(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明が適用された打込工具について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下、打込工具について、以下の順に沿って説明する。
【0019】
1.全体構成
2.ボディ
3.ファスナの打込機構
4.駆動機構
5.緩衝機構
6.マガジン
7.マガジンと電源回路部との配線
8.全体の動作と作用効果
9.変形例
10.その他の変形例
【0020】
[1.全体構成]
図1に示すように、本発明が適用された打込工具1は、ファスナ(釘、ステープル、ピン等)を、木材、石膏ボード、鋼板、コンクリート等の対象物に打ち込む工具であって、ボディ10と、ボディ10に対してファスナを供給するマガジン50とを備えている。ボディ10内には、マガジン50のファスナを打ち込む打込機構20やこの打込機構20を駆動する駆動機構32が設けられている。ボディ10は、前面側上方コーナ部に、ファスナを打ち出す射出口を有するノーズ部11が設けられている。マガジン50は、このノーズ部11に、ボディ10の中心軸線方向、すなわちファスナの打ち出し方向(矢印D1方向)に対して略直交する方向に設けられている。
【0021】
[2.ボディ]
このボディ10は、
図1に示すように、ボディ本体10aを有し、このボディ本体10aの前面側コーナ部に、ファスナを対象物に打ち出す射出口11bを有するノーズ部11が設けられている。ノーズ部11は、
図1及び
図2に示すように、射出口11bを構成するドライバガイド11cとウェアプレート11dとを結合して構成されている。そして、ドライバガイド11cの先端部、すなわち射出口11bの先端部には、安全装置の一部であるコンタクトアーム11a(
図2参照)が設けられている。コンタクトアーム11aは、通常、射出口11bの周囲に突出状態にあり、対象物に押しつけられた際にトリガ装置と連動して、トリガの操作を許可する。このノーズ部11には、ウェアプレート11dにマガジン50が取り付けられる。
【0022】
また、ボディ本体10aには、中心軸線と略直交するように、すなわちマガジン50と略平行となるように、ユーザが把持するグリップ部12とグリップ部12の補助となる補助グリップ部13とが設けられている。グリップ部12と補助グリップ部13とは、下端部において架橋部14によって連結されており、グリップ部12を把持できるように略環状をなしている。架橋部14には、電源回路、駆動モータの制御回路、コンタクトアーム11aの検出スイッチ等各種検出スイッチからの入力に応じて全体の動作を制御するマイコン等が組み込まれた電気回路部となるプリント配線基板17が配設されている。また、このマイコンは、マガジン50の一側面等に動作時点灯するLEDや照明用のLEDが設けられているとき、LEDを駆動する。
【0023】
なお、プリント配線基板17の設ける位置は、ここでは架橋部14に設けているが、ボディ10の空き空間部であれば、特に限定されるものではない。すなわち、プリント配線基板17は、ボディ本体10a内やグリップ部12内や補助グリップ部13内の空き空間部に設けるようにしても良い。また、プリント配線基板17は、分割して、複数の場所に設けるようにしてもよい。
【0024】
また、ボディ本体10aの背面側にあるグリップ部12のボディ本体10aとの付け根部には、環状部側に突出するようにトリガ15が設けられている。更に、架橋部14には、下面側に、バッテリパック16が装着されるバッテリ装着部が設けられている。このバッテリ装着部に装着されるバッテリパック16は、例えば、リチウムイオン二次電池、ニッケル水素二次電池等の二次電池を内蔵しており、プリント配線基板17を介してボディ10内の駆動機構等に電源を供給する。
【0025】
なお、グリップ部12や補助グリップ部13は、ボディ10の軸線方向に対して略垂直ではなく、前方又は後方に湾曲するように、又は、傾くように設けられていてもよい。
【0026】
以上のようなボディ10内の部品配置につけて説明すると、ボディ本体10a内には、ファスナを打ち込む打込機構20が配設され、補助グリップ部13内には、この打込機構20を駆動する駆動機構32の少なくとも一部が配設される。そこで、次に、ファスナの打込機構20について説明する。
【0027】
[3.ファスナの打込機構]
ボディ本体10a内に配設されるファスナの打込機構20は、
図1、
