(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
外郭をなすケースと、該ケース内部に回転自在に設けられる回転ブラシと、該回転ブラシに付着した塵埃を除去する塵埃除去具と、該ケースに設けられる前記回転ブラシを回転駆動する駆動部を有し、
前記ケースには、前記回転ブラシをケース内部に対して、取付け又は取外しするための開口と、前記塵埃除去具を回転可能に保持する塵埃除去具取付け部が形成され、
前記回転ブラシには長手方向に延びる複数の溝が形成され、隣り合う前記溝の間にはブラシが設けられており、
前記塵埃除去具は、リング部と、該リング部の一端側から突出する爪部と、前記リング部の他端側に形成され前記塵埃除去具取付け部に回転自在に係合された係合部と、前記爪部と前記係合部との間において該リング部を囲むように形成された被清掃面に接触可能な車輪部を有し、
前記回転ブラシは、前記開口に端から挿入されることで前記ケース内部に取付けられ、また前記開口から長手方向に引き抜かれることにより前記ケースの内部から取外され、
前記回転ブラシが前記ケースに取付けられた状態において、前記塵埃除去具は、前記溝に前記爪部が嵌り込み、該回転ブラシが前記リング部の開口を貫いた状態であることを特徴とする床面吸込具。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図面を参照して、実施の形態について説明する。
図1は、本実施の形態に係る電気掃除機Cの全体外観図である。
電気掃除機Cは、掃除機本体10と、この掃除機本体10に接続されるホース20と、このホース20の先端部に設けられた掃除機の運転モードなどを操作する把持部21と、この把持部21に設けられた手元操作部21aと、把持部21を形成するパイプに接続される伸縮自在に構成された延長管30と、この延長管30に接続される被清掃面Gから塵埃を吸込む床面吸込具Sを有する。
【0010】
このように構成された電気掃除機Cは、掃除機本体10に搭載された電動送風機(図示せず)により発生させられる吸引力により、床面吸込具Sに開口する吸込口から被清掃面Gの塵埃を吸込み、延長管30とホース20を通して掃除機本体10に設けられた集塵部(図示せず)に搬送するように構成されている。
【0011】
次に、主に
図2〜
図7を参照して、床面吸込具Sについて説明する。
床面吸込具Sは、外郭をなすケース40と、このケース40の後部中央に回転動作自在に設けられる延長管30が接続されるパイプ状の接続部50と、ケース40の内部に設けられ被清掃面Gに付着した塵埃を掻き出し集塵性能を向上させる回転ブラシ60と、この回転ブラシ60の回転駆動力を得るための動力装置(駆動部)であるモーター部70から構成されている。
尚、動力装置について吸引力により生じる気流を活用するタービン用いて回転ブラシを回転駆動するものもあるが、本実施の形態においては、電動機を用いたもので説明する。
【0012】
以下、床面吸込具Sの各部について詳述する。
まず、回転ブラシ60は、回転ブラシ60の回転軸となる棒状の軸60gが内部に挿入されている本体軸60aの外周に、らせん状の複数の溝60bが形成されていると共に、隣り合う溝の間にらせん状にブラシ60cが回転ブラシの外方向に向かって設けられている。
図において、ブラシ60cは柔軟性のある樹脂などで構成された短冊状のものを用いているが、回転ブラシの外方向に向かって伸びる毛状ものでもよい。
【0013】
そして、本体軸60aの一方の端には、後述するモーター部70からの駆動力を、回転ブラシ60に伝達する駆動側装着ガイド73が嵌り込み係合する凹部60dが形成されている。この凹部60dの内部には、軸60gと平行な向きとなる溝60jが形成されている。
この溝60j(図示せず)は、後述する駆動側装着ガイド73に形成された係合部73aが、軸60gの軸方向から凹部60dの内方に入り込むことにより係合し、駆動側装着ガイド73の回転に対して凹部60dの空回りを防止する為の回り止め構造である。
【0014】
回転ブラシ60の他端には、回転ブラシをケース40に内部に配置した状態で、ケース40から外れないように固定する固定つまみ60hが軸60g(本体軸60a)に対して回転自在に取り付けられている。この固定つまみ60hには、軸60gの回転方向に対して、外方向に突出する凸形状の固定側装着ガイド60iが設けられている。
【0015】
次に、ケース40は、床面吸込具Sの外郭下側を成す略箱形状の下ケース41と、外郭上側を成す略箱形状の上ケース42と、上ケース42と一体となる上カバー43から成り、下ケース41と上ケース42が上下に合わさることにより構成されている。
