(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
商品を選択する商品選択手段と、選択された商品の決済が完了した旨を受信した場合に当該商品を搬出する商品搬出手段とを備えた自動販売機本体と、自動販売機本体に設けられたアンテナと、商品選択手段から商品が選択された場合に自動販売機本体から当該商品の選択情報が送信され、その後、電子マネーが記録された記憶媒体が前記アンテナにかざされた場合に、当該記憶媒体に記録された電子マネーによる商品の決済を開始したことを示す決済状態、商品の決済が完了した場合に決済結果を自動販売機本体に送信する一方、商品の決済が中断された場合に決済が未了である旨を自動販売機本体に送信する決済端末とを備え、決済が未了である旨を自動販売機本体が受信した場合に自動販売機本体が取引を中断するとともに予め定めた時間内に決済が完了しない場合には、取引キャンセルを受信して販売待機状態となる自動販売機において、前記自動販売機は、前記決済端末から決済が未了であることを受信した状態で貨幣が投入された場合には、投入された貨幣を保留し、前記決済端末からの決済を優先することを特徴とする自動販売機。
商品を選択する商品選択手段と、選択された商品の決済が完了した旨を受信した場合に当該商品を搬出する商品搬出手段とを備えた自動販売機本体と、自動販売機本体に設けられたアンテナと、商品選択手段から商品が選択された場合に自動販売機本体から当該商品の選択情報が送信され、その後、電子マネーが記録された記憶媒体が前記アンテナにかざされた場合に、当該記憶媒体に記録された電子マネーによる商品の決済を開始したことを示す決済状態、商品の決済が完了した場合に決済結果を自動販売機本体に送信する一方、商品の決済が中断された場合に決済が未了である旨を自動販売機本体に送信する決済端末とを備え、決済が未了である旨を自動販売機本体が受信した場合に自動販売機本体が取引を中断するとともに予め定めた時間内に決済が完了しない場合には、取引キャンセルを受信して販売待機状態となる自動販売機において、商品先選択後、アンテナへ記憶媒体がかざされると、ほぼ同時に貨幣が投入されると、投入された貨幣を保留し、前記記憶媒体による決済を継続することを特徴とする自動販売機。
請求項1または2に記載の自動販売機において、前記決済端末から決済が未了であることを受信した状態で、前記予め定めた時間が経過すると、保留されている貨幣を返却することを特徴とする自動販売機。
請求項1または2に記載の自動販売機において、前記決済端末から決済が未了であることを受信した状態で、前記予め定めた時間が経過すると、保留されている貨幣による販売モードに移行することを特徴とする自動販売機。
請求項5に記載の自動販売機において、前記保留されている貨幣が選択された商品の販売価格以上の場合には前記商品搬出出段を駆動して商品を搬出し、前記保留されている貨幣が選択された商品の販売価格未満の場合には、貨幣入金待ち状態とすることを特徴とする自動販売機。
請求項1ないし7のいずれか1項に記載の自動販売機において、前記貨幣保留中でかつ前記予め定めた時間が経過するまでは、貨幣返却用の返却レバーの操作を無効とすることを特徴とする自動販売機。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記自動販売機は、通信が中断された場合には決済未了となるが、自動販売機本体が決済端末から決済処理を再開したことを知らせる決済処理状態を受信した場合には、先に選択された商品が搬出されるが、この決済未了発生時に、記憶媒体が利用不可と勘違いし、仮にこの決済未了時に貨幣が投入された場合について考慮されておらず、利用者の混乱を招く虞がある。
【0005】
また、貨幣の投入については、記憶媒体のかざし行為と略同時に行われた場合についても、どちらから決済されるのかが分かりづらく、利用者の混乱を招く虞がある。
【0006】
