特許第5696827号(P5696827)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5696827
(24)【登録日】2015年2月20日
(45)【発行日】2015年4月8日
(54)【発明の名称】電子機器、及び電源回路制御方法
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/00 20060101AFI20150319BHJP
【FI】
   H02M3/00 P
   H02M3/00 H
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2009-271009(P2009-271009)
(22)【出願日】2009年11月30日
(65)【公開番号】特開2011-114992(P2011-114992A)
(43)【公開日】2011年6月9日
【審査請求日】2012年11月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096699
【弁理士】
【氏名又は名称】鹿嶋 英實
(72)【発明者】
【氏名】中田 浩之
【審査官】 神山 貴行
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−006442(JP,A)
【文献】 特開2009−171729(JP,A)
【文献】 特開2008−219292(JP,A)
【文献】 特開2006−246077(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/00〜3/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
各回路へ一定の値の出力電圧を供給するスイッチング電源回路を備える電子機器であって、
前記スイッチング電源回路のスイッチング信号を固定パルス周期で制御し、出力電圧を一定の値に保つようにPWM制御を実行するPWM制御手段と、
負荷の大きさに応じてパルス周期を切り換えて前記スイッチング電源回路のスイッチング信号を制御し、出力電圧を一定の値に保つようにPFM制御を実行するPFM制御手段と、
当該電子機器が静止画キャプチャ動作モード、動画記録動作モード(記録中)、感度が所定値以上に設定されたREC(記録)スルー動作モードの何れかの動作モードでは、前記PWM制御手段によるPWM制御を実行し、当該電子機器が前記何れかの動作モード以外の動作モードでは、前記PWM制御手段によるPWM制御と前記PFM制御手段によるPFM制御とを負荷の大きさに応じて切り替える電源回路制御手段と
を備えることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
各回路へ一定の値の出力電圧を供給するスイッチング電源回路を備える電子機器であって、
当該電子機器は、
スイッチング信号を固定パルス周期で制御し、出力電圧を一定の値に保つようにPWM制御を実行するPWM制御手段と、負荷の大きさに応じてパルス周期を切り換えて前記スイッチング電源回路のスイッチング信号を制御し、出力電圧を一定の値に保つようにPFM制御を実行するPFM制御手と、外部からの指示に従って、前記PWM制御手段によるPWM制御、または、前記PFM制御手段によるPFM制御を実行することにより、前記スイッチング信号を制御する電源回路制御手段と、
当該電子機器が静止画キャプチャ動作モード、動画記録動作モード(記録中)、感度が所定値以上に設定されたREC(記録)スルー動作モードの何れかの動作モードでは、前記PWM制御手段によるPWM制御を実行させるべく前記電源回路制御手段に指示し、当該電子機器が前記何れかの動作モード以外の動作モードでは、前記PWM制御手段によるPWM制御と前記PFM制御手段によるPFM制御とを負荷の大きさに応じて切り替えるべく前記電源回路制御手段に指示する制御手段と
を備えることを特徴とする電子機器。
【請求項3】
当該電子機器は、被写体を撮影する撮像装置であることを特徴とする請求項1または2に記載の電子機器。
【請求項4】
各回路へ一定の値の出力電圧を供給するスイッチング電源回路を備える電子機器の電源回路制御方法であって、
前記スイッチング電源回路のスイッチング信号を固定パルス周期で制御し、出力電圧を一定の値に保つようにPWM制御を実行するステップと、
