(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら,従来の後処理テープには,以下のような問題があった。
【0007】
第1に,従来の後処理テープは,中間片の中頃において,中間片と基底片が連結しているため,中間片と最上片によってなる展開自由片が,通常のZ状に折り畳まれる後処理テープより短くなってしまうという問題があった。展開自由片が短いと,おむつを丸めた後に,おむつの腰周り端を越えて,おむつ本体側の外面に展開自由片を接着させにくくなる。従って,従来の後処理テープは,使用後のおむつをコンパクトに丸めた状態で維持するという後処理テープ本来の機能を損なうものであった。
【0008】
このような事態を解消するために,後処理テープを配設する位置をおむつの腹周り端に近づけることが考えられるが,一般的に,おむつの腹周り端は薄い素材で形成されているため,ビニールのような硬い素材で形成された後処理テープが配設されていると,着用者に違和感を与えるという問題がある。また,後処理テープ全体の長さ(特に中間片の長さ)を長くする方法も考えられるが,その全長を長くするにつれて,後処理テープを折り畳んだ状態の全長も長くなってしまうため,着用時において後処理テープが被服に引っ掛かり易くなったり,着用者に違和感を与えたり,おむつの見た目が悪くなってしまうという問題がある。
【0009】
第2に,人は手で物を引っ張っている最中に,その引っ張りに対する応力が突然高まると,反射的に引っ張る力を増してしまうことがよくあるため,従来の後処理テープのように中間片を基底片の連結点を強化する構造を採用したとしても,基底片がおむつの外面から剥離する事態を完全に抑止できないという問題があった。つまり,人間が反射的に加える力より強固に中間片と基底片の連結点を強化することは,技術的に困難であった。特に,使い捨ておむつが,液不透過性材料で形成されたバックシート上を不織布などの柔軟な素材で形成されたカバーシートで被服する構造となっており,そのカバーシート上に後処理テープが接着されている場合において,従来の後処理テープのように中間片を基底片の連結点を強化する構造を採用すると,人間が反射的に加えた力によって,基底片とおむつが剥離する前に,おむつのカバーシートが破れてしまうという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は,上記従来技術の問題を解消するために鋭意検討した結果,Z状折り畳まれた後処理テープとおむつ外面との間に,後処理テープの基底片とおむつ外面の剥離を防止するための補強片を配設することにより,後処理テープの展開自由片の長さを短くすることなく,基底片がおむつから剥離する事態を防止できるという知見を得た。
【0011】
また,本発明者は,中間片を基底片の連結点を強化するのではなく,あえて,中間片を基底片の連結点を剥離し易いままとしておき,基底片の一部がおむつから剥離した際に,テープの使用者に対して,テープの一部がおむつから剥がれる感覚を与え,テープの異常を認識させることにより,使用者は反射的にテープを引っ張る力を弱めるという知見を得た。さらに,本発明者は,補強片によってテープの使用者の引っ張る力を受け止めれば,後処理テープが外れてしまうことを防止できるという知見を得た。
【0012】
そして,上記知見に基づけば,従来の課題が解決できることに想到し,本発明を完成させた。上記知見に基づく技術的思想は,使い捨ておむつに接着された後処理テープだけでなく,接着された対象物を丸めた状態に保持するための粘着テープに広く適用することができる。具体的に,本発明は,以下の構成を有する。
【0013】
本発明の第1の側面は,対象物を丸めた状態に保持するための粘着テープである。
本発明に係る粘着テープは,基本的に,基底片1と,中間片2と,最上片3と,補強片4を有する。これらの,基底片1,中間片2,最上片3,及び補強片4は,一体的に形成されることにより連続するものであってもよいし,それぞれ別体として構成され各片が接着されることにより連続するものであってもよい。
基底片1は,対象物100に接着され,対象物100側の面である裏面に粘着層を有する部分である。
中間片2は,基底片1と連続する部分である。
最上片3は,中間片2と連続し,対象物100側の面である裏面に粘着層を有する部分である。
そして,基底片1,中間片2,及び最上片3は,それぞれの連結点において折り返され,Z状に折り畳まれる。
また,補強片4は,基底片1と連続し,対象物100と基底片の間に配設される部分である。