本発明は、上記実情に鑑みて、記憶媒体利用時に混乱を招くことのない自動販売機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、商品を選択する商品選択手段と、選択された商品の決済が完了した旨を受信した場合に当該商品を搬出する商品搬出手段とを備えた自動販売機本体と、自動販売機本体に設けられたアンテナと、商品選択手段から商品が選択された場合に自動販売機本体から当該商品の選択情報が送信され、その後、電子マネーが記録された記憶媒体が前記アンテナにかざされた場合に、当該記憶媒体に記録された電子マネーによる商品の決済を開始したことを示す決済状態、商品の決済が完了した場合に決済結果を自動販売機本体に送信する一方、商品の決済が中断された場合に決済が未了である旨を自動販売機本体に送信する決済端末とを備え、決済が未了である旨を自動販売機本体が受信した場合に自動販売機本体が取引を中断するとともに予め定めた時間内に決済が完了しない場合には、取引キャンセルを受信して販売待機状態となる自動販売機において、前記自動販売機は、前記決済端末から決済が未了であることを受信した状態で貨幣が投入された場合には、投入された貨幣を保留し、前記決済端末からの決済を優先することを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る自動販売機は、商品先選択後、
前記アンテナへ記憶媒体がかざされると、ほぼ同時に貨幣が投入されると、投入された貨幣を保留し、前記記憶媒体による決済を継続することを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る自動販売機は、上記発明において、
前記記憶媒体による決済が完了した時点で、保留されている貨幣を返却することを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る自動販売機は、上記発明において、前記決済端末から決済が未了であることを受信した状態で、前記予め定めた時間が経過すると、保留されている貨幣を返却することを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る自動販売機は、上記発明において、前記決済端末から決済が未了であることを受信した状態で、前記予め定めた時間が経過すると、保留されている貨幣による販売モードに移行することを特徴とし、前記保留されている貨幣が選択された商品の販売価格以上の場合には前記商品搬出出段を駆動して商品を搬出し、前記保留されている貨幣が選択された商品の販売価格未満の場合には、貨幣入金待ち状態とすることを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る自動販売機は、上記発明において、
前記記憶媒体による決済が完了した時点で、保留されている貨幣による販売モードに移行することを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係る自動販売機は、上記発明において、前記貨幣保留中でかつ前記予め定めた時間が経過するまでは、貨幣返却用の返却レバーの操作を無効とすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る自動販売機は、商品先選択後、記憶媒体との決済未了時に硬貨が投入された場合には、投入された貨幣を保留し、決済端末からの決済を優先することにより、記憶媒体利用時の硬貨投入による利用者の混乱を招くことはないという効果が得られる。
【0015】
また、記憶媒体による決済完了後あるいは取引キャンセル後、その状態に応じ、自動販売機は、保留されている貨幣について自動返却あるいは現金販売へと移行するようにしたため、記憶媒体との処理後であっても、貨幣投入による利用者の混乱を招くことはないという効果が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る自動販売機の好適な実施の形態を詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0018】
図1は実施の形態である自動販売機の正面図、
図2は
図1に示した自動販売機の制御系を模式的に示すブロック図、
図3,
図4は自動販売機の制御の概略を示すフローチャート図、
図5は自動販売機の制御の概略を示すシーケンス図である。
【0019】
図1の自動販売機は、非接触ICカードや携帯電話等の記憶媒体に搭載した非接触ICチップにチャージした電子マネーにより商品を購入できるようにしたものであって、自動販売機本体1に決済端末2(
図2参照)を備えたものである。
ここで例示する自動販売機本体1は、例えば缶入り飲料やペットボトル入り飲料等の商品を販売するためのものである。
【0020】
