(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記バランサは、前記ドライバが前記射出口から離反する方向に摺動したときに、紐状部材を介して前記射出口の方向に引っ張られることを特徴とする、請求項1又は2記載の打ち込み工具。
前記バランサは、ファスナの打ち出し方向と略平行に設けられたバランサガイドに沿って摺動するものであることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか記載の打ち込み工具。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
こうした打ち込み工具においては、打ち込み時の反動によって打ち込み工具のノーズ部が被打込み材から離れてしまうと、釘を十分に打ち込むことができなかったり、釘から外れたドライバの打痕が被打込み材に付いてしまったりするという問題がある。
【0006】
このような反動を抑えるためには、打ち込み工具のノーズ部を被打込み材に強く押し付ける必要がある。しかしながら、ノーズ部を被打込み材に強く押し付けるようにすると、ノーズ部で被打込み材に傷をつけてしまったり、作業者の疲労を招いてしまったりするという問題が発生する。
【0007】
そこで、本発明は、打ち込み時の反動を吸収するための機構を設けることで、被打込み材に対して小さな押付力で十分な打ち込み力が得られる打ち込み工具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記した課題を解決するためになされたものであり、以下を特徴とする。
【0009】
(請求項1)
請求項1に記載の発明は、以下の点を特徴とする。
【0010】
すなわち、請求項1に記載の打ち込み工具は、工具の先端に設けられた射出口からファスナを打ち出すために、前記射出口に向けて摺動可能に設けられたドライバと、ファスナの打込み時の反動を吸収するために、工具のハウジングに対して摺動可能に設けられたバランサと、前記バランサを前記射出口から離反する方向に付勢するバランサ付勢部材と、を備え、
前記バランサ付勢部材は、前記ドライバの駆動力とは独立して設けられ、前記バランサは、前記ドライバが前記射出口の方向に摺動したときに、前記バランサ付勢部材により前記射出口から離反する方向に付勢されて移動することを特徴とする。
【0011】
(請求項2)
請求項2に記載の発明は、上記した請求項1記載の発明の特徴点に加え、以下の点を特徴とする。
【0012】
すなわち、前記バランサ付勢部材は、前記ドライバが前記射出口から離反する方向に摺動したときに作動するバネ機構であることを特徴とする。
【0013】
(請求項3)
請求項3に記載の発明は、上記した請求項1又は2記載の発明の特徴点に加え、以下の点を特徴とする。
【0014】
すなわち、前記バランサは、前記ドライバが前記射出口から離反する方向に摺動したときに、紐状部材を介して前記射出口の方向に引っ張られることを特徴とする。
【0015】
(請求項4)
請求項4に記載の発明は、上記した請求項1〜3のいずれかに記載の発明の特徴点に加え、以下の点を特徴とする。
【0016】
すなわち、前記バランサは、前記ドライバと略平行に摺動することを特徴とする。
【0017】
(請求項5)
請求項5に記載の発明は、上記した請求項1〜4のいずれかに記載の発明の特徴点に加え、以下の点を特徴とする。
【0018】
すなわち、前記バランサは、ファスナの打ち出し方向と略平行に設けられたバランサガイドに沿って摺動するものであることを特徴とする。
【0019】
(請求項6)
請求項6に記載の発明は、上記した請求項1又は2記載の発明の特徴点に加え、以下の点を特徴とする。
【0020】
すなわち、前記打ち込み工具はバネ力で駆動するものであって、前記ドライバが連結されるとともに、前記射出口に向けて付勢されたプランジャと、前記プランジャを付勢力に抗して押し上げるとともに、押し上げた前記プランジャを解放することで前記ドライバを前記射出口の方向に摺動させてファスナを打ち出すための駆動機構と、前記バランサと前記プランジャとを連結するための紐状部材と、前記紐状部材にかかる力の方向を変えるための方向変換部と、を備え、前記バランサは、前記プランジャが押し上げられたときに、前記紐状部材に引っ張られて前記射出口の方向に摺動するとともに、前記プランジャが解放されたときには、付勢されて前記射出口から離反する方向に摺動することを特徴とする。