負荷の大きさに応じてパルス周期を切り換えて前記スイッチング電源回路のスイッチング信号を制御し、出力電圧を一定の値に保つようにPFM制御を実行するステップと、
当該電子機器が静止画キャプチャ動作モード、動画記録動作モード(記録中)、感度が所定値以上に設定されたREC(記録)スルー動作モードの何れかの動作モードでは、前記PWM制御を実行し、当該電子機器が前記何れかの動作モード以外の動作モードでは、前記PWM制御と前記PFM制御とを負荷の大きさに応じて切り替えるステップと
を含むことを特徴とする電源回路制御方法。
【請求項5】
各回路へ一定の値の出力電圧を供給するスイッチング電源回路を備える電子機器の電源回路制御方法であって、
スイッチング信号を固定パルス周期で制御し、出力電圧を一定の値に保つようにPWM制御を実行するPWM制御ステップと、負荷の大きさに応じてパルス周期を切り換えて前記スイッチング電源回路のスイッチング信号を制御し、出力電圧を一定の値に保つようにPFM制御を実行するPFM制御ステップと、外部からの指示に従って、前記PWM制御ステップによるPWM制御、または、前記PFM制御ステップによるPFM制御を実行することにより、前記スイッチング信号を制御する電源回路制御ステップと、
前記電子機器が静止画キャプチャ動作モード、動画記録動作モード(記録中)、感度が所定値以上に設定されたREC(記録)スルー動作モードの何れかの動作モードでは、前記PWM制御ステップによるPWM制御を実行させるべく前記電源回路制御ステップに指示するステップと、
前記電子機器が前記何れかの動作モード以外の動作モードでは、前記PWM制御ステップによるPWM制御と前記PFM制御ステップによるPFM制御とを負荷の大きさに応じて切り替えるべく前記電源回路制御ステップに指示するステップと
を含むことを特徴とする電源回路制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイッチング電源を備えるデジタルカメラなどの電子機器、及び電源回路制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に高効率な電源として、スイッチング電源がある。スイッチング電源には、負荷の状態に拘わらず、パルス周期が固定のPWM(Pulse Width Modulation)制御を行う制御方式(例えば、特許文献1参照)や、負荷の状態に応じてパルス周期を切り換えるか、スキップするPFM(Pulse Frequency
Modulation)制御があり、さらには、負荷の状態に応じて両者を切り替える制御方式(例えば、特許文献2参照、特許文献3参照)もある。PFM制御には、負荷の状態に応じて、PWM制御とPFM制御とを自動的に切り替える方式、あるいは、外部端子より、PWM制御とPFM制御との切り替えを制御する方式がある。
【0003】
図3は、PWM制御とPFM制御とでの軽負荷時における電源効率の一例を示す概念図である。パルス周期が固定のPWM制御による制御方式では、負荷応答がよく、電源リップルが小さいが、軽負荷時は、図3に示すように、PFM制御に比べて電源効率が悪い(スイッチング周波数が固定のため、軽負荷時は、スイッチングが目立つ)という特徴がある。
【0004】
また、図4は、動作モードに応じた電源リップルの違いの一例を示す概念図である。負負荷の状態に応じて、PWM制御と、負荷の状態に応じてパルス周期を切り換えるか、スキップするPFM(Pulse Frequency
Modulation)制御とを切り替える制御方式では、軽負荷動作モード時に、スイッチング周波数を低下させるか、あるいはスキップさせて損失を低減するPFM制御に切り替えるため、軽負荷動作モード時の効率が上がるが、図4に示すように、電源リップルが大きくなるという傾向がある。ゆえに、自動切り替えの切り替えポイントは、各製造メーカの設計事項に依存する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3191275号公報
【特許文献2】特開2005−160254号公報
【特許文献3】特開平10−014217号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年、省電力化の推進に伴い、デバイスの消費電力を減少させる一方、機器の高機能化に伴い、機能を動作させた場合の消費電力が増加する傾向があり、定常電力とMAX電力との差が大きくなってきている。したがって、定常電力を減らすこと、すなわち、軽負荷時の電力を減らすことが、電池寿命を大きく左右する。