自動販売機本体1は、前面が開口した直方体状の断熱筐体として形成されたものである。この内部には、図示しないが、複数の独立した商品収容庫が左右に並設してある。これら商品収容庫は、缶入り飲料やペットボトル入り飲料等の商品を所望の温度に維持した状態で収容するためのものである。商品収容庫には、商品収納ラック、搬出機構及び搬出シュータが設けてある。商品収納ラックは、商品を上下方向に沿って並ぶ態様で収納するためのものである。搬出機構は、商品収納ラックの下部に設けてあり、この商品収納ラックに収納された商品群の最下位にある商品を1つずつ搬出するためのものである。搬出シュータは、搬出機構から搬出された商品を商品取出口19に導くためのものである。
【0021】
上記自動販売機本体1の一側縁部に設けたヒンジ等により図示しない内扉及び外扉11がそれぞれ開閉可能となる態様で設けてある。内扉は、商品収容庫の前面を覆うに十分な大きさを有した断熱扉である。
【0022】
外扉11は、自動販売機本体1の前面開口を覆うに十分な大きさを有したものであり、自動販売機本体1の前面開口を閉成する場合には、自動販売機本体1の前面を構成するものである。この外扉11には、その前面側に商品見本展示室12、商品選択ボタン13、硬貨投入口14、紙幣挿入口15、デジタル表示器16、返却レバー17、硬貨返却口18、商品取出口19、
決済端末2のアンテナ部22(アンテナ)が設けてある。
【0023】
商品見本展示室12は、透明パネルを介して販売する商品の商品見本12aが視認可能となっている。
【0024】
商品選択ボタン13は、利用者が購入商品を選択するための押ボタンスイッチであり、商品見本展示室12を通じて視認される商品見本12aに対応して設けてある。
【0025】
硬貨投入口14は、利用者が硬貨を投入するための開口で、紙幣挿入口15は、利用者が紙幣を挿入するための開口である。
【0026】
デジタル表示器16は、貨幣の投入金額、販売中であるか否か、釣銭があるか否か等、各種情報を利用者に表示するための表示器である。
【0027】
返却レバー17は、利用者が投入した硬貨、紙幣を返却させるためのレバーである。
【0028】
硬貨返却口18は、後述する硬貨識別装置14aにおいて識別できなかった硬貨、あるいは釣銭となる硬貨を利用者に返却するための開口である。
【0029】
商品取出口19は、自動販売機本体1の内部から払い出された商品を利用者が受け取るための開口である。
【0030】
アンテナ部22は、利用者が所定のアクセス領域(通信可能領域)に電子マネーがチャージされたICカードあるいは携帯電話等の記憶媒体4(
図2参照)をかざすためのものである。
【0031】
次に、
図2の本発明の実施の形態である自動販売機の制御系を模式的に示すブロック図について説明すると、自販機主制御部10は、記憶部10aに記憶されたプログラム、記憶部10bに記憶されたデータにしたがって自動販売機の全体を統括して制御するものである。
【0032】
この自販機主制御部10には、商品の搬出装置30及び冷熱装置40など制御する本体制御部20、硬貨投入口14から投入された硬貨を識別する硬貨識別装置14a、紙幣挿入口15から挿入された紙幣を識別する紙幣識別装置15a、各種設定・確認操作を行うリモコン50、商品選択ボタン13、各種情報表示を行うデジタル表示器16、決済端末2が接続されている。
【0033】
決済端末2は、決済制御部21、アンテナ部22、通信端末23からなり、アンテナ部22、通信端末23は、決済制御部21に接続され、アンテナ部22にかざされた非接触ICカードあるいは携帯電話等の記憶媒体4にチャージされた電子マネーにより商品の決済が可能となっている。
【0034】
決済制御部21は、記憶部21aに記憶されたプログラムや記憶部21bに記憶されたデータにしたがって決済端末2の動作を統括的に制御するものであり、また、記憶媒体4がかざされるまでの経過時間を計測するタイマ21cを備えている。
【0035】
この決済制御部21は、通信端末23を介して電子マネー管理サーバ3と開局、閉局、締め管理に関する処理を行うものであり、開局処理にて、電子マネーによる決済が使用可能となるものである。
【0036】
アンテナ部22は、所定のアクセス領域(通信可能領域)に電子マネーがチャージされた記憶媒体4がかざされた場合に、記憶媒体4の情報の読み書きが可能になるものである。
【0037】
記憶媒体4は、非接触ICカードあるいは携帯電話等の記憶媒体に金銭的価値をデータとしてストア(チャージ)するタイプの電子マネーであり、それを支払いに利用するものである。
【0038】
