【0074】
上記成形体としては、例えば、
食品包装用フィルム、食品製造工程で使用する流体移送ラインのライニング材、パッキン、シール材、シート等の食品製造装置用流体移送部材;
薬品用の薬栓、包装フィルム、薬品製造工程で使用される流体移送ラインのライニング材、パッキン、シール材、シート等の薬液移送部材;
化学プラントや半導体工場の薬液タンクや配管の内面ライニング部材;
自動車の燃料系統並びに周辺装置に用いられるO(角)リング・チューブ・パッキン、バルブ芯材、ホース、シール材等、自動車のAT装置に用いられるホース、シール材等の燃料移送部材;
自動車のエンジン並びに周辺装置に用いられるキャブレターのフランジガスケット、シャフトシール、バルブステムシール、シール材、ホース等、自動車のブレーキホース、エアコンホース、ラジエーターホース、電線被覆材等のその他の自動車部材;
半導体製造装置のO(角)リング、チューブ、パッキン、バルブ芯材、ホース、シール材、ロール、ガスケット、ダイヤフラム、継手等の半導体装置用薬液移送部材;
塗装設備用の塗装ロール、ホース、チューブ、インク用容器等の塗装・インク用部材;
飲食物用のチューブ又は飲食物用ホース等のチューブ、ホース、ベルト、パッキン、継手等の飲食物移送部材、食品包装材、ガラス調理機器;
廃液輸送用のチューブ、ホース等の廃液輸送用部材;
高温液体輸送用のチューブ、ホース等の高温液体輸送用部材;
スチーム配管用のチューブ、ホース等のスチーム配管用部材;
船舶のデッキ等の配管に巻き付けるテープ等の配管用防食テープ;
電線被覆材、光ファイバー被覆材、太陽電池の光起電素子の光入射側表面に設ける透明な表面被覆材および裏面剤等の各種被覆材;
ダイヤフラムポンプのダイヤフラムや各種パッキン類等の摺動部材;
農業用フィルム、各種屋根材・側壁等の耐侯性カバー;
建築分野で使用される内装材、不燃性防火安全ガラス等のガラス類の被覆材;
家電分野等で使用されるラミネート鋼板等のライニング材;
等が挙げられる。
【実施例】
【0079】
つぎに本発明を実施例をあげて説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。
【0080】
実施例の各数値は以下の方法により測定した。
【0081】
表面張力
協和界面科学株式会社製表面張力計SURFACE CBVP−A3を用いて、水と界面活性剤のみを混ぜて1000ppmにした水溶液を用いて測定した。
【0082】
NMR分析
次の装置及び条件により実施した。
NMR測定装置:VARIAN社製
1H−NMR測定条件:400MHz(テトラメチルシラン=0ppm)
19F−NMR測定条件:376MHz(トリクロロフルオロメタン=0ppm)
【0083】
異常結合率の測定
19F−NMR分析より求めた。具体的には、−114〜117ppm付近のピーク面積(異常結合由来)の合計(=n2)と、−90〜−96ppm付近のピーク面積(−CF
2−CH
2−由来)(=n1)から下記の計算式により算出した。
異常結合率(%)={n2/(n1+n2)}×100 /2
【0084】
融点
示差走査熱量計(メトラートレド社製、DSC822e)を使用して測定した。
70℃〜220℃ RATE 20℃/min 1st run 1st down 2nd run
【0085】
結晶化度(Xc)
X線回折装置(リガク社製、RINT2000)を使用してX線回折測定を行い、得られたX線回折パターンに基づき、2θ(deg)8〜25のピーク面積(X)、16〜19のピーク面積(Y)、19〜21.5のピーク面積(Z)から下記の計算式で算出した。
Xc=(Y+Z)/X
【0086】
平均粒子径
HONEYWELL社製のマイクロトラックUPAを用いて測定した。
【0087】
PVDFの固形分濃度(P)
試料約1g(X)を直径5cmのアルミカップにとり、150℃、1時間で乾燥した後、得られる加熱残分(Z)に基づき、式:P=Z/X×100(%)にて決定した。
【0088】
実施例1
3.0Lステンレス製オートクレーブに純水1700g、H−(CF
2CF
2)
3−CH
2−O−CO−CH
2CH(−SO
3Na)−CO−O−CH
2−(CF
2CF
2)
3−H(表面張力22mN/m)0.85g(対重合水500ppm)、パラフィン17gを入れ窒素置換し、フッ化ビニリデン(VDF)150gを加え、槽内を115℃まで昇温した。これに撹拌下、アセトン0.51g、ジ−t−ブチルパーオキシド5.6gを加え反応を開始した。槽内が4.0MPaに保たれるようフッ化ビニリデンを9時間かけて427g追加、途中H−(CF