図2及び
図6に示すように、両端部に位置する第1の固定部材21と第2の固定部材22とが対向配置され、第1の固定部材21と第2の固定部材22とがガイドレール23,23によって離間した状態で連結されている。また、第1の固定部材21と第2の固定部材22との間には、パイプ24が配設され、このパイプ24にプランジャ25と、プランジャ25を一方向に付勢する付勢部材となるプランジャバネ26とが巻挿されている。また、プランジャ25には、マガジン50から供給された先頭のファスナを打ち込むドライバ27が固定されている。ドライバ27は、マガジン50より射出口11b内に供給された先頭のファスナを打ち込むものであり、ドライバガイド11cのガイド溝にガイドされて、プランジャ25の動作に合わせて直線的に移動する。
【0028】
第1の固定部材21と第2の固定部材22は、プランジャ25の移動をガイドする直線状のガイドレール23,23の両端部がネジ止め等で固定されることによって、互いに離間した状態に維持される。更に、第1及び第2の固定部材21,22は、
図6に示すように、相対する面に、パイプ24を支持する凹状の第1の支持部21aと凸状の第2の支持部22aとが設けられている。パイプ24は、両端部が第1の支持部21aと第2の支持部22aに嵌合されることによって、第1の固定部材21と第2の固定部材22との間に固定される。
【0029】
パイプ24には、
図1、
図2及び
図6に示すように、プランジャ25が取り付けられる。プランジャ25は、パイプ24が挿通される挿通部25aを有すると共に、ドライバ27が固定される固定片28が設けられている。固定片28には、長尺薄板状のドライバ27の基端部がネジ止め等によって固定される。更に、プランジャ25の固定片28の反対側には、プランジャ25を移動させる駆動機構32の第1のトルクローラ41が係合される第1の係合突部29と第2のトルクローラ42が係合される第2の係合突部30とが設けられている。
【0030】
更に、プランジャ25には、
図2に示すように、固定片28と第1及び第2の係合突部29,30が設けられていない両側に、すなわち固定片28と第1及び第2の係合突部29,30とを結ぶ直線と略直交する両側に、プランジャ25のガイド機構となるガイドローラ31a,31bがそれぞれの側に2つずつ設けられている。ガイドローラ31a,31bは、第1及び第2の固定部材21,22に固定されているガイドレール23,23の凹状のガイド溝に係合する。プランジャ25は、ガイドローラ31a,31aをガイドレール23,23に係合させることによって、転がり摩擦となり、摩擦抵抗を下げることができる。これにより、プランジャ25は、第1の固定部材21と第2の固定部材22との間を円滑に移動することができる。
【0031】
なお、ガイドレール23,23のガイド溝には、更に潤滑剤を塗布するようにしてもよい。また、それぞれの側に設けられるガイドローラ31a,31aの数は、2つに限定されるものではなく、1つでもよく、また、3つ以上であってもよい。
【0032】
プランジャバネ26は、圧縮コイルバネであり、パイプ24が挿通され、第2の固定部材22とプランジャ25との間の領域に配置される。プランジャバネ26は、一端が第2の固定部材22に突き当てられることで、他端に突き当てられたプランジャ25を、ファスナを打ち込む
図2中矢印D1方向に付勢する。プランジャバネ26は、パイプ24に挿通されることによって、伸縮時において、中心軸線と異なる方向に撓むことを防止でき、弾性エネルギロスを少なくすることができる。
【0033】
[4.駆動機構]
以上のように構成された打込機構20を駆動する駆動機構32は、プランジャ25をプランジャバネ26の弾性力に抗して第1の固定部材21側から第2の固定部材22側に移動させる。この駆動機構32は、
図3、
図4(A)及び
図4(B)に示すように、駆動源となる駆動モータ33を有する。この駆動モータ33のスピンドルには、ウォーム34が取り付けられ、このウォーム34には、減速機構となりトルク伝達性に優れた遊星ギヤ機構35が噛合されている。更に、遊星ギヤ機構35には、アームギヤ36が噛合されている。更に、アームギヤ36には、プランジャ25をプランジャバネ26の弾性力に抗して移動させる第1のトルクギヤ37が噛合され、更に、第1のトルクギヤ37には、第2のトルクギヤ38が噛合されている。アームギヤ36と第1のトルクギヤ37と第2のトルクギヤ38とは、1枚のギヤプレート39に支持されている。すなわち、ギヤプレート39は、第1のトルクギヤ37を軸支する軸状の第1の支持部39aと第2のトルクギヤ38を軸支する軸状の第2の支持部39bとに加え、アームギヤ36を軸支する筒状の第3の支持部39cを有している。アームギヤ36と第1のトルクギヤ37と第2のトルクギヤ38とは、1枚のギヤプレート39に取り付けられることで、各ギヤのセンタ間の距離のバラツキを抑え、ギヤ歯の耐久性を向上され、更に、駆動ロスを少なくすることができる。