また、下ケース41の下面の左端及び右端には、それぞれ下ケースカバー48を具備している。
【0016】
ケース40の底となる下ケース41には、被清掃面Gから塵埃を吸込むための長手方向に開口する吸込口41aが形成されている。
この吸込口41aと下ケース41との間には、所定の空間を確保することにより、回転ブラシ60が収納される回転ブラシ収納室40aが形成されている。つまり、回転ブラシ収納室40aに吸込口41aが開口する構造となっている。
【0017】
尚、回転ブラシ収納室40aの後方、つまり、吸引された気流の下流方向には、接続部50へと連通する集塵風路45が上ケース42と下ケース41により形成されている。この集塵風路45は、吸込口41aから吸い込まれた塵埃の混ざった気流を接続部50方向へ、つまり、ケース40から延長管30へ向けて、流下させる風路である。
【0018】
次に、ケース40の後部中央には、接続部50が回転動作自在に取り付けられる開口である接続部取付け口40dが形成されている。
この接続部取付け口40dは、下ケース41と上ケース42の後部中央に、それぞれ切り欠き部を形成し、下ケース41と上ケース42が上下に合わさる際に、これらの切り欠き部が合わさることで開口が形成される。
【0019】
次に、ケース40の一方の側壁の内側には駆動部装着
開口40bが形成され、後述する駆動側装着ガイド73とモーター部70が設けられている。この駆動側装着ガイド73の係合部73aは、ケース40の内方に向けてケース40に設けられる。
また、ケース40の他方の側壁には、ケース40の内部に対して後述する回転ブラシ60を着脱する為の回転ブラシ装着開口40cが形成されている。
この回転ブラシ装着開口40cは、回転ブラシ60を回転ブラシ収納室40aに挿入可能な開口であり、回転ブラシ60の固定用つまみ60に形成された凸形状の固定側装着ガイド60iが入り込む位置に、凹形状が形成された略円形状の形状である。
【0020】
つまり、固定側装着ガイド60iが、回転ブラシ装着開口40cの凹形状に入り込み、固定用つまみ60hを回転させることで、固定側装着ガイド60
iと回転ブラシ装着開口40cの凹形状の部分が、回転ブラシ60の装着方向からずれ、回転ブラシ60がケース40に固定される構造となっている。
【0021】
尚、固定用つまみ60hは、本体軸60aに対して回転自在であることから、本体軸60aはケース40に対して、回転自在に取り付けられる。
また、回転ブラシ装着開口40cは、下ケース41と下ケースカバー48の側壁に、それぞれ半円形状及び凹形状が組み合わされた形状の切り欠き部を形成し、下ケース41と下ケースカバー48が上下に合わさる際に、これらの切り欠き部が合わさることで形成される開口である。
【0022】
次に、駆動側装着ガイド73は、被清掃面Gと接することで床面吸込具Sの操作感を向上させる車輪部73b、モーター部70の回転駆動力を伝達するプーリー部73c、車輪部73bの回転中心となる部位から回転軸方向へ向けて一体に突出する係合部73aが、各回転中心が同軸となるように一体に形成されている。
係合部73aには、回転ブラシ60の凹部60dに入り込むことにより係合した際に、回転方向のずれを無くす為に、回転中心から径方向に突出する部位が形成されている。
車輪部73bの外周部分は、被清掃面上を走行する際に、車輪部73bが被清掃面上に適切な摩擦力でグリップするように、軟質材やフェルト材により構成されている。
【0023】
また、車輪部73bの最大外径(フェルト材46fや軟質材を含む)は、回転ブラシ60の最大外径(ブラシ60cを含む)と同じ程度の大きさに構成すると良く、後述する車輪部46fと外形状が等しくなるように構成されている。
また、プーリー部73cには、ケース40の内部に設けられるモーター部70の回転駆動力を伝達するベルト70aが掛けられる。
【0024】
次に、
図6〜
図11を参照すると、吸込口41aの内部であって、回転ブラシ装着開口40c側の回転ブラシ収納室40aの端側の位置には、回転ブラシ60に付着した毛髪等を除去するリング形状である塵埃除去具46を、このリング形状の周方向に回転可能に収納する部位である後述する塵埃除去具取付け部44が形成されている。
この塵埃除去具46は、外形が円形状であるリング部46aと、このリング部46aが開口する方向に突出する爪部46bと、リング部46aのリング外周を囲むように形成された車輪部46dを有する。
【0025】
車輪部46dは、塵埃除去具46がケース40に取り付けられた状態で、被清掃面に接するように構成されている。また、リング部46aの
リング開口46eは、回転ブラシ60が貫通可能な大きさである。