補強片4の長手方向の長さは,基底片1の裏面が,中間片2との連結点近傍において,対象物100と直接接着するように,基底片1の長手方向の長さより短く形成されている。
また,補強片4は,対象物100と接着する面である裏面に粘着層を有し,かつ,基底片1と接する面である表面に離型層を有する。
そして,本発明に係る粘着テープは,中間片2及び最上片3が,引き伸ばされた状態で,対象物100をくるみ,最上片3の裏面の粘着剤によって対象物100に接着することにより,対象物100を丸めた状態に保持できる。
【0014】
このような構成を有することにより,本発明は,中間片と最上片からなる展開自由片の長さを短くすることなく,効果的に,基底片が対象物から剥離する事態を防止できる。
具体的には,補強片が基底片と対象物の間に配設されていることにより,中間片を延出させ中間片の一部を対象物に接着させる必要がないため,展開自由片の長手方向の長さを維持できる。
また,補強片は,基底片と対象物の間に配設され,基底片と中間片の連結点を補強するものではないため,テープの使用者に対して,テープの一部が対象物から剥がれる感覚を与え,テープを通常の使用とは異なる方向に引っ張ってしまったことを認識させることができる。従って,使用者により加えられた力によって,基底片が対象物から完全に剥離する事態や,対象物が破損する事態を防止できる。
【0015】
本発明の第1の側面においては,補強片4は,基底片1と別体として構成してもよい。
この場合に,補強片4は,基底片1の中間片2と連続する一端とは他端側の先端が補強片4の表面方向に折り返され,補強片4の裏面が基底片1の裏面に接着されることが好ましい。
【0016】
このように,補強片の一部が折り返され,補強片の裏面と基底片の裏面が接着していることにより,展開自由片がいずれの方向から引っ張られた場合であっても,引張方向とは反対方側にある片(補強片又は基底片)により,粘着テープの保持力が強い状態に維持されるため,粘着テープが対象物から容易に剥離する事態を防止できる。
【0017】
本発明の第1の側面においては,補強片4が基底片1と別体として構成され,基底片1の裏面が,中間片2との連結点近傍において対象物100と接着する第1の接着面11,補強片4の表面と接着する第2の接着面12,補強片5の裏面と接着する第3の接着面13,及び基底片1の先端側近傍において対象物100と接着する第4の接着面14含むことが好ましい。特に,第1の接着面11と対象物100の間の接着力11´は,第2の接着面12と補強片4の表面の間の接着力12´より,大きいことが好ましい(11´>12´)。接着力11´と接着力12´の差は,より大きいことが好ましい。
【0018】
このように,基底片の裏面が,基底片と中間片の連結点近傍において対象物と直接に接着する第1の接着面を有することにより,テープの使用者が,展開自由片に最上片と中間片を剥離するための方向と同一方向の力を加えた場合に,基底片の一部(第1の接着面)と対象物が剥離する感覚を与えることができる。従って,使用者に対して,テープの異常を認識させ,展開自由片を引っ張ることを止めさせることができる。
また,仮に使用者がテープの異常を認識できなかったとしても,基底片の裏面が,離型層を有する補強片4の表面と接着する第2の接着面を有することにより,基底片の一部(第2の接着面)が剥離しやすくなるため,使用者は,基底片と対象物との剥離が加速した(「拍子抜け」した)ように感じる。従って,使用者が,展開自由片を引っ張る力を反射的に弱めさせることができる。
そして,基底片の裏面が,補強片の裏面と接着する第3の接着面,及び基底片の先端側近傍において対象物と接着する第4の接着面を有することにより,展開自由片がいずれの方向から引っ張られた場合であっても,引張方向とは反対方側にある片(補強片又は基底片)により,粘着テープの保持力を強い状態に維持できる。従って,使用者は,補強片の表面から基底片の第2の接着面が剥離された際に生じた「拍子抜け」により展開自由片を引っ張る力を弱めているため,補強片の裏面と基底片の第4の接着面が対象物と接着する保持力により,粘着テープが対象物から完全に剥離する事態を,効果的に防止できる。
【0019】
本発明の第1の側面においては,補強片4は,基底片1が中間片2と連続した一端とは他端において,基底片1と一体的に連続するものであってもよい。この場合に,基底片1,中間片2,最上片3,及び補強片4は,4重に折り畳まれる。
【0020】