【0034】
第1のトルクギヤ37には、プランジャ25の第1の係合突部29に係合する第1の駆動突起となる第1のトルクローラ41が設けられ、第2のトルクギヤ38には、プランジャ25の第2の係合突部30に係合する第2の駆動突起となる第2のトルクローラ42が設けられている。互いに噛合する第1のトルクギヤ37と第2のトルクギヤ38は、第1のトルクギヤ37が
図5中矢印R1方向に回転し、第2のトルクギヤ38が
図5中矢印R2方向に回転する。これにより、第1及び第2のトルクローラ41,42は、
図5(A)−(D)に示す軌跡を辿る。
【0035】
プランジャ25の第1の係合突部29は、
図5(A)に示すように、プランジャ25が下死点位置にあるときに、第1のトルクギヤ37の第1のトルクローラ41の移動軌跡上で、第1のトルクローラ41が最下部の初期位置から円周方向に移動を開始して上昇し始めるときに第1のトルクローラ41に係合する位置にある。また、第2の係合突部30は、
図5(B)に示すように、プランジャ25が上方に移動して、第1のトルクギヤ37の第1のトルクローラ41が最上部に到達する直前に、第2のトルクギヤ38の第2のトルクローラ42が最下部から上昇し始める位置に配置されている。このように、第1及び第2の係合突部29,30には、互いに噛合する第1及び第2のトルクギヤ37,38の回転に伴って第1及び第2のトルクローラ41,42が順次係合し、プランジャ25は、プランジャバネ26の弾性力に抗して第1の固定部材21の側から第2の固定部材22の側に持ち上げられる。
【0036】
このような駆動機構32では、駆動モータ33が始動すると、遊星ギヤ機構35及びアームギヤ36を介して、第1のトルクギヤ37と第2のトルクギヤ38とが互いに逆方向(
図5中矢印R1,R2方向)に回転する。プランジャ25が下死点位置にあるとき、
図5(A)に示すように、回転する第1のトルクギヤ37の第1のトルクローラ41は、プランジャ25の第1の係合突部29の下面に係合する。プランジャ25は、第1のトルクギヤ37が矢印R1方向に回転し続けることで、第1のトルクローラ41が上昇し、プランジャバネ26に抗して持ち上げられる。そして、
図5(B)に示すように、第1のトルクローラ41が最上部に到達する直前で、第2のトルクギヤ38の第2のトルクローラ42が最下部から矢印R2方向に上昇し始め、プランジャ25の第2の係合突部30の下面に係合する。そして、第2のトルクギヤ38が矢印R2方向に回転し続けることで、プランジャ25は、
図5(C)に示す位置まで更に持ち上げられる。
図5(D)に示すように、第2のトルクギヤ38が更に回転し第2のトルクローラ42が第2の係合突部30から外れると、プランジャ25は、プランジャバネ26の弾性力によって第2の固定部材22の側から第1の固定部材21の方向に駆動される。このとき、プランジャ25に結合されたドライバ27は、
図2及び
図6中矢印D1方向に移動し、射出口11bに供給されたファスナを打ち込み外部の対象物に向けて打ち出し、ファスナの打込作業のワンサイクルが終了する。
【0037】
なお、トルクギヤの数は、ここでは2つの例を説明したが、プランジャ25の移動距離に応じて決定されるものであり、特に、2つに限定されるものではなく、1つであっても良く、3つ以上であってもよい。トルクギヤの数に合わせて、すなわちトルクギヤに設けられるトルクローラの数に合わせて、プランジャ25には、係合突部が設けられることになる。また、打込機構20を駆動する駆動機構32は、プランジャバネ26によって打ち出し方向に付勢されたプランジャ25を、プランジャ25を牽引するワイヤをウィンチで巻き上げることで、プランジャバネ26の弾性力に抗して移動させる駆動機構であってもよい。
【0038】
[5.緩衝機構]
図6に示すように、打込機構20のパイプ24には、ファスナの打ち込み時の衝撃を緩衝する緩衝機構43が設けられている。緩衝機構43は、パイプ24内に配設されるウェイト44と、ウェイト44を第2の固定部材22の方向(