更に、リング部46aには、外周面に突出する凸部46gが形成されている。この凸部46gは、リング部46aの外周面を一周に亘って形成されている。
【0026】
ここでは、車輪部46dと、リング部46a及び爪部46bを別の部材で構成し、車輪部46dを、リング部46aと爪部46bで挟んで超音波固定している。
つまり、塵埃除去具46において、回転ブラシ60がケース40から着脱される際に、この回転ブラシ60と接触する部位であるリング部46aと爪部46bには、摺動性のよい材料(例えば、POM)を用いることで、塵埃除去具46の着脱を容易にしている。
【0027】
また、車輪部46dに、接着材を用いることが可能な材料(例えば、ABS樹脂など)を使用することで、車輪部46dの外周部にフェルト材46fを接着して構成とすることができる。
これにより、被清掃面上を車輪部46dが走行する際に、フェルト材46fが被清掃面上にグリップすると共に、被清掃面へ傷を付けない構成となる。
【0028】
尚、車輪部46
dに用いる材料は、車輪部46
dが被清掃面上にグリップすればよく、フェルト材46fのみに限らず、二重成形等にて軟質材で構成してもよい。
また、車輪部46
dの最大外径(フェルト材46fや軟質材を含む)の大きさは、回転ブラシ60の最大外径(ブラシ60cを含む)の大きさと同じ程度に構成すると良い。
【0029】
次に、塵埃除去具46の爪部46bの数は、後述する回転ブラシ60のらせん状の溝60bの数と同数であり、本実施の形態においては、リング部46aに等間隔となるように4つの爪部46bが形成されている。
また、爪部46bは、先端46cが窄んだ形状に構成され、リング部46aの周方向に対して、略直角方向を向いている。
そして、リング部46aが塵埃除去具取付け部44に取り付けられた状態において、爪部46bが立設する方向は、先端46cが駆動部装着開口40bの方向を向く。
【0030】
次に、塵埃除去具取付け部44は、下ケース41の半円筒状の壁面に形成された凹部41bと、下ケースカバー48の半円筒状の壁面に形成された凹部48bが向かい合って配置されることにより構成される。
つまり、塵埃除去具取付け部44は、下ケース41と下ケースカバー48が向かい合うことで形成される円筒状の内壁面に、円筒外方に凹むリング状の凹部である。
【0031】
この様に凹形状に形成された塵埃除去部
取り付け部44の内方に、この塵埃除去具46のリング部46aに形成された凸部46gが入り込んで係合することで、ケース40に塵埃除去具
46が回転自在に取り付けられる(
図9参照)。
尚、塵埃除去具40の回転可能な方向は、回転ブラシの回転方向と一致している。また、リング部46aの開口と駆動側装着ガイド73の係合部73aと駆動部装着開口40bと回転ブラシ装着開口40cは、略同一軸上に位置している。
【0032】
次に、ケース40の内部からの回転ブラシ60の着脱について説明する。
(1)回転ブラシ60の取り付け
まず、回転ブラシ60は、凹部60dが形成されている側の端から、回転ブラシ装着開口40cに挿入される。
この時、塵埃除去具46のリング部46aのリング開口46eに、回転ブラシ60が挿入されると共に、回転ブラシ60の複数の溝60bに、リング部46aの爪部46bがそれぞれ嵌り込んだ状態(爪部46bが溝部60
bにガイドされた状態)となる。つまり、溝60bに爪部46bが嵌り込んだ状態で、塵埃除去具46を回転ブラシ60が貫いている(
図5参照)。
尚、回転ブラシ60が、リング部46a内に挿入されるとき、ブラシ60cはリング部46aの内を折り曲がりながら通過し、駆動側装着ガイド73方向に進む。
【0033】
そして、回転ブラシ60が駆動側装着ガイド73に向けて、更に挿入されると、爪部46bは回転ブラシに60に接しながら、らせん状に形成された溝部60
bに倣って、回転ブラシ60の挿入動作に逆らわず、塵埃除去具46は、塵埃除去具取付け部44の内部で回転する。
尚、爪部46bは、駆動部装着開口40bが位置する方向(ケース40の内方)に先端を向けて形成されているので、回転ブラシ60を回転ブラシ収納室40aに装着する際に、大きな抵抗とならない。
【0034】
次に、回転ブラシ60が、駆動部70の駆動側装着ガイド73の位置まで挿入されることで、凹部60dに駆動側装着ガイド73に形成された係合部73aが嵌り込む。このとき、係合部73aは、凹部60dの内部に形成された溝60jに軸方向から入り込み、溝60jにおいて、駆動側装着ガイド73の回転駆動方向に保持されることで、駆動側装着ガイド73の凹部60dにおける空回りを防止する。