このように,補強片と基底片とを一体的に連続させることにより,本発明に係る粘着テープの構造を簡略化できるうえに,中間片と最上片からなる展開自由片の長さを短くすることなく,効果的に,基底片が対象物から剥離する事態を防止できる。
【0021】
本発明の第1の側面において,補強片4と基底片1が一体的に連続されて形成された場合には,基底片4の表面は,止着片5によって止着されることが好ましい。止着片5は,基底片1の中間片2と連続した一端とは他端の表面と接着される基底片接着面51と,対象物100と接着される対象物接着面52を含む。
【0022】
本発明に係る粘着テープは,止着片を有することにより,展開自由片がいずれの方向から引っ張られた場合であっても,引張方向とは反対方側にある片(補強片又は止着片)により,粘着テープの保持力を強い状態に維持できる。
【0023】
本発明の第1の側面において,中間片2の基底片1側の面である裏面には,粘着層が設けられていることが好ましい。また,基底片1の中間片2側の面である表面,中間片2の最上片3側の面である表面には,離型層が設けられていることが好ましい
【0024】
中間片の裏面に設けられた粘着層は,粘着テープが折り畳まれた状態において,中間片と基底片が接着した状態を維持する機能を有する。また,基底片の表面に設けられた離型層は,粘着テープを展開する際に,基底片が中間片から適度に剥がれやすくする機能を有する。中間片の表面に設けられた離型層は,粘着テープを展開する際に,最上片が中間片から適度に剥がれやすくする機能を有する。
【0025】
本発明の第2の側面は,使い捨ておむつの廃棄時に使い捨ておむつを丸めた状態で保持するための後処理テープ200が取り付けられた後処理テープ付き使い捨ておむつ100である。
そして,後処理テープ200は,
使い捨ておむつ100側の面である裏面に粘着層を有する基底片1と,
基底片1と連続する中間片2と,
中間片2と連続し,使い捨ておむつ100側の面である裏面に粘着層を有する最上片3を有し,
基底片1,中間片2,及び最上片3は,Z状に折り畳まれ,
基底片と1と連続し,使い捨ておむつ100と基底片1の間に配設された補強片4をさらに有し,
補強片4の長手方向の長さは,基底片1の裏面が,中間片2との連結点近傍において,使い捨ておむつ100と直接接着するように,基底片1より短く,
補強片4は,対象物100と接着する面である裏面に粘着層と,基底片1と接する面である表面に離型層を有し,
最上片3及び中間片2が,引き伸ばされることにより,使い捨ておむつ100を丸めた状態に保持する。
【0026】
このように,本発明は,具体的には,使い捨ておむつの廃棄時に使い捨ておむつを丸めた状態で保持するための後処理テープ200,及び後処理テープ200が取り付けられた使い捨ておむつ100に適用することが好ましい。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下,図面を用いて本発明を実施するための形態について説明する。本発明は,以下に説明する形態に限定されるものではなく,以下の形態から当業者が自明な範囲で適宜修正したものも含む。すなわち,本発明に係る粘着テープ,後処理テープ,及び後処理テープ付き使い捨ておむつには,出願時におけるあらゆる構成を適宜採用することが可能である。
【0029】
以下では,粘着テープ付きの対象物の例として,具体的に,後処理テープ付き使い捨ておむつについて説明する。
【0030】
なお,本明細書において「裏面」とは,後処理テープが折り畳まれた状態において,使い捨ておむつ側の面(図下方の面)を意味するものとし,「表面」とは,「裏面」と反対側の面(図上方の面)を意味する。
【0031】
(1.使い捨ておむつの全体構成)
使い捨ておむつには,例えば乳幼児や高齢者用のおむつが含まれる。使い捨ておむつは,吸収体と,吸収体の表面を被覆するトップシートと,吸収体の裏面を被覆するバックシートを基本構造とする。このような基本構造を有する使い捨てのおむつには,例えば,予めパンツ型に形成されたパンツ型のおむつや,着用者の胴回りを覆うサイドフラップに固定テープが設けられたテープ型のおむつが含まれる。
【0032】
図1は,本発明が適用された後処理テープ付き使い捨ておむつの例を示す概略斜視図であり,使い捨ておむつを背面から見た状態を示している。
図1に示されるように,使い捨ておむつ100の背面には,後処理テープ200が折り畳まれた状態で取り付けられている。後処理テープ200は,一般的に,使い捨ておむつ100の腰周り伸縮材101が配設された位置より下方のおむつ本体102の外面に,上下方向に向けて取り付けられる。
【0033】
