(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の技術では、基準クロック信号および制御クロック信号の各々を生成する2系統の回路を個別に設置する必要があるから、回路構成が煩雑化するという問題や、負荷に応じてクロック信号を変更する時点でトランジスタの制御が不連続になるという問題がある。以上の事情を考慮して、本発明は、2系統の信号や回路を必要とせずに低負荷時の消費電力を低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以上の課題を解決するために本発明が採用する手段を説明する。なお、本発明の理解を容易にするために、以下の説明では、本発明の要素と後述の実施形態の要素との対応を括弧書で付記するが、本発明の範囲を実施形態の例示に限定する趣旨ではない。
【0006】
本発明の電圧生成回路は、直流電源(例えば直流電源12)に接続されたトランジスタ(例えばトランジスタTR1)を駆動パルス(例えば駆動パルスPDR1)の供給で導通させて出力電圧(例えば出力電圧VOUT)を生成する電圧生成回路であって、出力電圧に応じた検出電圧(例えば検出電圧VD)を生成する電圧検出回路(例えば電圧検出回路30)と、周期的に変化する基準電圧(例えば基準電圧VREF)を生成する基準生成回路(例えば基準生成回路40)と、検出電圧に応じたパルス幅の制御パルス(例えば制御パルスPX)が順次に設定された制御信号(例えば制御信号X)を検出電圧と基準電圧との比較の結果に応じて生成する比較回路(例えば比較回路50)と、制御パルスのパルス幅が所定幅を上回る場合に当該制御パルスに対応する駆動パルスを生成してトランジスタに供給し、制御パルスのパルス幅が所定幅を下回る場合に駆動パルスの生成を停止する駆動パルス生成回路(例えば駆動パルス生成回路60)とを具備
し、駆動パルス生成回路は、制御信号を遅延させる遅延回路と、遅延前の制御信号と遅延後の制御信号との否定論理積を出力する論理回路と、論理回路の出力信号に応じて駆動パルスを生成する駆動回路とを含む。
【0007】
以上の構成においては、高負荷時には、制御信号の制御パルス毎に駆動パルスを生成することで出力電圧VOUTが高い精度で目標値に維持され、低負荷時には、駆動パルスの生成を停止することで消費電力が低減される。検出電圧と基準電圧との高低に応じて生成された制御信号のうち所定幅を下回る制御パルスについて駆動パルスの生成が停止されるから、高負荷時と低負荷時とで共通の回路や信号(例えば基準電圧VREF)を利用しながら前述の各効果が実現される。したがって、高負荷用と低負荷用とで回路や信号を個別に用意する必要がない(例えば回路構成が簡素化される)という利点がある。
【0008】
また、論理回路は、遅延回路による遅延前の制御信号と遅延後の制御信号との否定論理積を出力する。したがって、論理回路の出力信号(例えば制御信号Y1)には、遅延回路による遅延前の制御信号(例えば制御信号X)と遅延後の制御信号(例えば制御信号XD)との制御パルスの重複に対応するパルス(例えば制御パルスPY1)が発生する。すなわち、制御信号の制御パルスのパルス幅が遅延回路による遅延量を上回る場合には論理回路の出力信号に当該制御パルスが反映され、制御パルスのパルス幅が遅延回路による遅延量を下回る場合には論理回路の出力信号には当該制御パルスは反映されない。駆動回路は、例えば、論理回路の出力信号に応じて前縁が規定されるとともに遅延回路による遅延後の制御信号に応じて後縁が規定された駆動パルスを生成する。以上の構成によれば、遅延回路を利用した簡易な構成で制御パルスの長短を区別できるという利点がある。
【0009】
制御パルスのパルス幅の判別に遅延回路を利用する以上の態様において、遅延回路の遅延量が大きい場合には、駆動パルスの生成に使用される制御パルス(論理回路の出力信号に反映される制御パルス)の個数が減少するから、出力電圧の生成に必要な消費電力が低減される。他方、遅延回路の遅延量が小さい場合には、駆動パルスの生成に使用される制御パルスの個数が増加するから、出力電圧を高い精度で所期の目標値に設定および維持することが可能となる。したがって、遅延回路の遅延量が可変に設定される構成によれば、出力電圧の高精度な生成と消費電力の低減とを遅延回路の遅延量に応じて選択的に優先することが可能である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<A:第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係る電圧生成回路100のブロック図である。電圧生成回路100は、直流電源12が発生する入力電圧VINに応じた出力電圧VOUTを生成して出力端子14に供給する電源回路(DC-DCコンバータ)である。出力端子14には駆動負荷(図示略)が接続される。
