特許第5696837号(P5696837)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5696837
(24)【登録日】2015年2月20日
(45)【発行日】2015年4月8日
(54)【発明の名称】内燃機関用のプラズマプラグ
(51)【国際特許分類】
   H01T 13/52 20060101AFI20150319BHJP
   F02P 3/01 20060101ALI20150319BHJP
   F02P 13/00 20060101ALI20150319BHJP
   H01T 13/20 20060101ALI20150319BHJP
   H01T 13/22 20060101ALI20150319BHJP
   H01T 13/32 20060101ALI20150319BHJP
   H01T 13/40 20060101ALI20150319BHJP
   H01T 15/00 20060101ALI20150319BHJP
   H01T 13/50 20060101ALN20150319BHJP
【FI】
   H01T13/52
   F02P3/01 A
   F02P13/00 301J
   H01T13/20 B
   H01T13/22
   H01T13/32
   H01T13/40
   H01T15/00 C
   !H01T13/50
【請求項の数】14
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2010-547651(P2010-547651)
(86)(22)【出願日】2009年2月20日
(65)【公表番号】特表2011-515005(P2011-515005A)
(43)【公表日】2011年5月12日
(86)【国際出願番号】US2009001126
(87)【国際公開番号】WO2009105273
(87)【国際公開日】20090827
【審査請求日】2012年1月16日
(31)【優先権主張番号】61/066,737
(32)【優先日】2008年2月22日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】510211642
【氏名又は名称】エールリッヒ,メルヴィン
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】エールリッヒ,メルヴィン
【審査官】 出野 智之
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭57−151184(JP,A)
【文献】 米国特許第06553981(US,B1)
【文献】 特開昭60−101894(JP,A)
【文献】 特開平10−125444(JP,A)
【文献】 米国特許第04511524(US,A)
【文献】 特開昭57−065684(JP,A)
【文献】 特開昭59−169088(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01T 13/52
F02P 3/01
F02P 13/00
H01T 13/20
H01T 13/22
H01T 13/32
H01T 13/40
H01T 15/00
H01T 13/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関用のプラズマプラグであって、
電気的に絶縁された材料から形成される内方部分および前記内方部分の半径方向に外側に配設される外方部分を有する主本体部であって、前記外方部分の少なくとも一部分が電気伝導性材料から形成され、前記主本体部が更に上部および前記上部の軸方向に反対側に配設される下部を有し、前記下部が更に底面を含む、主本体部と、
前記主本体部の前記電気的に絶縁された内方部分内で軸方向に配設されて、かつ互いに間隔を置いて離れて配置される第一電極および第二電極であって、前記第二電極が、回路を完成するために、接地に電気的に接続可能またはフローティングであり、前記第一電極および第二電極の底面は、いずれも両電極間に介在する絶縁材料の底面を出て、両電極間にアークを発生させる導電性経路を形成するために、炭素フィルムによって共に接続される、電極と、
第1のプレート、第2のプレートおよび前記第1のプレートと前記第2のプレートとの間に位置している絶縁体を有する少なくとも一つのコンデンサであって、前記第1のプレートが前記第一電極と電気的に連通しており、前記第2のプレートが高電圧源に電気的に接続可能な、コンデンサと、