なお、上記タイプの電子マネーのほか、クレジットカードや銀行口座と連携し、利用した金額が一般的に月単位で引き落とされる後払いタイプにも適用できる。
【0039】
また、決済制御部21は、自販機主制御部10から商品の決済情報が送信され、その後、電子マネーがチャージされた記憶媒体4がアンテナ部22にかざされた場合に記憶媒体4との間で決済を開始するようになっており、決済は、検出処理、認証処理、読込処理、決済処理から構成され、決済処理が完了した場合には、アンテナ部22から決済制御部21に決済が完了した旨が送信され、決済制御部21は自販機主制御部10に決済が完了した旨の決済結果を送信するようになっている。一方、決済途中において、記憶媒体4がアンテナ部22のアクセス領域から外れた場合等には、アンテナ部22が決済処理を中断し、アンテナ部22から決済制御部21に決済が未了である旨が送信され、決済制御部21は自販機主制御部10に決済が未了である旨送信するようになっている。
【0040】
自販機主制御部10は、決済未了の場合、決済制御部21から予め設定されている決済再処理時間であるリトライタイムが経過して取引キャンセルを受信するまで、あるいは決済が完了した決済結果の情報を受信するまで選択した商品を保持するようになっている。
【0041】
なお、自動販売機においても、商品先選択であるため、商品選択状態が有効のままとならないように商品が選択されてから一定時間経過すると、商品選択がキャンセルとなる。
【0042】
このような構成において、
図3,
図4のフローチャート図、
図5のシーケンス図を用いて、処理を説明する。
(実施の形態1)
図3のフローチャート図において、利用者が商品選択ボタン13を操作して商品を選択すると(ステップS301)、自販機主制御部10は決済制御部21に商品選択情報を送信する(ステップS302)。
【0043】
次に、アンテナ部22に記憶媒体4がかざされると(ステップS303)、記憶媒体4の検出、認証、読込、決済を順次行うが、決済制御部21は、この決済中であることを示す決済状態を自販機主制御部に送信する(ステップS304)。
【0044】
次に、
アンテナ部22に記憶媒体4がかざされたが、決済処理に至ることなく決済が中断すると(ステップS305,Yes)、決済制御部21は自販機主制御部10に決済が未了である未了信号を送信する(ステップS306)。
【0045】
この決済未了時点で、利用者が硬貨投入口14に硬貨を投入すると(ステップS307)、自販機主制御部10は、記憶媒体4による決済が開始されているため、投入された硬貨を硬貨識別装置14a内に一旦保留する(ステップS308)。
【0046】
一方、決済制御部21は、決済処理に至ることなく決済が中断すると、上記未了信号を送信するとともに、タイマ21cをスタートさせて計時を開始する(ステップS309)。このタイマ21cによる計時が予め設定されている決済再処理時間が経過するまでは、決済端末2のアンテナ部22にて記憶媒体4が再度かざされるのを待機している状態となる。
【0047】
次に、予め設定されている決済再処理時間が経過するまでに(ステップS309,No)、
アンテナ部22に記憶媒体4が再度かざされ(ステップS310,Yes)、決済処理を再開して決済が完了すると(ステップS311,Yes)、決済制御部21は自販機主制御部10に決済結果通知を送信する(ステップS312)。
【0048】
この決済結果通知を受信した自販機主制御部10は、本体制御部20に選択された商品の搬出指令を送信し、本体制御部20は搬出装置30を駆動して商品を商品取出口19に搬出するとともに(ステップS313)、硬貨識別装置14aに返却指令を送信し、保留されている投入硬貨を硬貨返却口18に返却して(ステップS316)、処理を終了する。
【0049】
一方、予め設定されている決済再処理時間が経過するまでに決済が完了しないと(ステップS309,Yes)、決済制御部21は自販機主制御部10に取引キャンセルを送信する(ステップS314)。
【0050】
この取引キャンセルを受信した自販機主制御部10は、商品選択をキャンセルするとともに(ステップS315)、硬貨識別装置14aに返却指令を送信し、保留されている投入硬貨を自動的に硬貨返却口18に返却して(ステップS316)、処理を終了する。
【0051】
このように、本実施の形態においては、決済未了中に硬貨が硬貨投入口14に投入された場合には、決済完了後あるいは取引キャンセル後、自動的に硬貨返却口18に返却することで、利用者の混乱を防ぐものである。