図1に示すように、電圧生成回路100は、Pチャネル型のトランジスタTR1とNチャネル型のトランジスタTR2とチョークコイルLと平滑容量Cと制御回路20とを含んで構成される。
【0012】
トランジスタTR1とトランジスタTR2とは電源間に直列に接続される。具体的には、トランジスタTR1のドレインとトランジスタTR2のドレインとが接続点Nにて相互に接続され、トランジスタTR1のソースには入力電圧VINが供給されるとともにトランジスタTR2のソースは接地される。チョークコイルLは、トランジスタTR1およびトランジスタTR2の接続点Nと出力端子14(駆動負荷)との間に介在する。平滑容量Cは、出力端子14に接続されて出力電圧VOUTを平滑化する。
【0013】
制御回路20は、トランジスタTR1およびトランジスタTR2の制御で出力端子14に出力電圧VOUTを発生させる。具体的には、制御回路20は、駆動信号DR1をトランジスタTR1のゲートに供給し、駆動信号DR2をトランジスタTR2のゲートに供給する。
【0014】
図1に示すように、制御回路20は、電圧検出回路30と基準生成回路40と比較回路50と駆動パルス生成回路60とを具備する。なお、第1実施形態では制御回路20を1個の集積回路に搭載した構成を例示するが、制御回路20の各要素を複数の集積回路に分散した構成も採用され得る。
【0015】
電圧検出回路30は、出力端子14に発生する出力電圧VOUTに応じた検出電圧VDを生成する。第1実施形態の電圧検出回路30は、
図1に示すように、抵抗素子322と抵抗素子324と電圧源34と増幅器(誤差増幅器)36とを含んで構成される。抵抗素子322および抵抗素子324は、出力端子14から帰還される出力電圧VOUTの分圧で帰還電圧V1を生成する。電圧源34は、所定の比較電圧V2(例えば1.2V)を生成する直流電源である。帰還電圧V1は増幅器36の非反転入力端子に供給され、比較電圧V2は増幅器36の反転入力端子に供給される。
【0016】
増幅器36は、帰還電圧V1と比較電圧V2との差電圧を増幅した検出電圧VDを生成する。具体的には、出力電圧VOUTが比較電圧V2に対して高いほど検出電圧VDは上昇し、出力電圧VOUTが比較電圧V2に対して低いほど検出電圧VDは低下する。駆動負荷に対する供給電力が増加する(高負荷時)ほど出力電圧VOUTは低下するから、高負荷時ほど検出電圧VDは低下する(低負荷時ほど検出電圧VDは上昇する)。
図2は、高負荷時(検出電圧VDが低い場合)の各信号の波形図であり、
図3は、低負荷時(検出電圧VDが高い場合)の各信号の波形図である。
【0017】
図1の基準生成回路40は、周期的に変化する基準電圧VREFを生成する発振回路であり、電流源回路42とトランジスタ44と容量素子46とを含んで構成される。容量素子46の両端間の電圧が基準電圧VREFとして比較回路50に供給される。電流源回路42は、所定の電流を生成して容量素子46に供給する定電流源である。トランジスタ44は、容量素子46の両端間に介在するスイッチである。単位期間T0を1周期とするクロック信号CLKがゲートに供給されることで、トランジスタ44は、単位期間T0の始点にて瞬間的にオン状態に遷移して容量素子46の両端間を短絡させる。したがって、
図2および
図3に示すように、各単位期間T0の始点にてゼロに初期化されて単位期間T0内で経時的に増加するように電圧値が単位期間T0を1周期として変動する三角波状または鋸波状の基準電圧VREFが容量素子46の両端間に発生する。
【0018】
図1の比較回路50は、反転入力端子と非反転入力端子とを含む演算増幅器で構成される。電圧検出回路30が生成した検出電圧VDが比較回路50の反転入力端子に供給され、基準生成回路40が生成した基準電圧VREFが比較回路50の非反転入力端子に供給される。比較回路50は、検出電圧VDと基準電圧VREFとを比較して比較の結果に応じた制御信号Xを生成する。具体的には、
図2および