【0021】
(請求項7)
請求項7に記載の発明は、上記した請求項6記載の発明の特徴点に加え、以下の点を特徴とする。
【0022】
すなわち、前記紐状部材は、弛緩可能に前記方向変換部に掛張されていることを特徴とする。
【0023】
(請求項8)
請求項8に記載の発明は、上記した請求項6又は7記載の発明の特徴点に加え、以下の点を特徴とする。
【0024】
すなわち、前記バランサは、ファスナの打ち出し方向と略平行に設けられた筒状部内を摺動するものであって、前記筒状部の少なくとも一方側には、前記プランジャの摺動をガイドするプランジャガイドを設けたことを特徴とする。
【0025】
(請求項9)
請求項9に記載の発明は、上記した請求項1〜8のいずれかに記載の発明の特徴点に加え、以下の点を特徴とする。
【0026】
すなわち、前記バランサを前記ドライバよりもグリップ側に設けたことを特徴とする。
【0027】
(請求項10)
請求項10に記載の発明は、上記した請求項1〜9のいずれかに記載の発明の特徴点に加え、以下の点を特徴とする。
【0028】
すなわち、前記ドライバによるファスナの打ち込みが完了した後も、前記バランサが移動を継続していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0029】
本発明は上記の通りであり、ドライバが射出口の方向に摺動したときに、バランサ付勢部材により射出口から離反する方向に付勢されて移動するバランサを設けている。このため、打ち込み時には、工具に対して被打込み材から離れる方向に力が加わるものの、同時に、バランサ付勢部材がバランサを付勢する反力により、工具を被打込み材の方向に押し付ける力が加わる。すなわち、この「被打込み材から離れる方向に加わる力」と「被打込み材の方向に押し付ける力」とが相殺されることにより、打ち込み時に受ける反動を吸収することができる。このため、被打込み材に対して小さな押付力で十分な打ち込み力が得られるので、作業者の疲労が軽減される。また、反動によってドライバがファスナから外れ、被打込み材を傷付けるといった問題も発生しづらい。
【0030】
なお、上記したバランサ付勢部材としては、ドライバが射出口から離反する方向に摺動したときに作動するバネ機構を用いることができる。バネ機構を用いた場合、バネ機構のバネ力によって「被打込み材の方向に押し付ける力」を生み出すことができる。
【0031】
また、上記したバランサは、ドライバが射出口から離反する方向に摺動したときに、紐状部材を介して射出口の方向に引っ張られるように形成してもよい。このように形成すれば、バランサとドライバとを物理的に連動させることができるため、打ち込み時の動作に合わせてバランサを作動させることが容易となる。
【0032】
また、バランサは、ドライバと略平行に摺動することがのぞましい。バランサをドライバと略平行に摺動させることで、打ち込み時の反動を効率良く吸収することができる。
【0033】
また、バランサは、ファスナの打ち出し方向と略平行に設けられたバランサガイドに沿って摺動するように形成してもよい。
【0034】
また、本発明に係る反動吸収機構をバネ駆動式の打ち込み工具に適用してもよい。バネ駆動式の打ち込み工具においては、打ち込み用のバネのバネ力によって打ち込み時の反動が大きくなるが、このような反動を有効に吸収することができる。具体的には、前記ドライバが連結されるとともに、前記射出口に向けて付勢されたプランジャと、前記プランジャを付勢力に抗して押し上げるとともに、押し上げた前記プランジャを解放することで前記ドライバを前記射出口の方向に摺動させてファスナを打ち出すための駆動機構と、前記バランサと前記プランジャとを連結するための紐状部材と、前記紐状部材にかかる力の方向を変えるための方向変換部と、を備え、前記バランサは、前記プランジャが押し上げられたときに、前記紐状部材に引っ張られて前記射出口の方向に摺動するとともに、前記プランジャが解放されたときには、付勢されて前記射出口から離反する方向に摺動するように形成すればよい。
【0035】
また、本発明に係る反動吸収機構をバネ駆動式の打ち込み工具に適用した場合、紐状部材は、弛緩可能に前記方向変換部に掛張されることとするのがのぞましい。紐状部材を弛緩可能とすることで、バランサがプランジャに引っ張られないようにすることができる。すなわち、紐状部材が弛むことでバランサがプランジャ(及び紐状部材)から解放されて単独で動作可能となるため、プランジャ(及び紐状部材)に邪魔されることなく、バランサはバランサ付勢部材の付勢力によって付勢される。そして、この付勢力の反力により、打ち込み工具を被打込み材の方向に押し付ける力が生まれ、反動を吸収することができる。