図6中矢印D2方向)に付勢するウェイトバネ45と、第2の固定部材22の内側に配設されるウェイトストップ46と、パイプ24の内側にあるウェイト44とパイプ24の外側にあるプランジャ25とを接続するワイヤ47と、ワイヤ47をガイドするプーリ48とを有している。
【0039】
ウェイト44は、大径部44aと小径部44bとを有し、大径部44aがパイプ24の内面を摺動することで、パイプ24を直線的に移動する。ウェイト44は、その突起47aにワイヤ47の一端が係合される。なお、ワイヤ47の他端は、プランジャ25の突起47bに係合される。ウェイトバネ45は、パイプ24内において、第1の固定部材21とウェイト44との間に配設される例えば圧縮コイルバネであり、ウェイト44を第2の固定部材22の方向(
図6中矢印D2方向)に付勢する。ウェイトバネ45の一端は、ウェイト44の大径部44aに係合される。
【0040】
図7に示すように、プランジャ25が下死点位置にあるとき、ウェイト44は、ウェイトバネ45の弾性力によって第2の固定部材22側のウェイトストップ46に突き当てられた状態にある。次いで、
図8に示すように、プランジャ25が駆動機構32によって上死点位置にまで持ち上げられると、ウェイト44は、プランジャ25にワイヤ47を介して引っ張られることで、ウェイトバネ45の弾性力に抗して、すなわちウェイトバネ45を収縮して、第1の固定部材21の方向(反矢印D2方向(矢印D1方向))に移動する。
【0041】
ファスナを打ち込むとき、
図9及び
図10に示すように、プランジャ25は、プランジャバネ26の弾性力によって、第1の固定部材21の方向(矢印D1方向)に勢い良く移動される。このとき、打込工具1は、対象物から押し上げる反力P1が発生する。この際、ワイヤ47は、プランジャ25がプランジャバネ26の弾性力によって勢い良く第2の固定部材22の方向(矢印D1方向)に移動することで、一時的にたるみ、ウェイト44は、単独で、プランジャバネ26の弾性力によってパイプ24内を第2の固定部材22の方向(矢印D2方向)に移動する。これは、プランジャバネ26によるプランジャ25の速度がウェイトバネ45によるウェイト44の速度より速くなるように、プランジャ25の重量、プランジャバネ26の荷重、ウェイト44の重量及びウェイトバネ45の荷重を設定することで実現できる。これにより、打込工具1には、ウェイト44を第2の固定部材22の方向に押し上げようとするウェイトバネ45の反力P2によって対象物の方向に押し付ける押圧力が発生する。
【0042】
このように緩衝機構43では、対象物から押し上げる反力P1を、ウェイトバネ45の反力P2で弱める又は打ち消すことができる。加えて、緩衝機構43は、(ウェイトバネ45の荷重P2+打込工具1の荷重(作業者による押付荷重±工具重量)P3)と(ファスナの打込時の反力P1+プランジャバネ26の荷重(反力)P4)とが互いに力を打ち消し合うことで、打込工具1の全体の反動量を決めることができる。このように、打込工具1では、ファスナの打込時における対象物への荷重を適当に設定することができるようになり、例えば、内装仕上げにファスナを打ち込むときに、対象物の方向に押し付ける押圧力が強くなり過ぎて表面に傷等をつけることを防止できる。
【0043】
[6.マガジン]
マガジン50は、
図1及び
図2に示すように、ボディ本体10aのノーズ部11に取り付けられる。具体的に、マガジン50は、ノーズ部11を構成するウェアプレート11dにネジ止め等によって固定され、ボディ10の中心軸線方向、すなわちファスナの打ち出し方向(矢印D1方向)に対して交差する方向、ここでは略直交する方向に直線的に設けられている。このマガジン50は、ノーズ部11に取り付けられたとき、ボディ本体10aの補助グリップ部13と離間して取り付けられる。このマガジン50には、
図11に示すように、個別ファスナが接着剤等によって薄板状に連結された板状連結帯51が収納される。すなわち、板状連結帯51は、全体の形状が略矩形をなしている。
図11に示すように、マガジン50は、板状連結帯51が収納されるマガジン本体52と、マガジン50の延長方向となる矢印D3方向にスライドするスライダ53とを有する。
【0044】
マガジン本体52には、長手方向に、板状連結帯51を収納する収納部54が補助グリップ部13と反対側の前面側に寄って設けられている。収納部54は、板状連結帯51の厚さ程度の深さの凹部である。この収納部54は、その底面が板状連結帯51のファスナの先端が並ぶ一端部を除く部分を支持する支持面54aとなっている。