抵抗性素子であって、前記主本体部の前記下部に位置しており、かつ前記第一電極および前記第二電極と直列に電気的に接続される抵抗性素子と、を備えるプラズマプラグであって、
前記少なくとも一つのコンデンサが、トロイダルコンデンサであり、前記トロイダルコンデンサがドーナツ形状を有し、かつ開放中心を画定し、前記トロイダルコンデンサが前記主本体部の周りに位置している、ことを特徴とするプラズマプラグ。
【請求項2】
請求項1に記載のプラズマプラグであって、前記主本体部の前記内方部分が、セラミック材料から形成される、ことを特徴とするプラズマプラグ。
【請求項3】
請求項1に記載のプラズマプラグであって、前記主本体部の前記外方部分の前記少なくとも一部分が、金属から形成される、ことを特徴とするプラズマプラグ。
【請求項4】
請求項1に記載のプラズマプラグであって、前記第一電極および前記第二電極のうちの少なくとも1つが、ルテニウム二酸化物から形成される、ことを特徴とするプラズマプラグ。
【請求項5】
請求項1に記載のプラズマプラグであって、前記抵抗性素子が、炭素フィルムから形成され、前記炭素フィルムが前記主本体部の前記下部の前記底面上に形成される、ことを特徴とするプラズマプラグ。
【請求項6】
請求項1に記載のプラズマプラグであって、さらに、トリガー電極を備え、前記トリガー電極が前記主本体部の前記電気的に絶縁された内方部分内で軸方向に配設され、かつ前記第一電極、前記第二電極および前記抵抗性素子に近接して位置しており、前記トリガー電極がスパーク発生器に電気的に接続可能である、プラズマプラグ。
【請求項7】
内燃機関用のプラズマプラグであって、
電気的に絶縁された材料から形成される内方部分および前記内方部分の半径方向に外側に配設される外方部分を有する主本体部であって、前記外方部分の少なくとも一部分が電気伝導性材料から形成され、前記主本体部が更に上部および前記上部の軸方向に反対側に配設される下部を有し、前記下部が更に底面を含む、主本体部と、
中心電極であって、前記主本体部の前記電気的に絶縁された部分内で軸方向に配設されている中心電極と、
外部電極であって、前記外部電極が前記主本体部の前記外方部分の前記電気伝導性材料の少なくとも一部分によって画定され、回路を完成するために、接地に電気的に接続可能またはフローティングであり、前記中心電極および前記外部電極の底面は、いずれも両電極間に介在する絶縁材料の底面を出て、両電極間にアークを発生させる導電性経路を形成するために、炭素フィルムによって共に接続される、外部電極と、
少なくとも一つのコンデンサであって、前記少なくとも一つのコンデンサが第1のプレート、第2のプレートおよび前記第1のプレートと前記第2のプレートとの間に位置している絶縁体を有し、前記第1のプレートが前記中心電極と電気的に連通しており、前記第2のプレートが高電圧源に電気的に接続可能な、コンデンサと、
抵抗性素子であって、前記主本体部の前記下部に位置しており、かつ前記中心電極および前記外部電極と直列に電気的に接続されている抵抗性素子と、を備えるプラズマプラグであって、
前記少なくとも一つのコンデンサが、トロイダルコンデンサであり、前記トロイダルコンデンサがドーナツ形状を有し、かつ開放中心を画定し、前記トロイダルコンデンサが前記主本体部の周りに位置している、ことを特徴とするプラズマプラグ。
【請求項8】
請求項7に記載のプラズマプラグであって、前記主本体部の前記内方部分が、セラミック材料から形成される、ことを特徴とするプラズマプラグ。
【請求項9】
請求項7に記載のプラズマプラグであって、前記主本体部の前記外方部分の前記少なくとも一部分が、金属から形成される、ことを特徴とするプラズマプラグ。
【請求項10】
請求項7に記載のプラズマプラグであって、前記中心電極が、ルテニウム二酸化物から形成される、ことを特徴とするプラズマプラグ。
【請求項11】
請求項7に記載のプラズマプラグであって、前記抵抗性素子が、前記中心電極から前記外部電極まで半径方向に延出するストリップとして形成される、ことを特徴とするプラズマプラグ。
【請求項12】
内燃機関用としてのプラズマイグニションシステムであって、
請求項1に記載のプラズマプラグと、
高電圧直流発生器であって、前記少なくとも一つのコンデンサの前記第1のプレートと電気的に連通し、かつそれに対して高電圧直流充電電流信号を供給する高電圧直流発生器と、
スパークスイッチであって、前記スパークスイッチが前記少なくとも一つのコンデンサの前記第2のプレートと電気的に連通し、かつ更に前記プラズマプラグの前記第一電極と電気的に連通し、前記プラズマプラグの前記第二電極が回路を完成するために、接地電位に電気的に連通するかまたはフローティングである、スパークスイッチと、を備えるプラズマイグニションシステム。