おむつ本体102は,基本的には,吸収体と,吸収体の上面を被覆する液透過性のトップシートと,吸収体の下面を被覆する液不透過性のバックシートから構成され,比較的層が厚くなっている。一方,腰周り伸縮材101が配設された位置は,吸収体,トップシート,及びバックシートが形成されておらず,比較的層が薄くなっている。このため,後処理テープ200は,比較的層の厚いおむつ本体102の外面に取り付けられることが好ましい。
【0034】
図2は,使い捨ておむつがコンパクトに丸められ,後処理テープによって丸めた状態に保持された例を示す概略斜視図である。後処理テープ200は,まず,折り畳まれた状態から,最上片3が摘ままれ,基底片1,中間片2,及び最上片3が,略一直線上となるように展開される。そして,展開された後処理テープ200は,使い捨ておむつ100の腰周り端103を越え,最上片3に形成された粘着層3aが,おむつ本体102に接着されることにより,使い捨ておむつ100を丸めた状態に保持する。
【0035】
後処理テープ200は,基本的には,基底片1が常時おむつ本体102の外面に接着されており,基底片1,中間片2,及び最上片3が連続的に形成されることにより後処理テープ本体6を構成する。後処理テープ本体6は,最上片3が摘まれて引き伸ばされると,中間片2及び最上片3が展開自由片7となる。
【0036】
後処理テープ本体6の全長は,例えば,150mm〜240mmで形成される。また,後処理テープ200を形成する基底片1,中間片2,及び最上片3の長手方向の長さは,それぞれ,例えば,30mm〜80mmで形成される。後処理テープ200の展開自由片7は,使い捨ておむつ100を丸めた状態に維持することを考慮すると,60mm〜160mmの長さを有することが好ましい。また,基底片1,中間片2,及び最上片3の長手方向の長さの長さは,後処理テープ200の全長を等分したものであってもよい。また,後処理テープ200を形成する基底片1,中間片2,最上片3,及び補強片4の厚みは,それぞれ,例えば20〜200μm,好ましくは40〜150μmで形成される。また,後処理テープ200を形成する素材は,おむつに用いられる場合,ポリエチレンテレフタラート(PET)や,ポリプロピレン(PP)であることが好ましい。
【0037】
(2.後処理テープの構成)
以下,
図3から
図6を参照して,使い捨ておむつ100の外面に取り付けられた後処理テープ200の構成について説明する。後処理テープ200は,前述の通り薄いフィルム状のテープであるが,
図3から
図6においては,後処理テープの構成を分り易く示すため,概念的に厚みをもたせて作図を行った。
なお,
図3から
図6においては,作図の便宜上,後処理テープ200の基底片1は,使い捨ておむつ100に接着されていないが,後処理テープ200の基底片は,本来,上面方向から使い捨ておむつに対して圧着されることにより,使い捨ておむつ200と接着する面を有する。
【0038】
図3から
図6は,折り畳まれた状態の後処理テープの厚み方向の断面形状の例を示す概略断面図である。
図3から
図6に示されているように,後処理テープ200は,使い捨ておむつ100の外面に取り付けられる。使い捨ておむつ100の外面においては,液不透過性のバックシート104を被膜するように不織布などの柔軟な素材で形成されたカバーシート105が形成されており,後処理テープ200はカバーシート105上に接着されている。本発明が適用された後処理テープ200は,バックシート104とカバーシート105が剥離しやすい状態であっても,カバーシート105上に接着することができる。
【0039】
(2−1.第1の実施形態)
図3は,本発明に係る後処理テープ200の第1の実施形態を示している。第1の実施形態は,基底片1,中間片2,及び最上片3が一体的に連続して形成され,補強片4が基底片1とは別体として連続して形成された例である。
【0040】
第1の実施例において,後処理テープ200は,基底片1の一端と中間片2の一端が一体的に連続し,中間片2の他端と最上片の一端が一体的に連続しており,基底片1の他端と最上片3の他端は開放端となっている。すなわち,基底片1と中間片2と最上片3により後処理テープ本体6が形成され,基底片1の開放端と最上片3の開放端は,それぞれ,後処理テープ本体6の先端に相当する。
【0041】
後処理テープ本体6は,基底片1と中間片2の連結点において第1の折返部61を有し,中間片2と最上片3の連結点において第2の折返部62を有する。そして,後処理テープ本体6は,第1の折返部61において
図3のD1方向に向かって折り返され,第2の折返部62において
