可動子2のコアギャップ方向の寸法w6を小さくして可動子2を軽量化し、これに伴い図2に示す永久磁石12同士の間のギャップ寸法w5が図3に示すコア10の端面幅Lの約3分の1よりも小さくなると推力低下を招いてしまう。よって、モータの性能を落とさずに高効率化及びコンパクトな構成を実現するためには、図2に示す永久磁石12同士の間のギャップ寸法w5を図3に示すコア10の端面幅Lの3分の1以上に設定することが好ましい。
【0040】
以上のように本実施形態のアクチュエータは、ワークと関連付けられ移動可能に構成される可動子2と、この可動子2に電磁力を作用させて可動子2を移動させる磁気回路mcとを具備するものであって、磁気回路mcは、断面Cの字状をなしその端面10a・10a同士が対向する固定子コア(C型コア10)と、固定子コア(C型コア10)に巻回されるコイル11と、固定子コア(C型コア10)の端面10a・10a同士の間に配置され可動子2を構成する磁路部材(鉄心2c)とを含む複数の要素部品(C型コア10,コイル11,永久磁石12,鉄心2c)から構成されており、磁気回路mcを構成する要素部品(C型コア10,コイル11,永久磁石12,鉄心2c)のうち可動子2を構成する磁路部材(鉄心2c)以外の要素部品(C型コア10,コイル11,永久磁石12)は、固定子コア(C型コア10)の端面10a・10a同士の間に生ずる磁束mfの向きに直交する少なくとも三方向(X1方向,X2方向及びZ1方向)に可動子2を開放するように配置されている。
【0041】
このように、磁気回路mcを構成する要素部品(C型コア10,コイル11,永久磁石12,鉄心2c)のうち可動子2を構成する磁路部材(鉄心2c)以外の要素部品(C型コア10,コイル11,永久磁石12)が、固定子コア(C型コア10)の端面10a・10a同士の間に生じる磁束mfの向きに直交する少なくとも三方向(X1方向,X2方向及びZ1方向)に可動子2を開放するように配置されているので、多くとも二方向にしか可動子が開放されない従来に比べてワークの設置位置や可動子2を支持する支持機構14の配置位置の制約を低減して設計自由度を向上させることが可能となり、種々の設計要求に対応することが可能となる。しかも、少なくとも三方向(X1方向,X2方向及びZ1方向)に可動子2が開放されているので、可動子2の動作に直線運動だけでなく、回転運動や揺動運動を採用することが可能となり、新たな態様を実現することが可能となる。
【0042】
磁気回路を構成する要素部品のうち可動子を構成する磁路部材が永久磁石である可動磁石型の場合は、磁石の軽量化や磁石に孔を設ける等の加工が磁気回路に影響を与えるので、可動子の軽量化を通じて高速移動及び高効率化を追求することが難しいとともに、可動子のうちワークを取り付け可能な箇所に制約が生じるものであるが、本実施形態では、上記磁路部材は鉄心2cであり、固定子コア10の端面10a・10aには永久磁石12が設けられている可動鉄心型のものであるので、可動子を構成する鉄心を軽量化しても磁気回路に与える影響が僅かなであり、鉄心の軽量化を通じて高速移動及び高効率化を追求することが可能となる。例えば高加減速移動用のアクチュエータには、可動子がコイルで構成されるコイル可動型のボイスコイルモータが知られているが、コイル可動型のものは高加減速移動に伴いコイルの導線が破断するおそれがあり堅牢性に乏しいものであるのに対し、本実施形態では、可動鉄心型で高加減速移動を実現できるので、堅牢性を著しく向上させた高加減速移動用のアクチュエータを提供することが可能となる。さらに、鉄心に孔を設ける等の加工が可能となり、可動子の任意の箇所にワークを取り付け可能となるので、可動子のうちワークの取り付け可能な箇所の制約を無くすことが可能となる。
【0043】
また、本実施形態では、固定子コア(C型コア10)の端面10aは、端面10a・10a同士が平行な平面形状をなすように形成されているので、例えば特許文献1のようにコア端面が円弧形状であるもののように可動子2の移動可能方向が一方向に限定することなく、コア10の端面10aであればどのような方向にでも対応することができるので、直線運動だけでなく回転運動や揺動運動など可動子の種々の動作を実現することが可能となる。同様に、可動子2を支持する支持機構14をコア10の端面10aに平行であればどのような位置にでも配置できるので、支持機構14の配置自由度を向上させることが可能となる。さらに、コア10の端面10aに沿って可動子をスライドさせながら挿入可能となるので、可動子2の組み付け性を向上させることが可能となる。
【0044】
さらに、本実施形態では、固定子コア(C型コア10)の端面10aには、可動子2の移動可能方向(X方向)に応じた方向に沿って隣接する磁極が異なるように板状の永久磁石12が配置されているので、可動子2の移動可能方向を例えばX方向→Z方向に変えたい場合でもその方向に合わせて永久磁石12a・12bを配置すればよく、部品を共通化して製造コストを低減させつつ可動子の移動可能方向を多方向に対応させることが可能となる。
【0045】
加えて、本実施形態では、可動子2を移動可能に支持する支持機構14の少なくとも一部が、固定子コア(C型コア10)に挟まれる位置に配置されているので、アクチュエータを構成する支持機構14等の機構部品を一方向側(基端10b側)に集めて、可動子2と関連付けるワーク等の配置自由度を格段に向上させるとともに、アクチュエータの小型化を追求することが可能となる。
【0046】
その他、本実施形態では、可動子2を移動可能に支持する支持機構14と可動子2の位置を検出する位置検出センサ15とが、互いに対向して可動子2を挟む位置関係に設定されているので、位置検出センサ15と支持機構14とが近くに配置され、検出位置での可動子2の振動に起因する検出誤差を低減又は無くすことができ、検出精度を向上させることが可能となる。
【0047】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、各部の具体的な構成は、上述した実施形態のみに限定されるものではない。
【0048】
例えば、本実施形態では、支持機構14に可動子2を直線運動可能に支持するスライド軸受を用いているが、例えば、図10に示すように、コア10のギャップgpから変位した位置c2を中心に可動子2を回転可能に支持する支持機構214を配置すると、図10の矢印で示すように、可動子2を回転運動又は揺動運動させることが可能となる。
【0049】
その他、本実施形態では、磁気回路mcを構成する要素部品のうち可動子2を構成する磁路部材が鉄心2cである可動鉄心型のアクチュエータであるが、磁路部材を永久磁石とする可動磁石型に適用するなど、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【符号の説明】
【0050】
10…C型コア(固定子コア)
10a…C型コアの端面(固定子コアの端面)
11…コイル
12…永久磁石
14…支持機構
15…位置検出センサ
2…可動子
2c…鉄心(磁路部材)
mc…磁気回路
gp…ギャップ
図1
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図10