図3に示すように、基準電圧VREFが検出電圧VDを上回る場合には制御信号Xがハイレベルに設定され、基準電圧VREFが検出電圧VDを下回る場合には制御信号Xがローレベルに設定される。したがって、基準電圧VREFの周期に相当する単位期間T0毎にパルス(以下「制御パルス」という)PXを配置した波形の制御信号Xが生成される。
【0019】
前述のように高負荷時ほど検出電圧VDは低下する(低負荷時ほど検出電圧VDは上昇する)から、高負荷時ほど各制御パルスPXのパルス幅WXは長くなる(低負荷時ほどパルス幅WXは短くなる)。以上の説明から理解されるように、比較回路50は、検出電圧VD(出力電圧VOUT)に応じたパルス幅WXのパルスPXが配置された制御信号Xを生成するパルス幅変調回路として機能する。
【0020】
図1の駆動パルス生成回路60は、比較回路50から供給される制御信号Xを利用して駆動信号DR1および駆動信号DR2を生成する。
図1に示すように、駆動パルス生成回路60は、短パルス除去回路70と駆動回路80とを含んで構成される。短パルス除去回路70は、比較回路50が生成した制御信号Xから制御信号Y1および制御信号Y2を生成し、駆動回路80は、制御信号Y1および制御信号Y2から駆動信号DR1および駆動信号DR2を生成する。
【0021】
図1に示すように、短パルス除去回路70は、遅延回路72と論理回路74と反転回路76と反転回路78とを含んで構成される。遅延回路72は、
図2および
図3に示すように、比較回路50が生成した制御信号Xを所定の遅延量δだけ遅延させた制御信号XDを生成する。遅延回路72による遅延量δは、単位期間T0(基準電圧VREFの1周期)よりも短い時間長に設定される。
【0022】
図1の論理回路74は、遅延回路72による遅延前の制御信号X(すなわち比較回路50による生成の直後の制御信号X)と遅延回路72による遅延後の制御信号XDとの否定論理積(NAND)を出力する否定論理積回路である。反転回路76は、論理回路74の出力信号を反転させて制御信号Y1を生成する。
【0023】
図2に示すように制御パルスPXのパルス幅WXが遅延量δよりも長い場合(すなわち高負荷時)、遅延回路72による遅延前の制御信号Xと遅延後の制御信号XDとで制御パルスPXが部分的に重複する。したがって、反転回路76が生成する制御信号Y1には、制御信号Xと制御信号XDとで制御パルスPXが重複する区間に相当するパルス幅の制御パルスPY1が発生する。
【0024】
他方、
図3の左方から第1番目や第2番目の制御パルスPXのようにパルス幅WXが遅延量δよりも短い場合(すなわち低負荷時)、遅延回路72による遅延前の制御信号Xと遅延後の制御信号XDとで制御パルスPXは重複しない。したがって、遅延量δよりも短いパルス幅WXの制御パルスPXに対応する制御パルスPY1は制御信号Y1に発生せず、遅延量δよりも長いパルス幅WXの制御パルスPXに対応する制御パルスPY1のみが制御信号Y1に発生する。すなわち、短パルス除去回路70は、遅延量δよりも短いパルス幅WXの制御パルスPXを制御信号Y1において除去する要素として機能する。
【0025】
図1の反転回路78は、遅延回路72による遅延後の制御信号XDを反転させて制御信号Y2を生成する。したがって、
図2および
図3に示すように、制御信号Y2には、制御信号XDの各制御パルスPXとは逆極性(負極性)の制御パルスPY2が発生する。
【0026】
図1の駆動回路80は、信号生成回路82と信号生成回路84と比較回路86とを具備する。信号生成回路82および信号生成回路84は、RS(Reset-Set)型のフリップフロップ回路で構成される。信号生成回路82は、駆動信号DR1を生成して出力端子/QからトランジスタTR1のゲートに供給し、信号生成回路84は、駆動信号DR2を生成して出力端子QからトランジスタTR2のゲートに供給する。
【0027】
信号生成回路82の入力端子Sには短パルス除去回路70(反転回路76)から制御信号Y1が供給され、信号生成回路82の入力端子Rおよび信号生成回路84の入力端子Sには短パルス除去回路70(反転回路78)から制御信号Y2が供給される。信号生成回路84の入力端子Rには比較回路86から比較信号SCが供給される。比較回路86は、トランジスタTR1とトランジスタTR2との接続点Nの電圧(以下「接続点電圧」という)VNと接地電圧GND(ゼロ)との高低に応じた比較信号SCを生成する。具体的には、接続点電圧VNが接地電圧GNDを下回る場合(VN<GND)には比較信号SCがローレベルに設定され、接続点電圧VNが接地電圧GND以上の場合(VN≧GND)には比較信号SCがハイレベルに設定される。