【0052】
なお、ステップS305において、決済が中断せずに(ステップS305,No)、決済が完了すると、通常の記憶媒体4における決済処理となり、決済制御部21は自販機主制御部10に決済結果通知を送信する(ステップS317)。
【0053】
この決済結果を受信した自販機主制御部10は、本体制御部20に選択された商品の搬出指令を送信し、本体制御部20は搬出装置30を駆動して商品を商品取出口19に搬出する(ステップS318)。
【0054】
また、予め設定されている決済再処理時間内に返却レバー17を操作しても無効とし、決済再処理時間経過後は、返却レバー17の操作を有効とする。
(実施の形態2)
図4のフローチャート図において、利用者が商品選択ボタン13を操作して商品を選択すると(ステップS401)、自販機主制御部10は決済制御部21に商品選択情報を送信する(ステップS402)。
【0055】
次に、アンテナ部22に記憶媒体4がかざされると(ステップS403)、記憶媒体4の検出、認証、読込、決済を順次行うが、決済制御部21は、この決済中であることを示す決済状態を自販機主制御部に送信する(ステップS404)。
【0056】
次に、アンテナ部22に記憶媒体4がかざされたが、決済処理に至ることなく決済が中断すると(ステップS405,Yes)、決済制御部21は自販機主制御部10に決済が未了状態である未了信号を送信する(ステップS406)。
【0057】
この決済未了時点で、利用者が硬貨投入口14に硬貨を投入すると(ステップS407)、自販機主制御部10では、記憶媒体4による決済が開始されているため、投入された硬貨を硬貨識別装置14a内に一旦保留する(ステップS408)。
【0058】
一方、決済制御部21は、決済処理に至ることなく決済が中断すると、上記未了信号を送信するとともに、タイマ21cをスタートさせて計時を開始する(ステップS409)。このタイマ21cによる計時が予め設定されている決済再処理時間が経過するまでは、決済端末2のアンテナ部22にて記憶媒体4が再度かざされるのを待機している状態となる。
【0059】
次に、予め設定されている決済再処理時間が経過するまでに記憶媒体4の再かざしによる決済が完了しないと(ステップS409,Yes)、決済制御部21は自販機主制御部10に取引キャンセルを送信する(ステップS412)。記憶媒体4による取引キャンセルを受信した自販機主制御部10は、保留されている硬貨にて先に選択されている商品が販売できるかを判断する(ステップS413)。
【0060】
すなわち、保留されている硬貨が販売価格以上であれば(ステップS413,Yes)、自販機主制御部10は、本体制御部20に搬出指令を送信し、本体制御部20は搬出装置30を駆動して先に選択されている商品を商品取出口19に搬出するとともに(ステップS414)、釣銭があれば(ステップS415,Yes)、硬貨返却口18に返却して(ステップS416)、処理を終了する。
【0061】
一方、保留されている硬貨が販売価格未満である場合には(ステップS413,No)、硬貨入金待ちとなり(ステップS417)、この時点で硬貨が硬貨投入口14に追加投入され、販売価格以上となれば(ステップS417,Yes)、自販機主制御部10は、本体制御部20に搬出指令を送信し、本体制御部20は搬出装置30を駆動して先に選択されている商品を商品取出口19に搬出するとともに(ステップS414)、釣銭があれば(ステップS415,Yes)、硬貨返却口18に返却して(ステップS416)、処理を終了する。
【0062】
また、硬貨入金待ちにて(ステップS417,No)、返却レバー17が操作されれば(ステップS418,Yes)、硬貨識別装置14aに返却指令を送信し、保留されている投入硬貨を硬貨返却口18に返却して(ステップS419)、処理を終了する。
【0063】
なお、予め設定されている決済再処理時間が経過するまでに(ステップS409,Yes)、記憶媒体4が再度かざされ(ステップS410,Yes)、決済処理を再開して決済が完了すると(ステップS411,Yes)、決済制御部21は自販機主制御部10に決済結果通知を送信する(ステップS420)。
【0064】
この決済結果通知を受信した自販機主制御部10は、本体制御部20に選択された商品の搬出指令を送信し、本体制御部20は搬出装置30を駆動して商品を商品取出口19に搬出するとともに(ステップS421)、硬貨識別装置14aに返却指令を送信し、保留されている投入硬貨を硬貨返却口18に返却して(ステップS422)、処理を終了する。