【0045】
そして、収納部54のファスナの打ち込み方向の側縁には、長手方向に、板状連結帯51のファスナの先端が並ぶ一端部をガイドするガイド部55が設けられている。ガイド部55は、具体的に、
図12に示すように、略凹状のガイド部材56によって設けられる。ガイド部材56は、相対する一対の片が板状連結帯51の一端部をガイドする第1及び第2のガイド片56a,56bと、第1及び第2のガイド片56a,56bを連結し、凹部の奥に位置する板状連結帯51の一端部を位置決めする位置決め片56cとから構成されている。
【0046】
図12に示すように、収納部54のファスナの打ち出し方向の側縁は、収納部54の支持面54a側の第1のガイド片56aの厚さ分、低く形成され、第1のガイド片56aが配設されたとき、支持面54aと第1のガイド片56aの表面とが同じ高さとなるように形成されている。位置決め片56cは、板状連結帯51の一端部の位置決めをする位置決め壁となり、板状連結帯51の一端部の厚さよりやや大きい幅を有している。更に、収納部54の支持面54aと離間する第2のガイド片56bは、板状連結帯51の一端部を覆う程度の長さ(例えば2〜8mm)に形成されている。この第2のガイド片56bの内面は、板状連結帯51の一端部のガイド面となる。
【0047】
収納部54の支持面54aとガイド部材56の第1のガイド片56aとの間には、連続して、取出溝57が形成されている。取出溝57は、位置決め片56cと略平行に直線状に設けられた凹部であり、少なくともボディ本体10aの補助グリップ部13側の端部57aが第2のガイド片56bの先端と重ならないように形成されている。ここでは、取出溝57は、更に、平面視で、第2のガイド片56bの先端から連続するように、すなわち第2のガイド片56bと重ならないように設けられている。この取出溝57は、ボディ本体10aの補助グリップ部13側の端部57aが傾斜面となっており、板状連結帯51を斜めに立ち上げることができるようにしている。
【0048】
このようなマガジン50では、スライダ53がマガジン50の先端側となる
図11中矢印D3方向にスライドされることによって、収納部54が外部に露出し、板状連結帯51の出し入れが可能な状態となる。
図11及び
図12に示すように、板状連結帯51は、板状連結帯51のファスナの先端が並ぶ一端部を挿入端として、ボディ本体10aの補助グリップ部13の側から
図11及び
図12中矢印D4方向にガイド部55に挿入される。そして、板状連結帯51は、収納部54の支持面54aに沿わすように、すなわち支持面54aに寝かすようにして、第1及び第2のガイド片56a,56b間に挿入され、位置決め片56cに突き当てられる。この後、マガジン50は、スライダ53が根元側となる反矢印D3方向にスライドされることで、収納部54が閉じられ、打込工具1の使用可能な状態となる。
【0049】
一方で、収納部54に収納された板状連結帯51を取り出すときには、
図12に示すように、先ず、板状連結帯51を、ボディ本体10aの補助グリップ部13の側となる
図12中反矢印D4方向にスライドさせる。そして、板状連結帯51は、板状連結帯51のファスナの先端が並ぶ一端部が取出溝57に差し掛かったとき、ユーザの指等によって取出溝57内に押圧される。すると、板状連結帯51は、取出溝57の補助グリップ部13側の端部57aの傾斜面に沿って立ち上がり、ユーザによって把持されて容易に取り出すことができるようになる。
【0050】
打込工具1のマガジン50では、
図11及び
図12に示すように、取出溝57が設けられているので、板状連結帯51を、ボディ本体10aの補助グリップ部13側にスライドさせ、取出溝57に押圧することで、立ち上がらせ、板状連結帯51を容易に取り出すことができる。そして、打込工具1では、マガジン50と補助グリップ部13との間の間隙58を小さくし、全体の小型化を実現することができる。
【0051】
なお、マガジン50の形状としては、ボディ10の軸線方向に対して略垂直ではなく、前方又は後方に湾曲するように、又は、傾くように設けられていてもよい。
【0052】
[7.マガジンと電源回路部との配線]
図13及び