【0028】
以上の構成において、制御パルスPXのパルス幅WXが遅延量δを上回る高負荷時(WX>δ)には、
図2に示すように、遅延回路72での遅延の前後にわたる制御パルスPXの重複に対応する制御パルスPY1が制御信号Y1に発生する。したがって、信号生成回路82の出力端子/Qから出力される駆動信号DR1には、
図2に示すように、制御信号Y1の制御パルスPY1の前縁から制御信号Y2の直後の制御パルスPY2の後縁までの区間に相当するパルス幅(すなわち制御パルスPXと相等しいパルス幅)の駆動パルスPDR1が、各制御パルスPX(WX>δ)に対応して順次に設定される。駆動パルスPDR1は、Pチャネル型のトランジスタTR1を導通させる負極性のパルスである。
【0029】
以上に説明した駆動パルスPDR1の供給でトランジスタTR1がオン状態に遷移すると、
図2に示すように、接続点Nが直流電源12に接続されることで接続点電圧VNが入力電圧VINに上昇する。したがって、直流電源12からトランジスタTR1を経由してチョークコイルLに流れる電流ILは経時的に増加する。
【0030】
以上の状態で、信号生成回路82の入力端子Rと信号生成回路84の入力端子Sとに供給される制御信号Y2の制御パルスPY2の後縁が到来すると、信号生成回路82からトランジスタTR1に対する駆動パルスPDR1の供給が終了するとともに信号生成回路84からトランジスタTR2に供給される駆動信号DR2がハイレベルに設定される。すなわち、トランジスタTR1がオフ状態に遷移すると同時にトランジスタTR2がオン状態に遷移する。
【0031】
トランジスタTR1がオフ状態に遷移した直後の段階ではチョークコイルLが直前の電流ILを維持するように作用するから、
図2に示すように、接続点電圧VNが接地電圧GNDを下回る状態(VN=VL)で、トランジスタTR2を経由した電流ILが経時的に減少しながらチョークコイルLに引続き供給される。電流ILの減少とともに接続点電圧VNが経時的に上昇して接地電圧GNDに到達すると(IL=0)、比較回路86から出力される比較信号SCがハイレベルに遷移する。したがって、信号生成回路84の出力端子Qから出力される駆動信号DR2がローレベルに遷移してトランジスタTR2はオフ状態に遷移し、接続点電圧VNは出力電圧VOUTに変化する。以上のように高負荷時には、制御信号X(制御信号XD)の制御パルスPXの発生毎に電流ILの発生が反復されることで出力電圧VOUTが高い精度で所定の目標値に維持される。
【0032】
他方、低負荷時に制御パルスPXのパルス幅WXが遅延量δを下回ると(WX<δ)、
図3に示すように、制御パルスPXに対応する制御パルスPY1が制御信号Y1に発生しない(すなわち信号生成回路82がセットされない)。したがって、制御パルスPXに対応する駆動パルスPDR1が駆動信号DR1に発生しない。以上の説明から理解されるように、第1実施形態の駆動パルス生成回路60は、遅延量δを上回るパルス幅WXの制御パルスPXに対応する駆動パルスPDR1を生成してトランジスタTR1に供給し、制御パルスPXのパルス幅WXが遅延量δを下回る場合には駆動パルスPDR1の生成を停止する。駆動パルスPDR1の生成が停止した状態ではトランジスタTR1がオン状態に遷移しないから、チョークコイルLに対する電流ILの供給は実行されない。
【0033】
以上のように電流ILが停止した状態が継続すると出力電圧VOUTは経時的に低下し、例えば
図3の左方から第3番目の制御パルスPXのようにパルス幅WXが遅延量δを上回る状態となる。制御パルスPXのパルス幅WXが遅延量δを上回ると、駆動パルスPDR1が駆動信号DR1に発生することでトランジスタTR1がオン状態に遷移する。したがって、高負荷時と同様に、トランジスタTR1を経由した電流ILがチョークコイルLに供給されて出力電圧VOUTは上昇する。電流ILの供給で出力電圧VOUTが上昇すると、制御パルスPXのパルス幅WXが遅延量δを下回る状態となり、駆動パルスPDR1の生成が再び停止する。
【0034】
すなわち、第1実施形態では、遅延量δを下回るパルス幅WXの制御パルスPXに対応する駆動パルスPDR1の生成を低負荷時に停止するぶんだけ、高負荷時と比較してチョークコイルLに対する電流ILの供給(出力電圧VOUTの上昇)の頻度が減少する。したがって、低負荷時でも高負荷時と同様に制御パルスPX毎に電流ILを発生させる構成と比較して消費電力を低減することが可能である。