2CF
2)
3−CH
2−O−CO−CH
2CH(−SO
3Na)−CO−O−CH
2−(CF
2CF
2)
3−H 1.45g(対重合水850ppm)を追加し、安定なPVDFエマルション 2112.45g(固形分濃度20.6質量%)を得た。得られたPVDFエマルションに関して、下記の方法で安定性試験を行った。結果を表1に示す。
【0089】
得られたポリマーの融点は160.8℃、平均粒子径は171nm、異常結合率は5.5モル%、結晶化度は0.28であった。
【0090】
1H−NMR(270MHz,DMF−d7)により、ポリマー末端:1.885ppm(C
*H
3CH
2−CF
2);3.634ppm(C
*H
3−O);6.577ppm(
*HCF
2−CH
3)が確認された。
【0091】
実施例2
3.0Lステンレス製オートクレーブに純水1700g、H−(CF
2CF
2)
3−CH
2−O−CO−CH
2CH(−SO
3Na)−CO−O−CH
2−(CF
2CF
2)
3−H(表面張力21mN/m)0.85g(対重合水500ppm)、パラフィン17gを入れ窒素置換し、フッ化ビニリデン(VDF)150gを加え、槽内を115℃まで昇温した。これに撹拌下、アセトン0.51g、ジ−t−ブチルパーオキシド5.6gを加え反応を開始した。槽内が4.0MPaに保たれるようフッ化ビニリデンを15.2時間かけて732g追加、途中H−(CF
2CF
2)
3−CH
2−O−CO−CH
2CH(−SO
3Na)−CO−O−CH
2−(CF
2CF
2)
3−H 1.45g(対重合水850ppm)、アセトン0.34gを追加し、安定なPVDFエマルション2311.49g(固形分濃度30.7質量%)を得た。得られたPVDFエマルションに関して、下記の方法で安定性試験を行った。結果を表1に示す。
【0092】
得られたポリマーの融点は162.03℃、平均粒子径は185nm、異常結合率は5.6モル%、結晶化度は0.33であった。
【0093】
1H−NMR(270MHz,DMF−d7)により、ポリマー末端:1.988ppm(C
*H
3CH
2−CF
2);3.646ppm(C
*H
3−O);6.568ppm(
*HCF
2−CH
3)が確認された。
【0094】
実施例3
3.0Lステンレス製オートクレーブに純水1700g、H−(CF
2CF
2)
3−CH
2−O−CO−CH
2CH(−SO
3Na)−CO−O−CH
2−(CF
2CF
2)
3−H(表面張力22mN/m)0.85g(対重合水500ppm)、パラフィン17gを入れ窒素置換し、フッ化ビニリデン(VDF)150gを加え、槽内を115℃まで昇温した。これに撹拌下、アセトン0.51g、ジ−t−ブチルパーオキシド5.6gを加え反応を開始した。槽内が4.0MPaに保たれるようフッ化ビニリデンを15.2時間かけて425g追加、安定なPVDFエマルション2020g(固形分濃度20.1質量%)を得た。得られたPVDFエマルションに関して、下記の方法で安定性試験を行った。結果を表1に示す。
【0095】
得られたポリマーの融点は161℃、平均粒子径は206nm、異常結合率は5.6モル%、結晶化度は0.34であった。
【0096】
1H−NMR(270MHz,DMF−d7)により、ポリマー末端:1.988ppm(C
*H
3CH
2−CF
2);3.636ppm(C
*H
3−O);6.577ppm(
*HCF
2−CH
3)が確認された。
【0097】
実施例4
3.0Lステンレス製オートクレーブに純水1700g、F−(CF
2CF
2)
3−CH
2−CH
2−O−CO−CH
2CH(−SO
3Na)−CO−O−CH
2−CH
2−(CF
2CF
2)
3−F(表面張力24mN/m)0.51g(対重合水300ppm)、パラフィン17gを入れ窒素置換し、フッ化ビニリデン(VDF)150gを加え、槽内を115℃まで昇温した。これに撹拌下、アセトン0.51g、ジ−t−ブチルパーオキシド2.8gを加え反応を開始した。槽内を4.0MPaに保ちながら4時間加熱撹拌し、安定なPVDFエマルション 1728.18g(固形分濃度2.7質量%)を得た。得られたPVDFエマルションに関して、下記の方法で安定性試験を行った。結果を表1に示す。
【0098】