【0036】
また、同様に本発明に係る反動吸収機構をバネ駆動式の打ち込み工具に適用した場合において、バランサは、ファスナの打ち出し方向と略平行に設けられた筒状部内を摺動するように形成し、前記筒状部の少なくとも一方側には、前記プランジャの摺動をガイドするプランジャガイドを設けることとしてもよい。このような態様によれば、筒状部の内側にバランサを配置するとともに、筒状部の外側にプランジャを配置することができるため、反動吸収機構を備えたプランジャユニットをまとまりよく小さく構成することができ、製造コストを下げたり、製品サイズを小さくしたりすることができる。
【0037】
また、前記バランサを前記ドライバよりもグリップ側に設けてもよい。このように構成すれば、ドライバをなるべく反グリップ側に位置させることができるので、反グリップ側に余計な突起を設ける必要がない。反グリップ側に突起を設けないことにより、ノーズ部をできるだけ壁面に近付けた使い方ができるので、例えば角部にファスナを打ち込めるようにする必要がある仕上げ用打ち込み工具に対応させることができる。
【0038】
また、前記ドライバによるファスナの打ち込みが完了した後も、前記バランサが移動を継続するように形成してもよい。このように形成すれば、バランサによる反動吸収が終わるタイミングを、ドライバによるファスナの打ち込みの完了よりも後に設定できるため、ファスナの打ち込み完了まで確実に反動吸収機構を作用させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0040】
本発明の実施形態について、図を参照しながら説明する。
【0041】
本実施形態に係る打ち込み工具10は、バネ力で駆動するバネ駆動式の釘打機であって、ファスナとして釘を打ち出すように形成されている。この打ち込み工具10は、
図1に示すように、ハウジング11の内部に、釘を打ち出すためのドライバ31が連結されたプランジャユニット30、プランジャユニット30を作動させるための駆動機構20、ドライバ31によって打ち出される連結釘(連結ステープル)が装填されたマガジン12、などを備えて構成されている。
【0042】
マガジン12の前端部にはノーズ部15が設けられており、マガジン12に装填された連結釘の先頭釘は、図示しない供給装置によってこのノーズ部15へと供給される。ノーズ部15へと供給された先頭釘は、ドライバ31によってノーズ部15の先端に設けられた射出口16から打ち出される。本実施形態に係るドライバ31は、プランジャユニット30の一部として設けられており、プランジャユニット30が作動したときに射出口16に向けて摺動し、これによってノーズ部15へと供給された釘を射出口16から打ち出すものである。
【0043】
プランジャユニット30は、
図2に示すように、バランサガイドとして機能する筒状部のパイプ35の両側にプランジャガイド34が固定されることで、細長の棒状のユニットを構成したものである。パイプ35には、プランジャ32が摺動可能に外装されており、更には、このプランジャ32を常時射出口16に向けて付勢するためのプランジャ付勢部材33も外装されている。
【0044】
なお、プランジャガイド34は、プランジャ32の摺動をガイドするためのものであり、
図4及び
図5が示すように、パイプ35と相対する内側に長手方向にレール部34aが形成されている。
【0045】
このプランジャユニット30は、
図1に示すように、パイプ35の長手方向が釘の打ち出し方向と平行となるように、かつ、ドライバ31が最もグリップ13から遠くなるように(言い換えると、パイプ35がドライバ31よりもグリップ13側にくるように)、ハウジング11の内部に固定されている。
【0046】
プランジャ32の側部には、ドライバ31を連結するためのドライバ連結部32bが形成されている。このドライバ連結部32bには、ドライバ31が連結されており、プランジャ32の摺動に合わせてドライバ31も摺動するように形成されている。
【0047】
このプランジャ32は、
図3に示すように、前記したパイプ35を貫通させるためのパイプ孔32eが中央に開口しており、また、このパイプ孔32eの両側の壁部にはガイドローラ32aが設けられている。ガイドローラ32aは、