【0035】
以上に説明した第1実施形態では、高負荷時には、制御信号Xの制御パルスPX毎に電流ILを発生させることで出力電圧VOUTを高い精度で目標値に維持することが可能であり、低負荷時には駆動パルスPDR1の生成を停止することで消費電力を低減することが可能である。そして、検出電圧VD(出力電圧VOUT)と基準電圧VREFとの比較で生成された制御信号Xのパルス幅WXと所定値(遅延量δ)との高低に応じて駆動パルスPDR1の生成/停止が制御されるから、高負荷時と低負荷時とで共通の基準電圧VREFを使用しながら前述の各効果が実現される。したがって、高負荷用の回路と低負荷用の回路とを併設して選択的に利用する構成と比較して、回路構成が簡素化されるとともに出力電圧VOUTを連続的に生成できるという利点がある。
【0036】
<B:第2実施形態>
本発明の第2実施形態を以下に説明する。なお、以下に例示する各態様において作用や機能が第1実施形態と同等である要素については、以上の説明で参照した符号を流用して各々の詳細な説明を適宜に省略する。
【0037】
第2実施形態の遅延回路72は、制御信号Xに付与する遅延量δが可変に設定される可変遅延回路(例えば可変ディレイライン)である。具体的には、遅延量δは、例えば入力装置(図示略)に対する利用者からの指示に応じて可変に設定される。
【0038】
遅延量δを増加させるほど、遅延量δを下回るパルス幅WXの制御パルスPX(すなわち、駆動パルスPDR1の生成時に無視される制御パルスPX)の個数が増加するから、遅延量δが小さい場合と比較して、低負荷時における消費電力の低減の効果が顕著となる。他方、遅延量δを減少させるほど、遅延量δを下回るパルス幅WXの制御パルスPXの個数は減少するから、遅延量δが大きい場合と比較して、出力電圧VOUTを高精度に目標値に維持するという効果が顕著となる。
【0039】
以上に説明したように、第2実施形態によれば、駆動パルスPDR1の生成に反映される制御パルスPXの個数が遅延量δに応じて可変に制御されるから、例えば電圧生成回路100の用途に応じて電圧生成の性能(高精度な出力電圧VOUTの生成/消費電力の低減)を可変に設定することが可能である。例えば、消費電力の低減を優先すべき用途のもとでは遅延量δを増加させ、出力電圧VOUTの高精度な生成を優先すべき用途のもとでは遅延量δを減少させるという具合である。
【0040】
<C:変形例>
以上の各形態は多様に変形され得る。具体的な変形の態様を以下に例示する。以下の例示から任意に選択された2以上の態様は適宜に併合される。
【0041】
(1)変形例1
以上の形態においては、遅延回路72による遅延前の制御信号Xと遅延後の制御信号XDとの否定論理積を演算することで、遅延量δを下回るパルス幅WXの制御パルスPXについて駆動パルスPDR1の生成を停止したが、所定幅よりも短いパルス幅WXの制御パルスPXを駆動信号DR1に反映させないための構成は以上の例示に限定されない。例えば、計数回路(カウンタ)を利用して制御パルスPXのパルス幅WXを測定し、測定値と所定値とを比較した結果に応じて制御パルスPXを駆動信号DR1に反映させるか否かを制御する構成(したがって遅延回路72は省略される)が採用され得る。ただし、前述の各形態のように遅延回路72による遅延の前後の制御パルスPXの重複の有無を検出する構成によれば、例えば計数回路でパルス幅WXを測定する構成と比較して駆動パルス生成回路60(短パルス除去回路70)の構成が簡素化されるという利点がある。
【0042】
(2)変形例2
図4に示すように、増幅器36の発振を防止して安定的に動作させる位相補償回路38を前述の各形態の電圧検出回路30に追加した構成も採用され得る。
図4に例示された位相補償回路38は、増幅器36の非反転入力端子と出力端子14との間に直列に接続された容量素子382と抵抗素子384とで構成される。高負荷用の回路と低負荷用の回路とを選択的に利用する構成では、
図4のような位相補償回路38も高負荷用と低負荷用とで併設する必要があるが、高負荷時と低負荷時とで信号経路が共通化される本発明の各形態によれば、
図4の位相補償回路38のように動作の安定化のための回路も高負荷時と低負荷時とで共用できるという利点がある。