【実施例】
【0149】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例により限定されるものではない。
以下において、ポリカーボネートの物性ないし特性の評価は次の方法により行った。
【0150】
(1)屈折率及びアッベ数
アッベ屈折計(アタゴ社製DR−M4)で、波長656nm(C線)、589nm(D線)、546nm(e線)、486nm(F線)の干渉フィルターを用いて、各波長の屈折率、nC、nD、ne、nFを測定した。
測定試料は樹脂を160〜200℃でプレス成形し、厚み80μm〜500μmのフィルムを作製し、得られたフィルムを幅約8mm、長さ10mm〜40mmの短冊状に切り出し、測定試験片とした。
測定は、界面液として1−ブロモナフタレンを用い、20℃で行った。アッベ数νdは次の式で計算した。
νd=(1−nD)/(nC−nF)
アッベ数が大きいほど、屈折率の波長依存性が小さくなり、例えば単レンズにした際の波長による焦点のずれが小さくなる。
【0151】
(2)ガラス転移温度(Tig)
示差走査熱量計(メトラー社製DSC822)を用いて、試料約10mgを10℃/minの昇温速度で加熱して測定し、JIS K 7121(1987)に準拠して、低温側のベースラインを高温側に延長した直線と、ガラス転移の階段状変化部分の曲線の勾配が最大になるような点で引いた接線との交点の温度である、補外ガラス転移開始温度を求めた。
【0152】
(3)カラー
カラーメーター(日本電色社製300A)を用いて、チップカラーを測定した。
ガラスセルに、チップを所定量入れ、反射測定で測定し、b値を測定した。
この数値が小さいほど、黄色みが小さい。
【0153】
(4)還元粘度
中央理化社製DT−504型自動粘度計にてウベローデ型粘度計を用い、溶媒として、フェノールと1,1,2,2−テトラクロロエタンの重量比1:1混合溶媒を用い、温度30.0℃±0.1℃で測定した。濃度は1.00g/dlになるように、精密に調整した。
サンプルは120℃で攪拌しながら、30分で溶解し、冷却後測定に用いた。
溶媒の通過時間t0、溶液の通過時間tから、下記式:
ηrel=t/t0(g・cm
-1・sec
-1)
より相対粘度ηrelを求め、相対粘度ηrlから、下記式:
ηsp=(η−η0)/η0=ηrel−1
より比粘度ηspを求めた。
比粘度ηspを濃度c(g/dl)で割って、下記式:
ηred=ηsp/c
より還元粘度(換算粘度)ηredを求めた。
この数値が高いほど分子量が大きい。
【0154】
(5)5%熱減量温度
セイコー電子社製TG−DTA(SSC−5200、TG/DTA220)を用い、試料10mgをアルミニウム製容器に載せ、窒素雰囲気下(窒素流量200ml/分)で昇温速度10℃/分で30℃〜450℃まで測定し、5%重量が減少した際の温度を求めた。
この温度が高いほど、熱分解しにくい。
【0155】
(6)アイゾット衝撃強度
カスタム・サイエンティフィック(Custom Scientific)社製ミニマックス射出成形機CS−183MMXを用いて、温度240〜300℃で、長さ31.5mm、幅6.2mm、厚さ3.2mmの試験片を射出成形し、深さ1.2mmのノッチをノッチングマシンで付け、試験片とした。
この試験片について、カスタム・サイエンティフィック社製ミニマックスアイゾット衝撃試験機CS−183TI型を用いて、23℃におけるノッチ付きのアイゾット衝撃強度を測定した。
この数値が大きいほど、耐衝撃強度が大きく、割れにくい。
【0156】
(7)引張試験
上記射出成形機を用いて温度240℃〜300℃で、平行部長さ9mm、平行部直径1.5mmの引張試験片を射出成形し、カスタム・サイテンティフィック社製引張試験機CS−183TE型を用いて、引張速度1cm/分の条件で引張試験を行い、降伏時伸び、引張降伏強さ、引張降伏弾性率、及び破断時伸びそれぞれ測定した。
それぞれの数値が大きいほど、強さ、伸びがある。
【0157】
(8)NMR
溶媒として、重クロロホルムを用い、Varian社製Unity Inovaにて、共鳴周波数500MHz、フリップ角45°、測定温度25℃にて、
1H−NMRを測定した。
【0158】
(9)光弾性係数
<サンプル作製>
80℃で5時間真空乾燥したポリカーボネート樹脂サンプル4.0gを、幅8cm、長さ8cm、厚さ0.5mmのスペーサーを用いて、熱プレスにて熱プレス温度200〜250℃で、予熱1〜3分、圧力20MPaの条件で1分間加圧後、スペーサーごと取り出し、水管冷却式プレスで、圧力20MPaで3分間加圧冷却してシートを作製した。このシートから幅5mm、長さ20mmにサンプルを切り出した。
【0159】
<測定>
He−Neレーザー、偏光子、補償板、検光子、及び光検出器からなる複屈折測定装置と振動型粘弾性測定装置(レオロジー社製DVE−3)を組み合わせた装置を用いて測定した。(詳細は、日本レオロジー学会誌Vol.19,p93−97(1991)を参照。)
切り出したサンプルを粘弾性測定装置に固定し、25℃の室温で貯蔵弾性率E’を周波数96Hzにて測定した。同時に、出射されたレーザー光を偏光子、試料、補償板、検光子の順に通し、光検出器(フォトダイオード)で拾い、ロックインアンプを通して角周波数ω又は2ωの波形について、その振幅とひずみに対する位相差を求め、ひずみ光学係数O’を求めた。このとき、偏光子と検光子の方向は直交し、またそれぞれ、試料の伸長方向に対してπ/4の角度をなすように調整した。
光弾性係数Cは、貯蔵弾性率E’とひずみ光学係数O’を用いて次式より求めた。
C=O’/E’
【0160】
(10)発生ガス量
<サンプル作製>
100℃で5時間真空乾燥をしたポリカーボネート樹脂サンプル8gを、幅8cm、長さ8cm、厚さ0.5mmのスペーサーを用いて、熱プレスにて熱プレス温度200〜2
50℃で、予熱1〜3分、圧力20MPaの条件で1分間加圧後、スペーサーごと取り出し、水管冷却式プレスを用いて圧力20MPaで3分間加圧冷却しシートを作製した。このシートから幅1cm長さ2cmのサンプルを切り出した。厚さは1mmであった。
<測定>
加熱脱着−ガスクロマトグラフ/質量分析法(TDS−GC/MS)にて発生ガスを測定した。測定装置として、GERSTEL社製TDS2を用い、加熱脱着温度を250℃、10分、トラップ温度を−130℃、で実施した。
サンプルをガラスチャンバーに入れ、110℃で30分間、ヘリウム60mL/分で発生するガスを捕集管Tenax−TAで捕集した。
GC/MSとしてAgilent社製HP6890/5973N、カラムとしてHP−VOC:0.32×60m、1.8μmdfを用い、40℃、5分保持した後、8℃/分で280℃まで昇温後、280℃で25分保持して、測定した。キャリアガスは、ヘリウム1.3mL/分とした。
ガス発生量は製造時に留出するフェノール及びフェノールに由来するベンズアルデヒドを除いた単位面積当たりのトータル発生量としてトルエンによる換算値にて求めた。
【0161】
(11)鉛筆硬度
測定装置として、新東科学社製表面測定機トライポギア、タイプ14DRを用い、JIS K 5600に準拠して下記条件で測定した。
荷重 750g
測定スピード30mm/min
測定距離 7mm
鉛筆として三菱鉛筆社製UNIを用いた。
鉛筆硬度としては4H,3H,2H,H,F,HB,B、2B,3B,4Bを用いた。
5回測定し、2回以上、傷がついた鉛筆硬度のひとつ柔らかい硬度を測定物質の鉛筆硬度とした。
【0162】
(12)蟻酸の定量
イソソルビドに含まれる蟻酸量をイオンクロマトグラフで次の通り測定した。
イソソルビド約0.5gを精秤し50mlのメスフラスコに採取して純水で定容した。標準試料にはギ酸ナトリウム水溶液を用い、標準試料とリテンションタイムの一致するピークをギ酸として、ピーク面積から絶対検量線法で定量した。
イオンクロマトグラフは、Dionex社製のDX−500型を用い、検出器には電気伝導度検出器を用いた。測定カラムとして、Dionex社製ガードカラムにAG−15、分離カラムにAS−15を用いた。測定試料を100μlのサンプルループに注入し、溶離液に10mM−NaOHを用い、流速1.2ml/min、恒温槽温度35℃で測定した。サプレッサーには、メンブランサプレッサーを用い、再生液には125mM−H
2SO
4水溶液を用いた。
【0163】
(13)アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物の定量