図4に示すように、プランジャガイド34のレール部34a内を摺動するものである。プランジャ32は、このパイプ孔32eとガイドローラ32aとが設けられていることにより、パイプ35及びプランジャガイド34に沿って摺動するようにガイドされる。
【0048】
プランジャ32の側部には、
図3に示すように、前記駆動機構20と係合させるための第1係合部32c及び第2係合部32dが突出形成されている。この第1係合部32c及び第2係合部32dは、ドライバ連結部32bが設けられたのとは逆側(駆動機構20側)に設けられている。なお、第1係合部32c及び第2係合部32dは、互いに異なる高さ位置(射出口16との相対位置)で設けられており、すなわち、
図3(b)に示すように、第1係合部32cは第2係合部32dよりも射出口16に近い位置に設けられている。このため、第1係合部32cと第2係合部32dとがプランジャ32の摺動方向に対して互い違いとなるように配置されている。
【0049】
このプランジャ32をプランジャ付勢部材33の付勢力に抗して押し上げる駆動機構20は、
図6に示すような複数のギアを備えて構成されている。この複数のギアはモータ17の駆動力によって回転するものである。モータ17は、トリガ14が操作されたことを契機として作動するとともに、図示しないマイクロスイッチによってプランジャ32が所定の位置まで移動したことが検出されるまで動作するように形成されている。
【0050】
なお、打ち込み工具10の内部にはCPUやRAM等を備えた制御装置(図示せず)が設けられており、この制御装置によってトリガ14やマイクロスイッチからの入力信号を基にモータ17の駆動が制御される。
【0051】
この駆動機構20は、ギアにプランジャ32を係合させた状態でギアを回転させ、これによってプランジャ32を押し上げるものである。そして、ギアとプランジャ32との係合を解除させることで、プランジャ32をプランジャ付勢部材33の付勢力で移動させ、プランジャ32に連結されたドライバ31を射出口16の方向に摺動させて釘を打ち出すように形成されている。
【0052】
詳しくは、
図6(a)に示すように、ハウジング11に固定されたトルクギアプレート21に対して、第1トルクギア22と第2トルクギア23とが回転可能に軸支されており、この第1トルクギア22と第2トルクギア23とを回転させることで駆動機構20が構成されている。なお、第1トルクギア22と第2トルクギア23とは、プランジャ32の摺動方向に沿って並べて配置されており、第1トルクギア22は第2トルクギア23よりも射出口16側に配置されている。これにより、プランジャ32は、第1トルクギア22から第2トルクギア23へと順に係合することによって、徐々に持ち上げられるようになっている。
【0053】
図6(b)は、プランジャ32が下死点位置にある状態(ドライバ31による釘の打ち出しが完了した状態)を示している。この状態から第1トルクギア22及び第2トルクギア23を回転させると、第1トルクギア22のトルクローラ22aがプランジャ32の第1係合部32cに係合する。
【0054】
そして、
図6(c)に示すように、そのまま第1トルクギア22によってプランジャ32が上方へと持ち上げられる。トルクローラ22aが最も上にくる位置まで第1トルクギア22が回転すると、トルクローラ22aと第1係合部32cとの係合が外れる。このとき、トルクローラ22aと第1係合部32cとの係合が外れる前に、第2トルクギア23のトルクローラ23aがプランジャ32の第2係合部32dに係合する。
【0055】
そして、
図6(d)に示すように、そのまま第2トルクギア23によってプランジャ32が上方へと持ち上げられ、プランジャ32は上死点位置にまで移動する。
【0056】
その後、
図6(e)に示すように、更にギアが回転してトルクローラ23aが最も上にくる位置まで第2トルクギア23が回転すると、トルクローラ23aと第2係合部32dとの係合が外れる。これにより、プランジャ32はプランジャ付勢部材33によって付勢されるので、
図6(b)に示す下死点位置へと移動する。これにより、プランジャ32に連結されたドライバ31が射出口16の方向へと摺動し、釘が打ち出されるように形成されている。
【0057】
なお、本実施形態においては、通常時のプランジャ32は、
図6(d)に示す上死点位置にて待機するようになっており、トリガ14が操作されたことを契機として駆動機構20が作動し、
図6(e)→
図6(b)→
図6(c)に示す状態を順次経て、再度