図3のD1方向とは反対の方向であるD2方向に向かって折り返されることにより,Z状に折り畳み可能となっている。後処理テープ本体6は,Z状に折り畳まれると,基底片1の表面と中間片2の裏面,及び中間片2の表面と最上片1の裏面が接する状態となる。
【0042】
基底片1と使い捨ておむつ100の外面の間には,補強片4が配設される。補強片4は,基底片1の開放端側の先端が,第3の折返部41において折り返され,折返片41を形成する。補強片4の基底片1の開放端側の先端が折り返されることにより,補強片4の裏面と基底片1の裏面が接着される。これにより,別体として構成された補強片4と基底片1が連続する。
【0043】
補強片4は,基底片1の連結点側の裏面,及び基底片1の開放端側の裏面が,使い捨ておむつ100の外面に直接接着するように,基底片1と使い捨ておむつ100の間に配設される。つまり,基底片1は,中間片2との連結点側の裏面,及び開放端側の裏面の2点において,使い捨ておむつと直接接着することが好ましい。
【0044】
図3に示す例では,後処理テープ200が折り畳まれた状態において,基底片1のおむつ側の面である裏面,中間片2の基底片1側の面である裏面,最上片3の中間片2側の面である裏面,及び補強片4のおむつ側の面である裏面には,それぞれ,粘着層1a,2a,3a,及び4aが設けられている。一方,後処理テープ200が折り畳まれた状態において,基底片1の中間片2側である表面,中間片2の最上片3側である表面,最上片3の表面,及び補強片4の基底片1側である表面には,離型層1b,2b,3b,及び4bが設けられている。
【0045】
以下,第1の実施形態の後処理テープ100を構成する基底片1,中間片2,最上片3,及び補強片4について具体的に説明する。
【0046】
(2−1−1.基底片)
基底片1は,使い捨ておむつ100の外面と直接接着され,後処理テープ本体6の基底となる片である。基底片1は,基本的には,中間片2及び最上片3が引き伸ばされて展開した場合でも,使い捨ておむつ100から剥離することがないように,使い捨ておむつ100に接着される。ただし,基底片1は,最上片3を中間片2から剥離させる方向と同一方向(D1方向)への力が加わった場合に,使いすておむつ100から剥離しやすいという問題がある。
【0047】
基底片1は,その表面に離型層1bが設けられている。基底片1の表面に離型層1bが設けられることにより,後処理テープ本体6が展開されるとき,中間片2の裏面に設けられた粘着層2aが,基底片1の表面から適度に剥がれやすくなる。
【0048】
一方,基底片1の裏面には,粘着層1aが設けられている。基底片1の裏面は,基本的には,使い捨ておむつから剥離しないことが好ましいため,粘着層1aは,基底片1の裏面全体にわたって形成されていることが好ましい。
【0049】
また,基底片1の裏面は,
図3に示されるように,第1の接着面11,第2の接着面12,第3の接着面13,及び第4の接着面を含むことが好ましい。第1の接着面11は,基底片1と中間片2との連結点近傍において対象物100と直接接着する面である。第2の接着面12は,補強片4の表面と接着する面である。第3の接着面は,第3の折返部41において折り返された補強片5の裏面と接着する面である。第4の接着面41は,基底片1の開放端近傍において,対象物100と直接接着する面である。
【0050】
ここで,第1の接着面11と使い捨ておむつ100の間の接着力11´は,第2の接着面12と補強片4の表面の間の接着力12´より,大きいことが好ましい(11´>12´)。この接着力11´と接着力12´の差は,より大きいことが好ましい。また,第3の接着面13と補強片4の裏面の間の接着力13´及び第4の接着面14と使い捨ておむつ100の間の接着力14´も,第2の接着面12と補強片4の表面の間の接着力12´より,大きいことが好ましい(13´>12´,14´>12´)。なお,接着力11´,接着力13´,及び接着力14´は,等しいものであってもよいし,異なるものであってもよい。ただし,接着力13´及び接着力14´は,接着力11´より,大きいこと好ましい(13´>11´,14´>11´)。
【0051】
接着力の調整は,接着剤の種類や,接着剤を塗布する量を変化させることにより,適宜調節できる。例えば,粘着層の粘着力は,粘着力(タック性)の異なる粘着剤を用いたり,粘着剤の塗布量を変化させたりすることで調節できる。また,離型層についても,解離剤の種類や塗布量を変化させることで調節可能である。さらには,粘着剤と解離剤を自由に組み合わせて,接着力(粘着力)を調節することもできる。なお,本発明に用いられる粘着剤の量は,例えば,10〜100g/m