【0065】
また、ステップS405において、決済が中断せずに(ステップS405,No)、決済が完了すると、通常の記憶媒体4における決済処理となり、決済制御部21は自販機主制御部10に決済結果通知を送信する(ステップS423)。
【0066】
この決済結果を受信した自販機主制御部10は、本体制御部20に選択された商品の搬出指令を送信し、本体制御部20は搬出装置30を駆動して商品を商品取出口19に搬出する(ステップS424)。
【0067】
さらに、決済未了中に投入された硬貨が、選択されている商品の販売価格以上の金額であったとしても、自動販売機は現金による決済は行われず、現金による決済が行われるのは、決済再処理時間が経過して記憶媒体4との取引キャンセルを自販機主制御部4にて受信した後になる。
【0068】
このように、実施の形態2では、予め設定されている決済再処理時間が経過して、記憶媒体4との取引がキャンセルとなると、自動販売機では保留されている投入硬貨を利用してそのまま現金販売に移行できるため、購入を優先させる利用者にとっては、記憶媒体4あるいは現金のいずれか一方にて商品を購入できるようになる。
【0069】
また、予め設定されている決済再処理時間内に返却レバー17を操作しても無効とし、決済再処理時間経過後は、返却レバー17の操作を有効とする。
(実施の形態3)
上記実施の形態1,2は、決済未了中に硬貨が投入された場合について説明したが、本実施の形態3では、商品選択後、アンテナ部22へ記憶媒体4をかざす動作と硬貨投入口14への硬貨投入とが、ほぼ同時に行われた場合について説明する。
【0070】
図5のシーケンス図において、利用者が商品選択ボタン13を操作して商品を選択すると(SQ01)、自販機主制御部10は決済制御部21に商品選択情報を送信する(SQ02)。
【0071】
このように、商品先選択が行われると、決済制御部21に商品選択情報を送信するため、アンテナ部22は、記憶媒体4がかざされるのを待つ。
【0072】
この状態で、アンテナ部22へ記憶媒体4をかざす動作(SQ03)と硬貨投入口14への硬貨投入と(SQ03a)がほぼ同時に行われた場合には、自販機主制御部10は、決済制御部21から記憶媒体4による決済結果あるいは取引キャンセルの信号を受信するまでは、投入された硬貨を硬貨識別装置14a内に一旦保留する(SQ04)。
【0073】
次に、自販機主制御部10は、決済制御部21から決済が完了した決済結果あるいは取引キャンセルを受信すると(SQ05)、自販機主制御部10は、保留硬貨の自動返却あるいは現金販売モードへ移行する(SQ06)。
【0074】
このように、アンテナ部22へ記憶媒体4をかざす動作と硬貨投入口14への硬貨投入とがほぼ同時に行われた場合には、投入硬貨は、記憶媒体4による処理が終わるまで硬貨識別装置14aに保留され、記憶媒体4における処理を優先することになり、記憶媒体4との処理結果に基づき、保留硬貨の自動返却あるいは現金販売モードへの設定を行える。
【0075】
なお、商品選択後であれば、硬貨投入口14への硬貨投入がアンテナ部22へ記憶媒体4をかざす行為より少し早く行われても、投入硬貨は硬貨識別装置14a内に一旦保留となり、記憶媒体4における処理を優先する。
(変形例)
上記実施の形態1においては、硬貨保留時に記憶媒体4にて決済が完了した場合、保留されている投入硬貨は硬貨返却口18に自動返却していたが、変形例では、保留されている投入硬貨を返却せずに現金販売モードに移行し、デジタル表示器16に保留中の硬貨の合計金額を表示させるとともに保留硬貨が商品の販売価格以上である場合には、保留金額にて購入可能な商品選択ボタン13に内蔵している図示しない販売可能ランプを点灯させて商品選択を促し、また、販売価格未満の場合には、硬貨の追加投入を待つようにして、記憶媒体4および現金の両方にて商品を購入できるようにしてもよい。
【0076】
なお、この現金販売モードに移行した時点で、返却レバー17の操作は有効とする。
【0077】
以上のように、本発明では、保留中の硬貨について、決済完了後あるいは取引キャンセル後にどのような処理を行うかを設定できるようにして、自動販売機の設置先あるいは利用者の利便性を考慮して、上記処理のいずれかを設定して制御することにより利用者の混乱を抑えようとするものである。
【0078】
また、本発明では、硬貨投入について説明したが、紙幣であっても同様である。