図6(d)に示す上死点位置にて待機するように形成されている。
【0058】
すなわち、トリガ14が操作されると、その操作信号を受信した制御装置がモータ17の駆動を開始する。これにより、
図6(e)に示す位置までギアが回転すると、釘の打ち込み動作が行われる。そして、釘の打ち込み動作が終わった後もモータ17は駆動をし続ける。その結果、
図6(d)に示す上死点位置にまでプランジャ32が移動すると、前述したマイクロスイッチがプランジャ32によって押下される。このマイクロスイッチの信号を受信すると、制御装置はモータ17の駆動が停止するように制御する。
【0059】
ところで、本実施形態におけるプランジャユニット30は、上記したような釘の打ち込み動作における反動を吸収するための反動機構を備えている。
【0060】
この反動機構は、
図5に示すように、パイプ35内に摺動可能に設けられたバランサ36や、このバランサ36を射出口16から離反する方向に付勢するバランサ付勢部材37を備えて構成されている。
【0061】
バランサ36は、パイプ35の内径に沿うように形成された円筒状の金属部材であり、パイプ35の内側を摺動可能となっている。なお、前述したように、パイプ35は釘の打ち出し方向と平行に配置されているため、このパイプ35内を摺動するバランサ36はドライバ31と平行に摺動するように形成されている。
【0062】
また、バランサ付勢部材37は、パイプ35内に配置されて作動するバネ機構であり、圧縮バネが用いられている。このバランサ付勢部材37は、バランサ36よりも射出口16側に配置されて、バランサ36を射出口16から離反する方向に付勢している。
【0063】
なお、本実施形態においては、パイプ35を外表面が閉ざされた円筒状として形成しているが、これに代えて、例えば外表面にスリットや開口部を設けてもよいし、角柱状の形状などで形成してもよい。
【0064】
バランサ36は、紐状部材のワイヤ39を介してプランジャ32と連結されており、プランジャ32が移動したときに連動して動くようになっている。具体的には、方向変換部として設けられたプーリ40によってワイヤ39にかかる力の方向が約180度変えられているため、プランジャ32が駆動機構20に押し上げられることによってドライバ31が射出口16から離反する方向に摺動したときには、バランサ36がワイヤ39に引っ張られて射出口16の方向に移動する。このとき、バランサ付勢部材37は圧縮され、バネ力が蓄えられることとなる。
【0065】
そして、プランジャ32が駆動機構20から解放されることにより、ドライバ31が射出口16の方向に摺動して釘の打ち込み動作が行われると、ワイヤ39による引張が解除されるため、バランサ36はバランサ付勢部材37によって射出口16から離反する方向に付勢されて移動する。
【0066】
本実施形態における反動吸収は、このようなバランサ付勢部材37による付勢の反力によって行われるものである。以下、反動吸収の仕組みついて、プランジャユニット30の動作を参照しつつ、詳しく説明する。
【0067】
図7は、プランジャユニット30を示す図であり、プランジャ32が下死点位置にある状態を示すものである。この状態においては、プランジャ32がプランジャ付勢部材33によって射出口16の方向に付勢されており、ゴム製のバンパ41に押しつけられた状態となっている。また、バランサ36がバランサ付勢部材37によって射出口16から離反する方向に付勢されており、ゴム製のバランサストップ38に押しつけられた状態となっている。このとき、ワイヤ39はほぼ弛みなく張った状態となっている。
【0068】
図8は、駆動機構20によってプランジャ32が押し上げられており、プランジャ32が上死点位置にある状態を示す図である。この状態においては、プランジャ32がプランジャ付勢部材33による付勢力に抗して射出口16から離反する方向に押し上げられている。また、プランジャ32が押し上げられたことに伴って、ワイヤ39が引っ張られ、ワイヤ39の他端に接続されたバランサ36がバランサ付勢部材37による付勢力に抗して射出口16の方向へと引っ張られている。
【0069】
この状態では、
図12に示すように、ハウジング11がプランジャ付勢部材33及びバランサ付勢部材37の付勢力を受け止めており、力が釣り合った状態となっている。
【0070】
この
図8の状態から、プランジャ32と駆動機構20との係合が外れると、