【請求項13】
内燃機関用としてのプラズマイグニションシステムであって、
請求項6に記載のプラズマプラグと、
高電圧直流発生器であって、前記高電圧直流発生器が前記少なくとも一つのコンデンサの前記第1のプレートと電気的に連通し、かつそれに対して高電圧直流充電電流信号を供給し、前記少なくとも一つのコンデンサの前記第2のプレートが前記プラズマプラグの前記第一電極と電気的に連通し、前記プラズマプラグの前記第二電極が回路を完成するために、接地電位に電気的に連通するかまたはフローティングである、高電圧直流発生器と、
スパーク発生器であって、前記プラズマプラグの前記トリガー電極と電気的に連通するスパーク発生器と、を備えるプラズマイグニションシステム。
【請求項14】
内燃機関用としてのプラズマイグニションシステムであって、
請求項7に記載のプラズマプラグと、
高電圧直流発生器であって、前記少なくとも一つのコンデンサの前記第1のプレートと電気的に連通し、かつそれに対して高電圧直流充電電流信号を供給する、高電圧直流発生器と、
スパークスイッチであって、前記スパークスイッチが前記少なくとも一つのコンデンサの前記第2のプレートと電気的に連通し、かつ更に前記プラズマプラグの前記中心電極と電気的に連通し、前記プラズマプラグの前記外部電極が回路を完成するために、接地電位に電気的に連通するかまたはフローティングである、スパークスイッチと、を備えるプラズマイグニションシステム
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2008年2月22日に出願された、特許文献1に関連し、その開示を本願明細書に引用したものとする。本出願は、上述した関連仮出願に対する米国特許法119および/または米国特許法120の下での優先権の利益を主張する。
【0002】
本発明は、一般に内燃機関用のイグニションシステムに関し、より詳しくはプラズマイグニションシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
従来は、内燃機関、通常はディーゼルまたはガス、はそれらの特定の燃料に点火するために、スパーク補助されたイグニションシステム、圧縮方法またはグロウプラグを活用する。ディーゼルエンジンの場合、シリンダ内のピストンの運動は極めて高い圧力および温度を作り出して次に燃料に点火し、その燃料が、シリンダ内に噴射される。この種の圧力を発生させるために、多大な圧縮比が必要である。
【0004】
調査されたことは、一旦、TDC(上死点)をちょうど過ぎて点火した後に、ピストンがシリンダ内の行程のその全長のおよそ3分の1を移動すると、燃焼プロセスが、点火された燃料のフレームアウトのために終わる、ということである。結果として、部分的に燃焼した残留燃料およびシリンダ内に存在する副産物が、エンジンの排気を介して押し出され、劣った燃費および環境汚染の一因となる。この問題は、特にギアシフト中に、エンジンスピードを変えることによって更に増強される。
【0005】
ガソリンエンジンでは、図1に示すように、従来のスパークプラグ1によって発生するスパークは、シリンダ内でその中の燃料空気混合気に点火する。ディーゼルエンジンのように、シリンダ内に作り出される断熱圧縮および衝撃波は、あまりシリンダ内に存在する燃料空気混合気全体には点火せず、および部分的に燃焼した燃料および副産物の放出に結びつく。
【0006】
ディーゼルおよびガソリン双方の内燃機関の根本的な問題は、シリンダ内の燃料空気混合気に点火する従来の方法がシリンダの含量全体に点火するのに十分にエネルギーを発生させないかまたは十分にすばやく伝播しないということである。TDCの直後に、もしシリンダ含量全体が点火されるならば、エンジン性能はかなり向上するであろうし、排出される汚染物質を減少させるであろう。
【0007】
本発明は、シリンダ内の大部分の燃料空気混合気に点火するために十分なエネルギーを発生させ、エンジン性能を向上して、従来の内燃機関内に見いだされる固有の欠点を克服することが可能な内燃機関用のプラズマイグニションシステムを提供する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国仮出願番号第61/066737号、名称「内燃機関用のプラズマプラグ」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
内燃機関用のプラズマイグニションシステムを提供することが、本発明の一目的である。
【0010】
エンジンスピードに無関係に内燃機関のシリンダ内の大部分の燃料空気混合気に点火するために十分なエネルギーを発生させることが可能な内燃機関用のプラズマイグニションシステムを提供することが、本発明の別の目的である。