2であることが好ましい。
【0052】
第1の接着面11,第2の接着面12,第3の接着面13,及び第4の接着面の長手方向の長さは,例えば,それぞれ10mm〜20mmで形成される。それぞれの接着面11,12,13,及び14は,基底片1の長手方向の長さの全長を等分したものであってもよい。これら各接着面11,12,13,及び14の長さを調節するためには,例えば,基底片1の長さ,基底片1と使い捨ておむつ100との間に配設される補強片4の位置,補強片4の長さ,補強片4の折返片42の長さを適宜変更すればよい。
【0053】
(2−1−2.中間片)
中間片2は,後処理テープ200が折り畳まれた状態において,基底片1と最上片3の中間に位置する片である。中間片2は,基底片1及び最上片3に連続し,最上片3とともに展開自由片7を形成する。
【0054】
中間片2の裏面には,粘着層2aが設けられている。中間片2の裏面に粘着層2aが設けられていることにより,後処理テープ200が折り畳まれた状態において,中間片2が基底片1に接着している状態を維持できる。
【0055】
一方,中間片2の表面には,離型層2bが設けられている。中間片2の表面に離型層2bが設けられることにより,後処理テープ本体6が展開されるとき,最上片2の裏面に設けられた粘着層3aが,中間片2の表面から適度に剥がれやすくなる。
(2−1−3.最上片)
【0056】
最上片3は,折り畳まれた状態における後処理テープ200の最上部に位置する片である。最上片3は,中間片2と連続し,中間片2とともに展開自由片7を形成する。また,最上片3は,使い捨ておむつ100の廃棄時に,おむつの腰周り端103を越えて,おむつ本体102側の外面に接着される片である。
【0057】
最上片3の裏面には,粘着層3aが設けられている。最上片3の裏面に粘着層3aが設けられていることにより,後処理テープ200が折り畳まれた状態において,最上片3が中間片2に接着している状態を維持できる。また,最上片3の裏面に粘着層3aが設けられていることにより,使い捨ておむつ100の廃棄時に,おむつの腰周り端103を越えて,おむつ本体102側の外面に後処理テープ200を保持できる。
【0058】
また,中間片2と連続した最上片3の一端とは他端である開放端の裏面には,摘み部31が設けられていることが好ましい。摘み部3は,後処理テープ本体6を展開する際に,摘まれる部分である。これにより,最上片3を摘まんで,後処理テープ本体6を展開しやすくなる。摘み部3は,例えば,最上片3の裏面に非粘着性の摘み片を接着させる,最上片3の裏面の一部に粘着層を形成しない,又は最上片の3の裏面の一部に離型処理を施すことにより形成される。
【0059】
(2−1−4.補強片)
補強片4は,基底片3の第1の折返部近傍の裏面が使い捨ておむつ100から剥離した場合であっても,後処理テープ200全体が使い捨ておむつから剥離する事態を防止するための片である。補強片4は,基底片1と連続し,基底片1と使い捨ておむつ100の接着状態を補強する。
【0060】
図3に示された第1の実施の形態において,補強片4は,基底片1の裏面の中頃に接着されるように配設されている。また,補強片4は,第3の折返部において,補強片4の表面方向に向かって所定の長さ折り返される。これにより,補強片4の折り返された裏面と,基底片1の裏面とが接着する。
【0061】
補強片4の裏面には,粘着層4aが設けられている。粘着層4aは,補強片4の裏面の全体にわたり形成されていることが好ましい。補強片4の裏面に粘着層4aが設けられていることにより,補強片4は使い捨ておむつ100の外面に接着され,かつ補強片4の折返片42においては,基底片1の裏面と補強片4の裏面の接着が強固になる。
【0062】
補強片4は,その裏面において,使い捨ておむつ100と接着する接着面43を有する。補強片4の接着面43と使い捨ておむつ100の間の接着力43´は,第2の接着面12と補強片4の表面の間の接着力12´より,大きいことが好ましい(43´>12´)。また,接着力43´は,第1の接着面11と使い捨ておむつ100の間の接着力11´より,大きいことが好ましい(43´>11´)。特に,接着力43´が接着力11´より大きく,かつ,接着力11´が接着力12´より大きいことが好ましい(43´>11´>12´)。接着力の調整は,接着剤の種類や,接着剤を塗布する量を変化させることにより,適宜調節可能である。
【0063】