図9に示すように、プランジャ付勢部材33による付勢力によって、プランジャ32が射出口16の方向へと移動し始める。すると、バランサ36を引っ張っていたワイヤ39が弛むため、バランサ36が自由状態となって、バランサ付勢部材37による付勢力によって、バランサ36が射出口16から離反する方向へと移動し始める。
【0071】
このとき、
図13に示すように、プランジャ付勢部材の付勢反力P1と、打ち込み反力P2とによって、打ち込み時の反動が発生し、打ち込み工具10を被打ち込み材から離そうとする力が加わる。
【0072】
しかしながら、本実施形態に係る打ち込み工具10においては、バランサ付勢部材の付勢反力P3によって、打ち込み工具10を被打ち込み材に押し付けようとする力が加わるように形成されている。すなわち、バランサ付勢部材37は射出口16から離反する方向へとバランサ36を付勢するので、このバランサ36とは逆側においてバランサ付勢部材37を受ける部分に反力が発生する。すなわち、打ち込み工具10のハウジング11に対して、被打ち込み材に押しつけようとする力が発生する。
【0073】
このため、プランジャ付勢部材の付勢反力P1及び打ち込み反力P2と、バランサ付勢部材の付勢反力P3とが、互いに力を打ち消しあい、打ち込み時の反動が軽減される。なお、バランサ付勢部材の付勢反力P3で打ち消すことのできない反動は、作業者による押し付け荷重P4(これに機械重量が加味される場合もある)によって相殺されることとなる。
【0074】
なお、打ち込み時のワイヤ39の弛みは、プランジャ32の移動速度がバランサ36の移動速度よりも速くなるように設定してあることにより生まれている。すなわち、プランジャ付勢部材33及びバランサ付勢部材37の付勢力の差や、プランジャ32及びバランサ36の重量や摺動抵抗等を調節することで、プランジャ32の移動速度がバランサ36の移動速度よりも速くなるように設定してあるため、この速度の差によってワイヤ39が弛むようになっている。
【0075】
そして、ワイヤ39は、
図10に示すように、弛緩可能にプーリ40に掛張されるとともに、ハウジング11によって形成されたスペースSを利用してガイドされている。このため、弛んだワイヤ39がプーリ40から外れても、スペースSによってガイドされるため、他の部分に引っ掛かることがないように形成されている。
【0076】
図11は、
図9の状態から更にプランジャ32が移動し、プランジャ32がバンパ41に到達した直後(釘の打ち込みが終了した直後)の状態を示す図である。この図が示すように、プランジャ32がバンパ41に到達した直後においては、バランサ36はバランサストップ38に到達しておらず、バランサ付勢部材37による付勢力で移動を続けている。すなわち、プランジャ32の移動速度がバランサ36の移動速度よりも速くなるように設定してあるため、プランジャ32がバンパ41に到達した後で、バランサ36がバランサストップ38に到達する。そして、バランサ36がバランサストップ38に到達すると、
図7の状態に戻る。
【0077】
本実施形態においては、このようにプランジャ32の停止タイミングとバランサ36の停止タイミングとにタイムラグを設けることにより、バランサ36及びバランサ付勢部材37による衝撃吸収(バランサ付勢部材の付勢反力P3の発生)が、釘の打ち込みが完了するまで継続するように形成されている。また、バランサ36がバランサストップ38に衝突した衝撃で反動方向に力が加わるが、この反動が発生するタイミングを釘の打ち込み完了後としている。
【0078】
以上説明したように、本実施形態によれば、ドライバ31が射出口16の方向に摺動したときに、バランサ付勢部材37により射出口16から離反する方向に付勢されて移動するバランサ36を設けている。このため、打ち込み時には、打ち込み工具10に対して被打込み材から離れる方向に力が加わるものの、同時に、バランサ付勢部材37がバランサ36を付勢する反力により、打ち込み工具10を被打込み材の方向に押し付ける力が加わる。すなわち、この「被打込み材から離れる方向に加わる力」と「被打込み材の方向に押し付ける力」とが相殺されることにより、打ち込み時に受ける反動を吸収することができる。このため、被打込み材に対して小さな押付力で十分な打ち込み力が得られるので、作業者の疲労が軽減される。また、反動によってドライバ31が釘から外れ、被打込み材を傷付けるといった問題も発生しづらい。
【0079】