試料約0.5gを正確に秤量し、硫酸・硝酸で加圧密閉分解した。加圧密閉分解には、マイクロウェーブ分解装置パーキンエルマー社製MULTIWAVを使用した。
分解液を適宜純水で希釈して、ICP−MS(サーモクエスト社製ELEMENT)で測定した。なお、測定したアルカリ、アルカリ土類金属はLi、Na、K、Cs、Mg、Ca、Baである。それぞれの検出限界濃度を表10に示す。
【0164】
なお、反応に用いたイソソルビドはロケットフルーレ社製又は三光化学社製、1,4−シクロヘキサンジメタノールはイーストマン社製、炭酸セシウムは和光純薬社製、ジフェニルカーボネートは三菱化学社製、トリシクロデカンジメタノールはセラニーズ社製、ペンタシクロデカンジメタノールはセラニーズ社製、1,3−アダマンタンジオールはアル
ドリッチ社製、1,4−ブタンジオールは三菱化学社製、1,6−へキサンジオールは和光純薬社製、9,9−ビス−(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン、9,9−ビスクレゾールフルオレンは大阪ガスケミカル社製である。
【0165】
実施例1〜34で用いたイソソルビドの蟻酸含有量は5ppm、アルカリ金属含有量は、Naが0.03ppm(イソソルビド1モルに対して0.19μモル)、アルカリ土類金属の含有量は、Caが0.02ppm(イソソルビド1モルに対して0.073μモル)であった。
使用したイソソルビド、TCDDM、CHDMについて、アルカリ金属、アルカリ土類金属の含有量を表11、12に示す。
【0166】
実施例35〜45、比較例5、6におけるイソソルビドの蒸留方法は、次の通りである。
<イソソルビドの蒸留>
イソソルビド約1.3kgをアルゴン気流下、2Lフラスコに入れ、このフラスコにクライゼン管を付け、フラクションカッターを通して、受器を装着した。配管など各部で固化しないよう、保温をした。減圧を徐々に開始後、加温を行い、内温約100℃で溶解した。その後、内温160℃にて溜出を開始した。このときの圧力は133〜266Paであった。初溜を取った後、内温160〜170℃、塔頂温度150〜157℃、133Paで蒸留を実施した。蒸留終了後、アルゴンを入れ、常圧に戻した。得られた蒸留品をアルゴン気流下で冷却粉砕し、蒸留精製したイソソルビドを得た(約1kg)。このものは、実施例40、42、比較例5、6を除いて、特記しない限りアルミラミネート袋に窒素気流下で、エージレス(三菱ガス化学社製)を同封して室温にてシール保管した。
【0167】
また、以下の実施例の記載の中で用いた化合物の略号は次の通りである。
ISOB:イソソルビド
1,4−CHDM:1,4−シクロヘキサンジメタノール
TCDDM:トリシクロデカンジメタノール
PCPDM:ペンタシクロペンタデカンジメタノール
1,4−BG:1,4−ブタンジオール
1,6−HD:1,6−ヘキサンジオール
BHEPF:9,9−ビス−(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン
BCF:9,9−ビスクレゾールフルオレン
DPC:ジフェニルカーボネート
【0168】
[実施例1]
イソソルビド27.7重量部(0.516モル)に対して、1,4−シクロヘキサンジメタノール(以下「1,4−CHDM」と略記する。)13.0重量部(0.246モル)、ジフェニルカーボネート(以下「DPC」と略記する。)59.2重量部(0.752モル)、及び触媒として、炭酸セシウム2.21×10
−4重量部(1.84×10
−6モル)を反応容器に投入し、窒素雰囲気下にて、反応の第1段目の工程として、加熱槽温度を150℃に加熱し、必要に応じて攪拌しながら、原料を溶解させた(約15分)。
次いで、圧力を常圧から13.3kPaにし、加熱槽温度を190℃まで1時間で上昇させながら、発生するフェノールを反応容器外へ抜き出した。
【0169】
反応容器全体を190℃で15分保持した後、第2段目の工程として、反応容器内の圧力を6.67kPaとし、加熱槽温度を230℃まで、15分で上昇させ、発生するフェノールを反応容器外へ抜き出した。攪拌機の攪拌トルクが上昇してくるので、8分で250℃まで昇温し、さらに発生するフェノールを取り除くため、反応容器内の圧力を0.200kPa以下に到達させた。所定の攪拌トルクに到達後、反応を終了し、生成した反応
物を水中に押し出して、ポリカーボネート共重合体のペレットを得た。
【0170】
得られたポリカーボネート共重合体の還元粘度は1.007dl/g、ガラス転移温度は124℃、カラーb値は8.8であった。これらの結果を表1に示す。
また、このポリカーボネート共重合体を245℃で、金型温度90℃で成形し、長さ31.5mm、幅6.2mm、厚さ3.2mmの試験片と平行部長さ9mm、平行部直径1.5mmの引張試験片を得た。これらの試験片を用いて、機械物性の評価を行った結果、引張降伏強さ84MPa、引張降伏弾性率748MPa、降伏時伸び16%、破断時伸び30%、アイゾット衝撃強度227J/m
2であった。これらの結果を表2に示す。
更に、このポリカーボネート共重合体を200℃でプレスし、厚さ約200μmのフィルムに成形したときのd線の屈折率は1.4992、アッベ数は58であった。これらの結果を表3に示す。
また、このポリカーボネート共重合体の窒素雰囲気下での5%熱減量温度は344℃であった。この結果を表4に示す。
また、発生ガス量を調べたところ、フェノール成分以外の発生ガス量は3.7ng/cm
2で、一般式(1)で表されるジヒドロキシ化合物を除いたジヒドロキシ化合物由来の発生ガスは検出されなかった。この結果を表6に示す。
また、このポリカーボネート共重合体のNMRチャートを
図1に示す。
【0171】
[実施例2]
イソソルビド31.8重量部(0.458モル)、1,4−CHDM8.7重量部(0.127モル)、DPC59.5重量部(0.583モル)、触媒として、炭酸セシウム2.22×10
−4重量部(1.43×10
−6モル)を反応容器に投入し、窒素雰囲気下にて、反応の第1段目の工程として、加熱槽温度を150℃に加熱し、必要に応じて攪拌しながら、原料を溶解させた(約15分)。
次いで、圧力を常圧から13.3kPaにし、加熱槽温度を190℃まで1時間で上昇させながら、発生するフェノールを反応容器外へ抜き出した。
【0172】
反応容器全体を190℃で15分保持した後、第2段目の工程として、反応容器内の圧力を6.67kPaとし、加熱槽温度を240℃まで、20分で上昇させ、発生するフェノールを反応容器外へ抜き出した。攪拌機の攪拌トルクが上昇してくるので、さらに発生するフェノールを取り除くため、反応容器内の圧力を0.200kPa以下に到達させた。所定の攪拌トルクに到達後、反応を終了し、生成した反応物を水中に押し出して、ポリカーボネート共重合体のペレットを得た。
【0173】
得られたポリカーボネート共重合体の還元粘度は0.757dl/g、ガラス転移温度は133℃、カラーb値は8.2であった。これらの結果を表1に示す。
更に、このポリカーボネート共重合体を200℃でプレスし、厚さ約200μmのフィルムに成形したときのd線の屈折率は1.5004、アッベ数は57であった。これらの結果を表3に示す。
また、このポリカーボネート共重合体の窒素雰囲気下での5%熱減量温度は343℃であった。この結果を表4に示す。
また、光弾性係数を測定したところ20×10
−12Pa
−1であった。この結果をガラス転移温度の値と共に、表5に示す。
【0174】
[実施例3]
実施例2において、イソソルビド35.9重量部(0.674モル)、1,4−CHDM4.4重量部(0.083モル)、DPC59.7重量部(0.764モル)、触媒として、炭酸セシウム2.22×10
−4重量部(1.87×10
−6モル)に変更した以外は、同様に実施した。
【0175】
得られたポリカーボネート共重合体の還元粘度は0.712dl/g、ガラス転移温度は148℃、カラーb値は9.1であった。これらの結果を表1に示す。
更に、このポリカーボネート共重合体を200℃でプレスし、厚さ約200μmのフィルムに成形したときのd線の屈折率は1.5014、アッベ数は57であった。これらの結果を表3に示す。
【0176】
[実施例4]
実施例1において、イソソルビド19.7重量部(0.363モル)、1,4−CHDM21.6重量部(0.404モル)、DPC58.8重量部(0.741モル)、触媒として、炭酸セシウム2.19×10
−4重量部(1.82×10
−6モル)に変更した以外は、同様に実施した。