【0007】
例えば、スイッチング電源を備えるデジタルカメラは、アナログブロックとデジタルブロックとを備えている。アナログブロックは、撮像画像へのノイズ重畳を防止すべく、高S/Nを得るために、デジタルブロックに比べて、リップルの少ない低ノイズの電源が必要である。そのため、デジタルブロックの電源とは、別体の電源を用意したり、フィルタで分離したりすることが多いが、回路規模が大きくなってしまう。
【0008】
アナログブロックの消費電流は、定常的には1〜80mAであり、パルス周期が固定のPWM制御では、非常に効率が悪くなる領域にある。そのため、負荷の状態に応じてパルス周期を切り換えるPFM制御に切り替えることが考えられる。しかしながら、1〜80mAの負荷領域では、軽負荷動作モードで動作することになり、電源リップルが大きくなり、アナログブロックに用いるには、S/N悪化の原因となる。
【0009】
このように、従来技術では、電源効率の高効率化、及び高S/N化の双方を実現することができないという問題があった。
【0010】
そこで本発明は、スイッチング電源回路の高効率化、及び高S/N化を実現することができる電子機器、及び電源回路制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的達成のため、請求項1記載の発明は、各回路へ一定の値の出力電圧を供給するスイッチング電源回路を備える電子機器であって、前記スイッチング電源回路のスイッチング信号を固定パルス周期で制御し、出力電圧を一定の値に保つようにPWM制御を実行するPWM制御手段と、負荷の大きさに応じてパルス周期を切り換えて前記スイッチング電源回路のスイッチング信号を制御し、出力電圧を一定の値に保つようにPFM制御を実行するPFM制御手段と、当該電子機器が静止画キャプチャ動作モード、動画記録動作モード(記録中)、感度が所定値以上に設定されたREC(記録)スルー動作モードの何れかの動作モードでは、前記PWM制御手段によるPWM制御を実行し、当該電子機器が前記何れかの動作モード以外の動作モードでは、前記PWM制御手段によるPWM制御と前記PFM制御手段によるPFM制御とを負荷の大きさに応じて切り替える電源回路制御手段とを備えることを特徴とする電子機器である。
【0012】
また、上記目的達成のため、請求項2記載の発明は、各回路へ一定の値の出力電圧を供給するスイッチング電源回路を備える電子機器であって、当該電子機器は、スイッチング信号を固定パルス周期で制御し、出力電圧を一定の値に保つようにPWM制御を実行するPWM制御手段と、負荷の大きさに応じてパルス周期を切り換えて前記スイッチング電源回路のスイッチング信号を制御し、出力電圧を一定の値に保つようにPFM制御を実行するPFM制御手と、外部からの指示に従って、前記PWM制御手段によるPWM制御、または、前記PFM制御手段によるPFM制御を実行することにより、前記スイッチング信号を制御する電源回路制御手段と、当該電子機器が静止画キャプチャ動作モード、動画記録動作モード(記録中)、感度が所定値以上に設定されたREC(記録)スルー動作モードの何れかの動作モードでは、前記PWM制御手段によるPWM制御を実行させるべく前記電源回路制御手段に指示し、当該電子機器が前記何れかの動作モード以外の動作モードでは、前記PWM制御手段によるPWM制御と前記PFM制御手段によるPFM制御とを負荷の大きさに応じて切り替えるべく前記電源回路制御手段に指示する制御手段とを備えることを特徴とする電子機器である。
【0013】
また、好ましい態様として、例えば請求項3記載のように、請求項1または2に記載の電子機器において、当該電子機器は、被写体を撮影する撮像装置であることを特徴とする。
【0015】