また、上記したバランサ36は、ドライバ31が射出口16から離反する方向に摺動したときに、ワイヤ39を介して射出口16の方向に引っ張られるように形成されている。このため、バランサ36とドライバ31とを物理的に連動させることができ、打ち込み時の動作に合わせてバランサ36を作動させることができる。
【0080】
また、バランサ36は、ドライバ31と平行に摺動する。このため、「被打込み材から離れる方向に加わる力」と「被打込み材の方向に押し付ける力」とが平行かつ互いに相反する向きであるから、打ち込み時の反動を効率良く吸収することができる。
【0081】
また、ワイヤ39が弛緩可能にプーリ40に掛張されており、バランサ36がプランジャ32に引っ張られない。このため、ワイヤ39が弛むことでバランサ36がプランジャ32(ワイヤ39)から解放されて単独で動作可能となり、プランジャ32(ワイヤ39)に邪魔されることなく、バランサ36はバランサ付勢部材37の付勢力によって付勢される。そして、この付勢力の反力により、打ち込み工具10を被打込み材の方向に押し付ける力が生まれ、反動を吸収することができる。
【0082】
また、バランサ36は、釘の打ち出し方向と平行に設けられたパイプ35内を摺動可能であり、このパイプ35の両側にプランジャ32の摺動をガイドするプランジャガイド34を設けた。このため、パイプ35の内側にバランサ36を配置するとともに、パイプ35の外側にプランジャ32を配置することができるため、反動吸収機構を備えたプランジャユニット30をまとまりよく小さく構成することができ、製造コストを下げたり、製品サイズを小さくしたりすることができる。
【0083】
また、プランジャユニット30は、ドライバ31が最もグリップ13から遠くなるようにハウジング11内に固定され、すなわち、バランサ36はドライバ31よりもグリップ13側に設けられている。このため、ドライバ31をなるべく反グリップ13側に位置させることができるので、反グリップ13側に余計な突起を設ける必要がない。反グリップ13側に突起を設けないことにより、ノーズ部15をできるだけ壁面に近付けた使い方ができるので、例えば角部に釘を打ち込めるようにする必要がある仕上げ用打ち込み工具に対応させることができる。
【0084】
また、ドライバ31による釘の打ち込みが完了した後も、バランサ36が移動を継続するように形成している。このため、バランサ36による反動吸収が終わるタイミングを、ドライバ31による釘の打ち込みの完了よりも後に設定できるため、釘の打ち込み完了まで確実に反動吸収機構を作用させることができる。
【0085】
なお、上記においては特に説明していないが、
図14に示すように、プランジャユニット30をハウジング11に固定する際に、プランジャユニット30とハウジング11との間に防振材50を設けるようにしてもよい。防振材50は、ゴムやウレタン等、弾性を有する材料で形成すればよい。
【0086】
具体的には、
図14に示すように、プランジャガイド34とハウジング11の間や、プランジャユニット30とハウジング11の反射出口16側の接触部などに防振材50を設けることができる。
【0087】
このような防振材50を設ければ、プランジャユニット30作動時の振動(プランジャ付勢部材33やバランサ付勢部材37の振動、プランジャ32やバランサ36の摺動によって発生する振動、プランジャ32とバンパ41との衝突によって発生する振動など)を抑制することができるので、釘を打ち込む際の発生音を減少させることができる。
【0088】
なお、上記した実施形態においては、バネ力で駆動するバネ駆動式の釘打機を例に挙げて説明したが、これに限らず、圧縮空気や電気など、他の駆動源で駆動する工具にも適用することができる。
【0089】
また、上記した実施形態においては、バランサ付勢部材37として圧縮バネを用いたが、これに限らず、引っ張りバネを用いてもよい。また、反力が発生するものであれば、バネ以外の他の付勢手段を用いてもよい。例えばバネ以外の弾性体を使用したり、電気的・磁気的手段を用いたり、流体圧力等による付勢手段を用いたりしてもよい。
【0090】
また、上記した実施形態においては、バランサ36はドライバ31と平行に摺動することとしたが、これに限らず、ドライバ31の摺動方向に対して角度をもって摺動することとしてもよい。
【0091】
また、上記した実施形態においては、プランジャ32の移動速度がバランサ36の移動速度よりも速くなるように設定したが、これに限らない。プランジャ32の移動速度とバランサ36の移動速度とが等しくなるように設定してもよいし、プランジャ32の移動速度がバランサ36の移動速度よりも遅くなるように設定してもよい。