【0177】
得られたポリカーボネート共重合体の還元粘度は1.196dl/g、ガラス転移温度は101℃、カラーb値は7.7であった。これらの結果を表1に示す。
また、このポリカーボネート共重合体を温度245℃で、金型温度80℃で成形し、長さ31.5mm、幅6.2mm、厚さ3.2mmの試験片と平行部長さ9mm、平行部直径1.5mmの引張試験片を得た。これらの試験片を用いて、機械物性の評価を行った結果、引張降伏強さ66MPa、引張降伏弾性率595MPa、降伏時伸び16%、破断時伸び27%、アイゾット衝撃強度293J/m
2であった。これらの結果を表2に示す。
更に、このポリカーボネート共重合体を200℃でプレスし、厚さ約200μmのフィルムに成形したときのd線の屈折率は1.4993、アッベ数は61であった。結果を表3に示す。
また、このポリカーボネート共重合体の窒素雰囲気下での5%熱減量温度は345℃であった。この結果を表4に示す。
【0178】
[実施例5]
イソソルビド15.7重量部(0.288モル)に対して、1,4−CHDM25.8重量部(0.480モル)、DPC58.6重量部(0.734モル)、及び触媒として、炭酸セシウム2.18×10
−4重量部(1.80×10
−6モル)を反応容器に投入し、窒素雰囲気下にて、反応の第1段目の工程として、加熱槽温度を150℃に加熱し、必要に応じて、攪拌しながら、原料を溶解させた(約15分)。
次いで、圧力を常圧から13.3kPaにし、加熱槽温度を190℃まで1時間で上昇させながら発生するフェノールを反応容器外へ抜き出し、190℃で30分保持した後、第2段目の工程として、反応容器内の圧力を6.67kPaとし、加熱槽温度を240℃まで、45分で上昇させ、発生するフェノールを反応容器外へ抜き出した。攪拌機の攪拌トルクが上昇してくるが、さらに発生するフェノールを取り除くため、反応容器内の圧力を0.200kPa以下に到達させた。所定の攪拌トルクに到達後反応を終了し、反応物を水中に押し出してペレットを得た。
【0179】
得られたポリカーボネート共重合体の還元粘度は1.186dl/g、ガラス転移温度は89℃、カラーb値は5.1であった。これらの結果を表1に示す。
更に、このポリカーボネート共重合体を温度245℃で、金型温度70℃で成形し、長さ31.5mm、幅6.2mm、厚さ3.2mmの試験片と平行部長さ9mm、平行部直径1.5mmの引張試験片を得た。これらの試験片を用いて、機械物性の評価を行った結果、引張降伏強さ59MPa、引張降伏弾性率541MPa、降伏時伸び15%、破断時伸び70%、アイゾット衝撃強度784J/m
2であった。これらの結果を表2に示す。
また、このポリカーボネート共重合体を、200℃でプレスし、厚さ約200μmのフィルムを得た。d線の屈折率は1.4993、アッベ数は62であった。これらの結果を表3に示す。
【0180】
[実施例6]
実施例2において、イソソルビド27.7重量部(0.516モル)、1,4−CHDM13.0重量部(0.246モル)、DPC59.2重量部(0.752モル)、触媒として、炭酸セシウム2.21×10
−4重量部(1.84×10
−6モル)に変更した以外は、同様に実施した。
得られたポリカーボネート共重合体の還元粘度は0.979dl/g、ガラス転移温度は124℃、カラーb値は9.5であった。これらの結果を表1に示す。
更に、このポリカーボネート共重合体を温度245℃で、金型温度90℃で成形し、長さ31.5mm、幅6.2mm、厚さ3.2mmの試験片と平行部長さ9mm、平行部直径1.5mmの引張試験片を得た。これらの試験片を用いて、機械物性の評価を行った結果、引張降伏強さ78MPa、引張降伏弾性率691MPa、降伏時伸び16%、破断時伸び47%、アイゾット衝撃強度184J/m
2であった。これらの結果を表2に示す。
また、鉛筆硬度はHであった。この結果を表7に示す。
【0181】
[実施例7]
実施例2において、イソソルビド27.7重量部(0.516モル)、1,4−CHDM13.0重量部(0.246モル)、DPC59.2重量部(0.752モル)、触媒を、水酸化ナトリウム8.7×10
−5重量部(5.9×10
−6モル)に変更した以外は
同様に実施した。
得られたポリカーボネート共重合体の還元粘度は0.965dl/g、ガラス転移温度は123℃、カラーb値は9.4であった。これらの結果を表1に示す。
【0182】
[実施例8]
実施例2において、イソソルビド28.2重量部(0.516モル)、1,4−CHDM13.3重量部(0.246モル)、DPC58.5重量部(0.730モル)、触媒として、炭酸セシウム2.25×10
−4重量部(1.84×10
−6モル)に変更した以外は、同様に実施した。
【0183】
得られたポリカーボネート共重合体の還元粘度は0.496dl/g、ガラス転移温度は122℃、カラーb値は9.6であった。これらの結果を表1に示す。
また、鉛筆硬度はHであった。この結果を表7に示す。
【0184】
[実施例9]
実施例2において、イソソルビド27.7重量部(0.516モル)、1,4−CHDM13.0重量部(0.246モル)、DPC59.2重量部(0.752モル)、触媒を、炭酸セシウム2.21×10
−5重量部(1.84×10
−7モル)に変更した以外は同様に実施した。
得られたポリカーボネート共重合体の還元粘度は0.910dl/g、ガラス転移温度は124℃、カラーb値は9.8であった。これらの結果を表1に示す。
【0185】
[実施例10]
実施例2において、イソソルビド27.7重量部(0.516モル)、1,4−CHDM13.0重量部(0.246モル)、DPC59.2重量部(0.752モル)、触媒として、炭酸セシウム2.21×10
−3重量部(1.84×10
−5モル)に変更した以外は同様に実施した。
得られたポリカーボネート共重合体の還元粘度は0.980dl/g、ガラス転移温度は124℃、カラーb値は8.3であった。これらの結果を表1に示す。
【0186】
[実施例11]
実施例2において、イソソルビド27.7重量部(0.516モル)、1,4−CHDM13.0重量部(0.246モル)、DPC59.2重量部(0.752モル)に変更し、原料とともに、熱安定剤「PEP−36」(旭電化社製、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト)0.096重量部を反応容器に投入して重合させた以外は同様に実施した。
得られたポリカーボネート共重合体の還元粘度は0.975dl/g、ガラス転移温度は124℃、カラーb値は7.2であった。これらの結果を表1に示す。
【0187】
[実施例12]
実施例2において、イソソルビド19.7重量部(0.363モル)、1,4−CHDM21.6重量部(0.404モル)、DPC58.8重量部(0.741モル)、触媒として、炭酸セシウム2.19×10
−4重量部(1.82×10
−6モル)に変更し、原料とともに、熱安定剤「PEP−36」(旭電化製、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト)0.096重量部を反応容器に投入し、重合させた以外は同様に実施した。
得られたポリカーボネート共重合体の還元粘度は0.850dl/g、ガラス転移温度は100℃、カラーb値は3.6であった。これらの結果を表1に示す。
【0188】
[実施例13]
イソソルビド26.9重量部(0.483モル)に対して、トリシクロデカンジメタノール(以下「TCDDM」と略記する。)15.8重量部(0.211モル)、DPC57.4重量部(0.704モル)、及び触媒として、炭酸セシウム2.14×10
−4重量部(1.73×10
−6モル)を反応容器に投入し、窒素雰囲気下にて、反応の第1段目の工程として、加熱槽温度を150℃に加熱し、必要に応じて攪拌しながら、原料を溶解させた(約15分)。
次いで、圧力を常圧から13.3kPaに40分で減圧し、加熱槽温度を190℃まで40分で上昇させながら、発生するフェノールを反応容器外へ抜き出した。
【0189】
反応容器全体を190℃で15分保持した後、第2段目の工程として、加熱槽温度を220℃まで、30分で上昇させた。昇温に入ってから10分後に、反応容器内の圧力を30分で0.200kPa以下とし、発生するフェノールを溜出させた。所定の攪拌トルクに到達後、反応を終了し、生成した反応物を水中に押し出して、ポリカーボネート共重合体のペレットを得た。
【0190】