また、上記目的達成のため、請求項4記載の発明は、各回路へ一定の値の出力電圧を供給するスイッチング電源回路を備える電子機器の電源回路制御方法であって、前記スイッチング電源回路のスイッチング信号を固定パルス周期で制御し、出力電圧を一定の値に保つようにPWM制御を実行するステップと、負荷の大きさに応じてパルス周期を切り換えて前記スイッチング電源回路のスイッチング信号を制御し、出力電圧を一定の値に保つようにPFM制御を実行するステップと、当該電子機器が静止画キャプチャ動作モード、動画記録動作モード(記録中)、感度が所定値以上に設定されたREC(記録)スルー動作モードの何れかの動作モードでは、前記PWM制御を実行し、当該電子機器が前記何れかの動作モード以外の動作モードでは、前記PWM制御と前記PFM制御とを負荷の大きさに応じて切り替えるステップとを含むことを特徴とする電源回路制御方法である。
【0016】
また、上記目的達成のため、請求項5記載の発明は、各回路へ一定の値の出力電圧を供給するスイッチング電源回路を備える電子機器の電源回路制御方法であって、スイッチング信号を固定パルス周期で制御し、出力電圧を一定の値に保つようにPWM制御を実行するPWM制御ステップと、負荷の大きさに応じてパルス周期を切り換えて前記スイッチング電源回路のスイッチング信号を制御し、出力電圧を一定の値に保つようにPFM制御を実行するPFM制御ステップと、外部からの指示に従って、前記PWM制御ステップによるPWM制御、または、前記PFM制御ステップによるPFM制御を実行することにより、前記スイッチング信号を制御する電源回路制御ステップと、前記電子機器が静止画キャプチャ動作モード、動画記録動作モード(記録中)、感度が所定値以上に設定されたREC(記録)スルー動作モードの何れかの動作モードでは、前記PWM制御ステップによるPWM制御を実行させるべく前記電源回路制御ステップに指示するステップと、前記電子機器が前記何れかの動作モード以外の動作モードでは、前記PWM制御ステップによるPWM制御と前記PFM制御ステップによるPFM制御とを負荷の大きさに応じて切り替えるべく前記電源回路制御ステップに指示するステップとを含むことを特徴とする電源回路制御方法である。
【発明の効果】
【0017】
この発明によれば、スイッチング電源回路の高効率化、及び高S/N化を実現することができるという利点が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施形態によるデジタルカメラの構成を示すブロック図である。
図2】本実施形態によるデジタルカメラの基本的な動作を参照してスイッチング電源の制御方法を説明するためのフローチャートである。
図3】PWM制御とPFM制御とでの軽負荷時における電源効率の一例を示す概念図である。
図4】動作モードに応じた電源リップルの違いの一例を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
【0020】
A.実施形態の構成
図1は、本発明の実施形態によるデジタルカメラの構成を示すブロック図である。図において、デジタルカメラ1は、撮影レンズ2、レンズ駆動ブロック3、絞り兼用シャッタ4、CCD5、TG(timing generator)6、ユニット回路7、ガンマ補正処理部8、CPU11、DRAM12、メモリ13、フラッシュメモリ14、画像表示部15、キー入力部16、ストロボ駆動部17、ストロボ発光部18、カードI/F19、スイッチング電源20、バッテリ(二次電池)21を備えている。
【0021】
撮影レンズ2は、図示しないフォーカスレンズ、ズームレンズを含み、レンズ駆動ブロック3が接続されている。このレンズ駆動ブロック3は、図示しないフォーカスレンズ、ズームレンズをそれぞれ光軸方向に駆動させるモータと、CPU11からの制御信号にしたがってフォーカスモータ、ズームモータをそれぞれ光軸方向に駆動させるフォーカスモータドライバ、ズームモータドライバから構成されている。
【0022】
絞り4は、図示しない駆動回路を含み、駆動回路はCPU11から送られてくる制御信号にしたがって絞りを動作させる。この絞り4は、撮影レンズ2から入ってくる光の量を制御する。また、本実施形態によるデジタルカメラは、図示しない電子シャッタ機構を備えており、電子シャッタ機構により、CCD5に光を当てる時間を制御する。露出は、この絞りとシャッタ速度とによって定めることができる。
【0023】
CCD5(撮像素子)は、撮影レンズ2、絞りシャッタ4、ならびに電子シャッタ機構を介して投影された被写体の光を電気信号に変換し、撮像信号としてユニット回路7に出力する。また、CCD5は、TG6によって生成された所定周波数のタイミング信号にしたがって駆動される。
【0024】
ユニット回路7は、CCD5から出力される撮像信号を相関二重サンプリングして保持するCDS(Correlated