また、係合部73aが溝60jに軸方向から入り込む際に、係合部73aを円弧形状に構成することで、溝60jを形成する壁面に対して引っかかりにくく、効率よく装着することができる。
【0035】
そして、凹部60dに駆動側装着ガイド73が嵌り込んだ状態において、固定つまみ6
0hに形成された固定側装着ガイド60iを、回転ブラシ装着開口40cに形成された凹
形状の切り欠き部分から挿入し、固定側装着ガイド60
iを回転させることで、装着ガイ
ド60
iが回転ブラシ装着開口40cに固定されて抜けなくなり、ケース40からの回転
ブラシ60の脱落を防止される。
これで回転ブラシ60は、回転ブラシ収納室40aに正しく取り付けられる。
【0036】
尚、回転ブラシ60が、回転ブラシ収納室40aに取り付けられた状態において、塵埃除去具46は回転ブラシ60の外周面と対向した位置で、爪部46bが回転ブラシの溝部60bに倣った状態で保持され、回転ブラシと共に回転する。
この様に、爪部46bが溝部60bに倣った状態で保持されれば、回転ブラシ60を床面吸込具から抜くとき(外すとき)に、あらためて爪部46bと溝部60bの位置を合わせる必要がない。
以上、回転ブラシ60は、回転ブラシ装着開口40c、塵埃除去具46のリング開口46eを貫いて、駆動部装着開口40bに望む駆動側装着ガイド73に嵌り込む。
【0037】
(2)回転ブラシ60のケース40からの取外しについて
まず、固定側装着ガイド60
iを回転させ、
回転ブラシ装着開口40cの凹形状の切り欠きと位置を合わせ、
回転ブラシ装着開口40cと固定側装着ガイド60
iの固定を解除し、固定側装着ガイド60
iを回転ブラシ60の長手方向に引き抜くことで、
回転ブラシ装着開口40cから回転ブラシ60をケース40から引き抜くことができる。
回転ブラシ60がケース40から引き抜かれ始めると、爪部46bがらせん状に形成された溝部60
bに倣って、回転ブラシ60の引き抜き動作に逆らわず、塵埃除去具取付け部44の内部で回転する。
【0038】
この時、爪部46bが溝部60
bに倣うことにより、回転ブラシ60の外周に絡みつく髪の毛や糸くずのような塵埃を、爪部46bが軸やブラシから剥ぎ取る。
そして、回転ブラシ60の外周から剥ぎ取られ、回転ブラシ60に纏わり付いている塵埃は、回転ブラシ60が塵埃除去具46のリング部46aと爪部46bを通過するときに、回転ブラシ60から分離・除去される。
【0039】
尚、塵埃除去具取付け部44はケース40の内部において、回転ブラシ装着開口40cに近い側に位置しているので、回転ブラシ60をケース40から取外す際、回転ブラシ60が塵埃除去具46のリング開口46eを通ることとなる。
従って、回転ブラシ60から効率よく塵埃を除去することができる。
【0040】
以上のように、塵埃除去具46に車輪部46
dを設けることで、回転ブラシに付着した塵埃を容易に除去可能にすると共に、回転ブラシの回転と同時に塵埃除去具に設けた車輪部が回転し床面を掻く力が増加するので、床面吸込具の操作力が軽くなり、使用者の清掃負荷を軽減させることが可能となる。
特に、車輪部46
dを塵埃除去具46と一体に形成したので、塵埃除去具46と車輪部46
dを別々にケース40に設ける必要がない。つまり、部品点数の低減、製造時の組み立て工数の低減を図れる。
【0041】
また、車輪部46
dは塵埃除去具46と一体であるので、ケース40に取付けた際に、取付けスペースを最小に構成することができる。これにより、吸込口や回転ブラシのスペースを広くすることができ、集塵能力を高めることができる。
更に、駆動側装着ガイド73にも車輪部73bを設けることで、ケース40の左右それぞれの端側で、均等となるように被清掃面に対して各車輪が駆動力を伝えるので、床面吸込具Sを安定して被清掃面上を動かすことができる。
【0042】
更に、車輪部46
dは、回転ブラシ60の回転と共に回転するので、別途車輪部46
dを回転駆動する駆動源を必要としない。
更に、車輪部46
dの最外部をフェルト材で構成することで、被清掃面上を車輪部46dが走行する際に、車輪部46
dの滑り止めや被清掃面へ傷を付けない構成することができる。
【0043】
更に、車輪部46
dの最外部を、二重成形を用いて軟質部材で構成することで、被清掃面上を車輪部46dが走行する際に、車輪部46
dと被清掃面のグリップ力向上や被清掃面へ傷を付けない構成することができると共に、車輪部46
dの成形を容易に行うことができる。
更に、車輪部の外径を、回転ブラシ60の最大外径(ブラシ60cを含む)と同じ程度の大きさに構成することにより、被清掃面に床面吸込具を置いたときに、ブラシ60cを大きく変形させないで使用できるので、床面吸込具を動かす時の操作感を軽くすることができる。