一方,補強片4の表面には,離型層4bが設けられている。補強片4の表面に離型層4bが設けられていることにより,基底片の一部(第2の接着面)が剥離しやすくなる。このため,使用者は,基底片1と使い捨ておむつ100の剥離が加速した(「拍子抜け」した)ように感じる。従って,使用者が,展開自由片を引っ張る力を反射的に弱めさせることが期待できる。
【0064】
(2−2.第2の実施形態)
次に,
図4を参照して,本発明に係る後処理テープ200の第2の実施形態について説明する。第2の実施形態の説明においては,上述した第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0065】
第2の実施形態は,別体として形成された基底片1,中間片2,最上片3,及び補強片4が接着されることにより,連続して構成された例である。
図4に示されるように,第2の実施形態は,基底片1,中間片2,及び最上片3が別体として構成されている点において,第1の実施形態と異なっている。
【0066】
第2の実施形態において,基底片1は,中間片2と連続する側の端部が折り返され,折り返された裏面が,中間片2の裏面と接着している。また,中間片2も,最上片2と連続する側の端部が折り返され,折り返された裏面が,最上片3の裏面と接着している。
【0067】
このように,各片を別体として構成することにより,片面に粘着層を形成した片を3片形成したのちに,各片を連続するように接着すればよいため,各辺を一体として構成した場合と比較し,粘着層と離型層を交互に形成する必要がなく,後処理テープ200を容易に製造できる。また,基底片1,中間片2,及び最上片3の裏面には,それぞれ粘着層1a,2a,3aが設けられており,基底片1と中間片1の連結点,及び中間片2と最上片3の連結点において,粘着層同士が接着する構成となっているため,各片の接着状態を強固な状態に維持できる。
【0068】
(2−3.第3の実施形態)
次に,
図5を参照して,本発明に係る後処理テープ200の第3の実施形態について説明する。
図5に示された本発明の第3の実施形態は,上述した第1の実施形態と比較し,最上片3と補強片4が,一体的に連続して形成されている点において異なる。
【0069】
本発明の第3の実施形態において,補強片4は,基底片1が中間片2と連続した一端とは他端において,基底片1と一体的に連続する。従って,後処理テープ200が折り畳まれた状態の断面形状は,補強片1,基底片2,中間片3,及び最上片4が4重に折り畳まれた形状となっている。
【0070】
本発明の第3の実施形態において,基底片1の裏面は,中間片2との連結点側において使い捨ておむつ100と直接接着する第1の接着面11と,補強片4との連結点側において補強片4の表面と接着する第2の接着面12を有する。
【0071】
このように,基底片1の裏面が,第1の接着面11及び第2の接着面12を有することにより,後処理テープ20が展開され,展開自由片7が最上片3と中間片を剥離する方向(D1方向)に引っ張られた場合,まず,第1の接着面11から剥離し始め,その後第2の接着面12が剥離する。第2の接着面12の保持力は,第1の接着面11の保持力より弱いため,使用者は,基底片と対象物との剥離が加速した(「拍子抜け」した)ように感じ,反射的に引っ張る力を弱める。また,基底片1の端部と補強片4は,D1方向からの力に対する保持力が強く,補強片4が基底片1の端部と連続しているため,後処理テープ200が使い捨ておむつ100から完全に剥離する事態を防止できる。
【0072】
従って,第3の実施形態は,第1の実施形態と同様に,使用者に対して後処理テープの異常を認識させ,基底片1が使い捨ておむつから完全に剥離する事態や,使い捨ておむつ100の外面が破損する事態を防止できる。
【0073】
(2−4.実施形態4)
次に,
図6を参照して,本発明に係る後処理テープ200の第4の実施形態について説明する。
図6に示された本発明の第4の実施形態は,上述した第3の実施形態をさらに改良した実施の形態である。
【0074】
図6に示されるように,第4の実施形態においては,第3の実施形態と同様に,補強片4が,基底片1が中間片2と連続した一端とは他端において,基底片1と一体的に連続している。そして,さらに,基底片1と補強片4が連続している連結点側に,基底片1の表面との接着面と,使い捨ておむつ100の外面との接着面を有する止着片5が配設されている。この止着片5の裏面は,中間片2と連続した基底片1の一端とは他端の表面と接着される基底片接着面51と,対象物100の外面と接着される対象物接着面52を含む。