得られたポリマーの融点は161℃、平均粒子径は50nm、異常結合率は5.5モル%、結晶化度は0.34であった。
【0099】
1H−NMR(270MHz,DMF−d7)により、ポリマー末端:1.986ppm(C
*H
3CH
2−CF
2);3.658ppm(C
*H
3−O);6.572ppm(
*HCF
2−CH
3)が確認された。
【0100】
実施例5
3.0Lステンレス製オートクレーブに純水1700g、CF
3―CHF―CF
2−CH
2−O−CO−CH
2CH(−SO
3Na)−CO−O−CH
2−CF
2―CHF―CF
3(表面張力54mN/m)0.85g、パラフィン17gを入れ窒素置換し、フッ化ビニリデン(VDF)150gを加え、槽内を115℃まで昇温した。これに撹拌下ジ−t−ブチルパーオキシド5.6gを加え反応を開始した。4時間後安定なPVDFエマルション1758g(固形分濃度4.8質量%)を得た。得られたPVDFエマルションに関して、下記の方法で安定性試験を行った。結果を表1に示す。
【0101】
得られたポリマーの融点は161℃、平均粒子径は200nm、異常結合率は5.4モル%、結晶化度は0.35であった。
【0102】
1H−NMR(270MHz,DMF−d7)により、ポリマー末端:1.9ppm(C
*H
3CH
2−CF
2);3.6ppm(C
*H
3−O);6.6ppm(
*HCF
2−CH
3)が確認された。
【0103】
実施例6
3.0Lステンレス製オートクレーブに純水1400g、ジ−2−エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム(表面張力45mN/m)0.88gを入れ窒素置換し、フッ化ビニリデン(VDF)198gを加え、槽内を80℃まで昇温した。これに撹拌下ジノルマルプロピルパーオキシジカーボネート1.1gを加え反応を開始した。30分後ジノルマルプロピルパーオキシジカーボネート1.1gを追加し、1.5時間後安定なPVDFエマルション1399g(固形分濃度3.1質量%)を得た。得られたPVDFエマルションに関して、下記の方法で安定性試験を行った。結果を表1に示す。
【0104】
得られたポリマーの融点は168℃、平均粒子径は111nm、異常結合率は5.1モル%、結晶化度は0.37であった。
【0105】
1H−NMR(270MHz,DMF−d7)により、ポリマー末端:1.1ppm(C
*H
3CH
2CH
2−O−CO−O−CF
2CH
2);1.9ppm(CH
3C
*H
2CH
2−O−CO−O−CF
2CH
2);2.0ppm(C
*H
3CH
2−CF
2);4.3ppm(CH
3CH
2C
*H
2−O−CO−O−CH
2CF
2);4.7ppm(CH
3CH
2CH
2−O−CO−O−C
*H
2CF
2)が確認された。
【0106】
実施例7
3.0Lステンレス製オートクレーブに純水1700g、H−(CF
2CF
2)
3−CH
2−O−CO−CH
2CH(−SO
3Na)−CO−O−CH
2−(CF
2CF
2)
3−H(表面張力54mN/m)0.85g、パラフィン17gを入れ窒素置換し、フッ化ビニリデン(VDF)150gを加え、槽内を80℃まで昇温した。これに撹拌下t−ブチルパーオキシイソブチレート5.6gを加え反応を開始した。2時間後安定なPVDFエマルション1730g(固形分濃度4.5質量%)を得た。得られたPVDFエマルションに関して、下記の方法で安定性試験を行った。結果を表1に示す。
【0107】
得られたポリマーの融点は167℃、平均粒子径は98nm、異常結合率は5.1モル%、結晶化度は0.36であった。
【0108】
1H−NMR(270MHz,DMF−d7)により、ポリマー末端:1.9ppm(C
*H
3CH
2−CF
2);3.6ppm(C
*H
3−O);6.6ppm(
*HCF
2−CH
3)が確認された。
【0109】
実施例8
3.0Lステンレス製オートクレーブに純水2000g、H−(CF
2CF
2)
3−CH
2−O−CO−CH(CH
2COONH
4)CH(CH
2COONH
4)−CO−O−CH
2−(CF
2CF
2)
3−H(表面張力28mN/m)4g、パラフィン20gを入れ窒素置換し、フッ化ビニリデン(VDF)111gを加え、槽内を125℃まで昇温した。これに撹拌下ジ−t−ブチルパーオキシド6.6gを加え反応を開始した。槽内が4.0MPaに保たれるようフッ化ビニリデンを3時間かけて147g追加し、安定なPVDFエマルション 2100g(固形分濃度6.5質量%)を得た。得られたPVDFエマルションに関して、下記の方法で安定性試験を行った。結果を表1に示す。