Double Sampling)回路、そのサンプリング後の撮像信号の利得調整を設定された感度に応じて行うGC(Gain
Control)回路、その自動利得調整後のアナログの撮像信号をデジタル信号に変換するA/D変換器から構成されており、CCD5の撮像信号は、ユニット回路7を経てデジタル信号としてガンマ設定部8に送られる。なお、ユニット回路7にTG6が接続されている。
【0025】
ガンマ補正処理部8は、ユニット回路7から送られてきた画像データ(デジタル信号)のLV値(明るさを示す指標)に応じて、撮影された画像のガンマ特性を補正する。CPU11は、ユニット回路7から送られてきた画像データの画像処理(画素補間処理、γ補正、輝度色差信号の生成、ホワイトバランス処理、露出補正処理等)、画像データの圧縮・伸張(例えば、JPEG形式やM−JPEG形式又はMPEG形式の圧縮・伸張)の処理などを行う機能を有するとともに、デジタルカメラ1の各部を制御するワンチップマイコンである。
【0026】
DRAM12は、CCD5によって撮像された後、CPU11に送られてきた画像データを一時記憶するバッファメモリとして使用されるとともに、CPU11のワーキングメモリとして使用される。メモリ13は、CPU11によるデジタルカメラ1の各部の制御に必要なプログラム、及び各部の制御に必要なデータが記録されており、CPU11は、このプログラムにしたがって処理を行う。フラッシュメモリ14やメモリ・カード30は、CCD5によって撮像された画像データなどを保存しておく記録媒体である。
【0027】
画像表示部15は、カラーLCDとその駆動回路を含み、撮影待機状態にあるときには、CCD5によって撮像された被写体をスルー画像として表示し、記録画像の再生時には、保存用フラッシュメモリ14やメモリ・カード20から読み出され、伸張された記録画像を表示させる。キー入力部16は、シャッタボタン、モードキー、SETキー、十字キー等の複数の操作キーを含み、ユーザのキー操作に応じた操作信号をCPU11に出力する。
【0028】
ストロボ駆動部17は、CPU11の制御信号にしたがって、ストロボ発光部18を閃光駆動させ、ストロボ発光部18はストロボを閃光させる。CPU11は、図示しない測光回路によって撮影シーンが暗いか否かを判断し、撮影シーンが暗いと判断し、且つ、撮影を行うと判断した場合(シャッタボタン押下時)には、ストロボ駆動部17に制御信号を送る。カードI/F19には、デジタルカメラ1本体の図示しないカードスロットに着脱自在に装着されたメモリ・カード30が接続されている。
【0029】
スイッチング電源20は、CPU11からの制御信号に従って、スイッチング信号を固定パルス周期で制御し、出力電圧を一定の値に保つようにPWM制御を行うPWM固定動作モード、または、負荷の大きさに応じて、PWM制御とPFM制御とを切り替える自動切り替え動作モードのいずれかで動作し、バッテリ(二次電池)21の出力電圧を安定化して各部へ供給する。
【0030】
より具体的には、スイッチング電源20は、集積回路から構成されており、CPU11からの制御信号に従って、PWM固定動作モード、または、自動切り替え動作モードのいずれかで動作するようになっている。但し、集積回路であることは一例であり、これに限定されることはない。
【0031】
CPU11は、後述するような高S/Nを必要とする動作モードでは、パルス周期が固定のPWM固定動作モードでスイッチング電源20を動作させるべく制御信号により指示し、後述するような高S/Nを必要としない動作モードでは、負荷の大きさに応じて、PWM制御とPFM制御とを切り替える自動切り替え動作モードでスイッチング電源20を動作させるべく制御信号により指示する。
【0032】
高S/Nが必要な動作モードには、静止画キャプチャ動作モード(シャッタ半押し、シャッタ全押し(露光/全画素取り込み))、動画記録動作モード(記録中)、高感度に設定したREC(記録)スルー動作モード(画像/映像として記録されないが、画像表示部15での画品位に影響する)などがある。
【0033】
高S/Nが不要な動作モードには、ノーマル感度RECスルー動作モード(画像・映像として記録されない動作モード)、PLAY(再生)モード、メニュー操作モード、電源起動/オフモードなどがある。
【0034】