得られたポリカーボネート共重合体の還元粘度は0.640dl/g、ガラス転移温度は126℃、カラーb値は4.6であった。これらの結果を表1に示す。
また、このポリカーボネート共重合体を245℃で、金型温度90℃で成形し、長さ31.5mm、幅6.2mm、厚さ3.2mmの試験片と平行部長さ9mm、平行部直径1.5mmの引張試験片を得た。これらの試験片を用いて、機械物性の評価を行った結果、引張降伏強さ89MPa、引張降伏弾性率834MPa、降伏時伸び15%、破断時伸び76%、アイゾット衝撃強度48J/m
2であった。これらの結果を表2に示す。
更に、このポリカーボネート共重合体を200℃でプレスし、厚さ約200μmのフィルムに成形したときのd線の屈折率は1.5095、アッベ数は62であった。これらの結果を表3に示す。
また、このポリカーボネート共重合体の窒素雰囲気下での5%熱減量温度は348℃であった。この結果を表4に示す。
また、光弾性係数を測定したところ9×10
−12Pa
−1であった。この結果をガラス転移温度の値と共に、表5に示す。
また、発生ガス量を調べたところ、フェノール成分以外の発生ガス量は4.5ng/c
m
2で、一般式(1)で表されるジヒドロキシ化合物を除くジヒドロキシ化合物由来の発生ガスは検出されなかった。この結果を表6に示す。
また、鉛筆硬度はFであった。この結果を表7に示す。
【0191】
[実施例14]
イソソルビド35.5重量部(0.660モル)に対して、TCDDM5.4重量部(0.075モル)、DPC59.0重量部(0.748モル)、及び触媒として、炭酸セシウム2.20×10
−4重量部(1.83×10
−6モル)に変更した以外は、実施例13と同様に実施した。
【0192】
得られたポリカーボネート共重合体の還元粘度は0.546dl/g、ガラス転移温度は144℃、カラーb値は6.4であった。これらの結果を表1に示す。
機械物性の評価を行った結果、引張降伏強さ106MPa、引張降伏弾性率872MPa、降伏時伸び16%、破断時伸び26%、アイゾット衝撃強度65J/m
2であった。これらの結果を表2に示す。
また、フィルムに成形したときのd線の屈折率は1.5052、アッベ数は60であった。これらの結果を表3に示す。
【0193】
[実施例15]
イソソルビド31.1重量部(0.569モル)に対して、TCDDM10.7重量部(0.145モル)、DPC58.2重量部(0.725モル)、及び触媒として、炭酸セシウム2.17×10
−4重量部(1.78×10
−6モル)に変更した以外は、実施例13と同様に実施した。
【0194】
得られたポリカーボネート共重合体の還元粘度は0.644dl/g、ガラス転移温度は136℃、カラーb値は2.8であった。これらの結果を表1に示す。
機械物性の評価を行った結果、引張降伏強さ107MPa、引張降伏弾性率934MPa、降伏時伸び16%、破断時伸び39%、アイゾット衝撃強度58J/m
2であった。これらの結果を表2に示す。
また、フィルムに成形したときのd線の屈折率は1.5090、アッベ数は61であった。これらの結果を表3に示す。
また、このポリカーボネート共重合体の窒素雰囲気下での5%熱減量温度は344℃であった。この結果を表4に示す。
【0195】
[実施例16]
イソソルビド22.7重量部(0.403モル)に対して、TCDDM20.7重量部(0.274モル)、DPC56.6重量部(0.684モル)、及び触媒として、炭酸セシウム2.11×10
−4重量部(1.68×10
−6モル)に変更した以外は、実施例13と同様に実施した。
得られたポリカーボネート共重合体の還元粘度は0.637dl/g、ガラス転移温度は118℃、カラーb値は2.3であった。これらの結果を表1に示す。
また、フィルムに成形したときのd線の屈折率は1.5135、アッベ数は58であった。これらの結果を表3に示す。
また、光弾性係数を測定したところ7×10
−12Pa
−1であった。この結果をガラス転移温度の値と共に、表5に示す。
【0196】
[実施例17]
イソソルビド18.7重量部(0.327モル)に対して、TCDDM25.6重量部(0.333モル)、DPC55.8重量部(0.666モル)、及び触媒として、炭酸セシウム2.08×10
−4重量部(1.63×10
−6モル)に変更した以外は、実施
例13と同様に実施した。
【0197】
得られたポリカーボネート共重合体の還元粘度は0.785dl/g、ガラス転移温度は110℃、カラーb値は4.7であった。これらの結果を表1に示す。
機械物性の評価を行った結果、引張降伏強さ79MPa、引張降伏弾性率807MPa、降伏時伸び13%、破断時伸び18%、アイゾット衝撃強度58J/m
2であった。これらの結果を表2に示す。
また、フィルムに成形したときのd線の屈折率は1.5157、アッベ数は60であった。これらの結果を表3に示す。また、このポリカーボネート共重合体の窒素雰囲気下での5%熱減量温度は349℃であった。この結果を表4に示す。
【0198】
[実施例18]
イソソルビド14.7重量部(0.257モル)に対して、TCDDM30.3重量部(0.394モル)、DPC55.0重量部(0.656モル)、及び触媒として、炭酸セシウム2.05×10
−4重量部(1.61×10
−6モル)を窒素雰囲気下にて、反応の第1段目の工程として、加熱槽温度を150℃に加熱し、必要に応じて攪拌しながら、原料を溶解させた(約15分)。
次いで、圧力を常圧から13.3kPaに3分で減圧し、加熱槽温度を190℃まで60分で上昇させながら、発生するフェノールを反応容器外へ抜き出した。
【0199】
反応容器全体を190℃で15分保持した後、第2段目の工程として、反応容器内の圧力を6.67kPaとし、加熱槽温度を240℃まで、45分で上昇させ、発生するフェノールを反応容器外へ抜き出した。さらに発生するフェノールを取り除くため、反応容器内の圧力を0.200kPa以下に到達させた。所定の攪拌トルクに到達後、反応を終了し、生成した反応物を水中に押し出して、ポリカーボネート共重合体のペレットを得た。
【0200】
得られたポリカーボネート共重合体の還元粘度は0.672dl/g、ガラス転移温度は102℃、カラーb値は9.2であった。これらの結果を表1に示す。
機械物性の評価を行った結果、引張降伏強さ76MPa、引張降伏弾性率850MPa、降伏時伸び12%、破断時伸び31%、アイゾット衝撃強度40J/m
2であった。これらの結果を表2に示す。
また、フィルムに成形したときのd線の屈折率は1.5185、アッベ数は58であった。これらの結果を表3に示す。
また、このポリカーボネート共重合体の窒素雰囲気下での5%熱減量温度は352℃であった。この結果を表4に示す。
【0201】
[実施例19]
イソソルビド25.6重量部(0.339モル)に対して、ペンタシクロペンタデカンジメタノール(以下「PCPDM」と略記する。)19.7重量部(0.145モル)、DPC54.7重量部(0.494モル)、及び触媒として、炭酸セシウム2.04×10
−4重量部(1.21×10
−6モル)を反応容器に投入し、窒素雰囲気下にて、反応の第1段目の工程として、加熱槽温度を150℃に加熱し、必要に応じて攪拌しながら、原料を溶解させた(約15分)。
次いで、圧力を常圧から13.3kPaに40分で減圧し、加熱槽温度を220℃まで70分で上昇させながら、発生するフェノールを反応容器外へ抜き出した。
【0202】
反応容器全体を220℃で10分保持した後、第2段目の工程として、加熱槽温度を240℃まで、20分で上昇させながら、反応容器内の圧力を30分で0.200kPa以下とし、発生するフェノールを溜出させた。所定の攪拌トルクに到達後、反応を終了し、生成した反応物を水中に押し出して、ポリカーボネート共重合体のペレットを得た。
【0203】
得られたポリカーボネート共重合体の還元粘度は0.730dl/g、ガラス転移温度は149℃、カラーb値は8.4であった。これらの結果を表1に示す。
更に、このポリカーボネート共重合体を200℃でプレスし、厚さ約200μmのフィルムに成形したときのd線の屈折率は1.5194、アッベ数は60であった。これらの結果を表3に示す。
また、このポリカーボネート共重合体の窒素雰囲気下での5%熱減量温度は347℃であった。この結果を表4に示す。
また、光弾性係数を測定したところ8×10
−12Pa
−1であった。この結果をガラス転移温度の値と共に、表5に示す。
【0204】
[実施例20]