【0092】
また、上記した実施形態においては、打ち込み動作時にプランジャ32とバランサ36とが同時に移動を始めることとしたが、これに限らない。例えば、プランジャ32が上死点位置にある状態においてワイヤ39が弛ませれば、プランジャ32の移動よりもバランサ36の移動を遅らせることができる。
【0093】
また、上記した実施形態においては、バランサ36とプランジャ32とをワイヤ39で連結したが、これに限らない。例えば、バランサ36とプランジャ32とをベルトなどで連結してもよい。
【0094】
また、上記した実施形態においては、プランジャユニット30をハウジング11の内部に配置したが、これに限らない。例えば、
図15に示すように、バランサ36をハウジング11の外に配置してもよい。また、プランジャユニット30全体をハウジング11の外に配置してもよい。この場合、プランジャユニット30全体をハウジング11とは別のケースで覆うようにしてもよい。
【0095】
また、上記した実施形態においては、バランサ付勢部材37として圧縮バネを用いたが、これに限らない。例えば、
図16に示すように、バランサ付勢部材37として引張バネを用いてもよい。また、
図17に示すように、バランサ付勢部材37として磁気バネ(互いに反発する2つの磁石を対向するように配置したもの)を用いてもよい。
【0096】
また、上記した実施形態においては、紐状部材としてワイヤ39を使用したが、これに限らない。例えば、ベルト、細状の布、紐、糸などを使用してもよい。
【0097】
また、上記した実施形態においては、パイプ35の内側をバランサ36が摺動するように形成したが、これに限らない。例えば、
図18に示すように、パイプ35の外側をバランサ36が摺動するように形成してもよい。この際、パイプ35の内側をプランジャ32が摺動するように形成してもよい。この場合、駆動機構20としては、例えば
図18に示すようなプランジャ巻上機構42を設ければよい。すなわち、モータによってプランジャ巻上機構42を作動させることによりプランジャ巻上ワイヤ43を巻上げて、プランジャ32をプランジャ付勢部材33の付勢力に抗して押し上げるようにすればよい。
【0098】
また、上記した実施形態においては、バランサ36をガイドするバランサガイドとして筒状部のパイプ35を用いたが、これに限らない。例えば、
図19に示すように、側面から少なくとも2点以上でバランサ36を挟み込むようにガイドする形状のバランサガイド35を用いてもよい。
【0099】
なお、
図19の例においては、バランサガイド35はバランサ36の外周に沿うようなほぼ円弧形状にしているが、挟み込む接触点の範囲を小さくして円弧形状でなく矩形の形状にしてもよい。
【0100】
また、上記した実施形態においては、方向変換部としてプーリ40を用いたが、これに限らない。例えば、単に所定の部材の縁部に沿って紐状部材を滑らせるようにすることで、当該縁部を方向変換部として機能させてもよい。
【0101】
また、上記した実施形態においては、筒状部(パイプ35)の両側にプランジャ32の摺動をガイドするプランジャガイド34を設けたが、これに限らない。例えば、
図20に示すように、筒状部(パイプ35)の片側にのみプランジャ32の摺動をガイドするプランジャガイド34を設けるようにしてもよい。あるいは筒状部(パイプ35)の周囲に可能な限りプランジャガイドを設けてガイド性を高める構成にしてもよい。
【0102】
また、
図21に示すように、反動吸収のためにフライホイール機構を利用しても良い。すなわち、打込み工具10本体の中央部付近で
図21に示すように時計回りに回転するフライホイール44を設け、打込み動作とほぼ同時にフライホイール44を前側(ドライバ31側)が上昇する方向に時計回りに回転させると、打込み工具10本体が反作用で逆方向(前側を下降させる方向)に回転力を受ける。従って、この回転力と打込み時の反動で打込み工具10本体が浮き上がる力を相殺させて反動を低減することができる。
【0103】
なお、フライホイール44は、ドライバ31と連動して回転させ、ドライバ31の直進運動とフライホイール44の回転運動はそれぞれ単独に回転駆動させるのが望ましい。また、フライホイール44の回転中心は打込み工具10本体の重心に近いほど、重心の回りで回転することになり、効果が発揮できるため、フライホイール44の回転中心を打込み工具10本体の重心になるべく近く設けることが望ましい。