【0110】
得られたポリマーの融点は158.8℃、平均粒子径は390nm、異常結合率は5.6モル%、結晶化度は0.30であった。
【0111】
1H−NMR(270MHz,DMF−d7)により、ポリマー末端:1.8ppm(C
*H
3CH
2−CF
2);3.6ppm(C
*H
3−O);6.5ppm(
*HCF
2−CH
3)が確認された。
【0112】
実施例9
3.0Lステンレス製オートクレーブに純水1700g、CH
3(CH
2)
m−CH(−SO
3Na)(CH
2)
n−CH
3(クラリアント社ホスタパーSAS93)(表面張力30mN/m)3g、パラフィン17gを入れ窒素置換し、フッ化ビニリデン(VDF)150gを加え、槽内を125℃まで昇温した。これに撹拌下ジt−ブチルパーオキサイド5.6gを加え反応を開始した。2時間後安定なPVDFエマルション1735g(固形分濃度4.0質量%)を得た。得られたPVDFエマルションに関して、下記の方法で安定性試験を行った。結果を表1に示す。
【0113】
得られたポリマーの融点は156℃、平均粒子径は105nm、異常結合率は5.6モル%、結晶化度は0.33であった。
【0114】
1H−NMR(270MHz,DMF−d7)により、ポリマー末端:1.9ppm(C
*H
3CH
2−CF
2);3.6ppm(C
*H
3−O);6.6ppm(
*HCF
2−CH
3)が確認された。
【0115】
実施例10
3.0Lステンレス製オートクレーブに純水1700g、F(CF
2)
4−O−CF
2CF
2−O−CF
2−CH
2−O−CO−CH
2CH(−SO
3Na)−CO−O−CH
2−CF
2−O−CF
2CF
2−O−(CF
2)
4F(表面張力22mN/m)0.85g、パラフィン17gを入れ窒素置換し、フッ化ビニリデン(VDF)150gを加え、槽内を125℃まで昇温した。これに撹拌下ジt−ブチルパーオキサイド5.6gを加え反応を開始した。1.5時間後安定なPVDFエマルション1748g(固形分濃度4.0質量%)を得た。得られたPVDFエマルションに関して、下記の方法で安定性試験を行った。結果を表1に示す。
【0116】
得られたポリマーの融点は158℃、平均粒子径は102nm、異常結合率は5.6モル%、結晶化度は0.33であった。
【0117】
1H−NMR(270MHz,DMF−d7)により、ポリマー末端:2.0ppm(C
*H
3CH
2−CF
2);3.6ppm(C
*H
3−O);6.6ppm(
*HCF
2−CH
3)が確認された。
【0118】
実施例11
3.0Lステンレス製オートクレーブに純水2000g、CF
3(CF
2)
3−CH
2CH
2C(COONH
4)
2CH
2CH
2(CF
2)
3CF
3 4g(表面張力40mN/m)、パラフィン20gを入れ窒素置換し、フッ化ビニリデン(VDF)111gを加え、槽内を125℃まで昇温した。これに撹拌下ジ−t−ブチルパーオキシド6.6gを加え反応を開始した。槽内が4.0MPaに保たれるようフッ化ビニリデンを3時間かけて130g追加し、安定なPVDFエマルション2085g(固形分濃度5.5質量%)を得た。得られたPVDFエマルションに関して、下記の方法で安定性試験を行った。結果を表1に示す。
【0119】
得られたポリマーの融点は158℃、平均粒子径は380nm、異常結合率は5.6モル%、結晶化度は0.31であった。
【0120】
1H−NMR(270MHz,DMF−d7)により、ポリマー末端:1.8ppm(C
*H
3CH
2−CF
2);3.6ppm(C
*H
3−O);6.5ppm(
*HCF
2−CH
3)が確認された。
【0121】
比較例1
3.0Lステンレス製オートクレーブに純水2560g、CF
3−CF
2−CF
2−CF
2−CF
2−CF
2−CF
2−COONH
4(表面張力62mN/m)を1.6g、ジ−t−ブチルパーオキシド4.2gを入れ窒素置換し、フッ化ビニリデン(VDF)64gを加え、槽内を115℃まで昇温した。5時間後PVDFエマルションが2590g(固形分濃度2.4質量%)を得た。得られたPVDFエマルションに関して、下記の方法で安定性試験を行った。結果を表1に示す。
【0122】