イソソルビド54.7g(0.374モル)に対して、アダマンタンジメタノール31.5g(0.161モル)、DPC116.8g(0.545モル)、及び触媒として、炭酸セシウム6.12×10
−4g(4.84×10
−6モル)を反応容器に投入し、窒素雰囲気下にて、反応の第1段目の工程として、加熱槽温度を150℃に加熱し、必要に応じて攪拌しながら、原料を溶解させた(約15分)。
次いで、圧力を常圧から13.3kPaに40分で減圧し、加熱槽温度を220℃まで70分で上昇させながら、発生するフェノールを反応容器外へ抜き出した。
【0205】
反応容器全体を220℃で10分保持した後、第2段目の工程として、加熱槽温度を230℃まで、20分で上昇させながら、反応容器内の圧力を30分で0.200kPa以下とし、発生するフェノールを溜出させた。所定の攪拌トルクに到達後、反応を終了し、生成した反応物を水中に押し出して、ポリカーボネート共重合体のペレットを得た。
【0206】
得られたポリカーボネート共重合体の還元粘度は0.409dl/g、ガラス転移温度は125℃、カラーb値は14.8であった。これらの結果を表1に示す。
【0207】
[実施例21]
実施例20において、イソソルビド54.5g(0.373モル)に対して、ビスシクロヘキサンジオール31.7g(0.160モル)、DPC116.4g(0.543モル)、及び触媒として、炭酸セシウム2.04×10
−4g(1.21×10
−6モル)に変更した以外は、同様の方法で実施した。
得られたポリカーボネート共重合体の還元粘度は0.260dl/g、ガラス転移温度は125℃、カラーb値は8.6であった。これらの結果を表1に示す。
【0208】
[実施例22]
イソソルビド11.7重量部(0.165モル)に対して、1,4−CHDM30.0重量部(0.428モル)、DPC58.3重量部(0.561モル)、及び触媒として、炭酸セシウム2.18×10
−4重量部(1.38×10
−6モル)を反応容器に投入し、窒素雰囲気下にて、反応の第1段目の工程として、加熱槽温度を150℃に加熱し、必要に応じて、攪拌しながら、原料を溶解させた(約15分)。
次いで、圧力を常圧から13.3kPaにし、加熱槽温度を190℃まで1時間で上昇させながら発生するフェノールを系外へ抜き出し、190℃で30分保持した後、第2段目の工程として、反応容器内の圧力を6.67kPaとし、加熱槽温度を220℃まで、45分で上昇させ、発生するフェノールを抜き出した。攪拌トルクが上昇してくるが、さらに発生するフェノールを取り除くため、反応容器内の圧力を0.200kPa以下に到達させた。所定の攪拌トルクに到達後反応を終了し、反応物を水中に押し出してペレットを得た。
【0209】
得られたポリカーボネート共重合体の還元粘度は0.979dl/g、ガラス転移温度は74℃、カラーb値は4.7であった。これらの結果を表1に示す。
更に、このポリカーボネート共重合体を、200℃でプレスし、厚さ約200μmのフィルムを得た。d線の屈折率は1.5002、アッベ数は56であった。これらの結果を表3に示す。
【0210】
[実施例23]
実施例22において、イソソルビド7.8重量部(0.142モル)、1,4−CHDM34.1重量部(0.631モル)、DPC58.1重量部(0.723モル)、触媒として、炭酸セシウム2.17×10
−4重量部(1.77×10
−6モル)に変更した以外は、同様に実施した。
得られたポリカーボネート共重合体の還元粘度は1.159dl/g、ガラス転移温度は63℃、カラーb値は2.9であった。これらの結果を表1に示す。
更に、このポリカーボネート共重合体を、200℃でプレスし、厚さ約200μmのフィルムを得た。d線の屈折率は1.5024、アッベ数は56であった。これらの結果を表3に示す。
【0211】
[実施例24]
実施例22において、イソソルビド3.9重量部(0.070モル)、1,4−CHDM38.2重量部(0.703モル)、DPC57.9重量部(0.717モル)、触媒として、炭酸セシウム2.16×10
−4重量部(1.76×10
−6モル)に変更した以外は、同様に実施した。
得られたポリカーボネート共重合体の還元粘度は0.670dl/g、ガラス転移温度は51℃、カラーb値は2.8であった。これらの結果を表1に示す。
【0212】
[実施例25]
実施例22において、イソソルビド1.9重量部(0.035モル)、1,4−CHDM40.3重量部(0.740モル)、DPC57.8重量部(0.715モル)、触媒として、炭酸セシウム2.15×10
−4重量部(1.75×10
−6モル)に変更した以外は、同様に実施した。
得られたポリカーボネート共重合体の還元粘度は0.640dl/g、ガラス転移温度は45℃、カラーb値は3.0であった。これらの結果を表1に示す。
【0213】
[
参考例26]
実施例2において、イソソルビド17.7重量部(0.294モル)、9,9−ビス−(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン(以下BHEPFと略す)10.6.重量部(0.059モル)、TCDDM19.0重量部(0.235モル)、DPC52.8重量部(0.598モル)、触媒として、塩化ナトリウム2.5×10
−6重量部(4.7×10
−6モル)に変更した以外は同様に実施した。 得られたポリカーボネート共重合体の還元粘度は0.668dl/g、ガラス転移温度は122℃、カラーb値は11.2であった。これらの結果を表1に示す。
更に、このポリカーボネート共重合体を条件200℃でプレスし、厚さ200μmのフィルムを得た。d線の屈折率は1.5410、アッベ数は42であった。これらの結果を表3に示す。
【0214】
[
参考例27]
イソソルビド40.1重量部(0.581モル)に対して、DPC59.9重量部(0.592モル、触媒として、炭酸セシウム2.23×10
−4重量部(1.45×10
−6モル)を反応容器に投入し、攪拌しながら、室温から150℃に加熱して溶解をした(約15分)。
次いで、圧力を常圧から13.3kPaにし、190℃まで1時間で上昇させながら発生するフェノールを系外へ抜き出した。190℃で15分保持した後、反応器内圧力を6.67kPaとし、加熱槽温度を230℃まで、15分で上昇させ、発生するフェノールを抜いた。攪拌トルクが上昇してくるので、8分で250℃まで昇温し、さらに発生するフェノールを取り除くため、真空度を0.200kPa以下に到達させた。所定の攪拌トルクに到達後反応を終了し、反応物を水中に押し出してペレットを得ようとしたが、押し出せなかったので、固まりで取り出した。
【0215】
得られたポリカーボネート共重合体の還元粘度は0.679dl/g、ガラス転移温度は160℃、カラーb値は13.0であり、実施例のものに比べ、b値が高く、褐色に着色したものだった。これらの結果を表1に示す。
更に、このポリカーボネート共重合体を265℃で成形し、長さ31.5mm、幅6.2mm、厚さ3.2mmの試験片と平行部長さ9mm、平行部直径1.5mmの引張試験片の採取を試みたが、溶融粘度が高く、また、着色が激しく、発泡も激しく成型品の歩留まりが悪かった。これらの試験片を用いて、機械物性の評価を行った結果、引張降伏強さ105MPa、引張降伏弾性率353MPa、降伏時伸び17%、破断時伸び31%、アイゾット衝撃強度11J/m
2であり、アイゾット衝撃強度が実施例に比べ、著しく低いことが分かった。これらの結果を表2に示す。
また、このポリカーボネート共重合体の窒素雰囲気下での5%熱減量温度は339℃であり、実施例のものに比べて低いことが分かった。この結果を表4に示す。なお、このポリカーボネート共重合体を、200℃でプレスし、厚さ約200μmのフィルムを得た。このフィルムははさみで切るとひび割れができ、もろかった。
上記の結果から、ジヒドロキシ化合物としてイソソルビドを単独で用いた場合、蟻酸含有量が20ppm未満であれば重合反応は問題なく進行するが 、得られるポリカーボネ
ートの物性は、ポリカーボネート共重合体の物性よりも劣ることが分かる。
【0216】
[参考例1]
1,4−CHDM42.3重量部(0.776モル)、DPC57.7重量部(0.712モル)、触媒として、炭酸セシウム2.15×10
−4重量部(1.75×10
−6モル)を反応容器に投入し、窒素雰囲気下にて、反応の第1段目の工程として、加熱槽温度を150℃に加熱し、必要に応じて攪拌しながら、原料を溶解させた(約15分)。
次いで、圧力を常圧から13.3kPaに3分で減圧し、保持した。加熱槽温度を190℃まで60分で上昇させながら、発生するフェノールを反応容器外へ抜き出した。