【0011】
エンジン性能を向上して、汚染を減少させる内燃機関用のプラズマイグニションシステムを提供することが、更に、本発明の別の目的である。
【0012】
従来の内燃機関内に見いだされる固有の欠点を克服する内燃機関用のプラズマイグニションシステムを提供することが、なお更に、本発明の別の目的である。
【0013】
内燃機関の燃焼室内に、プラスモイドを形成して作り出すためのプラズマプラグを提供することが、そのうえ更に、本発明の別の目的である。プラスモイドは電離されたガスの迅速に移動する束であり、2本の電極およびその関連磁界間のアークによって作り出される。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明に従って形成される内燃機関用のプラズマプラグは、内方部分および外方部分を有する主本体部を含む。主本体部の内方部分は、好ましくは電気的に絶縁された材料から形成される。主本体部の外方部分または少なくともその一部が好ましくはアルミニウム、鋼、ステンレス鋼、鉄等のような、電気伝導性材料から形成される。第一電極および第二電極が、主本体部の電気的に絶縁された部分内に軸方向に配設される。
【0015】
プラズマプラグは、トロイダルコンデンサを更に含む。トロイダルコンデンサは、好ましくはドーナツ形状を有して、開放中心を画定する。トロイダルコンデンサは、プラズマプラグの主部分の周りにある。トロイダルコンデンサは、外側プレート、内側プレートおよび絶縁体を有し、この絶縁体は外側プレートと内側プレートとの間に位置している。外側プレート(代わりとして内側プレート)は、高電圧直流電流(DC)発生器に電気的に接続される。内側プレート(代わりとして外側プレート)は、第一電極(代わりとして第二電極)に、電気的に接続される。第二電極(代わりとして第一電極)は、接地される。
【0016】
抵抗性素子が、主本体部の下部に位置している。この抵抗性素子は、第一電極および第二電極に、かつ、その間に直列に接続される。
【0017】
本発明のこれらの、そしてまた他の、目的、特徴および利点は、添付の図面と関連して読み込まれるべきその例示の実施態様の以下の詳細な説明から明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】従来のスパークプラグの側面図である。
図2】本発明の第1の実施態様に従って形成されるプラズマイグニションシステム内に使用されるプラズマプラグの側面図である。
図3】本発明の第1の実施態様に従って形成されるプラズマイグニションシステム内に使用されるプラズマプラグの側面図であり、部分断面図で示される内燃機関のシリンダ内に部分的に位置している。
図4】本発明の第1の実施態様に従って形成されるプラズマプラグおよびプラズマイグニションシステムの長手方向断面図である。
図4A】本発明の第2の実施態様に従って形成されるプラズマプラグおよびプラズマイグニションシステムの長手方向断面図である。
図5】本発明の第1の実施態様に従って形成されて、図4に示されるプラズマイグニションシステムに使用されるプラズマプラグの下面図である。
図5A】本発明の第2の実施態様に従って形成されて、図4Aに示されるプラズマイグニションシステムに使用されるプラズマプラグの下面図である。
図6】本発明の第3の実施態様に従って形成されるプラズマイグニションシステム内に使用されるプラズマプラグの側面図である。
図7】本発明の第3の実施態様に従って形成されて、図6に示されるプラズマイグニションシステム内に使用されるプラズマプラグの長手方向断面図である。
図8】本発明の第3の実施態様に従って形成されて、図7に示されるプラズマイグニションシステム内に使用されるプラズマプラグの下面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の第1の実施態様において、図2−5に示される、プラズマイグニションシステムは非ディーゼル内燃機関40の従来のスパークプラグ孔4によってねじ込むように収容されるプラズマプラグ2を含む。
【0020】