得られたポリマーの融点は157℃、平均粒子径は199nm、異常結合率は6.1モル%、結晶化度は0.34であった。
【0123】
1H−NMR(270MHz,DMF−d7)により、ポリマー末端:1.9ppm(C
*H
3CH
2−CF
2);3.55ppm(C
*H
3−O);6.468ppm(
*HCF
2−CH
3)が確認された。
【0124】
比較例2
3.0Lステンレス製オートクレーブに純水1700g、パラフィン17g,CF
3−CF
2−CF
2−CF
2−CF
2−CF
2−CF
2−COONH
4(表面張力63mN/m)を1.1g、ジ−t−ブチルパーオキシド2.7gを入れ窒素置換し、フッ化ビニリデン(VDF)130gを加え、槽内を125℃まで昇温した。槽内が4.0MPaに保たれるようフッ化ビニリデンを3.5時間かけて301g追加し、PVDFエマルションが1802g(固形分濃度12.9質量%)を得た。得られたPVDFエマルションに関して、下記の方法で安定性試験を行った。結果を表1に示す。
【0125】
得られたポリマーの融点は157℃、平均粒子径は518nm、異常結合率は6.2モル%、結晶化度は0.33であった。
【0126】
1H−NMR(270MHz,DMF−d7)により、ポリマー末端:1.9ppm(C
*H
3CH
2−CF
2);3.5ppm(C
*H
3−O);6.5ppm(
*HCF
2−CH
3)が確認された。
【0127】
比較例3
3.0Lステンレス製オートクレーブに純水2000g、CF
3−CF
2−CF
2−CF
2−CF
2−COOH(表面張力64mN/m)を8.3g、ジ−t−ブチルパーオキシド4.2gを入れ窒素置換し、フッ化ビニリデン(VDF)172gを加え、槽内を125℃まで昇温した。槽内が4.0MPaに保たれるようフッ化ビニリデンを4時間かけて90g追加し、PVDFエマルションが1980g(固形分濃度4.6質量%)と沈降ポリマーが78g生成した。得られたPVDFエマルションに関して、下記の方法で安定性試験を行った。結果を表1に示す。
【0128】
得られたポリマーの融点は160℃、平均粒子径は597nm、異常結合率は6.0モル%結晶化度は0.33であった。
【0129】
1H−NMR(270MHz,DMF−d7)により、ポリマー末端:1.885ppm(C
*H
3CH
2−CF
2);3.546ppm(C
*H
3−O);6.468ppm(
*HCF
2−CH
3)が確認された。
【0130】
安定性試験
エマルションの安定性を比較するため、エマルション1Lを常温(20℃)で一定時間(1日及び1か月)静置し、状態を確認した。
【0131】
【表1】
【0132】
実施例12
実施例1によって得られたエマルションを凝析、乾燥し、PVDF粉末を得た。
得られたPVDF粉末を7g、パラロイドB44(ダウケミカル社製)を3g、酸化チタンR960(デュポン社製)を6g、イソホロンを24g配合して塗料を作成し、アルミ板に塗装し、240℃15分焼付けた後、塗板を得た。得られた塗板に関して、下記の方法で塗膜物性を評価した。また、得られた塗板に関して、1年間沖縄にて暴露試験を行ったところ、高い光沢保持率を示した。結果を表2に示す。
【0133】
光沢
光沢計(日本電色工業社製 VG7000)を用いて60度で測定した。
【0134】
塗膜硬度
鉛筆硬度試験によって測定した。
【0135】
乾燥塗膜密着性
塗膜にJIS K 5600−5−6:1999に規定された1cm角あたり100マスの碁盤目をカッターで引き、この面にセロテープ(登録商標)(ニチバン(株)製の粘着テープ)を充分に密着させ、ただちに引き剥がし、剥離のない場合を〇とした。
【0136】
湿潤塗膜密着性
乾燥塗膜密着性試験後、38℃のイオン交換水に24時間浸漬し、試験面にセロテープ(登録商標)(ニチバン(株)製の粘着テープ)を充分に密着させ、ただちに引き剥がし、剥離のない場合を〇とした。
【0137】
沸騰水密着
乾燥塗膜密着性試験後、99℃の沸騰水に20分浸漬、試験面にセロテープ(登録商標)(ニチバン(株)製の粘着テープ)を充分に密着させ、ただちに引き剥がし、剥離のない場合を〇とした。
【0138】
耐薬品性塩酸試験
10%の塩酸を10滴垂らして10分間放置し、その後、目視で観察した。変化がない場合を〇とした。
【0139】
耐薬品性硝酸試験
70%硝酸に30分浸漬、1時間放置し、試験前後の色差(ΔE)を測定した。
【0140】
【表2】