反応容器全体を190℃で15分保持した後、第2段目の工程として、反応容器内の圧力を6.67kPaとし、加熱槽温度を220℃まで、45分で上昇させ、発生するフェノールを反応容器外へ抜き出した。攪拌機の攪拌トルクが上昇してくるが、さらに発生するフェノールを取り除くため、反応容器内の圧力を0.200kPa以下に到達させた。所定の攪拌トルクに到達後、反応を終了し、生成した反応物を水中に押し出して、ポリカーボネート共重合体のペレットを得た。
得られたポリカーボネート共重合体の還元粘度は0.662dl/g、ガラス転移温度は40℃、カラーb値は4.5で、ガラス転移温度が低いので、団子状になり、チップ化しにくかった。これらの結果を表1に示す。
【0217】
[参考例2]
市販の芳香族ポリカーボネート樹脂「ユーピロンH4000」(三菱エンジニアリングプラスチック社製、還元粘度0.456dl/g、ガラス転移温度145℃)を280℃で成形し、長さ31.5mm、幅6.2mm、厚さ3.2mmの試験片と平行部長さ9mm、平行部直径1.5mmの引張試験片を得た。
これらの試験片を用いて、機械物性の評価を行った結果、引張降伏強さ63MPa、引張降伏弾性率629MPa、降伏時伸び13%、破断時伸び74%、アイゾット衝撃強度
6J/m
2であった。これらの結果を表2に示す。
更に、この芳香族ポリカーボネート樹脂を200℃でプレスし、厚さ約200μmのフィルムを得た。d線の屈折率は1.5828、アッベ数は30であった。結果を表3に示す。
また、光弾性係数を測定したところ72×10
−12Pa
−1であった。この結果をガラス転移温度の値と共に、表5に示す。
また、鉛筆硬度は2Bであった。この結果を表7に示す。
【0218】
[参考例3]
市販の芳香族ポリカーボネート樹脂「ユーピロンS2000」(三菱エンジニアリングプラスチック社製、還元粘度0.507dl/g)を280℃で成形し、長さ31.5mm、幅6.2mm、厚さ3.2mmの試験片と平行部長さ9mm、平行部直径1.5mmの引張試験片を得た。
これらの試験片を用いて、機械物性の評価を行った結果、引張降伏強さ63MPa、引張降伏弾性率565MPa、降伏時伸び13%、破断時伸び85%、高いアイゾット衝撃強度641J/m
2であった。これらの結果を表2に示す。
【0219】
[参考例4]
市販のポリ乳酸「レイシアH−440」(三井化学社製)について窒素雰囲気下での5%熱減量温度を測定したところ、320℃であった。この結果を表4に示す。
【0220】
[参考例5]
TCDDM47.8重量部(0.586モル)、DPC58.2重量部(0.585モル)、触媒として、炭酸セシウム1.95×10
−4重量部(1.44×10
−6モル)を反応容器に投入し、窒素雰囲気下にて、反応の第1段目の工程として、加熱槽温度を150℃に加熱し、必要に応じて攪拌しながら、原料を溶解させた(約15分)。
次いで、圧力を常圧から13.3kPaに40分で減圧しながら、加熱槽温度を190℃まで40分で上昇させた。発生するフェノールを反応容器外へ抜き出した。
反応容器全体を190℃で15分保持した後、第2段目の工程として、加熱槽温度を220℃まで、30分で上昇させた。昇温に入ってから10分後に、反応容器内の圧力を30分で0.200kPa以下とし、発生するフェノールを溜出させた。所定の攪拌トルクに到達後、反応を終了し、生成した反応物を水中に押し出して、ポリカーボネート共重合体のペレットを得た。
得られたポリカーボネート共重合体の還元粘度は0.899dl/g、ガラス転移温度は73℃、カラーb値は3.9であった。これらの結果を表1に示す。
【0221】
[
参考例28]
実施例13において、イソソルビド85.61g(0.585モル)、1,4−ブタンジオール(以下「1,4−BG」と略記する。)22.6g(0.251モル)、DPC166.8g(0.779モル)、触媒として、炭酸セシウム1.08×10
−4g(0.87×10
−6モル)に変更した以外は同様に実施した。
得られたポリカーボネート共重合体の還元粘度は0.568dl/g、ガラス転移温度は116℃、カラーb値は12.4であった。これらの結果を表1に示す。
また、このポリカーボネート共重合体の窒素雰囲気下での5%熱減量温度は339℃であった。この結果を表4に示す。
また、光弾性係数を測定したところ23×10
−12Pa
−1であった。この結果をガ
ラス転移温度の値と共に、表5に示す。
また、発生ガス量を調べたところ、フェノール成分以外の発生ガス量は10.0ng/cm
2で、一般式(1)で表されるジヒドロキシ化合物を除くジヒドロキシ化合物由来の発生ガスとして、テトラヒドロフラン(THF)が2.0ng/cm
2検出された。この結果を表6に示す。
【0222】
[
参考例29]
実施例13において、イソソルビド81.22g(0.556モル)、1,6−ヘキサンジオール(以下「1,6−HD」と略記する。)28.2g(0.239モル)、DPC161.6g(0.754モル)、触媒として、炭酸セシウム1.08×10
−4g(0.87×10
−6モル)に変更した以外は同様に実施した。 得られたポリカーボネート共重合体の還元粘度は1.063dl/g、ガラス転移温度は85℃、カラーb値は8.9であった。これらの結果を表1に示す。
また、このポリカーボネート共重合体の窒素雰囲気下での5%熱減量温度は336℃であった。この結果を表4に示す。
また、光弾性係数を測定したところ20×10
−12Pa
−1であった。この結果をガラス転移温度の値と共に、表5に示す。
また、発生ガス量を調べたところ、フェノール成分以外の発生ガス量は11.0ng/cm
2で、一般式(1)で表されるジヒドロキシ化合物を除くジヒドロキシ化合物由来の発生ガスとして、シクロヘキサジエン、シクロヘキシルフェニルエーテルが5.6ng/cm
2検出された。この結果を表6に示す。
また、鉛筆硬度はHBであった。この結果を表7に示す。
【0223】
[
参考例30]
実施例13において、イソソルビド63.84g(0.437モル)、9,9−ビスクレゾールフルオレン(以下「BCF」と略す)27.6g(0.0729モル)、1,4−BG19.7g(0.219モル)、DPC145.04g(0.677モル)、触媒として、炭酸セシウム1.08×10
−4重量部(0.87×10
−6モル)に変更した以外は同様に実施した。
得られたポリカーボネート共重合体の還元粘度は0.464dl/g、ガラス転移温度は129℃、カラーb値は8.3であった。これらの結果を表1に示す。
また、光弾性係数を測定したところ23×10
−12Pa
−1であった。この結果をガラス転移温度の値と共に、表5に示す。
【0224】
[
参考例31]
実施例7において、イソソルビド16.7重量部(0.265モル)、BHEPF20.0重量部(0.106モル)、TCDDM13.4重量部(0.159モル)、DPC49.9重量部(0.540モル)、触媒として、塩化ナトリウム2.3×10
−6重量部(4.23×10
−6モル)に変更した以外は同様に実施した。 得られたポリカーボネート共重合体の還元粘度は0.624dl/g、ガラス転移温度は123℃、カラーb値は9.7であった。これらの結果を表1に示す。
更に、このポリカーボネート共重合体を条件200℃でプレスし、厚さ200μmのフィルムを得た。d線の屈折率は1.5617、アッベ数は36であった。これらの結果を表3に示す。
【0225】
[
参考例32]
実施例7において、イソソルビド15.8重量部(0.241モル)、BHEPF28.5重量部(0.144モル)、TCDDM8.5重量部(0.096モル)、DPC47.3重量部(0.491モル)、触媒として、塩化ナトリウム2.1×10
−6重量部(3.9×10
−6モル)に変更した以外は同様に実施した。
得られたポリカーボネート共重合体の還元粘度は0.586dl/g、ガラス転移温度は133℃、カラーb値は8.4であった。これらの結果を表1に示す。
更に、このポリカーボネート共重合体を条件200℃でプレスし、厚さ200μmのフィルムを得た。d線の屈折率は1.5800、アッベ数は31であった。これらの結果を表3に示す。
【0226】
[実施例33]
イソソルビド26.9重量部(0.483モル)に対して、TCDDM15.5重量部(0.207モル)、DPC57.8重量部(0.709モル)、及び触媒として、炭酸セシウム2.15×10
−4重量部(1.73×10