図14に示すように、マガジン50には、ボディ本体10aとの付け根部分、すなわちノーズ部11の近傍に、安全装置の一部となるコンタクトアーム11aの移動を検出する電気部品又は電子部品であるマイクロスイッチ等の検出素子61が設けられている。この検出素子61は、例えば、コンタクトアーム11aが対象物で押されて移動したときに検出片が押圧される押圧型スイッチである。
【0053】
また、検出素子61の近傍には、更に、ファスナの有無を検出する検出素子62が設けられている。検出素子62は、例えば、マガジン50の収納部54内に、板状連結帯51が無くなったことを検出する電気部品又は電子部品であるマイクロスイッチであり、収納部54に収納された板状連結帯51によって検出片が押圧される。
【0054】
なお、検出素子61,62としては、機械的な押圧スイッチの他、光学的スイッチ等であってもよい。
【0055】
検出素子61,62は、ボディ本体10aの架橋部14に配設された電気回路部となるプリント配線基板17(
図2参照)とハーネス63によって電気的に接続される。具体的に、マガジン本体52には、
図13−
図15に示すように、長手方向に沿って、ボディ本体10aの補助グリップ部13側に、配線溝64が設けられている。検出素子61,62は、何れも、マガジン50の付け根部側に配設されており、配線溝64は、マガジン本体52の付け根部側から後端部側に亘って凹溝で構成されている。この配線溝64は、ハーネス63が沿うように配設されると、配線溝64を閉塞する閉塞板65で閉塞される。
【0056】
マガジン本体52には、後端側に、ボディ本体10aの補助グリップ部13の後端側、すなわちプリント配線基板17が配設された架橋部14に入り込んで固定される連結部66が一体的に設けられている。連結部66は、マガジン本体52の配線溝64が延長して設けられている。連結部66の先端部は、ボディ本体10aへの固定部となる固定孔67が設けられている。連結部66は、架橋部14に設けられた切欠部66aより内部に入り込み、先端部が固定孔67にネジ等の固定部材67a(
図2参照)を挿通して、架橋部14の内部に固定される。具体的には、補助グリップ部13内に配設された駆動モータ33の下側で固定される。
【0057】
連結部の先端部にある固定孔67のやや手前には、マガジン本体52より延長された配線溝64を構成する立ち上がり壁68に、配線溝64よりボディ本体10aの内部にハーネス63を導出する挿通孔69が設けられている。挿通孔69は、電気回路部となるプリント配線基板17の近傍に設けられており、挿通孔69より導出されたハーネス63は、架橋部14の内部に配設されたプリント配線基板17に電気的に接続される。
【0058】
このように、マガジン本体52の検出素子61,62は、マガジン本体52から連結部66に亘って設けられた配線溝64にハーネス63を配設することによって、プリント配線基板17と電気的に接続することができる。また、打込工具1の外観において、マガジン50と補助グリップ部13の後端部とは、連結部66によって連結されており、ハーネス63は、外部に露出せず、保護された状態となっている。
【0059】
すなわち、打込工具1では、
図2に示すように、マガジン50に近いボディ本体10aにファスナを打ち込む打込機構20と駆動機構32の一部が配設されており、補助グリップ部に打込機構20を駆動する駆動機構32の駆動モータ33を含む一部が設けられている。このため、架橋部14のプリント配線基板17にハーネス63を導くにあたっては、ボディ本体10aや補助グリップ部13の内部を通過する経路ではハーネス63を配設することが困難である。そこで、打込工具1では、マガジン50の後端部と補助グリップ部13との間に連結部66を設けて連結部66内にハーネス63を通すようにしている。
【0060】
図16に示すように、従来、マガジン50の後端部と補助グリップ部13との間では、連結部66が無く、ハーネス63が可撓性チューブ63aが被せられていることが多かった。また、ハーネス63そのものが露出していることが多かった。このため、この部分の外観の向上を図ることが困難であり、また、ハーネス63が損傷するおそれもあった。これに対して、打込工具1では、ハーネス63を連結部66で隠すことができ、見栄えを良くすることができる。また、ハーネス63が作業現場の障害物等に引っかかって、ハーネス63が損傷することを防止することができる。
【0061】