プラズマプラグ2は、好ましくはセラミックまたはセラミックのような電気的に絶縁性の材料48から造られる主本体部6を含む。主本体部の下部8は好ましくは、プラグのセラミックを取り囲む導電性および比較的強い材料(例えばアルミニウム、鋼等)から形成されて、外周にねじ切りされて、従来のねじ切りされたスパークプラグ孔4によって収容される。代わりとしてねじ下部8は、セラミックのような電気的に不導体材料から形成されることができる。内部的に主本体部の下部8内に、かつ、主本体部6内で長手方向に延伸しているのが、プラグの内部のセラミックを貫通する2本の電極10である。第一電極7および第二電極5から成る電極10は、好ましくはプラズマプラグ2の軸長に沿ってお互いに平行に延伸して、数ミリメートルだけ隔てられている。主本体部6の底端部12で、電極10はプラグ2を出て、高電気抵抗材料、好ましくは炭素フィルム14によって共に接続される。図5で分かるように、電気抵抗フィルム14は好ましくは、2本の電極10間に延伸して接触する薄い、狭いストリップとして形成される。炭素フィルム14の薄いストリップの目的は、スパークよりむしろ電極間にアークを開始するために導電性経路を形成することである。
【0021】
主本体部6の上端部17で、第1の露出された電気的接点15および第2の露出された電気的接点11がプラグ2を出て、それぞれ直接、または、配線30、31等経由で第一電極7および第二電極5に接続される。一つ以上の高電圧のトロイダルコンデンサ16は、その各々がドーナツ形状であって、開放中心18を有して、主本体部6の上部20のまわりに取り付けられる。トロイダルコンデンサ16は、外側プレート19、内側プレート21および外側プレート19と内側プレート21との間に位置している絶縁体23を有する。電極の1つ(第一電極7のような)が、コンデンサ16のプレートの1つ(内側プレート21のような)と電気的に連通する接点の1つ(第1の接点15のような)経由でスパークスイッチ25に接続される。電極のもう一方(第二電極5のような)が、他の接点(第2の接点11のような)経由で接地電位に接続される。コンデンサ16の静電容量は、それがプラズマプラグ2に「点火」して「アーク」を作り出すのに充分なエネルギーを蓄積することが可能であるように選択される。コンデンサ16は、また、点火用の従来のオートイグニションシステムに接続されることができる。コンデンサ16の充電は、コンデンサ16のプレートのもう一方(外側プレート19のような)と電気的に連通するDC高電圧発生器27によるものであり、その発生器27は、それが接続されるコンデンサ16のプレートに、高電圧直流電流(DC)信号を供給する。
【0022】
複数のトロイダルコンデンサ16が使われて、コンデンサ16の中央開口部を通して収容されて、プラズマプラグ2に取り付けられる場合、コンデンサはトロイダルコンデンサによって与えられる全体的なキャパシタンスを増大するために共に並列に接続されることができるか、または全体的なキャパシタンスを減少させるために共に直列に接続されることができるか、または、いくつかのコンデンサ16が並列に接続され、および、いくつかが直列に接続されることができる。また、一つ以上のトロイダルコンデンサ16の使用が好まれるとはいえ、一つ以上の非トロイダルタイプ高電圧コンデンサを使用することが本発明の有効範囲内であることが構想される。
【0023】
図4Aおよび5A内に示される、本発明の第2の実施態様において、図4内に示される構成を有する、プラズマプラグ2が「トリガー」電極13を更に含むことができ、それはプラグのセラミック内部を介して長手方向に通過する。トリガー電極13は、好ましくはプラグ2の軸長に沿って延伸して、下端部12でプラグ2を出る。トリガー電極13は、プラズマプラグの上面に位置している露出された電気的接点3経由で従来のオートイグニションシステムのスパーク発生器29と電気的に連通し、トリガー電極13は、露出された電気的接点3に直接または配線44等によって接続される。本実施態様において、燃料/空気混合気に点火するスパークがトリガー電極13によって供給されるので、図4内に示されるスパークスイッチ25は不必要である。したがって、スパークスイッチ25が省略されることによって、電極の1つ(第一電極7のような)がコンデンサ16のプレートの1つ(内側プレート21のような)に直接接続される。
【0024】
図5Aで分かるように、プラズマプラグ2の底端部のトリガー電極13の露出部は好ましくは、電極10から等距離に、かつ、それと一列整列の範囲外に(すなわち、電極10の直接間にはない)あり、トリガー電極13が、電極10の間に延伸する電気抵抗フィルム14と干渉せず、好ましくはプラズマアークが生ずるところから電極10の間にある電気抵抗フィルム14の領域に近接して、燃料/空気混合気に点火するために電極10および電気抵抗フィルム14に十分に近くにあるようにする。
【0025】