−6モル)を反応容器に投入し、窒素雰囲気下にて、反応の第1段目の工程として、加熱槽温度を150℃に加熱し、必要に応じて攪拌しながら、原料を溶解させた(約60分)。
次いで、圧力を常圧から13.3kPaに40分で減圧し、加熱槽温度を190℃まで40分で上昇させながら、発生するフェノールを反応容器外へ抜き出した。
【0227】
反応容器全体を190℃で15分保持した後、第2段目の工程として、加熱槽温度を220℃まで、30分で上昇させた。220℃なってから10分後に、反応容器内の圧力を30分で0.200kPa以下とし、発生するフェノールを溜出させた。所定の攪拌トルクに到達後、反応を終了し、生成した反応物を水中に押し出して、ポリカーボネート共重合体のペレットを得た。
【0228】
得られたポリカーボネート共重合体の還元粘度は0.506dl/g、ガラス転移温度は126℃、カラーb値は10.0であった。
なお、この例で用いたイソソルビドのアルカリ金属含有量は、Naが0.03ppm(イソソルビド1モルに対して0.19μモル)、アルカリ土類金属の含有量は、Caが0.02ppm(イソソルビド1モルに対して0.073μモル)であった。CDDMのアルカリ金属及びアルカリ土類金属含有量は検出限界以下であった。これらの結果を表8に示す。
また、このポリカーボネート共重合体のNMRチャートを
図2に示す。
【0229】
[実施例34]
実施例2において、イソソルビド27.7重量部(0.516モル)に対して、CHDM13.0重量部(0.246モル)、DPC59.2重量部(0.752モル)、及び触媒として、炭酸セシウム2.21×10
−4重量部(1.84×10
−6モル)に変更した以外は、同様に実施した。
得られたポリカーボネート共重合体の還元粘度は0.621dl/g、ガラス転移温度は123℃、カラーb値は11.0であった。
なお、この例で用いたイソソルビドのアルカリ金属含有量は、Naが0.03ppm(イソソルビド1モルに対して0.19μモル)、アルカリ土類金属量は、Caが0.02ppm(イソソルビド1モルに対して0.073μモル)であった。CHDMのアルカリ金属含有量は、Naが0.01ppm(CHDM1モルに対して0.063μモル)、アルカリ土類金属量は、Caが0.01ppm(CHDM1モルに対して0.036μモル)であった。これらの結果を表8に示す。
【0230】
[実施例35]
実施例13において、蟻酸含有量を、蒸留により3ppmとしたイソソルビドを用いたこと以外は、同様に実施した。
得られたポリカーボネートの還元粘度は0.510dl/g、ガラス転移温度は126℃、カラーb値は4.5であった。
なお、この例で用いたイソソルビドのアルカリ金属含有量は、Naが0.17ppm(イソソルビド1モルに対して1.08μモル)、アルカリ土類金属含有量は、Mgが0.02ppm(イソソルビド1モルに対して0.12μモル)、Caが0.02ppm(イソソルビド1モルに対して0.073μモル)であった。TCDDMのアルカリ金属及びアルカリ土類金属含有量は検出限界以下であった。これらの結果を表8に示す。
【0231】
[実施例36]
実施例13において、蟻酸含有量を、蒸留により2ppmとしたイソソルビドを用いたこと以外は、同様に実施した。
得られたポリカーボネートの還元粘度は0.640dl/g、ガラス転移温度は126℃、カラーb値は3.7であった。
なお、この例で用いたイソソルビドのアルカリ金属含有量は、Naが0.02ppm(イソソルビド1モルに対して0.13μモル)、アルカリ土類金属含有量は検出限界以下であった。TCDDMのアルカリ金属及びアルカリ土類金属含有量は検出限界以下であった。これらの結果を表8に示す。
【0232】
[実施例37]
実施例2において、蟻酸含有量を、蒸留により3ppmとしたイソソルビドを用いたこと以外は、同様に実施した。
得られたポリカーボネートの還元粘度は0.658dl/g、ガラス転移温度は133℃、カラーb値は7.0であった。
なお、この例で用いたイソソルビドのアルカリ金属含有量は、Naが0.17ppm(イソソルビド1モルに対して1.08μモル)、アルカリ土類金属量は、Mgが0.02ppm(イソソルビド1モルに対して0.12μモル)、Caが0.02ppm(イソソルビド1モルに対して0.073μモル)であった。CHDMのアルカリ金属含有量は、Naが0.01ppm(CHDM1モルに対して0.063μモル)、アルカリ土類金属含有量は、Caが0.01ppm(CHDM1モルに対して0.036μモル)であった。これらの結果を表8に示す。
【0233】
[実施例38]
実施例2において、蟻酸含有量を、蒸留により2ppmとしたイソソルビドを用いたこと以外は、同様に実施した。
得られたポリカーボネートの還元粘度は0.590dl/g、ガラス転移温度は133℃、カラーb値は6.5であった。
なお、この例で用いたイソソルビドのアルカリ金属含有量は、Naが0.02ppm(イソソルビド1モルに対して0.13μモル)、アルカリ土類金属含有量は検出限界以下であった。CHDMのアルカリ金属含有量は、Naが0.01ppm(CHDM1モルに対して0.063μモル)、アルカリ土類金属含有量は、Caが0.01ppm(CHDM1モルに対して0.036μモル)であった。これらの結果を表8に示す。
【0234】
[比較例1]
実施例13において、イソソルビドとして、蟻酸含有量400ppm、Na含有量12.0ppm(イソソルビド1モルに対して76.28μモル)、K含有量0.06ppm(イソソルビド1モルに対して0.22μモル)、Ca含有量0.02ppm(イソソルビド1モルに対して0.073μモル)のイソソルビドを用いたこと以外は、同様に実施した。
フェノールの溜出はあるが、反応液は次第に着色し、トルク上昇が見られず、ポリマーは得られなかった。これらの結果を表8に示す。
【0235】
[比較例2]
実施例13において、イソソルビドとして、蟻酸含有量50ppm、Na含有量12.0ppm(イソソルビド1モルに対して76.28μモル)、K含有量0.06ppm(イソソルビド1モルに対して0.22μモル)、Ca含有量0.02ppm(イソソルビド1モルに対して0.073μモル)のものを用いたこと以外は、同様に実施した。
フェノールの溜出はあるが、反応液は次第に着色し、トルク上昇が見られず、ポリマー
は得られなかった。これらの結果を表8に示す。
【0236】
[比較例3]
実施例13において、イソソルビドとして、蟻酸含有量20ppm、Na含有量8.9ppm(イソソルビド1モルに対して56.57μモル)、K含有量0.06ppm(イソソルビド1モルに対して0.22μモル)、アルカリ土類金属含有量が検出限界以下のものを用いたこと以外は、同様に実施した。
フェノールの溜出はあるが、反応液は次第に着色し、トルク上昇が見られず、ポリマーは得られなかった。これらの結果を表8に示す。
【0237】
[比較例4]
実施例2において、イソソルビドとして、蟻酸含有量50ppm、Na含有量12.0ppm(イソソルビド1モルに対して76.28μモル)、K含有量0.06ppm(イソソルビド1モルに対して0.22μモル)、Ca含有量0.02ppm(イソソルビド1モルに対して0.073μモル)のもの、CHDMとして、Na含有量0.01ppm(CHDM1モルに対して0.063μモル)、Ca含有量0.01ppm(CHDM1モルに対して0.036μモル)のものを用いたこと以外は、同様に実施した。
フェノールの溜出はあるが、反応液は次第に着色し、トルク上昇が見られず、ポリマーは得られなかった。これらの結果を表8に示す。
【0238】
[実施例39]
イソソルビド(蟻酸含有量3ppm)71.1g(0.487モル)に対して、TCDDM/水=9/1重量混合液45.5g(0.209モル)、DPC153.4g(0.716モル)、(DPC/全ジオールのモル比1.03)及び触媒として、炭酸セシウム1.42×10
−5g(7.08×10
−5モル)を反応容器に投入し、窒素雰囲気下にて、反応の第1段目の工程として、加熱槽温度を150℃に加熱し、必要に応じて攪拌しながら、原料を溶解させた(約60分)。
次いで、圧力を常圧から13.3kPaに40分で減圧し、その後13.3kPa保持した。減圧を開始すると同時に加熱槽温度を150℃から220℃までを70分で上昇させながら、発生するフェノールと水を反応容器外へ抜き出した。
【0239】
反応容器全体を220℃で10分保持した後、第2段目の工程として、加熱槽温度を230℃まで、10分で上昇させた。昇温開始と同時に、反応容器内の圧力を30分で0.200kPa以下とし、発生するフェノールを溜出させた。所定の攪拌トルクに到達後、反応を終了し、生成した反応物を水中に押し出して、ポリカーボネート共重合体のペレットを得た。