なお、以上説明した例では、連結部66をマガジン本体52の後端部に一体的に設け、ボディ本体10aの架橋部14の内部で固定するものとしたが、これとは逆に、配線溝64の一部が設けられた連結部66をボディ本体10aの架橋部14に一体的に設け、マガジン本体52の配線溝64と連結して、マガジン本体52の内部で固定するようにしてもよい。また、連結部66を設ける位置は、マガジン本体52の後端部や補助グリップ部13の後端部に限定されるものではなく、例えば、マガジン本体52の中程や補助グリップ部13の中程であってもよい。
【0062】
また、マガジン50としては、渦巻状連結ファスナを収容する略円筒形状のマガジンであってもよい。更に、マガジン50に設ける電気部品又は電子部品としは、動作時点灯するLEDや照明用のLED等であってもよい。例えば、LEDや照明用のLEDは、射出口11bと同じ面、例えば打込工具1のマガジン50の前面に設けることができる。
【0063】
[8.全体の動作と作用効果]
以上のように構成される打込工具1の動作について説明する。先ず、ファスナを、木材、石膏ボード、鋼板、コンクリート等の対象物に打ち込む際には、
図1に示すように、ノーズ部11のコンタクトアーム11aを対象物に押し付ける。これにより、コンタクトアーム11aが対象物で押されたことを検出する検出素子61は、押されたことを示す検出信号を、ボディ本体10aの架橋部14にあるプリント配線基板17の制御部に出力する。また、ファスナの有無を検出する検出素子62は、マガジン本体52の収納部54内の板状連結帯51を検出すると、検出信号を、プリント配線基板17の制御部に出力する。かくして、制御部は、駆動モータ33の駆動を許可する。次いで、トリガ15が引かれ、これがマイクロスイッチ等で検出されると、駆動機構32の駆動モータ33が駆動される。
【0064】
すると、
図5(A)に示すように、回転する第1のトルクギヤ37の第1のトルクローラ41は、プランジャ25の第1の係合突部29の下面に係合し、プランジャ25をプランジャバネ26に抗して反矢印D1方向に持ち上げる。そして、
図5(B)に示すように、第1のトルクローラ41が最上部に到達する直前で、第2のトルクギヤ38の第2のトルクローラ42は、プランジャ25の第2の係合突部30の下面に係合し、更に、プランジャ25をプランジャバネ26に抗して反矢印D1方向に持ち上げ、
図5(C)に示す位置まで移動させる。次いで、
図5(D)に示すように、第2のトルクギヤ38が更に回転し第2のトルクローラ42が第2の係合突部30から外れると、プランジャ25は、プランジャバネ26の弾性力によって第2の固定部材22の側から第1の固定部材21の方向に勢い良く移動する。このとき、プランジャ25に結合されたドライバ27は、
図2及び
図6中矢印D1方向に移動し、射出口11bに供給されたファスナを打ち込みして外部の対象物に向けて打ち出し、ファスナの打込み作業のワンサイクルが終了する。
【0065】
このように、ファスナを打ち込みするとき、
図9及び
図10に示すように、プランジャ25は、プランジャバネ26の弾性力によって、第1の固定部材21の方向(矢印D1方向)に勢い良く移動する。このとき、打込工具1は、対象物から押し上げる反力P1が発生する。この際、ワイヤ47は、プランジャ25がプランジャバネ26の弾性力によって勢い良く第2の固定部材22の方向(矢印D1方向)に移動することで、一時的にたるみ、ウェイト44は、単独で、プランジャバネ26の弾性力によってパイプ24内を第2の固定部材22の方向(矢印D2方向)に移動する。これにより、打込工具1には、ウェイト44を第2の固定部材22の方向に押し上げようとするウェイトバネ45の反力P2によって対象物の方向に押し付ける押圧力が発生する。これにより、打込工具1は、対象物から押し上げる反力P1を、ウェイトバネ45の反力P2で弱める又は打ち消すことができる。
【0066】
以上のように構成された打込工具1では、マガジン50にある検出素子61,62とボディ本体10a内のプリント配線基板17とを電気的に接続するハーネス63を、連結部66で隠すことができ、見栄えを良くすることができる。また、ハーネス63が作業現場の障害物等に引っかかって、ハーネス63が損傷することを防止することができる。
【0067】
[9.変形例]
図17及び
図18に示すように、本発明の変形例となる打込工具71は、上述した打込工具1と異なり、マガジン50が設けられていない。すなわち、この打込工具71は、ファスナを打ち込む打込機構20やこの打込機構20を駆動する駆動機構32が設けられたボディ10を有する。具体的に、ボディ10は、ボディ本体10aを有し、このボディ本体10aの前面側コーナ部のノーズ補強部に、ファスナを対象物に打ち込む射出口11bを有するノーズ部11が設けられている。ノーズ部11は、