【0075】
止着片5は,その裏面に粘着層5aが設けられている。止着片5は,基底片1と補強片4の連結点である第3の折返部41を覆うようにして,基底片1の表面及び使い捨ておむつ100の外面と接着されている。
【0076】
このように配設された止着片5は,本発明の第1の実施形態における基底片1の裏面が有する第3の接着面及び第4の接着面と同様の作用がある。すなわち,展開自由片7が,
図6に示されたD1方向又はD2方向のいずれの方向から引っ張られた場合であっても,展開自由片7の引張方向とは反対方側にある片(補強片4又は止着片5)により,粘着テープの保持力を強い状態に維持できる。特に,止着片5が配設されていることにより,
図6のD2方向からの引っ張りに対して強い保持力を発揮できる。
【0077】
(3.後処理テープの作用)
以下では,
図7及び
図8を参照して,本発明に係る後処理テープの作用について説明する。なお,以下では,上述した本発明の第1の実施形態を基に本発明の作用を説明する。
【0078】
図7は,本発明に係る後処理テープ200の通常の使用状態の例を示す概略図である。まず,後処理テープ200は,
図3に示すようなZ状に折り畳まれた状態から,最上片3がD1方向に引っ張られると,最上片3が中間片2から剥離する。次に,後処理テープ200は,D1方向とは反対方向であるD2方向に引っ張られると,中間片2が基底片1から剥離する。このように,最上片3及び中間片2がそれぞれ剥離され,展開自由片7が形成された状態が後処理テープ200の通常の使用状態である。この状態において,最上片3の裏面に形成された粘着層を,使い捨ておむつ100の腰周り端103を越えて,おむつ本体102に接着することにより,使い捨ておむつ100を丸めた状態に保持できる。
【0079】
また,
図7に示されるように,上述した後処理テープ200の通常の使用状態においては,基底片1裏面の第1の接着面11は,使い捨ておむつ100の外面に接着されたまま保持されている。
【0080】
一方,
図7に示された状態から,さらにD1方向に向かって,後処理テープ200の展開自由片7が引っ張られると,まず,基底片11裏面の第1の接着面11が,使い捨ておむつ100の外面から剥離する。基底片11裏面の第1の接着面11は,使い捨ておむつ100の外面との間で強い保持力を有するが,ある一定以上の強い力で引っ張られると剥離してしまう。このとき,後処理テープ200の使用者に対して,基底片1が使い捨ておむつ100の外面から剥離される感覚を与えることができる。
【0081】
また,後処理テープ200の展開自由片7が,D1方向に向かってさらに引っ張られると,次に,基底片11裏面の第2の接着面12が補強片4の表面から剥離する。補強片4の表面には離型層が形成されているため,基底片11裏面の第1の接着面11が使い捨ておむつ100の外面から剥離したときと比較し,基底片11裏面の第2の接着面12は,容易に補強片4の表面から剥離する。このように,使用者の引っ張る力に対する応力が急に弱まるため,使用者は拍子抜けした感覚を感じることになる。従って,使用者に,後処理テープを通常の使用状態とは異なる方向に引っ張りすぎたことを認識させ,反射的に引っ張る力を弱めさせることができる。
【0082】
そして,
図8は,
図7の状態から展開自由片7がD1方向に向かって引っ張られ,基底片11裏面の第1の接着面11及び第2の接着面12が剥離した状態の例を示している。
図8に示す状態のように,第1の接着面11及び第2の接着面12が剥離した場合であっても,基底片11裏面の第3の接着面13が,補強片4の裏面と接着しているため,D1方向からかかる力に対して,強い保持力を有する。また,基底片11裏面の第2の接着面12が補強片4の表面から剥離した際に,使用者は反射的に引っ張る力を弱めているため,補強片4の裏面が有する保持力によって,十分に後処理テープ200が使い捨ておむつ100から剥離する事態を防止できる。
【0083】
また,基底片1裏面の第4の接着面が使い捨ておむつ100の外面に接着されているため,後処理テープ200は,D2方向からの引っ張りに対しても強い保持力を有する。従って,
図8に示す状態から,さらに,D2方向に展開自由片7が引っ張られた場合であっても,後処理テープ200が使い捨ておむつ100から剥離する事態を防止できる。
【0084】
なお,本発明は,上述した後処理テープ,及び後処理テープ付き使い捨ておむつに限定されるものではなく,上記構成を採用可能な粘着テープ,及び粘着テープ付の対象物に広く適用できる。