【0240】
得られたポリカーボネート共重合体の還元粘度は0.657dl/g、ガラス転移温度は126℃、カラーb値は6.8であった。これらの結果を表9に示す。
【0241】
[実施例40]
実施例39においてイソソルビド(蟻酸含有量3ppm)71.1g(0.487モル)を重合管に計量した後、40℃、80%RH、大気下での環境下に8日間保管した後に使用した以外は同様に実施した。保管後のイソソルビド中の蟻酸含有量は5ppmであった。またイソソルビドの重量増加は15.6gであった。イソソルビドは水分を吸って液状となった。
得られたポリカーボネート共重合体の還元粘度は0.672dl/g、ガラス転移温度は126℃、カラーb値は7.6であった。これらの結果を表9に示す。
【0242】
[実施例41]
実施例39において、アルミ袋にイソソルビド(蟻酸含有量3ppm)約100gをエージレス(三菱ガス化学社製)SA−100 2個を同封し、40℃、80%RH、での環境下に10日間保管した後に71.1g(0.487モル)使用した以外は同様に実施した。保管後のイソソルビド中の蟻酸含有量は3ppmであった。またイソソルビドの重量増加は0gであった。
得られたポリカーボネート共重合体の還元粘度は0.651dl/g、ガラス転移温度は126℃、カラーb値は5.5であった。これらの結果を表9に示す。
【0243】
[実施例42]
実施例39において、イソソルビド(蟻酸含有量3ppm)71.1g(0.487モル)を重合管に計量した後、40℃、80%RH、大気下での環境下に15日間保管した後に使用した以外は同様に実施した。保管後のイソソルビド中の蟻酸含有量は6ppmであった。またイソソルビドの重量増加は24.4gであった。イソソルビドは水分を吸って液状となった。
得られたポリカーボネート共重合体の還元粘度は0.651dl/g、ガラス転移温度は126℃、カラーb値は8.9であった。これらの結果を表9に示す。
【0244】
[実施例43]
実施例39において、アルミ袋にイソソルビド(蟻酸含有量3ppm)約100gをエージレス(三菱ガス化学社製)SA−100 2個を同封し、40℃、80%RH、での環境下に18日間保管した後に71.1g(0.487モル)使用した以外は同様に実施した。保管後のイソソルビド中の蟻酸含有量は3ppmであった。またイソソルビドの重量増加は0gであった。
得られたポリカーボネート共重合体の還元粘度は0.642dl/g、ガラス転移温度は126℃、カラーb値は5.9であった。これらの結果を表9に示す。
【0245】
[実施例44]
実施例39において、アルミ袋にイソソルビド(蟻酸含有量3ppm)約100gをエージレス(三菱ガス化学社製)SA−100 2個を同封し、40℃、80%RH、での環境下に32日間保管した後に71.1g(0.487モル)使用した以外は同様に実施した。保管後のイソソルビド中の蟻酸含有量は5ppmであった。またイソソルビドの重量増加は0gであった。
得られたポリカーボネート共重合体の還元粘度は0.650dl/g、ガラス転移温度は126℃、カラーb値は7.5であった。これらの結果を表9に示す。
【0246】
[実施例45]
実施例39において、アルミ袋にイソソルビド(蟻酸含有量3ppm)約100gをエージレス(三菱ガス化学社製)SA−100 2個を同封し、40℃、80%RH、での環境下に59日間保管した後に71.1g(0.487モル)使用した以外は同様に実施した。保管後のイソソルビド中の蟻酸含有量は5ppmであった。またイソソルビドの重量増加は0gであった。
得られたポリカーボネート共重合体の還元粘度は0.624dl/g、ガラス転移温度は126℃、カラーb値は7.1であった。これらの結果を表9に示す。
【0247】
[比較例5]
実施例39において、イソソルビド(蟻酸含有量3ppm)71.1g(0.487モル)を重合管に計量した後、40℃、80%RH、大気下での環境下に29日間保管した後に使用した以外は同様に実施した。保管後のイソソルビド中の蟻酸含有量は25ppmであった。またイソソルビドの重量増加は19.9gであった。イソソルビドは水分を吸って液状となった。
得られたポリカーボネート共重合体の還元粘度は0.231dl/g、カラーb値は9.0であった。これらの結果を表9に示す。
【0248】
[比較例6]
実施例39において、イソソルビド(蟻酸含有量3ppm)71.1g(0.487モル)を重合管に計量した後、40℃、80%RH、大気下での環境下に57日間保管した後に使用した以外は同様に実施した。保管後のイソソルビド中の蟻酸含有量は40ppmであった。またイソソルビドの重量増加は10.3gであった。イソソルビドは水分を吸って液状となった。
トルクは上昇せず、重合体は得られなかった。
【0249】
[実施例46]
実施例13において、イソソルビドとして、Na含有量が8.9ppm(イソソルビド1モルに対して56.57μモル)、K含有量が0.06ppm(イソソルビド1モルに対して0.22μモル)のものを用いたこと以外は、同様に実施した。得られたポリカーボネートの還元粘度は0.601dl/g、ガラス転移温度は126℃、カラーb値は17.3であった。これらの結果を表8に示す。
【0250】
[実施例47]
実施例2において、イソソルビドとして、Na含有量が8.9ppm(イソソルビド1モルに対して56.57μモル)、K含有量が0.06ppm(イソソルビド1モルに対して0.22μモル)のもの、CHDMとして、Na含有量が0.01ppm(CHDM1モルに対して0.063μモル)、Ca含有量が0.01ppm(CHDM1モルに対して0.036μモル)のものを用いたこと以外は、同様に実施した。
得られたポリカーボネートの還元粘度は0.596dl/g、ガラス転移温度は133℃、カラーb値は16.5であった。これらの結果を表8に示す。
実施例46、47から、蟻酸が少なければ重合反応は進行するが、アルカリおよびアルカリ土類金属の含有量が多いと着色がし易くなることがわかる。
【0251】
【表1】
【0252】
【表2】
【0253】
【表3】
【0254】
【表4】
【0255】
【表5】
【0256】
【表6】
【0257】
【表7】
【0258】
【表8】
【0259】
【表9】
【0260】
【表10】
【0261】
【表11】
【0262】
【表12】
【0263】
表2から、本発明のポリカーボネートは、市販のポリカーボネートと同等以上の引張降伏強さ、引張降伏弾性率、降伏時伸びを示し、高いアイゾット衝撃強度を持つことが分かる。
【0264】
表3から、本発明のポリカーボネートは、市販のポリカーボネートや従来のポリカーボネートに比べ、屈折率が小さく、アッベ数が大きいことが分かる。
【0265】
表4から、本発明のポリカーボネートは、市販のポリ乳酸や従来のポリカーボネートに比べ、熱安定性が高いことが分かる。
【0266】
以上の結果から、本発明のポリカーボネートは、機械的強度に優れ、耐熱性が良好で、屈折率が小さく、アッベ数が大きく、透明性に優れ、光学材料や、各種の成形材料に好適に用いることができることが分かる。
【0267】
表5から、本発明のポリカーボネートは光弾性係数が小さく、フィルムや、レンズなどの光学材料に好適に用いることが、出来ることが分かる。
【0268】
表6から、脂環式ジヒドロキシ化合物を共重合したポリカーボネートは、発生するガスが少ないことが分かる。即ち、シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノールのような脂環式ジオールを用いた際には発生ガスがほとんどない。そのため、脂環式ジオール含有ポリカーボネートは、光学フィルム等の家電製品等に用いた際に環境への影響が少ないことが分かる。
【0269】
表7から、本発明のポリカーボネートは、鉛筆硬度が高く、表面硬度が高く、表面の傷つきを嫌う、フィルム用途や、筐体などの構造材料用途に好適に用いることができることが分かる。
【0270】
表8から、蒸留などにより蟻酸を除去したイソソルビドを使用することで、より着色の少ない、ポリカーボネートが得られることがわかる。
【0271】
表9から、保管方法により蟻酸が増加し、重合しなくなくなることがわかる。酸素の無い環境下でイソソルビドを保管したイソソルビドを使用することで、より着色の少ない、ポリカーボネートが安定して得られることがわかる。