図1及び
図2に示すように、射出口を構成するドライバガイド11cとウェアプレート11dとを結合して構成されている。そして、ドライバガイド11cの先端部、すなわち射出口の先端部には、安全装置の一部であるコンタクトアーム11a(
図2参照)がファスナの打ち出し方向(矢印D1方向)に突出して設けられている。コンタクトアーム11aは、通常、射出口11bの周囲に突出状態にあり、対象物に押しつけられた際にトリガ装置と連動し、トリガの操作を許可する。この打込工具71では、ノーズ部11の底面に設けられた挿入口よりファスナが1本ずつ装填される。勿論、挿入口の位置は、ノーズ部11の上面でも良く、側面でも良い。
【0068】
また、ボディ本体10aには、中心軸線と略直交するように、ユーザが把持するグリップ部12とグリップ部12の補助となる補助グリップ部13とが設けられている。グリップ部12と補助グリップ部13とは、下端部において架橋部14によって連結されており、グリップ部12を把持できるように略環状をなしている。架橋部14には、電源回路、駆動モータの制御回路、コンタクトアーム11aの検出スイッチ等各種検出スイッチからの入力に応じて全体の動作を制御するマイコン等が組み込まれた電気回路部となるプリント配線基板17が配設されている。更に、架橋部14には、下面側に、バッテリパック16が装着される。バッテリパック16は、例えば、リチウムイオン二次電池、ニッケル水素二次電池等の二次電池を内蔵しており、プリント配線基板17を介してボディ10内の駆動機構等に電源を供給する。
【0069】
なお、プリント配線基板17の設ける位置は、ここでは架橋部14に設けているが、ボディ10の空き空間部であれば、特に限定されるものではない。すなわち、プリント配線基板17は、ボディ本体10a内やグリップ部12内や補助グリップ部13内の空き空間部に設けるようにしても良い。また、プリント配線基板17は、分割して、複数の場所に設けるようにしてもよい。
【0070】
以上のようなボディ10内の部品配置につけて説明すると、ボディ本体10a内に、上述したファスナを打ち込む打込機構20が配設され、補助グリップ部13内に、上述した打込機構20を駆動する駆動機構32が配設される(
図2参照)。
【0071】
ところで、この打込工具71では、ボディ本体10aとノーズ部11とがなすコーナ部のノーズ補強部に連結部72が設けられている。連結部72は、略直角三角形の板状をなし、ボディ本体10に固定されるノーズ部11を補強している。この連結部72の傾斜面には、動作時点灯するLEDや照明用のLED、電球等で構成された発光部73が設けられている。
図18に示すように、連結部72の内部では、発光部73とプリント配線基板17とを電気的に接続するハーネス74が配設される。なお、ノーズ補強部の形状は、略直方形、略扇形等、ノーズ部11を補強できる形状であれば特に限定されるものではない。
【0072】
連結部72は、例えば、上述の連結部66と同様に、ボディ本体10aの内部まで入り込んでネジ等で固定され、ボディ10の内部において、ハーネス74が導出され、グリップ部12又は補助グリップ部13を通ってプリント配線基板17に接続される。
【0073】
なお、連結部72内には、発光部73の他に、上述したコンタクトアーム11aの移動を検出する検出素子61やファスナの有無を検出する検出素子62を設けるようにしてもよい。
【0074】
このような打込工具71によっても、電気部品又は電子部品である発光部73や検出素子61,62からのハーネス74は、ボディ本体10aとノーズ部11とがなすコーナ部(ノーズ補強部)に連結部72の中を通ってボディ10内に導かれ、ボディ10内のプリント配線基板17に電気的に接続される。したがって、ハーネス74は、外部に露出することが無くなり保護されると共に、見栄えを良くすることができる。
【0075】
[10.その他の変形例]
以上、本発明が適用された打込工具1を説明したが、本発明は、他に、圧縮空気や燃焼ガス式やソレノイド式等で駆動機構を駆動し、ファスナを打ち込む圧縮空気式や燃焼ガス式やソレノイド式等の駆動工具に適用してもよい。また、駆動工具には、当該駆動工具の用途や機能によって種々のスイッチ、LED、電球等の電気部品又は電子部品を設けることができる。