デジタルカメラの場合、電源ON中の動作のうち、静止画記録は、一時的な動作であり、RECスルー動作モード/PLAYモードがON時間中の大半を占めている。したがって、その間の電力を落とす(電源効率を上げる)ことが電池寿命を向上させるのに有効である。
【0035】
B.実施形態の動作
次に、上述した実施形態の動作について説明する。
図2は、本実施形態によるデジタルカメラの基本的な動作を参照してスイッチング電源の制御方法を説明するためのフローチャートである。まず、撮影モードであるか否かを判断し(ステップS10)、撮影モードでない場合には、その他の処理へ進む。一方、撮影モードである場合には、メニュー操作中であるか否かを判断する(ステップS12)。メニュー操作中であれば、キー入力部16のユーザ操作に応じて、各種撮影モード、シーンモード等を選択し、撮影条件、AF(オートフォーカス)枠などを設定する(ステップS14)。一方、メニュー操作中でない場合には、被写体像を画像表示部15にスルー表示する(ステップS16)。次に、シャッタボタンが半押しされたか否かを判断し(ステップS18)、シャッタボタンが半押しされていなければ、ステップS10に戻る。
【0036】
一方、シャッタボタンが半押しされていれば、その時点での露出、シャッタ速度を設定し(ステップS20)、被写体像を画像表示部15にスルー表示する(ステップS22)。次に、シャッタボタンが全押しされたか否かを判断し(ステップS24)、シャッタボタンが全押しされていなければ、ステップS18に戻る。つまり、シャッタボタンが半押しされた状態で、ステップS20、S22を繰り返し実行し、露出、シャッタ速度の設定、被写体像のスルー表示をリアルタイムで継続する。
【0037】
そして、シャッタボタンが全押しされると、設定および調整された撮影条件にて、露出&撮影処理を実行し(ステップS26)、撮影した画像データを符号化/圧縮符号化し、フラッシュメモリ14、あるいは装着されたメモリ・カード30に保存記録し(ステップS28)、該撮影した画像を画像表示部15にレビュー表示する(ステップS30)。その後、ステップS10に戻り、上述した処理を繰り返す。
【0038】
上述した処理において、CPU11は、高S/Nを必要とする動作モードでは、スイッチング電源20をPWM固定動作モードで動作させ、高S/Nを必要としない動作モードでは、スイッチング電源20を自動切り替え動作モードで動作させるように制御する。
【0039】
上述したフローチャートでは、ステップS20、S26、S28などが、高S/Nが必要な動作モードに相当し、スイッチング電源20は、PWM制御によるPWM固定動作モードで動作するように制御される。また、上述したステップS10で「その他の処理へ」と判断された場合や、ステップS14、S30などが、高S/Nが不要な動作モードに相当し、スイッチング電源20は、負荷の大きさに応じて、PWM制御とPFM制御とを切り替える自動切り替え動作モードで動作するように制御される。ステップS16、S22においては、感度が所定値以上に設定されていれば、高S/Nが必要な動作モードに相当し、そうでなければ高S/Nが不要な動作モードに相当する。
【0040】
また動画記録動作モードにあっては、動画記録中は上述したフローチャートの、ステップS16、S26、S28に相当する動作が平行して処理されることになる。この場合、ステップS26、S28に相当する動作が高S/Nを必要とするため、動画記録中は感度に拘わらず高S/Nが必要な動作モードに相当する。
【0041】
上述した実施形態によれば、スイッチング電源20の動作モードを、S/Nの観点から、高S/Nを必要とする動作モードでは、PWM制御によるPWM固定動作モードで動作させ、高S/Nを必要としない動作モードでは、負荷の大きさに応じて、PWM制御とPFM制御とを切り替える自動切り替え動作モードで動作させるように制御するようにしたので、高効率化と高S/N化との双方を実現することができる。
【符号の説明】
【0042】
1 デジタルカメラ
2 撮影レンズ
3 レンズ駆動ブロック
4 絞り兼用シャッタ
5 CCD
6 TG
7 ユニット回路
8 ガンマ補正処理部
11 CPU
12 DRAM
13 メモリ
14 フラッシュメモリ
15 画像表示部
16 キー入力部
17 ストロボ駆動部
18 ストロボ発光部
19 カードI/F
20 スイッチング電源
21 バッテリ
30 メモリ・カード
図1
図2
図3
図4