動作中に、トロイダルコンデンサ16は高圧直流電源装置によって充電される。一旦システムが適当な点火時間を確定すると、コンデンサ16内の貯蔵エネルギーは電極10の間に電流を供給し、および、プラズマアークが主本体部6の底端部12で発生される。プラズマプラグ2内の電極10の特定の幾何学形状に従い、放出された電流の流れによって生成されるプラズマのバーストが、特定の幾何学形状を取って、プラスモイドと称する。プラグによって生成されるプラズマ(「プラスモイド」)は、一般的に約5−50ev(電子ボルト)(1evは、約11,331°Cである)の電子温度を備えていて、流体的に運動する電離されたガスの形態である。そのようなものとして、プラズマの運動および形状は概ね流体力学の原理に従う。
【0026】
プラスモイドがプラグ2の底端部12で生成されるので、電流の流れはそれのまわりに顕著な磁界を作り出し、それがプラスモイドをプラグ2の底部12から離れて、シリンダ内に進ませる。プラスモイドイオンの全体的なサイズおよび幾何学形状は、迅速に膨張してシリンダチャンバ全体を満たす。衝撃波効果がシリンダ内に作り出され、プラスモイドイオンの温度を更に上昇させる。
【0027】
迅速に膨張するプラスモイドイオンはシリンダチャンバ全体を満たす能力を有し、その含量全体を燃焼させる。上記したように、内燃機関の普通点火方式は所定のRPM(毎分回転数)に対してチャンバ内で、最も効率的な燃焼を促進する空気対燃料混合比を詳細にかつ正確に作り出さなければならない。本発明のプラズマイグニションは、実質的に完全に全ての含量を燃焼させる能力を有し、向上された効率および減少した汚染を可能にする。
【0028】
図6−8に示される本発明の第3の実施態様において、プラズマプラグ2はセラミック主本体部6内に長手方向に延伸する単一の電極22を含むことができる。電極22は、プラズマプラグ2の上面上の露出された電気的接点32に直接、または、配線50等経由で接続される。主本体部6のねじ切りされた外側壁24は、金属のような、導電材料から形成されることができて、接地される。プラグ2の底の部分12から出る一つの電極22は、図8で示す、中心電極22から外部電極24まで半径方向に延出する一つ以上のストリップ14aとして形成される炭素フィルムのような高電気抵抗材料14によって、外壁、接地された電極24に接続されることができる。トロイダルコンデンサ16の1つのプレート(例えば、内側プレート21)が、図4内に示されるような、スパークスイッチ25を介して内側電極22に接続され、一方トロイダルコンデンサ16のもう一方のプレート(例えば、外側プレート19)が図4内に示されるような高電圧、直流発生器または供給源27に接続される。プラグ2は図4内に示される前述の実施態様におけるように点火され、および、電離されたプラズマを介して電極22と外壁接地電極24との間の電流の流れによって作り出される磁気力でプラグから離れてシリンダ内に迅速に進むドーナツ形状または球面のプラスモイドを形成する。
【0029】
本発明のさらに別の実施態様において、プラズマプラグ2はルテニウム二酸化物から作られる電極10、22を活用することによって追加的な酸素原子に寄与するように形成されることができる。電流がルテニウム二酸化物を介して流れるにつれて、酸素原子(イオン)がエンジンシリンダ内で電極10、22の露出部から燃料/空気混合気に放出され、プラスモイドイオンを更に付勢して、作り出す。他の電極材が、イオンを供給するのに用いられることができ、それが燃焼プロセスを強化して、シリンダ摩耗を減少させて、他の恩恵を与える。
【0030】
本発明のプラズマプラグ2がディーゼル内燃機関、同じくガス内燃機関内に設置されることができ、および、この種の用途が本発明の有効範囲内であると構想されていると理解されなければならない。
【0031】
本発明の例証となる実施態様が添付の図面を参照して本願明細書において記載されたとはいえ、本発明がそれらの厳密な実施態様に限定されていないこと、および、さまざまな他の改変と変更態様が本発明の目的または趣旨から逸脱することなく、当業者によってその中で遂行されることができることが理解されるべきである。
【符号の説明】
【0032】
1 従来のスパークプラグ
2 プラズマプラグ
3 露出された電気的接点
4 スパークプラグ孔
5 第二電極
6 主本体部
7 第一電極
8 下部
10 電極
11 第2の露出された電気的接点
12 底端部
13 トリガー電極
14 炭素フィルム
14a ストリップ
15 第1の露出された電気的接点
16 トロイダルコンデンサ
17 上端部
18 開放中心
19 外側プレート
20 上部
21 内側プレート
22 単一の電極 中心電極
23 絶縁体
24 外側壁 外部電極
25 スパークスイッチ
27 DC高電圧発生器
29 スパーク発生器
30、31 配線
32 露出された電気的接点
40 非ディーゼル内燃機関
44、50 配線
48 電気的に絶縁性の材料
図1
図2
図3
図4
図4A
図5
図5A
図6
図7
図8